バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第38話【激震の勇者】

「若槻、和人……? それにゴッドキャリバスに選ばれたって!?」

 

突拍子もない目の前にいる和人からの言葉に動揺を隠せない烈我と光黄。

 

「言葉通り。相棒として認めて貰えたって事だ。でも先に説明させてもらうと俺は若槻和人本人じゃない。ゴッドキャリバスが作った疑似人格って所だ。本人をベースにしてな」

 

「疑似人格……!?」

「スピリットでそんなことまで出来んのかよ!?」

 

和人の言葉を聞いてなお信じられないと言った様子の二人だが、当の本人はまったく気にせず説明を続けて行く。

 

「疑似人格って言っても一応肉体は存在してる。けど俺がこうやって実体化できるのはあくまでこの空間内限定、自由に出入り出来る程万能じゃない。他に質問は?」

「えっと……じゃあそもそも何で疑似人格なんか?」

「多分こうしてゴッドキャリバスの意思を代行で伝える為だろ? 流石に七罪竜達と違ってゴッドキャリバス自身に完全な意思疎通、会話ができるまでのコミュニケーション能力はない。だからその意思、試練の意図を伝える役目として存在してる。

最も何でその役目に俺の人格を選んだかまでは知らないけど。俺からすれば選んでもらって光栄ではあるけど」

 

満更でもない様に笑う和人、疑似人格とは言えこうして実際に会話を交わし烈我には本当の人物と話しているように感じられた。

 

 

「和人、さんだっけ? ゴッドキャリバスに選ばれたって言ってたけどアンタは何者なんだ?」

「何者って聞かれても……俺は疑似人格だから本人の記憶全部ある訳じゃないし、でも元は多分ただの一般人だったと思う。自分の世界でハイドカードっていう物に巻き起こまれてこの世界に来て色々。まぁ話せば長くなるんだけど立場的にはお前等と同じ」

 

元は烈我達と同じ世界の出身であり、ハイドカードによる事件に巻き込まれそして最終的にはゴッドキャリバスと共に事件の黒幕と戦った和人。彼の言う通り、その成り行きは今の烈我達とほぼ似ている。

 

「まぁ俺の自己紹介はこの辺で。それよりお前等の名前は?」

 

「天上烈我だ」

「……黄空光黄」

 

「オケ! 烈我に光黄な。じゃあ自己紹介も済んだし早速──!」

「待て!」

「!」

 

次の話へ移ろうとする和人に対し、制止を掛けたのは光黄。

 

「さっきお前はこう言ったな。『先に入るべき人間を選定させてもらってる』と」

 

彼女の言葉に肯定の意味を込めて首を縦に振る和人。

 

「あぁ確かに言った」

「じゃあ何故、俺と烈我を選んだ? それはお前の意思なのか?」

「いや違う。選んだのはあくまでもゴッドキャリバス自身。さっきも言ったけど俺はゴッドキャリバスの意思を伝える為の代弁者に過ぎねぇ」

「代弁者……なら当然、俺と烈我を選んだ理由も聞かせてもらえるか?」

「いいぜ。けどその前に……!」

 

彼女の質問の前に指をパチンと鳴らしかと思うと、祠の入り口の壁が徐々に黒く染まって行く。

 

「光黄!!」「烈我さん!!」

「絵瑠!?」「星七!?」

 

壁を叩きながら烈我達へ呼び掛け、烈我達も慌てて星七達へ駆け寄ろうとするが壁が完全に黒く染まると、お互いの声は聞こえなくなってしまう。

 

 

 

 

「さて、悪いが空間を切り離させてもらった。これで外からの干渉はない」

「「!!」」

「安心してくれ。別に手荒な真似をする訳じゃない、さっきも言ったけど俺はあくまで代弁者。ゴッドキャリバスの意思を尊重しただけだ。伝えただろ? ゴッドキャリバスが選んだのはお前達二人だ」

「……ならその理由は?」

「強いて言うなら、お前ら二人が一番面白そうだと思ったからだな」

「「はい?」」

 

意味が分からないと言わんばかりの二人。

 

「烈我はともかく、俺がそう評価された意味が分からないんだが」

「そうだぜ、俺はともかく……って光黄!! それどういう意味だよ!」

「そのままの意味だ」

 

まるで夫婦漫才なようなやり取りの二人に和人はなおも可笑しそうに笑うが、暫くして落ち着いたように二人に視線を向ける。

 

「お前等が来た事情は大方把握してる。七罪竜、オメガデッド……奴に対抗する力が欲しいんだろ?」

 

核心に触れる和人の言葉に二人とも思わず表情を変える。

 

「オメガデッドの事まで知ってんのか?」

「当然何でもお見通しさ。何せこの世界で一番最初に生まれたスピリットがゴッドキャリバスなんだからな」

「えッ!?」

「オメガデッドの抑止力としてなのか、詳しい理由は分からないけどともかくゴッドキャリバスはこの世界に一番最初のスピリットとして生み出され、そしてゴッドキャリバスと同じスピリットという生命体がこの世界に繁栄するようになった。ここまでは大丈夫か?」

 

動揺する二人に対して一切顔色を変える事なく冷静に話しを続ける和人。

 

「確かヘルはバジュラ達がこの世界に生まれて、その後に人間がこの世界に現れるようになったって」

「オメガデッドの所有者の事だよな。正確に言うとスピリットが繁栄した後にこの世界に現れたのが人間だ。オメガデッドがこの世界に招き訪れた人間達。言ってみればこの世界にいる人間の御先祖様って事。ゴッドキャリバスは人間と争う事がないようスピリット達を統治していた。共存の道を選びたかったから。

誰だって争って滅ぼし合うよりも、共存して共に過ごして行く方がいいに決まってる」

 

けれど言葉を口にしながら和人の表情はどこか寂しげで、光黄はそんな和人の様子に何となく察したように。

 

「止められなかった……のか?」

「……あぁ。スピリットは良くも悪くも純粋だ。人間と共存し、そして共存した人間によって善にも悪にもなる。悪意に染まればもう誰にも止められない。滅ぶべくして滅んだんだ、これ以上の詳細は必要か?」

 

和人の言葉に烈我も光黄も首を横に振り、二人の様子に少しだけ顔を上げて言葉を続けていく。

 

「かつてこの世界に存在したスピリット達は今は皆カードとして封印されてる。勿論ゴッドキャリバスもな。けど封印されてなおその意識は残っていた。この地に眠りながらもずっと世界の様子を見守っていた。七罪竜の事やそれを求めて戦うお前達の事全て見ていた。俺等がお前達の事情に詳しいのはそう言う訳だ」

 

一通り自分の事情について話し終えたのか、「さて」と話題を切り替えるように。

 

「オメガデッドとオメガデッドに選ばれたあの人間がこれから何をするつもりなのか、そこまでは俺も知っている訳じゃない。あの男の目的を、お前等は知ってるのか?」

「……分からない。けど、このまま放っておく訳には行かないんだ」

 

ヘルがこの先何をしようとしているのか想像もつかない。それでもこのまま何もしない筈が無いと直感ではあるが烈我達はそう確信していた。

 

「だったらお前等はどうしたい?」

「当然ヘル達を止めたい。でも、悔しいけど今の俺達はどうする事も出来ない。ここに来たのは、奴等を止められる希望があると思ったから」

「……」

 

烈我に対し、暫く和人は黙り込んだかと思うと、数秒間を置いた後に口を開く。

 

「残念だが、ゴッドキャリバスの力でもオメガデッドには及ばない」

「「ッ!?」」

「少なくともゴッドキャリバス自身がそう確信してるんだ」

 

「……なら、このまま何にも打つ手はないってのかよッ!!」

「烈我、落ち着け」

「でも……!」

 

「一つだけ」

 

「「!」」

 

烈我を宥めようとする光黄だが、二人の会話に割って入る様に切り出す和人。烈我に向けて腕を翳し、その瞬間、烈我の懐から一枚のカードが飛び出し、それは他でもないバジュラのカードだった。

 

「ッ!? 何のつもりだよ! バジュラのカード! 返せ!!」

「落ち着けって。別に盗る訳じゃない、ちょっと見させてもらうだけだ」

「!?」

 

バジュラのカードを手に取りながら何かを確認し終えたように。

 

「うん、率直に言うぜ。バジュラブレイズ、こいつの魂はまだ生きてる」

「!!?」

 

突拍子も無い言葉、けれど希望を思わせるそんな和人の言葉に真っ先に反応したのは他でもない烈我だった。

 

「バジュラが生きて……!」

「あぁ。まだバジュラの魂はオメガデッドに吸い尽くされてはない。辛うじてだけどな」

「何でもいい。バジュラは……バジュラは生きてるんだよな!!」

 

驚きを隠せない烈我達に和人は静かに首を縦に振る。

 

「ただし辛うじてだ、此奴の魂は小さくなりつつある。例えるなら消えかけの炎みたいなもんだ」

「ならこのままだとバジュラは、どうなる?」

 

「!」

 

和人の言葉に真っ先に疑問を問いかける光黄、彼女の質問に烈我も思わず不安な表情を隠し切れない。

 

「このままだと、バジュラは間違いなく消滅する。魂が完全に消えればお前が持ってるそのカードも消失する」

「そんな……!?」

 

バジュラがまだ生きていると、安心したのも束の間。残酷な現実に顔を俯かせる。だがそれでも烈我の想いは決まっている。

 

「どうすれば、バジュラを助けられる?」

「……」

「バジュラは俺にとって一番の相棒なんだ! だから頼む、教えてくれ!! バジュラを助けられるなら俺は何だってやる!!!」

 

強く想いを込めて叫ぶ烈我に対して、和人は。

 

「バジュラを助けられるかどうか、それはお前ら次第だ」

「「!?」」

 

意味深な台詞、咄嗟に「どういう事だよ」と問い掛ける烈我に対して和人は何も言わず静かにデッキを取り出して見せる。

 

「言葉通りの意味だ。オメガデッドを止められるかも、バジュラを救えるかどうかも全部な。さっき言ったよな? 「奴等を止められる希望」がどうのって」

「あぁ」

「その希望を求める相手は俺でもゴッドキャリバスでもない。希望があるかないか、それを決めるのもお前等自身なんだよ」

「「!」」

「希望があると、俺達の前で証明して見せろ。これから行うのはそのための試練だ」

「試練……バジュラを助ける為にもそれしかねぇんだろ? だったら考えるまでもねぇ、当然やる!!」

「お前ならそう言うと思ってたぜ。じゃあ早速……って言いたいところだが、その前に対戦形式についてだけ軽く説明させてもらう」

「?」

「まずはお前等二人タッグで俺と戦ってもらう」

 

「「俺と光黄(烈我)で?」」

 

特殊な対戦形式に聞き返す様に互いを見合う烈我と光黄に対し、「あぁそうだ」と頷きながら説明を続ける。

 

「手札とリザーブは個人別、ライフについてはお互いで共有。そして最後に俺のフィールドはこの状態でスタートさせてもらう」

 

和人が言い放ったと同時に突然後方に赤のシンボルを象徴するルビーが二人の目の前に出現したかと思うと、ルビーは大きく砕け二体の龍が実体となって目の前に出現する。

 

「「!!?」」

「泰平龍ピースメーカー、大戦龍ウォーモンガー。俺はこの二体がフィールドにいる状態からスタートさせてもらう」

 

""グオオオオオオオォォォォォ────ッ!!""

 

同時に咆哮を上げる二体の龍、咆哮による風圧に吹き飛ばされまいとその場に踏み留まる烈我達。

 

「バトルフィールドに移動した訳でもないにスピリットが実体化している!?」

「この祠の中は一種の結界みたいなもんだ。この結界内はバトルフィールドとして機能している。唯一違うのは通常のバトルフィールドと違って、この空間内だとスピリットは本来の力に近い形で解放される」

「どういう意味だよ?」

「要するにライフで受けるダメージは通常のそれ以上って訳だ」

「なっ!?」

 

烈我の脳裏にヘルと行ったバトルの光景がフラッシュバックのように蘇る。

 

「どうする? それでもやるか?」

「ッ!! ふざけんな、そんなバトルに光黄まで巻き込めるかよ!

 

「烈我?」

 

「だったら試練は諦めるか? 別に無理強いはしない」

「ッ! それは……!!」

 

「烈我!!」

「!」

 

呼び掛ける彼女の声に咄嗟に振り替えった瞬間、頭に振り下ろされる拳骨。

 

「痛ったぁッ!! 光黄!!?」

「バカ烈、今更まだそんな事言う気か?」

「ッ! でも光黄、このバトルは……!!」

「危険なのは分かってる。でもそれはお前も一緒だろ」

「!」

「バジュラを助けたいのは俺も同じだ。バジュラだけじゃないミナトやライト達、そしてお前の事も」

「……光黄」

 

烈我が彼女の事を想う様に、彼女もまた烈我の事が大切だからこそ助けたい、力になりたいとその気持ちは烈我と同じ。

 

「この期に及んで今更俺を置いて行こうとするな。戦うなら、一緒にだ」

「光黄……ありがとう」

 

彼女の覚悟を前に、言い返せる言葉などある訳がない。彼女の想いを受け取ると烈我は静かにデッキを取り出し。

 

「お前が一緒なら負ける気がしねぇ!!」

「俺の足を引っ張ったりはしないよな?」

「そんなことする訳ないだろ!!」

「冗談だ。必ず勝つぞ、烈我!」

「おぉ!!」

 

「やっぱり面白いよなお前ら! 今からのバトル、すっげーワクワクして来たぜ!!」

 

並び立ちデッキを構える光黄と烈我に和人も胸を躍らせるように「さぁ始めようか!」と喜々とした表情で自身のデッキを構えて行く。

 

「「「ゲートオープン! 界放ッ!!!」」」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「先行はお前等からだ、お前等二人、最高のバトル! 見せてくれよ!!」

 

和人の言葉と共にまるで催促するかのように吠えるウォーモンガーとピースメーカーの二体。

 

「だったら存分に見せてやるぜ!! 俺と光黄のタッグがどれだけ最高かって事を!!」

「ッ!! 一々恥ずかしい事言うな。バカ烈!」

「うっ、ごめんって。ともかく一番手は俺から! 行くぜ!!」

 

 

────第1ターン、烈我、光黄side。

 

[烈我フィールド]

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「まずはライトブレイドラとレイニードルを召喚。これでターン終了」

 

 

[光黄フィールド]

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「次は俺だな。創界神ラーを配置。配置時の効果で神託」

 

フィールドに出現するラーの幻影、腕を翳しデッキから3枚のカードが捲られ、「ガトーブレパス」、「タマモノイン」、「光の覇王ルナアークカグヤ」の3枚。

 

「ラーに3コア神託。そのまま【神技】を使用だ」

 

ラーに置かれたコアを即座に使用しボイドに送るとさらにまた3枚のカードが捲られて行く。

 

「ラーの効果により系統「想獣」を持つカードをコスト合計8なるまで好きなだけ咥えられる。対象として、「ガトーブレパス」、「星霊獣ペルシフォーネ」を手札に加える。そしてペストコスをLv.1で召喚」

 

牙を打ち鳴らしながら現れる鰐のような外見のスピリット、ペストコス。

 

「最後にバーストセット。俺のターン、終了だ」

 

 

 

 

────第2ターン、和人side。

 

[Field]大戦龍ウォーモンガーLv.3(5)BP13000、泰平龍ピースメーカーLv.1(1)BP10000。

 

「それじゃあ俺のターンだな。言い忘れてたけどこのルールにおいて俺にコアステップはない。手札も自分のターン中で所持する事は許されない」

「「!?」」

「代わりに……!」

 

デッキから1枚のカードをドローした瞬間、そのカードを即座にフィールドに呼び出して行く。

 

「出て来い! 荒武者リンドウ!!」

 

フィールドに現れるリンドウ、ピースメーカーと並び勇ましき雄叫びを轟かせる。

 

「もしかして、手札が増えたタイミングでカードを即座に使用できるのか!?」

「えぇ!? そんなのありかよ!!」

 

冷静に状況を分析する光黄に、思わず動揺を口にする烈我。

 

「こういう状況も含めて試練なんだ、悪く思わないでくれよ」

「さっき『言い忘れたけど』とか言ってたが?」

「……」

 

図星だったのか、彼女からの鋭い指摘に思わず黙り込む和人。どこか抜けていると所も含め、やはり烈我と似ていると思う。

 

「アタックステップ!」

 

「あっ、あいつ話逸らしやがった!!」

「……はぁ、どっかの誰かさんみたいだな」

「?」

「何でもない。それより、来るぞ!」

「お、おぉ!!」

 

気を引き締め直しながらこれから来る攻撃に備え、そして遠慮なく「ウォーモンガーでアタック!」と攻撃宣言。

 

「ッ! ライトブレイドラでブロック!!」

 

進撃する巨大なウォーモンガーにライトブレイドラは体を震わせながらも懸命にウォーモンガーへと飛び込んで行くが、力の差は歴然。体当たりを仕掛けたライトブレイドラがウォーモンガーの身体へぶつかった瞬間、力の差故かライトブレイドラの方が弾かれ光となって四散してしまう。

 

「次だ、さらにピースメーカーでアタック!」

 

「ぐッ! レイニードルで──」

「待て、烈我。此処は俺に任せてもらうぞ」

「!」

「ペストコスでブロックさせる!」

 

ピースメーカーに勇猛果敢に飛び掛かるペストコス、牙を剥き出しに喰らい付かんとするがピースメーカーはその場で立ち止まり火炎放射を吐き付けると、迫るペストコスを焼き尽くし破壊され爆散。

 

「相手による自分のスピリット破壊時でバースト発動! 夢幻祈祷!! 効果により、俺達のライフ1つを回復する!」

「!」

 

今二人のライフは共有状態、彼女のライフが増えた事でその恩恵は烈我も同様に受けられる。

 

「へぇー、やるじゃん。けど次は防げるか? リンドウでアタック!」

 

地面に爪を突き立てながら駆け出すリンドウ、まだレイニードルによるブロックは可能だが返り討ちに合うのは目に見えている。ならばと二人とも顔を見合わせ。

 

「「ライフで受ける!」」

 

ライフがバリアとなって二人を包み、リンドウは構う事無くバリアに対し爪を振り下ろしバリアに爪痕を刻み破壊し、衝撃が二人へと伝わって行く。

 

「ぐあああああッ!!」

「ッ!!!」

 

和人の言っていた通りやはりライフによるダメージは大きく、一度は経験してるからか呻き声を上げながらも耐えきる烈我だが、対して想定していた以上の痛みに耐えきれず思わず痛みに片膝を突く光黄。

 

「光黄ッ!!」

「ッ……大丈夫。まだ、平気だ」

「でも!」

「いいからッ!」

 

痛みを堪えながらその場から立ち上がる光黄。

 

「頼む。俺も……このまま戦わせてくれ」

「……ッ!」

 

二人に対し、傍観していた和人は彼女に何か思う所があるような表情を浮かべ。

 

「悪いがこれは試練でそしてバトルである以上、俺は一切手加減するつもりはない。だから無理する前に早めにギブアップした方がいいと思うぜ、仮に降りたとしても俺は別にそれを蔑んだりしない」

「!」

 

和人からの提案に対し、烈我は心配そうに彼女を見つめるが一方でその提案に彼女は軽く口元を緩ませると。

 

「愚問だな。わざわざ俺を指名しておきながら、今更降りると?」

「……」

「誰が何と言おうと、俺は最後まで戦う。もう二度と置き去りにされたくはない、もう二度と烈我だけを、戦わせるつもりはない!」

 

「光黄、お前……!」

 

ダメージを受けた程度で今更彼女の決意は覆る筈がない。和人自身も薄々それを理解してたように「野暮だったな」と小さく零しながら頭を掻く。

 

「(分かってたよ。お前がそう答えるのは……だからこそゴッドキャリバスはそいつと、お前を選んだんだ。例えお前は倒れることになったとしても後悔なんかする奴じゃないって)」

 

ゴッドキャリバスによって生み出された存在であるからこそ、二人を選んだ理由も当然把握していた。しかしそれでも例え彼女がどう答えるか分かっていたとしても、聞かずにはいられなかった。

 

「(けど生憎俺もこの試練の番人として、嫌、それ以前に……俺が『若槻和人』である以上、俺自身がバトルを降りる事だけは絶対に出来ねぇッ!!)」

 

疑似人格とは言え、思考があり、感情があり、魂と呼べる物が彼に存在する。だが、だからこそ若槻和人という人格を形成した彼自身の魂に賭けて、自らバトルを降りる事は何があってもできない。

 

「一度吐いた唾は戻さねぇって言うなら仕方ない。なら言葉通り最後まで戦って見せろ! 俺はこれでターンエンドだ!!」

 

 

 

 

────第3ターン、烈我、光黄side。

 

[烈我フィールド]

[Reserve]4個。

[Hand]4枚。

[Field]レイニードルLv.2(2)BP3000。

 

「メインステップ! 創界神アポローンを配置! 配置時神託!!」

 

ラーに並んで今度はアポローンが出現すると再び神託によって3枚のカードが捲られカードは「オリン円錐山」、「破壊龍王ジークフリードルドラ」。「コメットヴルム」の3枚。

 

「神託対象は2体、よってアポローンにコアを追加! さらに煌星の第五使徒テティスを召喚し、マジック、ソウルドロー!! ソウルコアをコストにしたことでデッキから3枚ドロー!」

「手札も増やし準備は万端って所だな」

 

相手の動きに対して的確に把握する和人、その通りだと言わんばかりにメインステップを終え、アタックステップへと移って行く。

 

「相手には手札もブロッカーもねぇ! こっから反撃だ! 一気に攻めるぜ!!」

「烈我待て、迂闊に──!」

「テティスでアタックッ! アタック時効果で1枚ドロー!」

 

「ライフで受ける」

 

光黄からの静止も聞かずテティスを突っ込ませるとテティス拳を大きく振りかぶり目の前のバリアへと拳を突き出し破壊する。

 

「ライフが減った瞬間、俺はデッキから1枚ドロー! そして引いたカードは速使用だ!!」

「なッ!!?」

「出て来い。覇竜ヴァンダライザー! 召喚ッ!!」

 

地面が突如隆起し、巨大な岩山が出現したかと思うと内側から岩を粉砕し現れるは赤熱した拳を掲げる黒き龍、覇竜ヴァンダライザー。

 

「ッ!? ライフが減った時にもスピリットが出てくんのかよ!?」

「ブロッカーはいないって完全に油断したな! ヴァンダライザーの召喚時効果、相手のBP3000以下のスピリットを全て破壊! やれ、ヴァンダライザーッ!!」

「!」

 

剛腕を地面へと叩き付け、目の前のレイニードル達に向けて直線状に火柱が連なって吹き上がり避ける間もなく炎を受け爆発四散を起こす。

 

「何かあるとは思ってたが、やはりか」

「ごめん、光黄」

「……嫌、いい。結果的だけどこれで相手の戦い方が分かってきた」

「通常のドローステップとライフ減少時で手札が増えて、そのカードを即使用するって事だよな」

「あぁ。ともかく今は守りを固めるぞ」

 

苦しい状況にも関わらず冷静に状況を分析する光黄、烈我としては頼もしい限りだ。

 

 

 

 

[光黄フィールド]

[Reserve]6個。

[Hand]5枚。

[Field]創界神ラーLv.1。

 

「メインステップ、闇輝石六将幻想獣神キリンクスを召喚! さらにネクサス、黄色の聖遺物をLv.2で配置!」

 

無人となった場を立て直すべくキリンクスと祭壇のような外観の黄色の聖遺物を展開して行くと、アタックはせずそのままターンシークエンスを終えて行く。

 

 

 

 

────第4ターン、和人side。

 

[Field]大戦龍ウォーモンガーLv.3(5)BP13000、泰平龍ピースメーカーLv.1(1)BP7000、荒武者リンドウLv.1(1)BP5000、覇竜ヴァンダライザーLv.1(1)BP4000。

 

「当然守りを固めて来るよな。けどそれで防ぎきれるか? 俺のターン!」

 

再び和人の手にデッキからカードが1枚加わると、手に取ったカードを一瞥し軽く口元を緩ませる。

 

「さぁ次はお前の出番だ! 戦皇ゴッドスレイヤードラゴン、召喚ッ!!」

 

「!?」

「ゴッドスレイヤー!?」

 

二人にとっても見覚えのあるカードに思わず反応する中、フィールド左右から火柱が噴き上げたかと思うと、炎から飛び出す巨大な剣と盾、そして中央から一際巨大な火柱が吹き上がると共に戦皇の名を冠するゴッドスレイヤードラゴンが姿を現し、炎に打ち上げられた剣と盾を掴み取り、轟音を響かせながらフィールドへと降り立って行く。

 

「これで俺の場のスピリットは5体、耐えきれるか?」

 

フィールドを埋め尽くす程の強大なドラゴン達に二人は静かに息を呑み、警戒する様に構える。

 

「アタックステップだ! まずはウォーモンガー、行けぇッ!!」

 

並び立つ5体の龍達、まずその先陣を切ったのはウォーモンガー。体に備えた砲門を烈我達へと向けて一気に砲撃して行く。

 

「ライフで受ける! この瞬間、黄色の聖遺物Lv.2の効果発揮! デッキの上から1枚オープン!」

 

黄色の聖遺物のLv.2効果は相手によってライフが減る場合、デッキよりオープンしたカードが黄色のマジックカードであればライフは減らないという物。効果に従いオープンされたのは「妖雷スパーク」。

 

「黄色のマジックカード、よってライフは減らされない!」

「なら次はどうだ! ピースメーカーでアタック!」

 

ウォーモンガーの砲撃がバリアへと直撃するが、バリアは破壊する事は叶わずならばと今度はピースメーカーが前へと出てバリアに向けて火炎放射を放つ。

 

「再び黄色の聖遺物の効果、デッキの上から1枚オープン! 黄色のマジックならライフは減らされない!」

 

オープンされしカードは「ディフェンスネビュラ」、マジックカードの為今度もライフは破壊されず、ピースメーカーの放つ炎を受けてなおバリアは無傷。

 

「やるな。でも、今度は防ぎ切れないぜ!!」

「!」

「ゴッドスレイヤードラゴン、アタックッ!」

「(ゴッドスレイヤードラゴン、確かあのスピリットの効果は……ッ!)」

 

眼光を輝かせ前線と踏み込むゴッドスレイヤー、手に持った巨大な大盾を構えたかと思うと、次の瞬間、後方に配置された黄色の聖遺物に向けて大盾を勢いよく放り投げると、盾は聖遺物へと激突し、聖遺物は粉々に粉砕され破壊されてしまう。

 

「ゴッドスレイヤードラゴンの効果は相手ネクサス一つを破壊する事でこのスピリットを回復させる! これでもうネクサスによる防御は無くなった!」

「「ライフで受ける」」

 

ゴッドスレイヤードラゴンは剣を構えて大きく飛び上がると、展開されたバリアに剣を振り下ろし、これまで無傷だったバリアを意図も容易く両断し破壊してしまう。

 

「うああああッ!!」

「うぐあッ!! こ、光黄……大丈夫か!?」

「ッ! 一々構うな。次が来るぞ!」

「!」

 

ゴッドスレイヤードラゴンは回復状態、再度の攻撃が可能であり大盾を拾い上げながら得物を構え直して見せる。

 

「ゴッドスレイヤードラゴンでもう一度アタックだ!」

「ライフで受ける!」

 

再び剣を振り被るゴッドスレイヤードラゴンの一撃が再び展開されたバリアへと炸裂し、バリアは砕けライフも同様に木っ端微塵に弾け飛ぶ。

 

「ッ!!!」

「ぐぅっ……これ以上はやらせねぇ! ライフ減少時でバースト発動!! 絶甲氷盾ッ!」

 

「おっ!」

 

今度は烈我によるバースト。発動宣言と共にフィールドに吹雪が吹き荒れて行く。

 

「バースト効果により俺達のライフを回復。さらにコストを支払ってフラッシュ効果! お前のアタックステップを終わらせるッ!!」

「……ターンエンドだ」

 

 

 

 

────第5ターン、烈我、光黄side。

 

[烈我フィールド]

[Reserve]9個。

[Hand]5枚。

[Field]創界神アポローンLv.1

 

「俺のターン、二体目のライトブレイドラともう一体煌星竜スピキュールドラゴンを召喚! スピキュールドラゴンの召喚時効果でトラッシュにある星竜を持つスピリット、レイニードルを手札に戻す!」

 

神託対象であるスピキュールドラゴンが召喚された事でさらにアポローンにコアが追加され、その後手札に戻したレイニードルを再びフィールドに呼び出す。

 

「(相手にはブロッカーもいる。それに下手にライフを削ったらまたスピリットを展開される。今はまだ攻められねぇ)」

 

アタックステップは何もせず、そのまま光黄へとターンを移して行く。

 

 

 

 

[光黄フィールド]

[Reserve]8個。

[Hand]6枚。

[Field]創界神ラーLv.1、闇輝石六将幻想獣神キリンクスLv.1(1)BP2000。

 

「俺はキリンクスをLv.3にアップし、ガトーブレパスLv.3で召喚、神託対象の召喚によりラーに神託。さらにバーストセット! アタックはなし、ターン終了だ」

 

彼女もまた今は打つ手がないのか、場を整えるのみでそれ以上は動かず、エンドステップまで進めて行く。

 

 

 

 

────第6ターン、和人side。

 

[Field]大戦龍ウォーモンガーLv.3(5)BP13000、泰平龍ピースメーカーLv.1(1)BP7000、戦皇ゴッドスレイヤードラゴンLv.1(1)BP6000、荒武者リンドウLv.1(1)BP5000、覇竜ヴァンダライザーLv.1(1)BP4000。

 

 

「俺のターン! 今度はもっと過激に行くぜ!!」

「「!!」」

「次はお前だ。来いッ!! 魔王八岐大蛇ッ!!!」

 

地面を突き破り飛び出す巨影、龍の首が一つ、二つと次々に飛び出し合計で八つの首が現れると神話に語り継がれし怪物でそのものである魔王の姿────八岐大蛇の降臨である。

 

「こいつまで出てくんのかよ!!」

 

知っているかのような口ぶりで語る烈我だが、和人は構う事無く指示を下す様に腕を構える。

 

「八岐大蛇召喚時の効果発揮! 相手のBP6000以下のスピリット8体と、相手ネクサス8つを破壊する!!」

「ッ!!」

「魔王八岐大蛇、薙ぎ払え!!」

 

構えた腕を振り下ろすと、八つの首はそれぞれ口を開き轟炎を一斉に撃ち出すと、烈我達のスピリット達は全て炎の渦へと飲み込まれ炎の中で大爆発を起こす。

 

「一瞬で俺達のスピリットが……ッ! スピキュールの破壊時効果で俺はトラッシュにある星竜を持つテティスを手札に」

 

スピキュールドラゴンの効果は召喚時だけでなく破壊時にも発動される。テティスのカードを再び手札へと戻すがそれでも絶句する程の光景に動揺を隠せない烈我、光黄もまた今の状況に打つ手がないのか、黙り込んだまま。

 

「打つ手なしならこのターンで決まりだな。このままアタックステ──」

「待て!」

「!?」

 

瞬間、開始宣言を呼び止める光黄。彼女の目に何かにを察した様子でフィールドに見ると爆風の中、薄らと移る影。

 

「烈我のスピキュールだけじゃない、キリンクスも同様に相手によって破壊された時効果発揮!」

 

影の正体はキリンクスの姿であり、爆風から生還し鳴き声を上げながら自身の効果を発動させる。

 

「このスピリットが相手によって破壊された時、ボイドからコア1個を置く事で疲労状態でフィールドに残し、さらに手札にある想獣を召喚できる! 来い、ペストコス!」

 

キリンクスによって導かれるようにフィールドに現れるペストコスだが、是だけでは終わらない。

 

「まだ行くぞ! 相手のこのスピリットの召喚時効果発揮後でバースト発動! フェアヴァイレ!!」

「何!?」

「このバースト効果は、バースト発動時に発揮したスピリットの召喚時効果を自分のスピリットが発揮したものとして、もう一度発揮する!」

「って事は……!」

「当然対象は八岐大蛇、そしてそのスピリットの召喚時効果をキリンクスの効果としてもう一度発揮させてもらう! 相手のBP6000以下のスピリット8体を破壊! キリンクス、行け!」

 

前脚を上げながら嘶き、頭部の角に電撃を迸らせると一気に溜めた電撃を解き放ち、電撃は広範囲へと及び真っ先にヴァンダライザー、リンドウ、ゴッドスレイヤードラゴンの三体を捕え、体を痺れさせながら爆散。

 

「まだだ、ペストコスの効果! このスピリットが場にいる間、相手スピリット全てのBP-2000!」

「!?」

 

八岐大蛇Lv.1のBPは8000、ピースメーカーもまた本来は効果範囲対象外なのだが、ペストコスによりBPを下げられた事で射程圏内。キリンクスはさらに強く放電し放ち、ピースメーカーと八岐大蛇も電撃を浴び、力尽きたようにその場に倒れ爆発四散する。

 

「やられたぜ、これを狙ってたのか……! けどまだ俺にはウォーモンガーが残ってる。アタックステップだ! ウォーモンガー、行けッ!!」

 

突撃の如く巨大な体を動かし前進するウォーモンガーだが。

 

「承知の上だ! フラッシュタイミング、マジック! ディフェンスネビュラ!! 効果で相手スピリットを全てLv.1にする!」

 

マジックにより雷撃に力を削がれ、BPが一気に減少し項垂れるように首を落とするが、攻撃自体が止まる訳ではないが。

 

「烈我!」

「あぁ! 分かったぜ!! フラッシュタイミングでアポローンの神技発揮! 相手のBP6000以下のスピリットを破壊だ!」

 

「!……そう言う事か」

 

ペストコスによるBP弱体化効果はウォーモンガーにも影響を及ぼしている。そしてLv.1となった上でBP-2000された事でアポローンの射程範囲へと捕えられていた。

迫るウォーモンガーに対してアポローンは炎を込めた矢を射ると、ウォーモンガーの砲門ごと体を射抜かれ爆発四散。

 

「(息の合ったコンビネーション、やっぱ最高だぜ。この二人!)」

 

自軍のスピリットが全て倒されるがそれでもバトルの手応えに思わず笑みを浮かべながらもすぐに表情を切り替え、ターンエンド宣言。

 

「流石光黄、やっぱ頼りになるぜ!」

「……いいから集中しろ。それより」

「分かってる。相手の場のスピリットはこれでゼロ。最大のチャンスだぜ!」

 

 

 

 

────第7ターン、烈我、光黄side。

 

[烈我フィールド]

[Reserve]10個。

[Hand]6枚。

{Field]創界神アポローンLv.1

 

「メインステップ! 太陽皇ヘリオスフィアドラゴンを召喚!!」

 

勇ましく太陽の如く灼熱の炎を纏いながらフィールドに降り立つヘリオスフィアドラゴン。

 

「アタックステップ! ヘリオスフィアドラゴンの効果でトラッシュのコア全てをヘリオスフィアに戻し、そのままアタックだ!」

 

翼を広げて滑空し、一気に和人へと向かって行くヘリオスフィア。突っ込むと同時に烈我も手札から1枚のカードを構え。

 

「紫電と紅蓮を纏いし魔界の龍! 闘志に震える魂をもう一度呼び起こせッ! 魔界幻龍ジークフリードネクロ! ヘリオスフィアドラゴンに煌臨ッ!」

「!!」

 

ヘリオスフィアドラゴンの赤い体に迸る紫電、その身を鮮やかな紫へと変化させるとヘリオスフィアドラゴンはジークフリードネクロへと進化。

 

「ここで煌臨か!」

「煌臨時効果で俺のトラッシュからコスト0、1、3、6、9のスピリットをそれぞれ召喚できる! トラッシュからライトブレイドラ、レイニードル、煌星の第五使徒テティスの3体を一気に召喚だッ!」

 

ジークフリードネクロが持つ杖を翳すと、鮮やかにフィールドを照らし光を受け、フィールドへと舞い戻る三体のスピリット達。

 

「ジークフリードネクロLv.2、Lv.3効果、系統「星竜」を持つスピリットのアタック時、相手はスピリット1体を破壊しなければブロックできない!」

「(……成程。ライフを減らして次のスピリットを召喚されてもネクロの効果で牽制できるって訳か)」

 

後続のアタックを見越してであろうバトルに感心しつつも、迫るネクロによる攻撃自体はブロッカーがいない状況では防ぐ術はない。

 

「ライフで受ける」

 

杖を翳し空に黒雲が垂れ込めてゆくと、ネクロが杖を振り下ろすと同時に雲に迸る紫電の雷が一斉にバリアへと降り注ぎ、無数の雷撃に打たれバリアが破壊される。

 

「ッ!!! かなり効いたぜ……けど!」

 

ライフが減った事により手札に加わるが、その瞬間、思わず目を見開く和人。

 

「!?」

「……お前が来てくれたか。なら早速、力を使わせてもらうぜ!!」

 

何を引いたのかと疑問が浮かぶ中、手に持つカードを構えそして叫ぶ。

 

「大地揺らせ! 天に羽ばたけ!! 激神皇カタストロフドラゴン(Rv)Lv.3で召喚ッ!!」

 

大地を突き破り、天にも届きそうな程に巨大な翼を広げて降臨する紅蓮の龍────激神皇カタストロフドラゴン。

 

「カタストロフドラゴン……だと!?」

「(恐らく彼奴のキースピリットと言った所か。まさかまだこれ程のスピリットがいるなんて)」

 

巨大なカタストロフドラゴンの姿に驚く烈我達だが、驚く間もなくカタストロフドラゴンは大気を揺るがしかねない程の咆哮を轟かせ自身の効果を発動させて行く。

 

「カタストロフドラゴンの効果、俺の場の赤のスピリット1体につき1枚ドローし、さらに相手のBP20000以下のスピリット1体を破壊。対象はカタストロフドラゴン自身、よってネクロを破壊だ!」

「!!」

 

カタストロフドラゴンより放たれる獄炎はネクロを一瞬にして飲み込み、あまりに高温の炎はネクロの影も形残さず一瞬にして焼却し破壊してしまう。

 

「ネクロッ!!」

「まだだ、さらに1枚ドロー……ッ!」

 

再び引いたカードに和人の目の色が変わる。一瞬口元を緩ませた後、引いたカードを再びフィールドへと呼び出すべくそのスピリットの名を呼ぶ。

 

「赤き剣を振るいて全てを制す覇王(ヒーロー)! 勝鬨上げてフィールドに降り立て! 龍の覇王ジークヤマトフリード(Rv)Lv.3で召喚!!」

 

口にしたるは己が二体目のキースピリットによる召喚口上。天空に響く雷鳴、黒雲を裂き、赤い炎に輝く剣を振り翳しながら雷鳴と共に咆哮を上げる覇王の姿───ジークヤマトフリード。

 

「ぐッ!! ターン、エンド」

 

ネクロを失い突如として現れた強大な二体対し、残るスピリットではとても太刀打ちできる訳はない。やむを得ずターンを終えるしか烈我に手はなかった。

 

 

 

 

[光黄フィールド]

[Reserve]5個。

[Hand]4枚。

[Field]闇輝石六将幻想獣神キリンクスLv.3(3)BP5000、ペストコスLv.2(2)BP3000、創界神ラーLv.1

 

「俺のターン、ラーの神技の効果を使用! デッキから3枚オープンし、その中の想獣を持つカードをコスト合計8になるよう好きなだけ手札に!」

 

オープンされた三枚は「賢獣スピンクス」、「クダギツネ」、「想竜王ジュラン」の3枚。

 

「対象はジュラン。よってこのカードを手札に加える!」

 

その一枚は彼女のキースピリットではあるが、今無闇に突っ込んだ所でカタストロフドラゴンとジークヤマトフリードの二体の両方を対処できる訳ではない。

 

「(ジュランを出したとしても確実にどちらかに返り討ちにされる。今は動けそうにないな)」

 

無理に動くのは得策ではないと判断したのか、アタックステップへと移るが攻撃はせずターンエンド。

 

 

 

 

────第8ターン、和人side。

 

[Reserve]2個。

[Field]激神皇カタストロフドラゴン(Rv)Lv.3(4)BP20000、龍の覇王ジークヤマトフリード(Rv)Lv.3(4)BP18000。

 

「俺のターン、ドロー……!」

 

このターンで新たに加わる一枚、そのカードは。

 

「……待ってたぜ。相棒」

「!?」

「メインステップ! 暴れるぜ! 相棒ッ!!」

 

彼が相棒と呼ぶカード、若槻和人と言う人間にとってそれはただ一枚。

 

「炎纏いし龍の皇! 剣龍皇エクスキャリバス、召喚ッ!!」

 

煌めき輝くの炎が渦となって天へと上り、巨大な龍の姿を映し出すと炎を吹き払いその姿を露にする鋼の剣を携えし剣龍皇────エクスキャリバス。優雅に地面に降り立ち、眼光を輝かせる。

 

「エクスキャリバス召喚時の効果発揮! BP合計6000まで相手スピリットを破壊する!! エクスキャリバス、行けーーッ!!!」

 

全身に炎を纏うと標的をテティスとライトブレイドラへと定め、二体に向かって炎を纏い突進の如く文字通り激突。二体をぶっ飛ばし、テティスとライトブレイドラに二体は爆散。

 

「ッ!!」

「これが俺のキースピリット達だ! こっから全力全開で相手になるぜ!!」

 

"""ガアアアアアアアアァァァァァ────ッ!!!"""

 

一斉に咆哮を上げる三体の龍、それはかつて若槻和人が最も信頼するキースピリット達の姿であり、そして今烈我達の最大の壁となって立ち塞がる。

 

 

 

 

 




どうも皆さまブラストでございます!!
久々の本編! やっと更新できました!!!!
読んでいただいてる方にはまことに感謝感激でございます!!


そして今回は前回に続いて、激震の勇者のあの人とのバトル!
最後に並び立ったのはキースピリットのオンパレード!!!晴らして次回どうなるのか、後半戦もよければぜひお読みいただきたく思います!!!














さてここからはメタなお話。

対戦形式は初となる異界デッキバトル形式で行わさせていただきました!!
異界デッキバトルはアニメでも一回しか登場しておらず、ルールも事細かに明記されてない部分が多いので結構形にするのには悪戦苦闘しましたがそれでも大分楽しかったです!!

ただ一点、異界デッキバトル知ってる方もいらっしゃると思うので察していると思いますが一部ルールが個所があり、勿論私自身もそれを把握しておりますが、変更せざるを得ない理由が数点。
これ以上の話はさらにメタくなるので、また活動報告のほうで書かせていただこうかと。


長くなりましたが、此処までお読みありがとうございました!
次回の更新も頑張りますので、ぜひよろしくお願い致します!!!


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