バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第21話【宝龍の一撃 鋼鉄兵器起動】

「よぉ、烈我」

 

行きつけのショップ、店内には既に烈我の姿があり、そこへ顔を出すミナト。烈我も待っていたように挨拶を返す。

 

「今日はデッキ調整に付き合って欲しいって言うから来たが、光黄ちゃんに勝つデッキでも思いついたか?」

「まぁそんなとこだよ」

「ハハ、相変わらず。まっ、相手になってやるよ」

 

早速対戦台に向かおうとする二人だが、また店内の自動ドアが開いたかと思うと。

 

「! 絵瑠!?」

「ミナト……!!」

 

遅れた様に入店する絵瑠と光黄の二人、入店した絵瑠の姿に思わず驚くような表情を浮かべ、絵瑠もまたミナトの姿に一瞬固まったかと思うと。

 

「な、なぁ絵瑠」

「……光黄、私は奥の対戦台にいるからな」

「!」

 

恐る恐る声を掛けるミナトに絵瑠はそっぽを向けて、相手にしない様に店内の奥へと移動していき、そんな様子に落ち込む様に肩を落とすミナトだが、光黄と烈我はそっと後ろでヒソヒソと話しながら。

 

「(あちゃー、駄目だったか)」

「(……だから俺は、オススメしないって言ったんだ)」

「(んな事言ったって、まずは会って話しないと始まらねぇじゃん)」

 

「お二人さん?」

 

小声で話す二人、ミナトからの声に不意を突かれたように肩を震わせながらミナトの方へ振り返る。

 

「何か可笑しいなって思ってたけど、もしかしてお二人の仕業?」

「……えっと。ごめん、俺達で何か協力できないかなって思って」

 

直ぐに観念するように謝り、それにミナトは「だと思ったぜ」と溜息混じりに言葉を返し、怒ってるのではと烈我としては内心気が気ではなかったが。

 

「まっ、気持ちだけ受け取っとくぜ。二人ともありがとな」

 

笑ったミナトの表情に烈我達もほっと安心するように息をつく。

 

「それよりバトルするんだろ? 相手してやるぜ?」

「お、おぉ! じゃあよろしく頼むぜ!」

 

先に対戦スペースへ足を運ぶミナト、その後に続くように光黄も向かおうとするが。

 

「あっ、光黄! 後で俺と」

「はいはい、分かってる。後で気の済むまで相手してやる」

 

いつもの調子の烈我を軽く流す中、ふと何かが気に掛かったように辺りを見回す。

 

「ところで、星七君はどうしたんだ?」

「あれ? そう言えば……!」

 

光黄からの言葉に烈我も辺りを見回すが星七の姿はなく、当の本人はと言うと。

 

 

 

***

 

 

「つい、用事が長引いちゃったな」

『まぁ急がなくても、少しぐらい遅刻しても平気じゃろう』

「そうですけど、早く行ってバトルやりたいです」

 

意気揚々と駆け足でショップへと向かう星七、明るい星七の表情にエヴォルは微笑むが、途端、突然顔色を変え。

 

『星七! 待て!!』

「エヴォル!?」

 

血相を変え叫ぶエヴォルの言葉に動揺しながらも足を止めるが、突如として目の前に現れる空間の裂け目。

 

『「!?」』

 

ガラスが砕けるような音を響かせながら開く空間の穴、そして砕けた空間より姿を現す白髪の男性の姿。

 

「……ふぅ、転移完了だね」

「い、一体!?」

 

目の前に現れるその男性の姿に警戒心を抱くように構える星七、当然今の移動手段を見た限り、向こう側の世界──スピリッツエデンからこちらに現れた者としてまず間違いないだろう。

 

「やぁやぁ、君が星七君だね?」

「どうして僕の名前を!?」

 

友好的な様ににこやかな笑みを向ける男性だが、その笑顔の裏に感じる得体のしれない何かを直感的に感じ取っているのか、距離を置いて少しも警戒を解く様子はないが男は異にも介さず、笑ったままだった。

 

「知ってるよ、だって君の事はヴァン君から充分聞いてる訳だしね」

「ヴァン!? って事は!!」

「自己紹介が遅れたね。僕の名前はルディア、罪狩猟団組織のリーダーとして彼らをまとめてる者だよ」

「貴方が!?」

 

 

初めて見る組織の首魁の姿に並々ならぬ威圧の正体を瞬時に理解した。組織のトップと言うだけあって、その男から感じるプレッシャーは本物だった。

 

『気を付けろ星七、此奴の狙いは儂じゃ』

「はい、絶対エヴォルは渡さないです!」

 

エヴォルに応えながら気持ちを強く持つ様にルディアを睨み付ける。

 

「やだなー、怖い顔しちゃって。僕は唯、バトルしてもらいたいだけなんだけどね」

「バトル?」

「そっ、こいつの力を試したくてね」

 

ルディアが見せる一枚のカード、それは「宝龍アブソドリューガ」と書かれた見た事のないカード。

 

「それは、もしかして七罪竜!?」

「いや、七罪竜とはまた別の存在さ。隠匿されし禁断の力を秘めたカード、七罪竜と同等を誇る、名はハイドカード!」

「ハイドカード、それって確かヘルさんが言ってた……!!」

「へぇー、君あの人の事まで知ってるんだ。なら余計な説明は省けそうだね」

 

笑って言葉を掛けながら、アブソドリューガのカードをデッキに加えると、そのままデッキを星七に向かって突き出す。

 

「ねぇ、バトルしようよ? 新しいカードの力を見ておきたいんだ。だから存分に試させてくれ!」

『(何なのじゃ、此奴から感じる唯ならぬ気配は? ハイドカードと言う奴によるものなのか、それとも)』

 

目の前のルディア以上に、言葉では言い表せない何かにエヴォルは不気味さを感じながら、星七に視線を送る。

 

『星七、一旦退こう』

「エヴォル、どうして!?」

『組織の首魁、その実力は確かにヴァンも凌ぐだろうがそれ以上に、此奴からは嫌な気配を感じる!』

 

ルディアに対して感じる胸騒ぎに退く事を進言するがそれに対して星七は。

 

「エヴォル、心配してくれて悪いけど、僕は……退きたくない!!」

『!』

 

エヴォルの忠告を無視するようにルディアから視線を外す事無く、自身もデッキを構える。

 

「一つ聞かせてください、試したいカードがある。それってどういう意味ですか?」

「言葉通りの意味さ、君ならいい練習相手になると思ってね」

「……」

 

烈我や光黄、ミナトや絵瑠。七罪竜を持つ中で他の誰でもなく自分を狙った上でバトルを仕掛けて来ている、その事から推察するにあたり、ルディアは完全に自分を見下していると確信していた。

 

「僕は唯の余興、そう言いたい訳ですよね」

「ご想像にお任せするよ」

 

悪戯気味な笑顔を向けるルディアに、星七も覚悟を決めたように静かに「エヴォル」と名を呼びかける。

 

「この人がかなり強いって事ぐらい分かってます……けど、僕だってこれまで烈我達と一緒に戦って、エヴォルが認めてくれたカードバトラーの一人だって自負してるんです! なのに、こうして見下されて、相手から唯の練習相手ぐらいにしか思われてないなんて悔しすぎます!!」

『……星七』

「やらせてください! 僕も意地があります、だから! 必ず勝つ!!」

 

強い意志を込めるかのような星七の表情、その心情を理解したようにエヴォルは。

 

『やれやれ、止めても無駄な様じゃの。だったら儂も、本気でお主の勝利に貢献してやるわい!!』

 

エヴォルはカードの状態へと切り替わると星七の手に収まり、エヴォルのカードを手に取りながら「ありがとう」と呟くと、ルディアと同じくデッキを突き出し構える。

 

「決まったようだね。それじゃあ始めようか!」

 

キューブを互いの足元へ投げ込み、そして両者コール。

 

「「ゲートオープン! 界放ッ!!」」

 

 

星七達がバトルを始めたのとほぼ同時刻、バジュラ達もまたエヴォルが感じたものと同様の気配を感じていた。

 

『(烈我! 一旦手を止めろ!!)』

「(バジュラ!?)」

 

ショップでバトルしていた烈我達だったが、突然脳内に語り掛けるようなバジュラの声に手を止め、光黄達も同様で烈我の方へ視線を向ける。

 

『(いいから来い! すぐに向かうぞ!!)』

「バジュラ、一体どこに!?」

『(行けば分かる! とにかくすぐだ!)』

 

『光黄様! 我々も!!』

『ミナト、俺等もとっとと向かうぞ!!』

 

即座に三人はその場を後にし、絵瑠は少し出遅れた様に困惑する。

 

「しゅ、シュオン! 私達は?」

『(妙な気配だ、同類(七罪竜)なのか、それすら詳しくは分からんが)』

 

思考を巡らせるが、今はあまり考え込む時ではないと考えたのかすぐに思考を切り替える。

 

『(向かうなら早くしろ、道案内ならしてやる!)』

「そうか、それじゃあ頼むぞ! シュオン!!」

 

絵瑠達も烈我達の後を追うようにその場を後にしていき、七罪竜達が示す方角へ彼らは駆け出して行く。

 

 

 

***

 

 

 

────第1ターン、ルディアside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚

 

「僕のターン、秩序戦艦バチマンドゲール戦艦形態を配置」

「で、デカい……!」

 

ルディアの後方に出現する巨大な戦艦、巨大なその迫力に思わず星七は息を呑む。

 

「ハハハ、1ターン目でそんな調子じゃどうするのさ? 折角ここまで来たんだ、精鋭僕を楽しませてくれよ? ターンエンド」

 

 

────第2ターン、星七side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

 

「僕のターン、バーストセット! さらにピッグレスト召喚! 召喚時効果でボイドからコア1個を追加!」

 

エメラルドが砕け、出てきたのは肥満した見た目のスピリット、ピッグレスト、その召喚時効果でコアブースト。

 

「ピッグレストの効果、メインステップ中でこのスピリットを疲労させることで、デッキの上から3枚オープン、その中に「インディーダ」を持つ赤/緑の創界神を手札に!」

 

ピッグレストはいきなりフィールド転がり、鼻提灯を膨らませながら眠りこむと、効果によってデッキの上から3枚オープン。捲られたカードは「音獣エイトーンラビット」、「五線獣ディアースコア」、「創界神サラスヴァティー」の3枚。

 

「へぇー、大当たりだね」

 

3枚のカードの見ながらルディアは口元を緩ませながら呟くが、星七は構わず続けて行く。

 

「エイトーンラビット、ディアースコアは自分の手札が5枚以下の時、緑の効果でオープンされたのなら手札に加えられる。さらにサラスヴァティーはピッグレスト自身の効果を手札に加える!」

 

一気に手札を増やした事で星七の表情にも笑みが見えるが。

 

「なら僕もバチマンドゲールの効果発揮! 相手は効果で手札が増えた時、増えた枚数僕もドローできる。よって3枚、手札を増やさせてもらう! よって3枚ドロー!」

「!!」

 

星七が手札を増した事で、ルディアもまたその恩恵に肖かれる。星七と同じくデッキから3枚のカードを補充し、笑みを浮かべる。

 

「ありがとう、お陰で僕のできる事も増えるよ!」

「くっ、まだです! サラスヴァティーを配置します!」

 

手札が増やすルディアに警戒しつつも、自身も場の状況を整える為、サラスヴァティーを配置させる。

 

「配置時神託! デッキの上から3枚破棄!」

 

破棄されるカードは「八分音獣ノーツエレファント」、「音獣ノーツバリア」、「ト音獣ジークレフキャット」の3枚。

 

「神託対象3枚で3コア追加! これでターン終了します」

 

 

────第3ターン、ルディアside。

 

[Reserve]5個。

[Hand]8枚。

[Field]秩序戦艦バチマンドゲール戦艦形態Lv.1(0)。

 

「僕のターン、まずは創界神クリシュナ、創界神ヴィシュヌを連続配置!」

「創界神を2枚!?」

 

ルディアの後方に現れるクリシュナとヴィシュヌの幻影、2人の姿にサラスヴァティーは一瞬動揺するように思わず後ろに一歩下がってしまう。

 

「クリシュナとヴィシュヌの配置によりそれぞれ神託」

 

クリシュナにより破棄された三枚は「闇輝石六将機械獣神フェンリグ」、「クリシュナーガサトラェ」、「甲龍戦艦エンタープライズ」の3枚。

ヴィシュヌによって破棄された三枚は「凍える火山」、「クリシュナーガリグガンナ」、「ゴッドシーカーコルハーブル」の3枚。

 

「クリシュナとヴィシュヌにそれぞれ2コアずつ追加!! さらにネクサス、要塞都市ナウマンシティーを配置」

「それって!」

「配置時効果により僕は手札にある白のスピリットをノーコストで召喚! さぁ、おいで、白き鋼を持つ神の現身、神撃甲龍ジャガンナートを召喚!」

 

クリシュナ達に導かれるようにフィールドへと降臨するジャガンナート、空を仰ぎ見ながら咆哮を響かせ、クリシュナとヴィシュヌはジャガンナートの召喚によって神託し、コアを受け取る。

 

「アタックステップ、ジャガンナートでアタック! アタック時効果で【界放:3】の効果発揮、ピッグレストを手札に戻す!」

 

ジャガンナートが進撃を開始するように地面に体を引き摺らせ、地面の瓦礫を弾き飛ばす程の進撃は風圧を巻き起こし、ピッグレストは吹き飛ばされて星七の手札に戻る。

 

「クリシュナのコア3個をジャガンナートに追加、さらにLv.2、Lv.3効果でコア2個をヴィシュヌに追加! これでヴィシュヌはLv.2になって、【神域】の効果でコスト6以上の甲龍に白シンボルを追加できる!」

 

クリシュナはジャガンナートにコアを託してレベルを引き上げ、さらにヴィシュヌもまたシンボルをジャガンナートに与えて一気に力を上昇させる。

 

「ジャガンナートは相手手札3枚につきシンボルを追加できる! 君の手札は6枚、シンボルを2つ追加、これでシンボル4つ!!」

「ぐっ!」

 

ジャガンナートはさらに強く吼えながら星七へと向かって行く。

 

「(いきなりライフを4つ、受ける訳には行かない。なら……!)」

 

手札を構え、フラッシュタイミングを宣言。

 

「【音速】発動! 召喚コストをサラスヴァティーから確保し、五線獣ディアースコアを音速召喚!! そのままブロックします」

 

口を大きく開いて星七へ喰らい掛かろうするが、突如としてジャガンナートに突っ込む緑の閃光、ディアースコア。ジャガンナートの顔面にぶち当たり、星七から引き離す様に大きく吹っ飛ばす。

 

「ジャガンナートはブロックされない筈だけど、ディアースコアの効果かな?」

「はい! ブロックされない効果を持つスピリットをブロックできる、それがディアースコアの効果です。さらに召喚した事で、サラスヴァティーに神託!」

「召喚コストを創界神から確保してる癖に、神託なんてぶっ壊れじゃないのかな」

 

笑いながらそんな事を呟くルディアだが、「けど」と言葉を続ける。

バトルではディアースコアは追い討ちをかける様にジャガンナートへと向かって行くが、即座に体勢を立て直し、真っ直ぐ向かってくるディアースコアに喰らい付くと、そのまま圧し潰すように咥えたディアースコアを地面へ叩きつけ破壊する。

 

「BPはジャガンナートが上。当然の結果だね、ターンエンド」

「ディアースコア、助かったよ。君の破壊は無駄にしない!」

 

 

─────第4ターン、星七side。

 

[Reserve]7個。

[Hand]6枚。

[Field]創界神サラスヴァティーLv.1。

 

「ピッグレストを再召喚! 召喚時効果でボイドからコア1個を追加し、神託でサラスヴァティーにコアを追加!」

「おや、一体だけかい?」

「いいえ、アタックステップ開始時! サラスヴァティーの【転神】発揮!」

 

創界神上のコア2個をボイドに送り、幻影だったサラスヴァティーは実体化してフィールドに立ち、星七の方へ振り返って手を振るその姿は頑張ってくるよと伝えてるように見えた。

 

「サラスヴァティー、ピッグレスト! アタック行って!」

「う~ん、どっちもライフで受けようかな」

 

ピッグレストが鳴き声を上げると、サラスヴァティーは身を乗り出してピッグレストの上に跨り、そのままピッグレストは全力でフィールドを駆けながらライフへと突進し、サラスヴァティーは手に持った弦をまるで鈍器のようにバリアに叩きつけ、ライフを破壊していく。

 

「ターンエンドです」

「やれやれ、女神の名を持つ創界神は随分と攻撃的だな」

 

手を後ろに回して頭を掻きながら呟くがその表情は笑ったままで、まだまだ余裕が感じられる。

 

 

────第5ターン、ルディアside。

 

[Reserve]7個。

[Hand]6枚。

[Field]神撃甲龍ジャガンナートLv.2(4)BP10000、創界神クリシュナLv.1、創界神ヴィシュヌLv.2、秩序戦艦バチマンドゲール戦艦形態Lv.1(0)。

 

「バーストセット。さて、攻め尽くすよ! まずはクリシュナーガピースLv.2で召喚! 召喚によりクリシュナとヴィシュヌに神託」

 

クリシュナとヴィシュヌは神託でコアを受け取りながら、アタックステップを迎えて行く。

 

「ジャガンナートのアタック時効果でピッグレストを手札に戻し、クリシュナから1個、ヴィシュヌからコア2個をジャガンナートに映しLv.3。さらに相手手札3枚につきシンボル増加!!」

 

星七の手札は6枚。さらにジャガンナートは追加のアタック時効果でヴィシュヌにコア2個を追加してレベルを維持させると、前のターンと同じくジャガンナートのシンボルは現在4つとなる。

 

「まだだよ! ヴィシュヌのコア1個をジャガンナートに移す事で【神煌臨】発揮!」

「!?」

「行くよ、森羅万物を維持せし無限なる力を授かりて、世界を調和する神の龍! 維持神龍トリヴィクラマをジャガンナートに【神煌臨】!」

 

ジャガンナートは大きく翼を広げ、それを白銀に眩く輝かせ、目を覆う程の光に視界が遮られるが、次に光が晴れた瞬間、そこに映ったのは白銀に輝く体をぎらつかせるスピリット──トリヴィクラマ。

 

「煌臨時効果発揮、相手スピリットかバースト1つを手札に戻す事で回復、君のバーストを手札に戻すよ!!」

 

トリヴィクラマは伏せられたカードを一瞥すると、吹き飛ばされる様にカードが星七の元へと戻る。

 

「バーストが!!」

「斬騎士ラグマンティス、それが君のバーストか。バースト効果は厄介だけど、手札に戻しちゃえば問題ないね」

「くっ!!」

「ちなみに、アタック中のジャガンナートから煌臨した事で、アタック時効果は継続。シンボルの増加とブロックされない効果を引き継いでるよ。さぁどうする?」

 

先程の様にディアースコアを出した程度では防ぐ事はできない。だが、そう簡単に星七も押し切られる訳には行かない。

 

「フラッシュで【音速】!! 効果で手札から音獣エイトーンラビットを召喚! 召喚により、神託! さらに召喚時効果でトリヴィクラマを疲労させます!!」

「疲労させたところで、トリヴィクラマの攻撃は止められないけど?」

「エイトーンラビットだけなら、そうですね!」

「!!」

「もう一枚、【音速】発動! 五線獣バッファロースコア!! 召喚時効果で疲労状態の相手スピリットをデッキの下に!」

 

最初に現れたエイトーンラビットは強風を起こし、風に煽られて疲労状態となった事で力を失う様に高度を落として飛空するが、次に現れたバッファロースコアがそのままトリヴィクラマへと突進すると、そのまま角でトリヴィクラマを突き上げ、吹っ飛ばされたトリヴィクラマはデッキのボトムへと送られてしまう。

 

「成程、やられたね。ターンエンドだよ」

「(キースピリットを失ったのに、まるで動揺してない。まだ何か手があるのか?)」

 

まるで予想できないルディアだが、一瞬弱気になりかけていた事に喝を入れるように自分の頬を叩きながら前を向く。

 

「(嫌、相手のデッキから見てジャガンナート、トリヴィクラマが主力なのはまず間違いない。それを失った今が攻め時!)」

 

 

────第6ターン、星七side。

 

[Reserve]7個。

[Hand]5枚。

[Field]音獣エイトーンラビットLv.1(1)BP2000、五線獣バッファロースコアLv.1(1)BP3000、創界神サラスヴァティーLv.2

 

「バースト再セット。そして行きます! 女神より生み出されし蒼白の獣! 美麗なるその姿をいざ現せッ! 神聖天獣ガーヤトリーフォクス、召喚!」

 

リザーブのコア全てを使って呼び出す自身のキースピリット。Lv.2で出現するガーヤトリーフォックスは気高く雄叫びを上げながら召喚時効果を発揮させる。

 

「【界放:1】の効果を発揮! ボイドからコア2個を「インディーダ」を持つサラスヴァティーに追加! さらにサラスヴァティーのコア1個をガーヤトリーフォックスに追加することで、相手はこのターン、バースト効果を使う事はできない!!」

 

ガーヤトリーフォクスが鳴き声を上げると、まるでバーストカードはその効果を抑制させられるかのように緑の光が灯る。

 

「残りライフは3! 決めますよ、ガーヤトリーフォックス行って! アタック時効果で自身とサラスヴァティーにコア1個ずつ追加!」

 

ガーヤトリーフォックスは一気にルディアへ迫らんと尾を突き立てながら駆け出して行く。

 

「クリシュナーガピースでブロック」

 

吠えながら迫るガーヤトリーフォックスを防ごうと迫るが、ガーヤトリーフォックスは眼光をかがせると、瞬間、巨大な竜巻を引き起こさせ、クリシュナーガピースを飲み込み吹き飛ばすと、九尾の尾を構え、尾の先に収束させる光弾をクリシュナーガピースに撃ち込んで行き、直撃を受け空中で爆発四散する。

 

「さらにサラスヴァティーの効果発動! バトル終了時、サラスヴァティーのコア3個をボイドに置いて、ガーヤトリーフォックスを回復! もう一度アタックです!!」

 

再びアタック時効果でコアブーストを発動させながら、ルディアへと迫るが。

 

「相手スピリットのアタック後でバースト発動! 天蠍機動スコルビウム!!」

「!?」

 

アタックをトリガーに発動されるバーストカード、確かにはバースト条件自体は満たされているが、それでもなぜこのタイミングで発揮させるのかその意図が星七には理解不能だった。

 

「(なんで態々このタイミングで!? バースト効果が発揮できない以上、スコルビウムの召喚さえできない筈なのに)」

 

星七の考え通りバースト効果発揮できない場合、発動自体は可能でもバースト効果と効果処理後のスピリット召喚も不可能、発動したスコルビウムは何の効果も発揮せずにルディアのトラッシュへと送られるが。

 

「これでいい、僕の白のバースト発動により、手札の癸械神機シャイングリフをLv.3で召喚!」

「!?」

 

空に輝く一つの閃光、迫るガーヤトリーフォックスの目の前に飛来する一体スピリット、シャイングリフ。

 

「ガーヤトリーフォックスはそのままシャイングリフでブロックさせるよ!」

 

ガーヤトリーフォックスは先程と同様尾を突き立てて、収束させた光弾をシャイングリフへと撃ち放っていくが、光弾による攻撃を全て避わし両爪で斬り払いながら突っ込むと、そのままガーヤトリーフォックスの首を掴んで飛び上がり、宙へと持ち上げるとその場で放り投げ、空中で身動きの取れない獲物をその爪で引き裂き、破壊する。

 

「フォックスッ!!」

「ハハハ、返り討ち! けどこれだけじゃないからね! シャイングリフはLv.2、Lv.3効果。ブロック時で相手スピリットを破壊すればライフ1つを破壊!」

 

星七へと急降下し、展開されたバリアに翼をブレードの如く斬り付けライフを破壊する。

 

「うわあああッ!!」

 

キースピリットを破壊されただけでなくライフまで削られる。ルディアの余裕はまだ打つ手があったからに他ならない。それをブラフを決めつけてしまったのは完全に浅墓だった。

 

「そんな……!!」

「もう終わりかい?」

「……まだです、まだ僕は、負けてない!!」

 

裏を斯かれたとはいえまだライフはルディア以上に残り、星七の闘志も尽きてはいない。だがそれに対してるディアは星七の表情にまた笑みを浮かべ。

 

「その意気だよ。もっともっと頑張ってね!」

 

 

────第7ターン、ルディアside。

 

[Reserve]12個。

[Hand]3枚。

[Field]癸械神機シャングリフLv.3(4)BP15000、創界神クリシュナLv.1、創界神ヴィシュヌLv.2、秩序戦艦バチマンドゲール戦艦形態Lv.1(0)。

 

「僕のターン、クリシュナーガリグガンナをLv.2で召喚! 召喚時効果で相手のバーストを破棄し、相手スピリットをデッキの下に送る!」

「!!」

「君のバーストはラグマンティスって分かってるからね。厄介なバーストは破棄させてもらうよ?」

 

リグガンナの砲門をバーストに向け、一気に砲撃すると吹き飛ばされたバーストカードはルディアの読み通りラグマンティスであり、そのまま破棄され、さらに今度はエイトーンラビットに銃口を向けると、砲撃によって吹き飛ばされエイトーンラビットもボトムへ送られる。

 

「さぁ準備は整った。そろそろ待ち遠しかっただろ?」

「!?」

 

何かに向けて掛けられる言葉、その言葉に応える様に何かの雄叫びが聞こえてくるような気がした。

 

『(星七、気を付けろ! 何か来る!!)』

 

咄嗟に響くエヴォルの声、だが言われるまでもなく星七も既に必要以上の警戒を抱き、これから来る何かに静かに息を呑む。

 

「好きなだけ暴れておいで。永久凍土の輝きを持ちし龍! 絶望を指し示すその光を焼き付けろ!! 宝龍アブソドリューガ、Lv.2で召喚!」

 

空より穿つ雷鳴、轟音を轟かせながら落雷が地面へと撃ち込まれるとフィールドに出現する巨大なクリスタルの結晶、その中に眠る龍の影。

雷鳴響く空に目を覚ますかのように、その眼を開くと、クリスタルは亀裂を走らせながら粉々に砕け散り、影の中にギラリと輝く赤い光。そして翼を広げて飛び立ち、宝石の如く輝くその身を雷に照らしながら吠える龍。

 

そのカードこそ、かつて絶大な力を誇り封印されたとされる一体、ハイドカードであるアブソドリューガ。

 

「こ、これが……ハイドカード!!」

 

初めて見るその姿は七罪竜達と同様、嫌、初めて見る星七にとってはそれ以上であるかのように感じられた。それほど目の前のアブソドリューガが放つその殺気と威圧は途方もないものであったのだ。

 

「アタックステップ! 宝龍アブソドリューガでアタック!」

 

アブソドリューガは一度地面へと降り立ち、標的である星七をその眼下に捕えると、咆哮を轟かせながら星七へと迫って行く。

 

「ば、バッファロースコアでブロック!!」

 

その迫力に思わず星七も怯んだのか、咄嗟にバッファロースコアでブロックを指示し、バッファロースコアは全速力で突進を仕掛け、その強靭な角がアブソドリューガへと打ち付けられるが。

 

”バキィ”

 

「!!」

 

何かが砕け散るような音、アブソドリューガの身体へ打ち付けた角はそのあまりの強度の前に砕け散ってしまい、バッファロースコアは思わず悲鳴を上げながら仰け反るが、怯んだバッファロースコアを片腕で掴み取ると、そのままアブソドリューガは地面へ勢いよく叩き付け、圧し潰されるようにバッファロースコアは爆発四散。

 

「アブソドリューガの効果発揮、このスピリットのバトル時、相手スピリットだけを破壊した時、自分のライフ1つを回復させる」

「!?」

 

アブソドリューガは勝利による雄叫びを上げ、それに共鳴するかのように失ったルディアのライフ再び光が集い、ライフが元に戻る。

 

「そんな!? ライフが!!」

「これが宝龍の力さ、さらにこのスピリットは相手スピリット、マジック、ネクサス、ブレイヴの効果でも破壊されない、まさに無敵の龍さ」

「破壊されない……!」

 

次々に明かされる宝龍の力に、ただただ星七は言葉を失うが、動揺する間もなくルディアは次の攻撃を仕掛ける様にリグガンナは砲台を構える。

 

「君にもうブロッカーはないよね! リグガンナでアタック!」

「ライフで受けます!!」

 

リグガンナによる一撃が星七のライフを破壊し、衝撃に突き飛ばされながらも直ぐに立ち上がり、前を向く。

 

「まだ、来ますか……?」

「ふふ。いいや、このターンではまだ決められないからね。ターン終了」

 

 

────第8ターン、星七side。

 

「僕の、ターン……!!」

 

追い詰められる状況の中、引いたカードに星七の表情が変わりルディアもそれを見逃さなかった。

 

「(来たみたいだね)」

 

[Reserve]16個。

[Hand]4枚。

[Field]創界神サラスヴァティーLv.1(0)。

 

「行きますよ! 数万年の時より生きし伝説! 怠惰なる龍!! あらゆる環境、困難さえも己が進化する糧としろ! 樹進超龍エヴォルグランド、召喚ッ!!」

 

地響きと共に大地が揺れ、地面に亀裂を走らせると、地面を突き破って隆起する巨大な山、否、山の如く巨大な体を誇りし龍の姿、怠惰を司る七罪竜、エヴォルグランド。

 

「七罪竜、遂にお出ましか」

 

「エヴォル、頼りにしてます!!」

『あぁ、儂の力、存分に震え! 全力で戦う!!』

 

視線の先に映るルディアとアブソドリューガの姿を見据え、アブソドリューガはエヴォルの姿に威嚇するかのように咆哮するが、エヴォルもまた退く気がない様に大きく吠え、互いに一歩も譲らずに睨み合う。

 

「(でもエヴォルのBPはLv.3で15000、このままじゃシャイングリフと相討ち……迂闊には攻め込めない)」

 

攻められない以上、ターン終了の宣言をしようとするが。

 

「相手のアタックステップ、一度もアタックがなかった場合! シャイングリフ、並びにアブソドリューガの効果発揮!」

「!!?」

「シャイングリフは相手が一度もアタックしなかった場合、ライフ1つを破壊する!」

「!!」

 

シャイングリフはブレード上の翼を振るうと、風鼬を撃ち飛ばし、そのまま斬撃の如くライフを切り刻んで破壊する。

 

「ぐッ!!」

「まだだよ、さらにアブソドリューガの効果! このスピリットは相手が一度もアタックしなかった場合、デッキから2枚ドローできる!」

 

アブソドリューガは眼光を輝かせると、それに連動するようにデッキから弾け飛ぶ2枚のカードを手に取る。

 

「ライフの回復効果に合わせて、手札の増強効果。しかも破壊されないなんて」

「言ったろ、アブソドリューガは無敵のドラゴンなのさ」

「ッ!!」

 

完全にバトルはルディアのペース、徐々に追い込まれ、次第に星七の表情にも不安が募り始めるが。

 

『顔を上げろ! 星七!!』

「エヴォル!?」

『まだ勝負は終わっておらん。アタックしなかったのはお前が冷静に場を見て判断した結果じゃ、間違ってはない!!』

「でも……!」

『なぁに、まだ儂は少しも力を見せておらんぞ! 儂の力が発揮するのはここから先じゃ! あんなハイドカードと言う奴に負けはせんぞ!!」

 

エヴォルの言葉に俯きかけていた顔が自然と上がり、そして不安が晴れた様に前を見据えながら、その言葉に叫ぶように返事を返す。

 

 

────第9ターン、ルディアside。

 

[Reserve]7個。

[Hand]4枚。

[Field]宝龍アブソドリューガLv.2(4)BP9000、クリシュナーガリグガンナLv.2(2)BP10000、癸械神機シャングリフLv.3(4)BP15000、創界神クリシュナLv.1、創界神ヴィシュヌLv.2、秩序戦艦バチマンドゲール戦艦形態Lv.1(0)。

 

「アブソドリューガをLv.3にアップ! さらにシャイングリフに聖皇兵装ジークフリーデンキャノンをシャイングリフに合体させる!」

 

シャイングリフの背に取り付けられる砲台のキャノン、合体スピリットとなった事で猛々しくシャイングリフを吼え立てる。

 

「アタックステップ! 合体スピリットでアタックするよ!! アタック時効果、コスト合計8まで相手のスピリットを破壊! エヴォルグランドを破壊するよ」

 

キャノンの銃口をエヴォルへと向け、そしてエヴォルに向けて砲撃。

 

「エヴォルグランド、【進化(エヴォリューション)】発揮! エヴォルをコスト20のスピリットに変更!!」

「!」

 

攻撃は直撃し、激しい爆風が巻き起こるが爆風の中、平然とした様子で現れるエヴォルの姿。

 

『この程度で儂を殺るのは数億早いわ!!』

「成程、流石に一筋縄じゃ行かないね!」

 

「エヴォル、ブロックして!!」

 

星七の指示にエヴォルはシャイングリフの行く手を塞ぐように前進し、シャイングリフはジークフリーデンキャノンで砲撃しながらエヴォルへと向かう。

 

「フラッシュタイミング! マジック、ワイルドライド! 効果でエヴォルグランドにBP+3000!」

「その程度、シャイングリフのBPは20000だよ!」

「はい、だからもう一枚!」

「!!」

「マジック! ワイルドライド発動!! これでエヴォルのBPは21000!!」

 

一気にBPを上回り、そのままエヴォルは巨大なその体で飛び上がると、その巨体からは想像もできない程の跳躍でシャイングリフの真上まで上がり、その姿に一瞬呆気取られた様に固まるシャイングリフだが、その隙を見逃さない様にエヴォルは吠えながらその体をさらに巨大に進化させると、そのままシャイングリフを圧し潰すように圧し掛かり破壊する。

 

「ワイルドライドの効果でエヴォルグランドは回復!」

「やるねぇ、ターンエンドだよ」

 

 

────第10ターン、星七side。

 

[Reserve]13個。

[Hand]2枚。

[Field]樹進超龍エヴォルグランドLv.3(4)BP15000、創界神サラスヴァティーLv.1

 

「(……相手のライフはまだ4つ、ブロッカーも1体。これじゃあ決められない)」

 

星七の手札の内、一枚はピッグレスト、もう一枚はブリザードウォールのカード。当然エヴォルだけで勝負を決める事はできない。

 

「エヴォル、まだ耐えてください! 次のターンを凌げれば!」

『任せろ! 必ず守り切っ──』

 

「生憎だけど、それは不可能だよ」

『「!!」』

 

星七達の言葉に横槍を入れるかのような一言。

 

「君に次はないよ、嫌、僕のターンを迎える必要すらない」

「何を、言って!」

「メインステップ終了、相手のアタックステップ開始時でマジック発動!!」

「!?」

 

フラッシュタイミングを待たずに突如として発動するマジック、突如として伸びる白いロープがエヴォルの体を拘束する。

 

『何じゃと!?』

「僕が使ったのはマジックロープ。相手のスピリットかアルティメット1体を指定し、そのスピリットで必ず攻撃を行ってもらう」

 

「スピリットと、アルティメット!?」

「そう。両種を対象にした効果なら、エヴォルの【進化】でも防げないよねぇ?」

 

【進化】の効果の裏を取るかのような効果、そのままマジックロープによって引きずられる様にエヴォルは強制的に前線へと引きずり出される。

 

「エヴォル!?」

「ふふ、攻撃したエヴォルはアブソドリューガでブロックさせるよ!」

「BPはエヴォルの方が上なのに!?」

 

『ぐっ! この程度!!』

 

マジックロープによる拘束を振り払うと、そのまま迫るアブソドリューガを受け止め、押し返す様に突き飛ばして行く。

 

「フラッシュタイミング! マジック、クヴェルドウールヴ発動!!」

「!!!」

「効果で僕の手札にある赤、緑、白、いずれかのブレイヴカードをノーコストで召喚できる。僕が召喚するのは……セイバーシャーク(Rv)!!」

「!?」

「そのままアブソドリューガに直接合体!」

 

空より弾丸の如きスピードで飛来する鮫型のブレイヴ、否、異魔神として生まれ変わりしセイバーシャーク。その身を変形させ、パーツ状となってアブソドリューガへと取り付く。

 

「合体により今のアブソドリューガのBPは18000!! もう君にワイルドライドはない、このBP差は覆せないよねぇ!!」

「そんな、エヴォル!!」

 

アブソドリューガを圧し潰さんと飛び掛かるエヴォル、だがその巨大な体を強靭な腕で掴み、あまりの重量に足場の地面を大きく凹ませながらも、力を籠める様に吼え、そのままエヴォルを後方へ投げ飛ばす。

 

『グオッ!?』

「エヴォル!!」

 

大きく後方へ投げつけられその場に倒れ伏すエヴォルだがすぐにその場から立ち上がり、アブソドリューガは自身とエヴォルの距離が離れたのを確認すると、口を大きく開き、低姿勢で構えをとり始めたかと思うと、口内にエネルギーを溜め込むかのようにエネルギー源である粒子を収束させ始め、緑の光が灯り、その光は徐々に膨れ上がって行く。

 

嫌な予感が星七とエヴォルの脳裏を過る。即座に対抗するようにエヴォルは巨大な体を起こし上げ始めると。

 

『これならどうじゃッ!!』

 

持ち上げた前足をその場に打ち付けると、地響きと共に地脈が刺激され、そのまま無数の岩肌が地面より突き出し、それは一直線上へ真っ直ぐアブソドリューガへと迫って行き、そして突き出す岩肌がアブソドリューガへと直撃し、激しい轟音と土煙を巻き上げる。

 

「やった!!」

 

確かな手ごたえを感じる星七とエヴォル、しかし。

 

『「!!!」』

 

土煙が晴れ視界に映ったのは突き出す岩の直撃を受けてなおその身に傷一つすらついていない宝龍の姿、そしてエネルギーの充填を完了させると眼光を輝かせ、溜め込んだ一撃──荷電粒子砲をエヴォルに撃ち放つ。

 

緑の閃光が一閃、それはエヴォルの攻撃によって突き出た岩壁を塵へ化しながらエヴォルへと向かい、咄嗟に硬い甲羅を突き出して攻撃を受け止めようと構えるが、緑の閃光はそのままエヴォルを飲み込み、巻き起こる激しい風圧と衝撃。

 

「え、エヴォルーーッ!!!」

 

眩い光の中で必死に呼びかけるが、それでも風圧と衝撃に吹き飛ばされまいとその場に踏み留まるのがやっとだった。そしてようやく光が晴れた頃、星七の視界に映ったのは。

 

「え、エヴォル……!!!」

 

全身黒焦げとなり、体の幾つかの個所に攻撃の凄まじさを示す様に残火が広がり、それはエヴォルの命の灯の様だった。

 

『せ、星……七……すまない』

「エヴォル!!!」

 

最後の言葉を残す様にエヴォルはその場に倒れると、場から消滅し、その光景を前に星七はただただ言葉を失う様に腰が引け、その場に座り込んでしまう。

 

「終わりだね。セイバーシャークの効果発揮!」

「!!」

「ブロックによって相手スピリットを破壊した事で、残るライフ2つ、破壊するよ!」

 

アブソドリューガは翼を広げて飛び上がると、セイバーシャークによるパーツから粒子の刃を向けると、そのまま急降下し、粒子の刃をバリアに突き立て、そして刺し貫く。

 

「うわああああああああああああっ!!!」

 

その一撃に星七は吹き飛ばされ光の中へと消え、そして決着を付けたバトルフィールドにアブソドリューガは今一度己の力を知らしめるように咆哮を上げる。

 

 

 

***

 

 

「う、ぐっ……ッ!!」

 

地面に突っ伏す星七、そしてエヴォルもまたこれ以上戦える気力がないのか、カードの状態のまま自分の前へと落ちる。

 

「エ、ヴォ……ル……」

 

満身創痍の状態で突っ伏っしながらも必死にエヴォルのカードを掴もうと手を伸ばすが、そのすぐ近くに降り立つルディアの姿。

 

「!!」

「フフ、実践テスト終了。星七君、協力してくれて本当にありがとう。さて」

「うっ、や、やめろッ!!」

 

足元に落ちるエヴォルに視線を向けるルディア、奪われる事を直観したのか咄嗟に声を張り上げて叫ぶが。

 

「星七!!」

 

「「!」」

 

自分を呼びかける声、星七は咄嗟にその方角に視線を向けると駆け付ける烈我達の姿があった。

 

「あいつは!!」

 

星七の前に立つルディアの姿に誰より強く反応したのは光黄だった。何かを知ってる彼女の様子に烈我達も気付き。

 

「光黄、アイツの事、知ってんのか!」

「……あぁ。悔しいが、俺の勝てなかった相手だ」

「光黄が負けた相手って確か……!」

 

『その女をぶっ倒したのはうちのボスだよ』、以前ドレイクと戦った時、彼の言った言葉が瞬間的に脳裏に浮かぶ。そしてヘルからもそのボスの名を聞いている。

 

「お前が……ルディアッ!!」

 

「あぁ他の七罪竜所持者の子達か、そっちの子は前に対戦したっけ?」

 

笑いながら光黄に視線を向け、それに思わず悪寒を感じさせられるが、烈我は光黄の前に立ちながらルディアを睨む。

 

「お前が罪狩猟団、バジュラ達を狙う組織の首領なんだろ!」

「そうだね。改めて名乗ろうか。罪狩猟団のトップを務めるルディア、それが僕の名さ」

「一体お前の目的は何なんだよ!」

「さぁね、今言っても君じゃ理解しきれないんじゃないのかな。それより」

 

「うぅっ!」

「星七!!」

 

苦しそうに呻きを上げる星七に寄り添う。

 

「れ、烈我……さん」

「大丈夫かよ。アイツにやられたのか?」

「はい……それより、エヴォルを……!」

「!」

 

ルディアの足元にあるエヴォルのカードを指差し、ルディアはそのカードを拾い上げながら。

 

「……エヴォルグランド。七罪竜のカード、案外大したことはなかったね」

 

そう一言吐き捨てると、手に持ったエヴォルのカードを突然星七に向かって投げ返し、カードは星七の手に収まる。

 

「「!?」」

 

その行動の意図が分からないように全員が動揺する表情を隠せないが、ルディアは変わらず笑ったままだった。

 

「ハハハ、今回の実践に協力してくれた礼だよ」

「お前! 一体どういうつもりだ!!」

「何、今回は見逃してあげるってだけさ。七罪竜はいつでも奪えることが分かったから。この、ハイドカードの力があればね!」

「「!!!」」

 

先程使ったアブソドリューガのカードを見せつけるルディアの言葉に戦慄が走る。ハイドカードについて一切の詳細を知らない絵瑠にとってもそのカードが並々ならぬ物という事だけは瞬時に察せた。

 

「次からは容赦なく奪いに行くよ! だから今日は宣戦布告させてもらう、罪狩猟団、そしてハイドカードの力を以って、僕達は君等の七罪竜全てを狩り尽くす!!」

「「!!」」

 

大胆不敵なルディアの発言、そして再びルディアの真後ろに空間の穴が開く。

 

「それじゃあね、次に会う時を楽しみにしててね」

「待て!!」

 

不吉な一言を残して空間の穴へ飛び込み、後を追おうと烈我は駆け出すが、ルディアが飛び込んですぐ空間の穴は消失してしまう。

 

ルディアによる挑戦状ともとれる宣戦布告の発言、罪狩猟団と彼らの戦いはハイドカードと言う禁断の力を交え、ついに激化していくのだった。




第21話!更新!!
今回は第2のハイドカード! アブソドリューガの登場!
そのスペックを早速公開いたします!

【宝龍アブソドリューガ】8(3)白、スピリット/武装・鋼龍
Lv.1(1)BP6000、Lv.2(4)BP9000、Lv.3(5)BP12000。
Lv.1、Lv.2、Lv.3
このスピリットは相手のスピリット、マジック、ネクサス、ブレイヴの効果で破壊されない。
Lv.1、Lv.2、Lv.3『このスピリットのバトル時』
このスピリットが相手のスピリットだけを破壊した時、ボイドからコア1個を自分のライフに置く。
Lv2、Lv.3『相手のアタックステップ時』
相手が一度もアタックしなかった時、自分はデッキから2枚ドローする。


以上がアブソドリューガの効果になります。正直今の環境では少しパワー不足感があるような気がしなくとないので強化加えてもいいかもしれませんね(メタ発言

ですが、ルディア様は組織のトップなので問題なく使いこなしてくれる筈です笑
今回でルディアは宣戦布告し、ついに始まる七罪竜とハイドカードの全面戦争!!一体これからどうなって行くのか、是非ともお楽しみいただければ幸いです。
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