バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第22話【王の選定 海牙龍王vs海帝獣】

────罪狩猟団、本拠地にて。

 

 

大広間に集められる組織メンバー、そして最初にその場に姿を現すガイト、それに続いてその場に出席するドレイクやミコ達、帝騎の面々にメンバーは敬礼を向けて出迎える。

 

「急な呼び出しとはな。一体何の用だか」

 

少しだけ不機嫌そうに答えるガイト、ミコもまた呼び出された要件を分かってないのか意見が欲しそうに隣のドレイクに視線を向ける。

 

"覚悟もねぇ奴に帝騎は務まらねぇ"

 

「……」

 

だが依然ドレイクから言われた一言が脳裏を過り、声を掛けることにためらいを覚えるが。

 

「やぁ、みんな集まってるね」

「「「!!」」」

 

暫くして中央から姿を見せるルディアの姿、そして先程迄冷静だったドレイクの表情が一瞬切り替わったかと思うと、その視線の先にはルディアの後に続くディストとヴァンの二人。

 

「(ディスト……処分されたんじゃなかったのか? それにヴァンの野郎、何故彼奴がルディアと?)」

 

ドレイクの視線にヴァンも気付いてはいるが、ヴァンはそれに対して反応を返さずその様子に益々疑問が浮かぶ。

 

「ルディア様、今日は一体何用ですか?」

 

真っ先に要件についての質問を投げたのはガイト、それに対しルディアは懐からカードを取り出し始める。

 

「まぁ説明の前に、まずはこれを受け取って欲しい」

 

そう言って取り出したカードをガイト達へ投げると、それぞれ投げられたカードを手に取って受け取る。

 

「何だ、このカード?」

「フェンリルドガルム……ボス、これは?」

 

ガイト達の手には見た事もないようなカード、だがそのカードに対し唯一存在を知ってるのは。

 

「(何でこれが、ルディアの手に!!)」

 

ハイドカードの詳細を唯一知っているドレイクにとっては受け渡されたそのカードに誰よりも動揺が大きかった。だが、そんなドレイクの心情を知ってか知らずか、ルディアは笑って説明を続ける。

 

「そのカードの名はハイドカード、一言で言えば七罪竜と同等、もしくはそれ以上の力を誇るカードさ」

 

ガイト達にとっては初めて聞くハイドカードの存在、そして七罪竜以上の力と言うルディアからの言葉にガイト達の表情も変わる。

 

「既にハイドカードの実践テストも済んでいる。そのカードの性能は僕が保証するよ」

「は、ははは、七罪竜以上。そいつは凄ぇですね。こんなカードをいつ!」

「ふふ、情報源の説明についてはまたの機会にさせてもらうよ」

 

軽く背後のヴァンに視線を向け、ヴァンはそれに対し拳を握りしめながら舌打つが、何時ものように進んで反論する様子はない。

 

「けど、ハイドカードの存在については多分事前に知ってる人もいるかもしれないけどね」

「(ッ!)」

 

ヴァンだけでなく、ドレイクにも視線を向け、まるですべて見通してるかのような言葉と視線に背筋を凍らせるが、直ぐにルディアは「それは置いといて」と話題を変える様に全員に視線を向ける。

 

「僕が君達、帝騎にハイドカードを渡した意味、当然分かってるよね? 現在所在の判明している七罪竜五体、様子見はもう充分。だから改めて命令を下すよ」

 

その声はいつもの様な笑った穏やかな声ではなく、冷たい氷の様な目で一言。

 

「ハイドカードを持って、七罪竜! その全てを狩り尽くせッ!!」

「「ハッ!」」

 

ルディアより下される七罪竜への狩猟命令、戦慄と恐怖が張り詰める空気と圧倒的なプレッシャーを前に帝騎の全員は即座に片膝を突き、命令に対し承諾の意を示す。

 

 

***

 

 

「一体何がどうなってやがる、説明しろ! ヴァン!!」

 

集会を終えて解散するとすぐにドレイクはヴァンの元へ向かい、現状起きている事態について問い詰めた。

 

「…………」

「何でルディアがハイドカードを持ってる? アレは俺達が組織へ反逆する際の切り札だった筈だ! 裏切ったのかよ、ヴァン!!」

「……悪い」

「悪いじゃなくて、状況について話せよッ!!」

 

問いに対し、はっきりとした答えを返さず、それに益々苛立ちながら声を荒げてドレイクはヴァンの胸倉を掴むが。

 

「一体何の騒ぎかしら?」

「!……ディストッ!」

 

二人の間に割って入るようにその場に姿を現すディストに、ドレイクは咄嗟に胸倉を掴む手を離す。

 

「こんな場所で一体何の話かしらね? 二人っきりって事は他の誰かに聞かれたくない内容だったりするのかしら?」

「……テメェには関係ねぇだろ」

 

詮索するようなディストに対し、うっとおしそうに言葉を吐き捨て、「とっとと失せろ!」と付け足すが、ドレイクの言葉を軽く流しながらディストはヴァンに視線を向ける。

 

「まぁ精々変な気は起こさないようにすることね。特にヴァンは、ね」

「テメェ……ッ!」

 

ヴァンに対しては特に釘を刺すような一言に、眉間に皺を寄せながらディストを睨む。

 

「凄んだ所で所詮貴方はもう何もできないでしょ? また変な気を起こすようならあの子がどうなっても知らないわよ?」

「(あの子?)」

 

ヴァンについての事情を知らないドレイクにとっては疑問符を浮かべるばかりだったが、ヴァンはディストに対しさらに強い怒りを込める。

 

「脅しのつもりか? テメェに彼奴をどうこうできる権限はねぇだろうが?」

「えぇ、今のところはね。けどルディア様は気が変わりやすいわよ?」

「ッ!!」

「貴方がまた変な気を起こすようならルディア様も考えを改め直すでしょうね。そしたら当然、あの子の管理は私が一任する。そうなったら拷問でも何でも使って、情報を全て引きずり出させてもらうわ!」

 

「(人質……? それってまさか!!)」

 

二人の会話の流れからドレイクも状況について察するが、一方でヴァンはディストに掴み掛からん勢いで前へと出る。

 

「テメェ……! マチアに何かあってみろ。真っ先にテメェをぶっ潰すぞ!!」

「貴方こそ脅しのつもりかしら? 言っとくけどもう特別な力を持つのは貴方だけじゃないわよ」

「!」

 

取り出すカードの一枚、それはドレイク達の持つハイドカードの一枚、名は「死神デュアルベルガス」と書かれたカード。

 

「テメェにも渡されてたのか」

「帝騎であれば当然。さてこれで分かったかしら? 私も貴方も対等、ましてルディア様に完膚なきまでに叩き伏せられて、組織へ反逆なんて愚かしい真似だったって理解してる筈よね?」

「!!」

「貴方もよドレイク、下手な企みは今の内に捨て置く事ね」

 

忠告するように言葉を残して立ち去って行くディスト。一方で壁一枚を経て、ガイトもまたその様子に聞き耳を立てながら。

 

「(馬鹿共が、精々勝手に争ってろ。最初の手柄は俺が頂く)」

 

小さく己の野心を口にしてガイトもまたその場を後にし、この場に残されたヴァンとドレイクの二人は。

 

「お前、あの情報屋を人質に取られたのかよ」

 

ディストとの会話の流れから推察し、その確認を取る意味での質問。ヴァンは質問に対し、静かに首を縦に振って答える。

 

「奴には全部筒抜けだった。俺もマチアもまんまとしてやられた」

「ボスとも戦ったのか?」

「あぁ。けど、全く敵わなかった」

「!!」

 

自分のハイドカードである我王牙のカードを取り出し、どこか虚しい様にハイドカードを眺めながら続けて行く。

 

「俺は此奴さえあればルディアとも対等に戦えると思ってた……初めて彼奴と戦った時、本気を出してないのは知っていた。だからそれを考慮した上でも、ハイドカードさえあれば、互角に戦えると本気でそう思ってた」

 

だが、現実を思い知らされるかのようにルディアと戦ったことを振り返り。

 

「その認識が甘かった。奴には到底敵わない……その力の差をハッキリ思い知らされちまった」

「つまり、テメェは牙をもがれちまったって訳か」

「……情けねぇと思うか?」

 

俯きながら尋ねるヴァンに、ドレイクは少し間を置きながら。

 

「ったりめぇだろうが! テメェはもう少し骨がある奴だと思ってたよ」

「……失望させたのなら悪かったな」

「ッ!! いい加減にしやがれ、ホントに諦めちまうつもりなのかよ!! 人に覚悟がどうの説いておきながら、テメェはそんな様で終っちまうつもりかッ!!!」

「……あぁ、言ったろ。あの化け物にもう勝てる気はしねぇ」

「!!」

 

我王牙のカードを見ながら何を想うのか、静かに今の心境を語る、

 

「そもそもルディアの奴が、何で俺から此奴(ハイドカード)を取り上げず、俺に渡したままにしていると思う?」

「……自分の力に自信があるから、か?」

「その通りだよ。仮に俺がもう一度此奴の力を使って反逆しようが、ルディアの奴はそれをまるで問題として捉えてはいない。何度向かおうが所詮勝つのは自分、そう確信した上で俺は泳がされたままにされてる」

「!」

 

ルディアにとってはヴァンの事をまるで障害としては捕えていない、敵として認識すらされていない事にヴァン自身も理解してしまっていた。だからこそ彼との差がどれ程絶望的であるかを痛感せざるを得ない。

 

「何より彼奴には完全に弱みを握られた。マチアがどうなるか、それは俺次第だと言ってるようなもんだ」

「……自由になる、お前自身が口にした野望、それを捨ててでもか?」

「……!」

 

ドレイクからの言葉にヴァンの表情が一瞬変わり、拳を握りしめるが、すぐに握り締めた拳を解くと。

 

「彼奴を見捨てでも目的を為す、そんな覚悟……俺には微塵もなかったらしい……だから俺はこれ以上、ルディアとは戦えねぇ」

「オイ、まだ話は──!」

「なぁドレイク、逆に聞かせてくれ」

「あぁ?」

「ルディアと戦う以上は何かを犠牲にすることを覚悟しなきゃならねぇ、何かを……もしかしたら全てをな」

「!!」

「お前はルディアと戦う為なら、何もかも……全てを犠牲にできるって本当に言い切れるか?」

「何を今更、俺は────!」

 

そこまで言い掛けた時、何かが過るようにそこで言葉を紡ぐ。何故かは分からない、何よりドレイク自身がそれに動揺を隠せなかった。そしてそんな様子にヴァンは何かを察するように静かにその場を後にし、無人の場に取り残されるドレイク。

 

「……俺は……俺は……!!」

 

 

 

***

 

 

『おい、こいつは何の余興だ』

 

舞台は烈我達の世界へと戻り、呆れたように一言愚痴を零すキラー、彼の前にはまるで尾行する様に物陰に身を隠す烈我、光黄、ミナト、星七達、そして彼らの前方少し離れた所には絵瑠とシュオンの姿が。

 

「何で俺までこんなことに付き合わなきゃならないんだ」

『全くです。光黄様の手を煩わせるとは!』

 

「はは、まぁ僕も自分で何をしてるんだろうって思ってます」

『そう言うな星七、何事も経験じゃ』

 

何をしてるのかと言うと、ミナトと絵瑠の事情を聞いてからどうにかできないのかと試行錯誤し、結局直接会って話してみるのがいいだろうという事から、話す機会を覗う事となり、星七も光黄も断り切れず付き合われているという所だった。

 

「やれやれ、ホントにこんなストーカーみたいな真似しなきゃダメか」

「色々絵瑠に謝りたいって言ったのはミナトだろ! こういうのは直球で伝える為にも会って話するのが一番だ!」

「直球勝負って事? なんだかなー」

「いいから早く行って来い!」

「いや、急に言われても……今言ってもまたいつもみたいに即帰えられそうだし」

 

そんな事を言いつつ、理由を付けて中々絵瑠に対して顔を出しにいけないというのが現状、その様子を見ている光黄達からもため息が出る。

 

『やれやれ、前途多難じゃな』

『全くですよ、早く光黄様と二人きりで……じゃなくてあまり長引きそうなら帰りたいんですけど』

『全くお主は!』

 

愚痴を零すライトに、エヴォルは呆れ顔を浮かべるが、「じゃが」と真剣な様子で表情を変え。

 

『こうして集まるのは都合いいかもしれんわい、以前の星七の様に一人きりの所を狙われてはたまらんからのぉ』

「「「!!」」」

 

エヴォルの言葉に全員の表情が変わる、ルディアとの戦いを振り返り、敗北を悔しがるように拳を握りしめるが。

 

『ハッ! ハイドカード、そんなの俺様の敵じゃねぇぜ!』

 

傲慢な態度でまるで恐れを知らぬキラー。

 

『相変わらずじゃの。まぁ下手に気負うよりかはお主のように自信を持つ方がいいかもしれん』

『キラーだけじゃねぇ、俺も同じだぞ! ハイドカード、俺の怒りをぶつけるにはうってつけっての相手だ』

『おっと、自信があるのは私も同じですよ! 私と光黄様に掛かれば、敵はありません!』

 

『自信があるのはどいつもこいつも同じか。まっ、それでも一番は俺様だがな!』

 

何時もの調子で語るバジュラやキラー達に、自然と烈我達も安心するように笑ってしまい、そんな気配に対し、シュオンはふと振り返りながら。

 

「シュオン、どうしたんだ」

『……嫌、何でもない。とっとと帰るぞ、またうまい物でも食わしてくれ』

「フフフ、お前もすっかりこっちの食が気に入ったみたいだな」

 

絵瑠は烈我達に気付いておらず、シュオンはどうなのか不明だがそれでも今は構わない様に、そのままその場を再び歩き出す。

 

『見つけた!』

「『!』」

 

ふいに掛けられる声、以前シュオンの時の様に突然目の前に空間の穴が開き始めたかと思うと、声の主であろう男性がいきなり目の前に現れ、その人物は帝騎であるガイト。

 

「暴食の七罪竜、所持者! 式音絵瑠だったよなァ?」

「な、何なんだお前! どうして私の名前を!!」

罪狩猟団(デッドハンターズ)、七罪竜を狩る者として情報収集は当然だろ?」

「罪狩猟団!!」

 

烈我や光黄から聞いていた組織の名、そして彼らの狙いは当然シュオン。

 

『俺が狙いか』

「あぁ、テメェを狩る為にわざわざ出向いてやったんだからよ!!」

 

「ッ!! シュオンは渡さないぞ!」

「ならバトルしやがれ、腕づくでも奪い取ってやるよ!」

 

デッキを取り出すガイト、応戦の為に絵瑠もデッキを取り出そうとするが、彼女がデッキを構えるよりも、その場の誰よりも早くガイトの前に立つ影。

 

「ミナト!?」

 

絵瑠とガイトの間に割って入ったのはミナト、遅れる様に烈我達もその場に駆け寄り、一方で目の前にいるガイトの姿にミナトは面識がある様子で。

 

「……黒海ガイト、だよな」

 

「ガイトって、確か」

 

以前烈我達に話した親友、その親友の名を目の前の人物にあてはめながら尋ね、その人物は苛立った表情を向けて答えようとはしないが、答えを聞く必要はない。

 

「話は聞いてた。罪狩猟団ってどういう事だよ?」

「……いきなり会って、質問攻めかよ。ミナト」

 

ミナトに対しガイトもまた認識がある様に言葉を返し、その言葉にミナトは静かに構える。

 

「どういうつもりだ、何でお前が?」

「るせぇな。騒がなくても説明してやるよ。まず一つ目、さっき言った通り俺は罪狩猟団、そして帝騎の一人だ!」

「!!」

 

幹部としての地位を指す帝騎という言葉に、動揺が走る。

 

「お前と別れたあの日、あの人は俺の前に現れた……組織の狩猟、ルディア様が」

「「「!!!」」」

「あの人は俺に言った、罪狩猟団はいずれ世界に轟かせる組織の名となる。その時、俺の力があれば好きなように自由気ままに生きられるってな」

「お前、それを本気で!!」

「あぁ本気だよ、テメェに負けてから俺はずっとそういう居場所を求めて、何よりあの人は俺を必要としてくれた! 俺に居場所を与えてくれた! だから当然それにのかったのさ!」

 

再びミナト達に対し、デッキを突き付けながら。

 

「正直お前と戦うつもりはなかったが、丁度いい、テメェには以前の屈辱もある! どっちだろうと相手してやるよ!」

「ミナト!」

 

咄嗟に絵瑠はミナトの方に視線を向けるが、ミナトは静かに自分のデッキを構える。

 

「悪い絵瑠、俺にやらせてくれ」

「!」

「こいつだけは俺が決着を付けなきゃならない相手だ。だから!」

 

ミナトの強い視線に、絵瑠は言葉を失うように自分のデッキを下げる。

 

「分かった。でも勝てるんだよな?」

「当然! まっ、応援しててくれよ!!」

 

笑って絵瑠に言葉を掛けながら両者デッキを構える。

 

 

「「ゲートオープン! 界放ッ!!」」

 

叫びと共に二人はバトルフィールドへと舞台を移す。

 

 

 

 

────第1ターン、ガイトside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「アクアオーラゴレム召喚! 召喚時効果発揮でデッキの上から4枚オープン」

 

オープンしたカードは「へファイトスの鍛冶神殿」、「カノンアームズ」、「アマゾナイトゴレム」、「ストロングドロー」の4枚。

 

「系統「天渡」を持つアマゾナイトゴーレムを俺の手札に。ターン終了だ」

 

 

────第2ターン、ミナトside。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

 

「俺のターン、海底に眠りし古代都市を配置。これで終わりだ」

 

 

────第3ターン、ガイトside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]6枚。

[Field]アクアオーラゴレムLv.1(1)BP3000。

 

「俺のターン、バーストセット。そして早速創界神ヘファイストスを配置! 配置時の効果で神託だ!」

 

出現する創界神、ヘファイストス。神託により破棄されるは「コジロンドゴレム」、「アラマンディー」、「ストロングドロー」の3枚、神託対象のカードは2枚の為、それに合わせてヘファイストスにコアが追加される。

 

「続けてアマゾナイトゴレムを召喚、神託でヘファイストスに1コア追加。そしてメインステップ時での効果、自分の場が造兵だけならこのスピリットを疲労させることで2枚ドロー」

 

カードを2枚引き、引いたカードに笑みを零しつつその後の効果で手札から「ソリッドボディ」と「パージアタック」を破棄する。

 

「良いカードでも引いたみたいだな」

「さぁな。けど今にテメェの余裕顔、崩してやるよ! まずはバーストセットし、続けてレチクルームズを召喚! この召喚時効果でお前のデッキを上から3枚破棄!」

「!」

 

ブレイヴであるレチクルアームズはフィールドに出現するなり、腕を振りかざすとミナトのデッキから3枚のカードを吹き飛ばしていく。

 

「アマゾナイトゴレムの効果、自分のブレイヴが召喚された時、ボイドからコア1個をこのスピリットに追加!」

 

コアを増やし、次は一気にレチクルアームズを合体させようとカードを構えるが。

 

「合体はさせねぇぞ! 「神銃」を持たないブレイヴが召喚された時、このカードの効果を発動! そのブレイヴを破壊する!」

「ッ!!」

 

突如その場に鳴り響く乾いた銃声の音、そしてレチクルアームズの体に銃弾が撃ち込まれ、銃声の先には拳銃とサーベルを構える龍王海賊団副船長、アオザック。

 

「アオザックの召喚時効果でボイドからコア2個を古代都市に追加!」

「俺以上にコアブーストしやがるか」

「お前のブレイヴを召喚してくれたお陰だぜ」

「チッ、相変わらず気に入らねぇ。俺はターンエンドだ」

 

 

────第4ターン、ミナトside。

 

[Reserve]7個。

[Hand]4枚。

[Field]龍王海賊団 副船長アオザックLv.1(1)BP5000、海底に眠りし古代都市Lv.1。

 

「行くぜ! 異界神シャークマン召喚!」

 

獣人ともいうべき異形の姿をしたスピリット、シャークマン。異合を持つスピリットが召喚された為、再びコアブースト。

 

「さらにシャークマンの召喚時、コスト4以下のネクサス一つを配置できる! 海底国の秘宝を配置し、配置したネクサスにコアを追加!」

 

場を一気に揃え始め、後方に配置されるネクサス。

 

『準備は出来たか、ミナト?』

 

脳内に響くキラーの声、その声に対し笑みを浮かべ。

 

「あぁ、出し惜しみせず飛ばして行くッ! 神をも恐れぬ大胆不敵の傲慢な王よ!牙を研いでその傲慢な野望を実現させろッ! 海牙龍王キラーバイザーク、Lv.2で召喚!」

 

フィールドに満ちて行く海水、そして深く暗い水面の底で蠢く影、眼光を輝かせて一気に海面を突き破ると、牙を剥き出しに現れる傲慢を司りし海龍、キラーバイザークは咆哮を上げ、海上を荒れ狂るわせる。

 

「それが、七罪竜の一体か」

 

『あぁそうだ! 精々俺様の牙に喰い殺されることを光栄に思えよ! クソ餓鬼!』

「なんだとッ!?」

 

誰に対しても変わらず傲慢な態度を向けるキラー、ガイトを見下ろしながらその牙を突き立てんと構え始める。

 

『さぁミナト! とっとと命令しなッ!!』

「任せるぜキラー! アタックステップ! キラーバイザークでアタックだ!」

 

海面を一気に突き進み、そして一気に跳び上がるとそのまま展開されたバリアに喰らい付く。

 

「ぐぐッ! がはぁッ!!」

 

衝撃に一瞬吹き飛ばされそうになるがそれでもかろうじて踏み留まり、強く力を籠めるようにミナト達を睨み付け。

 

「これ以上いい気になんなよッ! ライフ減少時でバースト発動ッ!! 選ばれし探索者アレックス!」

「何!?」

「このスピリットを召喚し効果によって1枚ドロー、さらにテメェのアタックステップを強制終了だ!」

 

手に持った杖を天に掲げ、杖に祀られる宝玉を光り輝かせ始めると、光を浴びたスピリット達は行動を抑止させられるように固まり始め、かろうじてキラーだけはまだ動けるように抵抗の意思を示すが。

 

「ふふっ、これで終わりか、ミナトォ?」

「ッ!!」

 

不敵に笑みを零すガイトの表情に、何かを予感するように悪寒が走る。

 

「キラー! バトル終了時の効果で【潜水】! 一旦身を隠せ!」

『……あぁ』

 

キラーもまた不穏な何かを感じ取っているのか、表情を曇らせつつ、ミナトの指示にそのまま海面深く潜り、その場から姿を隠す。

 

「はは、それが【潜水】の効果か。まっ、身を隠すのはいい判断だと思うぜ?」

「お前、何を狙ってる?」

「今に分かるさ!」

 

 

────第5ターン、ガイトside。

 

[Reserve]5個。

[Hand]4枚。

[Field]選ばれし探索者アレックスLv.1(1)BP5000、アクアオーラゴレムLv.1(1)BP3000、アマゾナイトゴレムLv.1(1)BP2000、創界神ヘファイストスLv.1

 

「俺はもう一度、アマゾナイトゴレムの効果だ、このスピリットを疲労させることで2枚ドローし、2枚カードを破棄」

 

カードを2枚引き、引いたカードに笑みを零しつつその後の効果でカードを破棄、選んだカードは「ロードナイトゴレム」と「クラッシュアンドビルド」

 

トラッシュに送られる造兵を持つカード、それを確認した瞬間、ヘファイストスはまるで起動するかのように青の波動を全体に向けて撃ち広げていく。

 

「これで俺のトラッシュには造兵のカードが三枚、以降スピリットの召喚時は発揮されねぇ」

「ぐっ! 厄介な能力だな」

「引き金を引いたのはお前もだろ、レチクルアームズを破壊してなきゃまだ効果は不発だったんだからな」

 

嘲笑うような笑みを見せながら、さらにガイトはバトルを続けていく。

 

「さらにもう一度バーストセットし、深淵の巨剣アビスアポカリプス(Rv)をへファイストスに直接合体!!」

 

激流を逆巻きながら天空へと撃ち上がる巨大な大剣、アビスアポカリプス。その大剣をヘファイストスは握り掴み、アビスアポカリプスを深々と大地へ突き立てる。

 

神話(サーガ)ブレイヴか」

「そうだ、そして神話ブレイヴを対象にヘファイストスにコアを追加し、アビスアポカリプスは創界神と合体してる場合、コア4つ創界神に置かれていれば、俺のスピリット全てを最高レベルにできる!」

 

天へ打ち上がった激流は散り散りとなって雨の様に降り注ぎ、降り注ぐ雨は恵の様にガイトのスピリット達に力を齎す。

 

「まだだぜ! アマゾナイトゴレムの効果、ブレイヴが召喚された事でコアブースト。さて、これで準備はできたがその前に」

 

まだ何か足りないものがあるのか、警戒するミナトだが、彼に対しガイトは静かに視線を向け。

 

「なぁミナト、テメェはいいよなァ」

 

不意に声を掛けるガイトに、不信感を覚える様に「何だ突然?」と言葉を返す。

 

「いいから聞けよ。テメェがバトスピを始めてすぐ、才能だけで周囲から敬われ……そして七罪竜って言う強力なスピリットにも選ばれた」

「?」

「不公平だとは思わねぇか? テメェばかり注目され、力を手にできるチャンスにも恵まれてる」

「何が言いたいんだ、お前は?」

「……分からねぇか? 分からねぇだろうなテメェには。生まれ持った才能だけで周囲から注目され、お前が日の元で輝くたびに俺が積み上げてきた地位は塵みたいに消え、誰の目にも止まらず、次第に日陰に追いやられてく俺の気持ちがよォッ!!」

「!!」

 

逆恨みに近い感情、勿論それはガイト自身も分かってる。だが、それでも胸に抱えた怒りはどうしようもなく膨れ上がり、もはや彼にとってはそれをぶつけないと気が済まなった。

 

「テメェさえいなけりゃ俺はもっと輝いてられた、誰もが俺に注目していてくれた。ずっとそんな事を僻んで敬んで妬んで、毎日毎日気が狂いそうだったぜ」

 

目元に隠す様に手を置きながら一息零すが、「けど」と言葉を続け、その口元を緩ませて行く。

 

「もういいんだ、俺はようやく自分の居場所を手に入れられた。あの人だけが唯一俺に居場所を与えてくれる!」

「あの人……それが罪狩猟団って訳か!」

 

察するようなミナトの言葉に対し、ガイトは笑いながら首を縦に振る。

 

「あぁそうさ。あの世界じゃバトルの実力一つで何でも思い通りにできる! まさに俺にとってのパラダイスだよ!」

「本気で言ってんのかよ? 冗談にしちゃ笑えねぇぞ」

「冗談だと!? 俺が求めてたのは、俺を認めてくれる世界だ! 誰にも馬鹿にされることのねぇ、誰もかれもが俺を! 俺の存在を称える!! 帝騎っていう称号は俺が一番欲しい名声と地位に他ならねぇ」

「地位と名声、それだけがお前の欲しい物だって事か?」

「蔑みたいのなら勝手にしろよ、けどな! 名誉も地位も俺にとっては大事で、それが俺にとっての全てなんだよ! だから誰にも邪魔させねぇ、二度とテメェに俺の居場所を奪われてたまるか!!」

「ガイト、お前……!!」

「今見せてやるよ! テメェの七罪竜に引けを取らねぇ、最凶のカードをなッ!」

「!」

 

『俺様に引けを取らねぇ、だと?』

 

海は荒れ狂い、これから来る何かにキラーは苛立つ様に答えながらも、ガイトは一切構う事無くそのカードを構え始める。

 

「全て呑み尽くす絶望の大波ッ! 海帝の名の下、弱者に生きる未来はねぇッ!! 召喚、海帝獣オルガウェーブッ!!」

 

背後より押し寄せる巨大な津波、不足コストを取り除かれ、アクアオーラゴレムとアマゾナイトゴレムはその津波の中に飲まれて消滅、そして津波の中、一際強い眼光をギラつかせると、次の瞬間、津波の内部を突き破って海水へ着水し、姿を見せるスピリット、その姿こそハイドカードに数えられし一体──オルガウェーブ。

 

"ギュラアアアアアアァァァァァッ!!"

 

咆哮を天に轟かせると、空は荒れ狂う様に豪雨を降り注がせ、天災とでもいうべき程の圧倒的オーラを放つ。

 

「これが最凶の力だッ! 俺の地位を確固たる物にしてくれる最凶の存在、それがハイドカードだッ!!」

「……ッ!!」

「間違ってももう俺にまぐれ勝ちができると思うなよ? あの日の屈辱、今日ここで返してやる!!」

 

荒々しく叫びながらガイトはターンを終えるが、そんなガイトの叫びに同調するようにオルガウェーブも吠え立て、対面するミナトやその光景を見ている烈我達も思わず息を呑む。

 

「あれが、青のハイドカード!」

『以前見たアブソドリューガと同等、それ程の威圧感だな』

 

オルガウェーブの姿に烈我とバジュラは冷静にその所感を述べるが、その隣でシュオンはオルガウェーブを見ながら。

 

『絵瑠、お前はどう思う?』

「ど、どうって」

『あの男の執念、そしてそれを形にするかのようなハイドカードの存在。お前から見て、あの男は勝てると思うか?』

「わ、私は……!」

 

シュオンからの質問、答えが気になるように烈我達の視線が絵瑠に映るが、彼女本人は「分からない」と答え辛そうに口籠らせる。

 

「彼奴が勝てるかなんてわからない、それでも……!!」

 

想いを込めるかのような視線を向け、烈我や光黄達も絵瑠と同様にバトルを行方を守って行く。

 

 

────第6ターン、ミナトside。

 

「キラー、一度浮上しろ!」

 

ミナトの指示にキラーも水面の底より浮上し、姿を現し、目の前にいるオルガウェーブと睨み、牽制し合うように両者吠える。

 

『あれがハイドカードか』

「相当やべぇ奴だと思うんだけど、どう思う?」

『ふん、関係ねぇ。どんな奴だろうと、最後に勝つのは俺様だ!!』

 

強大とも言うべきオルガウェーブを前にしても全く怯む事のないキラーに安心を覚える様に、ミナトも笑う。

 

「やっぱお前はそうだよな。心強いったらないぜ」

『当然だ! 最強は俺様だからな!!』

 

キラーの言葉に自分も意識を切り替える様に集中し直すと、そのままバトルを続行させていく。

 

[Reserve]5個。

[Hand]2枚。

[Field]海牙龍王キラーバイザークLv.2(3)BP12000、異界神シャークマンLv.1(1)BP2000、龍王海賊団 副船長アオザックLv.1(1)BP5000、海底に眠りし古代都市Lv.1(0)、海底国の秘宝Lv.1(0)。

 

「キラーバイザークをLv.3に、さらに海底国の秘宝をLv.2にアップし、もう一枚、海底国の秘宝をLv.2で配置!」

『奴に手札は一枚もねぇ、攻めるなら今が絶好のチャンスだと思うがどうするよ?』

「…………」

 

キラーの言葉通り、状況を見れば絶好のチャンスとも思える場面、だが、ミナトにとっては何かが引っ掛かるのか、妙な胸騒ぎを感じていた。

 

「まだあのオルガウェーブって奴にどんな効果があるかは知らないし、それ以上に……ガイト自身がこのまま無策だとは思えねぇ」

 

余裕のつもりなのか、それともただのブラフか、全く落い詰められているかのような態度を見せないガイトに対し、ミナトは。

 

「キラーの【潜水】の効果、もう一度身を隠せ!」

『仕方ねぇ、テメェの勘を信じてやるよ!』

 

「ほぉ、キラーを退避させたか」

 

再び深く海へ潜って行くキラーに感心するような言葉を投げ、ミナトは「まぁな」と軽く相槌を返しながら、アタックステップを迎えようとするが。

 

「おっと! お前のアタックステップ開始時、オルガウェーブの効果発揮!」

「!!」

 

オルガウェーブはその眼光を血走らせながらシャークマンを睨む付けると、まるで蛇に睨らまれたかのように、シャークは恐怖に全身を硬直させ、固まってしまう。

 

「何だと!?」

「これがオルガウェーブの効果! このスピリットが回復状態の間、相手のコスト5以下のスピリットはアタックする事ができない!! 弱者には歯向かう事すら許さねぇ、それがオルガウェーブさ!」

「ッ!!」

 

シャークマンが動けない以上、今行動可能なのはアオザックのみ。無闇にアタックさせたところで、オルガウェーブに太刀打ち出来る訳がない。

 

「仕方ない、ターンエン──」

「逃がさねぇぞ!」

「!」

 

ターン終了をコールする前にガイトは言葉を挟むと手札の一枚を構える。

 

「相手のアタックステップ開始時でマジックロープ発動!」

「白のマジックだと!?」

 

以前、星七との戦いでルディアが使用したカード。それと同じカードの発動宣言に、流石にミナトも動揺を隠せなかった。

 

「不足コスト確保でアレックスを消滅! 指定対象をアオザック、そいつで強制アタックしてもらうぜ!」

 

アレックスがその場から消滅し、その代償として発動されるマジックロープ、白いロープがアオザックを拘束すると、そのまま強制的に前線へと引き釣り出す。

 

「ぐッ! こっちのブロッカーを減らすつもりか!!」

 

現在のオルガウェーブのBPは11000、対するアオザックはBP5000、ブロックされればひとたまりもないが。 

 

「そう構えんなよ、別にオルガウェーブに相手させる訳じゃねぇよ」

「何!?」

 

回復状態を維持する為か、いや違う。此奴(ガイト)がそれだけで終る筈がない。

 

「アタックはライフで受けてやるよ!」

 

笑ってアオザックの攻撃を受け入れると、そのままアオザックの銃弾がバリアへと撃ち込まれ、ガイトのライフを破壊するが。

 

「ライフ減少時でバースト発動ッ!! そのバースト効果によりアオザックをデッキの下に送って、退場させてもらう!」

「!」

「それだけじゃねぇ、俺の手札が4枚になるまでドロー! さらにこのスピリットを召喚! 異次元に生まれし孤高の聖騎士! アルファモン、召喚ッ!」

 

巨大な矛を背負う黒き外装を纏う騎士、ロイヤルナイツとして数えられるスピリット、アルファモン。

 

「一気に手札増加、だと?」

「青だけじゃ手札の消費は抑えられない、その対策を俺がしてないとでも思ったか? キラーを倒せなかったのは残念だが、それでも充分!」

「……ッ! ターンエンド」

 

 

────第7ターン、ガイトside。

 

[Reserve]9個。

[Hand]5枚。

[Field]海帝獣オルガウェーブLv.3(1)BP11000、アルファモンLv.3(1)BP20000、創界神ヘファイストス×深淵の巨剣アビスアポカリプスLv.1。

 

「ネクサス、海の主を祭る島を配置! そのままアタックステップ! オルガウェーブ、行けぇッ!! アタック時効果、相手のコスト5以下のスピリットはブロックできねぇぞ!」

 

オルガウェーブは再度吠えながら、ミナトへと迫って行く。

 

「さらにアタック時効果でこのスピリットのコスト以下の相手を破壊! 消えろ、シャークマン!!」

 

弾丸の如く突き進むオルガウェーブはそのまま目の前に立つシャークマンをいとも簡単に跳ね飛ばし、破壊。

 

「ぐッ!」

「やっぱ雑魚は呆気ねぇなぁッ! まぁ生き残ったところで、コスト5以下のスピリットはブロックする事すら出来ねぇけどな!」

「アタックだけじゃなくブロックもまでさせねぇとか、冗談だろ?」

「これが此奴の力さ! ほら、メインアタックだぜ!!」

 

『(ミナトォッ!!)』                          

 

「分かってる! けどまだだッ!!」

 

咄嗟に脳内に響くキラーの声、当然言いたい事は分かる。しかしそれでもオルガウェーブの攻撃は受け入れるようにライフで受けることを宣言すると、オルガウェーブは体に巻き付けたチェーンを直線状に伸ばすと、それをまるでおのように振り下ろし、ライフを叩き壊す。

 

「ぐぁッ!!」

「次だ次! アルファモンでアタック!! アタック時効果、2コスト支払う事でこのスピリットは回復!!」

 

アビスアポカリプスがある間、アルファモンは常に最高レベルとして扱われ、回復に必要なコストも充分出来ている。下手をすればこのままゲームエンドに持ち込まれてもおかしくはない。

 

「ライフで、受ける!」

 

アルファモンの矛がバリアを突き崩し、さらにライフを破壊。

 

「終わらせてやるよ! アルファモンでさらにアタック! アタック時で2コスト支払い、もう一度アルファモンを回復!」

 

再び迫るアルファモン、その姿を前に腹を括るかの如く、強い眼差しを向ける。

 

「賭けるしかねぇか! キラー、浮上しろ!!」

 

その指示を待っていたと言わんばかりに、アルファモンの目の前に飛び出し、その行く手に立ち塞がるキラー。

 

「やっぱり出してきたな。じゃなきゃ終わっちまうもんなッ! けどよぉ、キラーバイザークのBPじゃ、アルファモンには勝てねぇぜ!」

「そんな言葉はいらねぇよ! キラー、ブロックしろ!!」

 

立ち塞がるキラーに、アルファモンは槍をそのままキラーに突き出すが、キラーは大きく口を開いて槍に喰らい掛かり、その一撃を牙で食い止める。

 

「フラッシュタイミングでオーシャンエナジーを使う! 効果でキラーのBP+3000!」

「その程度のBPアップぐらいで!!」

「だからまだだよ! 俺の手札が0枚の時、そのあと3枚ドローして1枚破棄!」

 

手札を増やし、引いたカードに笑みを浮かべながらそのカードを掴む。

 

「さらにマジックでストロングドロー! 効果でキラーのBPをさらに+3000だ!」

「何ッ!?」

 

アルファモンのBPを上回ると、喰い止めた槍をそのまま噛み砕き、アルファモンを突き飛ばして鰭に光を纏わせ、それを斬撃波の如くアルファンへ撃ち飛ばすと、得物を失ったアルファモンに防ぐ術はなく、斬撃に両断されアルファモンは爆発四散を起こす。

 

「ぐっ!?」

「少しは驚いてくれたかよ、ガイト!」

「タダのまぐれだろうが、いい気になってんじゃねぇよ! エンドステップ時、オルガウェーブの効果発動!!」

 

荒々しく咆哮すると、そのまま自軍の場に配置されたネクサス、海の主を祭る島に視線を向けたかと思うと、次の瞬間、そのネクサスに鎖を飛ばし、刺し貫く。

 

「!?」

「オルガウェーブはエンドステップ時、自分のネクサス1つを破壊する事でスピリット一体を回復させる。回復対象はオルガウェーブ自身。そして海の主を祭る島の破壊時効果、トラッシュにあるネクサス1つを再配置可能、ヘファイストスの鍛冶神殿を配置するぜ」

 

鎖を引き抜くとガラガラと音を立てて崩れ落ちるが、その破壊時効果によって砕けた瓦礫はヘファイストスの鍛冶神殿へと再構築され始める。

 

「ターン終了!」

 

 

────第8ターン、ミナトside。

 

[Reserve]8個。

[Hand]2枚。

[Field]海牙龍王キラーバイザークLv.3(4)BP16000、海底国の秘宝Lv.1(1)、海底国の秘宝Lv.1(1)、海底眠る古代都市Lv.1(0)。

 

「俺のターンッ! 三つ首の獣、本能のままに叫び! 敵を威圧する咆哮を! 勝利への雄叫びを上げろッ!! 戌の十二神皇グリードッグ、Lv.2で召喚ッ!」

 

異合を持つグリードッグの召喚により、再びネクサスによってコアブースト。

 

「出たな、お前のキースピリット!」

「あぁ、けどこれだけじゃねぇ。紺碧の巨神、青魔神を召喚!! グリードッグとキラーバイザークにそれぞれ合体だ!」

 

青魔神を呼び出すと、即座にキラーとグリードッグに合体させ、アタックステップを迎えて行く。

 

「お前のライフは3つ、悪いが終わらせるのは俺の方だな!! グリードッグ、行けッ! アタック時効果で【封印】! ソウルコアを俺のライフに!」

 

海面を駆け抜けながらグリードッグは雄叫びを上げると、ソウルコアの赤い輝きがライフへと灯る。

 

「さらにアタック時効果、【強奪】!! お前の手札を見せてもらうぜ!!!」

 

グリードッグは吠えながらガイトの手札を奪おうと飛び掛かる。

 

「出たぜ! ミナトの必勝パターン! そのまま決めろッ!」

 

これで決着だと喜ぶ様に烈我は応援の声を張り上げる、だが。

 

「相手の手札を奪う、確かお前の得意なやり方だったな……けどよォッ!」

「!!」

「ヘファイストスの鍛冶神殿の効果、俺の手札は相手効果受けねぇ! 【強奪】は効かねぇぞ!」

 

ヘファイストスは飛び掛かるグリードッグに腕を翳すと、それは強固な縦の様にグリードッグを弾き返してしまい、その光景に見ている烈我達に動揺が走る。

 

「浅墓なんだよ! テメェの【強奪】は効かねぇぞ!」

「分かってるよ、それぐらい」

「!」

 

だが、ミナトもまたガイトの対策する事は理解している。分かった上でアタックする事を躊躇ってはいなかった。

 

「青魔神のアタック時効果、俺はデッキから2枚ドローし、その後2枚カードを破棄する。けど、俺の場にあるネクサス海底国の秘宝は、Lv.2の時、青のスピリットの効果で破棄する手札枚数を1軽減する。2枚配置されてれば俺が破棄する手札は0枚だ!」

「!……ならお前の狙いは最初から【強奪】じゃなく、自分の手札増強の為か!!」

「あぁ、青属性に不足する手札のアドバンテージ、その対策をしてるのは俺も同じだよ! しかもグリードッグの攻撃はまだ生きてるぜ!」

 

弾かれてもなお海面をもう一度爆走すると、そのまま一気にガイトへと迫って行く。

 

「舐めんじゃねぇ! フラッシュ、氷雪サークル!!」

「!!」

「このターン、グリードッグを指定、ソウルコアをコスト使用した場合はもう一体指定対象に選ぶ! キラーバイザークだ!!」

 

グリードッグとキラーバイザークに白いオーラを纏わせられ、グリードッグは構う事無く展開されたバリアに喰らい付くが、バリアはグリードッグの牙を一切通さない。

 

「指定したスピリット2体はこのターン、俺のライフを削れねぇ! 残念だったな」

「まだだ!」

「!」

「キラーバイザークでさらにアタック! 青魔神の追撃で俺はさらに2枚ドローするぜ!」

「(手札増強に移行して来たか……けど無駄だぜ!)」

 

ガイトの思惑通りキラーの攻撃でさえも展開されるバリアには傷一つつかず、弾かれてしまう。

 

「バトル終了時、キラーを回復させて【潜水】の効果を発揮させる! これでターン終了」

 

 

────第9ターン、ガイトside。

 

[Reserve]11個。

[Hand]5枚。

[Field]海帝獣オルガウェーブLv.3(1)BP11000、ヘファイストスの鍛冶神殿Lv.1(1)、創界神ヘファイストス×深淵の巨剣アビスアポカリプスLv.1。

 

「俺のターン、アビスアポカリプスを分離させ、オルガウェーブに合体! そしてコアを追加しLv.3!」

 

ヘファイストスはアビスアポカリプスをオルガウェーブに投げると、受け取るように投げられた大剣を咥え取る。

 

「終わらせてやるよ! 神が作りし最高の破壊王! 殲滅の弾甲を撃ち尽くせッ!! 蒼造炉神ヴァルカンゴレムを召喚!」

 

ヘファイストスが作り上げたとされる機神、地響きと共に鍛冶神殿は左右に展開し開くと、ハッチを開き格納されていたヴァルカンゴレムは地上へと姿現すと、起動するように眼光に輝きが灯る。

 

「さらに神変形ハンマーアームズ召喚、ヴァルカンゴレムに合体!」

 

ハンマーを掴み取り、オルガウェーブと並んでヴァルカンゴレムも蒸気を噴き上げながら、自身の駆動音を咆哮の様に唸らせる。

 

「今度こそ止めを刺してやる! ヴァルカンゴレムでアタック!! アタック時、【界放:2】の効果、相手のデッキを上からオープン!」

「!」

 

ミナトのデッキから1枚オープンされ、オープンされたカードは「ホオジロタイガー」

 

「効果はまだ続く! ヘファイストスのコア2個をヴァルカンゴレムに移す事でこの効果でオープンされるカードは俺の神話ブレイヴ一枚につき、一枚追加! 俺の神話ブレイヴはアビスアポカリプスとハンマーアームズの2枚、よってさらに2枚オープン!」

 

追加で引かれたカードは「蒼海の大剣メイルシュトロム」、「白晶防壁」の2枚。

 

「この効果でオープンされたスピリットカード1枚につき、シンボルを追加! よってヴァルカンゴレムにシンボル一つを追加し、トリプルシンボル! オープンしたカードは一枚だけ上に残りは下に置けるが、まぁメイルシュトロームを上で残りは下でいいだろう」

 

念には念を入れるようにスピリットとマジックを下に送り、そしてヴァルカンゴレムは巨大な体を前進させていく。

 

「ハンマーアームズの効果! このスピリットの効果でオープンされたカードのコストを合計し、そのコスト以下の相手を破壊! オープンされたカードのコスト合計は16、よってそのコスト以下のグリードッグを破壊だァッ!!」

「!」

 

ヴァルカンゴレムは片腕に握りしめるハンマーアームズをその場で振り下ろすと、次の瞬間、まるでオーラの様な虚栄が衝撃波となってグリードッグへと降り注ぎ、直撃を受けて破壊される。

 

「界放の効果でヴァルカンゴレムのレベルも上がってる! さらにLv.2、Lv.3のアタック時効果でコスト10まで相手スピリットを破壊、残った青魔神も破壊だ!」

 

体の各部位備え付けた砲門を剥き出しに放たれる一斉射撃、青魔神は無数の銃弾を受け爆発四散。

 

「フラッシュタイミングでキングスコマンド! コスト4以上のスピリット全てはこのターンアタックする事は出来ねぇ!」

「継続中のヴァルカンゴレムのアタックは有効! トリプルシンボルで決めてやるよ!!」

 

キングスコマンドのオーラがオルガウェーブの行動を制限するが、それでもガイトの言葉通り、それだけではヴァルカンゴレムは止まらない。

 

「キラー!! 浮上しろッ!」

 

今のミナトの場にブロッカーとなるスピリットはもういない、攻撃を止めるべく再びキラーが海面に姿を見せるが。

 

「無駄だつってんだろうが! ヘファイストスの【神技】発揮! このネクサスのコア3個をボイドに送ることでヴァルカンゴレムを回復! さらにこの効果で回復したコスト10以上のスピリットはブロックされねぇ!」

 

トリプルシンボル、その一撃さえ決まれば勝負は決着となり、ヴァルカンゴレムは武装した兵器をミナトへ向けるが。

 

「フラッシュタイミング! マジック、秘剣燕返!」

「な、にッ!?」

 

マジックにより放たれる青き閃光、それは腕に持ったハンマーアームズへと飛空し、直撃すると爆風の中よりハンマーアームズの破片が崩れ落ちて行く。

 

「ブロックされないのはあくまでコスト10以上、だったよな!」

「し、しまった!!」

 

ブレイヴを失ったことで、ヴァルカンゴレムの元々のコストは7、であれば今の攻撃をキラーでブロックする事ができる。

 

「キラーバイザークでブロックだ!!」

 

ヴァルカンゴレムは得物を失ってなお全銃口をキラーへと向け撃ち放っていくが、キラーは自身の身を海面に叩きつけると、打ちあがる大波が壁の様に銃弾を受け止め、そして水飛沫を隠れ蓑にして、何時の間にかキラーはその場から姿を消す。

 

ヴァルカンゴレムはすぐさま捜索するように辺りを見回すが、次の瞬間、ヴァルカンゴレムの足元から激流が逆巻き、ヴァルカンゴレムを閉じ込めてしまう。

 

『決めるぜぇッ!!』

 

そして背後から姿を見せるとその牙を輝かせると、ヴァルカンゴレムを取り込む激流ごと、その牙で噛み裂き、破壊する。

 

「て、テメェ……!!」

「まだ足搔いて見せるぜ、こんなもんじゃ俺は終わらねぇ!」

「ふざけんな、まだ俺は負けちゃいねぇ! ターンエンドだ」

 

 

────第10ターン、ミナトside。

 

[Reserve]12個。

[Hand]3枚。

[Field]海牙龍王キラーバイザークLv.3(4)BP16000、海底国の秘宝Lv.1(1)、海底国の秘宝Lv.1(1)、海底眠る古代都市Lv.1(0)。

 

「行くぜキラー! 闇に対する光の剣! 蒼海の大剣メイルシュトロム(Rv)をキラーバイザークに直接合体!!」

 

アビスアポカリプスに対をなす光の剣、メイルシュトローム。天より降り注ぐその大剣をキラーは咥え取り、天に掲げながら咆哮を上げる。

 

「このままアタックステップだ!」

 

「!?」

 

手札も残り少ない状況、一気に勝負を決めたいのかそのまま続きのメインステップは行う事無く、アタックステップを宣言し、それに驚く烈我達に対し、ガイトは静かにほくそ笑む。

 

「(馬鹿が、勝負を焦って来たな。だとしたら……勝つのは俺だ!)」

 

オルガウェーブを見ながらミナトが宣言した瞬間、ガイトは自分の勝ちを確認する。

 

「行くぜ! キラーバイザークでアタック! アタック時効果で【強襲】発動! 海底国の秘宝を疲労させて、効果でキラーを回復させるぜ!」

 

ダブルシンボルで一気に攻め込むキラー、BPもガイトのスピリット達を上回り、怒涛の勢いで攻め込むが。

 

「甘いんだよ! 相手のアタック後でバースト発動!! 宇宙ロボットキングジョー!!」

「!?」

 

再び予想外となるガイトの一手。

 

「こいつのバースト効果は自分のスピリット一体のBPを+10000し、このスピリットを召喚!! 俺が選ぶのは勿論、オルガウェーブッ! 」

 

フィールドに出現するキングジョー、そしてオルガウェーブに力を齎し、BPが一気に加算された事でオルガウェーブのBPは今や26000。

 

「ブロックしろ! オルガウェーブッ!!」

 

睨み合うキラーとオルガウェーブ、そして互いに突っ込むとキラーはメイルシュトロームを、オルガウェーブはアビスアポカリプスを互いの相手に向けて振り下ろし、ソードブレイヴ同士が切り結ぶ衝撃が海面を吹き飛ばして行く。

 

”ギャオオオオオオオォォォォォォッ!”

”ギュルルルラアアアアァァァァァッ!”

 

衝撃と咆哮に荒れ狂う波、キラーはそのままメイルシュトロームを振り切るとそのままオルガウェーブを弾き飛ばし、追い討ちをかけるように一気に飛び掛かるが、キラーが動くのを待っていたようにオルガウェーブは鎖を飛ばすと、そのままキラーを縛り付ける。

 

『ぐッ!!』

「今だ、殺れッ!! オルガウェーブ!!!」

 

そのまま咥えたアビスアポカリプスを一気にキラーへ振り下ろす。

 

勝った、目の前に光景に俺はそう確信する。

 

「フラッシュタイミング、バトルキャンセル!」

「なッ!!?」

 

ミナトの使うそのカードに、オルガウェーブは振りかざしたアビスアポカリプスをピタリと止めてしまう。

 

「き、黄色のマジックだと!?」

 

大人しく剣を引き、驚くガイトを他所にオルガウェーブはそのまま後方に引き返して行き、キラーもまた笑いながら鎖を引き千切る。

 

『残念だったなァッ!』

「な、何でテメェがそんなマジックを!!」

 

「そりゃぁ、俺だって変わってるからな」

「!」

 

笑って答え、以前ガイトとの過去を振り返る。

 

「お前が俺の前から消えた時、正直お前に対して俺も恨み言の一つ二つ無かった訳じゃない。親友だと思ってた奴に散々言われたんだ、文句の一つぐらい言ってやりたいと思ったさ」

「何を今更! 俺はテメェを親友だとは思ってねぇんだよ!」

「あぁそうだよな。だから俺はあの日以来、誰かを信じる事が出来なかった。けどそれでも、お前が教えてくれたバトスピだけはやめられなかった」

「!!」

「バトスピを通じてまた信じてもいいなって思える奴が会えた。そいつらと会えて、バトスピももっと強くなりたいって思えた!」

 

脳裏に浮かぶ烈我や光黄達を思い返しながら、再びガイトを見る。

 

「お前はどう思ってるかは知らないが、俺にとってはお前は今でも大事な親友だと思いたい、あの時バトスピを教えてくれたお前に今の俺の実力を見て欲しかった!」

「!!」

「もうお前にマグレ勝ちとは言わせねぇ! 本気でお前と戦い抜かせてもらう!! キラー! もう一度アタックッ!」

 

『あぁ、俺様も全力でやり切ってやるよ!!』

 

再び海底国の秘宝を疲労させ、強襲の効果で回復すると共に一気にガイトへ攻め込む。

 

「ライフで受ける!!」

 

咥えたメイルシュトロムの斬撃をバリアに刻み、残るガイトのライフは1つのみ。

 

「ぐ、があああああッ!!」

「キラーバイザークで、もう一度アタック!」

「クソがッ! まだ俺にはブロッカーがいんだよ! キングジョー、ブロックしろ!!」

 

攻撃を阻もうと巨大な体を壁の様にしてキラーの進路を塞ぐ。

 

「この攻撃を防げばそれで終わりだろ! 勝つのは俺だ!!」

「いいや、言わせてもらう! 勝つのは俺だ!!!」

「!!?」

「フラッシュタイミング、サンブレイカー!!」

「今度は赤のマジック!?」

 

キラーは勢いよくメイルシュトロムを振り下ろし、キングジョーは機械で構成されたその強靭な腕でメイルシュトロムを白刃取りのように受け止める。

 

『ケッ! こんな木偶に……俺様は止められねぇッ!! 勝つのは俺様、嫌、違うな!』

 

後方のミナトに視線を向けて、キラーは笑うと。

 

『勝つのは、俺様達だよ!!』

「!」

 

そのままさらに力を籠め、剣を掴むキングジョーの腕を跳ね除け、そのままメイルシュトロムを振り切り、キングジョーの硬い体に斬撃を刻んで破壊する。

 

「!!!」

「これで、決まりだッ!!」

「畜生があああああああああッ!!!」

 

爆風を突っ切って、メイルシュトロムを捨て、そのままガイトに喰らい掛かり、最後のライフを噛み砕き、決着を付ける。

 

 

***

 

 

「ミナト!!」

 

バトルを終え、帰還するミナト達に烈我達はすぐにその場に駆け寄り、その声に対しまたいつもの調子で手を振りながら答えて見せる。

 

「み、ミナト……!」

 

唯一人、絵瑠だけは前に出ながらもその様子は気不味そうにするが。

 

「どうしたんだよ、ミナトが勝つって信じてたんだろ?」

「こ、光黄!? 私は何も……!!」

 

口籠る様に気持ちを声に出してはいないが、それでも光黄だけは唯一絵瑠の気持ちを理解していたように軽く微笑みながら声を掛け、そんな彼女の言葉に絵瑠は益々赤面してしまうが、ミナトもまた同じように絵瑠の気持ちを察しているように。

 

「絵瑠、見ててくれてサンキューな。俺、カッコよかっただろ?」

「ムッ! 調子にのるなよ! 私はまだお前には色々言いたい事があるんだからな」

 

揶揄うように笑うミナトに嫉妬する言葉を掛けながらも、また少し口籠るように言葉を詰まらせたかと思うと。

 

「……けど、私の為に戦ってくれて……ありがと。それだけは言いたかった」

「あぁ、その言葉だけでも嬉しいぜ」

 

まだギクショクした様子ながらもそれでも二人の仲に一歩前進した様子にライトは微笑みながら。

 

『まだ少しみたいですが、無事仲を取り持てて何よりです。けどあんな可愛い人と仲良くするなんて妬ましいですが』

「ライト、お前は一言余計だ」

 

「二人とも何の話だよ?」

「お前には分からない事だ、少なくとも鈍感な誰かさんには」

「ちょ、それどういう意味だよ光黄!?」

 

何の話かまるで分かってない烈我に対し、軽く溜息を吐きながら答える光黄。そして一方でガイトは目を覚ますようにその場から立ち上がるが。

 

「み、ミナト……テメェ!」

「ガイト、まだやる気かよ!」

「ったりめぇだ! 負けたままで終れる訳ねぇだろうが! 次は俺が勝ってやる!」

「……次か、戦う分には構わねぇ。けど一つだけいいか」

 

怒りを込めるようなガイトだが、それでもミナトに浮かぶのはガイトとつるんでいた頃の記憶。

 

「お前には今でも感謝してる。それだけは伝えたい」

「テメェ、嫌みのつもりか?」

「そんなんじゃねぇ。ただバトスピを通じて俺は変われた、けど変わった所で、結局今の俺があるのもお前のお陰だからな」

 

口元を緩ませて、静かに彼は笑う。

 

「今みたいに敵とかそんな関係じゃなくてさ、ダチとしてまた戦いたいんだよ。俺は!」

「冗談だろ、俺はお前の事が疎ましいって散々言ったよな!!」

「……分かってる。それに傷付いてないって言ったら嘘になるけど、それ以上に」

 

ガイトに対し、手を差し出しながら。

 

「またお前と昔みたいに、良いバトルしたいなって俺は本気で思ってる」

「お前、本気で」

 

その言葉に嘘偽りがない事、それは一番つるんでいたガイト自身が良く理解していた。

 

「……俺は」

『どうやら失敗したみたいだね』

「「!!」」

 

突然の声と共に、空間が開いたかと思うと、そこに姿を現したのはルディアだった。

 

「「!!」」」

「ルディア様!!」

 

「帰るよ、作戦についての報告はゆっくり聞かせてもらう」

 

ガイトに冷たくそう言葉を掛けて再び空間の中に消えると、ガイトも静かに空間の前に歩み寄って行く。

 

「ガイト!!」

「……悪ぃな。テメェに何を言われようが、やっぱり今の地位は俺自身が望んで手に入れたものだ。だから……そう簡単に手放しできねぇ」

 

呼び止めるミナトの言葉を振り切る様に、ガイトもその場に飛び込み、姿を眩ませる。

 

「ミナト……」

 

目の前の光景に呆然とするように恐る恐る絵瑠は声を掛けるが。

 

「ん? もしかして心配してくれた?」

 

まるで気にしてないようなミナトの態度に少しだけ腹立つように心配して損したというようにそっぽを向けるが。

 

「……まあ、それはそれとして……その、ありがとう」

「!!」

 

本当は自分が戦う筈だったにも関わらず、前に出て自分の代わりに戦ってくれたことに対して素直な彼女の気持ちだった。

 

「でも! 私はまだ、お前のこと許したわけじゃないからな!」

「分かってる。だから、ちゃんと謝りたい」

「……そう思ってるなら、いつか……ちゃんと聞いてやる」

「!」

 

だけど今はまだ、それだけ伝えて絵瑠は立ち去っていき、少し進展した事にミナトは少しだけ笑い、烈我達も微笑ましいようにその様子を見守るだった。

 




如何でしたでしょうか?
第22話!!

今回はガイトVSミナトさん、青同士のバトル!
今回使われたハイドカードをチェック&チェック!


【海帝獣オルガウェーブ】8(3)青、スピリット/海首・海皇
Lv.1(1)BP6000、Lv.2(3)BP9000、Lv.3(4)BP11000。
Lv.1、Lv.2、Lv.3『このスピリットのアタック時』
このスピリットがアタックする時、このスピリットのコスト以下をスピリットを一体破壊する事で相手のコスト5以下のスピリットはブロックすることができない。
Lv.1、Lv.2、Lv.3『相手のアタックステップ時』
このスピリットが回復状態の間、相手のコスト5以下のスピリットはアタックすることができない。
Lv.2、Lv.3『自分のエンドステップ時』
自分のネクサス1つを指定し、破壊する事ができる。この効果でネクサスを破壊した場合、自分のスピリット1体を指定し、そのスピリットを回復する。


以上、オルガウェーブの効果です!
今回の七罪竜VSハイドカードは無事七罪竜側の勝利!

ミナトさんはガイトさんと和解できるのか、是非とも次回も見ていただければ幸いです!
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