それでは最新話をどうぞ!
あれから更に十日が経った。
炭治郎は全集中を睡眠中も維持する為、三人娘達に寝落ちた状態でも叩いてもらい攻撃を受けながらも維持する特訓もしていた。
炭治郎は今なら、全集中・常中が行けると思い、炭治郎は小さめの瓢箪を吹かせてみた
そして瓢箪がミシッミシッと音を立て始める。
「頑張れ!」「頑張れ!」「頑張れ!」
なほ,きよ,すみが炭治郎を応援する。
そして、とうとう瓢箪はバンッ!と大きな音を立てて破裂した。
「割れたーーーーー!!」
「キャーーー!」「わーーー!」「やったーーー!」
全集中・常中の会得が出来た炭治郎は、すぐに機能回復訓練で、カナヲに挑んだ。
鬼ごっこでは、汗を掻きながらだったが、見事カナヲの腕を掴み、湯飲みの掛け合いでは何十回と攻防を繰り広げ、見事勝利した。
その際、薬湯は掛けず頭の上に湯飲みを置くだけにしていた。これを見たアオイは燐と姿が重なり懐かしむ様に炭治郎を見る。
そしてカナヲは湯飲みの入った湯呑を乗せたままの状態でキョトンとしたままだった。
「どうやら常中は会得できたみたいだな…炭治郎、だが俺から見ればまだまだだ。」
道場の橋で燐が腕を組みその場に立っていた。
「燐さん⁉︎いつからそこに?」
「割と最初からいたぞ?」
「最初から⁈全く気づかなかった」
燐は気配を消し機能回復訓練を見守っていた。因みにアオイ,カナヲ,三人娘達はすでに気づいている
「それで、お前たちはどうするんだ?善逸、伊之助」
燐は気配で気づき入り口の前で、炭治郎の特訓の成果を見ていた善逸と伊之助に聞いた。
この二人はカナエとアオイの情報で今日までずっと訓練をサボっていた。
しのぶの話によれば、伊之助は裏山で動物相手に遊び、善逸は隠れて盗み食いとかしていたとか。しかも俺がしのぶ達のために買った菓子をつまみ食いしていた為、アオイから叱られていたらしい。
「全集中・常中は使うだけで基礎体力を上げることができる。はっきり言って、今の炭治郎の方がお前らより強いぞ。それなのに、お前たちはカナヲに勝てないからって理由で諦めるのか?情けないにも程があるぞ?それにお前らはそんな簡単に逃げるような腰抜けだったのか?」
二人に発破を掛けるつもりでそう言うとが、伊之助はワナワナと震え出した。
「ああ!!誰が腰抜けだ!!俺は山の王だぞ!!紋次郎に出来て俺が出来ねぇわけねぇだろうが!」
どうやら伊之助には効果覿面だったみたいだ。すると、誰かか俺の背を突いてきた。
「では、折角ですから、うちの旦那さんにやってもらいましょうか」
「俺が?」
「ほらほら、後輩達が期待してるんですから。ね?お願いします」
しのぶから上目遣いで見つめられながら頼まれた。
「……わかったよ」
そう言って俺をカナヲの前にまで移動させ、座らせる。
湯飲みには、既に新しい薬湯が用意されていた。
「それでは、カナヲ。本気でやりましょうか。燐さんも、遠慮なくどうぞ」
「はい」
「久しぶりによろしくな…カナヲ」
そう言って、俺達は湯飲みの掛け合いを始めた。
燐さんとカナヲが湯飲みの掛け合いを始めた。
燐さんは、現鳴柱で善逸の兄弟子にあたる人だ。勿論柱の為、全集中・常中が使えるし、経験も練度も俺達なんかと比べたら天と地の差だ。
いざ始まると、うん、凄いなんてもんじゃない。
凄まじくて、目が離せなかった。
掛け合いが始まったかと思えば、二人は目にも止まらぬ速さで湯飲みを掴み、相手の湯飲みを抑えていた。
速すぎて、所々で腕の残像が見える程だった。
なのに、二人は涼しい顔をしてやっているが、カナヲからなんだが真剣な匂いがする。
と言うより、俺の時よりカナヲの速さが速過ぎる。
そして、それに付いていけてる……いや違う。この匂い、燐さんは本気でやっていない。カナヲに合わせて加減をしてる。しかもカナヲもどんどん早くなっていくが燐さんもそれに合わせてペースを上げて行ってる。
「はい、そこまで」
どのぐらい時間が経ったのか分からなくなり始めた頃、しのぶさんが手を叩いて二人を止めた。
カナヲとの勝負を終えると、しのぶは炭治郎の両肩に手を置き、善逸と伊之助に語り掛けた。
「これ以上は長くなりそうなので今回は引き分けとしましょう。さて、善逸君、伊之助君。今回炭治郎君が会得したのは全集中・常中と言う技です。全集中の呼吸を四六時中やり続けることにより、基礎体力が飛躍的に上がります。これは、基本の技と言うか、初歩的な技術なので、出来て当然です」
確かにこれが出来ないと、この先手強い鬼との戦いでうまく立ち回ることができない。
「まぁ、会得するには相当な努力が必要です。出来て当然ですけれども、仕方ないです。出来ないから。しょうがない、しょうがない」
「はぁーーーーん!!出来てやるっつーの!舐めんじゃねぇぞ!」
なるほど、やる気を引き出すためにわざとそう言ったのか。
相変わらず扱い上手いな……しのぶ。
「善逸君も。一番応援してますので、頑張ってください」
「あ゛ーーー!!ハイッ!」
善逸も手を握りしめて、一番応援してると言ってこれまたやる気を引き出していた。
その光景に燐は、
「ちょっと妬けるな………」
「…?何か言いましたか燐さん?」
「いや、なんでもない」
「あらあら、燐…もしかして妬いてる?」
声のした方に振り向くと頬に指が当たり、カナエがいた。
「カナエ、なんでここに…それよりも体調は大丈夫なのか?」
「まだ平気だよ、どうやら二人共やる気を出してくれたみたいね」
そんなこともあり、九日程掛かったが、善逸と伊之助は見事に全集中・常中を会得できた。
いろいろあったが、三人の機能回復訓練は終わった。
◇
三人が機能回復訓練を終えた翌日、燐は現在修行場所である岩壁に来ており、鳥のさえずりの様にチチチチと激しい音を鳴らし、大岩を斬り裂く。
「ハァァァァァァァァァッ!!!!」
岩にめり込んだ左手は深く突き刺さり、大きな穴が開き岩はひび割れている。
「はぁ…はぁ、クソ…まだまだ威力が足りないな」
燐は今、天照を纏わせた日輪刀を使う鍛練をしている。額から汗が流れ、荒くなった息を落ち着かせながらゆっくりと呼吸する。
「はぁ…(使うだけでも体力の消耗が激しいな。神鬼合一と同時使用だと負担も大きい…)」
燐は手を膝に置き、呼吸を行うが疲労が窺える。
「(カグラ様が仰られた通り…使い続けないと慣れないな。更には“あれ”も使いこなさないといけないのに)」
カグラから鬼の力の枷を外さ!、神鬼合一の更なる先の力を解放できるが長く保たず意識を持っていかれかけるのだ。
そのため、上手く扱うには練度も必要だと判断した。
「そう言えば、カグラ様は常時写輪眼の状態だったな。普通の瞳で相手に使ったことなかったのか?」
燐は写輪眼から瞳を元に戻す。
近くの川で手を濡らし、傷薬を塗った後、水筒に入れていた水を飲み干した。
「ふぅ…だいぶマシにはなったが…やはり負担が大きいな。しのぶがなんて言うか……今日はここまでにしておくか」
燐は畳んで置いていた羽織を着て日輪刀をもち、蝶屋敷に戻ろうと足を進めた時、燐の白い鎹鴉があらわれ、周りを飛翔する。
『カァー!伝令!無限列車ニテ‼︎行方不明者四十人以上、隊士モ三人消息ヲ絶ッテイル‼︎炎柱・煉獄杏寿郎ト共ニ調査セヨ!』
「(列車?しかも杏寿郎と一緒にか、柱同士の任務となると…十二鬼月が絡んでる可能性があるのか)」
燐は羽織を着て、蝶屋敷から自身の鳴屋敷へと任務の準備をする為、駆け出した。