それではどうぞ!
山吹ベーカリーにて大量に落ちたパンを買った後は特にすることなんてないから寄り道せず家に帰っていた。
「それにしても謎だ」
アサシンは恥ずかしがり屋さんだからあんなことをしたって話してた。確かに好きな人に告白するのは難しいことだよ?
だけどあの告白の方がさらに難しいんじゃなかったのかなと俺は思うね!
まあ告白の仕方は人それぞれなんだろう、好きですって言ってくれたアサシンの気が変わらないうちに早く見つけないと彼女になってくれなくなってしまう!
「ライブである程度見定めないとな」
Afterglow及び沙綾さん、戸山、そしてリサさんは俺のことを知っている。ならばその他の人に会った時にどう反応されるのか、これが見ものだな
と、そんなことを考えている時ふと目の前の人物を見てしまった。
「……あ、やあ!レイ君!」
「
「そうそう、全く君のお姉さんには困ったもんだよ」
見るからに全身から力が抜けてるように歩いていた人は
「今回も締切ギリギリで出してくれてさー!全く僕を苦しめることに関しても天才すぎるよ!」
「ま、まあ姉貴は窮地に立たないとやる気出しませんからね」
あのぐーたらな性格はすぐに治せと言っても治らないレベルだよ
「結弦さんはもう仕事終わりましたか?」
「何言ってるんだい?僕はこれから本社に戻って編集長に報告、残業確定ルート突入ですよ」
「そ、それは大変ですね」
「本当だよ!君のお姉さんがすぐに
「今の時代メールで送れるからわざわざ来なくても…」
「君はあの人が自主的に送ってくれると思うかい?」
「思いません!」
自分の姉貴だけど言われてみればあの人が自主的にするとは思えないな!
「……えーと、パン食べますか?床に落ちちゃったやつなんですけどね!」
「床に落ちたやつ?僕みたいな人には床に落ちたパンがお似合いだと?」
「い、いやーそうじゃなくてですね」
慰めようと思ってパンを進めたが落ちたなんて言わなきゃよかったよ!数秒前の出来事に後悔する。
「……まっ君もそのうちうちに来る運命だから気をつけててね」
頭をポンポンと叩いたあと結弦さんは振り返ることなくて本社に向けて足を動かしていた。
「俺も帰るか」
帰って姉貴に飯作って寝よう、うん今日はもうアサシンのことは考えない!いいな!
そう決めたレイは落ちてないパンを取り出し食べながら帰ったのであった。
◆ ◆ ◆
「ただいまー」
家に着きただいまと言えば
「ぷはー!あ、おかえりレイ!」
「……服着ろよ姉貴」
ドアを開けて目の前に現れたのチューハイを片手に持ちパンツだけを履き、上半身何も着てない姉貴がおかえりと出迎えてくれた。
「あたしの胸見ても意味ないっしょ?だって無いに等しいからね!あっはは!」
胸を張るも胸は微動だにしない、揺れるものすらついていないのだ。
「自分で言ってて悲しくならないのかよ!?」
「別に思わないよ!あー巨乳娘ども滅ばないかなー」
「思ってるじゃねーか!」
姉貴はリビングに向かいテレビを見ていた。そんな中俺は一度部屋に戻り制服から部屋着へと着替えてリビングに向かう。
「姉貴食いたんもんある?」
「あたしハンバーグ食べたい!チーズ乗ってるやつね!」
「ニートにそんな贅沢飯は食わせれません!」
「ニートじゃないよ!今日だって働いたもん!結弦君に聞いてみなよ!」
「ッ!はあーハンバーグね、了解です」
確かに今日は働いたな、この姉貴が何の仕事をしているのか、先程結弦さんとの話を聞いていた人で察しのいい人ならわかると思う。
何を隠そう姉貴は小説家なんだ、それもラノベ作家。
株式会社KEDOKAWAが発行しているライトノベル系文庫、弦巻文庫にて「義妹なら結婚できるんですよ?」がタイトルのラノベを書いている
え?KEDOKAWA?K〇DOKAWAじゃないのか?何言ってんだよ、この世界ではKEDOKAWAなんだよ!間違えんな!
そしてこの姉貴はそれでとどまらない!この人はラノベ作家でありながらイラストレーターでもある。ラノベの挿絵なんて自分で書いているんだ。
話を考えて絵も書くならそれって漫画家になればくない?と思ったそこの君、大丈夫!姉貴は自分の書いてるラノベを漫画化させてるからな!
よくある話だと漫画化されたら絵柄が違う、とかで読者が漫画版を読まないって話があるが神奈先生が書いているから変わらないとのことでさらに人気が出たんだ。
と、聞く限り作家にしては完璧な人だと思うがそうではなーい!
全然原稿を出さないで有名な先生ですよ!?
てか説明長!もういいだろこれ!
なんやかんやでハンバーグは完成!早速食べようか
「姉貴ーできたよ」
「おー!美味そうですな!では早速いただきまーす!」
今は服を着てくれているがズボンは履かない、うん意味がわからん、家でもズボンぐらいちゃんと履いてくれよ!
「レイーストロングレイとってー」
「……1日1本が約束だろ?」
俺が帰ってきた時に既に1本飲んでいたから止めに入る。ぶっちゃけ姉貴が酔うと普段よりさらにうざくなってしまう。
「いいじゃん!いいじゃん!今日頑張ったんだよ?」
「……何したんだよ」
「今日は短編集の締め切りだったから書いたんだーぶっちゃけ本作より気楽にかけるからずっと短編集書きたい」
「それあんたが言ったらダメだろ!」
姉貴の設定が濃すぎる!なんなんだよ!あと設定って自分で言ってるけどなんだよ!
「はやくストロングレイー」
「ストロング
「だってこの方がいいって、書きやすいし?怒られないし?」
「書きやすいって何!?怒られないってなんだよ!」
てか色々と怒られそうなんだけど大丈夫だよね!ちゃんと違うって分かってくれますよね!?
「……はあ、ラスト1本だぞ」
「わーいありがとう!レイが小説書いたらあたしが挿絵担当してあげるよ!」
「しょ、小説は書かねーからぁぁあ!」
昔闇の小説を書いて痛い目にあってんだろ?アサシンに拾われて脅されてるんだよ!
あ、明日で5月1日じゃん、あの話が小説家になろうぜ!に投稿されるのか…まあどーせ人気でないし?投稿したところで俺だってバレないから大丈夫さ。
っていうかアサシンのこと考えてんじゃんかー今日はもう絶対考えないぞ。
「ぷはー!このために生きてる!ストレイ最高だあ!」
「……………………」
姉貴の言葉に何も返事をせず俺は静かにご飯を食べていたのであった。
◆ ◆ ◆
ライブ当日、学校にてモカにチケットを渡された時蘭がめちゃくちゃ嫌そうな顔をしていたのを見て見ぬふりしてガン見してた。
「ライブなんて久しぶりだなー!あ、ストレイ買ってくる〜♪」
当初の予定は一人で来るはずだった…のに!モカのやつがなーちゃんも連れてきなよなんて言うし?あ、なーちゃんってのはうちの姉貴だ。
「姉貴ーライブ行く?…ってあんたは仕事以外であんまり外でないか」
「それってさもしかしてCiRCLE!?だったら友達働いてるから行く!」
ちなみにだが答えてないのに勝手に判断され今に至る。
ストレイを買ってきた姉貴は大層満足そうな顔をしながらライブハウスへと向かった。
中に入るとそれはもーうるさいのなんの、ガヤガヤワーワー、人が多いから仕方がないがライブ始まる前に静まるのか?
「あっはは!うるせぇー!人がご」
「それは言わせねーぞ!?」
いくらあんたが売れっ子の、超売れっ子のラノベ作家としてもそのセリフだけは言わせないぞ!
「てかライブハウスに飲みもん持ち込んでいいのかよ!」
「バレなきゃ大丈夫ー」プシュ!
そんなことを言いながら2缶目を開ける姉貴はもう無視しようと心に決めたレイだった。
携帯をいじること数分ステージにライトが点灯した、のと同時に
「いぇーい!みんな盛り上がってるー?」
『おー!』
「どうも私達!」
『Poppin’Partyです!』
最初に登場したのは戸山達か、ちなみにだがタイムテーブルはPoppin’Party…は長いからポピパ、Afterglow、Roselia、パスパレ、最後がハロー、ハッピーワールド?略してハロハピ?だったな
てか戸山の衣装凝ってんなー、あれって買ったのか?それとも作ったのか?作ったとしたら手際良すぎないか!?弟子入りしたいよ。
「えっとー……あ!ゼロ君ー!来てくれたんだね!」
「なっ!」
満面の笑みで俺に手を振ってきたため視線が一気に俺に刺さる。この視線は昔の自分を思い出しそうでくらっときた。
「何言ってんだよ香澄!ゼロなんて名前のやつがいるわけないだろ!」
「いるって有咲〜ほら!あれがゼロ君!」
「ゼロ君じゃねーよ」
戸山には聞こえない声で言うが意味なんてない
「大丈夫だよ有咲、ゼロ君はゼロ君だから!」
沙綾さん!?あなた俺のことレイ君と呼んでくれてませんでしたっけ!?
「ゼロ君私のギター見ててね」
「おたえ知り合いなの!?」
「ううん、知らないよー」
お前誰だよ!と、心の中でツッコミ、もしここで大声で言ったとしてもさらに注目されるだけだ、もうライブなんて来なきゃよかったよ
「か、香澄ちゃん早く始めないと時間が…」
「そうだねりみりん!ではまず1曲目!」
あのりみりんと呼ばれてた子可愛いな、気が弱さそうだし?恥ずかしがり屋さん?…てことはアサシン候補!?
ライブ来ててよかったのかもしれない!
なんやかんでポピパの演奏は終わり次のAfterglowへとステージの主役は変わる。
「Afterglowです!まず1曲目は」
「すとっーぷ蘭」
「……なにモカ」
ぬへ、ライブ本番でもその露骨に嫌そうな顔はするんですね、蘭さんや
「香澄達れーくんになんか言ってたし?蘭は言わなくてもいいのかな〜?」
「……言うことなんてないし」
「なーちゃん来てるらしいよ〜」
「ッ!ええ!?」
そう言えば蘭って
「うおおぉぉぉお!蘭ちゃん可愛いよ!こっち向いてよぉ!」
「げ、本当に来てるし…!」
姉貴のやつあのメンツの中で蘭のことを一番に気に入っているからな、理由は知らんけど。
「澪奈さん相変わらずだね!」
「あれって大丈夫なのかな?…酔ってそうだけど」
「あーもうお酒飲める齢になったのか」
あのー俺が言うのもあれだがさ君達ライブしに来たんだよな?雑談しに来たんじゃないよな?だったら早く歌えよ!
「ッ!話がそれました、まず1曲目は…」
蘭は俺の心の声が聞き取れたのか知らないが雑談は終わり蘭達Afterglowのライブが始まった。
戸山達とは違う見方って言うと変に聞こえるけど、こうなんていうの?幼馴染達が揃いも揃ってライブ活動してるってなんかいいよな。
……あれ?俺ってハブられてるのかな?いやいや、違うよね!?
「蘭ちゃん達大きくなったねー……特にひまりちゃん、あの胸おかしいでしょ」
「……それはわかる」
「ああー!やけ酒だぁー!」
酒と言うがストレイだ、だけどアルコールの度数はチューハイの中でも高い方だと思うけどな、いや知らないけど。
「ありがとうございました!」
蘭ではなくひまりがそう言いAfterglowの出番は終わった。みんな忘れてるかもしれないから言うがAfterglowのリーダーは蘭ではなくひまりだ。
「次はRoseliaか」
リサさんいるし?ちょっと興味あるかも。
「Roseliaです、今日は来てくれ…ッ!?」
なんだなんだ、話が止まったぞ?
「どうして……あなたが?」
なんかこっち見て言ってるぞ?え!?俺のこと見て驚いてるのか!?
あの人は確か湊友希那さん、リサさんがよく友希那〜友希那ー!って言ってたから知ってるぞ、それに学校も同じだ。
「……友希那さんー?」
「ッ!まずは1曲目、最初からとばすわよ!」
Roseliaのライブが始まったが耳になって全く入ってこない、湊さんは俺を見て驚いていた。
ではなぜ驚いていたのか、それは一つしか考えられないだろ。
「湊さんがアサシン?」
だけど先程驚いたのは俺じゃなくて隣の姉貴だったかもしれない、自慢じゃないがそこそこ有名人だ。サイン会もして顔バレてるし知っててもおかしくない。
「俺を見て驚いてたわけじゃないよな」
自意識過剰すぎっての!あ、あんな人が俺に興味持つわけないだろ、あれ?自分で言ってて悲しくなってきたんだけど。
Roseliaのライブが終わりメンバーがステージを退場しようとしたその時、
「……………………」
湊さんだけその場から動いていなかったのだ。
「友希那ー次は日菜達だから早く退けないと」
「……少しだけ待ってくれないかしら」
「?う、うん」
何か重大発表でもあるのか?
「……………………」モジモジ
なんかもじもじし始めたぞ、それになんか頬も少し赤そうだ。緊張してんのかな?
「……またね」ヒラヒラ
『はっ!』
俺を含めてみんなが一斉に反応した。何故ならあの湊友希那が頬を赤めながら手を振っていたのだ。
それも俺を見て、な!
あれは完全に俺を見ていた!なんなら歌ってる時もチラチラ見てたぞ!これは…!やはり湊さんがアサシンなんだ!
と有力候補を見つけたところで
「うっせえなー!あれは俺に向けて手を振ったんだよ!」
「冗談じゃないわ!友希那様は私達に手を振ったのよ!」
いやいや俺だろ!私だって!と、自分達に手を振ってくれたんだと観客のみんなは思っているようだ。
ふっ、違うなお前らじゃない!俺にだろ!?
「これは今度調べないと」
幸いなことにリサさんは湊さんと仲がいい、ならば話をつけてもらって…バイトの時話すか。
「あれ?姉貴?」
隣にいたはずの姉貴の姿がない、んーまだパスパレとハロハピが残ってるけど…湊さんがアサシンの可能性高いし今日は見なくていいかな。
パスパレ、ハロハピファンの皆さんすみません、姉貴が心配なので探させてください!
会場から抜け出しホームに戻るも姉貴の姿はない。帰ったのか?
「き、キモチワルイ」
「もう酒弱いのに飲むからよ」
「ッ!」
声がする方に向かうと
「はあ…何やってんだよ姉貴」
ソファーに座りポリ袋に向けてゲロゲロパーテイをしている姉貴こと神崎澪奈がいた。それの付き添い?みたいな人がいる。
「……あ!零君!久しぶり!」
「???」
え、誰だよこの美人さん、俺こんな人と知り合いだったけ!?
「レイ、あれだよ、友達のまりなだよ」オロオロ
「吐くか喋るかどっちかにしろよ!気持ち悪いな!」
思い出したぞまりなさんか!いやあの人が?あの人がこんなに美人になるなんて…やっぱり彼氏とかいるのだろうか。
「まりなさんうちの馬鹿姉貴がすみません」
「いいよいいよ、でも……飲み物を持ちいれるのは感心しないかな、それもお酒とか」
わかる。俺はわかるぞ…笑ってるが目が笑ってない、怒ってるやつだ
「まりなごめんってーそんなに切れてたら彼氏できないよ?」
「ああー!言っちゃいいけないこと澪奈が言った!もう知らないからね!」
「すみませんでした」オロオロ
『だから吐くな!』
こんなのが姉なんて恥ずかしいよ…!アサシン並の恥ずかしがり屋さんじゃなくてもこれは恥ずかしいよな!?
「とりあえずこの子は私が面倒見るから零君はまた会場に戻りなよ!」
「いえもう帰ります、こんな姉貴ほっとけないので」
それにアサシンの正体は絞れた、湊さんを重点的に調べあげれば!いける!いけるぞこれは!
「ほら姉貴!帰るぞー!」
「な、なんでそんなに嬉しそうなの?」
姉貴をおんぶして家に運ぶもずっとうーうー嘆いている。これはもう当分お酒禁止だな、買ってたら全部捨ててやる!
「ほら家ついたぞ、風呂入って着替えて寝ろ」
「……あいあいさー」
フラフラしながら姉貴は風呂場に向かっていった。なーに風呂に入ればアルコールも抜けて良いも冷めるだろ
俺はライブ会場に向かう前に風呂に入っていたため姉貴が風呂に入ってる間歯を磨き部屋へと戻った。
部屋に戻ったところで今日のライブを振り返る。湊さんのあの仕草、あれはアサシンだからするようなものだ。
ん?何故言いきれるかって?それは湊さんと俺の絡みは一度もないからだ!絡んでもないやつに手なんて振らないだろ?
振ってきたのは俺のことがその、す、すすすすすす好きだからだろ!?
「……よし!1人目は湊さんだ!」
果たして湊友希那がアサシンなのか、その結果を後にレイは知ることになる。
次回から友希那の話になります!さあ…友希那がアサシンなんですかね!?乞うご期待!
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それではまた次回!