バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第17話【暴食の黒龍】

砂漠地帯の中央に聳える一角の砦、砂漠の道程を超えてその砦へと近づく影が二つ、マチアとヴァンと二人。視界のほとんどが砂で覆われるがそれでもようやく砦が視界に映る距離にまで近づく。

 

『止まれ!』

「「!」」

 

だがそんな二人を呼び止める声、目の前には砦の入り口で立ち尽くす兵士の様な武装をした男の姿、見た限りでは恐らく門番と行った所だろう。

 

「貴様達、一体何者だ?」

「帝騎が一人、ヴァン」

「帝騎……最近耳にする組織の幹部か!!」

 

組織の名に聞き覚えがあるのか、警戒心をより強く抱いて構える。

 

「ハハ、心配すんなよ。罪狩猟団はもうじき脱退予定だ」

「脱退?」

「だが生憎その為に必要なもんがある。この地に眠りし、禁断の力がな!!」

 

大きく口角を上げて発言するヴァンに、門番の兵士の顔色が変わる。

 

「! 貴様何処でそれを……!!」

「ごめんね。それについてはアタシ、情報屋だからさ」

 

今度はマチアが兵士に返答、情報屋と名乗るその回答は二人がこの砦にあるものを全て把握しているという意味として充分だった。

 

「あの力には誰も触れてはならぬ!! 大人しくここを立ち去れッ!!!」

 

声を荒げてそう言った言葉は忠告ではなくもはや警告、従わねばどうなるかその説明は不要な様に既に数名の兵士がマチアとヴァンの二人を取り囲んでいた。

だが、取り囲まれてなお当然退く気等毛頭ない。周りの兵士達を睨みながら二人もデッキを構える。

 

「力づくでも押し通る! そうでなきゃ俺にこの先はねぇッ!」

「アタシは面倒事に巻き込まれるのは御免なんだけどね」

 

口ではそう言いながらもその行動はヴァンと同調するかのように二人ともデッキを構え、そして挑み掛かる門番達とのバトルを繰り広げる。

 

 

***

 

 

「な、何なのだ此奴は!!」

 

舞台は元の世界に戻り、目の前に現れるシュオン、絵瑠にとっては初めて見る未知の生物の姿に思わず腰が引けるようにその場で尻餅を付く。

 

『女、貴様の内にある欲望、喰らわせてもらうぞ?』

「な、何を言ってるんだ」

『説明は不要だ!』

 

絵瑠の意思は眼中にないのか、絵瑠の足元の影に向かってシュオンはまるで水に潜るかのように影の中へ入り込む。

 

「!!」

「絵瑠!!」

 

事切れた様にガクンと項垂れる絵瑠駆け寄るが、そんな烈我を制止させるようにすぐさま立ち上がる絵瑠。

 

『烈我! 離れろ、此奴は……!!』

 

呼び止める様にその場に飛び出すバジュラに思わず立ち止まり、一方で立ち上がった絵瑠は静かに笑みを浮かべ。

 

「あぁ、この女の体暫く借りさせてもらっている!!」

 

そこに絵瑠の意識はない、完全にシュオンが体の主導権を握ったように笑って見せた。

 

「バジュラ、どういう事だよ!! 七罪竜ってそんな事まで」

『違う、俺達にそんな能力はねぇ。こいつにだってそんな能力はなかった筈だ!!』

「!?」

 

「あぁ俺、嫌、私は進化している。暴食の罪は喰らう事、喰らってきたのは人間共の欲望!! その力を喰らい進化し続けてきた」

「欲望を!?」

「欲望は人が生きる上でその活力となりし感情、中でもこの女の感情に込めた欲望は底知れない!!」

「!!」

「他者に対する強欲、嫉妬、憤怒。これ程感情が入り混じる強い欲望は初めてだ、まさに極上の欲!」

「欲望を喰らうって、絵瑠はどうなるんだよ!!」

「さぁな。だが悪い様にはしないさ、なんせこの女の欲望を叶えてやるんだから」

「何?」

「欲望が満たされた瞬間、幸福として最も純度の高い感情のエネルギーとなる。まさしくそれは極上の美味、それを喰らってこそ力の糧となる!」

 

『シュオン、そういやテメェ前に言ってたな、力を蓄え続けて生まれ戻ると、あれはどういう意味だ?』

「……少し、話してやるか」

 

バジュラに視線を向け、静かに絵瑠の体を通してシュオンは語る。

 

「バジュラ、お前達と違って私には数億年前の記憶がある」

『!』

 

「断片的だがな」と補足を入れたかと思うと、突然絵瑠の体から飛び出すシュオンの姿、だがその姿は半透明であり、あくまで思念体なのか本体はまだ絵瑠に取り付いたまま。

 

「今でこそこんな形だが、それは本当の姿ではない、カードに封じ込められ、バトルの時でしか実体化できないそんな不完全な存在では決してない!」

『何だと?』

「より強大で、他者の全てを超越するあの姿……! あれこそ本来の力! どういう経緯で失ったかは覚えていないが、それでもかつて手にしていた力だと、直感している」

『ハッ、世迷言を!』

「信じないならそれで構わん。だが昔の記憶もろくにない貴様等と違って俺は確かに覚えている、今以上に自分に滾っていた力、一度力を振るうだけで絶望し抗う事すら忘れる者共の表情、俺の記憶に残っている!」

 

脳裏に焼き付く記憶、断片的にとはいえ、その光景を鮮明に思い返しながら強く目を見開く。

 

「だから俺は取り戻したい! かつての力を!! だから俺は喰らい続ける! 己が為に他人の欲望をな!!」

 

声高らかに自分自身の欲望を語るが、そんなシュオンに対し烈我は拳を握りしめながら。

 

「ふざけんな!!」

「!」

「その為に絵瑠を利用しようってのかよ!! お前の勝手な欲望の為に!!!」

「だとしたら、何だ?」

「決まってる、絵瑠からとっとと離れやがれ!」

「……一つ聞くが、この女と貴様は他人同士の筈だろ?」

「関係ねぇよ!!」

 

シュオンの言う通り、まだ烈我にとっては絵瑠の事をよく知らない。だが烈我にとってはそれが黙って見過ごす理由になる訳では決してない。

 

「そりゃ確かにまだ知り合ったばっかだし、端から見れば他人だ。けどな、お前みたいに自分勝手に他人を利用する奴は、理由はなくともムカつくんだよ!!」

 

シュオンに対し強い怒りを込めて睨み、そんな烈我の感情にバジュラも笑みを浮かべる。

 

『烈我、テメェも俺の相棒としてらしくなってきたじゃねぇか。いい怒りだぜ!』

「バジュラ、頼むぞ!」

『あぁ、聞くまでもねぇ。アイツをぶっ飛ばしたい、そう思ってる怒りは俺もお前も一緒だ!!』

 

「ふん、バジュラもバジュラならその持ち主も持ち主か。まぁどの道、お前の狙いの一人だ、この場合、手間が省けたと思うべきか」

「何!?」

「バトルしてやる、お前が勝ったら俺はこの女から手を引く。それでいいだろ?」

「!」

 

何か狙いがあるのか、その挑戦を受けるようにデッキを取り出し、烈我の前に突き出すように構える。

 

「助けたいんだろう? それとも口だけだったか?」

「やってやる!! バジュラ!」

 

烈我の言葉に頷くと共にバジュラはカードの状態に切り替わりそのカードを手に取る。

 

「では始めるか!」

「あぁ、俺が勝ったら必ず絵瑠は解放しろ!」

「心配しなくても約束は守るさ」

 

絵瑠の返事を合意と取ると、手に持つキューブをそのまま足元に投げ込む。

 

「「ゲートオープン! 界放ッ!!」」

 

二人の宣言と共にバトルフィールド、文字通り戦場となる場所へと転送されていく。

 

 

────第1ターン、烈我side。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「ネクサス、オリン円錐山を配置! ターン終了だ」

 

 

────第2ターン、絵瑠side。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「私のターン、クリスタニードルをLv.2で召喚。さらにネクサス、シヴァの破壊神殿を配置。これでターン終了」

 

今絵瑠の意識はなくシュオンに体を乗っ取られている状態だが記憶を共有しているのだろうか、彼女のデッキでの戦いを熟知してる様に冷静にカードを捌き、ターンを終了。

 

 

────第3ターン、烈我side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

[Field]オリン円錐山Lv.1(0)。

 

「(クリスタニードル、いきなり厄介なスピリットだぜ)」

 

クリスタニードルは相手によって破壊された場合、ネクサス1つを破壊する効果。不用意にその効果を発動させ、先程配置したばかりをオリン円錐山を破壊されるのは得策ではない。

 

「とは言えこんな序盤で躓いてられるか! メインステップ、レイニードルと煌星の第五使徒テティスをLv.2で召喚!」

 

スピリットを展開しそのまま勢いに乗るようにアタックステップの開始を宣言。

 

「行け、レイニードル!!」

「クリスタニードルでブロック」

 

その容姿は近い見た目を持つ両者、互いの相手に向かって突進し激突する青龍と紫龍。だが僅かにBPの上回るクリスタニードルに力は分配が上がり、そのままレイニードルを押し返すと、弾かれたレイニードルにそのまま噛み付き、レイニードルは悲鳴を上げながら、光となって四散し消滅する。

 

「今が攻め時だぜ! テティスでアタック! アタック時で1枚ドロー!!」

 

スピリットを1体失いながらも、クリスタニードルが疲労しバトルできない状態なら破壊時効果を警戒する必要はない。残るテティスは味方が破壊された借りを返さんと猛ける様に吼え、絵瑠へと向かって行く。

 

「ライフで受ける」

 

渾身の力を籠めて、握りしめた拳をバリアに向かって突き出し、殴打による一撃がライフを砕き、その衝撃が絵瑠に降りかかるが。

 

「……フン」

「!」

 

まるで何事もないかのように涼しい顔で平然とし、衝撃は相応の物だったはずなのに攻撃したテティスも手応えが感じれない様に動揺し、それは烈我もまた同じ。

 

「(絵瑠は確かこのフィールドでのバトルは初めての筈なのに、まるで何ともねぇみたいだな。シュオンが完全に意識を乗っ取ってるせいか)」

 

シュオンによって意識を完全に支配されている今、もはやその精神は完全に肉体を凌駕し、ライフを削られるダメージ等どうという事は無い。

 

「終わりか?」

「ぐっ、やり辛ぇぜ。ターンエンド」

 

 

────第4ターン、絵瑠side。

 

[Reserve]5個。

 

「ドローステップ開始時、シヴァの破壊神殿の効果発揮! 手札1枚を裏向きで手元に置く事でデッキから2枚ドロー!」

 

手札の1枚を裏向き状態でフィールドにセットされる。手元に置く効果は華黄の城門やアクセル等、酷似する効果が存在するが、それとは決定的な違いがある。

 

その要因は裏向きである事、手元に置いたカードの情報を相手に知られるのと知られないとでは戦略的に大きなアドバンテージの差だ。

 

[Hand]5枚、(手元)1枚。

[Field]クリスタニードルLv.2(2)BP2000、シヴァの破壊神殿Lv.1(0)。

 

「メインステップ、クリスタニードルをレベルダウンし、騎死龍グレイザスをLv.2で召喚!」

 

複眼を輝かせ手に持つ大鎌を振るう龍騎士────グレイザス。

死竜である彼が振るう得物はまさに死神の鎌という表現が何より正しい。

 

「グレイザス、行け!」

 

アタックと同時に味方である筈の鎌をクリスタニードルへと振り下ろすが、その鎌はクリスタニードルの身を全く傷つける事は無く、その代わりにオーラというべき光を刈り取る様に削る。

 

「グレイザスのアタック時効果、自分のスピリットが持つ『相手によるこのスピリットの消滅/破壊時』効果を消滅も破壊もさせずに発揮させられる!」

「!!」

「クリスタニードルの相手による消滅破壊時、相手ネクサス1つを破壊!」

 

オリン円錐山は紫の瘴気に取り込まれ、消滅。

 

「ぐっ!」

「グレイザスのメインアタック!」

「ライフだ……!」

 

バリアに鎌による刃を突き立てると、衝撃に顔を歪めながら受け切って見せる。

 

「まだ来るか!」

「嫌、これでターン終了だ」

 

目を瞑り、冷徹に言葉を吐き捨てながらターンを終え、不気味なまでその静かなバトルスタイルに底知れない違和感と不気味さを感じてしまう。

 

 

────第5ターン、烈我side。

 

[Reserve]6個。

[Hand]5枚。

[Field]煌星の第五使徒テティスLv.1(1)BP3000。

 

「行くぜ! 創界神アポローンを配置、神託でデッキから3枚破棄!」

 

破棄されたカードは「ライトブレイドラ」、「アドベントドロー」、「煌星竜スピキュールドラゴン」の3枚、対象はスピキュールのみである為、コア1つがアポローン追加される。

 

「さらに月桂竜ダプネドラゴンをLv.3で召喚! アタックステップ、ダプネドラゴン行け!!」

 

腕を持たず翼の見でワイバーンの様な姿のスピリットを呼び出すと、策がある様に笑いながら呼び出したばかりのダプネドラゴンへ合図を送ると、翼をさらに早く羽ばたかせながら、勢い良く絵瑠に向かってかっ飛んでいく。

 

「ダプネドラゴンのアタック時効果、俺のアポローンのコア1個をトラッシュに置く事でアポローンの【神技】発揮! クリスタニードルを破壊だ!」

 

ダプネドラゴンの輝きがアポローンを照らし、その光はまるでアポローンに力を注ぐかの様。弓を構え、そのままクリスタニードル目掛けて矢を撃ち抜くと、炎の矢はクリスタニードルを貫き、傷口から全身に炎が燃え広がり、炎に焼かれ消失。

 

「破壊した時1枚ドロー! さらにダプネドラゴンのメインアタック!」

「ライフ」

 

ダプネドラゴンは大きく口を広げて火炎放射を吐き付け、展開されるバリアを焼き尽くしていく。

 

「テティスでさらにアタックだ!」

「それもライフだ」

 

今度はテティスが飛び出し、バリアに向かって全身を使って勢いよく突進。ダプネドラゴンによってバリアの熱された個所を的確に狙い、脆くなっていたバリアは完全に崩壊し、ライフを2つ一気に砕かれる。

 

だがライフ二つを失ってなお、まるで堪える様子はない。

 

「その程度、なのか?」

「……ッ! ターンエンド」

 

攻撃してるのは自分の筈なのにまるでこちらが追い詰められている。そんな感覚が身を過る。だがこのターンで自分にできる事は無く、今は絵瑠にターンを返すしかない。

 

 

────第6ターン、絵瑠side。

 

[Reserve]7個。

[Hand]5枚、(手元)2枚。

[Field]騎死竜グレイザスLv.2(3)BP8000、シヴァの破壊神殿Lv.1(0)。

 

このターンもシヴァの破壊神殿の効果を処理し、再び手元にカードを1枚セットし、手札を増やしていく。

 

「クリスタニードルをもう一度召喚」

 

「そして」、と呟きながら前準備を整え終えた様に手札の1枚を構える。

 

「闇に生まれし龍王、紅蓮の炎を身に宿し、赤き深紅でその身を染めろ! 深紅の龍王ウロヴォリアススカーレットを召喚!」

 

紫炎と赤き烈火を混ぜ合わせたような火柱が噴き上げ、その炎の中心に君臨する龍王、大きく咆哮を轟かせ、咆哮による風圧のみで周囲の炎を吹き消し、威風堂々たるその姿を魅せ付ける。

 

「召喚時効果発揮、私のソウルコアをライフに【封印】!」

「!!」

 

ライフに灯る赤い輝き、そして間髪入れずにアタックステップを開始を宣言すると同時にウロヴォリアススカーレットは赤く眼光を輝かせてダプネドラゴンを睨んだ瞬間、テティスの体が突然炎に包まれる。

 

「!?」

「ウロヴォリアススカーレット封印時の効果、私の各ステップ毎にBP5000以下の相手スピリットを破壊!」

「各ステップ毎!?」

 

龍王が睨むだけで並大抵のスピリットは一瞬にして破壊されてしまう。そうなれば無闇に展開しても、簡単に除去されていくだけだ。

 

「ぐっ! でもこっちだってダプネドラゴンの破壊時発揮、1枚ドロー!」

「知っている。その為にグレイザスのレベル維持したんだからな」

 

ダプネドラゴンの破壊時効果はドローとは別に、相手のBP6000以下のスピリットを道連れにできるが、対象のスピリットは絵瑠の場にはなく、当然狙いは簡単に見通されてしまっている。

 

「アタックだ、ウロヴォリアススカーレット!」

「ライフで受ける!!」

 

そのまま牙に炎を灯し、炎を込めた牙でバリアへと喰らい付くと、そのまま容赦なく噛み砕き、ライフを破壊。

 

「うあッ!!!」

 

Xレア級のスピリットによる一撃、その威力も大きく堪え切れない痛みに思わず声を上げてしまうが、それでもまだ戦う意思を示す様に踏ん張って見せる。

 

「次だ、グレイザスでアタック」

「やらせるか! マジックでライジングフレイムを使うぜ!!」

「!」

 

迫るグレイザスだが、その目の前に突如として炎に形成された竜が現れると、そのままそのまま炎の龍はこちらへ向かってくるグレイザスを一飲みにし、破壊する。

 

「ほぉ、さっきのダプネドラゴンの効果で引き当てていたか。だが、エンドステップ!」

「ッ!」

 

ステップ開始と共にスカーレットは残るテティスを睨むと、ダプネドラゴンの時と同様、炎に焼かれて破壊される。

 

「ぐっ!」

「これでこちらはターン終了だ」

 

 

────第7ターン、烈我side。

 

[Reserve]10個。

[Hand]5枚。

[Field]創界神アポローンLv.1

 

「バーストセット! さらに煌星竜コメットヴルムをLv.2で召喚! アタックだ、コメットヴルム!!」

 

呼び出して早々に攻撃指示、コメットヴルムは翼を羽ばたかせるとともに雄叫びを上げる。

 

「アタック時効果、デッキから3枚オープン! その中にある「星竜」を持つスピリットを手札に加えられる!」

 

オープンされたカードは「龍星の射手リュキオース」、「魔界皇龍ダークヴルムレガリア」、「白晶防壁」の3枚。

 

「よし! レガリアを手札に加えて残りを破棄!」

「煌臨狙いか? だがそうはさせん。フラッシュタイミングだ、クリスタニードルからコストを確保し、手札にあるこのスピリットを召喚する!」

「何ッ!?」

「時を統べて空間を支配せし次元の破壊者! 召喚、時空の破壊魔龍ラクタヴィージャ!!」

 

空に走る亀裂、そして次の瞬間、空間を裂いてコメットヴルムの目の前へラクタヴィージャは降り立つ。

 

「ラクタヴィージャの効果、自身の効果で召喚後手札の1枚を手元に置き、その後相手が行っている現在のバトルを直ちに終了させる!」

「!!?」

 

コメットヴルムは攻撃を開始しようとその牙を向けるが、ラクタヴィージャは静かに腕を振り翳すと、次の瞬間、まるで時を遡るかのようにコメットヴルムは攻撃を開始する前の行動へと逆行し、そして烈我の元に戻ると疲労状態となりその場で項垂れる。

 

「バトルは強制終了、お前のフラッシュタイミングも当然発生しない」

「ぐっ!!」

「さぁ、ターンエンドだろ?」

 

絵瑠の言葉通り烈我にできる事は無い、そのままターンを明け渡し、絵瑠は口元を緩ませながら自分のターンを進めていく。

 

 

────第8ターン、絵瑠side。

 

「シヴァの破壊神殿の効果で、手札の1枚を裏向きで手元にセット、2枚ドロー」

 

[Reserve]6個。

[Hand]2枚、(手元)4枚。

[Field]深紅の龍王ウロヴォリアススカーレットLv.1(1)BP12000、次元の破壊魔龍ラクタヴィージャLv.1(1)BP3000、シヴァの破壊神殿Lv.1(0)。

 

何かを警戒してるのか、ウロヴォリアススカレーットの効果を使用しないままメインステップを迎える。

 

「ウロヴォリアススカーレットをLv.3に、ラクタヴィージャをLv.2にそれぞれにアップし、アタックステップ! スカーレットッ!」

 

タイミングを見計らっていたのか、今度は合図を送る様に叫ぶとコメットヴルムを睨み、そのまま炎に焼かれコメットヴルムは破壊されるが。

 

「いつまでもやられっぱなしじゃねぇぜ!! 相手による自分のスピリット破壊後でバースト発動! 爆星龍ガンマレイバーストドラゴン!!」

 

トリガーが引かれ、弾け飛ぶバーストカードを掴み取ると、そのままフィールドに呼び出しバースト召喚すると、フィールドに巻き起こる大爆発、その爆風より姿を魅せる龍────ガンマレイバースト。

 

「召喚時効果発揮! 相手のBP12000以下の相手スピリットを破壊だ!!」

 

両腕に握りしめた二刀の剣を振り下ろして地面へ叩きつけると、そのまま衝撃波が炎となって、地面を伝いラクタヴィージャを焼き尽くす。

 

「その程度、読んでいた! BPは所詮今のウロヴォリアススカーレットに及ばないだろ!!」

 

迂闊にスカーレットの効果を発揮させなかったのは全て、スカーレットのレベルを引き上げる為の準備。絵瑠の言葉通り、今のBP差ではブロックした所で返り討ちに合うだけだ。

 

「所詮浅知恵だったな。ウロヴォリアススカーレットでアタック!」

 

翼を大きく広げ、烈我へと襲い掛かって行くが。

 

「……そいつはどうかな!」

「!」

 

絵瑠に対し、まだ烈我の手は尽きていない、大胆不敵に笑って見せるとそのまま手札を構える。

 

「一つ言っとくぜ! 俺がさっきコメットヴルムでアタックした狙いはレガリアを手札に加える事じゃない、キースピリットをトラッシュに送る為だ!」

「何だと?」

「見せてやるぜ! 紫電と紅蓮を纏いし魔界の龍! 闘志に震える魂をもう一度呼び起こせッ! 魔界幻龍ジークフリードネクロ! ガンマレイバーストドラゴンに煌臨ッ!」

 

黒い炎がガンマレイバーストドラゴンの体を包み込んで行き、そして炎の中でガンマレイバーストドラゴンはジークフリードネクロへと生まれ変わり、より強大となった力を示す様に吼え、炎を掻き消す。

 

「煌臨時効果発揮! トラッシュにあるコスト0/1/3/6/9のスピリットをそれぞれ召喚! 皆、もう一度出番だぜ!!」

 

フィールドに一気に蘇るライトブレイドラ、レイニードル、テティス、そして残るもう一体は。

 

「こいつを前に絶対はねぇ! 鉄壁の壁だろうが無敵の相手だろうが一撃必中必殺の矢を叩き込めッ! 龍星の射手リュキオース、召喚ッ!」

 

左右に展開するように噴き上げる炎の火柱、そして遥か後方より白獣に跨りフィールドへと駆け抜けて参る龍、リュキオース。

 

「星龍を持つスピリットの召喚でコアを神託! さらに【超祈願】の効果でコア3個をアポローンに追加し、一気にLv.2にアップさせる!」

 

アポローンにコアが一気に追加され、創界神はその光を増す様に神々しく輝くが効果はそれに留まらない。

 

「さらにリュキオースの【龍射撃】発揮!! ライトブレイドラの【強化】と合わせて、BP21000以下のウロヴォリアススカーレットを破壊だ!!」

 

飛び掛かるウロヴォリアススカーレットに向けてリュキオースは矢を構え、ライトブレイドラは鳴き声を上げてエールを送ると、さらに力を増す様にリュキオースは弦を弾き、そのままスカーレットに向かて矢を射抜くと、炎の矢は硬いウロヴォリアススカーレットの鱗を貫き、射抜かれたスカーレットは地上へ真っ逆様に墜落し、大爆発を起こす。

 

「……ターンエンドだ」

 

少なからず動揺しているのか、僅かに反応を見せるのみでターンエンドのコールし、相手の様子が気になりつつも、今は絶好の好機。

 

 

────第9ターン、烈我side。

 

[Reserve]6個。

[Hand]4枚。

[Field]魔界幻龍ジークフリードネクロLv.1(1)BP1000、龍星の射手リュキオースLv.1(1)BP6000、煌星の第五使徒テティスLv.1(1)BP3000、レイニードルLv.1(1)BP1000、ライトブレイドラLv.1(1)BP1000、創界神アポローンLv.2

 

「このターンで決めてやる! ネクロとリュキオースをLv.3にアップ、アタックステップだ!!」

 

残るライフは3つ、ブロッカーもない今当然攻撃あるのみ、アタックステップ開始と共に一番手を務めたのはテティス。

 

「アタック時効果、1枚ドロー!」

「ライフで受ける」

 

テティスによる攻撃が決まり、残るライフは2つ。

 

「次だ! ジークフリードネクロでアタック!」

「フラッシュタイミング、手元からシヴァカタストロフィーを使用だ」

「!」

 

手元に伏せていたカードを手に取り、そのマジックを発動させるとコアを置いたばかりのリュキオースとネクロのコアがまたリザーブに戻されてしまう。

 

「シヴァカタストロフィーの効果で相手スピリット全てコア1個だけになるようそれぞれリザーブに送る。さらに手持ちに裏向きカードが3枚以上あれば、コア1つのスピリットじゃライフは削られない」

「なっ!?」

 

フィールド全体に迸る紫電の雷、マジックに攻撃を受けそれに動きを制限されながらも手に持った杖をバリアに振り下ろすが、思う様に力を発揮できていないのかバリアを破壊する事は叶わず、攻撃は弾き返されてしまう。

 

「(これじゃあ他のスピリットでアタックしても意味がない!)」

 

絶好のチャンスにも関わらず、みすみすその好機を逃してしまう事に悔しさを感じずにはいられない。ターンエンドと覇気を失うコール、そんな烈我を絵瑠はあざ笑うように口角を上げる。

 

 

────第10ターン、絵瑠side。

 

[Reserve]12個。

[Hand]3枚、(手元)4枚。

[Field]シヴァの破壊神殿Lv.1(0)。

 

このターンもシヴァの破壊神殿の効果を処理し終え、続くメインステップ。

 

「クリスタニードルを召喚、さてそろそろ茶番も終わらせようか」

「えっ?」

「遊びは終わり、そう言っている。精々その目で見届けろ!!」

「(何か来るッ!?)」

 

手札には目も繰れず、伏せているカードを手に取った瞬間、絵瑠の影に潜んでいたシュオンがその姿を見せる。

 

「決して潰えぬ常闇の影、全て無に帰す暴食の闇で何もかも喰い尽くせッ!!! 召喚、闇影夜龍エルドラシュオン、Lv.3!」

 

シュオンの体に纏う瘴気が一気に広がると、どす黒い瘴気は自身とその周囲を完全に覆い隠し、光をも通さないその影を前に烈我達は静かに息を呑む。

 

そして静かに闇が晴れて行くと、姿を見せたのはどす黒い体表に覆われ、鋭い牙と爪を掲げる黒龍。その姿こそ、エルドラシュオンの真の姿。

 

「こ、これが……暴食の、七罪竜」

『(ついに出てきやがったか、シュオン)』

 

息を呑むようなその姿に思わず烈我もたじろぎ、バジュラもまたフィールドの光景を見ているのか、フィールドへ現れるシュオンを前にその殺気を感じ取っていた。

 

『グルアアアアアッ!!!』

 

シュオンの咆哮に大気が震え、その眼光と殺気は全身が凍り付くような感覚だった。言葉を発せず、息もできなくなるかと錯覚する程、それ程までにシュオンの姿は脅威となる存在だと、言わざるを得ない。

 

「来る!!」

 

迎えるアタックステップ、だがそれでも退く訳には行かず、シュオンに気圧されながらも、必死に心を強く持つように構えるが。

 

「ターンエンド」

「!!?」

 

烈我の予想に反して、彼女が口にしたのはターン終了の宣言。何を狙っているのか、全く烈我には考えつかないが、それでも再び巡ってきたチャンスには違いない。

 

 

────第11ターン、烈我side。

 

[Reserve]7個。

[Field]魔界幻龍ジークフリードネクロLv.1(1)BP1000、龍星の射手リュキオースLv.1(1)BP6000、煌星の第五使徒テティスLv.1(1)BP3000、レイニードルLv.1(1)BP1000、ライトブレイドラLv.1(1)BP1000、創界神アポローンLv.2

 

「何のつもりかは知らないけど、何もしないなら攻め切らせてもらうだけだぜ!! ドローステップ……!」

 

引いたカードに思わず烈我の目の色が変わる、そのカードはシュオンと同じ七罪竜であるバジュラブレイズのカード。

 

「バジュラ、来てくれたのか!」

『おぉよ、情けねぇ面しやがって!! とっととあの野郎ぶっ飛ばしてやるぞ!』

「あぁッ!!」

 

先程までシュオンに圧倒されていたが、激励するバジュラに一気に不安な気持ちが晴れた。力強くバジュラの言葉に頷き、エルドラシュオンを見据えてなお怯まずバトルに集中する。

 

「頼むぜ相棒! 罪を背負いし怒りの竜! 憤怒の炎、烈火で地獄さえも焼き尽くせ! 爆我炎龍バジュラブレイズ、Lv.3で召喚だぁーーッ!!」

 

不足コスト確保の為、レイニードルとライトブレイドラは消滅。そしてバジュラのカードをフィールドへ呼び出すと、空は一気に紅蓮に染まり、紅蓮の空より無数に降り注ぐ流星群、流星は地上へ衝突し一部を残して衝撃が大地を抉り、そして残るその舞台の上に巨大な火球が降り注ぐと、炎の中に蠢く龍の影。

 

『来たか、バジュラ!』

 

炎の中を見据えるように呟くシュオン、その言葉通り炎を振り払いバジュラはフィールドへ降り立つと、シュオンに向かって大きく咆哮。

 

『随分が待ったがようやくテメェをぶっ倒す時が来た!! ありったけの怒り、テメェにぶつけてやるぜェ!!」

『フッ、怒りだと? そんなもの、俺には遠く及ばない』

『あぁ?』

『お前の罪など、とうの昔に超えている!』

『ハッ、言ってくれんじゃねぇか。だったら試してみろやッ!!』

 

シュオンに対してバジュラも烈我と同じく臆する事無く強く言い放ち、いつもと変わらないバジュラに烈我も自信づけられる。

 

『さぁ烈我! ぶちかましてやれ!!』

「あぁ!! 行くぜ、アタックステップ! バジュラで──」

『この瞬間! 俺の能力を使うぞ! 【闇影(シャドー)】、発動!」

「何っ!!?」

 

シュオンは眼光を輝かせると、シュオンは口を大きく開き、ブレスを吐き付けてそれは煙幕の様にどす黒い瘴気となり、烈我のスピリット達全てを取り込み、闇の中にその姿を眩ませる。

 

「バジュラ!? リュキオース! ネクロ!!」

 

暗闇の中に飲まれたスピリット達を視認できず、安全を確かめる様に叫ぶが応答は帰ってこない。バジュラもまた闇の中、辺りを見渡すが烈我は勿論、直ぐ近くにいた筈のネクロやリュキオース達の姿すら確認できない。

 

『烈我!! 俺ならここだぁッ!!!』

「バジュラ、どこにいるんだよ!!!」

『(!?、俺の声が届いてねぇのか?)』

 

暗闇の中、烈我の声は聞こえているものの逆にバジュラの声は烈我には全く届かず、リュキオースやネクロ達もまた応答する様に力一杯吼えるが、いずれの声も烈我には聞こえない。

 

『これが俺の能力だ、【闇影(シャドー)】、その効果は相手のアタックステップ開始時、相手のスピリット全てを裏向き状態にする。闇の中にいるバジュラ達の声や気配、もはやそれをお前が確認する事は不可能だ』

「な、何だと!?」

『スピリット達に届くのはお前の指示だけ、だがお前はスピリットを確認できない。攻撃を行う場合、裏向きのカードからランダムに選べ』

「!!」

『さぁ、どうする?』

 

相手のスピリットは一体だけ、このチャンスを逃す訳には行かない。

 

「ぐっ! アタックだ!!!」

 

決断するように暗闇の中で攻撃指示を繰り出すと、闇の中を飛び出したのはリュキオース、BPはシュオンには及ばず、望んだアタッカーでない事に思わず歯噛みする。

 

「ぐっ!」

『どうやら外れのようだな、リュキオースは俺自身でブロックさせてもらうぞ』

 

迫るリュキオースを迎撃するべくシュオンは翼を広げて一気に飛び出し、リュキオースは矢を構えシュオンを狙い撃つが、放たれる矢をその鋭い爪で全て斬り落とし、全くスピードを落とす事なく突っ込み、そのまま両爪をリュキオースに突き刺し、引き裂いて破壊する。

 

「リュキオース!!」

『まだだ、さらに効果発動! 【闇殺(アサシン)】!』

「今度は一体!?」

 

シュオンはそのままバジュラ達を包む闇の中へ飛び込む。

 

『バジュラ、悪いがお前等はここまでだ』

『!?』

 

全く光を通さないその闇の中で、シュオンははっきりバジュラを捕えているのか、そのまま爪でバジュラを斬り裂いていく。

 

『グァッ!! テメェッ!!!』

 

攻撃を受けてよろけながらも、咄嗟に攻撃を受けた方向へ反撃するように拳を突き出すが、手応えはなくバジュラの拳は空を切っただけに過ぎず、今度はシュオンの爪が無防備となった背後を斬り付ける。

 

『うぐっ!! クソがぁぁぁッ!!』

 

苛立つ様に辺り構わず炎を吐き付けるが、攻撃は全てシュオンには届かない。

 

『無駄だ、光を失った闇の中を捕えられる生物等この世に存在しない、俺を除いてな』

『何だと!?』

『お前と俺では罪の器が違う!』

『!!』

 

連続でバジュラを斬り裂いていき、そのまま翼を広げて上空に向けて暗闇の中を飛び出すと、真下にいるバジュラに向かって爪を振り下ろし、振り下ろした斬撃は落雷の如くバジュラへと降り注ぐ。

 

『ッ!! ガアアアアアアアアッ!!!』

 

降り注ぐ斬撃、その攻撃にとうとう力尽き、地に伏してその場で爆発四散してしまう。

 

「バジュラ!? バジュラアアアアッ!!」

 

バジュラのカードが静かにトラッシュに送られ、咄嗟に呼びかける様に叫ぶが暗闇の中から返事が返ってくる事はなかった。

 

『さぁ頼みの綱も呆気なかったな』

「ぐっ!! まだだ!! さらにアタックさせる!!!」

『無駄な足搔きを』

 

再び暗闇の中から飛び出し、次に飛び出したのはジークフリードネクロ。

 

「フラッシュ、アクセル! 戊の四騎龍ブラックライダー! 効果でトラッシュにあるウロヴォリアススカーレットを蘇らせる! 不足コストはエルドラシュオンとクリスタニードルから確保」

 

クリスタニードルは光となって消滅するが、その光を糧としてウロヴォリアススカーレットは再びフィールドに舞い戻る。

 

「しまった!!

「ブロックだ、スカーレット」

 

ネクロのBP10000に対し、スカーレットのBPは12000。ネクロはウロヴォリアススカーレットに杖を振り下ろすが、翼を広げて飛び上がり、その一撃を躱すと、今度は急降下しての強襲。ネクロへと飛び掛かかり、そのまま勢いよくネクロを突き倒すとその首元に何度も喰らい付き、そして牙を突き立てて噛み裂くと、その場でネクロは大爆発を起こし破壊されてしまう。

 

『気は済んだか?』

「そ、そんな……!」

『ターンエンド、だろ?』

「ッ!! ターン、エンド」

『それでいい』

 

 

────第12ターン、絵瑠side。

 

「スタートステップ開始時、ウロヴォリアススカーレットの効果。テティスを破壊!」

「!?」

 

ウロヴォリアススカーレットに睨まれたテティスは再び炎に焼かれ、その場から砕け散る。

 

「エルドラシュオンとウロヴォリアススカーレットをLv.3にアップ、さらに混沌に巣食う暗闇の魔神、龍魔神、召喚だ!!」

 

異次元の向こうより空間を無理矢理抉じ開け姿を見せたのは異魔神ブレイヴの一角を担う龍魔神。

 

「ウロヴォリアススカーレットとエルドラシュオンに合体」

 

両腕を翳し、スカーレットとシュオンに己をリンクさせると龍魔神はその力を最大限に引き立てる様に唸り声を上げる。

 

「アタックステップだ! ウロヴォリアススカーレットでアタック!」

「ライフだ!!」

 

ウロヴァリアススカーレットはそのままバリアへ取り付くと、そのままバリアに牙を突き立て、衝撃に火花を散らせながら、烈我のライフを破壊。

 

「があぁッ!!」

「ウロヴォリアススカーレットのLv.2、3効果、系統「神皇」、「十冠」を持つ自分のスピリットによって相手のライフが減る時、そのコアはボイドに置かれる」

 

砕けたコアは本来リザーブへと送られるが、スカーレットがそれを許さない。リザーブに戻る筈だった光をスカーレットの眼光が跡形もなく消してしまう。

 

「そ、そんな!!」

「終わりだ、エルドラシュオンでアタック!」

『一つ目の欲望、達成だ!!』

 

そのまま高速で烈我の周囲を飛び回ると、両爪を振い下ろして行く、

 

『これで終いだ!』

 

最後に大きく爪を振りかざすと攻撃を終えた様に烈我に背を向け、シュオンが振り返った瞬間、その衝撃が遅れて伝わる様に斬撃がバリアを一気に切り刻み、崩壊と同時に最後のライフが砕け散る。

 

「うあああああああああッ!!!!」

 

 

***

 

 

『終わりだな』

「がぁっ……!」

『うぐぅっ……ッ!』

 

その場に倒れるバジュラと烈我、バトルで受けたダメージは相当な物なのか、まともに立ち上がる事さえできなかった。

 

『さてバジュラ、貴様の相棒を少し借りるぞ』

『て、テメェ……烈我を……どうする気だ?』

『この女の望む欲望として、傀儡になってもらうだけだ』

 

再びシュオンは絵瑠の影へ入り込むと、絵瑠は静かに腕を烈我へと翳し、何をしようとしているのかは定かではないが抵抗する力も残っていない。

 

「!」

 

瞬間、何かの気配を感じ取り、咄嗟に腕を下げて身を引き、次の瞬間、飛び出していた影を間一髪避けその影を睨むと、影の正体はキラー。

 

「お前……!」

『また会えたな、シュオン!!』

「キラー、何故お前がここに?」

『はは、それについては俺の相棒について感謝してんだ』

「何?」

 

振り返るキラーと同じ方角に絵瑠も視線を向けるが、そこにいたのはミナトの姿だった。

 

「お前は……」

「余計な紹介はいらねぇだろ、俺が言いたいのは唯一つだ」

「?」

 

いつもはチャラけた態度に軽い言動の目立つミナトだったが、今はそんな事を微塵も感じさえない様にその目には強い感情が篭っているように感じられた。

 

「とっとと絵瑠から離れろ、このクソ野郎!」

 

普段決して見せない怒りの感情、その怒りを剥き出しするように絵瑠に取り付くシュオンを睨み、デッキを構える。

 




ついに登場!! 五体目の七罪竜!!
早速、そのスペックをチェック!!


黒影夜竜エルドラシュオン 9(4)、紫。
系統:死竜、罪竜
Lv.1(1)BP9000、Lv.2(2)BP11000、Lv.3(4)BP15000。
Lv.1、Lv.2、Lv.3『相手のアタックステップ開始時』【闇影(シャドー)
相手スピリット、アルティメット上のコアを全て持ち主のリザーブに戻し、裏向き状態でフィールドに置く。
その後相手は、裏向きのカードをランダムに選択してもよい。そうした場合、そのカードを元の状態でフィールドに戻し、その後そのスピリットを疲労させてアタック中の状態として扱う。
相手のアタックステップ終了後、このスピリットの効果で裏向きにしたカードをすべて元の状態でフィールドに戻す。
Lv.2、Lv.3『このスピリットのバトル時』【闇殺(アサシン)
BPを比べ、相手スピリットだけを破壊した場合、相手のフィールドにある裏向きのカード1枚をトラッシュに送る。


だいぶややこしいスペックとなってしまいましたね。
ちなみに補足として、シャドーの効果で裏向きになったカードはフィールドに存在しないものとして扱われるのでネクロのようにフィールドにいる事で効果を及ぼす効果も裏向きの場合には発揮されないのであしからず。

またリュキオースなどの様にアタックと同時に即時発揮される効果も不発になります。ただしアタックによるBPアップ等、アタック中の間有効となる効果は使用可能となります。
ややこしいですがご周知でください(;m^ω^)m

キラーの効果が自身を隠す効果だとすれば、シュオンの効果は逆に相手を書く効果となる訳です。


漸く5体目の七罪竜かけて、残り2体! 一体どんな効果となるのか、是非ともご期待いただければ幸いです!!
そして物語は睨み合うキラーとシュオン!! 傲慢vs暴食の開戦か!!
次回も是非よろしくお願いします!!!!
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