赤月の雷霆   作:狼ルプス

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大変お待たせして申し訳ございませんでした

戦闘描写にウルトラ苦戦してしてかなり遅くなりました。

余りいい出来ではないと思いますが、最新話をどうぞ!


第三十三話

燐の姿は変化した。瞳は写輪眼から黄色い瞳に変化し髪色は白に変わっていた。

 

『………』

燐の黄色の瞳が鋭い光を帯びて猗窩座を睨む。

 

 

「き、貴様、その姿は!?しかもこの気配…同族⁉︎何故貴様が鬼に!!」

 

『教えると思うか?それよりもどうした?今のお前から動揺の気配を感じるが』

今の燐を見ている善逸達は余りのことで動けずにいた。

 

「(な、なんだよあれ、リン兄ちゃん?けど、音はリン兄ちゃんの音だ)」

善逸は聴覚が通常の人より優れており、音を聞けばあらかた人や鬼が、何を考えているかわかる。しかし善逸は余りの燐の変化に動揺していた。

 

『善逸、早く行け。ここに居れば巻き添え喰らうぞ』

 

「っ!おい炭治郎、早く行くぞ!」

 

「あ、ああ」

炭治郎と善逸は意識を失った杏寿郎を抱え、離れていくが猗窩座はそれを許さなかったのかとてつもない速さで善逸達に迫っていく。

 

『何やってるんだ?お前の相手は俺だろうが』

燐は一瞬にして猗窩座の前に立ち、剣先を猗窩座の首元に突き立てる。猗窩座は刃が頸に入る瞬間ズサァァ、と後退した。

 

「(っ、なんだこいつ、あの距離を一瞬にして追い付いたとでも言うのか?)」

 

『何故手負いの者から狙うのか、理解できないな』

 

「邪魔になると思っただけだ」

 

 そう言ってから上弦の弐は、燐の問いに当たり前のことを聞いたたと疑問符を浮かべていた。

 

「……なぜお前は弱者を庇う。──オレからしたら、弱者は見たら虫唾が走る」

 

 

『お前の理屈も都合もどっちも知った事ではない。俺が護りたいから守る……それだけだ』

 

燐は刀に赤黒い何かを覆わせ構える。

 

『まだ名前はないが、天照よりも、かなりしっくり来る』

 

燐は大きく刀を振り下ろし赤黒い斬撃を飛ばす。

 

「(ッ⁉︎黒い斬撃を飛ばすだと!)」

猗窩座は迫り来る斬撃を回避し距離を取る。回避した猗窩座は斬撃が通った地面を見ると、大地が裂かれていた。

 

「(あの斬撃を食らうとまずい。確実に回避してやつを仕留めなけれ)『考える暇があるのか?』ッ⁉︎」

燐は猗窩座の背後に一瞬にして周り黒い斬撃を放つ。辺りは土煙が立ち、燐は距離を取る。

 

 

『グッ!(今の状態であまり多用するのはまずい。今は瞳術も使えない。この斬撃は打てて後二発、慎重に行かないと)』

燐は実際重傷である。頭の怪我に加え、肋骨は骨折、そして瞳術も使えない状態でまともに動けているのが奇跡と言うくらいだ。

 

『(ホントにギリギリもいい所だ。なんとか持ち堪ないと)』

そして土煙が晴れると、猗窩座は体中血を流しており腕は切断されていたが、なんともなかったかのように身体を再生させる。

 

「俺が鬼ではなかったら死んでいたが、一撃でここまでとはな、童磨を殺しただけのことはある!」

 

『咄嗟に血鬼術を発動させて俺の斬撃による痛手を軽減したみたいだな』

 

「今まで殺してきた柱たちにもお前のような奴はいなかったな。しかしやはりもったいない。同じく武の道を極める者として理解しかねる。選ばれた者しか鬼にはなれないというのに。──素晴らしき才能を持つ者が醜く衰えてゆく。貴様にそれがわかるか?」

 

『確かに、時間につれ人は衰えていく。だが、たとえ肉体は滅んでも、未来に自分の意思を残す事はできるんだよ!』

 

「そうか、ならば死ね、若く強いまま」

 

──術式展開 空式

 

 

──炎の呼吸 肆ノ型・盛炎のうねり

猗窩座は直線的に拳を虚空を打つ。燐は雷ではなく、炎の呼吸で、術の起動を見切り相殺していく。

 

 

『風の呼吸 壱ノ型・塵旋風・削ぎ』

凄まじい勢いで螺旋状に地面を抉りながら突進して斬り刻む。

 

猗窩座は身を捻り体勢を整え、風の斬撃を回避し着地する。柔軟さ、強さ、反射速度。上弦の鬼だけあって通常の鬼の比ではない。

 

 

「何故、お前が別の技を使っている?」

 

『手数は持ってる方なんでな』

 

「やはり素晴らしい!貴様はやはり鬼になるべき存在だ!!そんな紛い者なんかではなく、鬼となれ、燐!」

 

猗窩座は楽しそうに、嬉しそうに声を上げる。それは、自身の好敵手を見つけたように。燐はその言葉を聞き、握っている柄に力を入れる

 

『――なるわけ……ないだろっ!』

 

燐は声を荒げ、黒い斬撃を放つ。先程とは違い、一振りで無数の黒の斬撃が猗窩座に迫るが、

 

 

「砕式・鬼芯八重芯」

左右四発合計八発の乱打を放ち斬撃を相殺される。しかし全ては相殺出来ず、猗窩座の肩は深く斬り裂かれた。

 

『(後一発!使う場を考えねぇと)』

 

「鬼になれば、この斬撃の致命傷以外は掠り傷みたいなものだ」

 

 猗窩座は瞬く間に傷が治る部位を指差す。──そう。燐の黒い斬撃で傷付いた部位が、鬼の回復力で塞がっていたのだ。

 

 

『(こうなっては、距離を取って攻防をしていたらこちらが危ない!近距離で戦うしかない!)』

 

 

──雷の呼吸 壱ノ型・霹靂一閃

 

 

燐は猗窩座と間合いを詰め鋭い剣技を繰り出すが、猗窩座は喜々とした表情でそれを拳で往なすか、弾き落としている。

 そして、猗窩座と一進一退の攻防は、少しでも反応が遅れれば致命傷になる。燐は猗窩座の動きを目で見切り躱していく。

 

 

「素晴らしい剣技だ!だが、鬼にならなければこの剣技も衰退し失われていくのだ!お前は悲しくないのか!」

 

『言ったはずだ!たとえ肉体は滅んでも、未来に自分の意思を残す事はできるってな!』

 

 

──破壊殺・乱式

 

──雷の呼吸 弐ノ型・稲魂

 

猗窩座の放った拳と燐の雷の斬撃が衝突し、凄まじい爆発音を放つ。

 

しかし、

 

「術式展開 脚式・冠先割」

 

『ッ⁉︎しまっーー』

…背後に回り込んだ猗窩座は燐を蹴り上げる。防御をとるも燐は吹き飛ばされてしまう。

 

 

「杏寿郎にも言ったが、生身を削る思いで戦ったとしても全て無駄なんだ、燐……お前が俺に喰らわせた素晴らしい斬撃も、先程のように完治してしまった。だがお前はどうだ──?」

 

 猗窩座が目にするのは、額からは目を開けることすらままらない量の血は流れ、右脇腹の骨が折れそこから血が滲み、額、頬は切り傷だらけで鮮血を流す燐だった。

 

 「鬼であれば、瞬きする間に治る。──そう、どう足掻いても人間では鬼に勝てない。お前は鬼に近い力を発揮しているようだが、再生能力はないみたいだ」

 

猗窩座は、燐を見下すように見る。しかし燐は、刀を構え口を開く。

 

『勝てるか勝てないかなんか、やってみなきゃ……わからないだろ』

 

猗窩座の額に青筋が浮かぶ。

 

「……ならばお前は強い人間だと言うんだな?」

 

「俺……は強くなんかない」

 

と言って頭を振る。

 

「俺は弱い人間だ。鬼の血を引いてるだけのただの人間で、一人じゃ何も出来ない。仲間がいたから……俺は強くなれた。俺には……護るべきものがあるから、戦えるんだよ!!」

 

燐の脳裏に過るのは、カナエとしのぶ、蝶屋敷に住まう皆と鬼殺隊の仲間達。みんなの助けがなければ、今ここに燐は居ないのだから。

 

 

 

 

『(心の火を燃やせ。杏寿郎……お前の力、貸してくれ!)』

 

 燐は刀を握り締め、心を燃やす。それは闘気となり空気を揺らす程だ。そして、燐は型を構える。

 

 

ーー灰の呼吸 捌ノ型・百鬼斬!

 

 

 燐の覇気に一瞬押されたのか、猗窩座の反応が遅れ、凄まじい直線的な加速に爆風と土煙が巻き起こる。

 

 

「破壊殺・滅式!!」

 

二人の技が衝突し、更に噴煙が巻き起こる。

 

 

 

 

土煙が晴れると、燐は猗窩座の背後におり、猗窩座の頸は斬れかかっていたが、両腕と体の半分以上左側が削がれていた。しかし、距離を取った猗窩座はすぐさま体を再生させようとする。

燐は顔を俯かせ、技の反動で動くことが出来なかった。

 

そして、猗窩座が体の再生を完了させたら最後、動けない燐は猗窩座の手によって殺されるだろう。

 右腕だけを再生し終えた猗窩座は、片足だけを踏み込み、燐の腹目掛けて拳を振るった。

 

貫かれると思ったその時

 

 

ガシッ!

 

「っ⁉︎な、なにっ⁉︎」

 

『待ってたぜ、この好機をな!』

燐は猗窩座の腕を掴んだ瞬間日輪刀に赤黒い何かを覆わせる。しかしその量は今までとは尋常では無かった

 

「くっ!離せ貴様ッ!」

猗窩座は燐の掴んでる手が予想以上に強く、払うことが出来なかった。直ぐに燐に攻撃を仕掛けようとするが燐に躱される。そして更には覆っている赤黒い光は強くなり、そして、

 

 

『喰らいやがれ…… 猗窩座ァァァァァァァァ!!』

 

 

燐は日輪刀を逆手に持ち替え、至近距離で猗窩座に刀を振り上げる。周りは黒い斬撃が広がり、辺りは爆風に覆われた。


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