バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第34話【氷炎乱舞! フリーミラルドvsバジュラブレイズ】

「光黄!! 光黄!!」

「ぐぅ……ッ!」

 

倒れる彼女を抱えながら呼び掛けるがバトルによるダメージは大きく、表情が苦痛に未だ歪む。

 

「随分手荒な真似になっちゃって申し訳なく思うよ。まぁでも君等も覚悟の上でしょ。こういう目に合うのだって」

「お前ッ!!」

 

ルディアの言動に真っ先に睨み付ける烈我、だがそんな烈我の視線に対しても涼しげな表情で笑って返す。

 

「とにかくこれで色欲のライトボルディグスはいただいた。後は君達の持つバジュラ、キラー、エヴォル、シュオンをいただければそれで全てが揃う」

「全て……?」

 

笑いながら口にするルディアだが、その言葉に妙に引っ掛かり。

 

「七罪竜は全部で七体なんだろ? 仮に俺達の七罪竜を全部手に入れたして、それでも揃ってねぇだろ」

「……いいや、君達は誤解してるよ。七罪竜とは何かをね」

「何?」

「教えてあげるよ、七罪竜、その正体を」

 

当然烈我や光黄達には知る由もない事、烈我達の反応を見ながらルディアは得意げに話し始めて見せる。

 

「憤怒、色欲、傲慢、怠惰、暴食、そして嫉妬。七罪に数えられし罪、でもその罪は全て欲望の感情が元になっていると気付いていたかい?」

「欲望の感情?」

 

ルディアの言葉を直ぐには理解できない様にオウム返しに聞き返す。

 

「順を追って説明してあげるよ。七罪の罪はつまる所全て人が持つ欲望を根源としてる。例えば憤怒なら、その怒りをぶつける相手を。色欲は愛し愛される対象、傲慢なら自分自身を認めてくれる存在、怠惰の場合は己が休む為の環境、もしくは適応力といった具合かな」

「じゃあ暴食と嫉妬は?」

「言わずもがな、暴食なら自分を満たす物を喰らう為、そして嫉妬は他者から自分にない物を求めるが故。どれも立派な欲望さ」

「(欲望……! 確かシュオンも)」

 

以前シュオンも似たような事を言っていた覚えがある。初めてシュオンが絵瑠の前に姿を見せた時、絵瑠に言った。感情が入り混じった強い欲望を持つと。当時その言葉の意味は正直よく理解できてはいなかったが、シュオンは確かに他人の欲望を求め、今のルディアの言葉に妙に共通点がある様な気がしてならなかった。

 

「……罪が欲望を感情を元にしてるとして、それが何だってんだ?」

「まだ気づかないかい?」

「?」

 

不敵に口角を上げて、もう一度笑いながら。

 

「七罪は欲望を根源にしてると仮定し、そして最後に残る罪は?」

「最後の罪……?」

「そう。答えは、強欲だよ」

「!!」

「強欲とはまさに欲望そのもの。罪が何かを求める欲望を起因としているのなら、強欲は言うなれば欲望の根源。つまりオリジナルって事になる」

「つまり、どういう?」

「慌てないで、ここからが大事な話」

 

数秒溜める様に間を置きながら、彼は言う。

 

「七罪竜に語り継がれた伝説、その本質は七体の竜を指してじゃない。ある絶対的な一体を指している。他の六体はそれを目覚めさせられる事が出来る存在という訳さ」

「つまり、それが……!」

「あぁ。最後の罪にして最強の罪。それが強欲なのさ」

 

『ちょっと待て』

「!」

 

淡々と語るルディアだが、それが聞き捨てならなかったようにバジュラが口を挟む。

 

『最強の罪、キラーが聞いたら噛み付く話題だがそれは今いい。俺が聞きたいのはどうして、そんな事をテメェが知ってるか、だ」

 

初めて烈我と会った頃にも言っていたがバジュラには過去の記憶がない。それはライトやキラー達も同様であり、ましてやバジュラ達にはルディアが言うような存在だという自覚などある筈もない。

だとすれば、何故自分達には知る由もない事をルディアが知っているのか、バジュラにとってはそれが解せなかった。

 

「フリーも同じ意見だったね、自分に過去の記憶はないと。だから僕は七罪竜に関して過去の文献を散々調べたよ。ヘルさんと一緒にいた頃は勿論、罪狩猟団の組織のネットワークを総動員して七罪竜に関しての情報収集は事欠かなかった。そしてようやく僕は強欲の存在にまで辿り着けたという訳さ」

『つまりだ。要するに俺達はその強欲とやらの当て馬だと、そう言いてえ訳か?』

「さあ、どう受け取るかはご自由に」

『ハッ、ムカつく野郎だ。腹が立って仕方ねえ。テメェはこんな奴について行く気なのかよ、嫉妬野郎』

 

ルディアに対して腹正しさを感じつつ、その隣にいるフリーに対してもバジュラは怒りの視線を向け、対してフリーは。

 

『……別に。私は此方に着いて行くと決めた。ただそれだけです』

 

怒りを向けるバジュラの言葉に物怖じる訳でも声を荒らげる訳でもなく、ただ静かに冷ややかな表情のまま返答を返す。

 

『ケッ、氷竜とはよく言ったもんだぜ。随分と冷めた野郎だ。嫌、ライトの奴曰く女だったか? ともかくテメェみたいなのが本当に嫉妬か?』

『……』

 

これまで七罪竜達はそれぞれ自分の罪に準じた性格であり、バジュラやライト、キラーがそれにいい例であろう。だが先程からの会話から見てもフリーは罪に準じた性格とはあまり言い難い。

 

『言われずとも自覚しております。私自身にあまり人並みの感情はありません。それでも、私は確かに嫉妬の一体だと自負はあります。嫉妬を持つ私だからこそ、この人を私のマスターとして選んだのですから』

『あぁ? 何言ってやがるテメェ?』

『……』

 

ルディアに一瞬視線を向けてすぐにまたバジュラに視線を戻しながら、フリーは続ける。

 

『お恥ずかしい話ですが私自身にとってあまり人の感情は分かりません。怒りも悲しみも楽しいと思う事も知らない、私にとって感情は儚い物。ですが、ルディアだけは違います。何年も何年も執着する事の出来る強い嫉妬の感情、私が持ちえないその嫉妬の感情を誰よりも強く持つこの方だからこそ、私はこの方の、望みであれば道具でも何でもなる事を選びました』

『そうまでして、此奴に従う価値あると?』

『はい。私は唯見届けたいだけです。この者の持つ嫉妬の感情がどこまで募るのか、そしてその感情にどんな結末があるのか……それを最後まで見届けたいだけです』

『ッ!!』

 

「ハハハ、フリー、ホント君も中々忠義者だよね。僕の願いがこの世界の滅亡だと、それを理解してもなお彼女は僕に従う事を選んでくれたんだ」

「何でだ!! この世界が滅んだら、そいつだけじゃない。お前だってどうなるか! それなのに何で!!」

 

『私等どうなっても構いません。それに今の私は、ルディアにとってただの道具ですので』

「!!」

 

バジュラだけでなく烈我達もまたフリーからルディアに近い程の狂気性を垣間見えたような気がしてならなかった。

 

「フリーはあくまでも僕に協力してくれてるに過ぎない。君がどう思ってどう意見するのは勝手だけど、何を言った所で僕もフリーも今更決意は変わらないよ」

「そんな……!」

「君が僕を止めたいのならこの世界のルールに乗っ取るしかない。つまり、早い話、僕に勝って見せればいい。それだけさ」

「くっ!」

 

先程光黄とのバトルを終えたばかりだと言うのに、まるで疲れを感じない様に平然とデッキを構えて見せるルディア。その表情はにこやかな笑顔を浮かべているが、その反面見た目以上に伝わるプレッシャーに思わず烈我も一歩後退るが。

 

「ッ!! 上等──ッ!」

 

後退りながらも気圧されず果敢にルディアに立ち向かおうとするが。

 

「ま……待、て!」

「光黄!?」

 

だが、彼が飛び出す前に咄嗟に光黄は烈我の袖を掴んで引き留める。

 

「れ、烈我……!」

「光黄! 無理すんなって! 後は俺が!」

「……こ、これ、を……!」

 

力なく震える手で烈我の前に差し出したのは、一枚のカード。

 

「!」

「烈、我……頼む。俺の、代わりに……ライトを……助けて!」

 

意識を保つ事すら今の彼女には精一杯であるにもかかわらず、それでも途切れそうな声を振り絞りながら烈我へと伝える光黄。その彼女の想いに対し、烈我は言葉を飲み込み、ただ黙って首を縦に振る。

 

「……ごめん、烈我。後は……頼、む……。」

 

想いを託したと同時に事切れた様に彼女は意識を失い、差し出した手は力なく下がるが、手が地面に着く前に烈我はその手を握り締める。

 

「光黄、ありがとう。必ず勝つ! だから、少しの間ここで休んでくれ。ムカつく奴だけど、ライトは必ず助ける。そんでもって、ルディアの奴も俺が必ず倒す!!」

 

「約束する」と誓いの言葉を告げながら、そっと彼女をその場に寝かせると彼女の想いを受け取る様に託されたカードを持って、ルディアの前へと立つ。

 

「フフッ、準備は整ったかい?」

「あぁ。お前を倒す!! その為の準備も覚悟も、全部整ったよ!」

「それは楽しみ。それじゃあ、始めようか?」

 

にこやかな笑顔でバトルフィールドへの転送装置を取り出し、そしてバジュラとフリーはそれぞれ烈我とルディアの二人に寄り添い。

 

 

「バジュラ!!」

『おぉよ!! 勝ってこんなクソッたれな組織をぶっ潰してやろうぜ!』

 

「フリー!」

『はい、仰せのままに。私のマスター』

 

バジュラとフリーはそれぞれカードへと変化すると、烈我はバジュラと光黄から受け取ったカードを、ルディアはフリーのカードをデッキに加え、そして手に持ったデバイスを互いの中央へと投げ込むとバトルフィールドを展開するように二人の周囲を光が包んで行く。

 

「さぁ、行くよ? これが世界を賭けた大勝負だ!」

「「ゲートオープン! 界放ッ!!」」

 

宣言と共にバトルフィールドへと誘われるルディアと烈我、今まさに世界の存亡を賭けた勝負の火蓋が切られた瞬間である。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

先行第一ターン、ルディアは何もせずにターンエンド。

続く第二ターン、烈我は煌星の第五使徒テティスを召喚し、アタック。効果で1枚ドローしてルディアのライフを砕いてターン終了。ここまでは烈我がややリード、そして続くはルディアのターン。

 

 

────第3ターン、ルディアside。

 

[Reserve]6個。

[Hand]6枚。

 

「僕のターン。クリシュナーガサトラェを召喚! 召喚時効果で相手手札3枚につきボイドからコアを1つをリザーブに追加。よってコアブースト」

 

現在烈我の手札は5枚。よってコア1つがリザーブへと追加されていく。

 

「バーストセット。さて、僕はこれでターンエンドだ」

 

 

 

 

────第4ターン、烈我side。

 

[Hand]6枚。

[Reserve]5個。

[Field]煌星の第五使徒テティスLv.1(1)BP3000。

 

「俺のターン。スターブレイドラ召喚! さらに創界神アポローンを配置、配置時効果で神託!」

 

フィールドにスターブレイドラ、後方にアポローンの幻影が出現し、アポローンの神託により破棄されるは「滅神星龍ダークヴルムノヴァ」、「魔界幻龍ジークフリードネクロ」、「スピキュールドラゴン」の3枚。全てアポローンの神託条件に該当するカードの為、計3コアがアポローンに追加されていく。

 

 

「(白属性相手なら、防御を整える前に追い込むッ!!)」

「(あの表情……早くも仕掛けるつもりかな?)」

 

互いに戦略の読み合い、そしてルディアの思考を裏付けるように先に構えたのは烈我であり。

 

「テティスを煌臨ッ! 来い! 太陽神星龍アポロヴルム!!」

 

炎がテティスの体を包み込むと、小さなテティスの体は巨大に、そして雄々しく、アポローンと現身である太陽神星龍へとその身を進化させていく。

 

「行くぜ! アタックステップッ! アポロヴルムでアタック! 自身のアタック時効果で【界放】! アポローンのコア2個を置く事でアポロヴルムは回復だ!」

 

アポローンは腕を掲げて自分自身のコアを化神であるアポローンへと託すと、コアを受け取り、効果による回復と共にそのレベルも上がり、アポロヴルムはより一層猛々しく咆哮を張り上げる。

 

「まだアポロヴルムの効果は続くぜ! このスピリットは相手の最もBPの高いスピリットを破壊する!」

「!」

「Lv.1のクリシュナーガサトラェに重装甲はない! 遠慮なく破壊させてもらうぜッ!!」

 

アポロヴルムは構えるように体に力を込めて行くと、そのまま一気に解き放つように火炎放射を放ち、炎はサトラェを一瞬で飲み込み、炎の中でサトラェは爆発四散するが。

 

「破壊は折込済さ! 相手による破壊でバースト発動!」

「何ッ!?」

「バースト、リカバードコア! 効果により破壊されたクリシュナーガサトラェを僕の手札に戻す」

 

場から焼失した筈のクリシュナーガサトラェが再び手札に戻り、「さらに」の言葉を続けながら、手札に加えたサトラェとは違うカードに手を掛けたかと思うと。

 

「この効果発揮後、僕は「甲竜」、「神話」を持つカードをノーコストで召喚可能。そして僕が呼ぶのは此奴さ」

「!!」

 

手に掛けたカードを表に向け、笑みを向けながらそのカードの名を声高らかに叫ぶ。

 

「白き鋼を持つ神の現身、神撃甲龍ジャガンナート召喚!」

 

突き進むアポロヴルムその真下の地面に亀裂が走り始め、次の瞬間、大地を突き破りアポロヴルムを付き上げながらフィールドへと現れるジャガンナートがその姿を現す。

 

「!!?」

「アポロヴルムのアタックはジャガンナートでブロック!」

 

アポロヴルムは体勢を立て直し再度突っ込み、ジャガンナートその行く手に立ち塞がると、止まることなく両者互いの相手に向かって頭突き。

 

「ジャガンナートのブロック時効果発揮、ターンに一度ボイドからコア2個をこのスピリットに追加できる!」

「……ッ! しまった!!」

 

コアが増えた事でジャガンナートはLv.3。レベルの上昇に伴い、そのBPは今アポロヴルムを僅かに上回り、ジャガンナートはアポロヴルムを突き飛ばし、その首元に噛み付くと牙に冷気を込めて行き、アポロヴルムの身体が徐々に凍り付いていき、完全に凍らされるとジャガンナートは少し身を引き、自身の尻尾をアポロヴルムに叩きつけると、氷像と化したアポロヴルムの身体はバラバラに砕け破壊される。

 

「……ぐっ、ターンエンド」

 

このターン一気に攻め込むチャンスかに思えたが、カウンターにしてやられこれ以上攻撃の手はなく、やむを得ずターンを終えるしかない。

 

 

 

 

────第5ターン、ルディアside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

[Field]神撃甲龍ジャガンナートLv.3(6)BP16000。

 

「さぁ反撃と行こうかな。創界神クリシュナ配置。配置時で神託!」

 

神託により破棄されたのは「リアクティブバリア」、「アルテミックシールド」、「創界神ヴィシュヌ」の3枚、全てクリシュナの神託対象ではないのだが。

 

「フフ、アルテミックシールドの効果。白の効果でトラッシュに置かれたこのカードを手札に戻し、さらにクリシュナにコアを追加!」

「……厄介なマジックが」

「おや? それだけに気を取られてる場合かい? さらに僕はクリシュナーガサトラェを再召喚。召喚時の効果でボイドからコア一つを追加し、コアブースト! 神託対象の召喚によりクリシュナに神託」

 

コアが追加された事で自動的にクリシュナーガサトラェはLv.2、そしてジャガンナートと並んで吠えながら烈我へとそれぞれ構え始める。

 

「アタックステップだ、ジャガンナート! やっちゃって! アタック時効果クリシュナにコア2個を追加!」

 

ジャガンナートの咆哮に呼応するかのようにクリシュナにコアが追加され、そしてクリシュナは腕を翳してジャガンナートへと向ける。

 

「まだアタック時効果は続く。スターブレイドラを手札に戻し、さらに【界放】の効果! クリシュナのコア3個をジャガンナートに移す事で相手の手札3枚につき、ジャガンナートはシンボルを追加する!!」

 

ジャガンナートが進撃を開始した瞬間、その風圧にスターブレイドラは手札へと吹き飛ばされ、それにより烈我の手札は4枚。よってジャガンナートの現在のシンボルは2つとなり、牙を剥き出しに烈我へと飛び掛かかる。

 

「……その効果、待ってたぜ!」

「!」

「マジック! マグネティックフレイムッ! シンボル2つ以上の相手スピリットを破壊! よってジャガンナートを破壊だぜ!」

 

攻撃を繰るその瞬間を待っていたかのように手札を切り、フィールドに出現するのは巨大な紅蓮の炎の塊、それは矢の如くジャガンナートの身体を貫き、炎に焼かれながらジャガンナートは爆発四散。

 

「へぇー、ジャガンナートの効果を狙ってたね」

「……マグネティックフレイムの効果、アポローンのコアをボイドに置く事で手札に戻す」

 

ジャガンナートのシンボルが追加されるのはあくまでもアタック時。だからこそそのタイミングを計っていたのだろう。だがしかしそれでもこの程度ではまだルディアの余裕は崩れず、安堵する事はできない。

 

「まだ来るか……?」

「フフ、いやここは素直にターンエンドするよ」

「……」

 

 

 

────第6ターン、烈我side。

 

[Reserve]9個

[Hand]5枚。

[Field]創界神アポローンLv.1。

 

「(……相手の場にブロッカーは一体だけ。けど、カウンターには要注意だな)」

 

先程の二の舞にはならないよう警戒しながらターンシークエンスを進めて行く。

 

「メインステップ! バーストセットして、スターブレイドラを再召喚。そしてお前の出番だぜ! 此奴の前に絶対はねぇ! 鉄壁の壁だろうが無敵の相手だろうが一撃必中必殺の矢を叩き込めッ! 龍星の射手リュキオース、召喚ッ!!」

 

大地から噴き上げる火柱、真っ赤な炎がフィールドを照らしながら左右に展開されると、その中央を掛ける一匹の獣。否、獣に跨りし白き龍──リュキオース。

 

「リュキオース召喚! 召喚時で【龍射撃】発揮ッ!! BP20000以下の相手スピリットを破壊! クリシュナーガサトラェを破壊だ!」

「!」

 

Lv.2のクリシュナーガサトラェには【重装甲:赤】の効果を持つがリュキオースには関係ない。龍射撃はあらゆる防御全てを突き破る破壊の矢、故に必殺必中。

放たれし炎の一閃は得物の装甲を打ち破り、貫かれたクリシュナーガサトラェは爆散。

 

「あらら、ブロッカーはこれで全滅か」

「まだまだこんなもんじゃねぇッ! アタックステップ、行け! スターブレイドラでアタック!!」

「ライフで受けようかな」

 

勇猛果敢に飛び掛かって行き、展開されたバリアに体当たり。バチバチと火花を散らしながらライフが砕かれる。

 

「フフ、これで終わりかい?」

「ッ! まるで余裕かよ……!」

「いやいや、それなりに効いてるよ。どうする? ご自慢のキースピリットでもアタックさせるかい?」

「……いや、俺はこれでターン終了」

「ふーん、成程。自慢のリュキオースはブロッカーとして残したか)」

 

まだ相手の残りライフは3。リュキオースで攻めた所で決め切れる訳ではない。

 

「(ジャガンナートは倒せたけど、今彼奴のコアはジャガンナートとクリシュナーガサトラェの効果でかなり増やしてる。何か手があるとしたら、迂闊に攻める訳には行かない)」

 

ブラフの可能性もなくはないが、光黄を倒した相手。何かしらの手があると見てまず間違いないだろう。次の相手の攻撃に備える為、リュキオースはブロッカーとして温存し、このターンは終了とした。

 

 

 

 

────第7ターン、ルディアside。

 

[Reserve]16個。

[Hand]5枚。

[Field]創界神クリシュナLv.1。

 

「さてコアは充分。次は此奴の出番かな」

「(来るッ!)」

 

先程から感じていた胸騒ぎが確信へと変わり、ルディアはそんな烈我の様子に構うこと無くその手札の一枚をディスクへと叩きつける。

 

「出ておいで、永久凍土の輝きを持ちし龍! 絶望を指し示すその光を焼き付けろ!! 宝龍アブソドリューガ、Lv.3で召喚!」

 

空より穿つ雷鳴、轟音を轟かせながら落雷が地面へと撃ち込まれるとフィールドに隆起する巨大なクリスタルの結晶。

クリスタルの内部には眠る龍の影が見え、雷鳴響く空に目を覚ます様にその眼を見開き、クリスタルを内部から破壊する様に亀裂を走らせ、次の瞬間、クリスタルを粉々に破壊して外へと飛び出し咆哮を響かせる白銀の龍。

 

かの龍こそ、ハイドカードの一体である宝龍──アブソドリューガ。

 

「やっぱ出てきたか、ハイドカード!!」

「当然。さっきのバトルを見てたなら予測は出来てたでしょ?」

「んな事言われなくても!」

「なら良かった。じゃあ当然対策もできてるよね?」

「!」

 

不敵に笑いながらまるで烈我を試すかのような口振り。その言葉に「当たり前だ!」と返事を返そうとする烈我だが、刹那、再度咆哮を上げるアブソドリューガにその声は掻き消され、耳を劈く様な咆哮をフィールド一体に響き渡る。

 

「!」

「ハハハ、流石ハイドカード。随分血気盛んだよ、けどアタックの前にまずはバーストセットさせてもらうよ」

「(バースト!?)」

 

アブソドリューガだけでなく、伏せられたバーストにも警戒心を抱かずにはいられない。

 

「待たせたね。それじゃあアブソドリューガ、アタックッ!」

 

天を仰いて雄叫びを上げてその場から飛び立つと、狙いを定めて一気に上空から急降下。ダイヤの様に輝くその爪を掲げながら強襲を仕掛けてゆく。

 

「リュキオース! ブロックだ!」

 

烈我の指示に頷くとリュキオースは弓を構え、アブソドリューガ目掛けて矢を射るがアブソドリューガはその爪で放たれた矢を切り落しながら距離を詰め、お返しと言わんばかりに口を開いた電撃を放つと、リュキオースも火炎放射を放って応戦。

激突する炎と電撃に爆発が巻き起こるが、次の瞬間、爆風を引き裂いてリュキオースのすぐ目の前にまで迫ると、リュキオースの身体を切り裂きその場に崩れ落ちながら爆散してしまう。

 

「アブソドリューガがバトルで相手を破壊した時、ライフ一つを回復!」

 

勝利の美酒に酔うように吠え始めると、その声に呼応して再びルディアのライフに光が灯されていく。

 

「折角削ったのに残念だったね。ブロックしたのは失策だったんじゃない?」

「……いや、そうでもねえさッ!」

 

煽るようなルディアの言葉にそう言葉を返して見せると。

 

「相手による自分のスピリット破壊後でバースト発動! ライジングフレイム!! バースト効果! このバースト発動時に破壊されたリュキオースをノーコストで召喚だッ!!」

 

アブソドリューガの目の前から再び天高く噴き上げる火柱。炎の中で煌めくように輝く眼光、そして炎の中から飛び出して舞い戻るようにリュキオースはフィールドへと帰還する。

 

「召喚した事でリュキオースの【龍射撃】発揮ッ!!」

「!」

「破壊されない効果を持つアブソドリューガだろうが関係ねえ!! リュキオース、その必殺の矢で撃ち抜けぇッッッ!!!」

 

炎の中を飛び出すや否や、至近距離で矢をアブソドリューガへと向け、それに対して咄嗟に腕を構え防御姿勢へ移るが構うことは無い。矢に灯る炎が蒼へと変化し、そのまま咆哮と共に炎の矢を撃ち放つと、アブソドリューガの防御を撃ち貫き、アブソドリューガは断末魔と共に大爆発を起こす。

 

「よっしゃあッ!! ハイドカードを倒したぜ!!!」

 

カウンターが炸裂し、相手の強力なスピリットを討ち取り歓喜の声を上げる烈我。だが……。

 

『(オイ烈我ッ! 油断すんじゃねえ!!)』

「えっ!?」

 

頭の中に響くバジュラの声、その言葉の意味を直ぐに知る事となる。

 

「フフッ、そう来ると思ってたよ?」

「何!?」

「こっちも相手よる自分のスピリット破壊後でバースト発動! 幻影氷結晶。効果で破壊されたアブソドリューガを手札に戻す」

「!!?」

「フフフ、甘く見てもらっちゃ困るよ。ハイドカードがこの程度で終わる訳ないからね」

「ッ!!」

「僕はこれでターンエンド」

 

場にスピリットはいない為、このターンを終えるルディアだが次のターンが回れば再びアブソドリューガを再召喚するつもりだろう。

 

 

 

 

────第8ターン、烈我side。

 

[Reserve]5個。

[Field]龍星の射手リュキオースLv.3(4)BP10000、スターブレイドラLv.1(1)BP1000、創界神アポローンLv.1

 

「ドローステップ……!!」

 

引いたカードを見た瞬間、烈我の表情が切り替わる。そしてその理由は勿論明白だった。

 

『ハッハァッ!! 俺を引きやがったな! さあ、早速ぶちかましてやろうぜッ!!!』

 

意気揚々と手に持ったそのカードから飛び出すバジュラ、逸る闘争心を抑えられないように拳を合わせ、急に飛び出すバジュラに少し驚きつつも烈我は直ぐに口角を上げて笑うと。

 

[Hand]4枚。

 

「行くぜ! バジュラ!! 罪を背負いし怒りの竜! 憤怒の炎、烈火で地獄さえも焼き尽くせ! 爆我炎龍バジュラブレイズ、召喚ッ!!」

 

フィールドへ降り注ぐ流星群、まるでステージを作り上げるように周囲の地面を抉り、そしてステージの中央に一際巨大な火球が降り注ぐと、爆発と共に姿を現す巨大な龍の影。そして咆哮を上げて周囲の煙を吹き払うと、七罪竜の一角、バジュラブレイズがその姿を現す。

 

「ついに来たね、バジュラ……!」

 

バジュラの姿、それをルディアもまた待ち望んでいたように口元を緩ませる。

 

『覚悟しな、テメェ等の組織は今日で終わりだ!!』

「覚悟、ねぇ? 君こそできてるのかい? 捕えられる覚悟は?」

『あぁ!?』

 

「乗るなバジュラ!!」

『!』

「彼奴が何を言おうが絶対に勝つ! 俺と、お前で彼奴をぶっ倒す!!」

『ヘッ、言うようになったじゃねぇか烈我。だがそう来ねぇとなッ!!』

 

拳を打ち鳴らしながらルディアを睨み、烈我もバジュラも共にその闘志は全開。

 

「行くぜアタックステップ! バジュラブレイズでアタックッ!」

『覚悟しな、ルディアッ!!!』

 

拳に炎を込めて突っ込んで行くバジュラ、その行く手を遮るものは何もなく、ただ真っ直ぐに突っ込んで行くが。

 

「フラッシュタイミング!」

「『!!』」

「マジック、アルテミックシールド! 効果により、このバトル終了時相手のアタックステップを終わらせる。バジュラのアタックはライフで受けるよ」

 

上空から覆う様に氷の防壁が展開されて初め、バジュラは構う事無く拳をルディアの前に広がるバリアへと打ち付けライフを破壊するが、それ以上の行く手を阻む様に氷の防壁が張られ、バジュラもその防壁から外へ強制的に締め出されてしまう。

 

『ッ!!』

「白のマジック……厄介だぜ」

 

「フフッ、僕の手にこれがあるのは先刻承知のはずでしょ? 悪いけど僕だって負ける気がしないんだよね?」

「!」

「これ以上君達に手はない、ターンエンド……だよね?」

「ッ!! ターン、エンドだ」

「そう、それでいい」

 

これ以上の打つ手はなくバジュラもまた舌打ちをしながらも、ルディアにターンを明け渡す他ない。

 

 

 

 

────第9ターン、ルディアside。

 

[Reserve]17個。

[Hand]4枚。

[Field]創界神クリシュナLv.1

 

「メインステップ。ネクサス、要塞都市ナウマンシティーを配置!」

「そのネクサス……ッ!?」

「効果で手札にある白のスピリットをノーコスト召喚。当然呼び出すのはさっき僕の手札に戻したアブソドリューガ!」

 

フィールドに出現する要塞都市、その出現に連動して地面から飛び出す氷の結晶、そして内側から氷を砕き、アブソドリューガが再び現れる。

 

"ギャオオオオオオオォォォォォ────ッ!!”

 

「これって、光黄の時と同じ……ッ!」

『ケッ、しゃらくせぇ。何が出て来るかと思えば今度は鉄トカゲが相手かよ? いいぜ、ハイドカードが何だか知らねぇがとことん相手してやんよッ!!』

 

オルガウェーブ、バーニングドラゴンと相手にしてきた烈我達、強大な咆哮を張り上げるアブソドリューガだが今更それに気圧される烈我達ではなく、むしろいつでも受けて立つと言わんばかりの姿勢を見せる。だが……。

 

「慌てないで? まだ僕のターンだよ」

『何?』

 

其の言葉と共に突如フィールドを吹き抜ける冷たい風、風が肌に触れた瞬間、背筋が凍るような感覚に見舞われる烈我とバジュラ。

 

「!!」

『(この感覚、奴かッ!!)』

 

「当然察してるよね? 僕も君達と同じ七罪竜所持者、その僕が今から何を呼び出そうとしてるか?」

「……あぁ。来るなら来やがれ!! いつでも受けて立つ!」

「ふふ、それじゃあ行くよ?」

 

烈我の返事を受け取ると、ルディアは笑みを浮かべながらその名を呼ぶ。

 

「嫉妬の咎を背負いし氷龍、妬むその感情の元、世界の全てを終焉の氷河に閉ざせッ! 氷装鏡龍フリーミラルド、Lv.3で召喚ッ!!」

 

そのカードがフィールドへと呼び出された瞬間、フィールド全体を包み込む氷河。辺り一面を一瞬にして白銀に染め上げ、白く染まった氷の大地の中央に立つ強大な龍、自身に纏うその凍て付く冷気は己の身と翼を鎧の如く氷で覆い、そして眼光輝かせるその龍こそ七罪竜の一体、またの名をフリーミラルド。

 

『いつでもご命令を。マスター』

 

フィールドに降り立つとすぐに自身の相手となるバジュラ達を見据えながら、ルディアからの指示が来るその時を待つフリー。

 

『出やがったか、嫉妬の氷龍。出てきて随分寒ぃ奴だ』

「油断すんなよバジュラ。あのフリーって奴に光黄もやられたんだ」

『フン、俺をあの色欲魔と一緒にすんじゃねぇ。あの鉄トカゲだろうが、嫉妬だろうが関係ねぇ。俺の怒りを全部奴等にぶつける! それだけだ!!』

 

『怒り、ですか。それも私にはない感情です……だから見せてください、私の嫉妬と貴方の憤怒、どちらが強い感情か』

「おやおや、何時になくフリーもやる気だね。けどそれはそうと僕のターン続けさせてもらうよ?」

 

「!」

「フリーミラルドの召喚時効果 【氷鏡(アイスミラー)】発揮!」

 

フリーだけが持つ唯一無二の効果、【氷鏡】。吹雪舞う空を仰ぎながらフリーは鳴き声を上げると、振動と共に地面から突き出る三つの氷柱。

 

「ッ!!」

「今君の場にはスターブレイドラ、リュキオース、そしてバジュラブレイズ。合わせてスピリットは3体。よって僕は【氷鏡】の効果によるスピリットを3体召喚できる!」

 

氷柱はそれぞれバジュラ達を映し出すと、それぞれスターブレイドラ、リュキオース、そしてバジュラの姿を形取った分身態のスピリットとして稼働し始める。

 

「一気にスピリットが5体も!?」

「まだまだ、フリーの能力がこれで終わりじゃないのは知ってる筈だよね!」

「!」

 

そう。ルディアの言葉通り、まだフリーには彼女だけが持つその絶対的な能力を有しており。

 

「フリーミラルドの効果、【氷装(アイスアームズ)】発動!」

「くッ!!」

「氷鏡スピリットをアブソドリューガとフリーミラルドへそれぞれ装備させる!」

 

分身態のスピリットの内、一体はアブソドリューガに、残る二体はフリーミラルドへ取り付き、アブソドリューガは硬い鋼の身体をさらに氷が包み込み、そして元々氷鎧を纏うフリーはよりその身を強大に、それぞれ装備を纏い強固な姿へと変貌。

 

「これがフリーの効果。そして【氷装】の効果で装備したスピリットは、装備した【氷鏡】のスピリットの数だけBP+4000」

 

アブソドリューガのBPは16000、そしてフリーミラルドはBP19000。氷鎧を纏いより強大となった力を示すようにアブソドリューガは吠え、フリーは対象的に冷気凍てつく翼を羽ばたかせ、静かに体制を整えていく。

 

「さあアタックステップと行こうか! アブソドリューガでアタック!!」

「ぐッ! ライフだ!!」

「フラッシュで【氷装】の効果、自分のターン中、装備した数だけ回復!」

 

白い光を纏いながらアブソドリューガは回復、と同時にアブソドリューガは上空へ飛び上がると口を大きく開いて荷電粒子砲を撃ち放ち、バリアへと直撃し、爆発と共に一気にライフが破壊される。

 

「ぐあッ!!」

「次だよ。フリーミラルドでアタック! 【氷装】の効果で回復!」

「これもライフだッ!!」

 

フリーは鳴き声を上げると、何もない筈の周囲に突如として形成されている氷の槍、大気中の水分を凍らせそれを目に見える形として作り上げるとその槍を一気に烈我へと撃ち放ち、バリアが展開されるも氷の槍は深々とバリアを貫き破壊する。

 

「うわああああああッ!!」

『烈我ァッ!!』

 

「ハハハハ、まだフリーミラルドのアタックは続いてるよ! フリー、もう一度やっちゃって!」

『承知しました』

 

どこまでも冷徹冷静な程端的に返事を返しながら翼を広げ羽ばたかせると、凍て付く冷気は吹雪となって烈我へと襲いかかり、展開されたバリアは一瞬にして凍りつき、凍ったバリアにフリーは翼を叩きつけて粉々に破壊する。

 

「ぐあああッ!!」

「ライフ差はこれで逆転だね。ターンエンド」

「ッ!」

 

烈我の残るライフは3つ。対してルディアのライフは4と差をつけられ、追い詰められるがそれでもまだ押されっぱなしで終わる訳には行かない。まだ闘志は折れていないようにルディアを強く睨み、自分のターンを迎えていく。

 

 

 

 

────第10ターン、烈我side。

 

[Reserve]8個。

[Hand]4枚。

[Field]爆我炎龍バジュラブレイズLv.1(1)BP7000、龍星の射手リュキオースLv.3(4)BP10000、スターブレイドラLv.1(1)BP1000、創界神アポローンLv.1

 

「メインステップ、ネクサス、オリン円錐山をLv.2で配置して、さらにバジュラをLv.2にアップ!」

 

「フフフ、さて攻めに来るかい?」

「……いや、俺はこれでターンエンドだ」

 

『チッ、このまま何もしねえのか?』

「あぁ。今攻めても状況は悪化するだけだ。まだ耐えるしかねえ」

 

烈我の言葉も最もだ。今のルディアにはブロッカーが2体。その中でフリーのBPはバジュラがLv.3であったとしても超えられない数値。無闇なアタックは得策ではない。

 

『……テメェがそう言うなら待つがあんまり俺ァ気が長くねえぞ』

「分かってる。けど、お前の見せ場のもう少しだけ後だ」

 

「アタックはなし。中々冷静な判断……と、言いたいところだけど」

 

意味深な言葉と共にアブソドリューガは突如眼光を輝かせながら雄叫びを轟かせ。

 

「!」

「アブソドリューガの効果、相手のエンドステップでこのターン相手が一度もアタックしなかった時、2枚ドローできる!」

 

カードを引き、引いたカードを見た瞬間口元を緩ませるルディア、その表情に一瞬烈我も焦りが募るように冷や汗が流れるが、それでも直ぐに気を取り直し冷静さを取り戻すと自分のターンを終える。

 

 

 

 

────第11ターン、ルディアside。

 

[Reserve]17個。

[Hand]5枚。

[Field]氷鏡龍フリーミラルドLv.3(3)BP19000、宝龍アブソドリューガLv.3(5)BP16000、創界神クリシュナLv.1

 

「メインステップはこのまま、続けてアタックステップ!」

「!!」

 

手札を使うこと無く一気にアタックステップへと進めるルディア。新たなスピリットを展開せずとも場には2体とスピリットに氷装の効果も含め、攻め手は充分。

 

「フリーでアタック! フラッシュタイミング、効果によりフリーは回復させるよ!」

「ッ! スターブレイドラ、ブロックを頼む!!」

 

迫り来るフリーにスターブレイドラは一瞬驚くように飛び跳ねるがそれでも烈我の指示へ応える為、行く手を阻もうと立ち向かう。

 

「フラッシュタイミング! マジック、ファイヤーウォール!」

「!……へぇ、そう来るんだ」

「不足コストはバジュラから確保。効果でバトル中のスターブレイドラを破壊し、このターンのバトルを終わらせる!」

 

フリーがスターブレイドラへと襲い掛かる正にその瞬間、スターブレイドラは炎に包まれ、炎は一瞬にして壁の如く大きく燃え広がり、炎の壁を前にフリーは壁の手前で停止し、近付けないと見るやそのまま引き返して行く。

 

「仕方ないね。僕はターンエンド」

 

 

 

 

────第12ターン、烈我side。

 

[Reserve]7個。

[Hand]4枚。

[Field]爆我炎龍バジュラブレイズLv.1(1)BP7000、龍星の射手リュキオースLv.3(4)BP10000、創界神アポローンLv.1、オリン円錐山Lv.2(3)。

 

「行くぜ、オリン円錐山の効果でドローステップで2枚ドロー!」

 

手札を増やしそのカードを一瞥しながらターンシークエンスを進めて行く。

 

「メインステップ! バジュラをLv.3にアップ!」

『しゃぁッ!! 滾って来たぜェッ!!』

 

「来るよ、フリー」

『ハイ、承知しております』

 

吠えるバジュラに対し、フリーとアブソドリューガは翼を広げて体を大きく見せながら威嚇するように咆哮。だが、強大な咆哮を前にしてもそれに気圧されるバジュラ達ではない。

 

「アタックステップ! まずはリュキオース、お前から頼む!」

 

矢を構え炎を込めてゆくリュキオース、獲物を狩る狩人の如くその矢を真っ直ぐ標的へと向けて。

 

「アタック時、リュキオースの【龍射撃】を発揮! BP20000以下の相手スピリット、対象はアブソドリューガ!!」

「!」

「この効果は防げねぇぜ!!」

 

構えた矢を撃ち放つと、その矢は真っ直ぐアブソドリューガへと放たれ炎の矢がアブソドリューガへと直撃し、巻き起こる大爆発。だがその光景にルディアは笑みを浮かべ。

 

「!?」

 

ルディアが笑みを浮かべる理由はすぐに明白なった。爆風が晴れ目の前に映ったのは、氷の鎧が剥がれ落ちながらもその身には傷一つなく爆風から生還するアブソドリューガの姿が。

 

「なっ!? 嘘だろ、龍射撃に耐えた!!?」

「フリーの効果さ。【氷装】で装備したスピリットは、その装備したカードを破棄することで場に残す事ができる。最も装備が無くなった事でアブソドリューガのBPは下がるけど、返り討ちにするには充分なBPだよ!」

「!!」

 

ルディアの言う通りBPは元に戻るが、それでもそのBPはリュキオースを上回る12000。

 

「リュキオースの攻撃はアブソドリューガでブロック!」

 

リュキオースを迎え撃つべくアブソドリューガはその場から駆け出しリュキオースは迎撃しようと連続で矢を放って行くが、最初に撃ち放った程の威力はなく、爪牙を振るって矢を叩き落しながら接近し、鋭い爪をリュキオースへと振りかざす。

 

「まだだ、まだこれで終わりじゃない! フラッシュタイミング! 煌臨ッ!」

「!」

「豪快無頼の破壊皇ッ!! 破壊の矛で全部ぶち砕けッ!! 破壊龍皇ジークフリードルドラ! リュキオースに煌臨ッ!!!」

 

アブソドリューガの振り翳す爪がリュキオースを引き裂くその直前、リュキオースの体に迸る紫電。覚醒するように目を見開くと、その身に備わる黄金の矛と鎧、赤きその身は紫へと変化し、リュキオースはジークフリードルドラへと変貌。

新たな姿へと生まれ変わると、ジークフリードルドラはアブソドリューガの振り下ろす爪を真っ向から受け止め、強靭な腕でガッチリと組み合う。

 

「ジークフリードルドラの効果! 相手スピリットからコア3個ずつをリザーブへ送る!」

 

アブソドリューガと組み合ったままジークフリードルドラは雄叫びを上げ、体に迸る雷を解き放つと、その雷撃は雨の如くアブソドリューガとフリーへと降り注ぐ。

 

『!』

 

雷撃を浴び、コアが3個しかないフリーミラルドは消滅するかに思われるが。

 

「!……フリーが消滅しない!?」

 

雷撃に耐えきって見せたかと思うと、そのまま雷撃を弾き返す。

 

「!」

「【氷装】の効果で装備したスピリットは手札デッキに戻らず、コアも1個以下にならない。残念だったね?」

「……ッ! けど、アブソドリューガとルドラのバトルは継続してるぜ!!」

 

コアが取り除かれレベルが下がった事でアブソドリューガのBPは6000。電撃を浴び体が痺れ動けないアブソドリューガに対し、ルドラは拳をアブソドリューガの体に撃ち込むと、そのままアブソドリューガを後方に吹っ飛ばす。

後方に吹き飛ばされながらも体の痺れが収まり、反撃するようにその場で構え荷電粒子砲を放つが、ルドラは翼を広げて飛び上がり紙一重で粒子砲を避わすと、もう一度雄叫びを上げ、その叫びに呼応するようにルドラへと降り注ぐ落雷。その紫電を浴び、全身に電撃を身に纏うと帯電状態のままアブソドリューガへと突っ込み、雷を帯びた翼をアブソドリューガの顔面に叩きつけ思わず仰け反り、さらに追撃と言わんばかりに振り返りざまにもう一撃、片翼をアブソドリューガの後頭部に打ち付け、地面に体を減り込む程に叩き伏せられ、大爆発を起こして破壊される。

 

「このまま行ける! バジュラでアタック!! アタック時効果で【火力推進(ヒートアップ)】の効果発揮! BP+5000し、さらに手札を一枚破棄することで相手に強制ブロックさせる!!」

『待ちに待ってたぜ! 覚悟しな、氷龍ッ!!』

 

炎を滾らせ、拳を打ち付けながら駆け出しその行く手を阻むべくバジュラの前に立ち塞がると、バジュラは炎を込めた拳を、フリーは氷を纏った翼を互いの相手へと叩き付ける。

 

『フリーつったな? テメェのその自慢の氷ごと俺の炎で燃やし尽くしてやらァッ!!』

『ご冗談を。私の氷はそんなに軟じゃありませんよ?』

『あァ!?』

 

互いの威力は互角、拮抗する力に両者弾かれその場に後退りながらも、フリーは即座に口を開き氷極のブレスを、バジュラは轟炎を放ちぶつかり合う氷と炎。

 

「フラッシュタイミング、頂くよ?」

「!」

「マジック、ディフェンシブオーラ! 効果でブロックしているフリーをBP+6000!!」

「なッ!!?」

 

マジックによるBPの底上げ。これにより再びBP差が逆転すると、フリーの放つブレスはバジュラの炎を押し返し、そのままブレスを浴びバジュラは吹き飛ばされる。

 

『がぁッ!!』

「バジュラッ!!」

 

吹き飛ばされ直ぐに立ち上がろうとするが、体が凍り付きその場から身動きが取れないバジュラ。

 

『ッ!!?』

『詰みです、バジュラ!』

 

両翼を重ねて前へ突き出すと矛の如く氷柱が展開され、そのままバジュラへ止めを刺すべく突っ込むフリー、その攻撃がバジュラを貫く……。

 

「フラッシュタイミング! ラークドライブッ!!」

「!」

「このバトルを強制終了させる!」

 

氷の矛がバジュラを貫くその直前、間一髪矛はバジュラの身へ突き立てられるその直前で止まり、バトルが強制終了となった事でフリーは身を引いていく。

 

『命拾いしましたね、バジュラ』

『ッ!!』

 

拳で氷を砕きながら何とか立ち上がり、忌々しそうにフリーを睨みながらも一度後退して行くバジュラ。

 

『烈我……!』

「……お前の言いたい事は分かってる。次こそは勝つぞ」

『あぁ、分かってるならいい! 俺の怒りはまだこんなもんじゃねぇからな!!』

「あぁ、俺達はこれでターンエンドだ」

 

 

 

 

────第13ターン、ルディアside。

 

[Reserve]17個。

[Hand]5枚。

[Field]氷装鏡龍フリーミラルドLv.1(1)BP15000、創界神クリシュナLv.1

 

「フフフ、アハハハハッハハハ!!」

「!」

「いよいよだ、いよいよこのターンで僕の望みは叶う!!」

 

迎える自分のターン、ついに勝ちを確信するように高らかに笑うルディア。

 

「何年も何年も待ち続けてた。嫌、違う……ようやく終わらせられる。僕の中に眠る恨み、嫉妬……僕の醜い過去全部!!」

「ッ!!」

 

赤裸々に語る自分の想い、長年抱き続けたルディアの欲望、それが後一歩で実現する。それを喜ばずにはいられなかった。歓喜の声を上げながら彼はメインステップを迎えていく。

 

「何もかも終わらせようか!! まずはマジック、ゴッドブレイク!」

「何ッ!?」

「デッキから一枚ドロー、そしてアポローンを破壊!」

 

天空より振り落とされる神の拳、押し潰すかの如くアポローンへと叩き落とされ、抵抗する間もなくアポローンは破壊されてしまう。

 

「続けて行くよ、さらにヴィシュナーガシクシャーとクリシュナーガリグガンナを連続召喚」

 

場に連続して現れる甲竜を持つスピリット、それぞれクリシュナの神託対象である為、クリシュナにコア2個が自動的に追加されていく。

 

「クリシュナーガリグガンナ、召喚時の効果。相手のバーストを破棄し、相手のスピリットをデッキの下へ!」

「ッ!!」

「勿論対象はジークフリードルドラさ!」

 

リグガンナの砲台がルドラへと向けられると、即座に発射し避ける間もなくその直撃を受け、ジークフリードルドラはデッキの下へと送られてしまう。

 

「ルドラッ!」

「煌臨したのは失策だったね。オリン円錐山でバウンス効果から守れるのはあくまで赤のスピリットだけ。リュキオースからジークフリードルドラへ煌臨した事でその色は紫。防ぐ術はない」

「ッ!!」

「これで君にはもう疲労状態のバジュラが一体、どう持ち堪えるのかな?」

 

烈我の場にブロッカーに成り得るスピリットはなくライフは残り2つ。対してルディアの場には三体のスピリット、加えてフリーミラルドは氷装の効果で3度のアタックが可能。正に絶体絶命という他にない。

 

「君も、この世界も、全部この手で終わらせてあげるよ! アタックステップ!!」

「ぐッ!!」

「フリーミラルド、アタック!」

 

『承知しました』

 

命令を受諾すると同時に翼を広げて烈我へと強襲、脚部に氷による矛を作り上げると、その矛で烈我目掛け刺し貫くべく振り翳すが。

 

「フラッシュ! リミテッドバリアッ!!」

「!」

「このターンの間、コスト4以上のアタックじゃ俺のライフは減らない!」

 

展開されるバリアはよフリーの一撃はバリアを貫くまでには至らず、攻撃は弾かれ引き返すようにその場を飛び去るフリー。しかし、まだルディアの攻撃は終わらない。

 

「フリーは効果で回復させる。そしてフリーのメインアタックは通じないけどコスト4以上じゃなければ問題ないよね! シクシャー!!」

 

名を叫ぶと同時に飛び出すヴィシュナーガシクシャー。そのコストは3、リミテッドバリアで防ぐ事は出来ず、マジックによる防壁を擦り抜けて、構えた大槌を振り被る。

 

「この瞬間、クリシュナの【神技】発揮! コア3個をボイドに置く事でアタック中のシクシャーを回復させる!!」

「!」

「正真正銘これで終わりだよ! 天上烈我、君!」

 

残るライフ全てを砕くべく振り被った大槌をバリアへと振り下ろし、重音を響かせながらバリアが破壊される。

 

「があああああッ!!!」

「最後だよ、ヴィシュナーガシクシャーで……ッ!」

 

審判を下す様に止めの一撃を指示しようとするが、その瞬間、ライフが受けた瞬間、手札の一枚が光り輝き始め。

 

「!?」

「まだ、終わらせねぇ……世界も、俺達もお前なんかには! 負けねぇ!!」

 

強気に言い放ちながら、その輝く一枚を握りしめ、

 

「俺のライフ減少時、手札から絶甲氷盾を使用!!」

「何ッ!?」

「効果でこのターン、相手のアタックステップを強制終了させる!」

 

再度大槌を振りかぶるシクシャー、だがその瞬間、マジックにより放たれる吹雪がシクシャーが攻撃を繰り出す直前、吹き荒れる吹雪にシクシャーは吹き飛ばされ、間一髪難を逃れる。

 

「……まだ足搔くんだ」

「当然。ガイトやドレイクも足搔いて足搔いてようやく勝てたんだ! お前にだって最後まで足搔き続けて勝つ!!」

「ならそれでもいいよ、足搔いたって結末は何も変わらない」

 

『ハッ、変わらねぇだとよ、烈我?』

 

ルディアの言葉に対し、鼻で笑って見せるバジュラ。

 

「何?」

「ルディア、一つだけ言っといてやるぜ。勝負が何が起きるか最後まで分からねぇんだ。例えどんな状況でも、俺達は勝つまで諦めねぇ!!!」

「勝つまで、随分気楽だね」

 

これまでずっと笑っていた表情は途端に豹変し、目を開き、冷たい眼差しを烈我へと向けながら。

 

「なら最後まで足搔けばいいさ。足搔いた分だけ絶望は深くなる、それを身を持って知ればいい」

「!!」

 

これまでで一番強く感じるルディアからのプレッシャー、だがそれは間違いなくルディアにとっても本気だという現れに他ならない。

 

「僕はターンエンド。君が勝つか僕が勝つか、次で分かれ目だ」

「あぁ、言われるまでもねぇ!!」

 

ターンは烈我へと移り、烈我にとってはこれがラストターンになるのはまず間違いない。手札はなく、フィールドにはバジュラのみ。対して相手の場には三体のスピリットに加え、フリーのBPはバジュラの最高BPをも上回る数値。

 

逆転が夢に思える程に絶望的な状況。だがそれでも烈我もバジュラもその表情には微塵も絶望を感じさせなかった。

 

 

 

 

────第14ターン、烈我side。

 

[Reserve]16個。

[Hand]2枚。

[Field]爆我炎龍バジュラブレイズLv.1(1)、オリン円錐山Lv.1(0)

 

「さぁラストドロー何を引いたかな?」

「ラストじゃねぇ、まだチャンスはある!」

「ん?」

「マジック、フォースブライトドローを使う! 効果で手札が4枚になる様にドローだ!!」

 

今の烈我の手札は0、よって4枚のカードを引き一気にチャンスを広げていく。

 

「(!)」

 

そして引いたカードに烈我の表情が変わる。そのカードは烈我にとって待ち望んでいたカードに他ならない。

 

「バジュラブレイズをLv.3にアップ、覚悟しろルディア!! これが最後のアタックステップだ!」

「来なよ。ようやくすべてを終えられるんだ。君如きに邪魔はさせない!!」

「ざけんじゃねぇ! 終わるのは、お前の馬鹿げた野望だけだ!! 行くぞ、バジュラ!!」

 

『あぁ早くしろッ! 俺は滾りに滾ってんだよォッ!!』

 

「そう来なくっちゃな!! アタックステップ! バジュラブレイズでアタックッ! アタック時【火力推進】の効果、BP+5000! さらに手札1枚破棄して強制ブロック!」

『シャァ、待ってたぜッ!!』

 

猛る炎を全身に燃え上がらせ、ルディアへと向かって駆け出すバジュラ。

 

「……何かと思えばただのアタック。いや、最後の特効って所かな?」

「……」

「まぁ何でもいいさ。勝つのは僕さ! フリーでブロック、決めて!」

 

『ハイ、承知しました』

『来やがれ、フリーッ!!』

 

再び繰り広げられる氷龍と炎龍の激突。翼を打ち付けようと突っ込むフリーに対し、両腕でその翼を掴み、足を引き摺らせながらも攻撃を受け止めるバジュラ。

 

『喰らいやがれッ!!』

『ッ!』

 

至近距離で火炎放射を放とうとするバジュラに対し、フリーもまた冷気のブレスを放つが、互いの放つブレスが相殺され巻き起こる爆発、直ぐに何事もなかったように二体共爆風から飛び出し、再度互いの相手を睨み。

 

「フリーのBPは19000、バジュラブレイズのBPは【火力推進】の効果を合わせても17000、勝てないよ、それじゃあ!!」

 

拳に炎を込めながら再び突っ込むバジュラに対し、フリーはその場で構え冷気にブレスをもう一度吐き付け、バジュラの炎以上にブレスが強力なのか、バジュラに腕に込めた炎は徐々に小さく、体も少しずつ凍り付き始めていき。

 

『ぐッ!!』

『終わりです、バジュラ』

『…………』

 

もはや気力すら残ってないのか言い返す様子もないバジュラ、このまま凍らされ終ってしまうだろうと、今の状況を見た誰もが思う筈だ。

 

 

ただ一匹と、一人を除いて。

 

 

「まだだ、まだ俺達の足搔きは終わってねぇ!!!」

「無駄な足搔きでもするつもりかい?」

「うるせぇ、無駄じゃねぇ。光黄が託してくれたカード、今こそ使うぜ! マジック! シーズグローリーッ!!」

「!!?」

「効果で相手スピリットをBP-7000、対象はヴィシュナーガシクシャー!」

 

突然の雷雲と共に、降り注ぐ落雷。その雷はヴィシュナーガシクシャーへと降り落とされ、雷撃を浴びてヴィシュナーガシクシャーは破壊される。

 

「今更シクシャーを破壊して何のつもりだい? やっぱり無駄な足搔きだったのかな! フリー!!!」

『ハイ、直ちに!』

 

止めを指せと言わんばかりに声を荒げ、フリーもまたその意図を汲み、バジュラを討つべく先程より冷気のブレスの威力を引き上げるが、瞬間、先程迄雷雲だった筈の空から差し込む光。その光がフリーの放つブレスを遮り掻き消してしまう。

 

『!?』

 

「これは……!?」

 

フリーだけでなくその光景にルディアも違和感を抱き、その様子に対して烈我は口角を上げると。

 

「シーズグローリーの効果はまだ終わってねぇぞ! シーズグローリーの効果で相手のスピリットを破壊した時、このカードを転醒させる事ができる!」

「なッ……!」

 

手に持つシーズグローリーのカードを掲げると、その力を解き放つ様にシーズグローリーのカードは新たなカードへと文字通り転醒し、そのカードを新たに叫ぶ。

 

「七色に輝く天空の光、その輝きは闇を穿つ閃光の槍と化すッ! 転醒ッ! 天醒槍ロンゴミニアスッ! バジュラブレイズへ直接合体(ダイレクトブレイヴ)!!」

 

眼光を輝かせバジュラの身に灯る炎がさらに熱く燃え滾らせると、凍った体を溶かし、そしてそのまま腕を掲げて、ロンゴミニアスを掴み取る。

 

”グオオオオオオオォォォォォ────ッ!!”

 

合体スピリットとなりこれまで以上の咆哮を上げるバジュラ、その咆哮には思わずフリーも一瞬怯まされる。

 

『ッ!!』

「……まさか、土壇場でこんな手を……!!」

 

「光黄が俺を信じて託してくれたカードだ! これが無駄な足搔きかどうか、今見せてやるぜ!! バジュラ!!」

『おぉよッ! 任せなァッ!!』

 

「ッ!!」

 

フリーは怯みながらもすぐに追撃を掛けるように、翼を広げると、大気中の水分を凍らせて氷の礫を作り出し、その礫をさらに収束させ氷の槍を作り出すと、そのまま鳴き声を上げてバジュラに向けて撃ち出すが、その氷を全てロンゴミニアスの一突きで全て粉々に砕いてしまう。

 

『!』

『フィニッシュと行こうぜ! 俺の怒り、テメェに受け切れるかァ?』

『ッ!!』

 

生半可な攻撃は通じないと見るや直ぐにフリーは態勢を整えると、フリーは再度吠えながら自身の纏う冷気を限界まで解き放つと、体に纏う氷の鎧はさらに雄々しく、全身凶器の如く氷の矛が突き出して行く。

 

『私は命令に従う。ただそれだけ……だからこそ、必ずそれを遂行するだけです!!』

『それがテメェの覚悟か? まぁ何でもいいから掛かってこい! 俺が勝つかテメェが勝つか、二つに一つだ!!』

『無論、言われるまでもありませんッ!!』

 

弾丸の如きスピードでバジュラへと突っ込むフリーに対し、バジュラは槍を構えながらその持ち手に炎を込めて行き、炎を吸収するかのようにロンゴミニアスはさらに強く輝くと、炎と光を渦の様に槍に纏われていき。

 

『決めるぜ!!!』

『!』

 

眼光を輝かせると、輝くその槍を力の限りに突き出し、氷の矛と聖槍は真っ向から打ち合い、辺りを吹き飛ばす程の衝撃と共に鳴り響く轟音。

 

”ピシッ!”

 

『!!!』

 

砕けぬ筈の氷に走る亀裂、徐々にフリーが押され始め、そしてバジュラはなおも力強く吠えながら、そのまま一気にロンゴミニアドを押し込んで行き。

 

『喰らえッ!』

『ッ!』

憤怒の激槍(ブレイズ ロンゴミニアド)ッ!!!』

 

業火を纏った槍の一撃、それはフリーの纏う氷の鎧を全て砕き、上空に吹き飛ぶフリー。

 

『カハァ……ッ!!』

「フリー!?」

 

『……私の、負けです……ね』

 

そう言葉を残すと、フリーはそのまま大爆発を起こす。

 

「フリーが……負けた!?」

「【氷装】の効果で場に残れるのはあくまでも効果による破壊だけ! バジュラ、決めるぞッ!! バジュラで再アタック!」

 

【火力推進】の効果で再び回復し、そして二度目のアタック。再び手札を破棄し、リグガンナは強制ブロックを余儀なくされる。

 

「クリシュナーガリグガンナ、ブロック!」

 

リグガンナは砲台をバジュラへと向けて連続で砲撃して行くが、バジュラは構えたロンゴミニアドを片腕に持ち替え、そのまま槍を一投。

投げられた槍による一閃は飛び交う砲弾ごとリグガンナを貫き、破壊。

 

「バジュラブレイズは効果で回復! そして三度目のアタック!! 【超爆火力(オーバーヒート)】発揮だぁッ!!!」

『来たぜ来たぜ!! もう俺は止めらねぇぞッ!!!』

 

三度目以降のアタックならバジュラは何度も攻撃ができる。アタックとと同時に回復すると、そのまま両拳をバリアへと撃ち込み、ルディアのライフを破壊。

 

「ぐあッ!!」

『残り一つッ!』

 

「ラストアタック! バジュラ、最後のライフ! 決めろォッ!!!」

 

ロンゴミニアスを再び手に持つと、そのままルディアの最後のライフ目掛け、その槍をバリアへと突き立て、最後のライフを破壊する。

 

「うわあああああああああああッ!!!」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

バトルを終え、帰還する烈我とルディア。フリーはその場に力なく倒れルディアもまたその場に突っ伏し、倒される。

 

「ハァ……ハァ……勝った。俺達の、勝ちだ」

 

だが勝負に勝ったと言えど烈我もまた限界の様に思わずその場に膝を突き、大きく息を切らすが、それでもフラフラになりながらも何とか立ち上がり。

 

「こ、光黄……お前のお陰で、勝てたぜ。もう全部何もかもようやく……終わった」

 

安堵するように一息突きながら光黄の元へ歩み寄ろうする烈我。

 

 

 

 

だが。

 

「……何が……終わり、だって?」

「!」

 

ルディアもまだその意識は健在。烈我の言葉に笑みを浮かべ、ルディア自身もフラフラになりながらも立ち上がって見せる。

 

「冗談……キツいな〜。たかだか、一度……負けたぐらいでさ」

「何だと!?」

 

この後に及んでなお目的を諦める様子のないルディアに烈我は視線を鋭くさせるが、烈我に対してルディアもまた目を鋭くさせながら烈我を睨み。

 

「僕はさ、君よりもずっと過酷な環境で生きて、この恨みを……ずっと長く抱えて生きてきたんだ。それを今更……諦め切れる訳が、ないだろッ!!」

「!」

 

声を荒らげ強く睨み返すルディアの表情、それはこれまで偽りの笑顔に隠していたその怒りを初めて烈我へと晒した瞬間であった。

 

「……お前!!」

「必ずこんな世界なんて壊す。その為なら僕はどんな手だって──!」

 

そう言いかけた瞬間、突如として言葉を遮る様に鳴り響く通信音。ルディアの持つ通信機から発せられた者であり突然の通信を不思議に思いながらも、通信機を手に取り応答する。

 

『ルディア様、ディストです。突然申し訳ございません』

「ディスト……君、無事だったんだ。でも悪いけど今取り込み中────」

『いえ、そうではありません!!』

「?」

『あの男が、いない……んです!』

「ディスト?」

 

様子がおかしい。通信機の雑音が次第に大きくなりノイズでほぼほぼ聞き取れなくなり、それを不審に思う中。

 

『ようやく、この物語も終焉が近くなってきたな』

「!?」

「(この声……?)」

 

突然その場に響く声、咄嗟にその声に反応する烈我とルディアだが、気のせいだろうか、烈我にはどこかそこの声に聞き覚えがある様な気がした。

 

そして部屋の奥から誰かが来るように足音が鳴り始め、徐々に人影が写り始め。

 

「誰だ!?」

『…………』

 

人影に対し正体を問う様に叫ぶ烈我、その人物は一瞬その場で足を止めると。

 

『誰だとは、随分じゃないか』

「「!!!」」

 

光が影を照らし、その姿を鮮明に映った瞬間、その場の誰もが言葉を失った。

 

「な、何で……!」

 

最初にルディアが動揺の言葉が出た。

 

『テメェ……ッ!!』

 

次にバジュラが動揺と共に、怒りを込めるようにその人物を睨み。

そして最後に。

 

 

 

「なんで、何でアンタが……!」

『…………』

「どういうことだよ!!!」

 

信じられない光景を前に、声を震わせながら烈我はその人物をハッキリと見据えて。

 

 

「ヘルさん!!!!!」

 

彼等の前に立ったのは、紛れもなくヘルの姿だった。

 

 

 

 




皆さまお久しぶりです!ブラストです!!
長らく更新お待たせして申し訳ありませんでした!

今回ようやく第34話書けました!


今回の見所はフリーvsバジュラ!!
本編で久々にバジュラの【超爆火力】使った様な気がしてます笑
白属性、やっぱり敵として書くと最大のライバルという感じが出てて最高に楽しいです!改めてルディアの圧倒的実力を顕すのに、白はこの上ない色だったと自負しております!(個人的見解

そして物語の最後に現れたあの人!!!
此処から一気に物語が動きますので、どうぞ次回以降も宜しくお願いしたします!


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