告白されたら高校生活が変わりました!   作:オオル

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どうも!今回は脱出編!果たして無事に脱出することはできるのか!?

それではどうぞ!

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誤字脱字は後日訂正します



女子湯に入ったことありますか?脱出編

 俺、神崎レイは今人生の中で最も危機的状況になっている。

 

 何故なら俺は今腰にタオルを巻き、大浴場(元男湯)の岩場に身を隠していた。

 

 しかし…俺の未来の彼女ことアサシンのやつが恐らくだが自分が入って来た時には既に暖簾を変えていた、と思う。

 

 じゃないとこんなことは起ころない!

 

 そう、今この元男湯は現女湯となっており俺はその女湯の中にいるのだ。

 

 ったく…こんな展開ギャンプで見たぞ?確かホンコイ、本物の恋って意味でカタカナでホンコイと読む作品の中であった展開だ。

 

 となるとアサシンはその漫画を知っている…?はたまたただの偶然か否か…って!そんなの考えてる場合じゃない!

 

 こ、ここから抜け出す手段を考えなければ!

 

 俺の手元にあるのは腰に巻いてるタオル、そして何故かアサシンに渡されたヘアゴム

 

 うん、これでどうにかできる状況じゃねぇー!

 

 お、おしまいだ、俺の高校生活終わりだ…!女湯にいたなんてバレたらいじめられる!貶される!死んだ魚を見るような目で俺は見られ続けるだろう!

 

 俺はそんな高校生活は送りたくない!ならば死にものぐるいで探せ!なに、この世の全てをそこに置いている訳では無い!答えぐらい見つかるだろ!?

 

「にしてもひーちゃんでかいよね〜」

「やっぱり大きくなる秘訣とかあるのかな!」

「え、つぐみ大きくなりたいの?」

「別にそう言う意味で聞いたんじゃないよ?ただ努力してるのかなって」

「つぐー流石につぐっても大きくはならないだろ」

「そうそう!いじったら大きくなるかもだけどね♪」

『………………………………』

「あれ、私変なこと言った?」

「い、いやー!そのなんだ!体でも洗おうぜ!」

 

 ひまりが問題発言をしたものの巴のその一言により騒動は幕を閉じた。

 

 が、彼は瞼を閉じない、常に目を見開き脱出の好機を探す。のではなく

 

「A…D…C……おー!あれはEだろ!」

 

 って違うー!何女子の胸見てサイズ診断してるんだ俺は!?馬鹿だろ!てか変態だろ!

 

 待てよ?ざっと女子が20人弱、ってことは?

 

「おっぱいは約40個…!」

 

 よくよく考えたらかなりすごい状況、えー俺もう完全にここから逃げ出せれる気がしないんですけど!?

 

 40個分の何がが絶対俺の行く手を邪魔するに決まってるじゃないか!

 

 か、かくなる上は…!あまり不本意ではないが彼女(・・)に頼るしかない!

 

「ひーちゃん洗いっこしよ」

「いいよー!私から先に背中洗うね!」

「……まさかの胸で〜?」

「何言ってんだよモカ、んなことひまりがするわけないだろ?」

「う、うん!こらモカー?流石に私もそろそろ胸いじりから抜けてくれないと怒るよ?」

「モカちゃんも程々にしないとだよ?」

「さーせんしたー」

 

 嘘だ。巴が何も言わなかったら普通に胸を使って洗ってあげると返事をするところだったのだ。

 

「(今度ご主人様に胸で洗ってやるか…あは!ご褒美におしりペンペンしてくれんのかな!)」

 

 巴も巴でもう先が危うい人物へとなってしまったようだ。この先本当に大きな怪我をしないか心配である。

 

「………………………………」

 

 その頃蘭は1人で黙々と体を洗っていた。

 

 特別モカ達と話そうとする様子もなく淡々と上から体を丁寧に撫でるよう洗っていく。

 

「……ふぅ」

 

 体の泡を洗い流し一息ついて空を見上げる。

 

 綺麗な夜空に輝くのは星々、どこかの彼女なら星の鼓動を感じたと言い出しそうな美しさがあった。

 

「……月が綺麗」

 

 ボソッと言ったその時

 

「ら、らーん、ヘルプミー」

「え…?」

 

 俺は蘭が1人でいるタイミングを逃さなかった。

 

 ずっと蘭を見てた。こいつなら俺を助けてくれるかもしれないという謎の期待の眼差しを送り続けた結果奇跡を呼び起こした!

 

 俺は岩場から腕だけを出しGoodサインを送っていた。ちなみにだが小声でらーんと呼んでだ。

 

 結構急いでいる様子でこっちに誰かがやってくるのがお湯の音でわかる。頼むから蘭であってくれ…!

 

「レイ…あんたここで何してんの?」

「頼む信じてくれ、俺は嵌められたんだ!」

「……誰に」

「…………しゅ、柊優に!」

 

 柊優には後で事情を説明して何とかしてもらおう!蘭と喧嘩になるかもだけど許してくれー!

 

「……へー、あいつなかなかいいことすんじゃん」ボソ

「な、なんて?」

「なんでもない、てか胸見すぎ」

「ッ!す、すまん!」

 

 今は岩場にて蘭と真正面から向き合い話をしていた。まあ…その、どうしても蘭の胸に目がいきますよね、だってなんか形がエロいんですもん

 

「見てるくせに元気にはならないよね」

「へ?」

「……なに?見せつけてんの?」

「……ッ!ち、違う!さっきまで1人だったから隠してないだけだ!」

 

 先程まで巻いていタオルだが1人だからよくね?ってことで外してたら…蘭に俺の大事な息子が見られちまった。

 

「てかあんた付いてたのか…ちょっとショック」

「そりゃ付いとるわ!?」

「しかもちょっと大きいのもショック」

「え!?俺って大きい方なのか!?」

「うるさい、ちょっと黙って」

「ぶ、ぶびばぜん」

 

 急に口を押えられすみませんがもう原型を止めていない単語になっていた。

 

「蘭ー何してるのー?」

「……なんでもない」

 

 モカのやつ蘭が岩場でなんかコソコソしていることに気づいたのだろうか、話しかけていた。

 

「で、どうする?ここであんたが学校中のみんなに嫌われてあたしの下僕になることは確定として…それからどうする?」

「いやいや!勝手に下僕確定しないでくれる!?何か策がないか一緒に考えてくれよ!?」

「……ほら、その彼女なんだろ?」

 

 これはあれだ、ここで彼氏アピールをすることで助けてくれるかもしれない!

 

 だから決してアサシンを裏切った訳では無いぞ!?

 

「いやあんた何言ってんの?」

「なんで俺のは聞かないんだよ!?」

 

 俺のこと自分の彼氏とか言うくせに俺が彼女なんだろ?って言ってもこれか!もう二度と言わんわ!

 

「あ、一つだけ方法あるよ」

「ッ!なんだそれ!」

「……いやごめん、やっぱりないわ」

「んだよそれ!てかどんな策だったんだ?」

 

 何か活気的な策で出来ないとなればそれはショックが大きいだろう。

 

「レイコなら行けると思ったけどヘアゴムがないから無理」

「……あるよ」

「は?」

「あるよぉー!ヘアゴムあるよぉー!」

 

 俺を見せつけるよに腕を構え、着けていたヘアゴムを蘭に見せつける。

 

「なんで持ってるの?」

「……それはあれだ、気にするな!」

 

 でもナイス策だ!俺がレイコになればここから抜け出せれる!おう!これはいける!いけるぞー!

 

「でも流石にあたし一人であんたをサポートするのは無理」

「……だから待ってて」

「待て待て待て待っててって!それってよ!」

『呼んだー?』

「ッ!」

 

 岩場の上から俺を見下ろすのは変態幼馴染集団の蘭を除く面々だった。

 

 何となくわかってたさ、一人では無理って言って蘭の頼れる仲間なんてこいつらしかいないからな

 

「まさかそこまでして胸を見たがるとは〜れーくんもとんだ変態さんですな」

「う、うるさい、ぶち殺すぞ」

「え?ぶち犯す?もーう!レイ君の変態!」

「ぐはっ!ば、ばかお前!背中に綺麗なもみじができちまうだろ!?」

 

 ひまりのやつに背中を思いっきり叩かれた。ヒリヒリしてるから綺麗な手形のもみじができたのは確定のようだ。

 

「蘭から話を聞いた時は驚いたぜ、まさかご主、っとレイがいるなんてな!」

「話聞いた時は嘘かと思ったけど…本当だったんだ」

「いや…うん」

 

 君達の正体を知った時の俺の気持ちが少しでもわかってくれただろうか?

 

 俺も信じたくないことだったが…目の前には事実しかないからな、信じるしかないのだ。

 

 だから君達も女湯(元男湯) に俺がいる事実を受け入れるのだ!

 

「……って作戦なんだけど協力してくれるか?」

 

 ゴクリ…俺は作戦をモカ達に話した。俺が髪を結んで女子のフリしてこの戦場から抜け出すって作戦だ。

 

 その抜け出すまで彼女達にサポートをお願いするのだが…大丈夫だろうか?

 

「……それって大丈夫なのか?」

「バレないの?」

「大丈夫、レイの顔ならいける」

「なるほど〜」

「確かに行けそう」

 

 モカとひまりは一度レイの女装姿を見たことがある。その時の光景を思い出したところレイ、いやレイコなら行けるだろうと言う謎の確信があった。

 

「よし、お前ら頼むぞ…できるだけ!目立たないまま!ここから抜け出すぞ!」

「よーし!えいえいおー!」

『………………………………』

「なんで!モカ!レイ君!サークルの時はやってくれるじゃん!?」

「……サークル活動の時はえいえいおーじゃないのでー」

「それにお前じゃなくて俺が言ってるし…」

『???』

 

 余談だが蘭、巴、つぐみの3人はレイとモカとひまりがサークル活動を行っていることは何も知らなかった。

 

 とりあえず今から行う作戦には関係がないため深追いされることはなかった。

 

「………………………………」

 

 こないだ蘭に女装された時同様ヘアゴムを使いサイドテールを出現させる。

 

「……可愛い…!」

「ら、蘭今は我慢してくれ、頼む…!」

「後でじっくり見せてよね」

「あはは、出られたらな」

 

 今は変態幼馴染集団に囲まれ岩場から場所を移していた。

 

 壁を利用し一周する形で出口へと向かう。常に背中を見られないまま行けば…!

 

「あ、ひまりちゃん達!何してるのー?」

『!!!!!?????』

 

 クラスの女子の一人が俺達に話をかけてきやがった!

 

 ひ、ひまりの野郎…!胸だけでなく顔も広かったのか!?

 

「あれみんなして何してるの?」

「本当仲良しだよねー」

「てかモカちゃんスタイルよすぎ!あんなに食べてるのになんで太らないの!?」

「………………………」

 

 モカのやつ露骨に邪魔すんなってよって顔に出てるんですけど!?

 

 え、俺のためにそこまでの思いをして脱出させようと思ってくれてるのか!?

 

「……カロリーはひーちゃんに送ってるからね〜」

「それなんか前も聞いたような…」

「やっぱりバンド活動って体力使う?」

「ちょー使う!もうきつくて大変」

 

 このままモカ達と話すだけで終わってくれ…!頼むから俺に気づかないでくれ!

 

「へー………………で、その人誰?」

「知ってるか?人って寝てる時にものすごく汗をかくらしいんだ」

「え?うん…で、その人誰?」

「生徒会の仕事でインタビューに協力して欲しいんだ、この後時間あるかな?」

「……うん、だからその人」

「ちょっと、何レイコと話そうとしてるの?」

『………………………』

 

 クソう!ダメだ!もうおしまいだ!

 

 てかバレたにも関わずあんた達誤魔化し方下手くそすぎないか!?いや頑張っていたのは伝わったけどさ!

 

「きゃー!誰その子、めっちゃ可愛いじゃん!」

「ねえ!名前なんて言うの!てかこんな子うちにいたっけ?」

「……どことなく神崎君に似てる気がする」

「ッ!そ、ソンナコトナイヨ」

 

 裏声で返事をしたがバレてない、よな…?こんな所でバレたら本当に終わりなんですけど!?

 

「この子はレイコ、神崎レイの双子の妹」

「ッ!ちょ、蘭!?」

「え!それ本当!?だから似てたんだ!」

「うちの学校に神崎君の妹なんていたんだ!」

「……いやーレイコはうちの生徒じゃないよ〜たまたま両親と旅行に来てたみたいなの」

「神崎君の両親…一体どんな人なんだろう」

 

 うちの両親は姉貴よりクレイジーなやつだと思ってくれればそれでいい、父親に関しては厳しいだけだ。

 

「確かに週末だしねー泊まりには来るか」

「でも息子の宿泊研修先の宿に泊まる?」

「……そ、それは今日登山をしたので」

『なるほど!』

 

 我ながらナイス嘘だと思う!よく思いついた俺!

 

「ねえねえ!家での神崎君ってどうなの!?」

「うん!常に家のことを考えてて料理をしては姉さんを喜ばせて家事全般が得意なんだよ!多分将来結婚したら育児も全力でサポートしてくれるはずだよ!」

「な、なんで羽沢さんが答えてるの…?」

「はっ!ね、ねえ!そうだよねレイコちゃん!?」

「え、うん」

 

 ここでその悪い性癖バレるようなことを言うじゃないよ!?危ないだろ!

 

「ッ!そ、そうだ、逆に俺…じゃなくて普段に、兄さんって学校ではどうなの…?」

「神崎君?んー夜桜君と付き合ってるって話は本当なのかな?」

「ぐはっ!」

「神崎君が受けで夜桜君が攻めらしいよ」

「何言ってるの?実は逆かもしれないって話もあったじゃない」

「えーでも神崎君のような中性的な顔の人が夜桜君に腰振ってるなんて…逆に打ち付けられてるイメージしか浮かばないわ」

「………………………」プルプルプル

 

 お、落ち着いて!蘭さん落ち着いてー!あなたは腐女子ではないかもしれないけど彼女達は残念ながらそのような人達なんでよ!?

 

「でもこないだ神崎君が駅で女性の人と話してるところ私見たよ?」

「ッ!」

 

 な、なんだって!?それって俺がアサシンと話していて携帯をなくしたあの日のことか!?

 

 だとしたらこの目の前にいるモブ、いや女子生徒Aさんはアサシンの顔を見ている可能性が高いってことか…!

 

 ここに来てまさかの好機!この好機逃す訳には!

 

「その人のこと」

 

 俺が女子生徒A子さんから情報を聞き出そうとしたその時!

 

「おーいもう入浴時間は終了だ、次の組があるから早くしろよな」

『はーい』

「……てことだから上がろうぜ」

「お、おう」

 

 無事に抜け出せれるのはいいがこのタイミングとは…!運がいいのか悪いのかよくわからんな

 

 その後俺は無地に女湯(戦場)から帰還した。だがしかしその先には更なる壁というものがあったのだ。

 

 そう、脱衣場…!俺以外の生徒、つまり女子生徒が濡れた体をタオルで拭き、下着に足を通している。

 

 そんな光景がどこを向いても目に突き刺さる!

 

「ねえつぐーちょっとブラのホック止めてくれない?1人でできるけどちょっとめんどくさい…」

「いいよ!……はい!」

「ありがとうつぐー!」

「…………………………」

「あ、レイ君が止めたかった?」

「い、いや違う」

 

 何故下からではなく上から付けたのか疑問に思っただけだ。なんてことは口が裂けても言えん

 

「レイも早く着替えなよ、今ならあたしがあんたの竿を隠してあげるからさ」

「隠すと言うよりもろ顔と重なってるんですが!?」

 

 ち、近い!息があたる!あたってますよ蘭さん!?てかそんなんだと着替えれないだろ!

 

「気にしなくていいから、早く着替えなさい」

「んなまじまじみんなよ!?」

「……はぁ、ショック、本当に付いてる」

「まだ立ち直ってなかったのかよ!?」

 

 ショックを受けている蘭を後目に俺はパンツを履く、その後は急いで浴衣を着て変態幼馴染集団と脱衣場を後にする。

 

「…………とりあえず助かった、ありがとう、ございました」

「それよりもなんで女湯なんかにいたの?」

「実は柊優に嵌められたんだよな…」

「へーあいつ結構いいことするんだな」

「あいつはあんなやつだよ、知らなかったの?」

 

 あ、あっれー普通なら嫌われるようなことしてると思うんですけど?いいことするなってなんだよ!?

 

「後でお礼言っとこうかな?」

「い、いや大丈夫!俺から話しておくからさ!」

「とりあえず本当にありがとう!そしてさようならー!」

 

 このままではこいつらが直接柊優に話をしでかすと思った俺は、俺からお礼?を話しておくといい無理やり話を終わらせた。

 

 てかそもそも柊優は何もしてないんですけどね

 

「た、ただいまー」

「神崎遅いじゃないか!」

「神崎君!長風呂とは君は肌を気にするタイプの乙女心を持っているのかね!」

「まじねーわ!」

「……あーはいはい」

 

 部屋につけばこの三馬鹿の相手か…俺が休めれる場所は無いのだろうか?

 

「あれ、レイ戻ってきたのか、ほらコーヒー牛乳」

「あ、ありがとう」

「ほらお前らの分も買ってきたぞ」

「おー!流石夜桜!君がモテる理由がわかったぜ!」

「夜桜はイケメン、はっきりわかんだね」

「まじねーわ!」

「………………………………」

 

 まあイケメンは否定しない、悔しいが男子から見ても柊優はイケメンだよな…俺もこんな顔で生まれてたらエロ同人誌のネタで使われることなんてなかっただろう。

 

「ところでレイ、お前どこ行ってたんだよ、風呂に入ってたか?」

「……それなんだけどさ」

 

 柊優にアサシンの罠にまんまとハマってしまったこと、そしてそのせいを柊優に押し付けたことを隠すことなく全て話した。

 

「……お、お前容赦って言葉知ってる?いくらなんでもそれ俺が100悪いやつじゃないか」

「いや!でもみんな何も思ってないようだったし?たまたま持ってたこのヘアゴムで髪縛ったおかげで女子には俺ってバレなかったし!」

「…………んーそうか」

「?」

 

 一瞬の間はなんだったんだ?俺の気の所為…だよな?うん、多分そうだ。

 

「なあUNOしようぜ」

「いやいや!野球挙だろ!」

「まじねーわ!」

 

 由明日のやつはスっとリュックからトランプを取り出していた。どうやらトランプを使った遊びがしたいようだ。

 

「まあお前が無事ならそれでよかった、明日は気をつけような」

「…………お、おう」

 

 と柊優に全てを話したところで俺も遊ぼうと思った。しかし俺は忙しい身、少しでも内容が濃いSSを書かねばならない。

 

 こんな所で三馬鹿と遊ぶような時間は俺にはないのだ。

 

 リュックからiPadとキーボードを取り出し

 

「んじゃ俺ちょっと用事あるから小一時間ほど抜ける」

「えーまじかよ!夜はこれからだろ!?」

「これからだからそれまでに用を済ませるんだろ!」

「おー!俺達のためにと思っての行動か!なに、神崎はもしかして俺のこと好きなの?」

「随分と脳中お花畑のようですね!」

「あっはは!まじねーわ!」

「お前はそろそろまじねーわ!以外の言葉を話せや!?」

 

 久しぶりに1人ずつツッコミを入れたがまあきつい、もうこいつら3人が話し終わってからツッコミをしよう。

 

 うるさい三馬鹿から解放され休憩室へと向かう。ここならあの部屋よりかは作業が捗るだろうと思ったが

 

「……まあそりゃ沢山人がいますよねー」

 

 それに近くには卓球場やゲーセンだってある。そりゃ人だって集まるわ、他を探そう。

 

 そうこうして静かな場所を探すこと数分

 

「あ!」

「……ッ!?か、神崎君!?」

 

 あの女子生徒A子さん!ここであったが100年目!あの時の話の続きを!

 

 って!あれは俺じゃなくてレイコが聞いてたって設定だったー!ど、どうやって聞き出そうか!

 

「神崎君!私何も見てないから!」

「……へ?」

「駅で神崎君と話してた人、じゃない!紙袋の人なんて知らないので!」

「え?う、うん」

「あとレイコちゃんにも忘れるように伝えといてください!あぁぁぁああ!!」

「…………………………」

 

 な、なるほど…大方アサシンがどこかしらで話を聞いてて脅したんだろう。殺さなかっただけまだマシだな、多分

 

 となるとあの時いた幼馴染集団の確率がやはり高いのだろうか?それともアサシンのやつはあの時隠れていて話を聞いていた?

 

 もしくは蘭達がそのことを話していて聞いてしまった?とか、その点辺りか

 

「今度アサシンに聞いてみるか」

 

 果たして彼女が本当のことを話してくれるのか、なんせアサシンは嘘つき屋さんだ。真実なんて話してくれないか

 

 そんなことを考えながら適当に歩いていると

 

「あぁぁぁぁぁぁああああああ〜ぎもぢい〜」

「我々は宇宙人だ〜なんちゃって」

「……はっ!?」

 

 脱衣場から出てすぐにあるマッサージチェアに座りながら声を出していたのは朝日奈凛、だった。

 

「…………なに?」

「いや俺の前でその顔が通用すると思うなよ?」

「通用するとは思っていない、ただの照れ隠し」

「照れてんじゃねーか!?」

 

 その凛とした表情で淡々と言われても言葉が言葉だから結局かよ、って思ってしまう。

 

「なによ、1人で入ってた私を笑いに来たの?」

「それともほってっている私の体をエロい目で見に来たの?」

「なんでそうなる!?」

「……そう、やっぱり私は魅力のない体なのね、全身整形するためにお金貯めようかな、あはは」

「いや、だから朝日奈さんは十分発育いいから!」

 

 このセリフだけを聞かれていたら俺はやばいことを言ってるやつだと思われるよな

 

「…………じゃああんたはなんでここにいるのよ」

「なんで?んー朝日奈さんこそなんでここに?」

「見て分からない?マッサージチェアに座ってるのよ」

「いやそれはわかるよ」

 

 あーそう言えば1人で風呂に入ってた私を笑いに来たの?とか言ってたから…風呂から上がったばかりだったのか

 

「後部屋に戻りずらい」

「は?なんでだよ、モカとひまりがいるじゃんか」

「……美竹さんに合わせる顔がない」

「???」

 

 話を聞くと昼間の蘭が溺れかけた事故を自分のせいだと攻め込んでいるらしい。

 

「私があんな一言を言ったから美竹さんは」

「……でも大丈夫だったからいいじゃんか」

「運が良かっただけよ、もし当たり所悪かったら私は殺人犯になっていたわ」

「たとえ死んだとしてもお前は落としてないだろ…」

「私が上にいたからお前しかいないだろってイチャモンつけられて捕まるのよ…この歳で前科持ちか、ふふふ死のうかな」

「………………………………」

 

 もう…何を言っても聞かないのだろうか?まさかここまで被害妄想が酷いとはな

 

「そんなに心配なら直接本人に謝ればいいじゃんか」

「……あの人怖い」

「案外面白いやつだぞ?」

 

 色々残念なやつだけどさ…まあ嫌いではないやつだ。それに何となくだが朝日奈さんと蘭は仲良くなれると思う。

 

「…………考えとく」

「てかあんたこそ何しにここに?まさか本当に…!」

「違う違う、SS書くために静かな場所を探していたんだよ」

「静かな場所?あーならいい所あるよ」

「まじで?」

 

 まさか急に静かな場所を知れる機会が訪れるなんて!持つべきものは朝日奈さんだな!

 

 場所を聞いた際なんでそんな場所知ってるの?って聞いたら

 

「ぼっちはいかなる時も1人になれるように場所を探しているのよ、なに?今笑った?……だいたいあんたにあの場所教えたらあたし一人になれないじゃん、死ぬじゃん」

 

 なんて言ってたが渋々言いながら自室へと戻って行ってた。後で彼女には場所を奪ってすまなかったと謝っておこう。

 

 そして俺はそのまま朝日奈さんが見つけた隠れスポット、森林の中にある木のテーブルと木の椅子が置かれている所へとたどり着いた。

 

 大方外でご飯を食べるために作られた休憩所だろう。確かにここなら静かに作業に没頭できそうだ。

 

 iPadを立てキーボードを接続しいざ執筆!今回は最後である冬香のSSを書かないといけない。

 

 一番晴太と絡みが少ない彼女ならではの行動というものが読者の心を掴んでいる。

 

 ぶっちゃけ彼女の人気は他の姉妹より高いと思う。ここでアニメ化してどーなるかは見ものだな

 

 だってよくある話だろ?アニメ化したら化けたキャラとかさ

 

「……とりあえず何パターンか用意しておこう」

 

 燐子さんにリテイクと言われてもすぐに提出できるよう予め予備の話を書いておく。

 

 なーに、備えあれば憂いなしって言うしな、ま、まあ俺への負担は増えますけどね…

 

「んー!!!」

 

 ある程度話を書き終え背筋を伸ばす。やはり背もたれのない椅子に座りながら作業するとなると腰や背中に負担がかかってしまう。

 

 伸びたりなかったため一度席から離れちょっとしたら広場で軽く運動をする。

 

「あ、」

 

 その際仰ぐように空を眺めた時俺の目には満天の星空が視界の隅から隅まで広がっていた。

 

「……綺麗だ、な」

 

 都会と違い森の中から見る星は見え方が全然違った。なんせ都会は街明かりが強すぎて上手く星の光が見えないもんな

 

「ッ!そう言えば!」

 

 ここで昔のことを思い出した。

 

 昔こんな夜空の下である友達とひとつの約束をしたんだった。

 

「ねえレイ君!僕達でいつか絵本を書こうよ!」

「えー絵本?俺お姉ちゃんみたいに絵描けないよ?」

「だったら僕が描くからレイ君は話を考えて!」

「……それなら…ま、まあ考えてやらんこともな、い」

「本当!?なら約束!指切りげんまん嘘ついたら絵の具とかした水のーます!指切った!」

「ちょっと!?絵の具なんて飲んだら危ないよ!?」

「約束守ればいいんだよ!」

 

「………………………………」

 

 昔、もう10年も前の話だ。

 

 昔父さん達がよく弦巻文庫の絵本の読み聞かせ会に連れて行ってくれたんだ。

 

 その際に仲良くなったとある男の子と俺はいつか絵本を書こうよ、なんて約束をしたんだっけ

 

「あれから10年か……」

 

「芹沢君…元気にしてるかな」

 

 なーんてな、もう10年経ってるんだ。約束した張本人もこんな約束覚えてないだろう。

 

「……執筆に戻ろっと」

 

 その後は何故か先程よりも集中することが出来た。なんだろうか、昔の思い出ってやつでやっぱり俺はこうゆうことに憧れていたんだと思った。

 

 夢を一度捨てた身だが…もし彼にもう一度会えたなら、今度は俺から誘ってみるか

 

 そう考えながら作業をやること早数十分、そろそろ戻ろないとあの三馬鹿達がうるさいと思い帰ろうとした時

 

「……あ、やっと気づいた」

「ッ!?」

 

 隣の椅子に浴衣姿で体操座りしながら俺を見つめていたのは…

 

「ら、蘭かよ、驚かせんな」

 

 本当に一瞬幽霊かと思っちまったじゃないか!べ、別に?俺は幽霊とか全然怖くない人なので!そこん所よろしくな!?

 

 あと蘭の浴衣姿を見てさらにドキッとしてしまった。流石華道家の娘、和服が似合うな

 

「話聞いたよ、モカとひまりとサークル活動してるらしいね」

「……それと燐子さんと朝日奈さんもな」

「朝日奈も?それは初耳」

 

 確かにあの朝日奈さんがサークル活動に参加してるとは思わないよな…

 

「てかよくこの場所わかったな」

「朝日奈から聞いた、なんか急に昼のこと謝ってきてさ」

 

 なんだ朝日奈さん結局蘭のやつに謝ってたのか

 

「なんか土下座してた」

「そこまでさせたのか!?」

「違う、あたしは何もしてない」

 

 となると彼女が深く考えすぎて最終的に土下座にたどり着いた?んだろう。

 

「それでその時レイの場所も聞いたってわけ」

「……聞くけどなんで俺の所に?」

「なんか枕投げするから呼んできてって」

 

 枕投げ?泊まり先で行う定番なやつじゃないか!男子の俺達なんてカードゲームで遊ぼうとしてたのが馬鹿みたいじゃないか!

 

「ねえ燐子さんの絵見てせよ」

「だーめ、見たいなら俺達が出した本で見るんだな!」

「そういうのいいから」ヒョイ

「おい!?」

 

 iPadの写真に保存している燐子さんの絵を勝手に蘭に見られてしまった。

 

「………………悔しいけどかなり上手い」

「……だろ?俺も初めて見た時は目を疑ったよ」

 

 やはり絵を描いている蘭から見ても燐子さんの絵は上手いようだ。しかもこれが独学で

 

「描き始めて数ヶ月とか…伸び代しか見えない」

「だよな!」

「なんでレイが喜んでるの?」

「うぅ、別にいいじゃねーか!」

「……燐子さんエロ(R18)描かないのかな?」

「うちのサークルメンバー勝手に引き抜かないで!?」

 

 引き抜かないで、で思い出したけどさ!

 

 アサシンってそのうち俺達のサークルに入るって言ってたよな?いやもう既にいるかもしれないけどさ

 

 ここでもし蘭を誘って見たら…?

 

「なあ蘭」

「……なに?」

「……俺と一緒に最高の同人誌を作らないか?」

「………………………………」

 

 某アニメの主人公みたいな言い方をして俺は蘭をサークルに勧誘してみた。

 

 もし蘭がアサシンなら素直にうんと首を縦に振ってくれる…よな!?

 

「………………………」

 

 お、おいおい早く答えてくれよ!なんかこっちが心臓バクバクするんですけど!?

 

 お願いです!早く答えてください!

 

「え、無理」

「ッ!だ、だよねー」

「それにあたしも夏コミ参加するし…ちなみにあんたの最新刊今描いてる途中だからね」

「いらん情報をいちいち教えるな!」

 

 てか蘭も夏コミ出るのね!それは初耳だ!あの最悪の同人誌の続編がまた売られるなんてー!考えたくもない!

 

「でも……誘ってくれたのは嬉しいかも、ありがとう」

「ッ!?ほら!もう行くぞ!」

「…………はーい♪」

 

 そう答えた蘭の声は何故か少しだけ上機嫌な声音のように聞き取れた。

 

 俺と柊優のエチエチな話を想像していたから機嫌がよかったのだろうか、それともサークルに誘われたことが嬉しかったのだろうか

 

 そればっかりは蘭にしかわからないことだよな

 

 その後レイは蘭から今まで描いた柊優とレイのラブラブ同人誌の内容を細かく話の内容を聞かされるのであった。




芹沢君ですけオリキャラじゃないですよ…あといつの話か忘れましたが!実はこの作品日間ランキングに載ってました!バンドリの中では一位でした!皆さんが読んでくれたおかげです!

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