バトルスピリッツ 7 -Guilt-   作:ブラスト

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ライト『画面の前の美しきお嬢様方、新年! あけましておめでとうございます!! 今回はお正月の特別編という事で、是非ともこのライトボルディグスの活躍を──』
バジュラ『オイコラ、クソ翼竜!! 何てめえが勝手に仕切ってやがる!!』
ライト『げえっ! アンタが来るとややこしいから折角私がまとめようとしたのに!!』
バジュラ『るせえ! テメェ一人仕切るのが頭に来るんだよッ!』

キラー『やれやれ、テメェ等は全く。ここは頂点である俺様に任せてりゃ万事解決なんだよ』
バジュラ『テメェも論外だ、クソ鮫』
ライト『全くです。引っ込んでてください! 傲慢フカヒレ』
キラー『上等だ! テメェ等噛み⚫す!!』
二人『『掛かってこいやあッ!』』

エヴォル『全くお主らは読者が見ている前で』
シュオン『ほうっておけ、俺達だけで済ませるぞ』
エヴォル『そうじゃの。読者の皆様をこれ以上茶番に付き合わせるのは申し訳ないわい。
それじゃあ改めて、いつも7guiltを読んでくれてる読者の皆様、誠にありがとうございます』
シュオン『今年一年もよろしく頼む、今日はその特別編、是非とも見て貰えたら幸いだ』
エヴォル『堅苦しい挨拶はこの辺で、そろそろ締めるかのぅ』
シュオン『そうだな、それじゃあ──』

フリー『誠にお待たせしました、それでは特別編、早速どうぞ』
全員『『『お前が締めるんかい!!』』』





新年特別編【ギドラ襲来! 新春雷轟】

地球でも、スピリッツエデンでもないとある異世界。

オウドウ都と呼ばれる街の外れにある小さな研究所、普段は人気のないその場所だがそこへ今日、足を運ぶ一人の人物。

 

『Hey! 邪魔するぜ!!』

 

薄暗い研究所の中に響き渡る一人の女性の声。

 

「何じゃ何じゃ一体」

 

慌てて入り口のその人物に応対する年長者の男性。くたびれた見た目をしながらも彼こそこの研究所の責任者であり、小さな研究所と言えど天才的な発明を生み出しているネコガイヌと呼ばれる人物である。

 

「よぉ、アンタがネコガイヌ博士かい?」

「そうじゃが、お主は?」

「アタイの名はイカヅチ、相棒のギドラと一緒に旅してる……まぁ風来坊みたいなもんさ」

「ほぅほぅ」

 

イカヅチに応対するネコガイヌだが、その目線はイカヅチの目ではなくやや下を向いており。

 

「綺麗な女性、そしてナイスバディッ!! ぜひもm──」

 

イカヅチに飛びつこうとするネコガイヌ博士だが、足を上げて飛びつくネコガイヌに容赦なく顔面に蹴りを叩き込み。

 

「グハァッ!!」

「あぁ悪ぃ。生憎色欲にボケたじじいの相手する趣味はねぇんだ。まぁテメェがアタイを満足させてくれる程の実力者だったなら考えてやらないでもないけど?」

 

静かにデッキを構えながら口元を緩ませるイカヅチだが、その目は笑っておらず殺気に加え、まるで相棒であるキングギドラの咆哮が聞こえてくるようだった。

 

「こ、このワシを足蹴にするとは……でもこれはこれで中々いいのぅ」

 

顔に大きな絆創膏を張りながらもその顔はご満悦な様子で若干引く様に後退るイカヅチに、ネコガイヌ博士は「ゴホン!」と気を取り直す様に表情を切り替える。

 

「それで、このワシに何用かの?」

「あぁ、ちと噂を聞いてきたんだが何でも異世界に行ける装置ってのを開発したらしいじゃないか」

「ほぉ、それを何処で聞いたんじゃ?」

「風の噂でな。まぁアタイがどこで聞いたかはどうでもいい、問題はその噂がほんとかどうかさ」

「ホッホホ、ホントじゃよ! だってワシ天才じゃし!」

 

イカヅチの問いに対してピースしながら肯定するネコガイヌ。調子の良い返事に普通の人なら真偽を疑う所だが、イカヅチにとってはその返事だけで充分だった。

 

「じゃが、それを聞いてどうするのじゃ?」

「決まってんだろ。異世界って聞いてそこにどんな強い奴がいるのか、考えるだけで心が躍る! 次のカラーリーダー戦って奴にも備えて腕試しをしたいんだよ!」

 

ひたすらに強い相手を求め目指す先は当然最強という称号。その称号を得るには、この世界にいる頂点王と呼ばれる相手に勝利する事なのだが、ただ挑むだけでも様々な条件がある。

その内の条件の一つとして、カラーリーダーと呼ばれる6人に勝利し、各色を顕すカラーカードを全6枚集める必要があり、彼女は既にその内の5枚を入手している。

 

「それに、借りの返したい奴も何人かいるんでな」

「成程のぅ。お主の事情は分かった、だが生憎タダで使わす訳には行かんのぅ。ワシにも何かメリットでもないとな!」

「お望みならいくらでも踏んでやるが?」

「おぉ! ではそれで……!」

「いいのかよ!?」

 

自分で発言していて何だがまさかそれで了承されるとは思ってなかったらしく、思わず突っ込んでしまうが、それでも本人が良いと言うならそれ以上突っ込むのも面倒臭くなり、黙って言葉を飲み込むイカヅチ。

そしてネコガイヌは懐から異世界への転送装置をイカヅチに手渡し、「ありがとよ」とその装置を受け取る。

 

「さぁて、向こうの世界とやらにはどんな相手がいるのか……アタイとギドラ達(・・・・)を楽しまさせてくれよ」

 

意味深な言葉と共に、ネコガイヌから受け取った装置のスイッチを起動すると、イカヅチは虹色の光と共にその場から消えてしまう。

 

「帰ったらご褒美の件頼むじゃぞ~!」

 

相変わらずな言葉と共に、異世界へ旅立つイカヅチを見送った。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「光黄、新年あけましておめでとう!」

「あぁ。あけましておめでとう、新年でもお前は相変わらず元気だな」

「おぉ、それが取柄だしな!」

 

新年早々元気が有り余る烈我とは対照的に相変わらずクールな様子の光黄。新年になっても二人の様子は特には変わってはいない。

 

「今年こそお前に勝って告白するぜ!! って事で早速初バトスピ──」

「はいはい、先に初詣を済ませてからな。元々その要件で誘って来たんだろ?」

「うっ、そうだった」

 

普段の服装とは違い、烈我も光黄も共に着物姿。どうやら初詣に行く様子で。

 

「それにしてもごめんな、急な誘いになって」

「別に、たまたま予定が空いてたしな」

「それなら良かった。にしても、着物姿、めっちゃ似合って可愛いぜ!」

「煩い。別に聞いてないし」

 

顔を背けて相変わらず辛辣気味な返答の彼女にがっくりと肩を落とす烈我だが、顔を背けながらもその表情は少しだけ嬉しそうな様子で。

 

『ハハハハ、新しい年とやらになってもテメェ等は変わんねぇな。まぁ俺は不自由なく怒り溜め込む必要が無ければそれで構わねぇがよ』

「「!」」

 

そんな二人の様子を面白がるようにその場から実体化する七罪竜のバジュラ、そしてもう一体、バジュラと同じ七罪竜であるライトもその場に実体化し。

 

『新年早々また光黄様に馴れ馴れしく……執事として見過ごせませんよ!!』

「な、何だよ! お前に言われる筋合いないっての!」

 

烈我に対して突っかかる様子のライト、烈我もまた対抗意識を燃やす様にライトと睨み合う。

 

「新年早々喧嘩するな、バカコンビ」

 

そんな烈我とライトを叱りつける光黄だが、バジュラはライトを見て何かに気付き。

 

『オイ、色翼竜(シキヨクリュウ)、何だその恰好?』

『合わせ技で呼ばないでください! ゴホン、まぁそれはそれとしてよくぞ聞いてくれました!! この格好はオーダーメイドで発注しました私の一張羅! 新年の大切な場、お美しい光黄様の執事として相応しい恰好をしなくてはね!』

 

翼竜サイズの着物を着こなすライト、バジュラからの質問に誇らしげに答えながら自分の姿を披露して見せる。

 

『光黄様、いかがですか? 執事として相応しい格好でしょ?』

「相応しいかどうかは知らないが、俺は執事なんか雇ってないからな」

『むぅ……新年でも相変わらず。でもやはりそんな所もまた素敵ですとも!』

「煩い」

 

そんなやり取りを交わす彼等だが、そこへ。

 

「おーい! 光黄! 烈我!!」

「よぉ、烈我、光黄ちゃん、あけおめ~!」

「光黄さん、烈我、あけましておめでとうございます!」

 

彼等に合流する絵瑠、ミナト、星七の三名。彼等も初詣らしく都合よく烈我達と合流した様子。

 

「二人は今から初詣なのか?」

「おぉ、そうだけどもしかして絵瑠達も?」

「そうだぞ。まぁ星七君はともかく、ミナトとは運悪く会ってしまってな」

 

わざとらしく溜息をつく絵瑠だが、「傷付くなー」と口にしながらも全く動じてないように軽く笑うミナト。

 

「そう邪険にすんなって。着物姿に似合ってるぜ絵瑠」

「フン! お前に褒められたって嬉しくないからな!」

「あっ! 光黄ちゃんも着物に似合ってるし可愛いぜ」

 

「聞いてないから」

 

新年になっても相変わらずな調子のミナトを適当にあしらう光黄と、その隣で烈我は文句を言いたげに目線で訴えている。

 

「ミナトー! お前やっぱり誰に対してもそんな調子か!! この煩悩の塊が!!」

「まぁそう言うなって、これが俺の性分だしな」

「確信犯の癖に! やっぱりお前なんて知らない!」

 

「全くあの二人も変わんねぇな。それより星七も来てくれたんだ」

「はい! 今年一年も、バトスピやら色々宜しくお願いします!」

 

礼儀正しく挨拶する星七にやや烈我も畏まる様に、固くなりながらも挨拶を返す。

 

「はぁー、この中じゃ星七が一番しっかりしてる。どこかの誰かさんも見習ってほしいものだ」

「それって、もしかしてそれ俺の事かよ?」

「自覚があるなら気を付ける事だな」

「うっ、御尤も」

 

そんな光黄と烈我の様子に星七はクスリと笑い。

 

「お二人共仲良さそうで。見ていて何だか微笑ましいです」

「べ、別にそんなに仲が良いって訳じゃ」

「え、違うんですか?」

「嫌、その……違うって事はないけど、その」

 

素直には肯定し辛い様子の光黄だが、純粋すぎる星七からの質問にどう答えていいか彼女もどう返していいか少し戸惑った様子。

 

『星七、それ以上聞くのは野暮じゃぞ』

「えっ!?」

『まぁ分からんでもいいが、とにかくそう言う事じゃ』

「?」

 

年長者の様な口調や雰囲気は伊達ではなく、唯一空気の読めるエヴォル。軽く星七に助言を促しその言葉に疑問符を頭に浮かべつつも、それ以上の追及はしなかった。

 

『ハァ~、新年も騒がしくなりそうだな。』

『私は新年から光黄様と絵瑠様の素敵な着物姿見れて幸せですとも。他はどうでもいいですが』

『お主は何時になっても変わらんのぅ』

 

それぞれ変わらずな様子で会話を交わすバジュラ、ライト、エヴォル。それに続いてそこにキラーやシュオンも顔を出し。

 

『ハハハ、相変わらずだな。有象無象共! 新年も精々ナンバーワンである俺様の引き立て役になることを感謝しやがれ』

『煩いぞキラー。俺は騒がしいのは嫌いなんだ』

『あぁ? 陰気野郎、何ならもう一度やり合うか?』

『フン、新年早々、黒星を飾りたいのか?』

『ハァ!? 誰に言ってやがんだ? まさかとは思うが俺様にじゃねぇだろうなぁ?』

 

今にも噛み付きそうに勢いのキラーに対し、全く物怖じる様子のないシュオン。彼ら二体も相変わらずと言えば相変わらずの調子だ。

 

『付き合ってやらんでもないがな、生憎俺の目的は別にある。初詣に行って、福玉焼きとやらを食べてみたい』

 

「はいはい、ちゃんと買うから喧嘩するなよシュオン」

「キラーもだぜ。折角めでたい日なんだから」

 

それぞれキラーとシュオンを宥めながらもここまでは見慣れた光景。

 

「それじゃあ早速行こうぜ!」

 

烈我の言葉と共に早速初詣に向かおうとする彼等だが、そこへ普段とは違う見慣れない光景、虹色の光と共に彼らの前に現れたのは……。

 

『へぇ~、実際に体験してみる間では半信半疑だったがマジで移動できたじゃんか!!』

「「「!!!」」」

 

目の前に現れる一人の女性の姿、派手目な黒コートに雷を模したペンダントが特徴的なその人物を前に。

 

『貴方は!! イカヅチ様ッ!!!』

 

真っ先にその人物に反応を示したのは色欲の罪を持つライト、イカヅチの姿を前に興奮し切った様子で。

 

『イカヅチ様、新年早々まさか貴方のような美しい方のお姿が見られるとは! お元気な様で何よりでございます!!』

「あっ、お前いつかの七罪竜って奴じゃん!」

『ハイ、色欲を司りしライトでございます! 大変お久しゅうございます!』

「ハハ、成程。テメェがいるって事は……!」

 

烈我達の方へ視線を向けると、光黄の姿に気付きそこでようやく自分が光黄達の世界に来たことを確信してる。

 

「やっぱアンタ等の世界だったか。強い奴を求めて行先は決めてなかったが、此奴は大当たりだね!」

「お前……!」

 

光黄に対して笑い掛けるイカヅチに対し、唯一彼女と面識のある光黄もまた以前エール達の世界へ行った時の事を鮮明に思い返す。

 

「中々に綺麗な人だな。是非仲良くしたい!」

「言ってる場合か! それよりえっと……光黄の知り合い?」

 

「あぁ、此奴はイカヅチ。その、何ていうか、話せば長くなるんだが、まぁ以前戦った相手だ」

「戦った!? って事は此奴も罪狩猟団の!!」

 

ミナトに突っ込みつつイカヅチについて、光黄に尋ねる烈我だが彼女からの返答に思わず驚いたようにイカヅチに視線を向け、罪狩猟団という言葉にイカヅチもまた何かを思い出す様に。

 

「罪狩猟団……あぁ、そういやチルの奴がいた組織の名か」

「!……あいつのことを知ってるって事はお前やっぱり……!!」

 

チルの名には烈我も聞き覚えがあり、罪狩猟団であった彼女のことを知ってるという事はイカヅチもその仲間であることを確信する烈我だが。

 

「そいつが俺達に何の様だよ!」

「用ってまぁ、アタイはそこの確か光黄だっけ、そいつに用が」

「ッ!!」

 

そこまで言い掛けた時に咄嗟に烈我は庇う様に光黄の前へと出るが、その様子にイカヅチは何かを察したように口元を緩ませ。

 

「成程ねぇ、見た所どうやらアンタも七罪竜使いって所かね?」

 

目聡くバジュラの姿にも気付くと、不敵な笑みを向けながら烈我は益々油断ならない様警戒を強めるが、イカヅチはお構いなしに話を続けて行き。

 

「Hey、アンタの名前は?」

「天上烈我だ!」

「なら烈我、アタイと勝負しないかい? 光黄を賭けてな!」

「「は!?」」

 

何を思ったか突然のイカヅチからの提案、それには当然烈我も光黄も意味が分からないと言いたげな様子。

 

「お前、一体何言って……!」

「そうだぜ! 何で光黄を賭けてバトルしなきゃならねぇんだよ!!」

 

「そうかい? まぁ臆病風に吹かれたって言うならそれでもいいが……」

「ッ!!」

 

煽る様なイカヅチの言葉、それに少なからず烈我はムッとした様子で。

 

「いいぜ、やってやるぜ!」

「おい、烈我! お前勝手に!」

「ただし、光黄を賭けるのはなしだ! 負けた時は俺を好きにしていい!」

「ちょっと待──!」

 

「おぉその条件でいいぜ。やるならさっさと始めようか!」

 

すっかり熱が入った様子で光黄の静止も聞かず、イカヅチもまたデッキを構えながら止まる様子はない。

 

「行くぜ、バジュラ!!」

『何だかようわからんが、新年早々暴れられるなら大歓迎だ! 存分に怒り暴れ尽くしてやるぜェッ!!』

 

カードと状態となったバジュラをデッキに加えると共に、手にキューブ状のデバイスを投げ入れ、バトルフィールドを起動させて行く。

 

「(これがこの世界でのバトスピか。まっ、此奴等の流儀に則るかね)」

「絶対に負けてたまるか! 行くぜ、ゲートオープン!」

「「界放ッ!!!」」

 

宣言と共にバトルフィールドへと舞台を移す二人、一方でその場に残された光黄達、彼女はどっと疲れたように大きく溜息をつく。

 

「はぁー、ホントに人の話も聞かずあの馬鹿は」

「結局あの人について、光黄さんは知ってるんですか?」

「えっと、まぁ何て言っていいか、以前絵瑠には話したが」

 

そう言って質問する星七やミナト達に彼女は自分の知ってる範囲でイカヅチという女性について事情を話す中、モニターでは正面からイカヅチと烈我が睨み合い。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「光黄達の前で絶対負けてられねぇぜ!」

「熱いねぇ、精々派手なバトルを期待してるよ」

 

対面する両者、そして互いに手札を構えるといよいよバトルの幕が上がる。

 

 

────第1ターン、イカヅチside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]5枚。

 

「先行はアタイから。まずはネクサス、破壊された城を配置!」

 

開始早々フィールドに出現するはすでに崩壊した後の様な城、以前イカヅチとバトルしたことのある光黄にとっては見慣れたカードである。

 

「これでターンエンド」

 

 

 

 

────第2ターン、烈我side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]5枚。

 

「俺のターン、ライトブレイドラ、レイニードルを召喚! さらにマジック、アドベントドロー! 効果でデッキから2枚ドローしてその後、3枚オープン!」

 

オープンされたのは「吟遊詩竜オルフェスタードラゴン」、「コメットヴルム」、「煌星の第三使徒テティス」の3枚。

 

「テティスは煌臨を持つカード! よって手札に加えるぜ!」

「続け様に赤のカード、どうやらアンタも赤デッキ使いらしいねぇ」

「おぉ! 新年初バトスピ、しかも同じ赤使いとして俄然負ける訳には行かねぇぜ!」

 

軽快にターンシークエンスを進めて行き、次は「アタックステップ!」と気合十分に宣言。

 

「まずはレイニードルでアタックだぜ!」

「来な、ライフで受けてやるさ!」

 

口を開き、そこから竜巻を撃ち放つと攻撃が展開されたバリアに炸裂し、ライフを砕く。

 

「ッ!! 効くねぇ~ッ!」

「まだだ、さらにライトブレイドラでアタック! そしてさっき手札に加えたテティスをライトブレイドラに煌臨させるぜ!」

 

パタパタと羽を羽ばたかせながら駆け出すライトブレイドラ、その体が炎に包まれ始めるとその体が一回り大きく変化して見せ、青銅の鎧をまとう竜戦士、テティスへと変貌。

 

「煌臨時の効果で俺はさらにドローだ!」

「ライフで受ける!」

 

この攻撃も防御する気はなく、受け入れる事を宣言するとそのまま展開されるバリアにテティスは大きく拳を振りかぶって殴りつけると、さらにイカヅチのライフを砕く。

 

「ぐぅッ! 手札を減らす事無く、怒涛の攻撃のラッシュ……! 赤同士バトルならこうでないとねぇ!」

 

傷みを受けながらもその闘志はさらに滾るように口角を緩ませるイカヅチ。一方で攻撃を終えた烈我は自分のターンシークエンスを終える。

 

 

 

 

────第3ターン、イカヅチside。

 

[Reserve]7個。

[Hand]5枚。

[Field]破壊された城Lv.1(0)。

 

「アタイのターン! アルマジトカゲをLv.2、荒武者リンドウを連続召喚!」

 

対照的に輝くダイヤモンドとルビーが砕け現れたのは小型のアルマジトカゲに加え、中型サイズの荒武者リンドウ、それぞれ出現と共に勇ましく吠えて見せる。

 

「さらにバーストセット!」

「!」

「そろそろこっちからも仕掛けていくか! リンドウ、アタックだ!!」

「ライフで受ける!」

 

お返しだと言わんばかりにリンドウに攻撃指示を送ると、リンドウは大地を蹴って勢いよく駆け出し、腕を掲げながらそのまま展開されたバリアをその爪で斬り裂き、破壊。

 

「ぐぁッ!!」

「ターンエンド。さぁもっと飛ばして行こうぜ!」

「ッ! 言われるまでもねぇぜ!」

 

 

 

 

────第4ターン、烈我side。

 

[Reserve]5個。

[Hand]6枚。

[Field]煌星の第三使徒テティスLv.1(1)BP3000、レイニードルLv.1(1)BP1000。

 

「バーストセット! ライトブレイドラを召喚、そして出て来い、煌星龍ガンマレイバーストドラゴンッ!」

 

不足コスト確保の為、出現したばかりのライトブレイドラは即座に消滅するが、入れ違いになるよう地面に降り注ぐ閃光。地面に激突し激しい土煙を巻き上げながら現れる龍の影、握りしめた剣で土煙を斬り払いながら現れるは、ガンマレイバーストドラゴン。

 

「召喚時効果! 俺の星竜を持つスピリット一体につき、相手のBP12000以下の相手スピリットを破壊だ!」

 

力を溜め込む様に二刀の剣を構えると、抜刀術の様に二刀一気に引き抜いて斬撃波を撃ち出すと、二刀の剣から繰り出した斬撃波はリンドウとアルマジトカゲを斬り裂き破壊する。

 

「やるじゃんよォ!」

「これでブロッカーはない! このターンで決めてやる! ガンマレイバーストドラゴンでアタックッ!」

 

烈我の言う通り攻撃を止められるスピリットは一体もなく、大きくその場から飛び上がると、剣を振りかざし展開されたバリアに剣を振り下ろして両断、ライフを破壊する。

 

「うぐッ!!」

 

残りライフは2、一気に追い詰められてしまうイカヅチだが。

 

「このターンで決める? But、ここからが本番なのにつれねぇ事言うなよ! アタイのライフ減少時でバースト! そのバースト効果で此奴を召喚できる!」

「!!」

 

トリガーが引かれた事で伏せられたバーストカードが弾け飛び、狙いすましたように口角を上げてそのカードを手に取り。

 

「狂暴の鉄鎖鉄球! 最凶の暴君の力、気の済むまで振りかざせッ! 暴君怪獣タイラント[2]、バースト召喚!」

 

巨大なルビーが出現と同時に砕けると、大地に亀裂を走らせ、地面を突き破りながら飛び出す巨影、その正体は元々異質な怪獣の中でも特に異質、様々な怪獣の個性を複合された暴君、タイラントの登場である。

 

"ギャアアアアアオオオオオォォォォォッ!”

 

「!」

 

左腕の鎌と右腕の鉄球を振り回しながら吠えるタイラント、その姿に烈我も思わず息を呑む。

 

「タイラントの召喚時効果、BP10000以下の相手を5体破壊する!」

「!!」

「ガンマレイバースト、並びにレイニードルとテティスの3体全て破壊だ!」

 

烈我のスピリット達をその凶相で睨み付けると、口を開いて火炎放射を吐き出し、豪炎に焼かれ三体共に為す術なく爆散。

 

「この効果で破壊したスピリット一体につき一枚ドロー、よって三枚ドローだ!」

「(ぐッ! ここまで追い詰められるのも計算づくだってのかよ!! けど!)」

 

まんまと相手の思惑に引っ掛かってしまう事に地団太を踏むが、それでもやられっぱなしではいられない。負けじと目を見開き、同じく伏せてあるバーストに視線を配ると。

 

「相手の召喚時効果発揮後でバースト発動!」

「!」

「マジック、双翼乱舞! 効果で俺はデッキから2枚ドロー!!」

「へぇー、転んでもただでは起きないって訳。そう言うの嫌いじゃないよ、けどもうアンタにできる事は無いだろ?」

「ッ!!」

 

イカヅチの言う通り、これ以上は何も出来ない。悔しがるように拳を握り締めながらもターンエンドの宣言をするしかなかった。

 

 

 

 

────第5ターン、イカヅチside。

 

[Reserve]8個。

[Hand]6枚。

[Field]暴君怪獣タイラント[2]Lv.1(1)BP5000、破壊された城Lv.1(0)

 

「アタイのターン、タイラントをLv.2にアップ、そして……モンスターXをLv.2で召喚!」

 

イカヅチの呼び出したスピリットは、黒い体表に白い外骨が剥き出しとなった異形なるスピリット、顔と両肩左右二つに分かれた骸の眼光を不気味に輝かせる。

 

「何だこのスピリットは……!?

「驚いたかい? 新しいアタイの仲間さ」

 

 

「(見た事のないスピリット……俺とエールが戦った時よりさらに強くなってるのか)」

 

先程のタイラントといい、以前自分とエールが戦った時には使用しなかったカード。口振りから察するに恐らく最近手に入れたカードなのだろう。

 

「アタックステップ! まずはお前からだ、タイラントでアタック! アタック時効果、タイラントに赤のシンボル1つを追加だ!」

「ダブルシンボルかよ!?」

 

受ければ大ダメージは必須だがブロッカーもない状況では防ぐ手立てはない。

 

「ライフで受ける!」

 

烈我の宣言に対し、タイラントは腕の鉄球を切り離すと、腕と鉄球は鎖で繋がれており、まるでハンマー投げのように鉄球をブンブンと振り回し、そのまま勢いを付けて展開されたバリアに鉄球を叩き落すと、鈍重な一撃が叩き込まれ、ライフを二つ一気に破壊される。

 

「うぐぁッ!!」

「次だ、モンスターXでさらにアタック! アタック時効果でアタイはデッキから2枚ドロー!」

 

分類的にはタイラントと同じ怪獣に分類されるモンスターXだが、タイラントとは違って俊敏な動きで駆けだすと、その場で宙返り、展開されたバリアに踵落としを叩き込んでライフを蹴り壊す。

 

「うあああああッ!!」

「アタイはこれでターンエンド」

 

 

 

 

────第6ターン、烈我side。

 

[Reserve]11個。

[Hand]6枚。

[Field]なし。

 

「(此奴強ぇ……けど、光黄が見てる前で負けられねぇ!!」

 

押され気味の状況だが気合を入れ直すように「しゃぁッ!」と意気込むと、そのまま手札を強く構えて行く。

 

「まずは創界神アポローン配置! 配置時の効果で神託!!」

 

デッキから落ちたカードは「アドベントドロー」、「太陽神龍アポロヴルム」、「太陽皇ヘリオスフィアドラゴン」の3枚。

 

「神託対象2枚でコア2個を追加! さらに頼んだぜ! こいつを前に絶対はねぇッ! 鉄壁の壁だろうが無敵の相手だろうが一撃必中必殺の矢を叩き込めッ! 龍星の射手リュキオースをLv.3で召喚ッ!!」

 

フィールドに逆巻く紅蓮の炎、炎は火柱となって左右両端へと別れて展開し始めたかと思うと、何かが駆け出す足跡。

左右に広がる炎の中央より現れ出でたるは白獣に跨りし炎の龍───リュキオース。

 

「召喚時効果発揮! 【龍祈願(スーパーブースト)】の効果でアポローンにコア3つ追加! さらに【龍射撃】、BP20000以下の相手スピリットを破壊するぜ! 対象はタイラント!」

「ッ!!」

 

リュキオースはタイラントに狙いを定めると、矢に炎を灯して即座に一投。

タイラントの胸にはあらゆるエネルギーを吸収できる器官が備わっており、リュキオースが撃ち放った炎の矢を自身のエネルギーとして取り込もうと胸のコアを広げるが、龍射撃による攻撃はあらゆる能力や効果でも防げない破壊の矢。

タイラントに吸収される事無く、炎の矢はタイラントの身体を貫くと、タイラントは断末魔を上げながら爆散する。

 

 

「次だ、アタックステップ!! リュキオースでアタック! Lv.3のアタック時効果でもう一度、【龍射撃】の効果を発揮できる!」

「!!」

「モンスターXも破壊だぜ!」

 

絶対的な破壊の矢が今度はモンスターXへと撃ち放たれ、矢による直撃を受け、その場に巻き起こる大爆発。

 

「アポローンの【神域】の効果発揮! 俺のアタックステップで星竜を持つ自分のスピリットが相手スピリットを破壊した時、さらに相手のライフを破壊する!」

「ッ!!!」

 

アポローンは矢を構えて、それをイカヅチに向けて撃ち放つと展開されるバリアに炎の矢が突き穿ち、破壊される。

 

「ぐぉッ!!」

「これで残りライフ1つ! リュキオースで止めだぜ!!」

 

メインアタックにより決着を確信する烈我だったが、まだイカヅチには手が残るように口元を緩ませ。

 

「…………待ってたぜェ、この時をッ!!」

「えっ……!!?」

 

イカヅチの様子に一瞬不思議に思う烈我だが、次に視界に映る光景に思わず言葉を失った。

彼の目の前にあったのは、爆炎の中、破壊された筈のモンスターXの影があり。

 

「そんなッ!!? さっき確かに破壊して、それにリュキオースの龍射撃は防げねぇ筈だぞ!!」

「あぁ、防いじゃいねぇさ。確かにアンタのスピリットの能力でモンスターXは破壊された。だが、モンスターXは破壊された程度じゃ死なねぇ」

「!!?」

「モンスターXッ!! 今真の姿を見せてやりなッ!!」

 

イカヅチの叫びにモンスターXは眼光を輝かせると、耳を劈くほどの巨大な咆哮を上げ、その声量に一瞬にして周囲の炎が掻き消され、イカヅチ以外の全員が動揺する中、モンスターXはその場で四つん這いの体勢になってさらに咆哮を張り上げると、背中から突き出る二本の腕、否、巨大な翼が生え始める。

 

「!!?」

 

それだけではない両肩の骸と首が伸び始めたかと思うと、その外見は骸から竜の様な形へと変化し始めて行く。

 

「モンスターXが破壊された時、アタイは手札のこのスピリットを召喚できる!」

「!!」

「これがモンスターXの真の姿! 異星より来たりし皇帝龍! 天も地も支配するその雷鳴の咆哮を聞け! カイザーギドラ、召喚ッ!!!」

 

もはやモンスターXの原型を留めない程に巨大化して見せる三つ首の龍、カイザーギドラの降臨である。

 

「召喚時効果発揮! 相手の合計BP15000まで相手のスピリットを破壊できる!」

「!!」

「リュキオースを破壊だ!」

 

リュキオースを見下ろす程の巨大なカイザーギドラ、中央の首が足元のリュキオースに向かって雷撃を撃ち放つと、圧倒され身動きが取れず直撃を受けてしまい、大爆発と共にリュキオースは破壊される。

 

「リュキオース!!」

「さぁ、ターンエンドだろ?」

「ぐっ! ターン、エンド」

 

 

 

 

────第7ターン、イカヅチside。

 

[Reserve]8個。

[Hand]7枚。

[Field]カイザーギドラLv.2(3)BP15000、破壊された城Lv.1(0)

 

「そろそろクライマックス、盛り上げていくぜ!!」

 

そう言って手札に掛ける一枚、呼び出すべくはイカヅチにとって一番の相棒。

 

「天下の轟雷振り翳せッ! 雷天雷神となりし金色の龍王! キングギドラ[1991]をLv.2で召喚だぁッ!!」

 

空を包む黒雲、そしてフィールド一面に降り注ぐ落雷が激しい稲光と轟音を響かせ始めて行くと、雷によって輝くフィールドに舞い降りる金色の龍。

三つ首と黄金の体表を持つ龍王────キングギドラ。

 

「またデカいのが……!!」

「キングギドラ、こいつこそアタイの相棒さ。今日はめでたい日なんだろ? だったら景気づけにアタイも本気でやり切らしてもらうよ!!」

 

並び立つ白銀の皇帝(カイザーギドラ)と金色の龍王(キングギドラ)。その光景は正に圧巻の一言、二体合わせて6つの首の眼光全てが唯一人を相手に向けられる。

 

「残りライフは1つ、けど手は抜かないよ! キングギドラでアタック!! さらにアタック時効果、【強襲】! 破壊された城を疲労させて、キングギドラは回復だ!」

「!!!」

 

キングギドラはその場で咆哮を上げながら、烈我に向けて三つ首から雷撃を撃ち出し、真っ直ぐライフへと攻撃が放たれるが。

 

「フラッシュタイミング!」

「!」

「マジック、ミストシールド! 効果でキングギドラとカイザーギドラを指定し、このターン指定したスピリットのアタックじゃ、俺のライフは削られない!!」

 

ギドラの放った雷撃がバリアへと直撃し爆発が起こるが、爆風が晴れても烈我のライフは無傷であり、未だ最後のライフは健在であった。

 

「ふぅ、何とか凌げたぜ」

「……攻めきれないか、仕方ねぇ。ここはターンエンド」

 

冷静にターンを終えるが、それでも場にはまだ回復状態で残る二体のギドラ。対して烈我の場にはスピリットはなく、圧倒的劣勢の状況。しかしそれでも、まだ烈我の目は諦めてはいない。

 

 

 

 

────第8ターン、烈我side。

 

[Reserve]12個。

[Hand]5枚。

[Field]創界神アポローンLv.2

 

「!!」

『漸く俺を引き当てたか、烈我ッ!』

 

脳裏に響くバジュラの声、そして引いたカードは待ち望んでいたバジュラのカード。

 

「よし一気に逆転するぜ!! 行くぞバジュラ!!」

『おぉッ!』

 

バジュラのカードを構え、そして叫ぶ。

 

「罪を背負いし怒りの竜! 憤怒の炎、烈火で地獄さえも焼き尽くせ! 爆我炎龍バジュラブレイズ、Lv.3で召喚ッ!!」

 

フィールドを真っ赤に染める赤き流星、大地を抉る様に流星が降り注ぎステージのような舞台を作り上げると、その舞台の上に落ちる一際巨大な火球。その炎の中より、雄叫びと共に姿を見せるは、七罪竜の一角にして憤怒を司りし、バジュラブレイズ。

 

『グルルルルルアアアアアアアアッ!!!』

 

「それがアンタの七罪竜か! ハハッ、益々滾ってきやがるぜッ!」

『威勢がいい女だな。どっか誰かさん見てるみてぇだが、無駄話はいい! 今は存分に俺の怒りをぶつけさせてもらうぜェ?』

「いいねいいね。烈我もアンタも嫌いじゃない! 存分にもっとアタイとギドラを楽しませてくれよッ!!」

 

猛る様にキングギドラ達もバジュラに向かって負けじと咆哮、睨み合う互いのキースピリット達、迫るバトルはもう避けられない。

 

『さぁ烈我、とっととやるぞ!! あの三つ首竜共を叩き伏せればいいんだろォ!』

「そうだけどちょっと待て!」

『!』

「俺はバーストセット、これでアタックステップだ!!」

 

「(この局面でバースト、抜かりはないらしいねぇ)」

 

徹底したバトルスタイルに感心するように頷くが、感心してばかりではいられない。イカヅチもまた攻める気万端のバジュラを迎え撃つべくギドラ達と共に構える。

 

「アタックステップ! バジュラブレイズで、アタック!!」

 

アタック指示と同時に吼えるバジュラ、そして荒ぶるかのよう炎を纏わせていく。

 

「バジュラのアタック時効果! 【火力推進(ヒートアップ)】! 効果でバジュラの自身のBPを+5000しさらに手札を一枚破棄する事で相手は可能なら必ずブロックしてもらう!」

「それが七罪竜であるバジュラの効果かい? 生憎それだけじゃないんだろう?」

「あぁ、バトルに勝てばバジュラは回復! そしてターン中に三回以上アタックすれば、【超爆火力(オーバーヒート)】の効果で、何度でもアタックできる!」

「成程、つまりアタイのカイザーギドラとキングギドラを倒して、そのままライフを削りに来る算段か……!」

 

そのままバジュラは止まることなく突っ込み、その攻撃は嫌が応にもブロックしなければならない。

 

「カイザーギドラでブロック!!」

 

バジュラブレイズを迎え撃つカイザーギドラ、左右の首がバジュラに喰らい付かんと襲い来るが、左右の首を避わして飛び越え、そのまま中央の首に迫り、バジュラに対して迎撃せんと中央の首が雷撃を放つが、バジュラは炎拳を突き出して雷撃による攻撃を相殺すると共にそのまま無理矢理拳を押し込み、雷を打ち消すとそのままカイザーギドラの顔面を殴りつける。

 

『バトルは図体じゃねぇんだ、覚えときな三つ首トカゲがぁッ!!』

 

強烈な一撃にカイザーギドラの巨体が横転し始め、バジュラは大きく息を吸い込むと無防備となった体に轟炎を誇る火炎放射を吐き付け、それはカイザーギドラの身体を焼き焦がし、カイザーギドラは耐えきれず大爆発を起こして爆発四散する。

 

「破壊によりバジュラは回復! 再アタックと同時にもう一度【火力推進】の効果! 手札一枚を破棄して、もう一度ブロックしてもらうぜッ!!」

『おぉ、次はその金色に相手してもらおうか!』

 

全く疲れを感じさせない様子で次はキングギドラを睨むと、キングギドラもまた真っ向から受けて立つ様にバジュラの前へと立ち塞がる。

 

「ご指名だギドラ、思う存分相手してやりな!」

「バジュラ、そのままぶっち切れッ!!」

 

互いのキースピリットに対してエールを送りながら、キングギドラとバジュラは同時に突っ込むと、キングギドラの左右の首が噛み付かんとバジュラへと迫り、左右の首を両腕で受け止めるが、またキングギドラには三つ目の首が残る。

両手の塞がったバジュラに喰らい付かんと三つ目の首が飛び掛かるが、バジュラは一歩頭を後ろに引いたかと思うと、次の瞬間、キングギドラが突っ込む瞬間に合わせてバジュラは頭を突き出してのヘッドバット。

その一撃に思わずキングギドラも弾き飛ばされてしまい、そのタイミングに合わせバジュラは両腕を離して拳を構えて見せると。

 

『こいつで、終いだあああああァァァァァァッッッ!!!』

 

最大火力を込めた拳をキングギドラへと叩き込むと、キングギドラの体を大きく吹っ飛ばし、イカヅチのすぐ真横を掠めながら壁へと叩き付けられ、土煙を巻き上げながら、崩れ落ちるキングギドラ。

 

「バジュラは回復! これで決めるぜ!!」

 

倒れるキングギドラの姿を見て、勝利を確信する烈我、流石に倒れるキースピリットの姿にはイカヅチも堪えるかに思われたが。

 

 

「…………フフフ」

「!?」

 

その表情はキースピリットの破壊に悲しむ表情ではなく、寧ろ真逆。今の状況を全く動じていないかのように彼女は笑っていた。

 

「何が可笑しい!」

「いやぁー悪い悪い。つい楽しくなっちゃってよ、ここまで滾る相手に出会えたんだ。嬉しくてしょうがねぇ、アタイも……ギドラも!」

「!!」

 

破壊された筈のスピリットの名を呼んで見せるイカヅチに戦慄が走る、そしてこの状況の中、イカヅチが笑う理由をこの場の中で唯一、光黄だけは知っていた。

 

 

「(来るッ!)」

 

彼女の予想通り、イカヅチはまだ手があるかのように手札の一枚を構えたかと思うと、倒れたキングギドラが巻き上げた土煙の中、突如ワイヤーが射出され、それはバジュラの腕へと巻き付き拘束する。

 

「『なっ!?』」

 

土煙の中に映る影、それは紛れもなく倒された筈のキングギドラの影でありその光景にバジュラも烈我も驚きを隠せなかった。

 

「どういう……まさかカイザーギドラと同じ……!!」

「察しが良いね、その通り!! キングギドラもまた一度倒れたぐらいじゃ終わらない! 倒れされた事で真の姿へと生まれ変わる!!」

「やっぱり!!」

「手札にあるこのカードは、自分の「ギドラ」が相手によって破壊された時ノーコストで召喚できる。今、その姿を拝ませてやるよ! 天の雷操りし黄金の龍王、その不動の魂を不屈の鋼へと昇華せよ! 鋼鉄雷動の最強龍ッ!! サイボーグ怪獣メカキングギドラ、Lv.2で機動ッ!!」

 

煙が晴れ、そこに映るはキングギドラにあらず。白銀の光に包まれ、中央の首には鋼鉄のパーツが装着され始め、機械混じりの不協和音のような咆哮を上げながら、メカキングギドラとして生まれ変わったその姿を晒す。

 

「メカキングギドラの召喚時効果、相手のスピリット1体をデッキの上に戻し、その後BP10000以下の相手スピリット2体を破壊する」

「!」

「対象はバジュラブレイズ、そいつをデッキの上に戻させてもらうよ!」

「なッ!?」

 

ワイヤーに拘束され、身動きが取れないバジュラ。そのバジュラに向かって、メカキングギドラの中央の首から白銀のレーザー光線が放たれ、避け切れず直撃を受けてしまう。

 

『ガアアアアアアッ!?』

「バジュラ!!」

 

デッキの上へと戻され、それに思わず歯噛みするが、咄嗟に伏せてあるバーストに手を掛けて行く。

 

「相手のスピリットの召喚時効果発揮後でバースト!」

「!」

「マジック、双翼乱舞! 効果でデッキから2枚ドロー!」

「ふーん、すぐにバジュラブレイズを回収するかい。でも、幾ら手札に戻したところで、フィールドに居なきゃもう打つ手はないだろうね」

「ッ! ターンエンド」

 

 

 

 

─────第9ターン、イカヅチside。

 

[Reserve]9個。

[Hand]6枚。

[Field]サイボーグ怪獣メカキングギドラLv.2(3)BP15000、破壊された城Lv.1(0)。

 

「破壊された城をLv.2にアップ、メインステップはこれで終了」

「!」

 

下手にスピリットを展開してもアポローンの標的となるだけ、だからこそキースピリットだけに戦力を集中させればいいと考えているのか、直ぐにアタックステップに切り替えていく彼女。

 

「さぁ覚悟はいいかい?」

「ッ! 来やがれ、俺は絶対に負けない!!」

「上等。だったらこっちは全力で勝ちに行かしてもらう! ギドラッ!!」

 

攻撃合図を下すように呼び掛けると、ギドラは吠えながら前進し、金属の翼を羽ばたかせながら飛び上がるとそのままエネルギーを溜め込むように左右の首は電撃を、中央の首はレーザー光線を放つべく口を開き。

 

「これでトドメだッ! ギドラァッ!!」

 

トドメの一撃を下すべく腕を振り下ろし、最後の指示を下すが。

 

「負けねえッ!! こんな所で負けてたまるかああああッ!!」

「!!!」

「フラッシュ! ラークドライブッ!! 効果でこのバトルを終了させるッ!」

「何だとッ!!?」

 

トドメの一撃を放とうとする瞬間、発動するラークドライブ。その効果はバトルの強制終了、効果が発動されギドラは攻撃を放てずにその場に降り立ち、攻撃を行えないまま疲労状態となりその場に座り込む。

 

「ッ!! バトルを終わらせただと!?」

 

バトルを終わらせてしまえばイカヅチはフラッシュを撃てるタイミングすら失ってしまい、ギドラしか場にいない状況ではもう手立てはない。

 

「まさか、ここまでやるとはな……仕方ねえ。ターンエンド」

 

 

 

 

 

────第10ターン、烈我side。

 

[Reserve]13個。

[Hand]3枚。

[Field]創界神アポローンLv.2

 

「ホワイトホールドラゴンを召喚、そしてもう一度行くぜバジュラ! バジュラブレイズをLv.3で再召喚!」

 

ホワイトホールドラゴンと共に再び紅蓮の炎よりフィールドに帰還するバジュラ、今一度咆哮を上げてフィールドを揺るがす。

 

『さっきは舐めた真似してくれたなァ! この怒り、百倍にして返してくれるッ!!!』

「猛ってる猛ってる、いよいよ終盤だねぇ!」

 

バジュラに対して以前として物怖じないイカヅチ、それはまたギドラも同じであり、再び睨み合う互いのキースピリット。

 

「頼んだぜ、バジュラ、ホワイトホール! このターンが正念場だ!!」

 

イカヅチも烈我もライフは残り1つ、そして烈我にとっては絶好の攻撃チャンスではあるが、手札にはもう防御札は残ってはいない。攻めを誤れば、確実に敗北は避けられない。

 

「アタックステップ! バジュラブレイズでアタック! 【火力推進】の効果でBP+5000!」

 

イカヅチの場に残るスピリットは疲労状態のメカキングギドラただ一体。ならばブロックさせる必要は無いと踏んだのか、手札は破棄せずBPアップのみでそのまま攻撃させて行くが。

 

「言った筈さ、こっちは全力で勝ちに行くとな! それで勝負を決められるとでも思ってんなら甘ぇよ!」

「!」

「フラッシュタイミング! マジック、レーザー引力光線!」

 

ここぞとばかりに繰り出される一枚。

 

「フラッシュ効果で相手スピリットを手札に戻す!」

「もうその手は食わねえ! ホワイトホールドラゴンの効果で俺の赤のスピリット全ては手札デッキに戻らねえ!」

 

マジックの効果を発揮させると再びレーザー光線を撃ち放つが、先程とは打って代わり、ホワイトホールドラゴンが前へと出るとギドラが放つ光線を自身の効果により打ち消してしまう。

 

「どうだ!」

「やるねえ……と言いたい所だけどまだまだだ! レーザー光線の効果はまだ続いてる。使用コストにソウルコアを使った事で、メカキングギドラを回復できる!」

「げっ! また復活するのか!」

 

地面に項垂れた状態から覚醒するように立ち上がると、咆哮しながら再びバジュラ達の前へと立ち塞がる。

 

「これだけじゃねえ! 回復した事でメカキングギドラの効果、このスピリットの召喚時効果をもう一度発揮出来る!!」

「何ィッ!?」

「召喚時効果で相手スピリットをデッキの上に……の効果はホワイトホールのせいで不発だが、その後の効果だ! BP10000以下の相手を二体、よってホワイトホールドラゴンを破壊だ!」

「!」

 

今度は左右の首から放つ電撃がホワイトホールドラゴンへと放たれ、直接的な攻撃にはホワイトホールドラゴンも防げず、電撃を浴びて爆散四散。

 

「けど、まだバジュラの攻撃は続いてる!!」

「派手なクライマックス、ケリをつけるとしようか! さらにフラッシュタイミング!!」

 

まだイカヅチの手は終わらない、残る手札を構えて見せると。

 

「マジック! ソウルドロー!!」

「!!?」

「これでメカキングギドラをBP+4000! これで合計BPは19000!」

 

完全にバジュラの力を上回りさらに強大となった力を見せしめるギドラ、バトルすればバジュラは容易に返り討ちにされるだろう。

 

「ド派手に決めるよギドラ! 勝つのはアタイ達さ!!」

 

ケリを付けるべくメカキングギドラにブロック指示を下そうとするイカヅチだが、「まだだ!!」と指示を下す手に待ったを掛ける烈我の声。

 

「クライマックスを飾るのは、俺達だあ!! フラッシュタイミング!」

「!」

「バジュラブレイズに煌臨ッ!!」

「What!!?」

 

バジュラに対して煌臨の宣言、手札に残る一枚を切りながら。

 

「豪快無頼の破壊皇ッ! 破壊の矛で全部ぶち砕けッ!! 破壊龍皇ジークフリードルドラをバジュラブレイズに煌臨ッ!」

 

ジークフリードルドラのカードをバジュラの上に重ねると、バジュラの体が光に染まり、背中に生える巨大な翼、そして黄金の鎧を身に纏いながらバジュラブレイズはジークフリードルドラの姿へと生まれ変わる。

 

「七罪竜を使っての煌臨、何だかデジャヴの気がするぜ!」

「何の話か知らないけど、ルドラの効果を使用させてもらうぜ!! 煌臨時効果で相手のスピリットのコア5個をリザーブに!」

「ッッッ!!!?」

 

メカキングギドラの3つの首全てがジークフリードルドラへ一斉に掛かるが、その攻撃全てを片腕で受け止めると、もう片腕を構え、その爪に紫電を纏わせながらギドラへと一爪。

紫電の一閃がギドラのコア全てを取り除き、ギドラはその場に仰向けで倒れ場から消滅させられてしまう。

 

「ギドラ!!?」

「これでブロックできるスピリットはない! 最後のライフ、打ち砕けぇぇぇえええッ!!」

 

ジークフリードルドラはイカヅチの目の前まで歩み寄りながら手に握り締めた槍を両手で構える。

 

『これで最後だ! 俺の怒り、受けやがれえぇぇッ!!!』

「……」

 

チラリと残る自分の手札に視線を配るが、手札に残るカードは何れも防御札に成り得ないカードであり。

 

「(ここまで……か)」

 

敗北を悟り目を瞑るが、結果を受け入れるように目を開いて迫るジークフリードルドラを見据え。

 

「来な! 派手な幕引き、アンタに譲ってやるぜ!」

 

覚悟を決めたその言葉を聞き入れると、ジークフリードルドラは渾身の力を込めて槍を突き出し、バリアを刺し貫いて最後のライフを破壊する。

 

「……ッ!!!」

 

最後のライフが砕け、決着。バトルを終えた2人は元の場所へと帰還する。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「え!? こいつ罪狩猟団じゃねえのか!!?」

 

バトルを終え元の場所へ戻って早々、光黄からイカヅチについての話を聞き、その事実に驚いたように声を上げる。

 

「何だ……俺、てっきり……というか何で教えてくれなかったんだよ」

「人の話も聞かずに勝手にバトルを始めたのはお前だろ、少しは反省しろバカ烈」

「うっ……ごめん」

 

光黄からの言葉にシュンとしたように落ち込む烈我、その様子をイカヅチは笑いながら見ている。

 

「うぅっ……アンタ、結局罪狩猟団とは関係ないんだな」

「関係ないというか、まあ一度奴らとは仕事として手を組んだが一回きりだ。それ以降繋がりはねえよ」

「じゃあ立ち位置的にはあのマチアって奴みたいな所か」

イカヅチからの言葉に対して、烈我なりにまとめ、一方で光黄もまたイカヅチに気になる事があるように。

 

「で? 今日来た目的は結局何だったんだ?」

「ただの腕試しさ、強いヤツと会いたくてね。期待以上でもう満足さ」

「一応聞くが、あれからもう罪狩猟団の様な組織と手を組んだりする事はないんだろうな?」

「心配しなくてももう組織だの胡散臭い連中と手を組む事は二度とねえよ。オメガ家の奴にも言ったが、今日みたいにただ強いヤツと戦いたいだけさ。その方がアタイの性に合ってる」

「別に心配はしてないが」

 

オメガ家というのは恐らくエールの事だろう。彼女からの言葉に嘘を言ってる様子はなく、今回来た要件も特に何か企みがある訳ではないのだろうが。

 

「それよりもう一つだけ聞かせろ」

 

まだ一つだけ彼女にとっては気掛かりが残り、烈我達には聞こえないように小声で。

 

「もし、お前がバトルに勝ってたら、烈我をどうするつもりだったんだ?」

「うん?」

 

少なからずバトルを通してイカヅチも烈我の事が気に入っていた様子でだからもし、彼女が烈我に勝利していた時はとつい気になってしまい。

 

「…………」

 

彼女からの質問に無言の様子だったが、暫くして口元を緩ませると。

 

「心配しなくても、別にお前の彼氏に手を出したりはしねえよ」

「なッ! アイツはまだ彼氏なんかじゃ…!!」

まだ(・・)?」

「ッッッ!?」

 

イカヅチからの指摘に思わず光黄は顔を赤くさせられ、悪戯っぽく笑うイカヅチに彼女は顔を赤くしながらも睨み付け。

 

「ハハハ、そう怖い顔すんなよ。初めて会った時は男勝りな奴だと思ってたけど、案外可愛いとこあんじゃん。精々仲良くな」

「う、煩い……余計なお世話だ!」

 

軽く笑いながらも最後に烈我達に視線を向けて。

 

「それじゃあアタイは元の世界に戻るとするぜ。烈我って言ったね、楽しい勝負、Thanks!」

 

「お、おお。その、こちらこそ」

『ええ!? イカヅチ様、もう行ってしまわれるのですか?』

 

イカヅチからの言葉に戸惑いながらも返事を返す烈我、一方でライトは立ち去るイカヅチに名残惜しい様子。

 

「悪いな、元の世界でまだやりたい事があるんだよ。まだまだ戦いたい奴等がいる、借りを返したい奴等もな。アンタ等に借りを返すのはその後だ」

「そっか。エールやアスラ達に会ったらよろしく言って欲しい」

 

絵留がイカヅチに言い、イカヅチは「まあ機会があればな」と適当に言葉を返す。

 

「それじゃあな、今度会う時があったらもっと楽しませてくれよ。アタイもギドラも強い奴との戦いはいつでも大歓迎だからさ」

 

最後に言葉を残して、転送装置を起動させると虹色の世界と共に元の世界へと帰還するイカヅチ。彼女が元の世界に戻り何を成すのか、それはまた別の話。

 

「ハァ……何だか新年早々色々あったけど、ともかく勝てたし幸先いいかもな! それより光黄、俺のバトルどうだった? 俺、また強くなったぜ!」

「……あぁ、強くなったと思うよ。その調子でもう少し俺に張り合える様にはなってくれ」

 

相変わらずクールな様子での感想だが、それはそれで烈我にとっては少なからず光黄に認めて貰えた事がとても嬉しかった。

 

「あぁ! 俺はもっともっと強くなるからな! ……それはそうと、さっきイカヅチって人と何話してたんだ?」

「ッ! ……お前には関係ない」

「えぇ!? 光黄ちょっと待ってくれよ!」

 

早足でその場を後にする光黄とその後を追いかける烈我。

 

「やれやれ、光黄ちゃんも烈我も相変わらずだね〜」

「お前もだろ」

「絵留も絵留で辛辣だねえ。何時になったらちゃんと謝らせてもらえるんだか」

「フン、お前がそんな調子だったら今年もずっと許さない!」

「まあまあ後で福玉焼に奢るから、俺達も行こうぜ」

「ムッ! 仕方ない、福玉焼に免じて、今日ぐらいは付き合ってやる!」

 

「あはは、今年も何だかんだ楽しい一年になりそうですね、それじゃあ行きましょうか」

『やれやれ、騒ぎすぎる事が無ければ良いが』

 

ツンツンした様子ながらの二人に苦笑いする星七だが、また今年一年も期待するようにワクワクとしながらその場を歩き出す。

七罪竜に選ばれし5人の少年少女、新たな年では一体何が彼らを待ち受けるのは、それは別のお話である。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「いやぁー、中々に悪くねえ旅立ったぜ」

 

無事元の場所に帰還したイカヅチ、これからどうしたものかと退屈そうに転送装置を投げてはキャッチしてを繰り返すが、突然イカヅチの真後ろに空間の穴が開き始めたかと思うと。

 

『イカヅチさーーん! !』

「!?……うぐっ!!」

 

突然背後から突進するかのような勢いでイカヅチに抱きつく人影、桃色の髪に陽気で明るい声、その正体は。

 

「テメェ、チル!!?」

「はい! 天才美少女のチルでございま〜す! お久しぶりですちる~ん♪」

 

人懐っこく笑うチルに対して、起き上がりながら「いいから離れろ!」とチルを引き剥がし、溜息をつく。

 

「急に何なんだお前は、というか何でこんな所に」

「いやぁ〜、実はチル、去年のうちにめでたく転職しまして折角の新年、イカヅチさんにご挨拶しとこうかなって」

「え? 転職したのお前!!?」

「まあ今はシャドウさんを手厚くサポート頂いてますとも」

「誰だよシャドウって。まあ元気そうならいいんだけど」

「あれ? イカヅチさんもしかしてチルの事、心配してくれてました?」

「ハハハ、冗談」

 

何だかんだと冗談を言い合いながらも、お互い楽しそうに笑い合っている様子だった。

 

「さてチルはそろそろこの辺で、次の仕事がありますので。でもイカヅチさんが寂しいって言うなら残らないでも──」

「さっさと行け」

「酷い!!」

 

即答するイカヅチに演技か本気かは定かではないが軽く涙目を浮かべるが、その様子に軽く鼻で笑うと。

 

「まあまた機会があれば会えるといいな。それと、新年あけましておめでとう!」

「あれ、イカヅチさんの世界にその文化ありましたっけ?」

「さぁてね」

 

笑いながら振り返ってチルに手を振り、チルもまた自分の世界へと戻り、それぞれがどんな道を歩くのか、それは当人達にしか分からない。

 

 

 

 

 




新年あけましておめでとうございます!!!
今回は春の特別編という事で、今回は特別編ゲストとしてバナナさんの世界からネコガイヌ博士と、バナナさんとコラボ回で登場したイカヅチに活躍してもらいました!!
前書きでの茶番など、ここまで御付き合い頂いた読者の皆様には感謝しかないです!( *´꒳`*)

話は変わりますが、現在バナナさんの書くコラボストーリーズと7guiltでコラボしており、是非ともコラボ回も含め、本編も大変面白いのでまだコラボストーリーズ、略してコラストを読んでない方は是非とも読むことを強くオススメ致します。
https://syosetu.org/novel/209368/

何気にイカヅチは気に入ってるキャラなので、また機会があれば書いていきたいですね〜。ただ次の機会はいつになるやら汗←

次回は平常運転で本編を更新して行きますので是非よろしくお願いします。
それではまた次回!!




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