バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第28話【悲哀の鬼神女王】

ミナト達と別れ、先へ進む烈我。そしてその道中、彼らの前に映る人影。

 

「光黄!?」

「烈我!」

 

別れ道にて烈我達とは別方向から現れ、合流する光黄とミコの二人。お互い顔を見合わせるとその場でピタリと足を止める。

 

「良かった。光黄も無事だったんだ」

「お前こそ……何でもないようで安心した」

「当たり前! 俺とバジュラなら心配いらねえっての!」

 

『まっ、こっちは帝騎の1人をぶっ倒してここまで来たんだ! テメェの方はどうだったんだ、色欲?』

『お生憎様、此方も光黄様と私のベストコンビで打ち破り、ここまで来たんですよ。活躍具合で言えば、貴方以上ですかね〜!』

『あ?』

『何ですか!』

 

顔を見合わせるなり、何時ものようにお互い自分の成果を自慢し合ったかと思うと、またガンを飛ばして喧嘩になりそうな雰囲気、そうなる前に烈我も光黄も溜息を付きながらお互いのパートナーを呼び止める。

 

「喧嘩してる場合かっての! それより、光黄……そっちの奴って確か」

 

以前帝騎の一人で自分達の前に現れた彼女、そんな相手が何故光黄と一緒に行動してるのか、疑問を抱くのは至極当然だ。

 

「事情は説明する、そっちも何があったか説明してくれ」

「おう!」

 

お互いに組織内部に突入してからの経緯を端的に説明し、互いの事情に納得するように頷く。

 

「それじゃあまだ星七とは会ってないのか?」

「……あぁ。少し心配だな」

「まあ、星七だって強いんだ。きっと大丈夫な筈だ!」

「はぁー……、お前はまた、根拠も無い癖に」

「んな事ないって! 根拠ならある! 星七の実力は戦ってみてよく分かってる!! それが根拠だ!」

 

溜息混じりに語る光黄に対して、自信満々に答える烈我。

 

「それ、理屈になってないだろ」

「でも光黄だって俺と同じ考えだろ?」

「それは……そうだけど」

「なら、とにかく信じようぜ! 星七だけじゃなく、絵瑠やミナト達もきっと無事な筈だ!」

「……相変わらずの自信だな」

 

また溜息を吐いて言いながらも、不安など微塵も無いそんな烈我の言葉には自然と彼女もまた勇気づけられ、「おぉ!」と笑顔で返事を返す烈我に、つられるように顔を和らげる。

 

『ムゥ……あの男、また光黄様に馴れ馴れしく!』

『ハッ! 諦めな、テメェが入り込む余地なんざねえよ!』

『はぁ!? 勝手なこと言わないでくれます? 執事として、あんな男、絶対絶対絶対認めませんからね!』

『言ってろ。俺には関係ねえ話だ』

 

「お主達、今はそんな事してる場合か?」

『『!!』』

 

ミコの言葉にハッとするように会話を切り上げ、烈我に対して『オラ! 早く行くぞ!』と催促を促し、ライトももたつきつつ『我々も!』と、バジュラと同じ意見である事を示す。

そんな自分達の相棒の言葉に烈我と光黄の2人も頷いて先へと進むが。

 

『随分騒がしいと思ったらアンタ達か。納得だよ』

「「!」」

 

先へ進む烈我達だが、進んですぐに見える人物を前にまた足を止める。

彼らの前には、檻に閉じ込められたマチアの姿があった。

 

「お前……!」

「タッグバトル以来だね、相変わらず仲良さそうで何よりだよ」

「べ、別に。余計なお世話だ」

 

まさかの再会、今は捕まってる状態だと言うのに悪戯気味な笑顔を向け、恥ずかしいように光黄は少し顔を赤くさせられるが、一方でライトはマチアとの再会に目の色を輝かせる。

 

『マチア様! また貴方のような美しい方とお会い出来るなんて!!』

「アンタも相変わらずだね。けどお生憎、アタシ今捕まってる状態なんだけど」

『そ、そうでした! どうして貴方のような人がこんな所に!!?』

「……ハハ、何でだろうね。事情ならそこにいる帝騎の誰かさんがよっぽど詳しいと思うよ」

「「!」」

 

光黄と烈我の視線はすぐにミコへと集まり、ミコ本人もまた肯定の意味で首を縦に振る。

 

「その者は言うなれば人質じゃ。帝騎であるヴァン、その裏切りを手助けしたのものとしてボスが捕らえた」

「え? 彼奴とルディアって奴は仲間なんじゃ。それにヴァンって」

 

「嫌、元々彼奴はあくまで情報を渡してるだけ。実質的な主従関係はなくて、ビジネスとして協力してる。確かそう言ってた」

 

事情を知らない烈我と違って、光黄は以前に少なからず協力関係にある理由等をマチアから周知されている。

 

「あの時もヴァンに協力する理由を言ってたが……。」

「あれ? ひょっとしてまだ疑われてた? アンタなら分かってくれると思ってたんだけど」

「同じにするな!」

 

「(あぁ、そういう事なのじゃ)」

 

「二人とも何の話してんだ?」

「お、お前には関係ないだろ!」

 

ミコは話の流れに何となく察しているものの、二人の会話の流れについて行けてない烈我。疑問を尋ねる彼だがそれに光黄は顔を赤くしながら慌てて質問を拒絶、事情を知っているマチアだけはまた可笑しそうに口元を緩ませる。

 

「それはそうと、さっきヴァンがって言ってたけど、そもそも彼奴が組織のボスを裏切るってどういう──」

「ハイドカード」

 

烈我が言い終わるよりも先に、ミコは一言口にすると、烈我達も言葉を止め、そのワードに顔色を変える。

 

「元々あのカードはヴァンとマチアの2人で見つけたもの。今でこそルディア様が使っておるが、元々あのカードでヴァンは組織への反逆に利用するつもりだった」

「じゃあ何でそれが今……」

「簡単な話じゃ、ボスがそれをバトルで奪い取ったからじゃ」

「「!」」

 

ハイドカードの力はこれまでそれ等と戦ってきた烈我達にはよく分かってる。元々帝騎の頂点のルディアが並大抵の実力でない事は把握しているが、ミコから聞かされる事実に改めて、その実力を再認識させられる。

 

「ボスの実力はヴァン達の想像以上と言う事じゃった。そして皮肉にも組織に反逆する切り札だったハイドカードも、今は組織の駒の一つとして利用されてるに過ぎない」

「改めて他人の口から語られると、ヴァンもアタシも立場がないね」

 

苦笑いしながら語るマチアだが、否定しない辺り恐らくミコの言葉通りなのだろう。

 

「何で組織を、裏切ろうとしたんだ?」

「別に組織がどうこうじゃなくてアタシはヴァンの助けになりたかった。ただそれだけだよ……まあ、って言った所で素直には信じてくれないんだろうけど」

 

「……信じるよ」

「烈我!?」

 

端的に答えるマチアに対して、即答するかの様に返事を返す烈我。

 

「嫌、何となくだけど嘘を言ってる気がしなくて」

「アタシが言うのもなんだけど、どっからその根拠が?」

「……何となく。というか、お前の気持ち、分かる気がして」

 

ヴァンを想っての言葉、誰かを想う気持ちは烈我も同じなのか、充分それが本当の言葉だと伝わっていた。

 

「……このお人好し」

「んだよ、光黄だって同じ事思ってるくせに」

「だからって、最低限疑う事ぐらいしろ。心配になる」

「うっ、ごめん」

 

頭を書きながら謝る烈我だが、そのやり取りに対しマチアはまた可笑しそうにクスリと笑う。

 

「ホントに仲良いよね、アンタ達って」

「一々揶揄うな」

「そう言わないでよ。アタシからしたら羨ましいんだから」

「……全く。それよりお前これからどうするつもりなんだ?」

「さぁてね。どうするも何もまずはここから出ないと話にならない」

 

溜息を付いて一言零すマチアに、ミコは懐から何かを取り出してみせる。

 

「そこの檻の鍵なら、妾が持っておる」

「「!」」

「元々ボスから監視を任されておったが、もう妾は帝騎として従う気は無いからの」

 

苦笑いしながら取り出した鍵をそのまま光黄へと投げ渡す。

 

「!」

「妾に勝ったのはお主じゃ。好きに使えばいい」

「……」

 

ミコから鍵を受け取り暫く考え込む彼女だったが、放っておく訳にも行かず、檻の施錠を外し扉を開く。

 

「……ありがとう」

「まあ、このまま見捨てるのも忍びないからな」

「とか何とか言って、本当はアンタも結構甘いんでしょ」

「煩い」

「ハハ……。」

 

そんなやり取りを交わしながら、檻から出るマチアだが、長時間監禁されていた為か、気丈に振舞っていてもやはり体調は万全でなく、力が入らずに思わずその場に倒れかける。

 

「お、おい!」

「ッ! この程度、大丈夫だと思ってたんだけど」

 

咄嗟に庇うようにマチアの体を支える光黄、支えられながら悔しそうにそんな事を呟く。

 

「あまり無理はするな。立てるか?」

「……」

自分の肩を貸し、彼女に支えられながらマチアは静かに表情を曇らせる。

 

「ねぇ光黄」

「?」

「……ゴメンね」

「何言って────」

 

刹那、マチアに対して言葉を返そうとした瞬間、そのまま肩に掛けていた手を光黄の首元に回り込ませたかと思うと、突然彼女の首を絞め始める。

 

「ぐぁッ!」

「悪く思わないでね、光黄」

「ま、マチア! どういう……つもりだ!」

「見掛けと違って、ホントに甘いよね。アンタって」

「うぐぅ……ッ!!」

 

「光黄!」

『光黄様!!』

 

「動かないで!」

 

目の前の光景に駆け出そうとするライトと烈我だが、一歩踏み込もうとする瞬間、マチアの叫びにその足を止めさせられる。

 

「これ以上手荒な真似はアタシもしたくない。大人しくしてくれない?」

「何でだよ、今更なんでこんな真似!」

「……烈我だったけ? アンタにも折角信じてもらったのに、本当に悪いね」

「そう思うなら何で!!」

「退けないんだよ。此処まで来て、アタシにも譲れないものがある」

「!」

 

「ッ! どういう……!」

「光黄、アンタには悪いけど人質になってもらうよ? ヴァンを助ける為にもね」

「な、に?」

「アンタとその相棒をルディアに引き渡して、その見返りとして、アタシ達、嫌、ヴァンだけでも……自由の身にしてもらう」

「ッ!」

 

「お主、ボスが本気でそれに応じるとでも?」

「……ッ! そうするしか」

「?」

「そうするしか、アタシにはもう手がないの!!」

 

「!!」

 

これまで落ち着いていた言動のマチアだが、拳を握り締め、初めて自分の内の感情を晒け出すように声を振り絞る。

 

「お前……!」

「ヴァンを助ける為ならアタシは何だってやる! その邪魔をするなら、誰だって容赦しない!!」

「ッ!!」

 

「光黄!!」

 

光黄の首に回した腕にさらに力を籠め、息苦しさに表情が歪む。

 

「……ッ!……マチア、お前の気持ちは分かった」

「?」

「けど……生憎、俺は……また人質なんてのは……絶対御免だ!」

「なッ!?」

 

歪めた表情を切り替えると、即座に肘をマチアの腹部に撃ち込み、痛みに拘束が緩み、その隙を見逃さず、マチアを腕を掴むと、そのまま勢いよく背負い投げ。

 

「ッァ!?」

 

咄嗟に受け身を取り、弾かれながらも光黄達から距離を置く。

 

「アンタ、護身術まで完璧なの?」

「ハァ……ハァ……もう二度と、烈我達に迷惑を掛けたくないからな」

 

『光黄様! ご無事で!』

「光黄、大丈夫か?」

 

「平気だ、それより」

 

警戒を解いていないように視線を向ける彼女に対して、マチアは咄嗟にデッキを構える。

 

「まだよ、まだ……こうなったらバトルで決着を付けさせてもらうよ」

「まだそんな事を……!」

「煩い、アタシはこうするしかないの!」

 

光黄の言葉に耳を傾ける気はないマチアに、「仕方ない」と一言零すと彼女もまた自分のデッキを構えるが。

 

「光黄、俺にやらしてくれ」

「!」

「此奴とは……俺が戦う!」

 

強い決意を込めるような一言、彼がマチアに向ける感情は怒りなのか、それとも……。

 

「……どうせ言っても聞かないんだろう?」

「はは、悪い」

「はぁ……だったら好きにしろ」

 

苦笑いする烈我に呆れたような顔を見せつつも、譲るように一歩下がり、「ありがとう」と返事を返しながらマチアの前に一歩踏み出す。

 

「バトルなら、俺が受けて立つ。文句はねえだろ?」

「いいよ。アタシが勝ったら大人しく投降してもらう。負けた時は煮るなり焼くなり好きにしてもらって構わない」

「……分かった」

 

『ちょっと烈我さん、何を勝手に──』

「ライト!」

 

条件付きのバトルを止めようとするライトだが、光黄の一喝にピタリと止まり振り返る。

 

『光黄様、ですが』

「言いたい事は分かる。けど……俺は烈我を信じる。だから、今更止めるな」

『……分かりました。光黄様がそう仰るなら、私も信じます』

 

光黄達に見守られる中、烈我は静かに「バジュラ!」と相棒の名を呼ぶ。

 

『烈我、今のテメエにあるのは怒りか?』

「さぁな。今はともかく戦うだけだ」

『そうかよ。まっ、俺はただ俺自身の怒りをぶつけられるのなら何だっていいさ!!』

 

大きく口角をあげながらバジュラはカードの状態に切り替わると、そのカードをデッキへと加える。

 

「勝負だ、マチア! 全力で行くぜ!!」

「アンタとはタッグ戦以来だね。悪いけどあの時以上に、こっちも全力で行かせてもらうよ」

 

「絶対に負けられない」、そう一言付け足しながら互いに構え、手に持ったデバイスを足元に投げ入れるとバトルフィールドが展開されて行くと、二人は戦いの舞台を移す。

 

 

「……あの男、勝てると思うのか?」

「分からない。けど」

 

ミコからの質問に対し、少しだけ間を置くと。

 

「彼奴がやるって決めたのなら、俺は口出ししない。彼奴が勝つのを、信じてやるだけだ」

「……そうか」

 

仲間を信じ、信じられる二人の関係。それを改めて見ながら、ミコは自分が何故彼等に負けたのか、それを今更ながら理解出来たような気がした。

 

「お主がそう言うなら、妾もただ見届けるだけじゃ。お主が想う奴が、勝てるといいの」

「う、煩い。余計なお世話だ」

 

元は敵対関係だと言うのに、それが今では嘘であるかのような会話。ミコに揶揄われ顔を赤くしつつ、ミコと共にバトルの行方をただ見守る。

 

 

 

────第1ターン、マチアside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「先行は、アタシから! ゴッドシーカー司書ドールレナを召喚!」

 

以前タッグバトルの時にも見せた一枚、登場と同時にその召喚時を発動させる。

 

「召喚時効果でデッキから3枚オープン! その中にある創界ヘラと「界渡」、「化神」を持つスピリットか、「界渡」を持つブレイヴカード1枚を手札に!」

 

開かれた三枚は、「創界神ヘラ」、「鬼神女王ジェラシックドール」、「女王魔神」の3枚。

 

「オーケー、開かれた3枚とも対象。よって手札に加える。これでターンエンド」

 

 

 

 

────第2ターン、烈我side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

 

「俺のターン! 創界神アポローン、配置! 配置時の神託でデッキから3枚をトラッシュへ」

 

開かれたカードは「太陽神龍アポロヴルム」、「滅神星龍ダークヴルムノヴァ」、「吟遊詩竜オルフェスタードラゴン」

 

「神託の効果でコア3個をアポローンに追加! さらに煌星の第一使徒テティス召喚!」

 

幻影の様に出現するアポローンに続いて現れるテティス。星竜を持つスピリットが召喚された事で、神託の効果によりアポローンはテティスからコアを受け取る

「アタックステップだ! テティスでアタック! テティスのアタック時効果で1枚ドロー! さらにフラッシュでアポローンの【神技】発揮だ!」

 

アポローンは炎の矢をレナへと向けて撃ち放つと、矢に貫かれレナは爆発四散。

 

「破壊した事でさらに1枚ドロー! メインアタックだ!!」

「ライフで受ける」

 

そのままテティスは吠えながら展開されたバリアを殴りつけると、衝撃と共にマチアのライフが砕かれる。

 

「ぐぅッ……!」

「ターンエンド!」

 

 

 

 

────第3ターン、マチアside。

 

[Reserve]6個

[Hand]8枚。

[Field]なし。

 

「メインステップ、創界神ヘラを配置、こっちも配置時効果で神託!」

 

フィールドに出現するヘラの幻影、微笑するように口元を緩ませながら、腕を翳すとマチアのデッキから3枚のカードがトラッシュに送られる。

 

「落ちたカードは「鬼神バサラ」、「魂鬼」、「シキツル」の3枚、対象2体でコア2個を追加」

「やっぱ来たか、創界神ヘラ」

「わざわざオープンして見せたんだから当然でしょ。さらにもう1枚、ネクサスNo.32アイランドルートを配置! 配置時効果で1枚ドロー、最後にバーストセット!」

 

アポローンの効果を警戒してか無闇にスピリットは出さずにターンを終え、続くは烈我のターン。

 

 

 

 

────第4ターン、烈我side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]6枚。

[Filed]煌星の第一使徒テティスLv.1(1)BP3000、創界神アポローンLv.1。

 

「行くぜ! テティスをLv.2にアップ、アタックステップ! テティスもう一度行けッ!!」

 

再び拳を構えて突っ込むテティス、攻撃と同時に再びカードを1枚ドローして。

 

「手札増加時、バースト貰うよ!!」

「!」

「グリードサンダー、バースト効果で相手手札が5枚状の時、その全てを破棄させる!!」

 

絶好のタイミングでのバースト、発動するグリードサンダーから放たれる雷撃が烈我へと撃ち放たれる。

 

「させねぇッ! 相手のバーストが発動する時、1コスト支払う事で手札から超星使徒スピッツァードラゴンを召喚できる!」

「なッ!?」

「幻想を壊して勝利への未来を掴め! 超星使徒スピッツァードラゴン、召喚ッ!!」

 

グリードサンダーによる雷撃が直撃しようとする正に刹那、瞬星の如く現れる龍の影。雷の光で影は照らし、その正体こそスピッツァードラゴンの姿。

雷を片手で受け止め、空いたもう片腕を翳し、まるで魔法の様に翳した腕から炎を撃ち出すとグリードサンダーのカードごと焼き尽くしそのバースト効果を掻き消してしまう。

 

「さらにボイドからコア2個をスピッツァードラゴンに追加し、Lv.2!」

「ッ!!」

「これでもう気兼ねする必要もねぇ! テティスのメインアタック!」

「ふざけないで、そう簡単にライフはやらないよ! フラッシュタイミングでスケープゴート!」

「何ッ!?」

「トラッシュから紫のスピリットを呼び戻す。アタシが指定するのは、鬼神バサラ!」

「!!」

 

テティスの前に現れる紫の巨影、その影は鬼神バサラなって実体化し始める。

 

「対象スピリットの召喚によりヘラに神託。そしてテティスの攻撃はバサラでブロック! 返り討ちにしな!」

 

目の前に現れたその巨大な姿にテティスは思わずたじろいでしまうが、立ち向かう相手にバサラは容赦などしない。マチアの指示に手に持った大剣を無慈悲に振り下ろし、その一撃にテティスは叩き潰され爆散。

 

「バトル終了時、スケープゴートで召喚したバサラは破壊」

「なら、スピッツァードラゴンでアタック!」

「ライフで受ける!!」

 

バサラが場から消滅した直後、それを見逃さない様にスピッツァーは光弾を放つと、バリアへと直撃し爆発共にライフがまた砕かれていく。

 

「これで残りライフ3つ! ターンエンド!」

 

 

 

 

────第5ターン、マチアside。

 

[Reserve]9個。

[Hand]7枚。

[Field]No.32アイランドルートLv.1(0)、創界神ヘラLv.1。

 

「あんまり調子にならないでよ! アタシには此奴がいる!」

「!!」

「闇の糸を操り操られし狂気の人形! 細く暗きその糸で世界を踊らせろッ! 鬼神女王ジェラシックドールLv.2で召喚!」

 

狂気に満ちた笑い声を上げながら暗き闇の底より這い出るスピリット、鬼神女王ジェラシックドールの降臨。

 

「……ッ! キースピリット、出たか!」

「えぇ。ヘラに神託してさらに召喚時効果、アタシのデッキからカードを1枚トラッシュに送る!」

 

ジェラシックドールから放たれる一本の糸がデッキトップのカードに張り付き、そのままフィールドの前に吊るし、そのカードをオープンさせる。

 

「オープンしたカードは「鎧闘鬼ラショウ」、ジェラシックドールの効果でスピッツァードラゴンからラショウのコストと同じコアをトラッシュに送る!」

 

ラショウのコストは4。スピッツァードラゴンのコアもまた同数。全てのコアを奪われ、その場から消滅するスピッツァードラゴンにジェラシックドールは愉悦のような笑い声を上げる。

 

「スピッツァー!!」

「今度はこっちの番だね、ジェラシックドールでアタック!」

 

間髪入れずにそのままジェラッシックドールによる攻撃、指で印を刻むかのように紫の五芒星を書き上げて行く。

 

「ジェラシックドールのアタック時効果、ヘラのコア2個をこのスピリットに置く事でトラッシュにある紫のカードを手札に戻す。アタシが選ぶのは、鬼神バサラ!」

「アタックはライフで受ける……ッ!!」

 

書き上げた五芒星を放つと、展開されたバリアに触れた瞬間、大爆発。爆破による衝撃と痛みにライフを破壊され、マチアはターンを終える。

 

 

 

 

────第6ターン、烈我side。

 

[Reserve]10個。

[Hand]8枚。

[Field]創界神アポローンLv.1。

 

「……俺のターン、バーストセット!」

 

場を立て直す様にカードを伏せ、そしてフィールドの状況を冷静に見定めたかと思うと。

 

「行くぜ! コイツを前に絶対はねぇ! 鉄壁の壁だろうが無敵の相手だろうが一撃必中の矢を叩き込めッ! 龍星の射手リュキオース召喚ッ!!」

 

フィールドから吹き上げる火柱。それは左右対称に分かれて展開し始め、その狭間より白獣に跨って駆け抜ける龍────リュキオース。

 

「召喚時、【龍祈願(スーパーブースト)】! アポローンにコア3個を追加! さらにもう一つの【龍射撃】を発揮だぁッ!」

「!?」

 

 

『なっ!? あの男、何を考えているのですか!』

 

モニターからバトルの状況を見守るライト、バトルしているマチアと同じ様に、烈我のプレイングに驚いた様子だった。

 

『ここでジェラシックドールを破壊してはその破壊時効果でリュキオースは返り討ち! 完全にミスじゃ──』

「ライト!」

 

烈我のプレイイングを疑うライトを真っ先に制止させるよう声を張り上げる光黄。

 

「烈我なら大丈夫だ。黙って見守ろう」

『ですが光黄様!』

「平気だ、アイツは……バトルに関しては、常に真剣だ」

『!』

 

真っ直ぐに彼を信じるように、冷静に戦況見守る光黄の様子にライトも言葉を失い、主人である彼女と共にまたライトは静かにモニターに視線を戻す。

 

 

 

 

「行っけぇッ!! リュキオース!」

 

バトルに戻り、鼓舞するような烈我にリュキオースも躊躇いなく弦を引くと、そのまま矢を撃ち放ち、蒼い炎の矢は直線上にジェラシックドールを撃ち抜き、撃ち抜かれたその身は立ち所に炎に包まれるが、絶命する瞬間までジェラシックドールはその笑みを絶やさずに、大爆発を起こす。

 

「後悔ないんだね! だったら、ジェラシックドールの破壊時効果! アンタのスピリットも道連れにさせてもらう!」

 

矢を放った直後、リュキオースの体を包む紫の炎。その炎に焼かれ、リュキオースはもがきながらも為す術なく焼失するが。

 

「まだだ!!」

「!」

「このターン、星竜を持つスピリットを召喚した事で手札からコスト4として、太陽龍ヘリオスフィアドラゴンを召喚する!」

 

リュキオースの後を継ぐかの如く再びにフィールドなの燃え広がる赤き炎、灼熱の輝きに照らされながら舞い降りるヘリオスフィアドラゴン。

 

「アポローンに神託、そしてアタックステップ! ヘリオスフィアドラゴンの効果発動!!」

 

ヘリオスフィアドラゴンは高らかに上空の太陽を見上げて咆吼。その声は天まで轟くとトラッシュのコアが光り輝き始めると、そのコアは瞬く間にヘリオスフィアドラゴンへと置かれる。

 

「トラッシュのソウルコア以外のコアをヘリオスフィアドラゴンに追加し、Lv.3! そしてヘリオスフィアドラゴンでアタックッ!!」

「(さっきの龍射撃……リュキオースが破壊された事を前提としてアタックを仕掛けてるのだとしたら、次の此奴の狙いは……!)」

 

攻撃に対し瞬時に何かを察するマチア、そしてそれを肯定するように手札をさらに構える烈我。

 

「フラッシュタイミング!」

「やっぱりか……!」

「紫電と紅蓮を纏いし魔界の龍! 闘志に震える魂をもう一度呼び起こせッ! 魔界幻龍ジークフリードネクロ! ヘリオスフィアドラゴンに煌臨ッ!」

 

太陽龍の体が紫電に輝き始めると、赤から紫へとその身を染め、ジークフリードネクロへと姿を変える。

 

「煌臨時効果! トラッシュからリュキオースとテティスをそれぞれ召喚だ!!」

 

ジークフリードはその手に握られた杖を翳すと、トラッシュから破壊された筈のテティスとリュキオースはそれぞれ唸りを上げてフィールドへと舞い戻る。

 

「これでスピリットは三体!! この勝負貰うぜ!」

 

マチアの現在は残りライフは3。継続中のネクロの攻撃に加え、残るテティスとリュキオースの攻撃てライフは全て削り切れる算段だが。

 

「ジェラシックドールの破壊を踏み台にする事ぐらい、最初から分かってたよ」

「!!」

「アンタがネクロの効果でスピリットを召喚した時、手札から【ゼロカウンター】を発揮ッ!」

「!!?」

「マジック、イビルオラクル! ゼロカウンター発動時の効果で相手スピリットを破壊、よってテティスを破壊!!」

 

イビルオラクルによって放たれる紫のスパーク、直撃を浴びて全身痺れるように痙攣しながらテティスは爆散してしまう。

 

「ぐっ!!」

「ネクロのアタックはライフで受けるよ」

 

そのままネクロは杖を展開されたバリアへと振り下ろし、破壊するがそれでもまだマチアの残るライフは2つ。

 

「これでこのターンは、決めきれないよね?」

「……ッ! ターンエンド」

 

攻撃可能なのはもうリュキオース一体のみであり、それでは残るライフを削り切れない。リュキオースをブロッカーに残す事を選択し、ターンを終えるが。

 

「ハハッ」

「?」

 

このターン決め切れなかったというのに、その表情には悔しさではなく楽しそうな笑みが見える。

 

「……やっぱ強ぇー。前のタッグバトルの時よりも遥かに!」

「そりゃどうも」

 

烈我の言葉が不思議だったのか、少し戸惑いながらも礼を返すが今の烈我の様子にマチアは、少しだけつられるように口元を緩ませる。

 

「……ホントに、アンタって楽しそうにバトルするね」

「!」

 

突然の質問、それに対してどう答えたものかと一瞬考えるような仕草を見せながらも、すぐに頷く。

 

「まあ、こんな状況だけど強い相手と戦えるのは楽しいからな」

「……楽しいって……アタシ、さっきアンタの仲間を人質にしようとしたんだけど?」

「……それについては、正直今でも怒ってる」

 

烈我にとって、光黄は大切な相手。それを危険な目に合わせたマチアに対し少なからず怒る気持ちはあり、口にした台詞は決して嘘ではない。

 

しかし、まだ気掛かりな事があるのか「でも」と言葉を続けていく。

 

「光黄にした事は許せねえけど、でも……お前だって、さっきの行動は本心じゃなかったんだろ?」

「……どうして、そう思うの?」

「ホントに何となくだけど……何か叫んだりして俺達に対してっていうより、自分に言い聞かせてるように感じた。無理にそこまでして、誰かを助けたいって思うのは俺も同じだと思うし」

「……同じ、か」

 

烈我の言葉に対して、小さく呟いたかと思うと。

 

「一つだけ訂正しておくよ」

「?」

「アタシがヴァンを助けたいって思うのは、ただの善意だけじゃない。これは、アタシにとって贖罪でもある」

「!……どういう事だよ」

 

烈我からの言葉に彼女は思い詰めたように表情を険しくさせながらも意を決してその記憶を語り出す。

 

「ヴァンとアタシは元々幼なじみでさ。幼い頃からずっと一緒で、いつもバトスピで遊んでたよ」

「へぇー、何か俺と光黄みたいだな」

「ふふっ、そうかもね」

 

悪い気はしないのか、烈我達と同じような関係であることにまんざらでもない様子で笑いつつ、彼女は話を続ける。

 

「ヴァンも今のアンタみたいでさ、バトスピやる時はいつも楽しそうに笑ってたよ」

「彼奴が?」

「意外だって思ったでしょ、でも嘘じゃないよ。楽しそうに笑ってバトルするヴァンにアタシはいつからか惹かれて……好きになった。それこそ、アンタみたいにね」

「!」

 

恥ずかし気もない本心の一言、しかしその直後に彼女は表情を俯かせて。

 

「彼奴といつまでもただ一緒に過ごせたらと思ってたけど、そう願い通りには行かなかった」

「どういう意味だよ?」

「……昔、あるカードバトラーに大事なカードを奪われたんだ」

「!」

「取り返そうにもその時勝てる相手じゃないって思った。けどヴァンは違った。ヴァンは必死にカードを取り返そうと挑んで……そして、敗北した」

 

当時の記憶。その時の光景を振り返り、負けたヴァンの事が自分の事以上に悔しく、自分の腕を掴み、掴むその腕に力を込めて行く。

 

「その日以来、ヴァンは笑わなくなった。カードを取り返せなかった事、その事に責任を感じてヴァンは力を求めるようになった」

「……」

 

「全部アタシのせいなのにね」と、暗い表情で呟くマチアに、烈我は何も言えなかった。

 

「力を求めるようになってから、ヴァンは人が変わった様に冷たく、求めるのは唯強さだけ。もうアタシが知ってるヴァンの面影はなかった」

「それから、確かエヴォルを手に入れたんだよな」

 

力を求めるようになった理由、それが七罪竜であるエヴォルを求めるきっかけであると確信するが、それに対してマチアは少し苦笑いしながら。

 

「……まぁ、最終的にはそうなんだけどその前にまだ続きがあってね」

「続き?」

「そう。アタシはアタシで、カードを取り返す方法を考えてね。情報屋としてのスキルを使って、相手の居場所を突き止めた」

「戦ったのか?」

「いいや、悔しいけどその時のアタシの実力じゃまだ及ばない。そう言う自覚があった、だからアタシはそのカードを買い取らせてくれと交渉した」

「それで、どうなったんだ?」

「結果を言えば交渉は成功。高い買い物にはなったけど、何とかカードを買い戻す事はできた。これでこの件は解決、ヴァンももうこれで思いつめる必要はない。また、楽しそうに笑ってくれるヴァンが見れると本気で思った」

 

淡い希望を抱くように一瞬表情を柔らかくさせる彼女だが、「でも」と言葉を続けながらまた彼女はその表情を沈ませる。

 

「それが間違いだった」

「え?」

「今思えば、ヴァンはずっとアタシの為に強くなろうとしてくれたんだ、カードを取り戻す為に……なのに……アタシはそんなヴァンの努力を全部無駄にした」

「……!」

「ヴァンからしてみれば、自分は何もできないとより追い詰めて、結果アタシが……ヴァンを追いこんじゃったんだ」

「そんな事……!」

「そんな事あるんだよ」

「!!」

 

否定しようとするが、そんな烈我の言葉を逆に止めるようにマチアはさらに言葉を続けて行く。

 

「アタシは唯ヴァンを助けたかった。アイツがまた笑ってくれるなら、何だってやる! アタシはどうなっても構わない……そう思ってるのに、あの時もハイドカードの時も……全部、ヴァンの足を引っ張る足枷になっちゃう」

「…………」

「だからこれが最後のチャンスなんだ。今度こそ、アタシは絶対ヴァンを助ける!! だからさ……このバトル、アタシの為に負けてよ」

「!」

 

そう言ったマチアの表情から、一筋の涙が零れ、彼女の表情を前に烈我も一瞬言葉を失ってしまう。

 

「それは……!」

「……分かってる。アンタ達だって、今更引く訳には行かない状況なんでしょ」

 

零れた涙を静に拭いながら、彼女は表情を切り替えるように前を向く。

 

「野暮なこと聞いて悪かったね。でも……負けられない気持ちはアンタ等と同じ、嫌アタシにとってはそれ以上何だ! だから悪く思わないでよ! 勝つのは……アタシだ!」

「……ッ! お前の気持ちは分かった。けど、それでも俺も退く気はねぇ!!こっちも絶対勝って押し通らせてもらう!!」

「行かせないよ。どの道、このターンでケリを付けてあげる!」

 

勝利宣言とも取れる一言と共に、彼女は自分のターンを迎えて行く。

 

 

 

 

────第7ターン、マチアside。

 

[Reserve]15個。

[Hand]8枚。

[Field]No.32アイランドルートLv.1(0)、創界神ヘラLv.1。

 

「アタシのターン、魂鬼、さらにもう一体、女王魔神を召喚!」

 

「女王魔神、召喚時による効果でデッキから1枚ドロー!」

「また手札を……!」

「まだまだ紫の真骨頂はこんなもんじゃないよ。さらに召喚、魔界騎士デストロイデンをLv.3!」

 

闇より降臨したる騎士、二双の剣と、文字通り二つの顔を持つ異形なる騎士、デストロイデン。

 

「召喚時効果発揮でデッキから2枚ドロー! さらにアタシの場にネクサスがある時、相手の疲労状態のスピリットを破壊できる!」

「!」

「ジークフリードネクロを破壊!」

 

デストロイデンより放たれる二双の剣による斬撃波がネクロへと放たれると、直撃を受けて爆散。

 

「ネクロ!!」

「これで終わりじゃないよ。何せアタシの手札にはまだキースピリットが残ってるからね!」

「!!」

「白く輝く全てを打ち壊せ、砕いた全てを黒き闇にひっくり返せ! 召喚ッ! 鬼神バサラ!!」

 

地面より降り注ぐ漆黒の大剣と、剣を中心として広がる闇の沼泥。そして闇の底より伸びる腕が剣を掴むと、そのまま這い出るように闇から姿を現すスピリット、鬼神バサラ。

 

「不足コスト確保で2体の魂鬼は消滅。そして召喚時効果、バサラのコア1個につき、相手のスピリットのコア1個を除去。今バサラの上にあるコアは2個、よってリュキオースからコア2個を除去!」

 

デストロイデンの時と同様、今度はバサラによる斬撃波がリュキオースを直撃するが、コア1個を取り除かれレベルは降格するがまだリュキオース上のコアは2個健在の為、消滅は免れる。

 

「ッ! 油断すれば一気にやられそうだぜ」

「何言ってんの? アタシは充分……ここで殺る気だよ?」

「!」

 

本気を込めるように冷たく言い放つマチアに、一瞬背筋が凍るような悪寒を感じさせられる。

 

「女王魔神、デストロイデンとバサラに合体!」

 

女王魔神は両腕を翳して己の波動を送り、バサラとデストロイデンの二体とリンクし、それぞれBPの上昇と共に咆哮を上げる。

 

「アタックステップ! まずは、デストロイデンでアタック!」

 

攻撃態勢に入る様に構えるデストロイデン、と同時に次の瞬間、手に持つ剣を勢いよく地面へと突き差し始める。

 

「な、何を!?」

「デストロイデンのアタック時効果、このスピリットのアタック時、手札かトラッシュにある系統「呪鬼」を持つコスト7のカードを、1コスト支払う事で召喚できる!」

「コスト7の「呪鬼」を持つカードってまさか……!!」

「ご想像の通り。もう一度世界を踊らせろ! 鬼神女王ジェラシックドール、Lv.2で召喚ッ!!」

 

トラッシュより舞い戻る鬼神女王、デストロイデンはコアの確保の為Lv.1にまでダウンするが、それでもバサラと共に舞い戻ったジェラシックドールは同調するように再びケタケタと不気味な笑い声を上げ始める。

 

「また復活した……ッ!」

「アンタのネクロと同じようなもんさ。ジェラシックドールの召喚時効果発揮! 自分のデッキから1枚破棄し、破棄したカードが「呪鬼」を持つカード、又はネクサスかマジックの時、そのコスト分相手のコアをトラッシュに!」

 

ジュラシックドールの効果で弾け飛ぶカードを、手に取ってオープンするとそのカードは「黒嫁ドールザンシア」。

 

「ドールザンシアのコストは4、よって残ったリュキオースのコアを全て除去!」

「!」

 

ジェラシックドールは腕を翳して自身の糸をリュキオースへと飛ばすと、その糸は正確にリュキオースのコアを抜き取り、維持コストを失った事でリュキオースは場から消滅してしまう。

 

「リュキオースまで……!」

「これでフィールドのスピリットは全滅。後はライフを頂くだけ!」

「ッ!」

「デストロイデン、殺ってッ!」

 

デストロイデンはそのままバリアに向けて二双の剣で交差するように引き裂くと、X字に両断されたバリアは砕け散る。

 

「ぐあッ!!!」

 

ダブルシンボルによる攻撃に一気にライフが二つ破壊され、より強烈な痛みに思わず仰け反る。

 

「うぐッ!!」

「これで決まりだね!」

 

残る烈我のライフを討ち取るべくバサラとジュラシックドールは今か今かと自分達の攻撃の指示を待ち構えるが、それでもまだ烈我もここで終るつもりはない。

 

「まだだッ!! 俺のライフ減少時でバースト発動!」

「!!」

「マジック、ドラグーンシュート! 効果で俺のトラッシュにあるコスト6以下の赤か紫のスピリットを召喚できる!」

「またリュキオースでも呼び出す気?」

「いいや、俺が呼び出すのは此奴だ! 出ろ、滅神星龍ダークヴルムノヴァッ! Lv.3だッ!!」

「!?」

 

トラッシュより目覚めし翠色の眼光、黒い瘴気を吐きながら雄叫びを上げる超新星龍──否、滅びの神の名を持つ超新星、ダークヴルムノヴァ。

 

「……そう言う事。ダークヴルムノヴァ、本来コストは7の筈だけど」

「あぁ。ダークヴルムノヴァはブレイヴがあればそのコストは4! ドラグーンシュートの効果で召喚可能だ!」

 

そしてダークヴルムノヴァはただフィールドに現れるだけに留まらない、女王魔神の姿に、獲物を見つけた獣の如く視線を鋭くさせて翼を広げ始める。

 

「ダークヴルムノヴァの効果発動! このスピリットがいる間、相手のブレイヴを強制分離させ、破壊だぜ!」

 

ブレイヴキラーとの異名を持ち、その名の由縁となる効果。翼を羽ばたかせ、目にも止まらぬ速さで女王魔神へ接近すると、その黒爪を振り下ろし、引き裂かれた女王魔神は爆発四散。

 

「さらにドラグーンシュートの効果! コストを支払う事で、ジェラシックドールからコア1個を除去!」

「なっ!? しまっ──!」

 

ジェラシックドールのコアが取り除かれた事でそのレベルは今や1。ジェラシックドールの本来の効果を活かすのであればLv.2以上でなくてはいけない。

 

「Lv.1のジェラシックドールなら、アタック時効果も破壊時効果も不発だぜ!」

「……どこまでもやってくれる! けど、まだアタシの攻撃は終わってないよ!」

「!」

「バサラ、行けッ!!」

 

ダークヴルムノヴァの姿に怯む事無く、バサラに攻撃指示を送ると、巨大な大剣を肩に担ぎながら前進。

 

「バサラのLv.2効果、紫のスピリットが疲労した時! 相手スピリットのコア1個をリザーブに送る!」

 

ダークヴルムノヴァに向けて斬撃波を撃ち飛ばし、咄嗟に両腕を構えてガードするが、コアを取り除かれた事でレベルダウンさせられ、力が減少するように片膝を突く。

 

「これでダークヴルムノヴァはLv.2、BP8000。そしてバサラの攻撃はどう受ける?」

「ッ! ダークヴルムノヴァでブロックだ!」

 

互いのBPは8000同士で相討ち必須だが、ダブルシンボルによる攻撃を受ける訳には行かず、ブロック以外の選択肢はない。

ダークヴルムノヴァに向かって大剣を振り下ろすバサラだが、レベルダウンしたと言えど、まだその力は健在。ダークヴルムノヴァは片腕でバサラの大剣を受け止めると、そのまま流す様に剣を地面に押さえ付けながら足で踏み付け、剣を地面へ深々と埋まらせる。

 

得物を引き抜けず、丸腰となったバサラにダークヴルムノヴァはその拳をバサラへと叩き付け、二度三度と打撃を真っ向から喰らいその威力によろめき、一気に止めを刺そうと拳を振りかぶるが、バサラは目覚めるように目を見開くとその場で踏み留まり、次に突き出すダークヴルムノヴァの拳を掴むと、反撃と言わんばかりそのまま腹部に強烈な蹴りを叩き込んで後方に突き飛ばす。

距離が離れた瞬間を見逃さず、深々く地面に突き刺さった剣を両腕で引き抜くと、そのまま剣を掲げて飛び上がり、ダークヴルムノヴァ目掛けて剣での一刀。

ダークヴルムノヴァも迎撃するように黒炎のブレスを吐き付け、バサラの胴体のど真ん中へと直撃するが、黒炎を浴びてなおバサラは剣を振り下ろす体制を維持したまま全く動じず、そのまま一閃をダークヴルムノヴァに刻み着地。

その一撃にダークヴルムノヴァは態勢を大きく傾かせ、バサラもまた攻撃を受けその肉体は既に限界だったのか、ダークヴルムノヴァとほぼ同時に倒れ、二体共に大爆発を起こす。

 

「耐えられたか。しょうがない、アタシのターンはこれで終了」

 

 

 

 

────第8ターン、烈我side。

 

「(何とか耐えられたけど、次のターンを回せば恐らく負ける!)」

 

互いの残るはライフは2、そしてバトルも終盤。次がない事は烈我も十分理解していた。それでも負けられない気持ちは未だ衰えはしない。

 

「俺のターン! ドロー……!!」

 

引いたカードに目の色が変わり、その理由は勿論待ちに待った相棒(バジュラブレイズ)のカード。

 

『(ようやく俺を引いたか! 待ちくたびれたぜ!!)』

「あぁ俺も待ってたぜバジュラ!! 負けらない勝負、お前と一緒に勝ちに行くぞ!」

『(当然だ! 勝たなきゃ俺の怒りは永遠に晴れねぇッ!)』 

 

「最終局面ってところか。来なよ、七罪竜……!」

「おぉ!! 今見せてやるぜ!」

 

[Reserve]13個。

[Hand]7枚。

[Field]創界神アポローンLv.2。

 

「メインステップ! ライトブレイドラを二体召喚! そしてもう一体! 罪を背負いし怒りの竜! 憤怒の炎、烈火で地獄さえも焼き尽くせッ! 爆我炎龍バジュラブレイズ、全てのコアを置いてLv.3で召喚ッ!!」

 

連続して現れるライトブレイドラの直後にフィールドに降り注ぐ無数の流星群、ライトブレイドラは流星群から逃げ惑う中、流星群は地面を抉りながらステージの様に舞台を作り上げ、仕上げの如くステージに巨大な火球が降り注ぐと、爆風による衝撃にライトブレイドラ達が吹き飛ばされる中、爆風の中で輝く真っ赤な眼光──バジュラブレイズは咆哮と共に爆風を吹き払い、満を持して現れる。

 

『さぁ! ここからは俺の独壇場(ステージ)だッ! 誰が相手でも容赦はしねぇ。悪く思うなよ!』

「フッ、こっちの台詞かな。七罪竜、相手にするのは初めてだけど……生憎、今のアタシは誰にも負ける気はしないから!」

『ハッ! 中々言うじゃねぇか!! アイツ(烈我)の周りの女はずいぶん気の強い奴が多いが、テメェもまた、相手にとって不足ねぇよな!』

 

マチアに対して強気な態度で言い放つバジュラだが、自身があるのはバジュラだけではない。口元を緩ませるマチアにバジュラは大きく口角を上げながらまた言葉を返す。

 

「バジュラ、行くぜ!」

『言われるまでもねぇ、こちとら端から準備万端だッ!』

「あぁ、分かってるよ! アタックステップ!! バジュラブレイズでアタックッ!!」

『オォ!! 全開で行くぜェェェエエエエエッ!!!』

 

滾る炎を拳に込めながら突撃するバジュラ、轟く程の雄叫びと共に、自身の効果を発揮させる。

 

「【火力推進(ヒートアップ)】! 発揮ッ!! BP+5000し、手札を一枚破棄する事で強制ブロックしてもらうぜ!」

「Lv.1のジェラシックドールなら遠慮なく狙いに行けるって訳? でもタダじゃやらせないよ!!」

「!」

「フラッシュタイミング! マジック、クリスタルブレイク! 効果でコアが1個のスピリットを全て破壊する!!」

 

バジュラブレイズを除き、二体のライトブレイドラのコアはどちらも一つ。マジックの対象範囲に含まれてしまうが。

 

「こっちもフラッシュタイミング! アポローンの【神技】の効果!コア2個をボイドに送る事でBP6000以下の相手スピリット、デストロイデンを破壊だ!」

 

クリスタルブレイクによる雷撃と、アポローンのよる炎の矢がそれぞれの標的へと撃ち放たれ、デストロイデンと二体のライトブレイドラはそれぞれ直撃を受けると共に爆発四散し、爆風の中、ジェラシックドールとバジュラブレイズはそれぞれ味方の屍を越えるかのように、爆風を突っ切ってそれぞれを相手へと向かって行く。

 

『人形如きで俺の相手になるとでも思ったかッ!!』

 

ジェラシックドールは腕を翳すと、自身の背後から黒く染まった糸がまるで槍の様にバジュラへと突き出されるが、拳を地面に叩き付けその反動でジェラシックドールの頭上へと飛び上がると、そのまま特大の火炎放射を吐き付け、獄炎の炎はジェラシックドールの繰り出す糸ごと焼き尽くし、耐えきれず即座に大爆発を起こす。

 

「【火力推進】の効果でバジュラは回復! もう一度アタックし、さらにフラッシュだ!」

「!」

「マジックで白晶防壁(Rv)! 効果でバジュラを回復させるッ!」

「この土壇場まで温存してたのか!」

「お前にもうブロッカーはねぇ! このまま押し切る!!」

 

『歯喰いしばれよッ!!』

 

拳に込める炎により火力を止め込みながら、そのままバリアに撃ち込むと爆炎が噴き上げながらバリアは粉々に弾け飛ぶ。

 

「ぐああああッ!!」

「ラストアタックだ! バジュラブレイズでさらにアタック!! 三度目のアタックにより【超爆火力(オーバーヒート)】! このターンの間BP+5000して一枚ドロー! さらに回復だッ!!」

 

『フルスロットルで行ってやる! 止めれるなら止めてみやがれッ!!!』

 

全身に炎を燃え広がせながら突っ込むバジュラ、それが止めの一撃になると確信しているが、まだマチアも戦う闘志は尽きていない。

 

「勝ち誇る時が一番油断大敵なんだよ!」

「!!」

「フラッシュタイミング、マジック! スケープゴート発動!」

「二枚目だと!!?」

「効果でトラッシュからジェラシックドールをLv.2で召喚!」

 

ここに来て切り返しのカウンター、最後の一撃を繰り出そうとするバジュラ、その行く手を阻む様に狂気の笑顔と共にジェラシックドールが舞い戻る。

 

『ッ! また出やがったか、人形野郎ッ!!』

「ハハ。スケープゴートが1枚だけだと思ってた? アンタがマジックを温存してたように、アタシもずっと2枚目を温存しておいたよ!」

 

「ぐッ!!」

 

BP差はバジュラが圧倒的に上だが、彼女の狙いはBP勝負などではなく、あくまでジェラシックドールの破壊。

 

「ジェラシックドールのLv.2効果による破壊時でバジュラブレイズも道連れにすれば再アタックもない。決めさせてもらうよ!」

『ッ!!』

 

既にバジュラのアタック、継続中のバトルはもはや止められないが。

 

「バジュラ、構えわねぇ! そのまま行けッ!!」

『「何!?」』

 

驚くように同時に反応するマチアとバジュラだが、バジュラだけは静かに烈我の表情を見ると、また口角を上げる。

 

『ハッ、何企んでるか知らねぇがいいぜ! 乗ってやるよッ!! その代わり後悔させんなよ!!』

「分かってる! 勝利の一手、決めるぜ!」

 

バジュラとジュラシックドールがまさにぶつかろうとする寸前。

 

「フラッシュタイミング! バジュラブレイズに煌臨ッ!」

「!?」

「豪快無頼の破壊皇ッ! 破壊の矛で全部ぶち砕けッ!! 破壊龍皇ジークフリードルドラをバジュラブレイズに煌臨ッ!」

「七罪竜から、さらに煌臨!!?」

 

バジュラブレイズの体が徐々に変化を始めると、体を包む炎は黒く、纏いし黒の鎧は黄金に輝き、バジュラの身にはなかった巨大な漆黒の翼を生やすとバジュラブレイズはジークフリードルドラの姿へと進化。

 

「ジークフリード、ルドラ……!!」

「これが俺の新しい仲間だ! ジークフリードルドラの煌臨時効果発揮! 相手スピリット5体までのコアを3個ずつリザーブに送り、この効果で消滅したスピリットの効果は発揮されない!」

「くっ……!!」

 

『グオオオオオオオォォォォォォ────ッ!!』

 

ルドラの咆哮、耳を劈く程のあまりの声量にジェラシックドールは耐えきれない様に悲鳴を上げて、そのコアを失い消滅。

 

「ッ!!」

 

「よっしゃッ! やったぜ、ルドラ!」

『ハッ、テメェの新しいキースピリットか!』

「!? その声……バジュラか? ルドラに煌臨したのに!?」

 

普通煌臨したスピリットは、完全にその身を変化させるので意識もまた切り替わる筈だが、何故か煌臨しルドラとして生まれ変わったというのに意識は未だ煌臨前のバジュラのままだった。

 

『ハッ、煌臨ぐらいで俺の意識が飛ぶ訳ねぇだろ。姿形は変わっても、生憎意識は元の俺のままよ』

「よく分かんねぇけど……要するに、ルドラに意識を明け渡す気はないってか?」

『ったりめぇだ! 煌臨しようが、元は俺! 好きにやらしてもらうッ!』

「はは、お前らしいか! なら決めるぜ! バジュラ、じゃなくて今はルドラか!」

『何でもいい! とっとと決めるぞ!!』

 

「ま、まだだ!! 使えるコアは3つ! これだけあれば充分だよ! フラッシュで手札2枚破棄し、ミストヴルムを召喚!」

「!」

 

まだ万策尽きていない様に手札からミストヴルムを呼び出すと、小さな外見だがルドラに臆さず威嚇するように勇ましく鳴き声を上げる。

 

「(手札にはネクロブライトもある! 再アタックも含めても耐えきれる!)」

 

耐え切れれば次の自分のターンで間違いなく決め切れると確信している。此処まで来れば自分の勝利への自信は揺るがない。

 

「勝ちは譲れない! ミストヴルムで──」

「ジークフリードルドラの効果発揮!」

「!!」

「Lv.2、Lv.3のアタック時効果、相手は相手のスピリットかアルティメットを5体破壊しなければブロックできないッ!!」

「なッ!!?」

 

行く手を阻むべく飛び掛かるミストヴルムだが、ルドラの眼光が向けられると、その動きをピタリと止めてしまい、ブロック不能の状態にしてしまう。

 

「そんな……!!」

 

残るコアと手札ではどう足搔いてもブロックする為に必要なスピリット5体など用意できない。力なく手札のカードを足元に落とし、この時点で完全に決着はついた。

 

「ジークフリードルドラ! ラストアタックッ!!」

 

ルドラによる最後の一撃がバリアへと叩き込まれ、残るマチアのライフは跡形もなく木っ端微塵に砕け散る。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「か、勝った……」

 

バトルを終えた事で気が抜けたのか、力なくその場に座り込んでしまう。

 

「烈我! 大丈夫か!」

「わ、悪い。ちょっと疲れたたけで」

「……お前」

 

ガイトに続いてマチアとのバトル、強敵とのバトル続きで溜まった疲労はとてもちょっとと言うレベルではない筈、そんな烈我の状態は見るだけで分かる。

 

「頼むから無理するな。お前の空元気は不安になる」

「うっ、ごめん」

「今に始まった事じゃないが、ただ、もう少しこっちも頼れ。その……友達なんだから」

「!」

 

あくまでも「友達」という言葉に少し残念さを感じながらもそれでも彼女なりの気遣いは素直に嬉しかった。

 

「本当にサンキュー、光黄!」

「べ、別に」

「光黄?」

 

満面の笑顔を向ける烈我に、少しだけ顔を赤くさせられ、そっぽを向くように顔を逸らし、そんな彼女の様子が不思議な様に疑問符が頭に浮かぶ。

 

「羨ましい限りじゃの〜……」

 

そんな二人の様子を微笑ましく見てるミコ、そして一方でマチアは……。

 

「……イチャついてるとこ悪いけどちょっといいかな」

「イチャ──ッッッ!?」

「痛!?」

 

不意をつくようなマチアの一言、顔を赤くしながらも咄嗟に否定するように光黄から突き飛ばされる烈我。

 

「わ、悪い」

「ッ! 別にいいんだけど、それよりそっちはもう大丈夫みたいだな」

「……それっぽく繕ってるけど、結構しんどいよ?」

 

彼女とてそれなりに疲労は溜まっている筈だが、言葉とは裏腹に烈我達から見てまだ余力があるように見え、そこは経験の差であるからだろうか。

 

「まっ、それより光黄、アンタを利用しようとした事本当にごめんね」

「……俺は別に。それにお返しはしたしな」

「ハハッ、そうだったね」

 

苦笑いしながら今度は烈我の方へと視線を向ける。

 

「アンタもごめん。約束通り煮るなり焼くなり好きにしていいよ」

「嫌、別にそんな事はしないって! それより、これからどうするつもりなんだ?」

「……」

「ヴァンって奴の事なら、俺達も協力したいと思ってる。だからよかったら俺達と一緒に!」

「本当にお人好しだね、けどごめん」

「!」

 

烈我からの提案に対して真っ先に否定の一言。

 

「気持ちだけ受け取っておくけど、アンタ等はアンタ等でやる事がある筈でしょ、ヴァンの事ならアタシ自身で何とかするから」

「でも」

「大丈夫、こればっかりは自分でどうにかしたいって思ってるから」

「……そっか」

「それに一緒に行動してもいいけど、どっかの誰かが焼きもち妬いちゃうでしょ」

「?」

 

チラっと光黄の方へ視線を向け、「い、一々余計な事言うな」と顔を背けながら言い返し、イマイチ会話の流れを理解していないように烈我だけは首を傾げている。

 

「まっ、それはともかく上の階を目指すならこの先の道を行けば辿り着けると思うよ」

「分かるのか!?」

 

「何故、組織でもないお主が……それに、今は地下の道が幾つか閉ざされて」

 

烈我だけでなく、組織に身を置いていたミコもマチアの言葉に疑問が浮かぶ。

 

「情報屋としての腕を舐めないでよね。ここには取引の一環で何度か足を運んでるし、ヴァンからの情報でマップは全部暗記してる。隔壁もどの位置で作動するかも全部頭に叩き込んでる」

「信じて、いいのか?」

「疑うなら前と違って、正式な取引としてならどう?」

「取引?」

「うん、アタシはここの情報を渡した。その引き換えとして……アンタ等は、ルディアに勝って! アタシが求める見返りはただそれだけ」

「「!!」」

 

情報屋として取引、そして今の彼女の目にもう疑いの余地はなかった。二人ともその言葉に頷くと、「それじゃあ」とマチアもまた別の道へと進み、烈我達もまた先へ進むべく上の階続く道を進んで行く。

 

「(この先にボスがいる。けど……恐らくその前に……!)」

 

烈我達の後に続くミコだが、この先に何が待っているのか彼女には大方の予想がついていた。それでもまだ確信はないのか、あえて口には出さず先へと進むのみであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです!ブラストです!!
ようやく28話更新完了致しました!!!

今回はマチアvs烈我!
前回はタッグバトルだったので今回マチアの通常バトル書くのは楽しかったです!前々からマチアとヴァンの関係についても書きたくて今回2人の過去に触れる回を掛けてとても楽しかったです!
しかしそれとは別に、紫のバトルを書くのが大変。呪鬼はほぼ使った事がないので、リアルではコントロールはとても苦手です(›´ω`‹ )←

分からないなりに頑張って書けたのでお世辞半分でも評価いただければないて喜びますよ!←

あと前回から新しい七罪竜の影を匂わせてますが、更新が遅く中々そこまで行けてない。どうにか更新ペースを上げてきたいです。
頑張りますのでどうか次回以降もよろしくお願いします!!

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