バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第32話【憤怒と紅蓮の拳】

「これが……バーニングドラゴン」

 

烈我の目の前に立つ最後のハイドカード、バーニングドラゴン。今一度咆哮を上げ、その様子はこれからの戦いに歓喜しているように思えた。

 

「力だ、これが俺の力、俺の全て!!」

 

ドレイクもまた笑いながらバーニングドラゴンの姿を見るが、直ぐにまた表情を切り替えて烈我を睨む。

 

「けどまだ足りねぇ。俺が求める力は……!」

「!」

「バーニングドラゴンともう一体バジュラブレイズッ!!」

 

気迫を込めて烈我を睨みながら、手を前に突き出して拳を握りしめる。

 

「その二枚があれば、俺はもう誰にも支配される事はねぇ……ッ!! この世界で、俺はようやく自由を手に入れられる!!」

「ドレイク……!」

 

本能的に伝わるドレイクからの気迫、並のカードバトラーなら戦意を失う程の恐怖。だがそれを感じ取ってなお、それでも退く事だけはできない。

 

「(バーニングドラゴン、どんな力を持ってるかは分からねぇけど、それでも負ける訳には行かない!!)」

 

気合を入れるように真っ向からドレイクとバーニングドラゴンに向き合い、場にいるジークフリードルドラもまた槍を構え、相手が攻撃を仕掛ける前から既に戦闘態勢へと入っていた。

 

来るなら来い、と戦う意思を示す烈我だがそんな気持ちを他所にドレイクは。

 

「俺はこれでターンエンド」

「えっ!?」

 

バーニングドラゴンを呼び出しておきながらまさかのターンエンド宣言。それに思わず驚く様に声が出る。

 

「どうした? テメェの番だ。来るなら、来いよ?」

「(ドレイクの奴、何を狙ってんだ? カウンターを警戒? それとも……!)」

 

何を狙っているのかとドレイクを見るが、その表情から彼の狙いを探る事はできない。なら悩んでいても仕方がない、と不確定要素を残しつつも、迎える自分のターンに集中する様に意識を切り替える。

 

 

 

 

────第10ターン、烈我side。

 

[Reserve]9個

[Hand]5枚。

[Field]破壊龍皇ジークフリードルドラLv.2(3)BP12000、ライトブレイドラLv.1(1)BP1000、創界神アポローンLv.1

 

「メインステップ! ジークフリードルドラとライトブレイドラをそれぞれLv.3にアップ!!」

 

レベルアップした事で力を上昇させ、さらに力強く吠えるライトブレイドラとジークフリードルドラの二体。

 

「(これで今ジークフリードルドラはLv.3でBP16000、バーニングドラゴンのBPも超えてる! 何が狙いにしても、今がチャンスなんだ!!)」

 

攻撃の機会を見逃す訳には行かないと、そのままアタックステップへ移って行く。

 

「ジークフリードルドラ、アタックッ!!」

 

攻撃開始と同時にジークフリードルドラは構えた槍を地面へと突き刺すと、地面を伝って放たれる電流がバーニングドラゴンの周囲を檻の如く囲い始める。

 

「!」

「ジークフリードルドラのアタック時効果、このスピリットの攻撃に対して相手は自分のスピリットを5体破壊しないとブロックできない!!」

 

電流の壁にバーニングドラゴンは苛立つ様に拳を壁に叩きつけ、その一撃に電流が乱れるが、直ぐにまた元へと戻る。

 

「バーニングドラゴンにどんな効果があるのかは知らないけど、今のルドラは止められねぇッ! 今の内にライフを削らせてもらう!」

「……その程度の攻撃が通じるか! フラッシュ、氷雪サークル!!」

「!?」

「不足コスト確保でバーニングドラゴンをLv.1に、そしてソウルコアをコストに使用した事で、ジークフリードルドラとライトブレイドラを指定。指定されたスピリットはこのターン、俺のライフを減らせない!」

 

ジークフリードルドラは槍をドレイクへと突き出すが、ライフの前にさらに覆い重なるように氷の壁が出現し、出現した氷の壁はジークフリードルドラによる槍の一撃を難なく弾き返してしまう。

 

「!!」

「さぁ、終わりか?」

「……ターンエンド」

 

 

 

 

────第11ターン、ドレイクside。

 

[Reserve]13個。

[Hand]4枚。

[Field]獄炎龍バーニングドラゴンLv.1(1)BP9000、創界神スサノオLv.1、創界神アヌビスLv.1

 

「俺のターン、もう一度バーニングドラゴンをLv.3にアップ! 今度はこっちから行くぞ!」

「!!」

「アタックステップ!!」

 

バーニングドラゴンは吠えながら一歩踏み出すと同時にドレイクはアタックステップ開始の宣言を告げる。

 

「バーニングドラゴン、行けぇッ!!」

 

その言葉を待ち望んでいたようにバーニングドラゴンは歓喜の咆哮を上げると、一気に駆け出し烈我へと突っ込んで行く。

 

「バーニングドラゴンLv.3の効果、BP10000以上のスピリット全てに赤のシンボル1つを加算する!!」

「つまりダブルシンボルって事かよ!!」

 

まともに受ければ間違いなく追い込まれてしまう事は必須。

 

「やらせるかよ! フラッシュタイミング! マジック、光翼ノ太刀!!」

「白のマジック!」

「ジークフリードルドラをBP+3000、さらにこのターンの間、疲労ブロッカーに!!」

 

ジークフリードルドラに纏う白い光、そのBPをさらに上昇させながらバーニングドラゴンを止めるべく立ち上がる。

 

「アタックはジークフリードルドラでブロックだ!!」

 

握りしめる槍に電撃を迸らせ、力の限り槍を振り下ろすと天よりバーニングドラゴンへと迫る落雷。瞬時に自身の身に降りかからんとするそれに気付くと、後ろに飛んで退避し、降り注ぐ落雷を寸での所で回避する。

 

「成程、テメェもカウンター狙いか」

「あぁ。白マジックに対するは白マジックだ! ジークフリードルドラのBPは19000、完全にバーニングドラゴンを上回ってるぜッ!!」

 

ジークフリードルドラは一気に決着をつけるべく、バーニングドラゴンへ突っ込むと手に持つ槍を振りかぶるが。

 

「ハッ、これでもう勝ったつもりか?」

「!?」

「この程度でバーニングドラゴンを超えたつもりなら、傑作だって事だよ!」

「何言って──」

 

烈我がそう言葉を放つよりも先に、ドレイクは手札のカードを切る。

 

「フラッシュタイミング、マジック! ダイノパワーッ!! 効果でバーニングドラゴンのBPを+3000!」

「それでもまだBPは18000、ジークフリードルドラの方が上だ!!」

 

吠える二体のドラゴン。バーニングドラゴンは拳を、ジークフリードルドラは槍を構えて睨み合うが、烈我の言う通りBPはまだジークフリードルドラに分があり勝負は見えているかに思えるが。

 

「見縊るなよ? バーニングドラゴン、テメェの真の力を見せてやれッ!!」

「!」

 

"ガアアアアアアアァァァァァァ────ッ!"

 

ドレイクの言葉に呼応するかのようにさらに強く咆哮を上げ、その声量が起こす衝撃に思わず烈我は吹き飛ばされそうになりながらも何とか踏みとどまる。

 

「ッ!! 一体これは……!!」

「バーニングドラゴンの効果、自分のアタックステップ中、自分のスピリットのBPが上がった時、俺の赤のスピリット全てのBPを+3000!!」

「何!?」

「これでバーニングドラゴンのBPは21000。勝負あったなッ!!」

 

槍を構え駆け出すジークフリードルドラに対し、バーニングドラゴンはゆっくり歩み寄りながら互いにその距離を詰めて行き、そして先制するようにジークフリードルドラは構えた槍をバーニングドラゴンへと振り下ろし、その一撃に火花が散るが。

 

「!?」

 

槍を振るわれてなおバーニングドラゴンはまるで微動だにしておらず、振るわれた槍を掴んでそのまま突進すると、ジークフリードルドラは足を引き摺らせながら後方の壁に押し込まれ、岩壁に激突する。

 

「ルドラ!!」

 

そんな烈我の叫びを掻き消すかの如く、バーニングドラゴンが吠えながらそのまま壁に押し込んだジークフリードルドラを連続で殴り飛ばし、二度三度と鈍い音を響かせながら最後に顔面を蹴り付け、ジークフリードルドラは転げ回りながらフィールド中央へと吹っ飛ばされる。

 

バーニングドラゴンはさらに追い打ちをかける様に駆け出し、ジークフリードルドラは槍を捨ててすぐさま立ち上がると、拳に電撃を溜め込み、その拳を突っ込むバーニングドラゴンへ突き出すと、拳に溜め込んだ電撃を撃ち飛ばしバーニングドラゴンへと直撃させるが、電撃を浴びながらもバーニングドラゴンはなお止まらない。

そのまま飛び上がると共に、バーニングドラゴンもまた、拳にエネルギーを溜め込んで炎を纏わせ、ジークフリードルドラも迎撃すべく今度は両腕を合わせて先程以上の電撃を放ち、激突する両者の攻撃。

だがバーニングドラゴンは構う事無く自身の拳を前へと突き出すと、放たれた電撃を打ち破り、そのまま炎の拳がジークフリードルドラへと撃ち込められると、断末魔を上げながらジークフリードルドラはその場で大爆発を起こす。

 

「そんな、ルドラが……!!」

「バーニングドラゴン、此奴は俺の力、その全てだと言ったろ」

「!!」

「どう足搔いてもテメェに此奴を超える事は出来ねぇ。万が一にも、俺の勝ちは揺るがねぇッ!!」

 

改めて自分の勝利宣言を強く言い放つドレイク。事実キースピリットは破壊され、状況は完全に烈我の劣勢に他ならない。

 

「……それでも!!」

 

どんなに追い込まれようが決して勝負は諦めない。まだその目の闘志は未だ尽きずその目をドレイクへと向ける。

 

「まだ、諦めねぇか。この期に及んでも」

「……俺がそういう奴だって、分かってんだろ?」

 

ドレイクの問いに対してそう強気に言い放つ烈我。

 

「分かってるよ、だからこそ……俺はテメェが心底腹立だしい!! ぶっ潰したいと思う程になァッ!!」

「あぁ、上等だ!! 俺だって、お前がどんな力を持ってようが、どんなスピリットを扱おうが、俺は最後まで立ち続ける!! 絶対にぶっ潰されたりなんかしねぇッ!!!」

「テメェ……ッ!!」

 

どこまでもドレイクに張り合って見せるかのような烈我の態度に、ドレイクはさらに怒りを募らせる。

 

「ほざいたな。だったら最後まで足搔きやがれ。テメェの打つ手を一つ残らず全部ぶっ壊して、その上で……確実に潰すッ!! ターンエンドだ!」

 

 

 

 

────第12ターン、烈我side。

 

[Reserve]9個。

[Hand]5枚。

[Field]ライトブレイドラLv.3(5)BP3000、創界神アポローンLv.1

 

「メインステップ! ライトブレイドラをLv.1にダウン!」

 

レベルダウンに伴い、力が減少しその場に項垂れるライトブレイドラ。そうしてリザーブに溜め込む理由は明白だった。

 

『いよいよクライマックスか!! 滾るぜッ!!』

 

脳裏に響くは相棒であるバジュラの声、そして当然烈我の手に持つはバジュラブレイズのカード。

 

「頼んだぜ、バジュラ!」

『望むところだァッ!! 早く呼びやがれ、この俺をなッ!!』

 

その声に応えるように手に持つバジュラのカードを勢い良く掲げて見せる。

 

「罪を背負いし怒りの竜! 憤怒の炎、烈火で地獄さえも焼き尽くせ! 爆我炎龍バジュラブレイズ、召喚ッ!!」

 

空が一瞬にして暁に染まり始めたかと思うと、直後、降り注ぐ無数の流星群。フィールドの大地へと降り注ぐ流星は円を囲う様に地面を抉り、ステージのような舞台を作り上げると、そのステージへと舞い降りる巨大な火球。

燃え盛る炎の中でより赤い眼光を輝かせると、憤怒を司りし七罪竜────バジュラブレイズがその姿を現す。

 

"グルアアアアアアアアァァァァァァーーーーッ!!”

 

力一杯に吼え叫ぶバジュラ、そしてそのバジュラブレイズの姿を前に。

 

「ようやく出たか。待ってたぜ、バジュラブレイズ!」

『ハッ、テメェと此処(バトルフィールド)で会うのは随分久方ぶりじゃねえか。今度はそのガラの悪い黒トカゲを従えて俺に挑むか?』

 

ドレイクとその隣で拳を打ち鳴らしながら構えるバーニングドラゴンに視線を向けながら問い掛けるバジュラだが、「黒トカゲ」と称されたバジュラの言葉が多少なりとも癪に障わったのか、バーニングドラゴンは威圧するように先程と同等かそれ以上の咆哮を張り上げる。

 

「ッ!! スゲェ迫力、バジュラ以上かよ」

『オイオイ、何言ってやがる。あんなハイドカードとかいう訳の分からん奴らと俺を比べんじゃねえよ!! 苛立ちでストレスが溜まりやがるッ!!それにな、間違っても、俺はあんな野郎に遅れを取るつもりはねえぞ!」

 

「意気がるなよ、コイツの力はテメェと同等かそれ以上。破れるなら破ってみろよ!」

 

例え誰が相手だろうがバジュラにとって恐れる相手などいない。バーニングドラゴンを前にしても強気な姿勢を崩す事はないが、それはまたドレイクも同じ事。

 

「バジュラブレイズ、この勝負で烈我もテメエもぶっ潰す。そして、勝った暁にはお前の力も俺のもんだ!」

『ハッ、そこまで俺の力を求めるか。初めて会った時にも思ったが、お前から感じるその怒り、俺に通じる物があるかもな』

 

冗談混じりに笑いながら答えつつ、『でも』と言葉を付け足してさらに続ける。

 

『俺が俺自身を使うべきと選んだのはただ一人だけだ。今更それを覆す気はねえ。悪いがテメェに使われる気はこれぽっちもねえよ!』

「関係ねぇ、無理やりにでもテメェを従わせるだけだ。所詮お前も、此奴(バーニングドラゴン)も俺にとってはただの道具!」

『道具、だと……それは──』

 

「ふざけんな……ッ!!」

 

聞き逃せない様に眉間に皺を寄せるバジュラだが、ドレイクのその言葉に対して真っ先に怒りを見せたのは烈我だった。

 

「!」

「バーニングドラゴンも、今のお前にとっちゃ相棒だろ!! 何でそんな事が言えんだよ!」

 

バジュラだけではなくジークフリードネクロやルドラ等、烈我にとっては信頼してこれまで戦ってきた大切な仲間。だからこそ烈我にとってはこのドレイクの一言がどうしても許せなかった。

 

「綺麗事を、俺にとってはそもそもバトスピ自体、己の力を示す為の手段に過ぎん! スピリットもその手段の為の道具だ!!」

「本気で、言ってんのかよ!」

「当然だ! 信頼だの仲間だの反吐が出やがる!! 俺にとっては使えるか使えないかだけ、使えないなら用済みだァッ!!」

「ッ!! ドレイクッ!!!」

 

尚更負ける訳には行かないと、烈我の怒りにも火がつき、それを見て憤怒を司りし七罪竜のバジュラはそんな烈我の怒りに口角を上げて見せる。

 

『いい怒りだぜ、烈我。怒りの炎をもっと燃やせ!! テメェの怒りも俺の怒りも全部まとめてあの野郎にぶつけてやらあッ!!』

「あぁ! ぶん殴ってでもアイツの目を覚ましてやる!! ありったけの全部ぶつけて、分からせてやる!! アタックステップッ!!」

 

一斉に構えるライドブレイドラとバジュラブレイズ、狙うはドレイクの残るライフ。

 

「バーニングドラゴンは疲労状態、ブロッカーはない! このターンで決めるッ!! ライトブレイドラでアタック!」

 

残りライフは2つ。ブロッカーもいない状況、烈我の攻撃が全て決まればそこで決着。ライトブレイドラは翼をパタパタと羽ばたかせながら大地を駆け抜けドレイクへと勇猛果敢に向かう。

しかし相手も今の状況が分かっているのであれば、その攻撃を簡単に通す程、決して甘くない。

 

「フラッシュ! 火炎之咆哮ッ!」

「!」

「効果でBP3000以下の相手スピリットを破壊、ライトブレイドラだ! 失せろッ!!」

 

走り抜けるライトブレイドラだが天から降り注ぐ炎の雨が撃ち放たれ、それはライトブレイドラへと直撃すると爆発四散し光となって場から消え去ってしまう。

 

「ッ!!」

「どうした? もう終わりか?」

 

残るスピリットはバジュラのみ、ライトブレイドラを失ってはこのターンで決着を付ける事はできない。

 

「ターンエンド」

『チッ、一気に勝負を決められると思ったが流石に一筋縄じゃ行かねぇな』

「あぁ。強い……次の攻撃、何としても耐えきるぜ」

『ったりめぇだ! テメェこそ気を引き締めろよ! 烈我ッ!!』

 

お互いを鼓舞し合いながら次に来るであろうドレイクの攻撃に備える二人。そして迎えるドレイクのターン。

 

 

 

 

────第13ターン、ドレイクside。

 

[Reserve]10個。

[Hand]5枚。

[Field]獄炎龍バーニングドラゴンLv.3(5)BP15000、創界神スサノオLv.1、創界神アヌビスLv.1

 

「メインステップ、ソウルコアをコストに来やがれ、ジュラシックルッ!」

 

赤いルビーが砕け出現したのは蟷螂の如く二本の腕に備えし鎌を持ち、そしてその体は虫よりも遙かに巨大な恐竜の身体を誇るジュラシックル。

 

「ジュラシックルの召喚時効果、このターン、ソウルコアをコストに支払った事で俺の地竜を持つスピリット全てに赤のシンボル一つを追加!」

「つまり、ダブルシンボルって事かよ!」

 

『(嫌、此奴の事だ……それで終わる訳がねぇッ!)』

 

ドレイクが何かを狙っている事にいち早く気付くバジュラ、静かに『構えろ!』と烈我に警戒を促すが、警戒しようがしまいが、もはやドレイクには関係ない。

 

「徹底的に殺るぞ! ジュラシックル、バーニングドラゴン!!」

 

血の気が逸る様にジュラッシックルは両腕の鎌と牙、バーニングドラゴンはその拳に炎を灯して行き、そして「アタックステップ!」と叫ぶドレイクの宣言に二体のスピリットは一斉に吠える。

 

「ジュラシックル、行けぇッ!! アタック時効果、このスピリットをBP+6000!!」

 

ジュラシックルは駆け出すと同時に自身の効果で赤いオーラを身に纏いながらそのBPを上昇させるが、それに呼応するかのようにバーニングドラゴンはさらに眼光を輝かせる。

 

「ッ!! BPが上がったって事は……!!」

「その通り、バーニングドラゴンの効果! 俺のスピリットのBPが上がった時、バーニングドラゴンの効果でさらに俺の赤のスピリット全てにBP+3000!!」

 

さらに純度の高い光がバーニングドラゴンとジュラシックルのBPを上昇させ、現時点で既にバーニングドラゴンのBPは18000、ジュラッシックルはBP13000とバジュラのBPさえも上回っていた。

 

「くッ!!」

「それと忘れちゃいねぇよな? 俺のBP10000以上のスピリット全ては赤のシンボル一つを加算。ジュラシックルはこれでトリプルシンボルだ!!」

 

両腕の鎌を掲げながら烈我へと迫るジュラシックル、まともに受ければ敗北は必須。

 

 

「ドレイクの奴、一気に決める気じゃ!!」

「……バジュラでブロックすればまだこのターンは凌げる。だが」

 

バトルの状況を見守る光黄達、彼女の言葉通りまだブロックすれば耐えられる。しかしそれでも彼女がそれを懸念する理由は明白、何故ならばブロックしてもジュラシックルのBPを上回れずバジュラは破壊される。

ジークフリードルドラも破壊された今、バジュラも失えば烈我の勝ちの目は薄い。

 

 

「負けると分かっててブロックさせるか? それともこのまま楽にくたばるか? 好きに選びな!」

「!」

 

どちらを選ぼうが自分の勝利は揺るがない、そう確信しながらジュラシックルは両腕の鎌を構えて一気に飛び出して行く。

 

「今度こそ、終わりだァッ!!!」

 

『ハッ、これぐらいで終ってたまるかよ!!』

「!?」

『だよなァ、烈我ッ!!』

 

「あぁ、生憎どっちの選択肢もごめんだぜ!! フラッシュタイミング、マジック! ラークドライブ!! 不足コスト確保でバジュラをLv.1にダウン!」

「何ッ!?」

「効果でバトルを強制終了だ!!」

 

鎌を掲げて飛び出すジュラシックルだったが、バトルを終了された事で鎌を下げてその場に着地すると、ジュラシックルはこれ以上の行動が出来ない様に地面に凭れこむ。

 

「これでバーニングドラゴンで攻めても俺のライフは削れ切れねぇぜ!」

「……」

 

バーニングドラゴンも自身の効果でシンボルを追加されてると言えど、まだダブルシンボル止まり。他に攻撃できるスピリットがいなければこれ以上ドレイクにも打つ手はないが。

 

「…………調子に乗んじゃねぇよ!!」

「!」

「アタックはなし。エンドステップ、トラッシュにあるダイノパワーの効果を発揮! 俺の場に地竜を持つスピリットがいる時、このカードを手札に戻す!」

「ッ!!」

 

再びドレイクの手札へと戻るダイノパワー、そのカードが手札に戻った事の意味にその場の誰もが即座に理解した。

 

 

 

 

「ダイノパワー、あれが戻ってきたという事は!」

「フラッシュ効果を使えばバーニングドラゴンのBPは18000、そうなったら……例えバジュラの【火力推進】の効果を使ってもBP17000……バーニングドラゴンを超えられない」

「だとしたら烈我に打つ手無いのじゃ!?」

「(……烈我)」

 

ターンを凌いだとはいえ結局追い詰められた状況には変わりない。不安そうなミコに対し、光黄はただ静かに何も言わずバトルの行方を見守る。

 

 

「何遍も言わせるな、もうテメェは俺の敵じゃねぇ!! これでもまだ足搔く気かッ!!」

「…………」

 

状況は絶望的には違いない、それでも、追い詰められた状況だからこそ烈我もバジュラも思いは一つ。

 

『決まってやがる!』

「何処まで足搔くかってそんなの……!」

 

『「勝つまでに決まってんだろッ!!」』

 

「……なら精々最後まで無様に足搔いてろ!! 結果は変わらねぇッ!!!」

 

烈我とバジュラに対し、ドレイクとバーニングドラゴンもまた全力で迎え撃つべく吼え叫ぶ。

 

 

 

 

────第14ターン、烈我side。

 

[Reserve]14個

[Hand]5枚。

[Field]爆我炎龍バジュラブレイズLv.1(1)BP7000、創界神アポローンLv.1

 

「メインステップ! もう一度バジュラをLv.3にアップ!! さらにホワイトホールドラゴンをLv.2で召喚!! アタックステップだ!」

「来い、全力で潰してやるッ!!」

 

激昂するように叫ぶドレイク、バーニングドラゴンは今か今かと拳を打ち鳴らし待ち構えるが、烈我達にとっては望む所。

 

「ここが勝負だ! バジュラブレイズでアタックッ!! アタック時効果、【火力推進(ヒートアップ)】! BP+5000し、さらに手札1枚を破棄する事でバーニングドラゴンに強制ブロックしてもらうぜッ!」

 

『クライマックスだな!! ド派手に行くぜェッ!!』

 

拳に炎を込めながらフィールドを突っ切るバジュラにバーニングドラゴンもまた迎え撃つように迎撃体制へと入る。

 

「だからどうした! 無駄な足掻きなんだよ!! フラッシュタイミングでダイノパワーだ!!」

「!」

「効果でバーニングドラゴンをBP+3000! そしてバジュラブレイズをブロックだ!!」

 

ドレイクの指示にバーニングドラゴンは雄叫びを上げながらバジュラへと向かうと、バーニングドラゴンもまたその拳に炎を纏わせて一気にバジュラへと振りかざし、二体の龍の拳が激突し、衝撃が風圧となってフィールド全域へと広がる。

 

「「ッ!!」」

 

その衝撃に腕を前に出しながら吹き飛ばされまいとその場に踏み止まる烈我とドレイク。そんな二人にはお構い無しに二体の龍は吠えながら、なおも激しくぶつかり合い、バーニングドラゴンはその場に振り返り尻尾をバジュラへと叩き付け、咄嗟に腕を盾に尻尾による一撃を受け止めるが、想像以上の威力にバジュラは後方へと弾かれる。

 

「フラッシュタイミング!! アクセル発揮! スターブレイドラ!!」

「ッ!!」

「効果でバジュラのBPを+3000、これでバジュラのBP合計は20000だッ!!」

 

追撃を掛けるようにバーニングドラゴンは自らの名の通り獄炎の炎をバジュラへと吐き付けるが、アクセルによるBP上昇に伴い、バジュラに纏う炎がさらに熱く燃え上がり、バーニングドラゴンが放つ獄炎に勢いよく拳を振り下ろし、一撃でその攻撃を掻き消してしまう。

 

「これでこっちの勝ちだ!!」

 

そのまま距離を詰めるように突進するバジュラを受け止め、力比べのように組み合うようバジュラとバーニングドラゴンだが、今、力に分があるのはバジュラ。そのままバーニングドラゴンを押して行き、少しずつ足を引き摺らせて後ろへ押され始めるが。

 

「その程度、俺が読んでねえとでも思ったか!!」

「!」

「フラッシュ! ソウルドローを使用!」

「!!?」

「効果でバーニングドラゴンのBPをさらに+4000!! これで、バーニングドラゴンのBPは22000だッ!!」

 

再びBPを上回るバーニングドラゴン、その眼光を輝かせるとバジュラを押し返し始め、己の方が上だと言わんばかりにバジュラに向かって吼え立てる。

 

「どう足掻いても禁断の力を持つ此奴を前にテメェは勝てねえんだよ!! これで正真正銘ゲームエンドだ。バジュラブレイズ、その力は俺が貰う!!」

 

この瞬間、もはや勝負あったとドレイクは自分の勝利を確信した。ミコ達もまたここまでかと不安な表情が隠せない中で、唯一。

 

『ハッ、俺が、俺達が勝てねえだと?』

「!?」

 

「ドレイク、一つだけ言わしてもらうぜ! 勝負は最後の最後まで分からないんだよッ!!」

「何!!?」

「まだ俺は足掻き切ってねえ! バジュラも俺も最後の最後まで全力だ!!」

「ッ! 無駄だ、今更テメェに打つ手なんざ……ッ!」

「まだだ!! フラッシュタイミング! アポローンの【神技】の効果発揮!」

「!!」

「バーニングドラゴンの効果でBPが上がるのは自分のアタックステップだけ! よって今BP4000のジュラシックルを破壊だ!」

 

撃ち放たれるアポローンの炎の矢がジュラシックルの身体を射抜くと、ジュラシックルの体が炎に包まれ、力尽きてその場で爆散。そして破壊によってデッキから1枚ドローし、引いたカードを手に取り。

 

「さらにフラッシュ!! アクセル! スターブレイドラッ!!」

「何だとッ!!?」

「2枚目ッ!! これでバジュラのBPは23000だァァァッ!!!」

 

『シャアッ!! 決めてやるぜェェェッ!!』

 

バーニングドラゴンは再び反転してバジュラへ尻尾を叩きつけようとするが、バジュラは大きく飛び上がって躱すと、そのまま拳を大きく振りかぶり、バーニングドラゴンもまた迎え撃とうと両拳を重ねて、互いに構えた拳を打ち込み、再びぶつかり合う力に一度目の時より激しい衝撃がフィールドを揺らしていく。

 

「認めねえ……ッ! バーニングドラゴンは禁断にして最凶の力だ!! なのに何で……ッ!!!」

「力だけが全部じゃねえからだよ」

「!」

「ドレイク、確かにお前は強い……けど、それでも力だけが、強い事だけがバトスピじゃねえだろ?」

「何が、言いたい?」

「……お前はバトスピが自分の力の証明する手段って言ったけど、俺はそうは思わない。楽しく笑って、そしてスピリットと仲間と一緒に強くなっていける! それが俺にとってのバトスピなんだ!!」

 

色んな相手と戦い、時には敗北してもそれでも前へと進んできた烈我だからこそ言える台詞だった。

 

「綺麗事を……ッ!」

『ハッ、確かにテメェからしたらそうかもな』

「何!?」

『確かにテメェの言う通り綺麗事ばかりの大馬鹿だよ。素面で恥ずかしい台詞を幾つも口にしやがる。

でもなァッ!! だからこそ、馬鹿だからこそ此奴の言葉に嘘偽りはねぇ! こいつの事が面白いと思ったから俺は此奴を相棒に選んだんだ! テメェじゃなくなァッ!』

「ッ!!」

『此奴が望むなら俺はどこまでも突き進んでやらァッ!! 立ち塞がる奴ァ、俺の尽きぬこの怒り、全部ありったけぶつけてやるんだよォォォォッ!!!』

 

怒号の咆哮を唸らせると、バジュラは自分の拳をさらに前へ前へと突き出し、バーニングドラゴンは跳ね返そうと全力を込めるが、それでも少しずつ押されていき。

 

『オラアアアアアアアアアアァァァァァァーーーーーッ!!!』

 

強く吼え、最後にはバーニングドラゴンは根負けするように押し切られ、バジュラの拳がバーニングドラゴンへと叩き込まれ、巨大なクレーターを築く程に強く地面へと突き倒される。

 

"グガアアアアアアアアァァァァァァーーーーッ!!”

 

断末魔にも近いバーニングドラゴンの叫び、だが決してただでは死なない。命尽きるその絶命の瞬間、力が尽きる前に最後の力を振り絞ってバーニングドラゴンはまだ動くその拳を大地へと叩き付けると、後方にいる筈のホワイトホールドラゴンの足元から火柱が噴き上げ、その身を焼き焦がされ場から四散してしまう。

 

「!」

「……ッ! バーニングドラゴンの破壊時効果、このスピリットが破壊された時、このスピリットのBP以下の相手を破壊できる」

 

バジュラブレイズはバトルに勝利した事で回復はするもののまだドレイクに残るライフは2、今の状況では【超爆火力】の効果も発揮できず連続アタックも難しく、このターンは凌ぎ切れたように思えるが。

 

「……俺の、負けだ」

「!?」

 

まだ耐えきろうと思えば耐えきれる筈なのに、ドレイクの口から出た言葉まさかの敗北宣言だった。

 

「何で……?」

「見りゃ分かんだろ、バーニングドラゴンが俺にとっては全てなんだ。それを失ったら、もう俺に勝ちの目はねぇよ」

「……」

 

今更足搔いても無駄だ、ならここらが潮時だとサレンダーしようとするドレイクだが。

 

「本気なのかよ?」

「は? そんなの決まって──」

「ドレイク!!」

 

何を想うのか、大きく息を吸ってドレイクの名を強く呼び、それに驚くような反応を見せる中、続けざまに口を開き。

 

「俺はさ、このバトルがめっちゃ楽しかったんだ!」

「ハァ?」

「全力を尽くして、追い込まれて追い込まれて形勢逆転したと思ったらまた追い込まれて、一瞬も気を抜けなくて大変だったけど、それでも俺は心の中でワクワクしてた!」

「……ワクワク、だと?」

 

一瞬何を言っているんだ此奴は、と心の中で思う。でも何故だろう、戯言とも思えるその言葉が何故か心に深く沁みるような感覚がした。

 

「……」

「あまり難しい事は言えねぇけど、それでも俺はこの勝負が楽しくて、最後まで続けたいと思ってる。ただのわがままだって思うけど、俺は最後までお前と戦いたい! こんな楽しい勝負、途中で終らしたくない!!」

「!」

「ドレイクだって、もしかしたら俺と同じ気持ちじゃねぇのか?」

「俺が、だと?」

 

その瞬間、脳裏に浮かぶ記憶。それはタッグバトルの時、あの時は烈我と組み、大会の決勝、丁度今の状況と同じ様に追い詰められたあの時、何故あの時自分は諦めなかったのだろう、ふと疑問が脳裏を過る。

 

「(……ずっと疑問だった。何であの時、アイツを……烈我を信じようと思ったのか)」

 

元々大会に出た目的はハイドカード為に過ぎなかった筈。そして決勝大会に進出した時点で目的はほぼ達成していた。にも拘らず、何故最後まで自分は烈我を信じてまで勝負に拘ったのだろうか。無様に負けるぐらいなら早々に諦めた方がいいと思っていた筈なのに、それなのに。

 

「(……あぁ、そうか。やっと分かった、俺はあの時、ただ勝ちたかったんだ)」

 

力が全てだと、それだけが自分の全てだと思っていた筈なのに。あの大会の時、自分はそんな思いを忘れていた。力の為ではない、ただ一人のカードバトラーとして、自分は純粋に勝ちたいと願っていた。丁度烈我と同じ様にただひたすらに、そしてそれこそが無意識の内にバトルを楽しんでいた事の証であり。

 

「…………フッ、俺も所詮バトル馬鹿だったって訳か」

「ドレイク?」

 

先程まで怒りに満ちた表情が嘘のように、今は晴れ晴れとした柔らかい表情を浮かべどこか雰囲気の変わったドレイクの様子に烈我達は不思議に思うが。

 

「何でもねぇ、それより……続けるんだろ? バトルをよ!」

「!……ドレイク!!」

 

空気が変わった様に口元を緩ませるドレイクに、驚きつつも直ぐに烈我も「あぁ!」と笑って返事を返す。そして「行くぞ!」と覇気を込めながらドレイクは自分のターンを開始して行く。

 

 

 

 

────第15ターン、ドレイクside。

 

[Reserve]16個。

[Hand]4枚。

[Field]創界神スサノオLv.1、創界神アヌビスLv.1

 

「召喚、冥府の処刑人カルノ、Lv.3!」

 

神官のような服装に処刑人という名に相応しい鎌を掲げるスピリット。その召喚時効果でトラッシュにある地龍を回収できる効果を持つが。

 

「召喚時効果は使用しねえ。俺は更に3枚目の護国ノ威光を使う! 効果でデッキから3枚ドロー!!」

 

一気に手札を増やし、そして手札に加わったそのカードを目に、口角を上げる。

 

「(……お前等、来てくれたのか!)」

 

その引いたカード二枚は自分のキースピリットである「恐竜覇者ダイノブライザー」、そして「暴双恐竜スーパーディラノス」の二枚。

 

「(お前等を道具と蔑んどきながらそれなのに、最後の最後にこんな俺に応えようとしてくれるなんてな)」

 

二枚のカードを視線に、ドレイクは。

 

「(悪かった、けど今は俺の力を貸してくれ!! 勝つ為に……お前等が必要なんだ!!)」

 

強く決意するようにバトルに意識を切り替えると、その後の効果を処理して行く。

 

「俺は恐竜同盟ステゴラールを破棄! アタックステップだ!!」

「来いッ!!」

「行くぜ、処刑人カルノでアタック!!」

 

アタックと同時にカルノは手に持った鎌を地面へと突き刺すと、冥府の魂を呼び寄せるかのように鎌を通して響く龍の鳴き声。

 

「カルノの召喚時効果はアタック時でも有効、よって俺はこのタイミングでカルノの効果を発揮! トラッシュにある地竜を手札に戻す。俺が選ぶのはムラクモレックス!」

「!」

 

今ドレイクの場にあるアヌビスは手札が増えた事でLv.2の【神域】の効果を使い、コスト5以上の地竜であれば最大軽減を満たして召喚する事が出来るがドレイクの狙いはそれではない。

 

「コスト6以上の地竜を回収した事で、トラッシュのコア4個まで、つまり俺のトラッシュのコア全てをカルノの上に戻す!!」

 

元よりカルノはLv.3、今更コアが増えた所で意味はないように思えるが。

 

「仕上げだ!! カルノを煌臨ッ!!」

「ッ! 来るか、ドレイクのキースピリット!!」

「あぁ、その通りだ! 今目にも見せてやるッ!! 敵を砕け! 壊せ!! ぶっ潰せッ!!! 本能のままに蹂躙し尽くせッ!! 暴双恐竜スーパーディラノス、カルノに煌臨だぁッ!!!」

 

カルノの身体を包み込む巨炎、炎の中でカルノの身体は変化を始めるように炎の中でその影が強大な姿へと変わって行くと、次の瞬間、炎の中で咆哮を轟かせ、音圧が自分の身に纏う炎を掻き消す。

炎が消え、姿を見せたのは強大な力を誇る地竜の王として君臨する暴双恐竜────スーパーディラノス。

 

「!!」

「Lv.3で煌臨! そしてスーパーディラノスの効果、自身を含め俺の場の地竜全てにBP+10000!! よってスーパーディラノスのBPは32000だッ!!」

「ッ! 規格外すぎるだろ!?」

「ハッ、俺の相棒、舐めてんじゃねぇぞ!!」

 

先程迄の激昂した表情は既にない、ただ今は心の底からこのバトルを楽しんでいるように口角を上げながらスーパーディラノスへと攻撃合図を送り、スーパーディラノスはゆっくりと前進するように進撃。

 

「ムラクモレックス、ダイノブライザー! お前等の力も借りるぞ、さらにフラッシュ!」

「!!」

「マジック、ジュラシックスピアーッ! 効果でシンボル2つ以上のスピリットを破壊、そしてその後手札にある地竜を持つカード2枚を煌臨元に追加できる!」

 

シンボル2つ以上のスピリットを破壊する効果自体は不発に終わるが構いはしない。

本命の狙いであるその後の効果を使い、手札のムラクモレックスとダイノブライザーのカードを投げると、フィールドに幻の様にムラクモレックスとダイノブライザーがスーパーディラノスの左右へと並び立ち、三体の地竜は一斉に咆哮すると、ダイノブライザー達の魂を受け継ぐ様にスーパーディラノスの煌臨元へ追加されていく。

 

「煌臨元が3枚!?」

「覚えてるよな? スーパーディラノスはバトル終了時、煌臨元のカード1枚につき相手ライフをトラッシュに送る! 攻撃が決まれば、俺の勝ちだッ!!」

 

バトル終了時に発揮する効果である以上、先程の様にラークドライブで凌ぐという手は使えない。決着を付ける一撃としてこれ以上にない攻撃だ。

 

「……ライフで、受ける!」

「決まった!! スーパーディラノスッ!!」

 

烈我の目の前にまで迫り、ライフがバリアとなって展開されるがスーパーディラノスはそのバリアを両腕で掴むと、そのまま握り潰す様に衝撃を加えてライフを破壊する。

 

「ぐあッ!!!」

「最後だ!! スーパーディラノス、バトル終了時効果!! このスピリットの煌臨元のカード1枚につき、テメェのライフを撃つ!! 煌臨元のカードは3枚、お前のライフは2、俺達の勝ちだァッ!!!」

 

ライフのバリアを掴んだままスーパーディラノスは二双の口からそれぞれ炎を滾らせ、超至近距離でその豪炎を吐き付け、灼熱のライフが烈我へと襲い掛かり。

 

「まだ勝ちは譲れないッ!! この瞬間、手札のリアクティブバリアを破棄する!」

「!……そのマジックは!!」

「あぁ、俺のライフが効果で減る時、このカードを破棄する事で俺のライフは1つしか減らない! 来い、スーパーディラノスッ!!」

 

豪炎が放たれる刹那、バリアを強化する様に分厚い氷の壁がさらにバリアを覆い、スーパーディラノスの炎の威力を軽減、しかしそれでも完全に防ぐまでには至らずライフの一つが砕け散る。

 

「ッ!! やっぱ凄え威力だな……でも、耐え切ったぜ!!」

「チッ、またそのマジックか」

 

烈我達には知る由もない事だか、ドレイクにとってそのマジックで阻まれるのは二度目。過去の記憶を振り返りながら悪態をつく様に舌打つが、その本心はバトルを楽しんでいる様に笑い。

 

「次だ、決め切れないなら次で決める! 俺も相棒も勝利には貪欲なんだ!」

「あぁいいぜ、それは俺もバジュラも同じだ!」

「なら掛かって来い! エンドステップ時、スーパーディラノスが場にいる事でダイノパワーを手札に、俺はこれでターンエンド! 」

 

 

 

 

「ドレイク達、楽しそうじゃの」

「見ての通りだと思う。案外あの二人、似た者同士かもな」

「そうかもしれんのぅ」

 

バトルの様子を見守るミコと光黄。モニターに映るドレイクは楽しそうに笑っておりこれまでで一番長くドレイクと過ごしてきたミコにとっても、そんなドレイクの表情を見るのはとても新鮮だった。楽しそうにバトルする2人につられてか自然と彼女達も可笑しそうに笑い。

 

「これも全部、烈我のお陰かの」

「……彼奴は良くも悪くも、他人への影響力が強いからな」

「ふふ、そうか。もしかしてそう言うお主が一番烈我に影響されてるおるのじゃ?」

「!」

 

ミコからの指摘に照れ臭さを感じるように一瞬頬を赤く染めながらも、すぐに落ち着く様に冷静に。

 

「……かもしれないな。少なくとも彼奴と一緒にいて飽きる事はないな」

 

口元を緩ませながら彼女は笑ってそう言い、そしてバトルは烈我のターンへと移っていき。

 

 

 

 

────第16ターン、烈我side。

 

[Reserve]11個。

[Hand]4枚。(手元)スターブレイドラ×2。

[Field]爆我炎龍バジュラブレイズLv.3(5)BP12000、創界神アポローンLv.1

 

「俺のターン!! 手札から聖蓮神剣リグヴェーダをバジュラへ直接合体!!」

 

天から降り注ぐ一筋の剣──リグヴェーダ。空から降り落ちるその剣を掴み取ると荒々しく振りかざしながらバジュラは合体スピリットへと昇華。

 

「さらにマジック! グランドロー! デッキから2枚引く!」

 

引いたカードを確認し終えると全ての準備を整え終えたように。

 

「これが最後だ、バジュラブレイズでアタックッ!!」

『おぉ。全力の怒り、俺等の全て、ぶつけてやるよォォォッ!!』

 

激昂するバジュラの咆哮、肩に担ぐように持つリグヴェーダを構え、両手で握り締めると一気にドレイクへと迫り、合体した事で今のバジュラはダブルシンボル。

 

『テメェの残りライフは二つ、終いだァッ!!!』

「!!」

 

ドレイクにトドメを刺すべく飛び出すと共に剣を振りかざして行くバジュラ、それに対してスーパーディラノスはドレイクに視線を向けながら吠えて見せると。

 

「あぁ、分かってるよ! 勝つのは俺達だ!!」

「!!」

「フラッシュタイミング、マジック! リゲイン!! スーパーディラノスをBP+5000して疲労ブロッカーに!」

「ここに来て防御マジック!?」

「スーパーディラノス、止めろォッ!!」

 

ドレイクの叫びに応えスーパーディラノスはその剛腕を突き出すと、振り下ろすリグヴェーダの一撃を受け止めて見せると、そのまま腕を振り上げ、リグヴェーダごとバジュラを弾き返す。

 

『ッ!! やるじゃねぇか、暴双野郎!!』

「叩き潰せ、スーパーディラノス!!」

 

両腕を重ね合わせて一気にバジュラへと振り下ろし、剣を盾にその攻撃を受け止めるが、あまりの威力と重量に、受け止めたバジュラの足場に亀裂が走って行く。

 

『ぐおおおおおッ!!』

「バジュラッ!!」

 

追い詰められるその光景に思わず烈我が叫ぶが、バジュラは苦しそうに唸りながらもその表情を緩ませ。

 

『オイ、烈我!!』

「!」

『この勝負、滾る……俺の心を熱く滾らせて仕方ねぇッ!! 此奴とのバトル、俺のボルテージが高まるぜェッ!!』

 

口角を上げて語るバジュラ、それが烈我にとってはとても楽しんでいるように見え、それは烈我もまた。

 

『烈我、だからよ! 俺はこの勝負負けたくねぇ!! こんなに滾る勝負で負けたらぁ、生涯俺の怒りは晴れねぇッ!! テメェはどうだ、烈我!』

 

強く言い放つバジュラの言葉に対して、烈我は笑いながら答える。

 

「当然決まってる! 俺も同じ気持ちだぜ、バジュラッ!!」

 

バジュラにそう強く答えると烈我は手札を構えながらさらに続ける。

 

「フラッシュタイミング! マジック、ソウルオーラッ! バジュラのBPを+6000!!」

「スーパーディラノスのBPは37000、それでまだ勝つ気か!!」

「あぁ、そうだよ!! 俺もバジュラも勝ちたいんだ! 諦められねぇ、此処で諦めたら、バジュラに一生ドヤされるしな! さらにフラッシュ! マジック、ソウルオーラ!!」

「!!」

「バジュラのBPをさらに+6000! もう一枚!」

「何ッ!?」

「3枚目のソウルオーラ、これでBP40000だぁッ!!!」

 

一気にBPを跳ね上げるバジュラ、完全にスーパーディラノスを力を上回り、その腕を弾き返すと、リグヴェーダを投げ捨てると、拳に炎を込めスーパーディラノスへと叩き込む。

その一撃にはスーパーディラノスにも堪え、思わず後方へと後退り片膝を突く。

 

「ッ!!」

 

「負けんなッ!! バジュラッ!!!」

『おぅよッ!!』

 

勝負を決めるべく一気に突っ込むバジュラだが。

 

「ふざけんな。負けられねぇのは……俺も、そして相棒も一緒なんだよおおおおッ!!!」

「!!!」

 

相棒、自分の最も信頼するキースピリットであるスーパーディラノスをそう呼び、スーパーディラノスもまた主人であるドレイクの言葉に眼光を再び輝かせ。

 

「フラッシュタイミング! マジック、ダイノパワー!」

「!!」

「スーパーディラノスのBPを+3000、これでこっちもBP40000だぁッ!!」

「ッ!!?」

 

拳を突き出すバジュラだが、スーパーディラノスは即座に立ち上がると振るわれたその拳を受け止め、お返しと言わんばかりに空いた片腕でバジュラの腹部を殴りつける。

 

『ぐァッ!?』

 

強烈な一撃に怯みながらも、それでも倒れず踏みとどまって見せる。

 

『やるじゃねぇか、そう来ねぇとなッ!!』

 

申し分のない相手だと笑うバジュラ、スーパーディラノスもまたバジュラを好敵手と認めるかのように喜ぶ声を上げる。

 

「ドレイク、お前やっぱ最高に強ぇッ! だからこそ、俺はお前に勝ちたいんだ!!」

「つべこべ言わずに掛かって来いッ!!」

 

ドレイクの叫びと共にスーパーディラノスは吠え上がる。

 

「相棒もそう言ってるぜッ!!」

「勿論そのつもりだッ!! バジュラ、全力でぶつかってけッ!!」

 

『言われるまでもねぇ、こちとら端から全力だァッ!!!』

 

吠えるバジュラとスーパーディラノス。互いに突っ込んで文字通り激突する二体、ぶつかり合い、互いに弾かれながらも直ぐに拳を構え両者一気に構えた拳を相手へと叩き付けて行く。

 

「バジュラァッ!!」

「スーパーディラノスッ!!」

 

””グルアアアアアアアアァァァァァァ────ッ!!!!!””

 

二体の龍の咆哮が轟き、互いの繰り出す拳のラッシュ、まるで銃弾が飛び交うかのような乾いた音をフィールド一帯に響かせる。

 

『シャァッ!!』

 

真っ向からの殴り合い、もはや防御も回避もなくただ純粋に己の力をぶつけ合い、殴られては殴り返し、お互い痛みを感じるよりも先に次の拳を繰り出して行く。

 

『ハハハッ、ホント楽しいぜ。特に最高のバトルってのは怒りも何もかも余計なこと全部忘れるぐらいにな!!』

 

スーパーディラノスに殴り飛ばされながらも、お返しに膝蹴りを腹部に叩き込み、互いに譲らず一進一退の攻防、否、一進のみの攻め合い。

 

「……最高の、バトルか」

 

バジュラの言葉に何かを感じたのか、ドレイクから零れる一言。振り返ればバトルが楽しいなんて感じる事ずっと有り得ないと思っていた。だが、それでも今は認めるしかない、今この瞬間この時のバトルに、自分の心が最高に熱く燃えていた。

 

「認めるぜ。テメェと同じ俺もバトル馬鹿だよ、だからこそ!! 最後まで相棒を信じてる!!」

「馬鹿は余計だっつの!」

 

ドレイクの言葉に軽く文句を言いながらも、口元を緩ませ。

 

「まぁけど勝つのは俺だぜ! 俺も最後まで、バジュラを信じてるからな!!」

「だったら、決着を付けるか!」

「あぁ!!」

 

なおも苛烈に過激により攻撃を増して行くバジュラとスーパーディラノス、次に互いに渾身の力を込めて拳を突き出すが、両者の拳がぶつかり完全に拮抗する力に両者弾れるように後方へと下がる。

既にお互いとっくに倒れてもおかしくない程に息は途切れる寸前、幾度も拳を打ち込まれたその体は限界に近い。しかしそれでも戦いを求める本能は決して尽きる事は無い。何故ならば今フィールドにいるはただ勝利を求める二体の獣、そしてその勝利は唯、己の為だけはない。

 

「バジュラ!」

「スーパーディラノス!」

「「決めろォッ!!!」」

 

互いの相棒の言葉にバジュラもスーパーディラノスも雄叫びを上げて突っ込むと、互いの相手に向けて拳をそれぞれ突き出して。

 

 

 

 

"ドォオンッ!"と激しい衝撃が鳴り響く、そしてフィールドでは互いに繰り出した拳がお互いの顔面を捕え、最後にスーパーディノスとバジュラは笑ったかと思うと、その場に倒れ互いに大爆発を起こす。

 

「決められなかった、か」

 

そう静かに言葉を落とす烈我。しかし悔しさはあれどそれ以上に今のこのバトルを楽しむ気持ちの方が遥かに勝っていた。

 

「……やるな、ドレイク! けど勝負はまだまだこれからだぜ!!」

「それは俺の台詞だ、精々最後の最後まで気を抜くんじゃねえぞ!!」

「上等! 最後の瞬間まで、俺達は全力だッ!!」

 

 

 

 

────第17ターン、ドレイクside。

 

[Reserve]17個。

[Hand]1枚。

[Field]創界神アヌビスLv.2、創界神スサノオLv.1

 

既に前のターンでドレイクの手札は0、スピリットも無く無防備な状態。だがもう諦めるつもり等は毛頭ない、ターンを迎え新たなカードをドローし、引いたカードを一瞥。

 

「メインステップは何もしない、俺はこのままターン終了だ」

「!!」

「勘違いするなよ、俺の手はまだ尽きちゃいねえ。簡単に次で決められると思うな」

 

ブラフか、それとも本当にまだ奥の手があるのか。それを知る術はないがそれでも油断出来ない事だけは確実に言える。

 

 

 

 

────第18ターン、烈我side。

 

一方で現状烈我の場には攻撃が可能なのはリグヴェーダのみ。手元のスターブレイドラを展開して攻める事は可能だがドレイクの場にはアヌビスとスサノオがなお健在。

【神技】を使用するコアを充分な上、その効果を発揮すれば簡単に蹴散らされるだろう。ならば当然やる事は決まっている。今打つ手がなければ、次の手を引くだけだ。

 

「俺のターン……!」

「!」

 

引いたカードに烈我は目の色を変え、その様子にドレイクも見逃さないように捉える。

 

[Reserve]16個。

[Hand]2枚。(手元)スターブレイドラ×2

[Field]聖蓮神剣リグヴェーダLv.1(1)BP5000、創界神アポローンLv.1

 

「決めるぜ! マジック、烈光閃刃!」

「何!?」

「トラッシュにある赤のスピリット、つまりバジュラブレイズを俺の手札に、戻って来い! バジュラ!!」

 

再び烈我の手札へと舞い戻るバジュラのカード、それが烈我の手に収まった瞬間、実体化するようにSDサイズで飛び出す。

 

『ハハハッ! また俺の出番か!! いいぜ、あのまま破壊されっぱなしなら怒りが晴らせねえ所だったからよォッ!』

「最後まで頼りにしてるぜ、バジュラ!」

『任せな!! 派手なクライマックス、ぶちかますぜ!!』

「あぁ派手に行こうぜ! 俺はバジュラブレイズを再びLv.3で召喚ッ!!」

 

カードを場に呼び出すとSDサイズから本来の姿へと切り替わり、荒々しい雄叫びを上げながら再びフィールドへと帰還する。

 

「リグヴェーダをバジュラに再度合体ッ! アタックステップだ!!」

 

バジュラのカードに手を置いて、そして力を込めて叫ぶ。

 

「バジュラでアタック!!」

『行くぜ行くぜ行くぜェッ!!!』

 

剣を握り締めて一気にドレイクへ向かって駆け出すバジュラ。

 

「まだ終わらせねえ!! フラッシュタイミング、マジック、双光気弾!!」

「!?」

「リグヴェーダを破壊する!!」

 

迫るバジュラへカウンターの如く放たれる二つの火球。

 

『チィッ!!』

 

回避が間に合わず咄嗟にリグヴェーダを盾に火球を受け止めるが、双光気弾の威力にリグヴェーダは耐えきれずその刀身が砕け消滅してしまう。

 

「これでバジュラのシンボルは一つ、俺のライフは削り切れねえぞ!」

「!」

 

ここに来てさらにマジックによるカウンター、烈我と同じく負けられないと強く願いを込めるように抵抗して見せるドレイク。

 

「……本当最高だぜドレイク、やっぱりお前は強い! けど!!」

 

手札に持つ最後の1枚、烈我はそのカードを強く握り。

 

「最高のバトル、そしてこの勝利を譲る気はねぇッ!! フラッシュタイミング!!」

「!!!」

「マジック、白晶防壁(Rv)!!」

「なッ!!!?」

「バジュラを回復!! この勝負、貰ったああああああッ!!!」

 

今のドレイクと烈我、両者の力はほぼ互角と言って良かった。それでも、最後の最後に一手、ドレイクを超えた瞬間だった。

そしてバジュラの拳がそのまま展開されるライフのバリアへと突き刺さり、バリアによる障壁を粉々に粉砕する。

 

「があッ!!」

 

ライフが砕け、その場に片膝を付きながらもまだ戦意を失わないように烈我達を目に焼き付ける。

 

「……俺の、負けか」

「……本当に最高のバトルだったぜ、ドレイク。俺、お前とバトルできて本当に良かったと思う」

「甘ちゃんが。俺等は敵同士って事忘れてねえだろうな?」

「もしそうだとしても、俺はまたお前みたいな強いヤツとバトルしたいって思う。敵とかそんなの、もうどうだっていいじゃんか」

「ハァ!?」

 

自分達の立場でさえどうでもいい、と言ってのける烈我に思わず呆れるような声が出るが、それでも本心で言っているであろうその言葉にドレイクは少しだけ笑うと。

 

「……ハッ、本物の馬鹿だぜお前は、笑っちまうぐらいな」

『違いねえぜ、俺だってそう思う』

 

「お前ら……!!」

 

憎まれ口を叩くドレイクにバジュラまでも意気投合し始め、苛立つように睨む烈我だが、ドレイクはまた笑って口を開くと。

 

「馬鹿は馬鹿でも、大した馬鹿だよ。お前は」

「え?」

「いいからさっさと来い。最後のライフ、奪って見せろ!」

「!……あぁ、分かってる!」

 

発破を掛ける一言に烈我はバジュラを名を呼び。

 

「バジュラで、ラストアタックだ!!」

「ライフで受ける!!」

 

両拳に炎を纏わせると、そのまま展開されていく最後のライフにバジュラは一切の手加減なく、ありったけの全力を両拳に込め。

 

『楽しい勝負だったぜ! 柄じゃねえが礼は言ってやる!!』

「フン、いいから来い!!」

『あぁ、受け取れ。これがクライマックスって奴だァッ!!』

 

最後の一撃を下す様にバジュラは吼え立てながら炎を纏わせた両拳をライフへと打ち付け、激しい衝撃と稲光を起こしながらライフに亀裂が走り、そして最後のライフが跡形もなく砕け散り、バトルに決着をつける。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「俺の勝ちだ! いいバトルだったぜ、ドレイク」

「……抜かせ。次に勝つのは俺、だ」

 

バトルを終え、元の場所へと帰還する二人。バトルの勝利に歓喜する烈我に対してドレイクは悔しさはあれど、全力を出し尽くしてのバトルに後悔はなくどこか晴れやかな様子で次のバトルでのリベンジを口にし、その言葉に笑って返事を返そうとする烈我、だが。

 

「望む、所だ。いつでも、受けて……!」

 

「烈我!!」

「ドレイク!」

 

体がフラつき、ドレイクも倒れるように体を傾かせ、その様子に光黄とミコは咄嗟に倒れる二人を支えるように受け止める。

 

「烈我! 大丈夫か!?」

「俺は平気……それよりドレイクは?」

 

気掛かりな様にドレイクの方へ視線を向け。

 

 

「ドレイク! ドレイク!!」

「……うるせぇ。一々騒ぐな」

「ドレイク!!」

 

無事を悟ると安心と嬉しさからかドレイクを抱きしめるミコ。

 

「オイ、ミコ! お前……ッ!」

 

離せと文句を訴えようとするドレイクだったが、彼女の表情を見た瞬間、思わず言い掛けた言葉を飲み込む。彼の目に映ったのは、自分を抱き締めながら涙を流すミコの姿があった。

 

「ドレイク! 妾は、妾は……!」

「……本当にお前は、何で一々俺なんかを気に掛けんだよ」

「……それは」

「ったく、俺なんか放っておいてくれりゃよかったんだ。寧ろ、そうしてくれた方が俺は楽になれたんだ」

 

溜息を吐きながら言葉を落とすドレイクだが、そんな彼の言葉にミコは涙を拭うと、少しだけ可笑しそうに笑う。

 

「ドレイク、放っておけなんて多分無理じゃよ」

「?」

「だって、お主の方こそ妾の事をずっと気にかけてくれてたんじゃろ?」

「なッ! 俺は……!!」

「……いいや、今だから言えるよ。お主は誰かを見捨てる程、自分で言うような非情な人間じゃない。優しいお主じゃからこそ、妾もドレイクの事が放っておけなかったのじゃ」

「……やめろ、そんなんじゃねぇよ!」

 

ミコの言葉に羞恥心を感じているのか、顔を少し赤く染めつつも何を言っても彼女に押し負けると思い、わざとらしく視線を外すドレイクだが。

 

「なぁ、ミコ」

「うん?」

「…………悪かった。今までお前を突き離そうとして」

「!」

「それともう一つ……ありがとな」

「!!」

「ッ! こっち見んな! 言っとくがこんな恥ずかしい台詞一回きりだからな!!」

 

先程以上により顔を赤くするドレイク、そんな彼の様子にミコは愛おしく思う様に素直に「妾こそありがとう」と精一杯の感謝を伝える。

 

「……フン、俺が言いたかったのはそれだけだよ」

 

照れ臭さを感じるようになお顔を赤くするドレイク、そんなやり取りに烈我達は。

 

「はは、何だかんだあいつ等も仲が良いんだな」

「そうみたい、だな」

 

『くぅッ!! ミコ様のような可愛い人と……うらやま──いえ、私には光黄様が!』

「煩い、お前は引っ込んでろ」

 

『そうだそうだ、すっこんでろ色欲魔が!』

『ハァ!? 色恋の一つも知らない無知恐竜は黙りやがれです!』

『んだとォ、やるかコラ?』

『いいですよ? その代わり手加減しませんからね!!』

 

光黄に便乗するようにライトに対し突っかかり、またいつものようにバジュラと口論を繰り広げるライト、その様子に烈我は苦笑いし、光黄も「またか」と呆れるように溜息を零す。しかし本当の所、ライトと同じ様にミコとドレイクの仲に少しだけ羨ましいと思っているのは彼女のだけの秘密であり。

 

「オイ、何時まで見てる」

「!」

 

一方でそんな烈我達の様子に、ドレイクは声を荒げ。

 

「お前等ボスを止めに来たんだろ? だったら、とっとと行け!」

「妾達ならもう大丈夫じゃ、構わず行ってくれ! お主達ならルディアも超えられると信じておるのじゃ!!」

 

「……分かった。烈我、行くぞ」

「あぁ。必ず、ルディアを倒す!!」

 

 

ミコ達の言葉に烈我と光黄は頷き、そして二人は前を向き、ルディアが待つ最奥間へと駆け出して行き、そんな二人の後ろ姿を見送りながら。

 

「ドレイク……あやつ等ならきっと、ボスに勝てるじゃろ」

「……そうでなきゃ困る。野郎がボスをぶっ倒して、その次アイツに勝つのは……俺だからよ」

「うん、それでこそ! ドレイクなのじゃ!!」

 

色々言い合いながらもミコとドレイクも烈我達に勝てとエールを送る気持ちは同じだった。そんな彼らの想いを託されながら、二人はルディアの元へと足を進め。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「やれやれ、帝騎の皆、連絡がつかない。皆負けちゃったみたいだね、ドレイク……唯一彼にだけ期待してんだけど」

 

最奥間にて待つ玉座に腰掛けるルディア、手に持つ通信機を御手玉の様に投げてはキャッチを繰り返し残念そうに語り、罪狩猟団、その組織の幹部である帝騎の全員が敗北したという事実にガッカリするように肩を落とす。

 

だが、その声は悲観にくれたもの等では決してない。

 

幹部全員が敗退したという事実に対して、まるで子供が愚痴零しているのかのような口調でその実、言葉とは裏腹に依然平然とした余裕がこの状況に置いても、ルディアには感じ取れた。

 

「はは、まぁ使い物にならないならそれはそれでいいよね」

 

無邪気な笑顔を浮かべ、彼は続ける。

 

「どうせ全部壊すにしても、ガラクタ揃いの方が何も躊躇はしなくていいからね。ねぇ、フリー」

『はい、ルディア様』

 

フリーと呼ぶルディアに対して返事を返す声、そして姿を見せるは己の身が凍る程の凍て付く冷気を纏いし七罪竜の一体。そしてルディアが先程投げた通信機がフリーの真横を横切った瞬間、その冷気を当てられ、通信機は一瞬にして凍り付き、地面へ落ちた瞬間、ガラスが割れる様な音を立てながら、凍り付いたそれがバラバラに砕け散り。

 

『破壊であれお望みならばご命令ください。私はその為だけに動きますので』

「フフフ、本当に君は最高だね。君がいてくれて本当に嬉しいよ」

『お戯れを』

 

無邪気に笑うルディアに対し、無感情に答えるフリー。それに対して「相変わらずつれないねー」と軽く冗談を口にするが。

 

「さて、フリー!」

『はい』

「いよいよ僕が待ち望んでいた事、それが今日やっと、叶いそうなんだ!!」

『…………』

 

ルディアの言う願いとはスピリッツエデンの滅亡、それ以外の何物でもない。歪んだ欲望を抱くがそれでもフリーは顔色一つ変える事は無い。

 

「だからさ、僕の夢に実現の為にも、君の力も存分使わせてもらうよ。嫉妬を司りし七罪竜、その力を全て、ね」

『承知、しました』

 

ただルディアに従う様に首を縦に振るフリーに、ルディアはにこりと笑うとその場から歩き出し。

 

「それじゃあ行こうか、僕の夢を、この世界の滅亡を、今日! 実現させよう!!」

 

 

 

 

 

 




どうもブラストです!!
第32話、ドレイクと烈我のバトル、後半戦ようやくかけました!!!

目玉は何と言っても、最後のハイドカードであるバーニングドラゴン!!!
その全容をチェック&チェック!!!


・獄炎龍バーニングドラゴン/9(4)赤、スピリット/古龍・獄龍
Lv.1(1)BP9000、Lv.2(4)BP10000、Lv.3(5)BP15000。
Lv.1、Lv.2、Lv.3『このスピリットの破壊時』
このスピリットが破壊された時、このスピリットのBP以下の相手のスピリット1体を破壊する。
Lv.2、Lv.3『自分のアタックステップ時』
[獄炎龍バーニングドラゴン]以外のスピリット、マジック、ネクサス、ブレイヴの効果で自分のスピリットのBPが上がった時、自分の赤のスピリット全てのBPを+3000する。
Lv.3
BP10000以上のスピリット全てに赤のシンボル一つを追加する。


以上がバーニングドラゴンのスペック全容になります!
赤のパワーに特化した効果、今回バーニングドラゴンを賭けたのでこれで一応すべてのハイドカードを出し尽くせました!!

第一作目で始めて書いたオリカ、それを再び登場させれて感慨深いものを感じております!( ;∀;)


そして注目のバトルはドレイクと烈我。遂に決着。
今回のバトルは一言で言ってパワーですね。パワーに全振りしすぎた感はありますが楽しかったと言っときます!(←反省の色なし

今回の話、前々から書きたいものを詰め込んでおりますのでご容赦を。
ドレイクさんもウチの作品で好きなキャラなので、今回無事彼なりに安息を掛けて本当に良かった(泣)



そして次回次回次回、ついに!! 新たな七罪竜の影が!!
サブタイトルは『嫉妬の氷龍』

次回から新章になります!気力120パー戦で書き上げますので、どうぞ次回! よろしくお願いします!!
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