バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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第39話【神を超えろ! vsゴッドキャリバス】

「さぁ勝負はこっからが本番だ!」

 

和人の言葉を皮切りに吼える三体のドラゴン。カタストロフドラゴン、ジークヤマトフリード、そしてエクスキャリバス。若槻和人と共に相棒として戦って来たキースピリット達。

 

「烈我、常に気を抜くなよ」

「分かってる。光黄こそ」

「当たり前だ、お前に言われるまでもない!」

 

これから来るであろう攻撃、烈我達だけでなくスピリットもまた咆哮に気圧されながらも受けて立つつもりの様に前傾姿勢で構えを取る。

 

「覚悟が出来てるなら早速行くぜ、まずは激神皇カタストロフドラゴンでアタック!!」

 

第一陣を担ったのはカタストロフドラゴン、この場で最も巨大な翼を広げ、大風を吹かせながら烈我達へと迫る。

 

「カタストロフドラゴンの効果! 相手に強制ブロック! そしてさらにブロックされたのならカタストロフドラゴンは回復する!!」

「ぐッ! レイニードル、ブロック頼む!」

 

回復されると分かっていても強制ブロックである以上、拒む事は出来ない。やむを得ずレイニードルにブロックを指示しレイニードルは前へと出るが、標的が行く手に立ち塞がった瞬間、カタストロフドラゴンは眼光を輝かせて、その効果によって回復する。

 

「カタストロフドラゴンは回復、これで再攻撃可能だ!」

「嫌、そうはさせない!」

「!」

 

手札を構え口火を切って見せたのは光黄。彼女に対して反応を示す和人だが、リアクションの言葉が出るよりも早く彼女は構えた一手を繰り出す。

 

「フラッシュタイミング! フェアヴァイレ!」

「二枚目か!!」

「効果で激神皇カタストロフドラゴンはこのターン、アタックとブロックは出来ない!」

 

立ち塞がるレイニードルに片腕を振り下ろし、叩き潰され呆気なく破壊され爆散するレイニードルだが、バトルを終えた瞬間、マジックによってカタストロフドラゴンは見えない鎖で縛られたかのように拘束され身動きを封じられてしまう。

 

「光黄、ありがとう」

「礼はいい、まだまだ来るぞ!」

「ッ!!」

 

「その通り! 次鋒を頼むぜ、ヤマト!!」

 

「任せろ」と言わんばかりに吠えながらカタストロフドラゴンよりも猛々しく力強く翼を羽ばたかせると、弾丸の如き速さで一気に烈我達へと突っ込む。

 

「アタック時効果、このスピリットのBP以下の相手スピリットを破壊! ペストコスだ!!」

 

速度を維持したまま火炎放射を吐き付けると、ペストコスは炎に一瞬で飲まれ爆散。

 

「ペストコスLv.2の効果、系統「想獣」が相手によってフィールドを離れる時1枚ドロー! アタックはライフで受ける」

 

展開されるライフにジークヤマトフリードは構えた剣を豪快に振り下ろしてバリアをガラスの如く粉々に破壊する。

 

「「うああああッ!!」」

 

攻撃による相応の痛みと衝撃が烈我と光黄を襲う。痛みに声を上げながらも倒れることなく踏み止まるが。

 

「まだ俺には攻撃できるスピリットが残ってるぜ。この俺にとって、若槻和人にとって一番の相棒がな!!」

「「!」」

「エクスキャリバス、殿はお前だ! アタック!!」

 

力強く前に踏み出すと鋼の翼を羽ばたかせ、初速から高速で飛び上がるエクスキャリバス。遥か上空まで飛び上がると標的に狙いを定め一気に急降下。

その身に炎を纏いながら狙いを定めた標的に真っ直ぐ突っ込んでいく。

 

「エクスキャリバスの効果、【激突】! 相手は可能なら必ずブロック!」

「ッ! キリンクスでブロック!」

 

ブロッカーとなるスピリットは光黄の場のキリンクスのみ。彼女の指示にキリンクスは迎え撃とうと角に電撃を溜め込み、迎撃するかのように貯めた電撃を放出していくがエクスキャリバスは避ける素振りすらなく電撃を弾き返しながらひたすらに真っ直ぐ突き進み、そのままキリンクスへとぶち当たり後端の壁までぶっ飛ばし破壊されてしまう。

 

「俺のターン、終了! どうだ見たか、これが俺の相棒達だ!!」

 

彼にとって最も信頼に足るスピリット達、エクスキャリバス達もそれを誇るように今一度咆哮を張り上げ、吹き飛ばされる程の風圧に烈我達は必死にその場に踏み止まる。

 

「(……ッ! 大型のスピリットが三体、どれも厄介だな)」

 

追い詰められつつある状況に苦虫を噛み潰すように表情を険しくさせる光黄、一方で烈我は三体のドラゴン達の姿をただじっと見つめたまま。

 

「……」

「烈我、どうかしたのか?」

「……ぇ」

「?」

 

烈我の様子に気付いて声を掛けるが、彼女の言葉に対しても視線を背けず小さく声を発したかと思うと。

 

「すげぇ! すげぇ!! カッコイイドラゴン達とのバトル、最高すぎるぜ!!」

 

歓喜の表情でありのままの気持ちを叫ぶ烈我。

 

「バカ烈! そんな事言ってる場合か! 今の状況分かってるのか!!」

「ご、ごめん……でも!」

 

これには思わず呆れたように叱咤する光黄、彼女からの指摘に罪悪感を感じながらも根っからのバトラーである烈我にとって興奮を抑えきれない様子だった。

 

「負けられないバトルだってのは分かってる。それでも俺は……今のこのバトル、楽しくって仕方ねえ! 」

 

喜々として目を輝かせる烈我、釣られるかのように和人もまた口角を上げて。

 

「ははは、本当に最高だよなお前等。俺も同じだ、ワクワクが止まらねえ!」

 

「お前等って……俺を烈我と一緒にするな」

「ちょ、光黄それどういう意味だよ!」

「そのままの意味だ。バカ烈」

 

呆れ気味の光黄だが、二人のやり取りになおも可笑しそうに笑う和人。僅かに口を開き、小さく言葉を零すように。

 

「……最後にお前等とバトル出来て、本当に良かった」

「?……和人、さん?」

「何でもねえ。それに「さん」も余計だ。今はお互いバトルに集中しようぜ! 今だけは試練も何もかも関係ねえ!! お前らのバトル、もっともっと見せてくれ!」

「あぁ、俺と光黄の全力がどれ程か、思い知らせてやるぜ! 和人!!」

「おぉ、存分に来やがれ! 烈我!!」

 

「だから俺を巻き込むなと……全くホントに似た者通しのバカ」

 

溜息を吐きながらも火花を散らしながら笑い合うバトル馬鹿(和人と烈我)の二人を可笑しく笑うように口元を緩ませる光黄。だがそれでもまだバトルは継続中、直ぐに意識をバトルフィールドへと切り替える。

 

「烈我、集中しろ。とにかくこのまま押される訳には行かない」

「分かってる。楽しんでばかりもいられない。こっからきっちり反撃だ!」

 

 

 

 

────第9ターン、烈我、光黄side。

 

[烈我フィールド]

[Reserve]12個。

[Hand]5枚。

{Field]創界神アポローンLv.1

 

「バーストセット! 行くぜ! 此奴の前に絶対はねぇ! 鉄壁の壁だろうが無敵の相手だろうが一撃必中必殺の矢を叩き込めッ! 龍星の射手リュキオースLv.3で召喚ッ!!」

「!」

 

灼熱の炎が火柱となりフィールドを照らし、左右へと展開されると、その中央を駆ける一匹の獣。否、獣に跨りし白き龍──リュキオース。

 

「召喚時で【龍射撃】発揮ッ!! BP20000以下の相手スピリットを破壊! 俺が選ぶのは……カタストロフドラゴン!」

 

自身よりも遥かに巨大な激神皇(カタストロフドラゴン)と相対し、弦を引く手に力を込めていくリュキオース、しかし相手の攻撃態勢をただ黙って見守るだけの筈はなく、激神皇もまた敵を返り討ちにすべく自らの口内に炎を溜め込み、視線は真っ直ぐリュキオースを捉える。

 

睨み合う二体の龍。寸刻も満たさぬ内にカタストロフドラゴンは炎を溜め切って獄度の火球をリュキオースへと放つが、迫り来る火球に微動だにせずただ一点のみを視線に捉えて構えた矢を射出。

矢は蒼炎を纏い寸分の狂いもなく直線を描いて火球をぶち抜き、巨大なカタストロフドラゴンの身体を撃ち貫くと、絶命の断末魔を上げながら大爆発を起こす。

 

「カタストロフ……ッ!! やってくれたな」

「どんなもんだ!!」

 

主力の一体である相手のキースピリットの撃破。だがまだ安心は出来ない。カタストロフドラゴンを倒せどまだ相手の場にはジークヤマトフリードとエクスキャリバスの二体。あくまでも主力の内の一体を倒しただけに過ぎない。

 

「(相手の残りライフは3、一気に攻めたいけど相手からどんな手が出てくるか分からない)」

 

バトルを楽しむ気持ちはあれど判断力は欠けてはいない。異界バトルという性質上、相手の手から何が飛び出すのか、それを予測する事は不可能に近い。

 

「俺のターンはここまでだ。光黄、頼む」

「あぁ」

 

バトンを繋ぐように光黄へとターンが移る。

 

 

 

 

[光黄フィールド]

[Reserve]12個。

[Hand]5枚。

[Field]創界神ラーLv.1。

 

「(……俺の場にスピリットはない。対して相手にはまだ二体のスピリット、このままじゃジリ貧だな)」

 

カタストロフドラゴンを退けはすれど苦しい状況には変わりない。

 

「(迂闊に攻める訳には行かないが、何れにしてもこのままじゃ押し切られる。だったら……!)」

 

覚悟を決めたのか、視線を鋭くさせながらメインステップを進めて行く。

 

「烈我、一か八かだ。ここで一気に勝負に出る!」

「光黄!?」

 

彼女の言葉に驚きを隠せないように彼女の方を振り向くが、彼女の表情から決意が伝わったのか、直ぐに落ち着き払い「分かった」と返事を返す。

 

「お前を信じる! 任せたぜ光黄」

「任せろ。必ず決める!!」

 

信頼する烈我に、より一層決意を固めると手札を構え、その手に構えられたのは前回自分の手に加わった想龍王ジュラン。

 

「来い! 新しき時代の王者! 可能性秘めしその無限の翼で飛び上がれ! 想竜王ジュラン、Lv.2ッ!」

 

黒雲に染まる空、だが次の瞬間、黒雲を裂く刃の如く鋭く巨大な翼を広げて眼光を輝かせながら空を舞う幻想の龍────ジュラン。

 

「そいつがお前のキースピリットか。相手にとって不足はないな!」

「あぁ、そしてこれが俺の全力だ。決め切らせてもらうぞ!」

「来いよ! こっちも端から全力だぜ!!」

 

目をギラ付かせながら攻撃を真っ向から受けて立つつもりの和人に対し、彼女もまた静かに己の闘志を燃やしながら構える。

 

「アタックステップ! 想竜王ジュラン、アタックッ!」

 

指示を下しジュランは翼を広げて急降下、和人目掛けて突っ込んで行く。

 

「アタック時効果、俺達のライフを一つ回復。さらにLv.1、2の効果、コスト5以上の黄色のスピリット、コスト8のジュラン自身のアタックにより【転醒】! 」

「転醒ッ!?」

「いざ真の姿を見せろ! 火山竜王ジュランッ!」

 

ジュランの体に灯る赤い光、真っ赤に光り輝きながらジュランは雄叫びを上げると閃光と共に起こる超新星の如し爆発。爆煙に周囲が包み込まれる中、その中央で赤い眼光が輝くと煙を引き裂いて姿を現す。

 

"ガアアアアアアァァァァァーーーーッ"

 

耳を劈く程の咆哮を天へと轟かせる赤き竜の姿、正しく火山竜王へと転醒したジュランの真の姿である。

 

「転醒時効果発揮! このスピリットの転醒時、相手のシンボル一つのスピリットを破壊する!」

「!」

「対象はジークヤマトフリード!」

 

両爪に炎を灯しジークヤマトフリードへと距離を詰めると、構えた爪牙を振り下ろし咄嗟にジークヤマトフリードも手に持つ草薙の剣を振りかざし応戦。剣と爪が幾度となく斬り合い、埒が明ないと見るや両者互いに吠え上がり、渾身の力を込めて剣と爪を振り下ろしぶつかり合う激しい金属音を響き渡らせながら鍔迫り合う。

 

繰り出した両者の一撃は互角、拮抗するように押し合う両者だがジュランは今一度咆哮を上げて爪牙により一層力を込めると次第にジークヤマトフリードは押され始め、ジュランはさらに咆哮を張り上げると、剣を押し退け爪牙による一閃。身体に爪痕を刻まれ、ジークヤマトフリードは仰向けに倒れ伏し爆発四散。

 

「ヤマトまで……!」

「まだ終わりじゃない、さらにフラッシュ! イエローリカバー!」

「!?」

「回復しろ! ジュランッ!」

 

今度は標的を和人へと向けると、飛び上がって標的へ突っ込んで行くジュラン。イエロリカバーによる光の加護を受け再攻撃の体制も万全。

 

「(ジュランのシンボルは二つ、光黄の攻撃が全部決まれば勝てるッ!)」

 

拳に力を込めながらこのままジュランの攻撃が全て決まる事を願う烈我。果たして願いは届くのか、緊張が走る中ジュランの攻撃が和人の前に展開されたバリアに炸裂しライフが削られる。

 

「ッッッ! 効いたぜ……けど、俺の減ったライフは二つ。それに合わせて2枚カードを引かせてもらうぜ!」

「(鬼が出るか蛇が出るか、ここが正面場だな)」

 

息を飲んで相手の次の手に備える光黄達。現在フィールドにいるジュランは転醒時だけでなくアタック時にも相手のシンボル一つのスピリットを破壊できる効果を持つ。並大抵のスピリットを展開した所で今のジュランならば容易に蹴散らせるが、問題は相手の手が並大抵のものであるかどうかだが。

 

 

 

 

「……俺が引いたカードは、二枚ともゴッドブレイクだ」

「「!!?」」

「こいつは起幻を持たない相手の創界神を破壊する。アポローンとラーを破壊だッ!」

 

雲を突き破り現れるは神へと下す裁きの鉄拳、二本同時に降り注ぐ両拳はアポローンとラーを押し潰し破壊されてしまう。

 

「ッ!」

「まだだ、この効果発揮後さらにデッキからドロー。合計で二枚ドローだ!」

 

再び和人の手に加わるカード、そして引いたカードが視界に映った瞬間、口角を上げて意味深な笑みを見せる。

 

「(何を加えたんだ?)」

 

二人に緊張が走る中、和人は静かに加えた手札を構える。

 

「まず一枚目、マジック! ハイエリクサー!!」

「白のマジックだと!?」

「効果で俺のライフ二つを回復!」

 

折角ジュランが削ったライフダメージを帳消しにするかのように元通り回復し、思わず表情を歪ませるが。

 

「それぐらいで動揺するのは早いぜ! まだ俺の手札は残ってる!」

「「!」」

 

和人の手札に握られたもう一枚のカード、それは。

 

 

 

 

「闇を焼き払え! 希望となる伝説の力を今解き放てッ!! 剣龍神ゴッドキャリバス、召喚だぁーーッ!!!」

 

フィールド全てを焼き焦がすほど熱く激しく逆巻く火柱、紅蓮の火柱は天へと昇り空の中へと消えたか思うと、次の瞬間、雲を吹き払い出現する巨大な炎の球体、太陽の如く輝く炎の塊は空を赤く焦がし、炎の中に蠢く龍の影。

現れたるは、エクスキャリバスに近い見た目ながらもその姿はより雄々しく、天を切り払う頭部の刃。白銀へと輝く龍王、否、龍神、ゴッドキャリバスの降臨である。

 

「刮目しろ! これが俺の最強の相棒! ゴッドキャリバスだッ!!」

 

 

"グオオオオオオォォォォォ────ッ!!"

 

 

「「!!」」

 

ついに姿を現す最強の龍、咆哮による風圧に吹き飛ばされまいと必死に踏み止まる二人。

 

「これがゴッドキャリバス……!」

「ハイドカードの……頂点!」

 

「今更ビビるなよ? ゴッドキャリバスの本領はここからだぞ!」

「「(来るッ!)」」

 

和人の言葉に仕掛けてくることを直感し、即座に構える二人。

 

「ゴッドキャリバスの召喚時効果! BP10000までになるよう相手スピリットを破壊する!! リュキオースだ!」

 

眼光を輝かせ、リュキオースに狙いを定めて口を開き特大の火炎放射を吐きつけると、リュキオースの体は一瞬で炎に飲まれ、跡形も残さずに爆散。

 

「リュキオースッ!?」

「(ッ! ジュランは回復してる。再アタックすれば……!)」

 

「まだだ!」

「!!」

 

ゴッドキャリバスを倒せる、そう確信する光黄だが和人の言葉通りまだゴッドキャリバスの効果は終わっていない。

 

「この効果で相手のスピリットを破壊したとき、破壊したスピリット1体につき俺はトラッシュにある「古竜」を持つスピリットを召喚できる! 選ぶのはコイツ! 甦れッ!! 激神皇カタストロフドラゴンッ!」

 

ゴッドキャリバスの傍らで吹き上がる火柱、だが次の瞬間、炎を振り払いフィールドに舞い戻りし激神皇が咆哮を轟かせる。

 

「カタストロフドラゴンの召喚時効果、俺の場の赤のスピリット1体につき1枚ドローし、さらに相手のBP20000以下のスピリットを破壊!!」

「ッ!?」

 

カタストロフドラゴンから放たれる巨大な火球弾、防ごうと腕を構えて防御姿勢を取る。が、激神皇から繰り出される一撃に耐え切れる筈がない。直撃を受け大爆発共にジュランは破壊される。

 

「ジュランッ!!」

「そんな、光黄のキースピリットまで……!!」

 

キースピリットの破壊に拳を握り締めるが感傷に浸る暇などない。現在和人の場に赤のスピリットは自身を含め三体、カタストロフドラゴンの効果でさらに3枚のカードを加えていく。

 

「大龍城本丸と天空を貫くバリスタの二枚を配置、さらに三枚目! 覇王の頂点に座する最強の黒龍! 無数の剣で思うが儘に敵を蹂躙せよッ! 天剣の覇王ジークスサノフリード! 召喚ッ!!」

 

天から地上に向けて降り注ぐ無数の剣、剣は円状となってフィールドへと突き立てられると、中心から吹き上げる炎と共にフィールドへと姿を現す黒龍────ジークスサノフリード。

 

「……ターン、エンド」

 

スピリットを失い烈我も光黄もこの状況でできることは無い。憤りを感じながらもターンを終了する他なかった。

 

「烈我、悪い。決めきれなかった」

「気にするなよ。お前の責任じゃない、それにこのターンがダメでも最後に勝てばいいんだ! 俺はお前となら負ける気なんてしない! 光黄だってそうだろ?

「……烈我」

 

純粋な烈我の言葉に少しだけ頬を染めながらもすぐにバトルに意識を切り替える。

 

「言われるまでもない。負ける気が無いのは俺も同じだ!」

「あぁ、それでこそ光黄だぜ!!」

 

ターンを終え、和人へとターンが移っていき。

 

 

 

 

────第10ターン、和人side。

 

[Field]剣龍神ゴッドキャリバスLv.2(2)BP13000、剣龍皇エクスキャリバスLv.2(3)BP8000、激神皇カタストロフドラゴンLv.3(4)BP20000、天剣の覇王ジークスサノフリードLv.4(7)BP20000、大龍城本丸Lv.1(0)、天空を貫くバリスタLv.1(0)。

 

「メインステップ! お前らの残りライフは4、このターンで全部ぶっ壊すッ!!!」

「「!!?」」

 

力強く豪語する和人、更なる切り札を呼び出すべく彼は叫ぶ。

 

「絶の名を冠する六体が神の一体! 己が極めしは『剛力』! 根源へと至るその力の全てを解き放てッ!! 六絶神剛力のドラグマグナ、召喚ッ!!!」

 

大地を激しく揺るがす程の大地震、大地だけでなく空や大気さえも激しく揺れ動く程。全てを揺るがす振動と共に巻き起こる地割れ。砕けた大地は隆起し始めたかと思うと、爆発のような衝撃音を轟かせ現れる龍、ドラグマグナ。

 

"ガアアアアアアァァァァァ────ッ!"

 

剣龍神、激神皇、そして六絶神。フィールドを圧迫する神を冠する龍達の姿、そのあまりの殺気と重圧に烈我も光黄も思わず絶句、言葉を失う程の迫力。

 

 

「……す、すげぇ」

「!」

 

だがこの状況でなお最初に烈我が発した言葉は歓喜と、真っすぐな笑みだった。

 

「本当にお前はここまで来て……!」

「……ごめん。でも正直、こんな強大なスピリット達を前にして怖いって感じる事もある」

「烈我?」

 

今の状況にオメガデッドと相対した時の記憶が脳裏をよぎる。だが。

 

「でも俺はもう挫けない! だって今の俺は一人じゃない! だって一緒に戦ってくれる大切な仲間(光黄達)がいる! 何よりこんな強いスピリット達と! 和人のような強い人とバトルできる事が、これ以上に無く嬉しいんだ! こんなにぎりぎりに追い詰められた状況の今でも、嫌、だからこそ! 最高にワクワクしてるんだ!!」

「全く、ホントにバトル馬鹿だなお前は、でも」

 

本当は烈我以上にこの状況に気圧されそうになっていた。決して口にはしないけれど烈我以上に恐ろしいと思う気持ちは強かった。だがそれでも彼女は戦う。何故なら烈我と同じように彼女もまた、烈我を信頼し、信頼されているからこそ安心して戦う事が出来る。烈我の熱気に当てられたのか、少しだけ彼女も口元を緩ませて。

 

「たまにはお前みたいに、馬鹿になって楽しむのも悪くはないかもな」

「えっ!?」

「何でもない。それより、今はどう攻撃を凌ぐかに集中しろ!」

「あぁ、分かってるぜ!!」

 

「本当にお前らとのバトルは楽しいぜ。こんな状況でも少しも怯まねぇ堂々とした表情! だからこそだ!! だからこそ俺も、一切躊躇う必要はねぇッ!!」

 

和人もまた笑いながら本気の全力。歓喜する和人、彼と同じ思いであるかのようにゴッドキャリバス達は一斉に咆哮。

 

「エクスキャリバスをLv.1、ジークスサノフリードをLv.2へダウンさせ、取り除いたコアを全てドラグマグナに移動! Lv.3だ!!」

 

エクスキャリバスとジークスサノフリードは減少する力に肩を落とすが、対照的にドラグマグナは高まる力に雄たけびを上げながら両拳を打ち鳴らしていく。

 

「アタックステップ! 開始時により大龍城とバリスタの効果! 俺のスピリット全てをBPを加算、二枚合わせて合計BP+5000ッ!!」

 

バリスタは赤きオーラを、巨城にして龍の体を持つ大龍城は味方を鼓舞する激励のオーラをスピリット達へと齎し、スピリット達の力をより高めていく。

 

 

「剛力粉砕ッ!! ドラグマグナ、アタックッ!!!」

 

両拳に炎を、否、マグマのように拳を熱く燃え滾らせフィールドを駆け出すドラグマグナ。

 

「ドラグマグナのアタック時効果! 自分の赤のスピリットがアタックした時! ドラグマグナのBP+10000! さらにドラグマグナがアタックしたことで、カタストロフドラゴンのBPをさらに+10000!!! これだけじゃねぇ、ドラグマグナのLv.3効果! BP30000以上のスピリット全ては赤のシンボル3つとなるッ!!」

「「!」」

 

現在ネクサスの恩恵と効果でBPが一気に高められ、ドラグマグナはBP30000、カタストロフドラゴンはBP35000となっている今、二体共にトリプルシンボル。

 

「ぐッ! 今防ぐ手はねぇ、ライフで受ける!!」

「トリプルシンボル! 全霊の一撃を叩き込めッ!!」

 

展開されるバリアに対しドラグマグナは両拳を同時に突き出し、己の全てを叩き込み、これまでの比にならない程の衝撃が二人へ襲い掛かる。

 

 

「があああああッ!!!」

「うあああああッ!!!」

 

吹き飛ばされる二人、ライフは3つ一片に砕け散り、一気に残り1つ迄に追い込まれてしまう。

 

「光黄……大丈夫か?」

「お前、こそ……!」

 

だが追い込まれながらも、フラフラになりながらもなお立ち上がる二人。

 

「烈我、これぐらいでへばるなよ? ここで負けてるようじゃ、一生ヘルに……それに俺にも勝てないからな」

「へへっ、ならなおさら負けられねぇな。ヘルにももちろん勝ちたいし、何より俺はいつかお前にも勝って絶対告白するんだ!」

「バカ烈! こんな時に恥ずかしいことを……ッ!!」

 

顔を赤くしながらも、どこか楽しげに笑い「でも」と彼女は言葉続けながら。

 

「この際勝てるなら何でもいい! やるぞ、烈我!!」

「おぉ、俺と光黄のタッグなら……何だって! どこまでだって行ける!!」

 

二人の目に諦めるという言葉など皆無、二人の目に宿るのは最後の最後まで戦い抜く闘志。

 

「ライフ減少時でバースト発動! ドラグーンシュート!!」

「何!?」

「バースト効果でコスト6以下のスピリットを召喚! Lv.3で復活しろ!! リュキオースッ!!」

 

トリガー引かれる烈我のバースト、ドラグーンシュートにより異次元の扉が開かれ、空間から吹き荒れる炎と共に舞い戻るリュキオース。

 

「龍射撃ッ! ジークスサノフリードを貫けッ!!」

 

空間から飛び出すと同時に破壊の矢を撃ち込むと、炎の矢はジークスサノフリードの体を貫き、貫かれた個所から全身に炎が燃え広がり、力尽きて爆発四散。

 

「!」

「さらにコストを支払いドラグーンシュートの効果、相手スピリット1体のコアをリザーブに!」

 

リュキオースの矢に込められる紫のオーラ、今度は標的をエクスキャリバスに向けて射出すると紫の矢はエクスキャリバスのコアを奪い、維持コストを失い、鳴き声を上げながらも場から消滅。

 

「エクスキャリバス!!?」

 

最も信頼するキースピリット、その消滅には流石に堪えた様に拳に力が入る。だが悔しい気持ちはあれど、今はそれ以上に。

 

「…………ハハ」

「!」

「ホントすげぇなお前等、どんな状況でも決して諦めねぇ。しつこくなるけど、改めて言うぜ! やっぱ最高だお前等!! お前らに勝ちたい。俺もスピリット達も心の底からそんな気持ちが溢れて来る!! 生まれて初めてだ! こんなに気持ちが高鳴るのはッ!!」

 

若槻和人としての人格だからではない、今烈我と光黄と戦っている一人のカードバトラーとしての純粋な感情が彼の心を熱くさせる。

 

「全力全開、嫌、限界の果ての果てまで超えて俺達の全部を出し切る!!! カタストロフドラゴンッ!!!」

 

和人の叫びに倒された味方の敵を討たんとこれまで以上の咆哮を上げて烈我達へと向かっていき、カタストロフドラゴンの効果によりリュキオースはブロックを余儀なくさせられる。

 

「リュキオースでブロック!」

「ブロックされた事でカタストロフドラゴンは回復し、BPは350000だッ! カタストロフ、やられた借り、今度こそお返ししてやれッ!!」

 

一度やられた雪辱の相手、カタストロフドラゴンは両腕をリュキオースへと叩き下ろし、咄嗟に一歩下がってリュキオースは振り下ろされた剛腕による一撃を回避。反撃に転じてカタストロフドラゴンに向けて炎の矢を撃ち放つが、放たれた矢にカタストロフドラゴンは喰らい付くと、矢を噛み砕き粉砕。

 

 

「ぶっ潰せ!! カタストロフッ!」

「させるか!」

「!!」

 

和人に対して手札を構えて切り出す光黄。

 

「フラッシュ! ジェネラル瀬戸大将をマジックとして使用!」

「!」

「このバトルの間、カタストロフドラゴンとリュキオースはBPではなくレベルを比べてのバトルになる!」

「ッ!!?」」

 

 

リュキオースとカタストロフドラゴン、双方共にLv.3同士であり同じレベルならば相討ち。バトルではカタストロフドラゴンに矢を放ち続けるリュキオースだが、カタストロフドラゴンは剛腕で矢を全て叩き落しながら迫っていくと、一気にリュキオースへと喰らい突き、その身に牙を突き立て、激痛にリュキオースは絶叫を上げる。

だが、今一度歯を食い縛り痛みに堪え切ると手に持った弓を投げ捨て矢を掴み、ありったけの炎を矢に込めると、握りしめた矢を直接カタストロフドラゴンの首元へ突き刺す。

 

"!"

 

致命傷となり得る一撃、だがなおカタストロフドラゴンは牙を離さない。刺し違えんと言いたげに目を見開き、喰らい付く牙に炎を込めてリュキオースを焼き焦がし、互いに力尽きる瞬間、二体の龍は共に大爆発を起こす。

 

「カタストロフ……ッ!!」

 

「光黄、ありがとう」

「礼ならまだだ。彼奴の攻撃はまだ終わってない!」

 

「その通りだよ! 残りライフ一つ、フィニッシュを決めるぞ!! ゴッドキャリバスッ!!」

 

 

"グオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォ─────ッ!!!!!"

 

 

一度目よりさらに荒らぶり昂る剣龍神の咆哮、必ず奴等を仕留める、という想いをその目に込めながら飛び上がっていく。

 

 

「ゴッドキャリバス! アタックッ!!!」

 

全身に炎を纏い、特攻を仕掛ける様に最高速度でかっ飛んでいくゴッドキャリバス。このまま決まれば二人の敗北は必須だ。

 

「烈我ッ!!」

「分かってる!!!」

 

光黄の想いに応えるように頷く烈我だが、無慈悲なまでにゴッドキャリバスは展開されたバリアへとぶち当たると、バリアを焼き焦がし粉々に粉砕しライフを破壊。

 

「「うわあああああッ!!!」」

 

ライフが砕け吹き飛ばされる二人、決着と見るやゴッドキャリバスは静かに和人の場に戻り地面へと降り立っていく。

 

「……勝った……!!」

 

勝利を確信するように呟く和人、だが直後。

 

 

「「まだだぁッ!!」」

「!!?」

 

ライフを失った筈にも拘らず烈我も光黄もまだ倒れてはいない。息は絶え絶えになりながらも互いに肩を支え合って踏み止まり、彼らの胸には失った筈のライフがまだ一つ光り輝き続けていた。

 

「な、何で……!?」

「マジック、シャドウエリクサー! フラッシュ効果でリザーブのコア一つをライフに置く事ができる!!」

「ッ! そういう事か……!」

 

攻撃を受ける直前に二人のライフは2となった事でゴッドキャリバスの攻撃の攻撃を受けてなおまだライフは1つ残る。和人の攻撃を全て受け切って見せたのだった。

 

 

「……ハハ、ハハハハハ!!」

 

攻撃を防がれた筈、にも拘らず悔しさを感じさせない満面の笑みで和人は笑っていた。

 

「まさか本当に耐えきるなんて思ってもなかった。お前ら二人、想像以上に強くて面白くて最高すぎる!!!」

 

ギラギラとした表情で二人を見ながら。

 

「けど俺だってまだ諦めてねぇぞ! このターン決められなかったってだけだ!! 勝負が終わった訳じゃない!! 次のお前らの攻撃を耐え切って、今度こそ勝ちは俺達がもらう!!」

 

和人に呼応するように勇ましく吠えるドラグマグナとゴッドキャリバス。客観的に見て、次に和人にターンを渡せば烈我達の勝利はまず皆無だろう。だが二人の闘志は留まる事を知らず。

 

 

 

 

「上等。それでも勝つのは俺、嫌」

「あぁ! 俺と光黄! 俺達二人で必ずお前に勝つ!!」

 

恐らくラストターンになるであろう状況でも二人に不安な感情は一切なく、勝利だけを見据えた宣言を和人に言い放ち、二人の言葉に和人は口角を上げて。

 

「言ったな! なら来てみろッ!! 絶対耐え切ってやるッ!!!」

 

 

 

 

────第11ターン、烈我、光黄side。

 

「俺のターン、ドローステップ……!」

 

手札に加わる一枚、加わったカードに一瞬烈我の目が大きく見開く。

 

「……光黄」

「!」

 

光黄の方へと視線を向け、顔を見合わせながら。

 

「このターン、決めるぜ!」

「!……分かった」

 

静かに頷いて見せる彼女に、笑いながら自身のメインステップを続けていく。

 

 

[烈我フィールド]

[Reserve]16個。

[Hand]3枚。

{Field]無。

 

 

「さぁ何が出る?」

「今見せてやるぜ!! 闇をも照らす光の聖剣ッ! 真紅に輝く炎で闇を斬り払えッ!! 輝きの聖剣シャイニングソードX召喚ッ!!」

 

空を照らしながらフィールドから地上へ降り注ぎ、大地へと突き刺さる巨大な聖剣。

 

「さらに召喚! 蝕星龍ジークヴルムヴェガッ!!」

 

ジークヴルムと星座を現すヴェガ、二つの名を携わりし龍、ジークヴルムヴェガ。漆黒の翼を広げフィールドへと舞い降りる。

 

「輝きの聖剣シャイニングソードX、ジークヴルムヴェガに合体(ブレイヴ)!」

 

深々と突き刺さるシャイニングソードを掴み、引き抜いて宙へと投げると柄を咥えて剣を掲げ合体(ブレイヴ)スピリットとなる。

 

「アタックステップ! 合体スピリット、アタックだッ!!」

 

唸り声と共に空へ羽ばたき、飛び出していくジークヴルムヴェガ。

 

「ジークヴルムヴェガのアタック時効果! 相手の疲労状態のスピリットに指定アタックできる!! 剣龍神ゴッドキャリバスに指定アタックだッ!」

「!?」

 

左右合わせて4つの複眼全てでゴッドキャリバスを睨み、上空から一気に急降下、ゴッドキャリバスに向けて咥えたシャイニングソードを振り下ろし、ゴッドキャリバスは頭部の剣で応戦。合体スピリットの一撃を受け止め、衝撃に足場に亀裂が走り瓦礫が飛び交うが、踏ん張って耐え切るとジークヴルムヴェガを弾き返し、自らも翼を広げて上空へと飛び上がる。

ゴッドキャリバスの姿を見上げ、後を追ってジークヴルムヴェガも飛び上がり二体の龍の激突は空中戦へと移行し、雲を突き抜けて烈我達から見えない程の上空で互いに剣を振るい斬り合う二体の龍。

 

 

””グルアアアアアアアアァァァァァァ────ッ!!””

 

遥か上空から地上にまで轟く程強烈な二体の龍による咆哮、続けさまに『ガキィィン!』と激しい金属音を幾度となく鳴らし響かせながら斬り合う二体の龍。

 

「合体スピリットのBPは9000! ゴッドキャリバスには及ばねぇ! そのまま決めろぉッ!」

 

より強く吠えて見せると、大きく振りかぶるように構え一気に刀身を振り下ろし、シャイニングソードXで受け止めるが、あまりの威力に一気に叩き落され墜落していくジークヴルムヴェガ。

決着をつけるかのようにゴッドキャリバスのみが再び炎へ包まれていくと、ジークヴルムに向けて炎を纏っての特効。ジークヴルムヴェガも地面へ墜落する前に空中で体勢を立て直す。しかし立て直した直後安堵する間もなくもう目の前まで迫るゴッドキャリバス。頭刀の刃を突き出し、ジークヴルムヴェガも迫るゴッドキャリバスを迎撃するべくシャイニングソードXによる一閃、互いの剣による一撃を繰り出す。

攻撃を繰り出し突っ切るゴッドキャリバスに対し、ジークヴルムヴェガはガクッと体勢を崩し始めると力尽き空中で爆発四散。

 

「ジークヴルムヴェガ、ごめん! でもこの瞬間を待ってた!!」

「!?」

「輝きの聖剣シャイニングソードXの効果! 合体スピリットが相手によって破壊された時、転醒ッ!!」

「何ぃッ!!?」

 

爆発の中、爆煙を吹き飛ばしてより強く光り輝くシャイニングソードX。

 

「聖剣の光は奇跡となり、灼熱烈火の龍へと進化を果たすッ! 輝きの聖剣シャイニングソードX 転醒化身! 降臨しろぉッ!!!」

 

 

シャイニングソードの輝きが最高潮に達し、光に視界が覆われる中、視界が晴れ目の前に移ったのはシャイニングソードを握り締めた白き龍、転醒化身となったシャイニングソードの真の姿。

 

「転醒化身、だと!?」

「あぁ、そしてこれで決める! シャイニングソードX 転醒化身でアタックッ!!」

 

剣の切っ先を向けながら真っすぐ和人へと飛び出す転醒化身。

 

「俺のライフはまだ3つ! スピリット1体のアタックだけじゃライフは削り切れねぇ!!」

「オイ!」

「!」

 

手札を構えながら和人に対して呼びかける光黄。

 

 

「俺がいる事を忘れるなよ! フラッシュ! シーズグローリー! 効果でゴッドキャリバスをBP-7000!」

「ッ!!」

 

 

シーズグローリーによって放たれる電撃がゴッドキャリバスへと直撃。だがまだ一手及ばずゴッドキャリバスは耐え切るとシーズグローリーによる電撃を払い除ける。

 

「その程度でゴッドキャリバスは倒れるかよ!!」

「勿論承知の上だ!」

「!?」

 

視線を変えて見せる光黄に和人もまた彼女と同じ視線の先を向けると手札を構える烈我が写り。

 

「俺もフラッシュタイミング! マジック!! シーズグローリーッ!」

「二枚目!?」

「ゴッドキャリバスのBPをさらに-7000ッ!」

 

連撃の如く降りかかる雷、一度目は耐え切って見せたゴッドキャリバスだが二度目の雷撃には流石に耐え切れず力尽き大爆発を起こす。

 

「ゴッドキャリバスが……ッ!!!」

「相手を破壊したことによりシーズグローリーも転醒発揮だァッ!!」

 

手に持つシーズグローリーのカードを掲げ、力を解き放つ様にシーズグローリーのカードは転醒化身同様、本来の姿へと変化を遂げる。

 

「七色に輝く天空の光、その輝きは闇を穿つ閃光の槍と化すッ! 転醒ッ! 天醒槍ロンゴミニアスッ! シャイニングソードX転醒化身に直接合体(ダイレクトブレイヴ)ッ!!」

 

虹色の光放つロンゴミニアスに転醒化身は腕を伸ばして掴み取ると、ロンゴミニアスとシャイニングソードを両手に構え一気に和人へと迫る。

 

「ジュラン、シャイニングソード、ロンゴミニアスが転醒した事で今の俺達のカウントは3! ロンゴミニアスはブレイヴしたスピリットのレベルを一つ上のものとして扱い、さらにカウント3以上なら神シンボルを追加!」

「つまり……!」

「トリプルシンボルッ! これで決まりだぁッ!!!」

 

ドラグマグナの頭上を通り抜け、和人の目の前に降り立つと展開されたバリアにロンゴミニアスとシャイニングソードの二丁を構える。

 

「……参ったな。本気で勝ちを狙い行ったのに、力及ばずか」

 

今の和人に攻撃を止める手段は何もない。敗北を喫した様子で静かに言葉を零す。

 

「負けるのは悔しいな。でも、全力を出し尽くせたんだ。未練なんかない!」

 

覚悟を決め受け入れるようにじっと転醒化身の姿を見つめる。

 

「いつでも来い! 俺のライフを全て削り取って見せろ!!!」

「あぁ。転醒化身ッ! フィニッシュだッ!!!」

 

ロンゴミニアスによる突きとシャイニングソードによる斬撃を同時にバリアへ叩き込み、和人のライフはすべて破壊され決着となる。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

バトルを終えバトルフィールドから元の場所へ帰還する光黄と烈我、バトルを終えたと同時に洞窟内の結界も解除され、外にいた絵瑠や星七達も二人に合流する。

 

「烈我さん! 光黄さん! 大丈夫ですか!?」

「星七、心配してくれてサンキュー。俺も光黄も無事だって」

 

 

「本当に無事で良かった。お前たちまで何かあったらと思うと私心配で」

「絵瑠すまない。でももう大丈夫、全部終わった」

 

心配する二人に対し、それぞれ言葉を返す烈我と光黄。一方で同じく元の場所へと帰還し烈我達の様子を見つめる和人。

 

「烈我」

「!……和人!!」

 

彼らの前に歩み寄りながら。

 

「烈我、それと光黄……互いの信頼と実力ホントにすごかった。ゴッドキャリバスの試練も合格だ」

「試練……それじゃあ!!」

「あぁ。バジュラのカードを出してくれ」

 

言われるがまま白紙となったバジュラのカードを差し出し、確認すると突如として和人の背後にゴッドキャリバスが実体化して行く。

 

 

「「「!?」」」

 

 

目の前に現れる巨大な竜の姿に思わず圧倒される烈我達、だが不安を取り除くように「心配しなくていい」と口を開き。

 

「烈我、今からバジュラにゴッドキャリバスの力を全て託す」

「えっ!?」

「最初からそう言う試練だったんだ。お前らがゴッドキャリバスの力を託すに相応しいか、正しい心を持つかどうか、タッグ相手を選んだのは、仲間の信頼を見る為だ」

「!」

「早速始めるぜ! ゴッドキャリバス!」

 

儀式を始めるかのようにゴッドキャリバスは目を瞑ると、体は光となってバジュラのカードへと光は吸い込まれていき、あまりに神秘的な光景を前に烈我達誰一人呆気に取られ何も言葉を発せないでいたのだが。

 

「……さて、それじゃあそろそろ俺もお別れだな」

「お別れって……えっ! 和人!?」

 

和人の方を向いた瞬間、全員絶句した。何故ならばまるで幽霊のように和人の体は半透明でさらに徐々に薄くなりつつあったからだ。

 

 

「和人!? 何で……!!」

「何でって言ったろ、俺はゴッドキャリバスに生み出された疑似人格、思念体だ。ゴッドキャリバスが消えたら俺も当然消える」

「……そんなのって……!!」

 

あまりにも突然すぎる告白に、すぐには受け入られないように動揺。

 

「いいんだよ。これで! 俺もゴッドキャリバスも覚悟の上だ。試練を突破したお前等、そして七罪竜であるバジュラ、お前達がオメガデッドを止められるかもしれない唯一の希望だ。俺達はそれに賭けて、こうなる事を望んだんだ!」

「…………和人」

 

バトル中、和人が時折口にしていた「最後」というのはこの事を意味してだろう。

 

「名残惜しいといえば名残惜しいけどな。お前らとのバトル楽しかったけど本音を言えば俺が勝ちたかったな。まぁ俺が勝ったらそもそも試練の意味がなくなるんだけど」

 

苦笑いしながらも嘘のない純粋なカードバトラーとしての気持ちだった。 

 

「叶うなら……お前等とまたバトルしてみたかったな」

「……俺も……!」

 

今にも消えそうな和人を前に、烈我は。

 

「俺もまたいつか、和人とバトルしたい! またいつか、絶対……!」

「ハハ、言ったな。なら今度は俺がリベンジするからな!!」

「させねぇ、次も勝つのは俺だぜ!」

 

笑い合う和人と烈我の二人、改めて似た者同士だと思う光黄達。こんな状況でなければどれ程良かったと思う事か。

 

「なぁ烈我、約束してくれ。もしお前等の為すべきことが全部終わったらまたバトルしようぜ。(疑似人格)なんかじゃなく、本当の俺自身(若槻和人)と! 試練なんか関係なく、友達として!」

「あぁ、望む所だ!! また一人、俺が勝ちたいって思う相手が出来たぜ! ヘルの奴も勿論。それから和人、お前や光黄にも……!」

 

彼女の方へ振り返りながら目標を語る烈我、光黄もまた烈我の言葉に対し期待してると言った風に軽く口元が緩ませ、二人の様子に和人は。

 

「何か、お前等見てると俺もリクトや川村、光や咲……仲間(友達)に会いたくなってきたな。まぁ何度も言うが、俺は本人な訳じゃないけど」

 

一瞬暗い表情で語る和人、「でも!」とすぐに顔を上げて言葉を続け。

 

「一つだけ言えるのは、多分もしお前と会えたらきっとすぐ友達になれると思うぜ! うん、何せ俺自身(疑似人格)がそう言ってるんだ!! 賭けたっていい!」

「サンキュー、多分俺もそう思う。またバトルしようぜ!」

「おぉ、約束だ!」

 

お互い腕を前に拳を突き合わせる二人、友情の誓いとして。

 

「じゃあな烈我。お前等はこのスピリッツエデンの希望だ! 後は任せたぜ!」

 

最後の言葉を告げてゴッドキャリバスと共に光となって笑顔で消え去る和人。きっとまた会えるとそう心に思いながら。

 

 

光となって消滅し、光は烈我の手にある一枚のカードへと集い途端、烈我の手を離れ宙へと浮かぶカード。

 

「「!!」」

 

神秘的とも思える光景に全員が思わず息を呑んで見守る中、白紙だった筈のカードに徐々恐竜のような姿が描かれていき。

 

「……!!!」

 

目に映ったカードの姿に誰よりも真っ先に示したのは他でもない烈我だった。そして彼は改めて呼び掛ける。カードの名を、己の相棒を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バジュラ!!!!」

 

烈我の叫びに閃光と共にカードは一匹の恐竜のような姿となる。小さな体に赤い体。肉食を現す鋭い牙に爪、紛れもないバジュラの姿。

 

『……烈、我』

「バジュラあああああッ!!」

 

ゆっくりと目を覚まして烈我の声に答えるバジュラ、感極まって涙ながらにバジュラを抱き締める烈我。

 

『グェッ、テメェ烈我! 再開早々俺を絞め殺す気か!! とっとと離しやがれ! 腹正しいッ!』

「ごめん! でもやっぱ……この憎まれ口、本当に、バジュラだよな!」

『ハッ、ったりめぇだろ。世界で唯一、憤怒の七罪龍。正真正銘バジュラ様だよ!! 』

 

力強く豪語するバジュラだが、烈我を見ながら普段の苛立った表情を柔らかくさせ、口角を上げて。

 

『それとただ一匹、テメェの……天上烈我の、相棒だ』

「!……あぁ、お帰り! 相棒!!」

 

ガラにもないと自覚しながらも構わずに笑いに、バジュラに対して涙を零してなお笑って相棒の再会を受け入れる烈我。

 

『ハッ、俺らしくもねえ。それより烈我、分かってんだろうな!! これから俺達がどうするか!』

「あぁ、当然!」

『今度こそ、絶対あのオメガデッドって野郎と!』

「ヘルに!」

『「必ず勝つ! 俺達で!」』

 

声を揃えて打倒すべき相手を叫びながら必ず勝利を誓う烈我とバジュラ。和人達から託された希望を受け継ぐ彼等の運命はこの先、果たして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも皆様ブラストです!!
和人vs光黄と烈我の2人。ついに決着!!

異界バトルという特殊なバトル形式は何とも大変でした…。
メタな話になりますが前回も言った通り、本来の異界バトルとは一部ルールの違うところがありますが作品の都合上、どうか目を瞑っていただければ幸いです。

ちなみにカウントエリアの扱いも今回2人で共有の扱いとしています。カウントエリアは本来プレイヤー別々に扱う方がいいのかなと思いましたがカウントエリアのルールについて異界バトルは明記されてないので行けるかな、と。
どうかご承知の程をm(_ _)m

そして和人とバトルを終え、見事復活を果たしたバジュラ!!!
打倒ヘルを掲げる彼らに今後待ち受ける運命とは!次回も是非ともよろしくお願い致します!!!

最後にゴッドキャリバスの詳細についてチェック&チェック!!

【剣龍神ゴッドキャリバス】8(4)赤、スピリット、古龍/神龍
Lv.1(1)BP10000、Lv.2(2)BP13000、Lv.3(5)BP16000。
このスピリットは[剣龍皇エクスキャリバス]から転召していない場合、このスピリットをLv.3にはできない。
【転召:コスト7以上/ボイド】
召喚コスト支払い後、指定コスト以上の自分のスピリット1体の上のコア全てを指定の場所に置かなければならない。
Lv.1、Lv.2、Lv.3『このスピリットの召喚時』
BP10000まで相手のスピリットを好きなだけ破壊する。この効果で破壊したスピリット1体につき、トラッシュにある系統:「古竜」を持つスピリットをコストを支払わず、【転召】させずに召喚する。ただし『このスピリットの召喚時効果』は発揮されない。
Lv.2、Lv.3『このスピリットのアタック時』【激突】
相手は可能ならば必ずブロックする。
Lv.3『このスピリットのバトル時』【魂絆ソウルリンク】
このスピリットがBPを比べる時、自分のスピリット全てを指定し、指定したスピリットをこのスピリットの下に重ね、指定したスピリット全てのBPをこのスピリットに加算し、一体のスピリットとして扱う。このバトルで破壊された時、このカードと下に重ねたカード全てをトラッシュに送る。バトル終了時、下に重ねたカード全ては元の状態でフィールドに戻す。
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