バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第11話【龍皇の戦】

『決まったぁーーッ! 激しいバトルを制したのはミナト選手と星七選手のタッグッ!! 次回戦へ進出だ!!』

 

会場中を響かせる司会の実況と観客達の歓声。勝者となったミナトと星七の二人は互いに喜ぶ様にハイタッチ。対戦相手のチームとも挨拶を軽く交わして悠々と観戦席へと戻って行く。

 

「あっ! おーい、ミナト! 星七! こっちこっち!!」

 

先程の試合を見ていたように既に席には烈我とヘルも居合わせ、二人も烈我に気付くと手を振りながら、その場へ合流する。

 

「よぉ、烈我。応援してくれてたんだろ? サンキュー」

「まぁ。勝ち残ってくれたらこの先お前等と戦えるかもしれないし、お前等と久々に戦えるかと思うと俺すっげぇワクワクしてるからさ」

「楽しみなのは僕も同じです。僕も烈我と戦いたいです、けど」

 

ミナトも星七も烈我に対する懸念は一つだった。

 

「大丈夫なんですか? だって烈我のタッグは」

「罪狩猟団の一人。よりにもよってあいつとタッグを組む事になるなんてな」

『(そうだぜ、それに今回は俺も参加できねえんだ。本当に大丈夫か?)』

 

ミナト達だけでなく、バジュラもまた心配するように小さく顔を出し、他の観客に気付かれないよう小声で言い放つが、それでも烈我の答えは変わらない。

 

「誰がタッグでもやるからには勝ちたい。目の前の勝負から今更降りる訳には行かねぇし、ともかく俺はやり切るぜ!」

「はは、烈我君らしいね。まぁおじさんも今回は観客だけど、何かあったらサポートするからいつでも頼ってね?」

「はい! 頼りにしてます!」

 

ヘルに対して笑顔を向けながら答えるが、唯一ミナトは何かが気になってるように辺りを見回す。

 

「おい、肝心のタッグパートナーは?」

「…………実はさ」

 

「バトルでもない時までテメェと一緒にいるのは死んでも御免だ」、それがドレイクの言葉だった。自分達のバトルが来るまでは完全に別行動する意思を徹底していた。

 

「お前、やっぱタッグ相性に関しては前途多難すぎるだろ」

「はぁー、やっぱそう思う? お前はいいよな、星七と組めて」

「お前と違って俺等はチーム相性に関して不安はねぇさ。まぁ不安があるとすれば、お前等に限った事じゃねぇけど」

 

気掛かりはまだ残る。モニタに書かれてる各個人のタッグチームの名簿を見ながら、小さく呟いた。

 

 

***

 

 

「じゃあ、洗い浚い全部話してもらえるか?」

 

一方でマチアと組んでいる光黄はというと、控室でマチアに関する疑心感を拭う為、まるで尋問するかの様に面と向かっての質問。

 

「話せる範囲でね。まず何から聞きたい?」

「一つ目、お前は罪狩猟団の仲間なのか?」

「いいや、あいつ等とはあくまでお客としての関係。情報の詳細は省くけどあいつ等のボスに売ったのは主に七罪竜について」

 

一切表情を変える事なく、冷静に話すマチア。第一印象として嘘をついてる様子はないが、それが本当か嘘かを判断するのはあくまで光黄自身。

 

「……今、御客の一人としてボスって言ったけど、ならあの男、ヴァンって奴はどうなんだ?」

「!」

「前に俺達に対して言ったよな? あの男も大事な顧客の一人だと。わざわざトップと通じてるなら、組織の一人に個別で取引する必要はない。どういう関係なんだ?」

 

質問に対して、間を置きつつもそれでも彼女は以前顔色を変える様子はなく。

 

「まぁヴァンは特別贔屓してるお客だからね」

「どうして?」

「だってアタシ、ヴァンの事好きだし」

「は?」

 

予想もしていない返事に思わず呆気に取られた様な声が出た。すぐに気を取り直して「真面目に答えろ!」と諫めるが、彼女はそれでも冷静な態度のままだった。

 

「別に冗談で言ってる訳じゃない。少なくともアンタなら、分かってくれると思ってたけど?」

「何で俺が?」

「だってアンタも好きな人がいるんだろ? 一緒にいたあの男」

「なっ!? 俺は別に烈我の事なんて何とも!!」

「アタシ、まだ誰か何て言ってないけど」

「!!」

 

「ただの勘だったんだけどね」と軽く笑い、鎌を掛けるかのようなマチアの問答、思わず表情が赤く染まるが顔色を隠す様に首を振りながら、慌てて冷静さを取り繕う。

 

「俺を馬鹿にしてるのか!!」

「気を悪くしないでよ、ただアンタならアタシの気持ち、分かってくれると思っただけだよ」

「俺とお前を一緒にするな。俺はそもそも自分より弱い男に興味はない!」

「それはまた強気だね。まぁいいや、ともかくアタシがヴァンに協力するのはそういう訳。って言っても、アイツが欲しがる情報はエヴォルグランドについてだけだけどね」

「! 確か元所持者だったな」

 

エヴォルという言葉に光黄もまた顔色を変え、確認するように言い、彼女の言葉にマチアも頷く。

 

「単純に強大な力、アイツが求めてるのはいつもそれだけさ」

「……強大な力、それが欲しいと思う気持ちは分からなくもないが」

「カードバトラーはみんなそうさ。強くなりたいと思うなら、その為の手段があるならどこまでも欲する。ましてヴァンはその力に一度触れたんだ。だとしたらもう一度それを手にしたいと思うのは人の性さ」

「…………」

 

マチアの言葉にどこか納得するように聞き入っていた。自分も烈我達も大なり小なり強くなりたいという気持ちはある。そしてエヴォルを始めとする七罪竜達に強大な力があるのもまた事実、それは七罪竜の一体であるライトを手にし、使用している光黄自身も理解している。

 

「あの男の目的は分かった。けどお前は、七罪竜についてどこまで知ってる? それと、罪狩猟団はそれを求めてどうしたいんだ?」

「七罪竜についてならアタシもそこまで知ってる訳じゃない。そもそもこのスピリッツエデンでも、ほとんどの奴が七罪竜の名前すら知らない。アタシも奴等に自分が知ってる程度の情報は渡してるけど、目的については詮索しない」

 

最後に「その方が安全だからね」と付け足して言い放つ。必要以上に関われば自分の身も危ない事はマチア自身も理解できていた。そして身の危険を気にするという事は、罪狩猟団と仲間でないというマチアの言葉は信用に足りる。

少しだけマチアに対して警戒心を解き、それを彼女も察したのか「話は終わりだね」とその場から立ち上がる。

 

「そろそろアタシ達の番も近いし、行った方がいいんじゃない?」

「……そうだな」

 

控室を出て通路を歩く二人だが、通路の向い側よりこちらに向かって歩くドレイクの姿が。

 

「お前は!」

「……あぁ、確かライトボルディグスの所持者か」

「黄空光黄、だ」

 

光黄に対して、興味がなさそうに言葉を吐き捨てるが、そんな態度にも一歩も退く事はなく、名前で呼べと言わんばかりに言い放つ。

 

「知るか、お前等に興味はねぇ。ライトボルディグスの所持者、それで十分だ」

「無礼な奴だ。それより烈我はどうしたんだ?」

「知るか、一々あんな野郎と連るんでられるか」

 

忌々しそうなドレイクだが、そんな彼の様子に一つ疑問が浮かぶ。

 

「そこまで烈我を疎ましいと思うなら何でバトルを続けてる? そもそもこの大会に参加した理由は何なんだ?」

「お前にそこまで話す義理、ねぇだろ?」

 

互いに鋭い目付きで睨み合う中、そこへ。

 

『おいおい、悪党が可愛い女の子相手に何してんだ?』

 

光黄達の後方から声を掛ける二人組、赤髪に不良っぽい見た目の目立つ男が声を掛け、もう一人は眠そうに欠伸をしながら壁に凭れて静観する銀髪の男性。

 

「悪党? 俺の事言ってんのか?」

「あぁ、そうさ。罪狩猟団幹部、帝騎のドレイクさん」

「!」

 

七罪竜と同じく罪狩猟団の組織についても知ってる者は限られる。自分達の組織の名を口にする赤髪の男に、ドレイクも警戒心を抱くように表情をより鋭くさせる。

 

「何者だテメェ」

「ハッ、傷付くな。この辺じゃちったぁ名の知れたカードバトラーなんだがな」

「テメェ何か知るか、少しぐらい名が知れてるからって、調子に乗るなよ?」

「調子に乗ってたらどうなんだ、女子相手に手荒な事やるような輩に負ける気はねぇぞ?」

 

今にでも闘り合うかのように構える二人だが、「ちょっといい?」と手を上げて割って入るように二人に声を掛けるマチア。

 

「アタシ等別に手荒な事された訳でも、絡まれてた訳でもないよ? 寧ろ声かけたのはこっちの方だし」

「えっ!? そうなのか?」

 

マチアと同じく光黄も相槌を打つ様に頷き、それを見て赤髪の男はデッキを収める。

 

「もしかして俺の勘違いだったか、だとしたら悪かったな」

「ケッ、くだらねぇ」

 

そう言葉を吐き捨てると、マチア達を通り過ぎて立ち去って行き、その後姿が見えなくなるのを確認すると、視線をマチアと光黄の二人に向ける。

 

「あぁー、何か邪魔したみたいで悪かったな。どうにも放っておけなくて」

「……まぁ気持ちだけ受け取る。気遣ってくれて礼を言う」

「はは、まぁさっきの様子を少し見てたが、女だてらに中々肝が据わってるみたいじゃねぇか」

「女だてらは余計だ」

 

光黄の様子に笑いながらも「そいつは悪い」と素直に謝る。

 

「自己紹介が遅れたな、俺の名はエンザ。そこの奴は俺のタッグ相手のヒョウガだ。よろしくな」

「エンザとヒョウガって確か」

 

何かに気付いたようなマチアの様子に、エンザと名乗る男は口角を上げる。

 

「あぁそうさ、次のお前等と対戦するチームさ」

 

エンザ達は既に光黄とマチアの達の事を周知しており、ここに来ていた目的も何となく察せた。

 

「そうか。じゃあここに来たのは敵情視察って訳か」

「最初は挨拶だけでもと思ってたが、あの場面にたまたま出くわしたって訳だ」

 

全てが偶然という訳ではなかった。笑いながら話すエンザだが、「それにしても」と付け足し、言葉を続ける。

 

「罪狩猟団は黒い噂が絶えなくて警戒してたんだが、その幹部相手に一歩も引かないなんて、見所あんじゃねぇか」

「(まぁマチアはそもそもその罪狩猟団と商売してた訳だしな)」

 

エンザの言葉に隣にいるマチアを一瞥するが、マチアは気にする様子はない。

 

「気の強い女は嫌いじゃない。一つ聞きたいんだがアンタら二人、好きな奴っているのか?」

「!?」

 

エンザの質問に動揺を隠せない様子の光黄だが、それとは逆に予想外なエンザの質問にもマチアは冷静なまま、「アタシは片思いだけど一応」と若干棒読みで返事。

 

「そりゃ残念。ならアンタは?」

「お、俺はr───」

「その娘なら、生憎自分より弱い男には興味ないんだってさ」

「!!?」

 

勝手に自分の返事を意図しない形で代弁するマチアに、怒りを覚える様に鋭い目付きで睨むが、悪戯っぽく舌を出しながらわざと光黄から視線を外す。

 

「ハハハハハ!! 益々気に入ったぜ、黄空光黄だったな。俺はアンタに惚れたぜ」

「はぁっ!?」

 

マチアの言葉を本気と受け取ってしまったのか、動揺する気持ちを他所に彼女の手を掴む。

 

「次の試合でもし俺達のチームが勝ったら、俺の女になってくれるか?」

「ちょ、ちょっと待て! 俺は!!」

「勿論俺は負ける気はねぇ。バトルに勝って、改めてお前に告白するぜ!」

「だから待てって────!」

 

「それじゃあな」と光黄の言葉を一切聞かずにその場を後にするエンザ。まるでどこかの誰かのようにデジャヴを感じていた。

 

「かったりぃ話は終わったかよ。エンザ」

 

先程まで壁に凭れていたヒョウガもエンザにすぐ後ろに続くように歩くが、尋ねるその声は欠伸交じりに気怠そうな様子だった。

 

「お前、また寝てたかよ」

「まだ寝足りねぇよ。眠くて眠くてしょうがねぇ」

「どんだけ寝りゃ気が済むんだ」

「るせぇ、とっとと勝って早く寝かせろ」

「全く、そんな考えの癖に何でこの大会に参加したんだか、まぁ理由なんざ人によって無数にあるだろうけどな」

「分かった風なこと言いやがるが、お前は何で参加してんだ」

「俺は自分の腕試しが出来りゃあそれでよかったんだが、少なくとも次の試合、是が非でも勝ちたくなった」

「ほぉ、やけに気合入ってんじゃねぇか?」

「まぁな、だからお前もとっとと眠気覚まして本気でバトルに付き合ってくれよ」

「手加減する事はねぇさ。誰だって勝ちたいのは一緒だからな」

 

最後にまた大欠伸しながら。

 

「それと眠たいって事も」

「いい加減にしろ、寝坊助」

 

 

***

 

「お前、どういうつもりだ! 勝手にあんな事言って!」

 

一方で当然先程のマチアに対して立腹。相手が相手とは言え、切っ掛けを作ったのは彼女なのだから当然だ。

 

「別にアタシは嘘言った訳じゃないでしょ」

「それは────!」

「それとも、他に好きな人でもいた?」

「!」

 

揶揄うようなマチアの言葉にまた表情を赤くしつつ、「いい加減にしろ!」と否定の意味を込めて、話を切り終える。

 

「まぁ何にしてもこれで負けられなくなったね。勝つ為にも意地でも団結しないと」

「お前、ひょっとしてそれが狙いでわざと?」

「どうだろうね」

 

相変わらずマチアの考えは読めないが、彼女は逆に不安を感じる光黄の心情を察してるように「安心しなよ」と声を掛ける。

 

「タッグバトルだから勿論協力するし、何よりこう見えてアタシ、強いよ?」

 

絶対的な自信に溢れる様な言葉。ハッタリではなく、自信にあふれる彼女の言葉はタッグとして心強い。だがそれとは別に、もし敵だったらという考えが頭を過る。

 

「(多分ここまででコイツの言葉に嘘はない。味方としては安全、けどもし戦う事になったら、相当厄介だな)」

 

薄れていた警戒心を再び強く抱きつつ、二人も試合が始まるステージへと移動する。

 

 

***

 

 

『さぁさぁ、1回戦最後を締めくくるのはこのチーム! エンザ&ヒョウガチームVSマチア&光黄チーム!! 両選手ステージへどうぞ!」

 

先にステージに上がったのはマチアと光黄の二人。並んで歩く彼女等だが、マチアの姿を見るなり、烈我は見覚えがあるように「あっ!」と声を上げる。

 

「あいつ! この前あのヴァンって奴と一緒にいた奴じゃん!」

「ほんとだ。女二人、随分華のあるチームじゃんか」

「んな呑気な事言ってる場合か、光黄に何かあったらどうすんだよ!!」

 

不安で仕方がないという様子の烈我だが、ミナトは「大丈夫だって」と肩を叩きながら落ち着かせる。

 

「光黄ちゃんならお前よりしっかりしてるから平気だっての。チーム組んだ以上、当然相手の事も調べる。お前が思ってる以上にしっかりしてるぜ」

「俺よりってのはどういう意味だよ!」

「あんまり心配すんなって意味さ。それにあのマチアちゃんって子も美人だしな」

「お前結局そればっかじゃねぇか」

 

ミナトに対して呆れる様子の烈我だが、そんな烈我を押しのける様に『そうですよね!』と共感するライト。

 

「はは、やっぱお前ならわかってくれると思ってたぜ」

『ミナトさんこそお目が高い! 光黄様とそのコンビもまた綺麗な美人のマチア様! 美しい二人のコンビは見てて目の保養ですとも!』

「同意だねー。可愛い子ちゃんのバトルなら見てるだけでも充分楽しめる」

「『この色欲魔共』」

 

意気投合するミナトとライトだが、そんな二人に対し、烈我とバジュラは軽蔑するように言葉を吐き捨てる。

 

「まぁまぁ落ち着いて。バジュラ達もこの騒ぎなら多少は目立つ事は無いけど、それでもあまり大騒ぎしないように!それと、烈我君も応援しなくっていいのかい?」

「そうだった! ともかく全力で応援だ! 光黄、頑張れーーッ!!」

 

ヘルに諭され、歓声に負けない程声を張り上げて叫ぶ烈我。一方で光黄達の対戦相手となるエンザとヒョウガの二人もステージへと上がり、二人の姿に観客達もさらにヒートアップ。

 

『今大会優勝候補として名高い二人! この場を改めて紹介しましょうッ!! 龍の如く怒涛の攻めを誇る赤使いエンザ選手、そのタッグとなる相手は白き鉄壁の防御で眠れる獅子と呼ばれるヒョウガ選手! 二人の個人戦績は常に大会上位を独占! そんな二人が今大会ではタッグとなり、このバトル是非見逃せないぞッ!!』

 

優勝候補とまで言われる二人、スピリッツエデンの事について詳しくない光黄にとっては当然知る由もないが。

 

「おい、優勝候補って、お前そんな事一言も」

「だって聞かれない事にまで答えられないからね」

 

情報を扱うマチアが二人の事を知らない筈がない。やはり知っていたように少しも悪びれずに答える。

 

「もしかして相手の実力を知って、勝つ自信無くした?」

「嫌、誰が相手だって関係ない。勝つだけだ」

「それでなきゃね」

 

気を引き締める様に互いに真剣な表情で目の前の相手を見据える二人。だがエンザは光黄と目線が合うとまた笑いながら。

 

「よぉ、さっきの約束覚えてるよな」

「お前、やっぱり本気だったのか?」

「当然! 俺はいつだって本気だ。お前に勝って告白してやる!!」

「(やっぱりデジャヴ、だな)」

 

エンザに対してデジャヴを強く感じ、バトル前から少し疲れた様に溜息を零すが、観客席でエンザの言葉を聞いてる烈我達とは言うと。

 

「あいつ……! どういうつもりだよ!! 初対面の癖にあんな事言いやがって!」

『そうですよ! 私が参加できないの良い事に!! あんな男、絶対認めませんよ!!』

 

「お前等こそ似たようなこと言ってんじゃねぇか」

『だな。似た者同士の馬鹿共だよ』

 

立場が逆転するように今度は烈我が意気投合してライト共に嫉妬に似たような感情を滾らせるが、その様子にやれやれと呆れ気味のミナトにキラーも二人を見下すように呟く。

 

「(烈我もミナトも同じような事言ってますね)」

『(儂から言わせれば誰も彼も似た者同士の大馬鹿じゃ。星七はあぁなっちゃ行かんぞ)』

 

窘めるようなエヴォルに星七は苦笑いで返しつつ、間もなく始まるバトルを前に全員気を取り直す様にステージへと注目する。

 

『さぁさぁそれでは早速バトルに参りましょう! 両チーム! 宣言をお願いいたします!!』

「「「「ゲートオープン! 界放ッ!」」」」

 

 

***

 

 

────第1ターン、エンザside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「一番手は俺からだ! 南蛮武者ハクライをLv.2で召喚ッ! さらにバーストセット!」

 

開始早々声高らかにスピリットを呼び出し、現れるは刀を出陣の時を持つ、ハクライ。準備を終えてすぐさま「アタックステップ!」と宣言し、ハクライは眼光を輝かせる。

 

「アタックステップ開始時でハクライにソウルコアが置かれていればデッキから1枚ドロー! これで俺はターン終了だ」

 

 

────第2ターン、光黄side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

 

「メインステップ、クダギツネを召喚、さらにそのクダギツネからコストを確保して、黄色の聖遺物をLv.2で配置だ」

 

呼び出したばかりのクダギツネはコアを失って破壊されるが、その対価として出現するネクサス。それ以上使えるカードは無い為、ターンを終える。

 

 

────第3ターン、ヒョウガside。

 

[Reserve]3個。

[Hand]5枚。

[Field]南蛮武者ハクライLv.2(2)BP3000。

 

「ハクライをLv.1にして、ノーザンベアード(RV)を召喚。ふあぁ~眠い、俺はこれでターン終了するぜ」

「おいおい、俺のタッグならもう少しやる気出せっての」

「自分は役目はしっかり果たすさ。攻めはテメェに任せるよ」

 

エンザの赤デッキに対し、ヒョウガのデッキは白。攻めと守りに特化した色はタッグ相性としては申し分ない。

 

 

────第4ターン、マチアside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

[Field]黄色の聖遺物Lv.2(2)。

 

「アタシの番だね。こっちもネクサス、No.36アイランドルートを配置。配置時効果で1枚ドローするよ」

 

効果によりドローしたカードを手に取ると、そのまま静かにターンエンドとコール。全員ターンを終えるが、ここまで動きはない。

 

 

────第5ターン、エンザside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

[Field]ノーザンベアード(RV)Lv.1(1)BP5000、南蛮武者ハクライLv.1(1)BP2000。

 

「どっちの場にもネクサスが一枚ずつ。サポートに徹して、こっちの出方を覗ってるみたいだな」

「ならわざわざこっちから手の内を見せる必要はねぇ、こっちものんびりしてようぜ」

「一々自分が寝たい口実にするんじゃねぇよ」

 

まだ寝惚ける様なヒョウガに対して一喝を入れながらも実力者と言われるだけあって、状況判断は的確だった。だが相手の狙いが分かってなおそれを超えてゆくのが己の心情。

 

「相手が何だろうが関係ねぇ、出方を覗ってるのなら上等、赤バトラーとして怒涛の攻めを見せてやるよ! イクサトカゲと鬼武者ライザンを連続召喚だ!」

 

さらにスピリットを呼び出してそのままアタックステップを宣言すると再びハクライの効果でデッキから1枚ドロー。

 

「まずはイクサトカゲでアタック!」

「黄色の聖遺物、Lv.2の効果発揮! 俺のデッキからカードを1枚オープンし黄色のマジックカードなら俺のライフは減らない」

 

突っ込むイクサトカゲがバリアへと飛び掛かる瞬間、空中で停止するように動かなくなり、そしてオープンされたカードを手に取る。

 

「パニックヴォイス、黄色のマジックなら俺のライフは破壊されない」

 

ネクサスの効果によりイクサトカゲはその場から弾き飛ばされて攻撃を阻まれる。

 

「続け、ハクライッ!」

「黄色の聖遺物の効果!」

 

太刀を引き抜いてバリアに切り掛るが、再びネクサスの効果によって停止し、オープンされたカードは「ウイングブーツ」、黄色のマジックの為、ハクライもまた弾き飛ばされ攻撃は失敗に終わる。

 

「まだだ鬼武者ライザンでさらにアタック! アタック時効果で1枚ドローするぜ!」

 

デッキから再三カードがオープンされるが、「ガトーブレパス」。今度は黄色のマジックではない為、ライザンの攻撃は成立。バリアを刀で両断し、破壊する。

 

「ここまでアタック仕掛けて、削れたライフは一つ。相当厄介なネクサスだな、俺はターンエンド」

 

 

────第6ターン、光黄side。

 

[Reserve]6個。

[Hand]7枚。

[Field]黄色の聖遺物Lv.2(2)、No.36アイランドルートLv.1(0)。

 

「ガトーブレパスをLv.2で召喚! アタックだ、ガトーブレパスッ!」

 

出現したばかりのガトーブレパスに攻撃の指示を送ると、鳴き声を上げてそのままエンザ達へと突っ込む。

 

「ヒョウガ、守りはお前の仕事だろ? 頼んだぜ」

「ふぁ~、多分防げねぇと思うがな。まぁいい、ノーザンベアード、ブロックしろ」

 

何かを予期しているのか、意味深に呟くヒョウガ。ひとまずノーザンベアードが威嚇するように立ち上がり、ガトーブレパスの行く手を阻む。

 

「ブロック時効果でボイドからコア1個追加、Lv.2にアップだ!」

 

レベルが上がったことでBPは8000、ガトーブレパスのBPを大きく上回る数値。ノーザンベアードはガトーブレパスに向かって、爪を振り下ろす。

 

「フラッシュ、ウイングブーツ!」

「(やっぱりな)」

 

ウイングブーツの効果はスピリット1体を指定し、指定スピリットがブロックしたスピリットのレベル以上の時、ブロックされなかったものとして扱う。

ノーザンベアードとガトーブレパス、どちらもレベル2。ブロックされなかったものとして扱われ、背に翼がさらに追加されると、ノーザンベアードを大きく飛び越えて、そのままバリアにぶち当たる。

 

「ぐッ!」

「ちッ!!」

 

ライフを破壊し、ガトーブレパスはその成果を持って黄色のオーラを纏う。

 

「【聖命】発揮、俺のライフを一つ回復だ」

「こっちだってライフ減少時でバースト! 覇王爆炎撃!!」

「!」

「ガトーブレパスは破壊するぜ!」

 

削られたライフを再び回復しライフ差を逆転させるが、ただでは転ばない。バースト効果でガトーブレパスは炎によって破壊され、それ以上の攻め手はなくターンエンド。

 

 

────第7ターン、ヒョウガside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

[Field]ノーザンベアード(RV)Lv.2(2)BP8000、鬼武者ライザンLv.1(1)BP4000、南蛮武者ハクライLv.1(1)BP2000、イクサトカゲLv.1(1)BP1000。

 

「ノーザンベアードをLv.1にダウン、機巧武者シラヌイを召喚だ」

 

吹き荒れる猛吹雪、中心に位置するダイヤモンドが周囲の吹雪を取り込み、ダイヤモンドは砕けてその内部より現れるシラヌイ。

 

「さて、守りはこれで万全だが下手にアタックしても、手札を増やされるだけだし駄目そうだな。ターンエンド」

 

 

────第8ターン、マチアside。

 

[Reserve]7個。

[Hand]6枚。

[Field]黄色の聖遺物Lv.2(2)、No.36アイランドルートLv.1(0)

 

「魔界七将ベルドゴールをLv.2で召喚、召喚時効果でコスト4以下のノーザンベアードのコア1個をリザーブに送る」

 

異形な姿をした狩人、魔界七将の名を持つベルドゴールは獣のような腕をノーザンベアードに向けると、維持コアを失いノーザンベアードはその場から消滅。

 

「Lv.1の時を空かさず狙れわれたか」

「当たり前でしょ、超装甲とか厄介なんだし。これでターンエンド」

 

 

────第9ターン、エンザside。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

[Field]機巧武者シラヌイLv.1(1)BP5000、鬼武者ライザンLv.1(1)BP4000、南蛮武者ハクライLv.1(1)BP2000、イクサトカゲLv.1(1)BP1000。

 

「エンザ、この調子じゃ幾ら攻めたって拉致あかねぇぞ?」

「分かってる、だからここから攻め方を変えてくぜ!」

 

手札の一枚を構えて、そして叫ぶ。

 

「戦は華! ド派手な華を今ここに飾れッ! 戦皇ゴッドスレイヤードラゴンを召喚だぁッ!!」

 

左右に展開するように地面より噴き上げる巨大な二つの火柱、だがその中央でより巨大な三つ目の火柱が噴き上げたかと思うと、炎より飛び出す龍の姿────ゴッドスレイヤードラゴン、そのまま左右の火柱に手を突っ込んで、大剣と大盾を炎より引き出し、轟音を立てながら大地へと降り立つ。

 

「へぇー、神殺しの龍ね」

 

興味深そうにその姿を見つめるマチアと警戒するように構える光黄の二人だが、どちらも決して怯む様子はなくそんな二人の態度にエンザも口角を上げる。

 

「俺の自慢のスピリットだ、その雄姿、是非目に焼き付けてもらうぜッ!! ゴッドスレイヤードラゴン、行きなァッ!」

 

攻撃の宣言と同時に眼光を輝かせ、黄色の聖遺物に向かって剣を投げつけると、剣は聖遺物に深々と突き刺さり、大爆発を起こしながら崩壊し、爆風から吹き飛び舞い戻る剣を再び手に持つ。

 

「アタック時効果でゴッドスレイヤードラゴンは相手ネクサス1つを破壊できる。さらにこの効果でネクサスを破壊すれば回復だ!」

「ベルドゴール、ブロックして!」

 

ゴッドスレイヤーに飛び掛かり、獣の腕を振り下ろすが構えた大盾でその攻撃をシャットアウトし、防いだ大盾でベルドゴールを直接鈍器のように殴りつけると、地面に減り込む程に叩き伏せられ、その場で爆発四散し破壊される。

 

「ゴッドスレイヤーで再アタック、アイランドルートを破壊し回復だ!」

「フラッシュタイミングでパニックヴォイスを使用! シラヌイを疲労させる!」

「!!」

「攻撃はシラヌイで受けてもらうぞ!」

 

勢い付く様に吼え、さらに進撃するゴッドスレイヤードラゴンだが突如進撃するその足を止め、後方にいるシラヌイに視線を向けたかと思うと、敵意を向ける様に剣を構え、シラヌイもまたその場から立ち上がって太刀を構えると、そのままゴッドスレイヤードラゴンへ切り掛るが、応戦するように自身も剣を振るい太刀を受け止め、力で上回るようにシラヌイを弾き返す。

後退するシラヌイに追撃を掛けるかのように火炎放射を浴びせ付けるが、自慢の装甲は炎を一切通さず、炎を完全防御。だが攻撃の意図はあくまでも目隠し。炎を隠れ蓑に接近してシラヌイを蹴り飛ばし、仰向けて突き倒され、倒れるシラヌイの胸のコアに向けて大剣を突き刺し、バチバチと電流を流しながらシラヌイはその場で大爆発を起こす。

 

「やれやれ、また俺のスピリットが破壊されちまった。Lv.2にさえなってれば」

「そしたら俺のスピリットが破壊されるだろうが、詫びなら成果で返してやるよ! それにもう相手に手はねぇ! ゴッドスレイヤーでさらにアタックだ!」

 

味方のスピリット同志による潰し合いが行われたにも関わらず一切チームワークは乱れておらず、果敢にゴッドスレイヤーを三度突っ込ませると、バリアを叩っきり破壊する。

 

「うぐッ!!」

「ッ!!」

「まだこっちにはスピリットが残ってる。フルアタックで行くぜ? イクサトカゲ、鬼武者ライザン、ハクライ、行けぇッ!!」

 

ライザンの効果でカードを1枚ドロー。三体のスピリット達は一斉にバリアに攻撃し、ライフを砕いていく。

 

『一気に勝負が動いた!! ここまで防戦一方だったエンザ&氷河選手が一気に逆襲! 光黄&マチアチームのライフを半分にしてしまったぁッ! 果たしてここからどう巻き返していくのか見物だッ!』

 

 

────第10ターン、光黄side。

 

[Reserve]14個。

[Hand]5枚。

[Field]なし。

 

「まずは創界神ラーを配置。効果で神託だ」

 

デッキから落ちるカードは「妖雷スパーク」、「イエローサン」「華黄の城門」の3枚。

 

「神託対象はなかったみたいだな」

「問題ない、手札にあるこのカードはフィールドだけじゃなくトラッシュのカードのシンボルも軽減コストに数えられる!」

「!」

 

ネクサス2枚とスピリット2体のシンボルを軽減に呼び出すスピリット、勿論その条件で呼び出せるスピリットは光黄のキースピリットを置いて他にない。

 

「来たれッ! 煌めき羽ばたく堕天の龍よ! 地に堕ちしその身を再び天へと羽ばたき降臨せよッ! 堕天神龍ヴィーナルシファー、Lv.2で召喚!」

 

空を覆う黒雲、雷鳴を届かせる空より舞い降りる龍────ヴィーナルシファー。

 

「さらにもう一体、堅獣スピンクスをLv.2で召喚! 召喚時効果でトラッシュにあるイエローサンを手札に戻す!」

「(不味いな)」

「アタックステップ! スピンクスでアタックだッ!!」

 

一気にスピンクスで突っ込み、それに歯噛みしながらエンザも対抗する様に手札を構える。

 

「フラッシュでソウルオーラを使用だ! ゴッドスレイヤードラゴンをBP+3000!!」

 

何かを予期するように使用するマジック、疲労状態のゴッドスレイヤーにパンプアップのマジックは意味がないように思えるが、態々BPを引き上げたのには理由がある。

 

「スピンクスの効果により、俺はマジックカードを一枚ノーコストで使用できる! フラッシュ! マジック、イエローサン!! BP7000以下のスピリット全て破壊だッ!」

 

ソウルコアが置かれていることによって発動されるスピンクスの効果。手札のイエローサンを発動させ、放たれる雷撃がエンザのスピリット達に直撃し、ゴッドスレイヤードラゴンを残し、場のスピリット達は全滅。

 

「ふぅー、危ねぇ危ねぇ。そう簡単にゴッドスレイヤードラゴンを打たせる訳にはいかねぇからな」

「イエローサンを見越してのマジックか。けど、スピンクスの攻撃は有効だ!」

「ライフで受ける!」

「ヴィーナルシファーも続け!」

「そいつもライフだ!」

 

二体続けてライフで受ける事を宣言すると、そのままスピンクスとヴィーナルシファーはバリアを引き裂き、残るライフは5。

 

 

────第11ターン、ヒョウガside。

 

[Reserve]11個。

[Hand]5枚。

[Field]戦皇ゴッドスレイヤードラゴンLv.1(1)BP7000。

 

「ふぁー、そろそろ目覚めて来たかな」

「今更かよ、早いとこギア上げてけ」

「まぁまぁやってやるさ!」

 

叱咤するようなエンザの言葉に頬を掻きながらバトルに意識を集中する。

 

「ブリッツラクーンをLv.2、戦騎皇ライドフェンサーLv.3で連続召喚。そろそろ俺もアタックに参加するか、ライドフェンサー、行って来い!」

 

背中のブースターを点火させ、上空に飛び出すとその場で回転し勢いを付けてバリアに強烈な踵落とし、そのままバリアを砕き、追い詰めていく。

 

「「ッ!!!」」

「ターンエンド」

 

 

────第12ターン、マチアside。

 

[Reserve]10個

[Hand]6枚。

[Field]堕天神龍ヴィーナルシファーLv.2(3)BP7000、堅獣スピンクスLv.2(3)BP6000、創界神ラー。

 

「黒嫁ドールザンシアを召喚!」

 

召喚時効果によりデッキから1枚ドローし、引いたカードに対し少しだけ表情を変える。

 

「ねぇ光黄、ルシファーとスピンクスのコア貰ってもいい?」

「何をする気だ?」

「アンタみたいに、アタシも自慢スピリットを呼び出すって訳!」

「……分かった、好きにやってくれ」

 

光黄の言葉に小さく「ありがとう」と呟き、微笑みながら手札に手を掛ける。

 

「じゃあお許しも出たし、出番だよ! 闇の糸を操り操られし狂気の人形! 細く暗きその糸で世界を躍らせろッ! 鬼神女王ジェラシックドールをLv.2で召喚!」

 

不足コストを確保し、ヴィーナルシファーとスピンクスはレベルダウンで肩を落とすがその代償として出現する闇のように広がる渦、暗きその闇より這い出るように現れ、狂気に満ちた表情でジェラシックドールは奇怪な笑い声をあげる。

 

「ジェラシックドールの召喚時効果、デッキの1枚を破棄し、それが「呪鬼」を持つカード、またはネクサスかマジックならそのコスト分相手スピリットのコアを除去できる! ゴッドスレイヤードラゴン、討たせてもらうよッ!」

 

召喚時効果に従い、デッキを破棄しようした瞬間、「待った!」とマチアを制止させるように言い放つヒョウガ。

 

「生憎守りは任されてる、勝手な事はさせられるかよ、デッキ破棄するならその前に、俺は手札から天弓の勇者ウルを召喚する! 不足コストはライドフェンサーから確保」

「!?」

 

マチアの行動を中断するように突如として現れるウル。手に持ったクロスボウで狙いを定めて撃ち抜くと、それはジェラシックドールの纏っていた紫のオーラを掻き消してしまう。

 

「ノーコストで召喚した時、このターンの間お互いのデッキは破棄できない。例え自分のデッキだろうがな」

「ッ! アタシのキースピリットの見せ場を台無しなんてやってくれるじゃない」

「ハッ、ようやく俺も目が覚めて来たんだ! ここからは本気だぜ!!」

 

そう言ったヒョウガの目は先程までの眠気で気怠そうな目付きではなかった。まるで別人のように目をギラつかせながら答えるヒョウガに、圧倒的な威圧感を感じた。

 

「さぁ攻めて来いよ! 守り抜いて見せるぜ!!」

「言われなくともそのつもりだよ、ジュラシックドールでアタック!」

 

ジュラシックドールのアタック時効果は相手は相手のスピリットを選んで破壊する効果。進撃と共に腕を翳すと紫の五芒星がエンザとヒョウガの各スピリット達の頭上に浮かび上がる。

 

「破壊対象はブリッツラクーンを選ぶ」

 

4つの五芒星の内の3つが消え、唯一残った五芒星は真下のブリッツラクーンへと降り落ち、五芒星が刻まれた瞬間、紫炎の炎がブリッツラクーンを焼き焦がし破壊。

 

「アタックは天弓の勇者ウルでブロックだ!」

 

クロスボウを構えてジュラシックドールを標的に定めて狙い撃つが、攻撃に対して糸を出現させると、放たれた矢を糸で絡め取り、その矢を操るように動かし、ウルに向けて糸で操るその矢を突き刺し破壊。

 

「……アタシはこれでターンエンド」

 

 

────第13ターン、エンザside。

 

[Reserve]10個。

[Hand]6枚。

[Field]戦皇ゴッドスレイヤードラゴンLv.1(1)BP6000、戦騎皇ライドフェンサーLv.2(2)BP6000。

 

「行くぜ! ゴッドスレイヤードラゴンをLv.3にアップ。さらにバーストセットだ!!」

 

準備を整えると、アタックステップの開始宣言とゴッドスレイヤーが咆哮を上げるのはほぼ同じタイミングだった。

 

「悪いがお前のキースピリット貰ったぜ! ゴッドスレイヤードラゴンでヴィーナルシファーに指定アタック!」

 

大きく口を開き、ゴッドスレイヤーに対して雷撃を放つが、大盾を構えて攻撃を受け止める。

 

「神殺しの本領、見せてやるぜ!! ゴッドスレイヤードラゴンの効果、「神」の名前を持つスピリットとのバトル時、BP+5000! BP合計17000だ!」

 

さらにゴッドスレイヤードラゴンはその力を跳ね上げ、剣を振り下ろして雷撃を掻き消すと、そのままヴィーナルシファーに向かって火炎放射を吐きつけ、飛び回りながら炎を紙一重で避けて行く。

 

「こんなもんじゃ終わらねぇ! さらにフラッシュで火炎烈波斬!! ソウルコアをコストにして、BP7000以下のスピリット破壊できる! 消えろ、ドールザンシア!!」

 

炎の斬撃がザンシアを切り刻むように焼き尽くし破壊。ザンシアが場から消えた瞬間、待っていたと言わんばかりにヒョウガも口角を上げる。

 

「俺もフラッシュだ! マジック、光速三段突き!」

「またアタシ!? しかも、このタイミングで!」

「当然だ、そいつ程厄介スピリットはいねぇからな!! デッキボトムに消えてもらうぜッ!」

 

ドールザンシアは呪鬼を持つスピリットは手札、デッキに戻らない効果を与えるが、フィールドから居なくなった今その耐性の効果はない。光速三段突きによって放たれる刃がジュラシックドールを貫きデッキのボトムへ送られる。

 

「だったらこっちもマジック! スネークビジョン! 不足コスト確保でスピンクスは破壊する」

「!」

「悪いけどアタシ、やられっぱなしで引き下がる気ないよ? アンタだってこのままキースピリットをむざむざ討たせる気はないでしょ?」

 

見透かした様な言葉だが、それに頷き、スピンクスもまた受け入れ、コアを失うが抵抗はせずにその場から消滅。

そして発動するスネークビジョンの効果により、ゴッドスレイヤーはコア一つだけを残してレベルダウンしてしまう。

 

「何ッ!?」

「アンタのゴッドスレイヤーのレベルは今は1、指定アタックによるバトルは成立してるけど、BPアップの効果は一切なくなってるよ!」

「やってくれんじゃねぇか!」

 

レベル1に下がった事で激突するヴィーナルシファーとゴッドスレイヤーのBPは互いに6000。ヴィーナルシファーは吐きつけられる火炎放射を避けつつ急降下して接近すると、その場で反転し尻尾で大盾を弾き飛ばす。

盾を失うが、まだ剣は残る。ゴッドスレイヤーは剣を振り下ろし、ヴィーナルシファーは両爪を構えて、無防備となったゴッドスレイヤーの身に突き出し、剣と爪が互いの相手を切り裂き、貫き、両者その場に倒れ伏して破壊される。

 

「……ルシファー、お疲れ様」

「ゴッドスレイヤー、お前の犠牲は無駄にしねぇぞ」

 

キースピリットの破壊はプレイヤー自身の心境に大きく響く。互いに倒れたスピリットへ言葉を掛けつつ、まだ続くバトルに意識を戻しつつ次は光黄のターン。

 

 

────第14ターン、光黄side。

 

[Reserve]17個。

[Hand]4枚。

[Field]創界神ラー。

 

「闇輝石六将獣神キリンクス、タマモノインをどちらもLv.3で召喚!」

「並べて来たな、来るか?」

「あぁ、アタックステップ! キリンクスでアタック! アタック時効果で手札が5枚になるようドロー!」

 

突っ込むキリンクスに対し、エンザは視線をヒョウガへと向け、その視線に相槌を返す。

 

「フラッシュ! スクランブルブースター! ライドフェンサーを疲労ブロッカーにさせる!」

 

ライドフェンサーはそのまま立ち上がり、突っ込むキリンクスに強烈な蹴りを叩き込むと、そのままサッカーボールのように蹴り飛ばし、キリンクスは消滅する。

 

「バトル勝利につき二枚ドロー」

「まだだ! タマモノインでアタックだ!」

 

九尾の尾をバリアに叩きつけてバリアを破壊、残るエンザ達のライフ4に対し、タマモノインはライフを破壊した事で【聖命】を発揮させる事で光黄達も同じライフは4でイーブンに戻る。

 

『何という試合だ! 互いにマジックとスピリットの効果を最大限に活用しての応酬!! バトルはますますヒートアップするばかりだぁッ!!! バトルもいよいよ終盤、果たしてどうなる!?』

 

 

────第15ターン、ヒョウガside。

 

[Reserve]14個。

[Hand]4枚

[Field]戦騎皇ライドフェンサーLv.1(1)BP4000。

 

「終盤か、だったら俺が決めてやるよ! 俺のキースピリットでな!」

 

自信満々に豪語する一枚、全員が思わず息を呑む。

 

「鋼の鎧に身を包みし、神の名を持つ白き王者! 魔星機神ロキをLv.3で召喚だ!!」

 

震え上る程に凍て付く猛吹雪が吹き荒れるが、暗い雪の中で蠢く赤い眼光、そして次の瞬間、一瞬にして赤い槍を振るいて吹雪を吹き払い、最強と謳われる神槍、グングニルを掲げながらロキがその姿を見せる。

 

「これが、キースピリット!」

「こんなもんで終わりじゃねぇさ! まだ行くぜ、異次元に眠りし最強の獅子! 今こそ目覚めの時だ! 獅子星鎧レオブレイヴを召喚ッ!」

 

裏12宮と呼ばれる最強と名高いブレイヴの1体────レオブレイヴ。

 

「さぁ行くぞお前等ァッ! レオブレイヴと魔星機神ロキを合体ッ!!」

 

頭部と胴体のパーツを分離させると、肩にレオブレイヴの頭部をパーツとして取り付け、さらに武器をグングニルからパーツの一部である二刀の刃へ持ち換える。

 

「さっきまで寝てた奴が随分と頼もしくなったな」

「ハハッ! 言ったろ、目は覚めたって。寝覚め礼、たっぷり奴等にくれてやる! ライドフェンサー、行けぇッ!!」

 

完全に別人の如く、鬼気迫る表情での攻撃指示。ライドフェンサーはそのままバリアに二度三度と殴りつけ、最後に回し蹴りをバリアを叩き込んでライフを破壊。

 

「残り3つ、貰ったぁッ!! 合体スピリットでアタック! トリプルシンボルで決めてやるぜぇーーッ!!!」

 

一気に飛び掛かり止めを指そうと手に持つ刃を振りかざす。

 

「フラッシュ! スティールハート!」

「!!」

「合体スピリットのシンボルを0に変更! そのアタックでライフは削れない!」

 

振り下ろす二刀の刃、だがバリアを切り裂く事は叶わず攻撃は弾かれる。

 

「チッ! 決めきれなかったか。ターン終了」

 

 

────第16ターン、マチアside。

 

[Reserve]14個。

[Hand]5枚。

[Field]タマモノインLv.3(4)BP6000、創界神ラーLv.1。

 

前のターン、自分のキースピリットであるジュラッシクドールを失ったことは大きな痛手だ。だがマチアもまたそれで終わる程度の実力ではない。

 

「もう一つ、とっておき出すか。行くよ!」

 

構えた一枚はジュラッシックドールと同等かそれ以上、もう一枚のキーカードを手に宣言する。

 

「白く輝く全てを打ち壊せ、砕いた全てを黒き闇にひっくり返せ! 召喚、鬼神バサラ!!」

 

地面へ降り落ちる漆黒の大剣、大地へと突き刺さるとジュラシックドールの時と同様、剣を中心として沼のように闇が広がり、闇の中から伸びる手が剣を掴んだかと思うと、そのまま這い出る一体のスピリット────バサラ。

 

「バサラの召喚時効果発揮! このスピリット上に置かれたコア1つにつき、相手スピリットのコアをリザーブに送る。今バサラに置かれたコアは合計6個! よってロキのコア全てを除去するよ」

「ぐッ! レオブレイヴはスピリット状態で残す」

 

闇の中に合体スピリットは呑み込まれてしまい、間一髪レオブレイヴは分離してそこから飛び出して難を逃れるが、闇の飲まれたロキはコアを失い、消失。

 

「今度はこっちの番だよ、鬼神バサラでアタック! 自分のアタックステップ時、紫のスピリットが疲労した時にコアを除去できる、ライドフェンサーのコアを除去して破壊するよ!」

 

今度はライドフェンサーが闇の飲まれ破壊、続くメインアタックに剣を振り回しながら駆け出して行く。

 

「ダブルシンボルでライフを一気に二つ破壊するよ」

「フラッシュでホワイトポーションを使う。効果でレオブレイヴを回復させるぜ!」

「!?」

 

ロキを破壊されたが、まだレオブレイヴはフィールドに健在。マジックの効果で起き上がり、咆哮を上げる。

 

「また妙なタイミングで、ブロックする気?」

「勝てるならそうしたいが今は無理そうだ、ライフで受けるぜ!」

 

握りしめた大剣をバットの如くフルスイング。渾身の一撃がライフを二つまとめて破壊する。

 

「エンザァッ!」

 

衝撃を受けて仰け反りながらも、その攻撃を待っていたように合図を送ると、ヒョウガの言葉に、エンザは大胆不敵に笑って見せた。

 

「ライフ減少時でバースト発動ッ!」

 

叫びと共に、龍の形を形成した炎が渦の様に駆け巡り、天へと上ると、やがて炎の龍は灼熱の太陽の如く巨大な炎となって燃え上がる。

 

「乱世を統べし究極の龍皇! 天下に今こそ皇の炎を刻めッ! 戦国龍皇バーニングソウルドラゴンを召喚だぁッ!!!」

 

太陽と化した炎の中で眼光を輝かせ、その炎を全て己が身に取り込み、熱く滾る炎の叫びを響かせる龍王の姿────バーニングソウルドラゴン。

 

「召喚後、トラッシュのコア全てをこのスピリットに置き、Lv.4。BPは330000だ!!」

 

まさに破格の数値、龍皇という名は伊達ではなく、紅蓮の刃を掲げて吼えるその迫力にタマモノインは勿論、Xレア級のバサラでさえも思わず怯む程。

 

 

────第17ターン、エンザside。

 

[Reserve]7個

[Hand]6枚。

[Field]戦国龍皇バーニングソウルドラゴンLv.4(10)BP33000、獅子星鎧レオブレイヴLv.1(1)BP5000。

 

「マジック、双翼乱舞! この効果はヒョウガに対して使用だ!」

「!」

 

タッグバトルおいてマジックの効果は自分使用するだけでなく、味方を対象に選んで発動する事もできる。マジックを使用したエンザではなく、ヒョウガ派がマジックの効果の恩恵を受け、二枚のカードをドローする。

 

「サンキュー、守りは任せな」

「あぁ、攻めは俺が引き受ける! お前のレオブレイヴ、ありがたく使わせてもらうぜ! バーニングソウルドラゴン、レオブレイヴとブレイヴしろ!」

 

獅子と龍が吼える、レオブレイヴがバーニングソウルドラゴンへ取り付き、手に持った槍を捨てて、太刀を口に咥え、レオブレイヴのパーツである二刀の刃を両手に握り締める。

 

「バーニングソウルドラゴンでアタック! 【真連刃】の効果発揮!」

「ッ!?」

「同時バトルだ、タマモノインと鬼神バサラで受けてもらうぜ! さらにレオブレイヴの効果でバーニングソウルドラゴンは回復!」

 

迎撃するように向かうタマモノインとバサラ、左手に持った刃をタマモノインに投げつけ、避わしきれずに貫かれタマモノインは破壊。残るバサラは大剣を力一杯に振り下ろし、その一撃を加えた刀ともう片方の刃で受け止める。

火花を散らしながら鍔競り合う両者、だが一歩を前に踏み出しバーニングソウルドラゴンはより力強く咆哮すると、そのままバサラを押し返す様に刀を刃を振り切り、弾かれて大きく後退させられる。

 

「今度こそこのターンで決めてやる!!」

「いいや、まだ決められるわけには行かない! フラッシュ、シンフォニックバースト!」

「まだ手が残ってたか!」

「バトル終了時、俺のライフが2以下ならアタックステップを終了だ!」

 

バサラを大きく押し返して、そのままタマモノインに投げつけた刃を回収すると同時に突っ込み、両手の刃と加えた刀による三刀で一気にバサラを切り裂くと、バーニングソウルドラゴンの後方でバサラは地面に倒れ伏し、大爆発を起こす。

 

「【真連刃】の効果、破壊か消滅したスピリット1体につきライフを破壊する! ライフ二つ破壊だぁッ!」

 

二刀の刃を地面に突き立て、炎が噴き上げると、噴き上げた炎は光黄達へと襲い掛かり、バリアを焼き尽くしライフを破壊する。

 

「うわあああああッ!」

 

残るライフは一つ、もし彼女等に打つ手がなければこのまま回復したバーニングドラゴンで再アタックし、ライフを削り切る三段だったのだろう。そうなれば確実に終わっていた。

 

「残りは一つ、惜しかったな」

「あぁ、そうだな。ギリギリまで魅せてくれる! 本当に最高だよ、お前等とのバトルは!!」

 

渾身の攻撃で決めきれなかったにも拘らずに悔しさや怒り感情はまるでなく嘘偽りなく楽しんでいるように笑ってそう言い、そんなエンザの姿はますます烈我と近しいものを感じる。

 

「けど、もうすぐ決着はつきそうだ。どうだ、観念して付き合ってくれたりするか?」

 

エンザの言葉に呆れながらも、可笑しそうに笑いながら。

 

「悪いけどそれは御免だ。それに、勝ちも譲れない!」

「はは、そうでなくちゃあな! だったら次でテメェの本気を見せてみな! そうじゃなきゃ勝ちは俺達のもんだ!」

 

 

 

────第18ターン、光黄side。

 

[Reserve]21個。

[Hand]4枚。

[Field]創界神ラーLv.1。

 

「(このターンで決められなきゃ、恐らく負けか)」

 

必然的な直観、だとすれば当然決めに掛かるしかない、残る手札見ながら決心するように前を向く。

 

「行くぞ! 想像より生まれし幻獣の王にして神の名を持つ大地の化身! 陸獣神ベヒモス、Lv.3で召喚!!」

 

地震の如く揺れる、歩行の度に大地を大きく揺らしならフィールドへと赴く巨大なそのスピリットこそ、陸獣神ベヒモス。

 

「もう一体、幻想の夢で敵を永遠に魅入らせろッ! 聖魔皇メフィストフェレス、召喚!!」

 

ベヒモスと並び立つように現れるは妖艶な女性の姿をしたスピリット、メフィストフェレス。ここに来てXレアを呼び出し、その意図は当然このターンで決着を付ける以外にない。

 

「アタックステップ! ベヒモスの効果、相手スピリット全てをLv.1に変更させる! そのままベヒモスでアタックだ!」

 

ベヒモスの咆哮が重圧の様にバーニングソウルドラゴンへ降りかかり、足場を凹ませて強制的にその場に平伏させられる。

 

「大した勢いだがこんなんじゃ足りねぇんだよ!! フラッシュ! 白晶防壁だ!」

「!?」

「ベヒモスを手札だ!」

 

ヒョウガの手にはまだ防御札が残っている、隠し持っていたように発動される白晶防壁の効果により、ベヒモスの体は吹き飛ばされ手札へと戻ってしまう。

 

「エンザの野郎がソウルコアを使ったせいで、ライフを守る効果は使えねぇがバウンスだけで充分だ」

 

ベヒモスは間違いなく攻めの主力となる一体、それを失ったことで誰もが光黄達の敗北を疑わなかった。だが、マチアは静かに光黄に視線を向けたかと思うと、視線に対し彼女は笑って見せた。

 

「充分だと思うのはこっちの方だ、ライフを削れさえできるのならな!」

「!?」

「メフィストフェレスでさらにアタック! フラッシュ、エンジェルストライク! 効果でバーニングソウルドラゴンのBP-5000だ!」

 

マジックにより放たれる光弾がバーニングソウルドラゴンへと直撃するが所詮小突かれた程度にしか感じず、首を振りながらもまだまだ余力を残す様に吼え立てる。

 

「BPが多少下がったところで俺の合体スピリットのBPは33000! メフィストフェレスじゃ相手にならねぇよ!」

 

エンザの言う通り返り討ちの合うのは必須。だが彼女の真の狙いは別にある。

 

「俺がマジックカードを使用した事でメフィストフェレスの効果発揮! デッキの上から4枚オープンし、その中にバーストを持つカードがあれば、カードのバースと効果を使用できる!」

「!」

 

オープンされる4枚のカードは上から「翼神王グリフィオール」、「フェアヴァレイ」、「黄色の聖遺物」、「イマジナリーゲート」。

 

「イマジナリーゲートのバースト効果を発動! 手札にある黄色のスピリットをノーコストで召喚できる! 幻獣神ベヒモスLv.2でもう一度フィールドに来いッ!!」

「!!?」

 

手札に戻した筈のベヒモスが再びフィールドへ降り立つと、再び大きく咆哮し、バーニングソウルドラゴンは再び咆哮による重圧に、崩れ落ちて片膝を突いてしまう。

 

「何て奴だ、ここに来てこんなコンボ決めやがるとは!」

「メフィストフェレスのアタックは継続してるぞ!」

「いいだろう、バーニングソウルドラゴン! ブロックしろ!!」

 

ベヒモスが再び場に現れた事でバーニングソウルドラゴンは再びLv.1に下がり、そのBPは今や8000。メフィストフェレスは、両手を翳してビームの様に込めたエネルギー弾を放ち、攻撃はバーニングソウルドラゴンの体を貫いて破壊される。

キースピリットの破壊は当然堪えるが、まだエンザ達も諦めてはおらず合体スピリットが破壊され、レオブレイヴを今度は残す事なくトラッシュへと送る。

 

「ヒョウガッ!!」

「分かってる、こんなにも滾るバトル! 簡単に御開きなんて真っ平御免だぁッ!! 自分の場のコスト6以上の白のスピリットが破壊された時、このスピリットをノーコスト召喚できる! 黒き孤高の獣、黒天狐ネガナインテールを召喚ッ!!」

 

残る最後の切り札、フィールド状より氷の柱が輪の様に隆起し始め、氷の円を作り上げると、その中央から一際巨大な氷柱が出現し、氷を砕いて現れる黒獣、ネガナインテイル。

立ち塞がるネガナインテールの姿に、光黄も一瞬だけマチアに視線を向けて、マチアもまた何かを決心するように頷き、覚悟を決める。

 

「行くぞ! ベヒモスでアタック!!」

「まだ耐えられるさ、ネガナインテールッ!!」

 

当然受ける気の様にネガナインテールは雄叫び、ブロック指示を受ける前からその行く手に立ち塞がるが。

 

「させない、ベヒモスの効果! Lv.2のアタック時、コア1個のスピリットからブロックされない!」

「ネガナインテールのコアは5個だ。ブロックに問題は────!」

 

「だからアタシの出番だよ!」

 

横やりを投げる様にヒョウガに対して言い放つと、マチアも手札の一枚を掲げる。

 

「マジックでスネークビジョン! 効果でネガナインテールのコアを1個だけに変更! 不足コストでメフィストフェレスコアを使わせてもらうよ」

「何ぃッ!!?」

 

2枚目のスネークビジョン。コアを1つを残して全てリザーブへと送られ、元々ベヒモスの効果でLv.1に強制ダウンさせられている為、BPとレベルに変動はないが、もうベヒモスを止める術はない。ネガナインテールを跳ね除けながらエンザ達へと迫る。

 

「……ここまで、か」

「だな」

 

手は出し尽くした以上、観念したようにベヒモスの攻撃を受け入れ、最後の一撃がエンザ達のライフを砕きバトルに決着を付ける。

 

 

***

 

 

「いいバトルだった。やっぱ俺の見込んだ通り、イイ女だったよ、お前」

「まだそんな事言う気か」

 

うんざりするような光黄に足して、軽く謝りながら笑って見せた。

 

「心配しなくても負けた以上大人しく身を引くさ。けど、機会があればまたリベンジさせてくれ。あんな楽しいバトルは久々だったしな」

「俺も同じだ。眠気が吹っ飛ぶ程最高のバトルが出来た」

 

「……バトルでよければいつでも相手になる。けどあくまでバトルだけ、な」

「やれやれフラれちまったか。けどそれでもいい、またバトルしてくれ」

 

差し伸べられたエンザ達の手を握って握手を交わし、そのままエンザ達は振り返ることなくステージを降りて行く。

 

『強力なスピリット達による激闘に次ぐ激闘! 一回戦とは思えない素晴らしバトルでした! 改めて彼らに拍手を!』

 

惜しみない声援と拍手が送られ、どこか心地よさを感じていた。

 

「一回戦突破。アタシ達意外といいチームかもね」

 

笑顔でそう問いかけるマチアだが、掛けられた言葉をすぐには受け入れ難い様に表情を顰める。

 

「マチア、質問の続き、いいか?」

「ん? まだ何かある?」

「この大会に参加した目的、それを教えてくれ」

 

真剣な表情で尋ねる光黄に、マチアも笑っていた表情一変させる。

 

「……勿論優勝賞品が欲しい。詳細は発表されてないけど超レアなカードが優勝したチームに渡される。それが掴んだ情報、カードを扱うものとして是非手に入れておきたい」

「超レアカード……七罪竜、か?」

「それはアタシにも分からない、それこそ優勝して現物を見ない限りね」

 

「質問はそれで終わり?」と問い返すマチアに、数秒考え込むように間を置きつつ、納得したように彼女も頷いた。

 

「お前の目的は分かった。優勝賞品が何であれ、少なくとも今はチームとして信用できそうだ」

「なら、この先もタッグとして問題ないって訳ね」

「あぁ」

 

そう言って二人もまたステージを降りるが、並んで歩く中マチアは少し口元を歪ませて、聞こえないぐらいの小さな声量で「ごめんね」と呟く。

同じ頃、烈我達とは別に控室からマチア達の様子を観戦していた様子のドレイクは、一枚の紙を取り出し、それはバトル前、マチアとすれ違った際に受け取っていたのだった。紙に書かれた内容に目を通し。

 

「(ほんとは半分嘘で半分本当、この大会の優勝賞品について、アタシは知ってる)」

 

知ってるいう事を態々隠すという事はよほど重要な情報という事だろう。

 

「(情報屋が嘘を教えるのは本来タブー。けど、これはあくまで無償の情報提供、たかだかサービスにそこまで果たす義理はないからね)」

 

表情は冷静なまま、そんな事を想うマチア。そしてドレイクもまた手紙に書かれた内容を読み終え、手紙にはマチアに対しての目的の詳細が書かれていた。

 

「(これが奴の狙い、か)」

 

果たして彼らが胸の内に隠す物は何なのか、烈我や光黄達にまだ知る由はない。




如何でしたでしょうか。
ツイッター上で昨日更新目途だったのですが、間に合わずにすみません。

今回は光黄とマチアチームのバトル!
対戦の相手の二人はお気づき方は気づいている事でしょう笑

今まで書いてきたバトルの中で一番で今回xレアが多く登場した気がします。各スピリット達にそれぞれ見せ場を書くのが大変で表現しきれたかが不安な所。


一方で作中は何かを企むマチア、彼女は烈我達にと味方となるのか、敵となるのか今後の立ち位置も注目していただきたいところ。
今後のバトルもますます盛り上げて書いていくので、次回もぜひよろしくお願いします!
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