国王の前に並んで立ち、二人の名を告げる。
そして国王の名の下に指輪が取り交わされ、式はクライマックスを迎える。
隣に立っているWIZ娘をチラリと見る。感動しているのか、ちょっと目が潤んでいる。
そりゃそうだよな。女性にとってはあこがれだもんな。それが他人のものでもグッと来るらしいし。
「ヒューヒュー」
「この幸せ者が!」
「泣かせたら承知しねーぞ!」
周りから野次が飛ぶ。いつもはうるさく感じるが、今日ばかりはどことなく心地良い。
一通りの手続きを済ませ、俺たちは晴れて夫婦となった。
俺がWIZ娘の方を向くと、WIZ娘がそっと告げる。
「プリ男くん……大事にしてね」
くーっ俺は……なんて幸せ者なんだ!
「任せておけ」
力強く答える。
WIZ娘がそっと近づき、そしてヴェールをかけたヒマワリを差し出す。ヒマワリは少し恥ずかしそうだ。
俺はヒマワリを受け取り、そっと頭に乗せる。これで俺たちはずっと一緒だ。
ゆっくりと外へ歩を進める。
「幸せにね」
WIZ娘が後ろから声をかける。
大丈夫。誰がなんと言おうと必ず幸せになってやる。ここにいる皆がうらやましがるくらいに幸せになってやる。
教会の開かれた扉から明るい外へ足を踏み出す。俺とヒマワリの二人三脚の人生がこれから始まる!
「だぁぁぁぁ!」
ガバッと跳ね起きる……俺の部屋……ゆ、夢か。あ、当たり前だよな……人間とヒマワリが結婚だなんて。
第一あのヒマワリは装飾用で造花だぞ。
サク、サク……と雪を踏みながらルティエの平原を歩く。
ギルマスから「ルティエのポタメモとってきてくれないか?」と頼まれたのだ。
何か、次のギルドぐるみのお遊びに使うらしい……大抵とんでもないことを考えてくるのだが、皆が楽しめるどころか、ギルマスの予想以上の展開になるので誰も文句を言う者はいない。
しかし、ここはいつ来ても寒い……吐く息が白い。油断すると手足が凍傷を起こしそうだ。
遠くにシロクマを見ながら、ルティエを目指してひたすら歩く。目の前をマーリンがぽよぽよと跳ねていく。のどかな風景だ……
「ソウルストライク!!」
べしゃっと言う音とともにマーリンが砕け散る。つーか、この声は……
「あ、プリ男くんだ(・∀・)ノ」
やはりWIZ娘か……あれ?いつもと違う感じが……
「ギルマスさんのおつかい?」
「そうだよ」
「今度はなんだろね?」
「……わからん。あの人の考える事は俺の想像を超えるから」
微妙に感じる違和感……わかった!ヒマワリがないんだ!
さすがにルティエは寒いと言うことで、マントをきっちりしめて、耳当てをしてるのか……俺の耳も寒さで感覚が無い。ちぎれそうって感じだ。
「耳当て、作ったんだ」
「うん。ここ、寒いから必要かなって」
……喋るたびに、ほわほわの耳当てが動くのは目の錯覚だよな?
言っておいた方がいいんだよな、きっと。言っておくぞ……
「……似合うよ」
「ホント?ありがと(・∀・)」
にっこり笑う。満面の笑み。至福のひとときってのはこういうのを言うんだろうな……WIZ娘のうれしそうな顔を見ていると、こっちもうれしくなってくる。
……なんか、「うらやましいぞこの野郎」な視線を感じるのは気のせいか?
そうだ、滅多にないチャンスだ。こういうときだからこそ!この流れだからこそ!言っておかなければならないことがある!
「WIZ娘」「ん?何?」心臓が高鳴る。
「あ、あのな……」どうした、俺!
「そ、その……」WIZ娘は俺の言葉を待って、じっと俺を見つめている。
い、言わなければ。ここで言わなければ!どうしても言っておかなければ!
俺は、その言葉を口にした。
「ヒマワリ、どうした?」
ん?何か盛大にこけたような音が聞こえたのは気のせいか?
「ちゃんといるよ(・∀・)」
WIZ娘がマントをもそもそやると……ぴょこんとヒマワリが出てきた。
ま、大事にしてるって事か。
てか、「ある」じゃなくて「いる」なんだな。
「で、ここで何をしてるんだ?」
「シロクマ狩り」
「……パンダ帽か?」
「えへへー、あれ、かわいいから欲しいんだ」
人気あるからな……
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ___
| ハ゜ンダ帽した | (___)
| WIZ娘想像中 | . ∥
|_______| _.∧∧┐ ∥ ∧,,∧ ∧∧
∩ ∧ ∧∩ ○)(゚Д゚ ) ] ∥((゚Д゚(Ο (゚ー゚*)
\(゚Д゚ )ノ  ̄⊂ |┘ ⊂ミ Uミ φ| ∪
| \. | | ∥ ミ ミ .| )~
(__ノ U U U U U"U
↑撮影スタッフの皆さん
「ま、頑張れ」
「うん」
そう言ったWIZ娘の表情が凍り付く。
「ん?どうした?」
「危ないっ!」
「アイスウォール!!」
WIZ娘が氷の壁をいくつも作り出す。
おかしい、ここでこれを使うなんて……あわてて振り返ると……
そこにはシロクマの大群と……雪原の王、ハティーがいた。
昔は弱いボスの代名詞だったが、最近どんどん強くなっているという、恐ろしい相手だ。
WIZ娘の作り出した氷の壁はシロクマの進軍を阻み、ハティーも少し迂回せざるを得ない。
「くそっ!」
毒づいて辺りを見回す……いつもならいるはずのボス狩り連中がいない。
逃げる……事は出来ない。逃げても無駄だからだ。
「WIZ娘、PTを!」
「う、うん」
とりあえず、お互いの状況が見えないと危険すぎる。
「一度距離をとるぞ」
「わかった」
距離をとり、ブレスと速度をかける。
攻撃は当然WIZ娘のみとなるので、俺は盾だ……よりにもよってハティー相手に。
「ファイヤーウォール!!」「ファイヤーウォール!!」「ファイヤーウォール!!」
まずはシロクマの大群を片づけるべく、炎の壁が出現する。
炎の壁に突進し、押し戻されるシロクマの向こうにハティーの姿が見えてきた。
「ロードオブヴァーミリオン!!」
虚空よりたたき落とされる雷撃がシロクマとハティーを襲う。シロクマはこれで片づいたはず。ハティーと一騎打ちだ。
少し距離をとり……
「ユピテルサンダー!!」
魔力により生み出された雷球がハティーの足を止める。
「もう一回!」「ユピテルサンダー!!」
これの繰り返しで行けるはず……だ。
「ユピテルサンダー!!」
これで何度目だろうか……さすがにボスはタフだ。WIZ娘は額にうっすらと汗をにじませ、肩で息をしながら必死に魔法を使っている。
マニビも入れてあるが、SPはきついのかもしれない。
「!」
ハティーから魔力の固まりが飛んでくる。
「くっ!」
全身を冷気が貫いていく……
「プリ男くん、大丈夫?(´・ω・`)」「ああ」
何とか凍らなかったが……次来るとヤバイかも。
「ユピテルサンダー!!」
ハティーの全身に電撃が走る……が、まだ足りない。
「次!」「ユピテルサンダー!!」
周りを確認。シロクマはいない。マーリンは……無害だから放っておく。
「もう一回!」「ユピテルサンダー!!」
JT連打以外に手がない、と言うのが辛いところだな。
「!」
またハティーから魔力が飛んでくる。
パキン!
しまった!
俺の体が足下から凍っていく。ヤバイ。ハティーがニヤリ、と笑ったように見えた。くそっ!
「プリ男くん!」
「俺にかまうな!」
「で、でも……」
声が泣いている……だが、どうにもならない。
「あと少しだ!WIZ娘だけでも勝てる!」
「……!!」
だめだ、氷に阻まれて、声が聞こえなくなった。
凍り付く直前に見えたWIZ娘の顔、不安いっぱいで泣き出しそうだった……
WIZ娘はまだ俺の氷像にしがみついている……もう、氷の向こう側だから屈折してしまって表情はよくわからないが……
逃げるなら逃げろ……そう思ったとき、WIZ娘が顔を上げ、ハティーの方を向く。
魔法を唱え、少しずつ、俺から離れていく……
俺の意識もここで途切れた。
ザッザッ……ズルズル……ザッザッ……ズルズル……ふぃーん……
何の音だろう?
とてとて……ズルズル……とてとて……ズルズル……
何の音だろう?
ゴン!ガン!ゴン!
「痛ぇ!」
「あ、気がついた(・∀・)」
視界には青い空と……ヒマワリとWIZ娘。背中に感じる石畳の感触。
「ここは……アルデバラン?」
「うん、戻ってきたの」
そうか、ルティエから俺を引っ張って……というか足を持って引きずってきて……
「って、階段の前で止まれ!」
「てへ☆」
俺は『石で出来た』階段で頭を打ったわけだ。
体を起こし、WIZ娘と向き合う。
「ハティーは?」
「ん……何とかやっつけた」
「そうか……」
ごく自然に、手が伸び……雪で濡れたWIZ娘の頭をなでてやる。
「頑張ったな」
「プ、プリ男くん……恥ずかしいよぉ(*・∀・*)」
そりゃそうか。
「……家に帰るか?」
「おつかいはいいの?」
「ああ」
来週までに、と言われてるしな。
ポタを出し、ふと気づく。
「なぁ、WIZ娘」
「ん?」
「氷、どうやって溶かしたんだ?」
「えっとね……」
……答えながらポタに乗るから、聞こえなかったじゃないか。まったく……
まあいいか。スレの住人達の想像に任せることにしよう……誰のことかはわからないが。
解説
結婚式
ROの結婚式はどういうわけか国王が執り行う。ヒマなんだろうか。
ルティエ
アルデバランの北部にある……のだが、特別な方法でないと行けないというよくわからない所。常にクリスマスなふいんき(なぜか変換できない)の街がある。
ハティー
ルティエ平原に出るMVPボス。多分、作者が一番多く出会ったボス。モンスタースキル強化前は一次職のマジシャンでも勝てたらしい。足が遅いので凍結対策さえすれば比較的簡単に狩れる、らしいよ。