バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第13話【栄光の決勝戦──烈我vs光黄】

「いよいよ決勝か」

「烈我と光黄、どっちが勝つのか楽しみです」

 

準決勝で敗れた星七やミナトも今は観戦者。間もなく始まる決勝を前に観客席からステージの舞台を眺めていた。

 

『それにしてもミナト、俺様の所有者ともあろう者が負けるとは。だらしねぇんじゃねぇか?』

「おいおい、俺も本気でやったんだぜ? 少しは評価してくれてもいいだろ?」

 

辛口なキラーのコメントに異議を持つ様に反論するが、反論の言葉にキラーの隣でエヴォルは『そうじゃな』と相槌する。

 

『お主等はよくやった、本当にいいバトルだった。星七も見事じゃったぞ?』

「……エヴォル、ありがとう。でも僕、まだ満足してないよ? 負けは負け。だから次は絶対勝つ! 僕の気持ちはそれだけです」

『成程、初めて会った頃とは見違えるほど逞しくなった。それでこそ、儂の相棒じゃ!』

 

『ハハ、ミナト。テメェもあの餓鬼の向上心、見習ってもらおうか? 俺様のパートナーとしてな』

「はいはい、まぁ善処するよ」

 

苦笑いしながらキラーに言葉を返すが、ミナトにとってもキラーの言葉が彼なりの激励だと伝わっていた。そんな彼らの信頼関係にヘルは感心するようにうんうんと頷いていた。

 

「ミナト君も星七君も本当にお疲れ様。次は烈我君たちの番、皆で彼らを応援しよう!」

『そうですとも! 是非とも光黄様達を応援しましょう!! 優勝という名誉に相応しいのは光黄様をおいてほかに居ませんし!」

『ちょっと待てこら! 応援するなら断然烈我だろうが!! 優勝するのも当然あいつだ!!』

『はぁ? 可憐で美しい光黄様とマチア様のチームに勝てるとでも?』

『テメェこそうちの烈我を舐めてんじゃねぇぞ?』

『ハッ、お忘れですか? この前アンタもろとも私と光黄様が返り討ちにした事!』

『忘れてねぇよ! 怒りを込めて借りを返してやるんだよ!! 今ここでなァッ!!!』

 

まさに売り言葉買い言葉。挑発気味に煽るライトにバジュラは憤怒を込めた表情で睨み合って火花を散らし、その様子にヘルも頭を抱えるばかりだった。

 

「二人共落ち着いて、騒ぎになるからとにかく仲良く!」

『『フン!』』

 

互いにそっぽを向けるライトとバジュラに溜息を零すヘル。ミナトも星七の二人もヘルに対して「苦労してますね」と苦笑い。

 

「心配しなくてももう慣れたよ。大会中ずっとこんなだったしね」

「そうですか。まぁ俺も応援したい此奴等の気持ちが分からなくはないですけどね」

「おっ、それじゃあ二人はどっちを応援するんだい?」

 

ヘルの質問に少しだけ悩む素振りを見せるが、答えは初めから決まっていたのか真っ先に星七が口を開く。

 

「僕は烈我を応援したいです。光黄の事も応援したいけど、それ以上に僕たちに勝ったからには烈我にはこのまま優勝してほしいです」

 

烈我を応援するという星七の意思に、バジュラは口角を上げてライトを見返し、苛立つように睨みながらも、瞬間的にミナトに視線を向ける。

 

『ミナトさん! あなたは光黄様の応援ですよね?』

「俺とはしては友情を大切にしたいところだけどね」

『!』

 

そしてニヤリと口角を上げて見せたかと思うと。

 

「けど友情は友情(ソレはソレ)。俺は可愛い子ちゃんの応援なら喜んで引き受けるぜ!!」

 

ミナトの言葉に思わず全員がその場からずっこけた。

 

 

***

 

 

一方、控室で集中するように一人デッキのカードを見直す様子のドレイクの姿があるが、そこへコンコンと控室のドアをノックする音。

 

『ドレイク、少し話できる?』

「お前か」

 

声の主はマチア、そのままドアを開けてドレイクの前に顔を出す。

 

「どう? 調子は?」

「うぜぇ、何の用だ?」

「別に。ひとまずお疲れ様とでも言いたくてさ。アンタもアタシも無事決勝に進出できた。なら次の決勝、どっちが勝っても目的は達成できる」

 

目的は優勝、マチアとドレイクがそれぞれ別チームとして参加し、そしてそれぞれのチームが決勝に駒を進めたこの時点ですでにその目的は達成されたも同然。

 

「お前のタッグは、俺等の作戦について知ってんのか?」

「ううん。それはアンタも同じでしょ?」

「ったりめぇだ。敵にわざわざ情報渡す馬鹿がどこにいる」

 

罪狩猟団の帝騎の立場としては当然の言葉、だがドレイクの言葉に対しマチアは可笑しそうに笑って見せた。

 

「敵、ね。本当にそうなのかな?」

「あぁ?」

「アンタのタッグは、パートナーであるアンタを敵なんて全く考えてないよ? 少なくともこの大会中においては」

 

準決勝で言っていた烈我の言葉、罪狩猟団であるドレイク達とは敵にも関わらずあの時、そんな事関係ないとはっきりそう言った。

その時の事を思い返しながらマチアは面白そうに笑うが、ドレイクはその時の言葉に引っ掛かりを覚えているのか、無言のままだったがそれでも「くだらねぇ」と数秒後に言葉を吐き捨てる。

 

「馴れ合うのは嫌いなんだよ。俺は……」

「はぁ、誰かさんみたいにそっくりだね」

 

口にしたその誰かさんの事を想いながら、ドレイクの様子に少しだけ溜息を零すが。

 

「ねぇ、アタシが最初に言った事覚えてる?」

「?」

「折角の大会なんだし楽しんだらって、アンタはあの時生温い奴等の集まりに期待できないって切り捨てたけど、案外そうでもなかったでしょ」

「何?」

「ここまでアンタ自身手古摺る事が多かったでしょ。それだけ腕の立つカードバトラーが多かったって証拠じゃない」

 

今までの状況を鑑みればその通りなのだがドレイク自身は耳を傾ける気はない、だがそれでもマチアは構う事無く言葉を続ける。

 

「アンタと戦う決勝の相手、光黄って子も充分手強いよ? タッグを組んでるアタシが保証する。本気でやらなきゃ到底勝てない」

「……知るか。遊びに来た訳じゃない、俺は最初にそう言った筈だ」

 

間もなく始まる決勝それ以上の問答は不要と考えているのか、「先に行くぞ」とそれだけ残して先にステージへと向かう。

 

「ドレイク、本気でやるつもりがないなら優勝はアタシたちがもらってもいいんだね?」

 

マチアのその問いに振り替える事無く、ドレイクは一人その場から立ち去り、「やれやれ」と溜息を零しながらも、マチアも後を追う様にステージへと向かう。

 

 

***

 

 

「烈我!」

「!」

 

丁度同じ頃、ステージへ向かおうとする烈我の前には光黄の姿があり、壁に凭れ最初から彼の事を待っていた様子だった。

 

「光黄、どうしたんだよ? わざわざこんな所まで」

「嫌、その……折角こうしてお前と決勝を争う事になったんだから、大会中はずっと話せてなかったし、今の内に挨拶しときたいなって」

「へぇー、改まって挨拶とか随分珍しいじゃん!」

「い、いいだろ別に! 俺だってそういう気分になる事ぐらいある!!」

 

烈我の言葉に少しだけ慌てた様子ながら、ムキになるように表情を赤くさせ、そんな彼女に半ば押されるに「わ、悪い」と戸惑いながらに謝る。

 

「い、嫌、俺も取り乱して悪かった」

 

落ち着く様にコホンと咳払いしながら、普段通り冷静な表情で烈我を見つめる。

 

「お前と決勝争いするのも久々な気がしてな。だから戦う前に言葉を掛けたかったんだ」

「そういやそうかもな」

 

元の世界で大会に参加していた際は光黄と当たる事が多いものの、ほとんどは初戦で対決しての敗北、不甲斐ないと感じる様に苦笑いしながら記憶を振り返る。

 

「ま、まぁ気遣ってくれてるんだろ? その気持ちだけでも嬉しいぜ!」

「……本当は挨拶に来ただけじゃないけどな」

「えっ?」

「ドレイクの事だ。あいつとタッグを組んでる事、それが心配だったから様子を聞いてみたかったんだ」

「何だよ、光黄までミナト達と同じ意見か」

「当たり前だ! 大体お前は危機感がなさすぎるんだ!! お前に何かあったら俺は──!」

 

そこまで言い掛けた瞬間、思わず口が滑りかけた事にハッとしたのか言い掛けた言葉をすぐに飲み込む。

 

「俺はじゃなくて、俺もミナトや星七達と同じ様に心配ってだけだ。その、友達だからな」

「光黄?」

 

少しだけ恥ずかしくなったのか言い掛けた言葉を言い直し、顔色を隠すように烈我から背を向けて言い、そんな彼女に不思議さを感じる烈我だったが、それでも彼女なりに気遣ってくれてる気持ちは十分に伝った。

 

「色々ありがとな。けどミナト達にも言ったけど心配は無用だぜ。ドレイクなら大丈夫」

「お前、根拠もない癖に!」

「大丈夫だって、この大会中、アイツも本気でバトスピやってるだけなんだ。口は悪いけど正々堂々正面真っ当で。相性とかはともかく、そんな奴だからこそここまで勝ち残れた」

 

根拠にならない話だがそれでも、烈我の目は真剣其の物。最初は反論しようとしたものの、真剣な烈我の表情に何を言っても無駄だと察してしまった。

 

「はぁー、相変わらずのバトル馬鹿」

「それが性分なんだよ、というかタッグ相手で心配どうこう言うならお前の方だって同じなんだぜ!! マチアって奴も俺は信用してないからな!」

「少なくともお前のチームよりはましだ。彼奴についてはお前と同じ、心配無用、だと思う」

 

彼女自身、自分のチームメイトであるマチアが本当に大丈夫だと確証を持っている訳ではないが、ここまでのチームとして彼女の同行を近くで見ていたが危険を感じるような事は皆無であり、チームの相性としてもそれなりに良好なのも確かだった。

 

「……もうすぐ決勝、これ以上は話すべきじゃないかな。試合前に気を乱すようなこと言って悪かった」

「別に気にすんなよ。そんな事ぐらいで集中できなくなる訳ないだろ! お前なりに心配してくれてるのは充分分かってるからさ!」

 

笑顔で返事を返す烈我に、彼女も口元を緩ませ、「そうか」と安心を込めたように呟く。

 

「そうそう、準決勝見てたぞ。大会中で益々強くなってるみたいだな」

「おぉ! お前に勝ちたい一心でデッキ構築も頑張ってんだ! 決勝、今までの俺と違うって所、見せてやる!」

「なら楽しみにしてる。たまには俺に黒星でも付けてみろ!」

「望むところだ! 全力で勝たしてもらうぜ!!」

 

二人もまたその場からステージへと向けて移動。

 

 

***

 

 

『さぁ遂にこの時がやってきました! タッグバトル決勝!! 並みいる強豪達を蹴散らし、栄えある決勝の舞台へと上がったのは何と全員大会初出場!!!! そんなスーパールーキ達を紹介いたしましょう! まずはドレイク&烈我チーム!』

 

先にステージへと上がる烈我とドレイクの二人、照れ臭そうながらも観客たちに送られる声援に手を振って反応を返す烈我の隣でドレイク自身は相変わらず無愛想な様子で観客達には目もくれず、ただステージを見据える。

 

『続いては女性コンビであるマチア&光黄チームだぁッ!!』

 

向い側の通路から入場する二人、大歓声を浴びながらステージの前へと進んでいき、ドレイクと烈我の前に立つ。

 

『優勝を手にするのはどちらのチームなのか! 両チーム、瞬きすら惜しい程の熱いバトルを期待しているぞ!! それでは、全員コールを!!!』

「「「「ゲートオープン、界放ッ!!」」」」

 

4人の合図をトリガーとして、次に開始される決勝戦。余計な言葉は無用、全員バトルへ完全に意識を切り替えていた。

 

 

***

 

 

────第1ターン、マチアside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「メインステップ、ストロゥパペットを召喚、さらにストロゥパペットのコアを使ってスカルガルダ、召喚」

 

先行1ターン目から呼び出すはブレイヴ、その召喚時効果によって1枚のカードを手札に加える。

 

 

────第2ターン、ドレイクside。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

 

「俺のターン、恐竜同盟ステゴラールを召喚、これでターンエンドだ」

 

 

────第3ターン、光黄side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

[Field]スカルガルダLv.1(1)BP4000。

 

「バーストセット、俺はこれでターン終了だ」

 

 

────第4ターン、烈我side。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

[Field]恐竜同盟ステゴラールLv.1(1)BP3000。

 

「(光黄はこのターン動きなしか。なら俺も!)」

 

そのまま同じように手札にあるバーストカードをセットし、ターンを終了。

 

 

 

 

────第5ターン、マチアside。

 

[Reserve]6個

[Hand]4枚。

[Field]スカルガルダLv.1(1)BP4000。

 

「私のターン、黒嫁ドールザンシアをLv.2で召喚!」

 

エンザ達とのバトルでも見せたカード、その召喚時効果でデッキから1枚ドローされる。

 

「ドールザンシアをスカルガルダとブレイヴさせるよ! そのままアタックステップ!」

「(来る!!)」

「ドールザンシアでアタック!」

 

直感通りドールザンシアでの攻撃指示、紫の印を込めた五芒星を描きバリアへと放たれ、バリアに触れた瞬間爆発し、ライフを砕く。

 

「ッ! ライフ減少時でバースト発動! 妖華吸血爪!! バースト効果でデッキから2枚ドロー、さらにコストを支払い手札1枚破棄! 効果でドールザンシアからコア1個をトラッシュだ!」

「!」

 

消滅までとはいかないが、コアを取り除かれた事でレベルダウンし力を失うように肩を落とし項垂れる。

 

「(コアを取り除いて、レベルダウン。ザンシアのLv.2効果を封じてきた訳か)」

 

Lv.2の効果は自身が破壊された場合、相手スピリット1体を道連れにする効果。それを封じて来たという事は、何かを狙ってる事に容易に察しが付く。

 

 

────第6ターン、ドレイクside。

 

[Reserve]8個。

[Hand]5枚。

[Field]恐竜同盟ステゴラールLv.1(1)BP2000。

 

「ドレイク今だぜ!」

「るせぇ、俺に指図するんじゃねえッ!!」

 

烈我に対し強気に言い返すが、今が好機なのはドレイクにも分かっている。

 

「俺はステゴラールをLv.2にアップし、マジックでダイノパワー! 効果でステゴラールをBP+3000!」

 

ダイノパワーの効果はさらにこのターン、相手スピリットへの指定アタックを可能とする。当然狙いは決まっている様にステゴラールは敵意をザンシアへと向ける。

 

「アタックステップ! ステゴラールでザンシアを指定アタック!! デッキから1枚ドローし、さらにこのスピリットをBP+3000!」

「合体スピリットでブロックさせるよ!」

 

ステゴラールに対し、両腕を構え迎撃するように紫電を放っていくがステゴラールは尾に携えた剣を振り回して紫電による攻撃を掻き消し、それならばと合体しているスカルガルダのパーツを構え、追撃するかのように、光弾による攻撃を加えて行く。

 

「ステゴラールの効果発揮! 俺は手札を一枚捨てればソウルコアを支払わずに煌臨できる!! 手札のエレクトロサウルスを破棄して、ステゴラールを恐竜同盟鎧角のドレッドロサウルスに煌臨!」

 

ステゴラールの体は大きく、二本の強靭な角を掲げるドレッドロサウルスへとその姿を変え、ザンシアが放つその光弾を打ち払い、猪突猛進にザンシアへと突っ込む。

 

「煌臨時の効果で1枚ドロー! さらにこれで終わりじゃねぇ!!」

「!!」

「敵を砕け! 壊せ!! ぶっ潰せッ!!! 本能のままに蹂躙し尽くせッ!!!! 暴双恐龍スーパーディラノス、ドレッドロサウルスに煌臨ッ!」

 

ドレッドロサウルスの体を包み込む紅蓮の炎、その炎はさらに強大な姿へと変化し、炎が消えた瞬間、ドレッドロサウルスはスーパーディラノスへと進化し、強大となった力を表現するかのように咆哮を轟かせる。

 

「BPはこれで23000! 失せろ、ザンシアッ!!」

 

そのままザンシアの顔面を掴んで地面へ叩き付け、そのあまりの衝撃にクレーターのように地面は抉られ、ザンシアは耐えきれずに断末魔を上げながら爆発四散し、スカルガルダは間一髪分離し、スピリット状態に戻り爆風から飛び出し、生還。

 

「バトル終了時効果、今スーパーディラノスにある煌臨元は2枚、テメェ等のライフを2つ破壊だ!!」

 

二双の口を開けて豪炎を吐き付け、さらにライフを破壊。

 

「ぐッ!! ライフ減少時でバースト!! イマジナリーゲート!」

「!」

「効果で手札にある黄色のスピリットカード1枚をノーコストで召喚できる!!」

 

やられてもただでは起きない。今度は光黄がバーストを発動させると、バースト効果により反撃の狼煙と成り得るそのカードを構える。

 

「来たれッ! 煌めき羽ばたく堕天の龍よ! 地に堕ちしその身を再び天へと羽ばたき降臨せよッ!! 堕天神龍ヴィーナルシファー、召喚ッ!」

 

黒雲の空、雷鳴轟く稲光と共にフィールドへと舞い降りるヴィーナルシファーの姿。光黄のキースピリットの存在に警戒する様に烈我達も構える。

 

「キースピリット、まさかこんなに早く出してくるなんてな!!」

「次は俺のターンだ、ここから全力で行かせてもらうぞ!」

 

 

────第7ターン、光黄side。

 

[Reserve]8個。

[Hand]4枚。

[Field]堕天神龍ヴィーナルシファーLv.1(1)BP6000、スカルガルダLv.1(1)BP4000。

 

「バーストセット! さらにマジックでセカンドサイト! デッキの上から3枚確認し、好きな順番で入れ替える」

 

3枚のカードを見ながら静かにその順番を入れ替えて行く。何かを狙う様彼女の様子に当然警戒心も強くなる。

 

「マチア、お前のブレイヴ貸してもらうぞ?」

「どうぞご遠慮なく」

 

マチアの言葉に頷くと、さらに続けて行く。

 

「ヴィーナルシファーをスカルガルダとブレイヴ! さらにLv.3にアップし、ヴィーナルシファーでアタック!」

「!」

 

準備は全て整ったようにヴィーナルシファーに攻撃指示を送ると、猛々しく吠えながら翼を広げて進撃を開始する。

 

「フラッシュ! 合体アタック時効果で手札にあるタマモノインを破棄する事でマジックカードが出るまでデッキを破棄し、マジックカードが破棄されればそのマジックをノーコストで発揮する!」

 

セカンドサイトの効果で予めデッキのカードは分かっている。デッキトップから弾き飛んだカードをそのまま掴み、突き出す。

 

「マジック、ディーバーメドレー(Rv)! 効果でスーパーディラノスをデッキのボトムに送る!」

「何ッ!?」

 

音色を具現化するように飛び出す音符、スーパーディラノスの周囲を取り囲むように輪を描くと、そのままスーパーディラノスを拘束し、デッキボトムへとフィールドから追放させてしまう。

 

「ちぃッ!!」

 

場にスピリットはなく、ライフで受ける以外の選択肢はない。そのままヴィーナルシファーは自身の電撃を両爪に纏わせ、雷を帯びたその爪でバリアを引き裂き、ライフを二つ破壊し返す。

 

「「ぐああああああッ!!」」

 

衝撃と苦痛が一気に烈我達を襲うがそれでも痛みに耐えきり、まだまだこれからと言わんばかりにその目のに滾る闘志はなおも輝く。

 

「俺はこれでターンエンドだ。さぁ烈我、次はお前の番だ」

「あぁ! 俺もお前と同じ、やられっぱなしじゃねぇんだぜ! それを見せてやる!!」

 

 

────第8ターン、烈我side。

 

[Reserve]12個。

[Hand]6枚。

[Field]なし。

 

「まずは俺のターン! シキツル召喚、召喚時効果で1枚ドロー!」

 

無人のフィールドに呼び出されるシキツル、出現と同時に鳴き声を上げてその召喚時効果で1枚のカードをドローし、そのカードが視界に映った瞬間、ニヤリと口角を上げる。

 

「来い! 黒炎を纏う暗き闇夜の超新星!!! 滅神星龍ダークヴルムノヴァ(Rv)をLv.3で召喚だァッ!!」

 

晴れた空が一瞬にして暗い夜へと切り替わると、闇夜の中、身に纏う紫電と周囲に集う霊魂の光に照らされながらフィールドへと降臨する魔王ともいうべき存在、ダークヴルムノヴァ。

 

「ダークヴルムノヴァの効果発揮! 相手のブレイヴを強制分離させて破壊だッ!!」

「ッ!!」

 

装備しているスカルガルダに向けて腕を翳した瞬間、スカルガルダは強制的にヴィーナルシファーから取り外されたかと思うと、スカルガルダの周囲の空間は円状に隔離され、そのまま徐々にダークヴルムノヴァは翳したその手を閉ざしていき、それに連動するように空間は縮むように収縮。

次の瞬間には、手を完全に握り閉ざすと、スカルガルダはそのまま圧縮された空間に圧し潰され破壊される。

 

「アタックステップ! ダークヴルムノヴァでアタック!! アタック時効果! ヴィーナルシファーを破壊する!!」

「!!」

 

翼を広げてヴィーナルシファーへと突っ込み、ヴィーナルシファーも先程と同様、両爪に雷を纏わせ、迎え撃つかのようにダークヴルムノヴァへと向かい、互いに鋭きその爪を振り下ろし切り合って行く。

行く度も斬り合う度にぶつかり合う互いの爪は、ガキィイとまるで刀が打ち合うかのような金属音に近い音を響かせる。ヴィーナルシファーは一気に決めようと、大きく振りかぶり渾身の力を込めて爪を振り下ろするが、瞬時にそれを見切って紙一重で避け、大振りの攻撃を避けられた事で一瞬体勢が崩れる。

その隙を見逃す訳がなく即座に反転し、尻尾をヴィーナルシファーに叩きつけ、後方に弾き飛ばし、ヴィーナルシファーは咄嗟に空中で態勢を整え直すが、ダークヴルムノヴァは口を大きく開き追撃するように黒炎を吐き付け、その攻撃には避けきれず、直撃を受けてヴィーナルシファーは破壊される。

 

「ダークヴルムノヴァのメインアタックは続いてる! このまま一気に押し通させてもらうぜ!!」

 

相手のキースピリットを倒した事で戦況は一気に烈我達の優勢へと立つ。そう、その場の誰もがそう思うことを疑わなかった、だが。

 

「フラッシュ! ディフェンスネビュラ! 効果でダークヴルムノヴァをLv.1に強制ダウンさせる!」

「けど、レベルダウンした所でダークヴルムノヴァのアタックは止められないぜ!!」

「分かってる。その攻撃はライフで受ける!」

 

レベルを下げられた事でダークヴルムノヴァは一瞬項垂れるがまだ攻撃事態は継続している、両腕を合わせ、まるで鈍器の如くバリアへ腕を振り下ろしライフを砕き、衝撃に表情を歪めるが、それを待っていたように目を見開く。

 

「ライフ減少時でバースト発動! 妖雷スパーク!!」

「!?」

「相手のスピリット2体をBP-5000、0になったスピリット破壊だ!」

「しまった! 今のダークヴルムノヴァのBPは!!」

 

Lv.1となったダークヴルムノヴァは丁度BP5000。マジックにより放たれる雷撃がシキツルとダークヴルムノヴァを直撃し、2体共一気に破壊される。

 

「フラッシュ効果だ、俺はさらにデッキから1枚ドロー。どうだ? これで終わりか?」

 

なおも挑発するように言い放って見せ、やはりまだまだ光黄の方が戦略という点では烈我よりも何枚も上手だった。

 

「……すっげぇ、やっぱそれでこそ光黄だぜ!」

 

だが、それでもなお烈我の闘志は尽きていない。寧ろその逆、主力となるダークヴルムノヴァを破壊されてもなお諦める事は無く、必ず勝つという気持ちは益々膨らんでいく。

 

「お気楽なもんだな、テメェの主力は失ったってのに」

「まっ、光黄の事だから何か手はあると思ってたさ。けどだからこそ、あんなに強いアイツだからこそ、俺は勝ちたいんだ! だからドレイク、お前の事も頼りにしてるからな!」

「……お前の指図は受けねぇつってんだろ?」

「指図じゃねぇ。ただ、信じるって言ってるだけだよ! タッグパートナーとして」

「くだらねぇ。俺は俺のバトルをするだけだ」

 

相変わらず苛立ち気味に返答するドレイクだが、烈我自身は何かを感じ取っているのか、今までの様に口論する事は無く、バトルに意識を集中するように真っ直ぐ光黄達を見据える。

 

「全く、カウンターは決めたし、相手のタッグ相性は見ての通りなのに、本当どうしてかな。まだまだ油断できそうにないね」

 

ドレイクと烈我の様子に呆れ半分に言葉を零しながらも、もう半分は可笑しそうに笑うマチアに対し、光黄は冷静に「当然だ」と即答で返す。

 

「どれだけ追い詰めてもアイツは絶対に諦めない。そういう奴なんだ、だから最後まで油断なんてするな」

「好評価だね、流石アンタのお気に入りってとこ?」

「そういう言い方はいい加減やめろ」

 

マチアを一瞥しつつ、「けど」と彼女は言葉を続ける。

 

「アイツとのバトルは、本当に遣り甲斐があるっていう事だけは確かだ」

「なるほどね、それじゃアタシも次のターン、気合い入れていくかな」

 

様々な感情が絡み合う決勝、ここまでで互いの力量はほぼ互角。果たしてどちらが優勝を決めるのか、嵐の前の静けさの様に空気が変わり、試合はさらに激しさを増していくのだった。

 




如何でしたでしょうか第13話!!
今回は前後編という事で、決勝のバトルの行方は次回ということで!!
後編のバトルも見所のあるバトルを書き上げて行きますので何卒ご期待いただければ幸いです。タッグバトルトーナメントもいよいよ大詰め! ご期待ください!!

そして話は変わりますが、もうすぐガンダムもいよいよバストピに参入しますね。まだ組むかどうかは決めてませんが、戦ってみたいと思います。

今まで書いたバトスピ小説の中にもゴモラやブラックウォーグレイモンなどコラボスピリットを登場させてますが、いつかガンダムも書いてみたいですね。


それでは次回もよろしくお願いします!
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