バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第10話【波乱のタッグ!? 超絶の暴双恐龍】

宮殿内部、ルディアの召集を受け、既にガイトにミコ、それともう一人の女性も出席しており、少し遅れる様にそこへヴァンが顔を出す。

 

「おいおい、威勢のいいことほざいてた野郎が帰還しやがった、息巻いてた割にはエヴォルグランドの確保に失敗しやがったらしいな」

 

挑発するようなガイトに対し、苛立ったように舌打ちで返す。

 

「情報だけは達者だな。いや、達者なのは人遣いか」

「テメェは口だけ、だろ?」

「黙ってろクソがッ、じゃなきゃ力尽くで喋れなくしてやろうか?」

「ハッ、やれんのかよ! この負け犬ッ!」

 

険悪な態度で今にも開戦しかねない二人に女性は「やれやれ」と溜息をつき、ミコは止めるべきかとあたふた様子だが、そこへもう一人遅れてやってくるドレイクの姿。

 

「っるせぇんだよ、お前等」

「ドレイク!」

 

ヴァンとガイトに対して言葉を吐き捨て、ドレイクの姿に安心するようにミコは駆け寄るが、ミコに対しても冷たくあしらう。

 

「ミコ、テメェもだ。一々慣れ合うんじゃねぇよ」

「相変わらず素直じゃない奴じゃのぅ。けど無事戻ってきたようで安心したぞ」

 

「オイオイ、何が無事に戻ってきただ。言っとくがドレイク、テメェだってバジュラの奪取に失敗した負け犬なんだぜ!」

「……」

「おい、何とか言ったらどうなんだ?」

「いい加減黙ってろよ、ボスの御前だ」

「あぁ?……ッ!!」

 

いつから居たのかもう既に玉座に腰掛けるルディアの姿があり、それに気付くとガイト達も慌てた様にその場で片膝を突いて、膝まづく。

 

「うんうん、皆喧嘩は程々にね。さてみんな集まってもらってる事だし、手早く済ませようか。まずはエヴォルグランドの詳細について」

「チッ、俺から報告しなくてもテメェの事だから情報は掴んでるんだろうが」

「でも直接戦ったのは君だし、何より君はエヴォルの元所持者だ。詳しい情報の共有、してもらえるかな」

「そいつは命令か?」

「まぁ立場上、ね」

「……分かったよ」

 

ガイト達と違い、相変わらず忠誠を誓う様子はなく苛立ちながら答えるが、それでも心の奥ではルディアに敵わない事は自分も理解できていた。ルディアの言葉を拒否できるだけの力はなく、渋々従うようにエヴォルについて自分が知りえる全てを他の帝騎のメンバーへと語る。

 

 

***

 

 

「それじゃあ報告も済んだ事だし、今日はこの辺りで解散だね。後は各自、引き続き残りの七罪竜の捜索を任せたよ」

 

要件を終え、帝騎のメンバー達もそれぞれ別れ、去り際にガイトは物言いたげにヴァンとドレイクを一瞥するが、ルディアの手前という事もあってか、大人しくその場を後にし、ルディアもまたその場を後にしていく。

 

「ほっ、冷や冷やしたのじゃ! ボスとドレイクのお陰で何とか大事にならずに済んだのじゃ」

「別に。俺は巻き込まれるのが嫌だっただけだ」

「やっぱり素直じゃない」

 

ドレイクに対し苦笑いするが、その二人に近づくヴァンの姿があり、二人もそれに気付くと、ミコは表情を一変させ警戒するように睨みつける。

 

「お主……!」

「あぁー、ミコだっけか。悪いが席を外してもらえるか?」

「嫌じゃ! ドレイクに何の用なのじゃッ!!」

「他言できねぇ内容だ。ともかくドレイクと話をさせろ」

「断る! ドレイクを巻き込むな!!」

 

「ミコ!!」

「ッ!」

 

ヴァンの要求を強く拒否するミコだが、ドレイクは彼女を制止させるように名前を強く呼び付ける。

 

「ど、ドレイク」

「俺の問題だ。お前はいいから下がってろ」

「でも、妾は……!」

「何度も言ってる筈だ、俺の事に一々構うんじゃねぇッ!」

「……」

 

小さく「分かった」とだけ言葉を返すと、俯いたままその場を後にし、その後ろ姿が見えなくなるのを確認すると、本題に入るようにヴァンから切り出す。

 

「分かってると思うが、マチアから持ち掛けられた件についてだ。単刀直入に聞くぞ、俺等と手を組む気はあるか?」

「あの女にも言ったが俺は群れるのは嫌いだ。誰とも馴れ合う気はない」

「群れるのが嫌いのなのは俺も同じだ。マチアからは俺も一方的な要件しか聞いてねぇが、お前はそもそもマチアに何を言われて何を答えた?」

「……あの女から言われたのは、手を組むかどうか。その答えは言った通り、それともう一つ、お前が狙ってるのはエヴォルグランド、それだけだと言われた」

「それで、その答えは?」

「どうもいい。お前等が何を狙おうが関係ねぇ、俺が狙ってるのはバジュラブレイズ、奴だけだ。下らねぇ問答はこれでいいだろ」

 

ドレイクもまたその場から立ち去ろうとするが、「最後に一つ聞かせろ!」と呼び止める様に叫ぶ。

 

「バジュラブレイズにそこまで拘る理由、それは、お前が自分の物にするためか?」

「何?」

「もう一つ付け加えるなら、ルディアの為じゃなく、お前自身の為、だろ?」

「!」

 

一瞬顔色が変わるのを見ると、何かを確信したように突然笑って見せた。

 

「ハハハハ、やっぱりそうか。己の欲望の為にバジュラを求める訳だ」

「何が可笑しい? 仮に俺が我欲でバジュラを求めたとしてその理由がわかるとでも?」

「分かるさ。テメェみたいな奴が己の為に力を求める理由なんざ大体察しが付く」

「何!?」

「ルディアへの反逆、だろ?」

「!!」

「その反応、図星みたいだな」

「テメェ、何でそんな事を聞く」

 

何かを探るようなヴァンの問答に警戒を隠せない。ヴァン自身も当然警戒されることは承知の上だったが、それでも言葉を続けて行く。

 

「確認したかったのさ。ルディアに尻尾を振ってる忠犬共は信用できねぇ。腹割って話せる奴が欲しかった」

「どういう意味だ?」

「早い話俺とテメェの利害は一致するって事だ。テメェが求めるのも俺と同じ、圧倒的な力、具体的にはルディアをも倒せる力、だろ?」

「!!」

「俺に協力しろ、そしたらテメェにも相応の見返りをくれてやるッ!!」

 

決して他の誰にも聞かれてはいない内容、それを自分に話すという事はヴァンの覚悟も本物だった。

 

「……分かった。テメェと手を組んでやるよ」

 

ヴァンに対し、ドレイクもまた、同じくして覚悟を決めた。

 

 

***

 

 

「えっと、ヘルさんから用事って何だろ」

『さぁな、つまらねぇ用事だったら承知しねぇ』

 

二人が今居るのは異世界であるスピリッツエデン、この日ヘルから待ち合わせの場所を指定され、指定された場所へ向かうバジュラと烈我だったが、辿り着いたのは、まるでどこか会場のような場所だった。

 

「偉くデカい建物だな」

『だな。人も多いし、何かのイベントか?』

 

人通りも多く人目を避ける為、人通りの少ない場所を選んで移動するが、考える事は同じようにミナトや星七、光黄もそこへ合流した。

 

「よぉ、烈我」

「おはよー、みんなも招待されてたんだな。というか星七も?」

「まぁな、俺が誘ったんだ。ヘルさんの事紹介しといた方がいいと思ってな」

 

ヘルとまだ面識のない星七だがそんな疑問に対して、ミナトは「丁度いい機会だったから」と笑いながら答える。

 

「やぁ、みんな集まってくれたね」

 

いつものメンバーが揃った所で、遅れて顔を出すヘル。初めて顔を見る星七とも、気軽に挨拶を交わし、「よろしくね」とフレンドリーに対応。

 

「ヘルさん、今日俺達を呼んだ理由って?」

「まぁ、イベント行事をね」

「イベント?」

「今日ここで何が行われるか、分かるかい?」

 

当然烈我達は知る由もなく、頭にハテナを浮かべる烈我達にヘルはにやにやと自信あり気に笑いながら続けて行く。

 

「大規模なバトスピ大会、事前告知なしの当日制、にも関わらずこの人気だよ!」

 

既に多くのカードバトラーや観客達が会場に押し寄せており、その盛況は自分達の世界で行われていたチャンピオンシップと同じか、それ以上だった。

 

「事前告知もないのに、すごい人盛りですね」

「スピリッツエデンはバトスピの聖地。定期的に大規模な大会は開催されるし、情報の早い者なら告知しなくても、すぐに調べて集まってくるって訳」

「もしかして、今日俺達を集めた理由って」

「そう。何かあったら君達に伝えると言ったし、ましてこういうイベントなら君たちも喜ぶと思ってね」

「はい!! 色んな奴がいて、すっげぇ楽しそう! 俺今から滅茶苦茶楽しみになってきました!!」

 

ヘルに対して、烈我は今にでもバトルがしたい程心を躍らせ、ミナトや光黄、星七の三人も烈我程でないにしろ、カードバトラーとして少なからず興味を惹かれていた。

 

「けど、この大会には誰が参加してるか分からない。各地から色んな強豪が集まってくるから、チェックは厳しいだろうし、それに参加者の中には罪狩猟団の一味もいるかもしれない!」

「!!」

 

その可能性は高い、ならば当然大会にまでバジュラ達を出す訳には行かないが、「そこで!」と提案する様に。

 

「バジュラ達ならおじさんの方で面倒観るけどどうする?」

『あぁ? テメェの御守かよ?』

『光黄様と離れるなんて私は嫌です!!』

 

ヘルに対して、バジュラやライトからは不平不満だが一方で。

 

『俺様は別にいい。ヘルの御守でも何でも付き合ってやるよ』

『キラー?』

『こんなデカい大会はまたとねぇ機会だ! 今こそ大勢の前で俺の所有者が最強だって事を知らしめてやるんだよッ!』

 

バジュラ達に相変わらずの傲慢な態度での返答。「面倒見るのはおじさんの方だけどな」と文句言いたげに呟くが、非常なまでにスルー。そしてキラーに同調するようにエヴォルも口を開き。

 

『キラーみたいではないが、儂も大会への参加は大いに賛成だ。規模のデカい大会なら星七の経験にもなるしの。という訳で世話になるぞ?』

「お、おぉ。何かこの中でエヴォルだけまともだった」

 

唯一温厚なエヴォルの反応に逆に戸惑うヘルだったが、キラーとエヴォルの意見に、バジュラも「それもそうだな」と笑いながら呟く。

 

『俺等は見てるだけってのは癪だが、所有者自身の訓練、強さの象徴、どれもうってつけだ! なら参加しない手はねぇわな」

『ちょ、揃いも揃って! アンタら三人がいいなら、私一人駄々こねる訳には行かないじゃないですか!!』

 

結局多数派に流されてライトも諦めるしかなかった。「まもなく会場の受付を締め切ります」との声が聞こえ始め、烈我達も早速大会に参加するべく会場中へ入り、見送るようにヘルは「頑張れよ!」と手を振る。

 

 

***

 

 

「あっ、待ってたよ」

 

時を同じくして会場の別入り口の付近で佇むマチアの姿、待っていたと口にする彼女の前に現れたのはドレイクだった。

 

「思った通り、手を組んでくれるみたいだね。来てくれて嬉しいよ?」

「……俺は遊びに来た訳じゃねぇんだぞ」

「でも折角の大会だよ、少しぐらい楽しんだら?」

「所詮温い奴らの集まりだ、期待なんかできるかよ。それよりヴァンは?」

「あいつにはもう一つ別の情報を渡してる。まぁ役割分担さ」

 

情報を扱うマチアも当然大会について周知していた。ドレイクに情報を渡し、二人も参加者としてこの会場に足を運び、入場していく。

 

 

***

 

 

『では烈我様、光黄様、ミナト様、星七様の以上4名を参加者として登録いたしました。受付用カードをお渡しします。まもなく大会についての説明を行いますのでステージ中央までご移動ください』

 

受け取ったカードには数字が掛れており、そのまま受付のスタッフに案内された場所へと向かい、辺りを見回せば既に多くのカードバトラー達の姿があり、どのカードバトラー達も一癖ありそうな気配だった。

 

「光黄! この大会、俺は絶対優勝するぜ! 勿論お前にも勝つ!」

「毎度毎度聞き飽きた。いいから行くぞ」

 

自信満々な烈我を軽く流すものの、参加する以上負ける気がないのは参加者全員同じ気持ちだった。間もなく始まる大会に心躍らせる中、次の瞬間、突然ステージ中央にスポットライトが当てられたかと思うと。

 

『カードバトラー諸君! まず最初に、本日集まってもらった事に大きく感謝するぜ!!! 今日の大会の司会進行を務めさせていただくのはこの俺、アグレッシブ健太だッ!! 早速いつものコール行くぜッ!! 1! 2!! 3!!!』

『「「アグレッシブ!!」」』

 

ステージ中央に立つ司会の言葉に、全員見知ったようにノリノリでコールアンドレスポンスを返し、会場中は早くも賑わっていた。

 

『さて今回の大会について、早速ルール説明を行うぞ! 各自、モニターをご注目!』

 

ステージの真上に映るモニター、画面には幾つかの枠が設けられ、一つの枠に二つの数字がセットになる形で複数並べられている。

 

『今回行うのは個人によるトーナメント戦にあらず! 二人一組によるタッグバトルでのトーナメントだぁッ!!!』

「「タッグバトル!?」」

 

烈我達には馴染みのないルール、勿論他のカードバトラー達にも少なからず動揺が見える。

 

『詳しい説明はまたモニターに掲載するが、まずは簡単に説明させてもらうと前提として、タッグバトルは二人一組で行う計4人でのバトルでライフは合計で8つ。フィールドとコアはチーム内で共有、バーストゾーンはチームで一つのみ。そして重要な点はチーム同士で同じ色を使用できない事!』

 

ルール説明にうんうんと頷きながら烈我達は視界の言葉を聞き入り、『最後に』と司会はさらに言葉を進めていく。

 

『最も重要なタッグ相手だが、モニターに映る数字は受付の際の番号を表し、ペアとなる番号の者とチームを組んで欲しい! なおタッグについてはバランス性を考慮してランダムに設定。チームメンバーの変更は一切認められないのでそのつもりで。タッグ相手と使用するデッキが同じ色の場合はよく相談して、デッキの色を分けてほしい。あちらのコーナーでカード販売も行っているので、別のデッキを組む際に利用してくれ』

 

以上と一旦説明を終えると、各々自分の番号とそのペアとなる番号の相手を探し始め、烈我達も受け取ったカードに書かれた自分の番号を再確認する。

 

「俺の数字は……星七とペアみたいだな」

「ミナトとですね。よろしくお願いします!」

「おぉ、知り合った仲と組めるならタッグ相手としては上々だな」

 

偶然にもミナトと星七がタッグに決まっており、それならと期待するように光黄に視線を向ける烈我。

 

「(もし組めるなら、当然俺は光黄と……!)」

 

すぐに「光黄は何番だった?」と期待の眼差しで尋ねるが、彼女は静かに溜息をつきながら、自分の数字が書かれたカードを烈我に突き付ける。

 

「生憎だが、俺のペアの番号はお前じゃない」

「そ、そんな」

「まぁ運が悪かったと諦めるんだな」

 

落ち込む烈我とは正反対に冷静な態度で返す光黄。彼女はそのまま自分の相手を探すべくその場から離れて行き、烈我も相手を探す為に一旦その場を離れるが、よほどショックは大きかったのかその足取りは重い。

 

「烈我、本当に残念そうですね」

「まっ、こればっかりは運だし仕方ねぇよな。けど、残念だと思ってるのは、多分烈我だけじゃねぇけど」

「?」

 

ミナトの言葉通り、振り返る事はないが彼女の今の表情はどこか寂しげな物だった。今の光黄の心情を察しているように彼女の後姿を見送りつつ、星七に対しては「何でもない」と誤魔化した。暫くして烈我も気を取り直したように、自分の番号を掲げながらタッグとなる相手を探すが。

 

「俺のタッグ相手は、よりにもよってテメェか」

「その声……ッ!!」

 

聞き覚えのある声に振り替えると、そこにはドレイクの姿。手に持つカードには烈我とペアとなる数字が書かれていた。

 

「何でお前がここに!!」

「見りゃ分かんだろ、俺も参加してんだ。一々分かり切った事聞くんじゃねぇ」

 

互いに睨み合いながら言いたい事があるようにお互いに対して敵意を向けるが、ドレイクは舌打ちながらも「仕方ねぇ」と妥協するかのような言葉を吐き捨てる。

 

「本当ならお前とタッグは真っ平御免だが、チームに対しての意義は一切認められねぇ。けどな、絶対に俺の足は引っ張るなよッ!」

「テメェ! それがタッグ相手に言う台詞かよ!」

 

タッグの相手として、その相性は最悪と言わざるを得ない。なおも睨み合いが続くが、チームに波乱の可能性を秘めているのは、烈我だけに限った事ではない。

 

 

「アタシのタッグ相手は、アンタ?」

「……お前!」

 

光黄とのタッグになったのはマチアであり、彼女の姿に警戒するように構えるが、警戒を意にも返さず、平然とした様子で光黄に対し「よろしく」と不敵に笑って見せた。

 

『全員タッグパートナーは決まったか? チーム間での相談も済んだようだし、早速大会本戦を始めて行くぜ!!』

 

暫くして会場中に響く司会の言葉に、観客やバトラー達は待ち遠しいようにそれ以上の歓声を上げ、会場中がすぐさま熱気に包まれる。

 

『それでは第一試合、この辺一帯の町では知らない者はいないバトスピ兄弟、ノルガ&ソルガチームだぁッ!!』

「ハッハァッ! 早速俺等の出番だぜ兄貴! 俺等兄弟で組めば、敵なんかねぇぜ!」

「そうだな。組めたのはあくまで運だが運も実力の内。優勝は確実に俺等の物だ」

 

烈我達とは面識はないが、視界や周囲のカードバトラー達の様子から察するに相当名の知れたカードバトラーである事は確かだった。そしてタッグバトルのチームの相性に置いて、兄弟である二人にとってはこれ以上ない相性。

 

『対するは、大会初参戦、ドレイク&烈我選手のチームだ!!』

 

チームとして並んで歩くドレイクと烈我の姿にミナトや星七、そして観客席にいるヘルや、隠れてみているバジュラ達も驚いたように一瞬言葉を失う。

 

『何で烈我の野郎が彼奴と組んでんだ? おい、ヘル説明しろ!』

「おじさんが知る訳ないだろ! しかし、まさか罪狩猟団の帝騎とチームを組むことになるとは……果たしてどうなるのやら」

 

心配するように自然と声が出る。一方でステージに立つ4名はこれから始まる試合を前に、互い相手を見据える。

 

「ドレイク、お前に色々言いたい事はあるけど、けどまずはこの試合に勝ってからだ」

「フン、誰に物言ってる。一々指図すんじゃねぇッ!」

「テメェ……!」

 

怒りが込み上げるが今この場で言い争っていても仕方ない。落ち着くように深呼吸し、ドレイクに対しての怒りを何とか宥める。

 

『さぁ、両チーム準備はいいか! それではコールしてくれッ!!』

 

開始を促す司会に、4人全員が一斉に告げる。

 

「「「「ゲートオープン! 界放ッ!!!」」」」

 

開始の宣言を受け、4人の姿はバトルフィールドへと舞台を移し、大勢の観客が見守る中、いよいよバトルの幕が上がる。

 

 

────第1ターン、烈我side。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「俺から先行か! じゃあまずはさまよう甲冑を召喚するぜ!」

 

鎧武者のようなスピリット、さまよう甲冑。出現と同時に紫のオーラを纏い始める。

 

「召喚時効果でデッキから1枚ドロー、これでターン終了だ」

 

 

「へぇー烈我の奴、紫デッキとは珍しいな」

「確かに。タッグ戦だからデッキを変えたんですね」

 

普段の烈我のバトルを見慣れてるだけに、星七やミナト、それに別の場所で光黄も珍しさを感じながらそれぞれモニターでの映像から観戦していた。

 

「(本当は俺だって赤デッキ使いたかったけど、ドレイクの奴、全然折れてくれねえ。まあけど、試したい奴がいるし、いい機会かも知れねえけど)」

 

全く用意がなかった訳ではない。試したいカードという理由で紫デッキの用意はあり、それが幸いする結果となっていた。

 

 

────第2ターン、ノルガside。

 

[Reserve]5個

[Hand]5枚。

 

「俺のターン! ネクサス、魔王蟲の根城を配置」

 

後方に出現するネクサス、タッグバトルにおいてネクサスの効果はチームに共有される為、サポート支援にはうってつけだろう。

ネクサスを配置したのみで、「ターンエンド」と宣言。

 

 

────第3ターン、ドレイクside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

[Field]さまよう甲冑Lv.1(1)BP1000。

 

「マジック、ソウルドローを使用。さまよう甲冑のソウルコアを使い、効果でデッキから3枚ドローだ」

「!?」

 

ソウルドローのコストは5。不足コスト確保の為にさまよう甲冑は消滅させられ、フィールドがら空き状態。

 

「ドレイク!! お前なんで俺のスピリット破壊すんだよ」

「フィールドはチーム共有。コアが足りねぇんだから仕方ねぇだろ」

「だったら使わなきゃいいだろ!! ブロッカーがいなくなっちまったじゃねぇか!!」

「お前の都合なんざ知るか、こっちにはこっちのやり方がある!」

「お前分かってんのかよ! これはタッグバトルなんだぜ! だったら────!」

「関係ねぇッ! テメェなんざいてもいなくても、俺一人で十分だ!」

「テメェッ!!」

 

『おっと、どうした事だ? ドレイク&烈我選手。どうやら揉めている様子、タッグバトルはチームワークがなきゃ決して勝てないぞ!』

 

実況する声に、観戦しているミナト達は不安そうに見つめ、一方で二人の様子に対戦相手であるノルガたちは可笑しそうに笑う。

 

「ハハハ、見てよ兄貴。彼奴ら喧嘩なんかしてるぜ!」

「全くだ。協力もクソもねぇ、こりゃこの勝負、楽勝だな」

「だね、一回戦突破早くも決まったようなもんだぜ」

「あぁ、精々奴等にチームワークがどういう物かお手本でも見せてやるか!」

 

 

────第4ターン、ソルガside。

 

[Reserve]6個。

[Hand]5枚。

[Field]魔王蟲の根城Lv.1(0)。

 

「さぁ行くぜ! 猪人ボアボアを2体、それぞれLv.1とLv.2で召喚だ!」

 

鎖に繋がれた鉄球を振り回しながら現れるボアボア。青のスピリットの出現に、烈我は動揺を隠せていない。

 

「青のスピリット!? チームで同じ色は使えない筈だろ?」

「馬鹿かお前。魔王蟲の根城は青と緑、両方の色のネクサスだぞ。チームで同じ色のカードは確かに使用できないが、二色以上を持つカードの場合はどちらかの色のカードとして使用できる」

 

烈我に対しての疑問を代弁するかのように答えるドレイク。その言葉を聞いているかのように実況も『その通り!』と声高らかに答える。

 

『タッグバトルで、複数の色を持つカードは片方の色のみの扱いとして使用可能。この場合、「魔王蟲の根城」は緑のカードとして、「猪人ボアボア」は青のカードとして分けられるので問題はないぞ!』

 

「そういう事だ。ってな訳で遠慮なく行くぜ! 2体のボアボアでアタック! アタック時で効果でそれぞれのレベルを一つ上のものとして扱い、さらにこちらにある魔王蟲の根城の緑シンボルを条件に【連鎖】発揮! ボイドからコア1個をそれぞれボアボアの上に置く」

「コアブーストって訳か」

 

ドレイクと烈我の両者に防ぐ手立てはない。そのまま一体目のボアボアが鉄球を叩きつけ、さらに間髪入れずに二体目も鉄球をバリアに直撃させると、ライフを二つ一気に砕いていく。

 

「ぐッ!!」

「がぁッ!!」

 

ライフはチームで共有される為、失った際の衝撃も然り。手摺を掴みながら衝撃を耐えきる。

 

「効果はそれだけじゃないぜ! 魔王蟲の根城の効果、【連鎖】の効果を持つ、兄貴のボアボアがライフを減らしたので、ボイドからコア1個をリザーブに追加。2体でそれぞれ減らしたから、2コア追加だ! これでこのターン合計4コアも増やせたぜ!」

『ノルガ選手、ソルガ選手のチームコンビは抜群!! さらに自分たちの有利な方向へバトルを進めていますが、果たして烈我選手とドレイク選手の二人は逆転できるのでしょうか?』

 

実況の声が響く中、現在までの状況を考慮する限り、どう見ても劣勢の状況だった。

 

「やれやれ。ドレイク達と違って、相手のコンビネーションは息ピッタリみたいだね。ドレイク達と違って」

 

別室のモニターから試合状況を確認するマチアと光黄の二人。悪戯気味に二回続けて言うマチアの様子に一瞥しながらも。

 

「即興でチーム組まされたんだ。元々あいつ等とは敵同士、互いの信頼が必要なタッグバトルは荷が重い。それに信用できないって意味じゃ、ドレイクだけじゃなくお前も一緒だ!」

 

マチアもまた罪狩猟団との繋がってる可能性がある以上、気は許せない。だが彼女の様子に対してマチアは溜息をつきつつ、何を思うのか彼女のすぐ隣の席に腰掛ける。

 

「?」

「別に警戒するのは仕方ないかもしれないけどさ、アタシだってこの大会に参加した以上は負けたくない。だからなるべくアンタとも大会中の間だけでも、仲良くしたいとは思ってる」

「……信用しろと?」

「まっ、聞きたい事があるなら話せる範囲で話してあげる。チームメイトになったのも何かの縁だし、無料でね」

 

「けど」と付け足しながら。

 

「先にこのバトルの行方を見届けてからね。目が離せない面白そうなバトルになる事だし」

「……」

 

そのままモニターに視線を向け、マチアの態度に思う所はあるものの今はと光黄もバトルの様子を静かに見守る。

 

 

***

 

 

────第5ターン、烈我side。

 

[Reserve]8個。

[Hand]6枚。

[Field]なし。

 

「行くぜ! キャメロットポーンとソウルホースをどちらもLv.2で召喚。さらにもう一体、シキツル召喚! シキツルの召喚時効果で1枚ドロー!」

 

一気に出現する小型のスピリット、その中でシキツルはさまよう甲冑と同じ効果を持ち、眼光を輝かせると、1枚のカードを手札に加える。

 

「バーストセット。アタックステップ! まずはソウルホースでアタックだ!!」

 

やられたらやり返す、デッキが変わってもその考えは変わらない。ライフを削り返さんとソウルホースを果敢に突っ込ませて行く。

 

「ふふん! お前等の攻撃なんか通すもんか! フラッシュタイミングでダークマッハジーを神速召喚だ!」

「何!?」

 

意表を突くように突然現れるダークマッハジー、緑のスピリットだが魔王蟲の根城から力を受ける様に、青い光を纏い始める。

 

「神速の効果を発揮した時、そのまま青シンボルを条件にして【連鎖】を発揮! コスト2以下のスピリットを破壊できる。キャメロットポーンを破壊するぜ!」

 

纏った光を波動のように直接キャメロットポーンに撃ち出すと、直撃を受けて破壊されてしまうが。

 

「相手による自分のスピリット破壊でバースト発動だぜ!」

「何ッ!?」

 

早々にトリガーが引かれ、弾け飛ぶそのカードを手に取って掲げる。

 

「抜魂幻糸! バースト効果で、疲労状態の相手スピリットを破壊できる! Lv.2のボアボアを破壊!!」

 

発動されるカードから放たれる紫の炎、紫炎がボアボアの体を焼き尽くし、そのまま破壊されてしまう。

 

「さらにフラッシュ効果! もう一体のボアボアのコア1個をリザーブに送る!」

「けど、兄貴のボアボアに乗ってるコアは元々2個。それじゃあ消滅させられないぜ!」

「1個で充分! さらにフラッシュ!」

「!?」

「シキツルを魔界皇龍ダークヴルムレガリアに煌臨だぁッ!!」

 

紫煙がシキツルを包み込んだかと思うと、次の瞬間打ち払う巨大な龍の姿、ダークヴルムレガリアへと生まれ変わり、雄叫びを上げる。

 

「ダークヴルムレガリアはコスト3、またはコスト4に煌臨する場合、ソウルコアは必要としない! さらに煌臨時効果発揮! コア1個しかない相手のスピリットを全て破壊だ!」

 

ダークヴルムレガリアを中心として、紫の輪が広がり始めたかと思うと、ダークマッハジーとボアボアがその輪に触れた瞬間、途端にその場から消滅してしまう。

 

「この効果で破壊したスピリットの数だけ1枚ドロー! さらにソウルホースのメインアタック! ライフを削り返してやるぜ!」

「おっと、そうはさせない! フラッシュ、スプラッシングホーンを使用する!」

「!?」

「効果で最もコスト低い相手のスピリットを破壊する! 消えろ、ソウルホース!」

 

今度はソルガからのカウンター。手札からマジックを発動させると、青き角の形を形成した衝撃波がソウルホースを吹き飛ばし、破壊され爆発四散する。

 

「ぐッ! ソウルホースが……! ターンエンド」

「残念だったな。タッグバトルにおいて、攻めも守りも協力し合う事こそがタッグバトルの醍醐味。一人だけに警戒するのは浅はかだ」

 

「へへ、さすが兄貴。助かったぜ」

 

兄弟という事もあって、完全にタッグバトルに関しては烈我達よりも上手だろう。息の合ったように連携する二人、スピリットの一掃はできたものの、ライフを削るまでには至らない。

 

「わ、悪い。ドレイク、後は──」

「フン、別にお前に最初から期待してない」

「んだよお前、折角人が謝ってんのにッ!」

「知るか、俺はそもそもお前とお友達ごっこがしたくてここに来た訳じゃねぇ」

「何だと!? お前いい加減にしろよ……!! 俺だって、お前と組みたくて組んでる訳じゃねぇよ!!」

 

とうとう我慢しきれなくなったのか、ドレイクの胸倉を掴みながら今も乱闘が始まりかねない二人だが、喧嘩する二人の様子はノルガもソルガも寧ろ好都合といったようにより面白可笑しく笑う。

 

「兄貴、彼奴らホント仲悪すぎるぜ! こりゃタッグ以前の問題だ」

「そうだな。まぁそもそもお前ら二人が俺等兄弟の相手になる訳もなかったな」

 

「あぁ!?」

 

見下されたような態度、だがそれは逆にドレイクに火を付けたのか静かに烈我の手を振り払ったかと思うと、その怒りの矛先は完全に相手へと向いている。

 

「お前等に侮辱される言われはねぇ。前言撤回するならまだ我慢してやる、だが、そうしないなら、俺はテメェ等を全力でぶっ潰す」

「ハッ、前言撤回とかするかよバーカ!」

 

なおも挑発するようなノルガに対し、ソルガも軽く鼻で笑い飛ばし、そんな二人の態度に激高するようにより怒りの炎を燃やす。

 

「ドレイク!! 冷静になれよ、そうじゃなきゃ勝てねぇ!」

「誰に物を向かって言ってやがる! 何と言われようがテメェと馴れ合う気はねぇ。俺は好きにさせて貰う!!」

「ふざけんな! これがタッグバトルだって事、お前分かってんのかよ!!」

 

互いに声を荒げながら激昂。このバトル中で協力関係を築く事は極めて難しい。相手のペースのまま次のターンを迎える。

 

 

────第6ターン、ノルガside。

 

[Reserve]11個。

[Hand]4枚。

 

「まずは魔王蟲の根城をLv.2にアップ! さらに行くぜ、俺のキースピリット!」

「!」

「全てを断ち切る地獄の鎌ッ! 死神の如く敵を切り刻めッ!! 黒蟲魔王ディアボリカマンティスをLv.2で召喚ッ!」

 

地面を突き破り、大地に鎌を突き刺して這い出る様に飛び出す巨大な影、羽を羽ばたかせて鎌を振るう魔王──ディアボリカマンティス。

 

「ディアボリカマンティスでアタック! アタック時効果でお前のスピリット一体疲労させるぜ!」

 

緑の風がレガリアを囲み、そして風に吹かれた瞬間、脱力したようにその場に凭れこみ、疲労させられてしまう。

 

「クソッ、レガリアでブロックできねぇ」

「さぁ、このアタックはどうすんだよ!」

「ライフで、受ける!」

 

両腕の鎌で交互にバリアを切り裂き、ライフを破壊された衝撃にドレイクと烈我も思わず後ろに後退させられる。

 

「魔王蟲の根城の効果でボイドからコアをリザーブに追加。さらにまだ続くぜ、Lv.2の此奴はアタックによって相手ライフを減らした時、さらに相手のライフ一つにリザーブ送りにできる! マンティス、もう一つ削ってやれッ!!」

 

追撃するかのように切り刻んだバリアに、ブレスを吐き付けるとさらにライフを破壊され、衝撃が烈我達を襲う。

 

「ぐぅッ……!!」

「痛ぅッ!」

 

「見たか! 自慢のキースピリットの力! 俺はこれでターンエンド」

 

 

────第7ターン、ドレイクside。

 

[Reserve]10個。

[Hand]8枚。

[Field]ダークヴルムレガリアLv.1(1)BP4000。

 

「メインステップ、マジックでブレイヴドロー、効果でデッキから2枚ドローし、その後3枚オープン、神話ブレイヴがあれば俺の手札に加えられる」

 

オープンされたカードは上から「恐竜同盟アクロカントレックス」、「ブラックウォーグレイモン」、「創界神アヌビス」の3枚。対象カードはない為、手札には加えられない。

 

「残ったカードは上か下かに戻せる、3枚ともそのままの順番でデッキの上に置き、これでターン終了だ」

「「!?」」

『おぉっと! ドレイク選手、また手札を増やしたのみで何もしません!! ひょっとして手札が相当悪かったのかーッ!?」

 

「アッハハハハハ!! 見てよ兄貴、あいつ、威勢のいい事言ってた割には全然何も仕掛けて来ねぇ! ただのハッタリ野郎だぜ」

「あぁ、拍子抜けだ。さっさと終わらせてやるぞ」

 

ドレイクに対して不安が過る中、相手は早くも自分たちの勝ちを確信するように余裕の態度を見せ、そして続くソルガのターン。

 

 

────第8ターン、ソルガside。

 

[Reserve]8個。

[Hand]3枚。

[Field]黒蟲魔王ディアボリカマンティスLv.2(3)BP10000、魔王蟲の根城Lv.2(2)。

 

「ディアボリカマンティスをLv.1にダウンさせる」

 

味方のスピリットをレベルダウンさせ、ディアボリカマンティスは脱力するように項垂れるが、ノルガはその様子を全く気に留める様子はなく、寧ろそれがこれから来るであろう何かを呼び出す前触れであることをすぐに感じ取れた。

 

「今度は俺のキースピリットを拝ませてやろう! 異界に君臨しせし、破壊の龍! 敗北という名の禍を敵にくれてやれッ!! 森羅龍樹リーフシードラ、Lv.2で召喚だぁッ!」

 

地底の奥底より響く龍の咆哮、そして激しい地響きが起こり始めたかと思うと突然植物の根のような物が地面を突き破るように出現し始めるが、それは所詮一部に過ぎない。すぐさま本体である巨大な植物、否、植物のような異形な体を持つ龍───リーフシードラの姿。

 

「で、でけぇ」

「驚いたか。これが俺のキースピリットだ、さぁこのまま一気に決めてやるぜ! リーフシードラ、アタックッ!」

 

巨大な体を引き摺るように進撃するリーフシードラ、攻撃と同時に咆哮すると烈我達の手札を封じるかのように青の光が灯り始める。

 

「!?」

「Lv.2、Lv.3のアタック時効果でお前等はマジックを使用できない! さらにこれで終わりじゃねぇぞ、ノルガッ!」

 

合図をするように相方を呼び、ノルガもまたその意図を察しているように笑いながら手札を構える。

 

「魔王蟲の根城Lv.2の効果、お互いのアタックステップ時に【神速】を持つスピリットかブレイヴをノーコストで召喚できる! よって俺の手札にある、黒蟲の妖刀ウスバカゲロウを、兄貴のリーフシードラに直接合体(ダイレクトブレイヴ)させるぜッ!!」

「何ッ!?」

 

手札からウスバカゲロウを呼び出すと、黒雲より降り落ちる妖刀、それを咥えてリーフシードラはより力を高める様に唸りを上げる。

 

「さぁこれでトリプルシンボルだぁッ! マジックも使えないお前等に防ぐ手立てはないだろ!」

「ぐッ、ライフで……受ける!!」

 

ソルガの言う通りそれ以外の選択肢はない。そのまま体の一部である蔦をバリアに叩きつけ、そして最後に咥えたウスバカゲロウでバリアを両断、ライフを一気に破壊する。

 

「「があああああああッ!!」」

 

ライフを一気に失い、その衝撃も相当な物。吹き飛ばされそうになりながらも何とか堪えるが、既にライフは風前の灯。

 

「魔王蟲の根城の効果で再びコアブーストして、ターンエンドだ」

『烈我チーム、ついに残りライフ1つにまで追いつめられたぁぁぁッ!! 対するソルガチームはまだ残りライフ8で未だ無傷。これはもはや勝負あったかーッ!!?』

 

ここからの逆転は相当難しい。だが状況を一変させなければ敗北は避けられない。次は烈我のターンだが、何とかしなければと焦る様な気持ちで一杯だった。

 

 

────第9ターン、烈我side。

 

[Reserve]14個。

[Hand]5枚。

[Field]魔界皇龍ダークヴルムレガリアLv.1(1)BP7000。

 

「(今は守りを固めるしかねぇ。けど、リーフシードラ……あいつを止められなかったら、結局は負けちまう)」

 

リーフシードラの攻撃は例えブロックしても、バトルに勝利すれば【連鎖】の効果でライフを破壊できる。次のターンでまだリーフシードラが回復する事は無いが、それでも何とかできなければ敗北は時間の問題。

 

「キャメロットポーンとソウルホースを召喚、ダークヴルムレガリアをLv.3にアップ。これで、ターンエンドだ」

 

「お前も打つ手がなくなったか。相棒は何もしねぇし、こりゃもう決まったな」

「だな。確か烈我と言ったか、精々チームメイトに恵まれなかったことを悔やむんだな!」

 

煽る様な言葉にドレイクは舌打ちしながら二人を睨みつけるが、一方で烈我は静かにドレイクを見ながら。

 

「ドレイク」

「あぁ?」

「悔しいけど今の俺に手立てはない、でも俺は絶対、負けたくない!!」

「!」

「お前だってそうだろ? このままじゃ終われない。だからお前がこの状況を変えてくれるって、俺は信じるからな」

「……」

 

烈我の言葉に対し、何を思うのか先程まで二人に向けていた怒りの表情を少しだけ柔らかくさせるが、すぐに「バトルに集中しろ」と烈我から視線を外して対戦相手を見据える。

 

 

────第10ターン、ノルガside。

 

[Rerserve]8個。

[Hand]3枚。

[Field]黒蟲魔王ディアボリカマンティスLv.1(1)BP6000、(疲労中)森羅龍樹リーフシードラ×黒蟲の妖刀ウスバカゲロウLv.2(4)BP15000、魔王蟲の根城Lv.2(2)。

 

「ディアボリカマンティスをLv.2に、さらに兄貴のリーフシードラをLv.3にアップさせるぜ!」

 

スピリットを召喚する様子はなく、各々のキースピリットのレベルを上げるのみで留まるが、ノルガ達にはそれで十分だった。

 

「俺のターンで無理して態々攻め込まなくても、兄貴のターンでリーフシードラは回復して、アタック。お前等はそれで終わりさッ!」

 

ディアボリカマンティス一体のみでは攻め手が足りないものの、ノルガの言葉通り、今は場を整えるだけでも戦略としては万全。

 

「ほら、次はお前の番だけど、どうせ何もしないんだろ? それともこの状況を変えるだけの事ができんのかよ?」

 

ターンを終え、続くドレイクのターン。間違いなく、ここが勝敗の分かれ目を決める。

 

 

────第11ターン、ドレイクside。

 

[Reserve]10個。

[Hand]10枚。

[Field]魔界皇龍ダークヴルムレガリアLv.3(4)BP11000、キャメロットポーンLv.1(1)BP1000、ソウルホースLv.1(1)BP1000。

 

「メインステップ、恐竜同盟アクロカントレックス、召喚ッ!」

 

呼び出したスピリットは、地響きのような足音を立てながら、紅蓮の炎をその身に宿して進撃する一体の恐竜、アクロカントレックス。

 

「ようやくスピリットの召喚かよ、けど今更過ぎるぜ」

「……そう思うか?」

「!?」

 

ノルガ達に対し初めて強気な態度で大胆不敵に笑って見せ、その様子に今まで余裕だった顔色を変える。

 

「マジック、ダイノパワーを使うぜ。効果でアクロカントレックスのBP+3000し、このターン、相手スピリットかアルティメットに指定アタックできる。アクロカントレックス、行けッ!」

 

ドレイクの指示にアクロカントレックスは天に向かって咆哮を響かせ、そのまま前進するように大地に足跡を刻みながら駆け出して行く。

 

「アクロカントレックスでリーフシードラに指定アタックだッ!」

「今更ソイツ一体で何ができる! それにBPはリーフシードラが上なんだぞ?」

「関係ねぇよ、今更な」

「何!?」

「ご自慢のキースピリットも、お前等自身も全部ぶっ潰してやる。その為の準備なら、全部揃ってんだよッ!!!」

 

憤怒を込めるかのようなその迫力に、ノルガ達は初めて恐怖を覚え、畳みかける様にカードを構える。

 

「アクロカントレックスのフラッシュ効果発揮! 俺のアタックステップ時、手札の地竜を持つカードを煌臨元として追加する事で、煌臨時効果を発揮させる!! 一枚目、恐竜同盟ステゴラールを煌臨元に追加!」

 

対象のカードのアクロカントレックスに追加した瞬間、眼光を輝かせてその身の炎を燃え上がらせると、炎を灯った牙を大地へと突き立て、突如として地面伝い、ディアボリカマンティスの足元から巨大な火柱が噴き上げ、炎に飲まれたディアボリカマンティスは一瞬にして焼却されて、炎の中で消滅してしまう。

 

「なッ!? 俺のキースピリットが!!?」

「て、テメェ、何をしやがった!」

「これがアクロカントレックスの効果だ、煌臨時効果で相手のBP10000以上のスピリットを破壊できる。そら、次行くぞ。フラッシュ効果!」

「ま、まさか……ッ!!」

「二枚目、恐竜同盟迅雷のエレクトロサウルスを追加だッ!!」

 

再び発動するアクロカントレックスの効果、炎の牙を再度大地へ突き立てると、今度はリーフシードラの足元から噴き出す火柱。高温の炎に身を焼かれ、黒焦げとなった体は地面へと伏し、大爆発を起こし、爆風から飛び出るウスバカゲロウは虚しく地面へと突き刺さる。

 

「あ、兄貴のキースピリットが」

「き、貴様これを狙ってたのか!」

「……いいや、俺の狙いはまだその先だ」

「?」

「俺のターンは終わってねぇ。アクロカントレックスのフラッシュ効果!」

「まだ続ける気か!?」

「三枚目、暴双龍ディラノスを煌臨元に追加!」

 

アクロカントレックスは強く吠え続け、「さらに!」と残る手札を構えて行く。

 

「フラッシュ効果を連続で使わせてもらうぞ! 四枚目、恐竜同盟鉄面のダスプレトン。五枚目、恐竜同盟鎧角のドレッドロサウルス。六枚目、ブラックウォーグレイモン。七枚目、恐竜銃ダイノロックガンを煌臨元に追加ッ!」

 

際限なく煌臨元のカードを追加し続け、アクロカントレックスはなおも強く吠え立てる。そして、ドレイクは残る最後の一枚のカードを構える。

 

「敵を砕け! 壊せ!! ぶっ潰せッ!!! 本能のままに蹂躙し尽くせッ!! 暴双恐竜スーパーディラノス、アクロカントレックスに煌臨しろォッ!!」

 

怒号と共に、アクロカントレックスの身に纏う炎が全身を燃え上がらせ、灼熱の炎の中、アクロカントレックスの体はより巨大に、強大に変化させ始め、炎の中で咆哮を轟かせると、炎は即座に掻き消され、そしてあまりに強大な咆哮はバトルフィールドだけでなく、会場中に強く響き渡る。

 

「これが、ドレイクのキースピリット」

 

その迫力は今まで使っていたダークティラノザウラー達を遥かに凌駕していた。獲物を狩るかのように殺意を向けるスーパーディラノスにその場の全員が圧倒される様に言葉を失ってしまう。

 

「スーパーディラノス、終わらせろ!」

 

地面に虚しく突き刺さったウスバカゲロウを引き抜き、刃の切っ先を片手で握ると、そのまま力を籠め、ウスバカゲロウを粉々に握り潰し、破壊してしまう。

 

「ぐッ! だがそいつのアタックはそれで終わりだろ!」

「あぁ、けどこれで充分だ」

「何?」

「スーパーディラノスのバトル終了時効果発揮、コイツの煌臨元のカード1枚につき、相手ライフを破壊する」

「煌臨元のカード、それじゃあ……!!」

 

全てを察したようなソルガ達に対し、ドレイクは静かに拳を握り、親指を下に突き立てる。

 

「消えろ、弱者ッ!」

 

ノルガ達の目の前まで迫ると、展開されるバリアを両腕で掴み、爪を突き立てながら零距離で二頭の口から繰り出す獄炎でバリアを一気に焼き尽くす。

 

「「うわあああああぁぁぁぁぁーーーーッ!!!」」

 

叫びと共に全てのライフを一度に破壊し、ゲームエンド。

 

 

***

 

 

『決まりましたぁーーッ!! 一回戦第一試合、まさかまさかの大逆転! 烈我&ドレイクチーム、見事に初戦突破だぁーーッ!!!』

 

実況共に湧き上がる歓声、歓声に対してドレイクはつまらなさそうな態度を見せるが。

 

「やったぜ!! ドレイク、一回戦突破だ!!」

「なっ!? テメェ!!」

「信じてたぜ。お前なら状況を変えてくれるって、けどあの状況から一気に逆転とか、すっげぇ驚いたぜ!」

 

感極まったように勝利に喜び、勢いのままドレイクと肩を組む烈我だが、「ふざけるな!」と苛立つ様にすぐさま烈我の手を振り払う。

 

「勘違いすんな、テメェがどう思おうが関係ねぇ、俺は俺のバトルをしただけ」

「お前まだそんな事言う気かよ」

「当然だ、テメェと俺は敵同士。なのにテメェとタッグなんて心底反吐が出る。その事を忘れんなッ!」

 

忠告するかのように言葉を吐き捨ててその場を後にし、ドレイクに対し掛ける言葉が見当たらず、立ち去る後姿をただ見送るしかなかった。

 

 

「烈我達の奴、大丈夫かよ」

「一回戦から波乱。烈我、勝てるのか心配ですね」

「まぁあの調子じゃこの先の試合は難しいだろうな」

 

冷たいようなミナトの言葉、でも実際その通りだった。お互いの協力が必要不可欠なタッグバトルにおいて、チームワークの乱れは致命的。ミナトの言葉に烈我に対する不安が募る。

 

「まっ、今は俺等もあいつとはライバルなんだ。他人ばかり気にしてられねぇ」

「……そうですよね」

「この大会、俺も少し面白いと思ってきた。是非とも優勝目指そうぜ」

「はい!」

 

ミナトや星七もまた思いは優勝のみ。様々な思惑や野望が犇く中、果たして誰が優勝を手にするのか、タッグバトルでの大会はまだ始まったばかり。

 

 




第10話更新!
今回はまさかのタッグバトル!!
そしてその相手は敵であるドレイク!! 
ドレイクも書いてて好きなキャラなので、特殊なルールではありますが、存分に活躍させられて楽しかったです。


タッグバトルについては公式やアニメでもやっていた筈ですが資料が無い為、あやふやで詳しくは明記されてなかったのでそのあたりは独自解釈で設定します。主なルールしてまとめると以下の通り。

・フィールド、コア、ライフはチームで共有。
・バーストゾーンはチームで一つのみ。
・ライフはチームで合計8つ。
・スピリットやネクサス等によるサポート効果は使用者のスピリットだけでなく味方のスピリットも対象に含める(例:「暴双龍スーパーディラノス」、「リブートコード」等)
・ブレイヴは条件を満たす自分か、味方のスピリットに合体可能。
・リフレッシュステップ時、回復するのは現在ステップを行っているプレイヤーのカードのみ、味方のカードは回復しない。
・デッキアウトの場合、デッキアウトしたプレイヤーをゲームから脱落とし、残ったプレイヤーのみでゲームを続行。チームの両者デッキアウトした場合はチームの敗北とする。


ルールはこんなところですかね、かなり昔のルールなので気になる点など指摘してもらえれば幸いです。
タッグバトル編、まだまだ続きますが是非次回もよろしくお願いします!

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