ヒマワリWIZ娘のぼうけんにっき   作:151

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幸せってなんだっけ?

 国王の前に並んで立ち、二人の名を告げる。

 そして国王の名の下に指輪が取り交わされ、式はクライマックスを迎える。

 

 隣に立っているWIZ娘をチラリと見る。感動しているのか、ちょっと目が潤んでいる。

 そりゃそうだよな。女性にとってはあこがれだもんな。それが他人のものでもグッと来るらしいし。

 

「ヒューヒュー」

「この幸せ者が!」

「泣かせたら承知しねーぞ!」

 周りから野次が飛ぶ。いつもはうるさく感じるが、今日ばかりはどことなく心地良い。

 

 一通りの手続きを済ませ、俺たちは晴れて夫婦となった。

 俺がWIZ娘の方を向くと、WIZ娘がそっと告げる。

 

「プリ男くん……大事にしてね」

 くーっ俺は……なんて幸せ者なんだ!

 

「任せておけ」

 力強く答える。

 

 WIZ娘がそっと近づき、そしてヴェールをかけたヒマワリを差し出す。ヒマワリは少し恥ずかしそうだ。

 俺はヒマワリを受け取り、そっと頭に乗せる。これで俺たちはずっと一緒だ。

 

 ゆっくりと外へ歩を進める。

 

「幸せにね」

 WIZ娘が後ろから声をかける。

 大丈夫。誰がなんと言おうと必ず幸せになってやる。ここにいる皆がうらやましがるくらいに幸せになってやる。

 

 教会の開かれた扉から明るい外へ足を踏み出す。俺とヒマワリの二人三脚の人生がこれから始まる!

 

 

 

「だぁぁぁぁ!」

 ガバッと跳ね起きる……俺の部屋……ゆ、夢か。あ、当たり前だよな……人間とヒマワリが結婚だなんて。

 第一あのヒマワリは装飾用で造花だぞ。

 

 

 

 サク、サク……と雪を踏みながらルティエの平原を歩く。

 

 ギルマスから「ルティエのポタメモとってきてくれないか?」と頼まれたのだ。

 何か、次のギルドぐるみのお遊びに使うらしい……大抵とんでもないことを考えてくるのだが、皆が楽しめるどころか、ギルマスの予想以上の展開になるので誰も文句を言う者はいない。

 

 しかし、ここはいつ来ても寒い……吐く息が白い。油断すると手足が凍傷を起こしそうだ。

 

 遠くにシロクマを見ながら、ルティエを目指してひたすら歩く。目の前をマーリンがぽよぽよと跳ねていく。のどかな風景だ……

 

「ソウルストライク!!」

 べしゃっと言う音とともにマーリンが砕け散る。つーか、この声は……

 

「あ、プリ男くんだ(・∀・)ノ」

 やはりWIZ娘か……あれ?いつもと違う感じが……

 

「ギルマスさんのおつかい?」

「そうだよ」

「今度はなんだろね?」

「……わからん。あの人の考える事は俺の想像を超えるから」

 微妙に感じる違和感……わかった!ヒマワリがないんだ!

 

 さすがにルティエは寒いと言うことで、マントをきっちりしめて、耳当てをしてるのか……俺の耳も寒さで感覚が無い。ちぎれそうって感じだ。

 

「耳当て、作ったんだ」

「うん。ここ、寒いから必要かなって」

 ……喋るたびに、ほわほわの耳当てが動くのは目の錯覚だよな?

 

 言っておいた方がいいんだよな、きっと。言っておくぞ……

「……似合うよ」

「ホント?ありがと(・∀・)」

 にっこり笑う。満面の笑み。至福のひとときってのはこういうのを言うんだろうな……WIZ娘のうれしそうな顔を見ていると、こっちもうれしくなってくる。

 

 ……なんか、「うらやましいぞこの野郎」な視線を感じるのは気のせいか?

 

 そうだ、滅多にないチャンスだ。こういうときだからこそ!この流れだからこそ!言っておかなければならないことがある!

 

「WIZ娘」「ん?何?」心臓が高鳴る。

「あ、あのな……」どうした、俺!

「そ、その……」WIZ娘は俺の言葉を待って、じっと俺を見つめている。

 

 い、言わなければ。ここで言わなければ!どうしても言っておかなければ!

 

 俺は、その言葉を口にした。

 

 

「ヒマワリ、どうした?」

 ん?何か盛大にこけたような音が聞こえたのは気のせいか?

 

「ちゃんといるよ(・∀・)」

 WIZ娘がマントをもそもそやると……ぴょこんとヒマワリが出てきた。

 ま、大事にしてるって事か。

 

 てか、「ある」じゃなくて「いる」なんだな。

 

「で、ここで何をしてるんだ?」

「シロクマ狩り」

「……パンダ帽か?」

「えへへー、あれ、かわいいから欲しいんだ」

 人気あるからな……

 

 

  

  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|        ___

  | ハ゜ンダ帽した |        (___)

  | WIZ娘想像中 | .           ∥

  |_______|   _.∧∧┐  ∥ ∧,,∧    ∧∧

     ∩ ∧ ∧∩     ○)(゚Д゚ ) ] ∥((゚Д゚(Ο  (゚ー゚*)

      \(゚Д゚ )ノ       ̄⊂ |┘ ⊂ミ  Uミ φ|  ∪

        |  \.         |  |   ∥ ミ  ミ   .|  )~

       (__ノ       U U      U U    U"U

                ↑撮影スタッフの皆さん

 

「ま、頑張れ」

「うん」

 そう言ったWIZ娘の表情が凍り付く。

 

「ん?どうした?」

「危ないっ!」

 

 

 

「アイスウォール!!」

 WIZ娘が氷の壁をいくつも作り出す。

 

 おかしい、ここでこれを使うなんて……あわてて振り返ると……

 

 そこにはシロクマの大群と……雪原の王、ハティーがいた。

 

 昔は弱いボスの代名詞だったが、最近どんどん強くなっているという、恐ろしい相手だ。

 

 WIZ娘の作り出した氷の壁はシロクマの進軍を阻み、ハティーも少し迂回せざるを得ない。

 

「くそっ!」

 毒づいて辺りを見回す……いつもならいるはずのボス狩り連中がいない。

 逃げる……事は出来ない。逃げても無駄だからだ。

 

「WIZ娘、PTを!」

「う、うん」

 とりあえず、お互いの状況が見えないと危険すぎる。

 

「一度距離をとるぞ」

「わかった」

 

 距離をとり、ブレスと速度をかける。

 攻撃は当然WIZ娘のみとなるので、俺は盾だ……よりにもよってハティー相手に。

 

「ファイヤーウォール!!」「ファイヤーウォール!!」「ファイヤーウォール!!」

 まずはシロクマの大群を片づけるべく、炎の壁が出現する。

 

 炎の壁に突進し、押し戻されるシロクマの向こうにハティーの姿が見えてきた。

 

「ロードオブヴァーミリオン!!」

 虚空よりたたき落とされる雷撃がシロクマとハティーを襲う。シロクマはこれで片づいたはず。ハティーと一騎打ちだ。

 

 少し距離をとり……

「ユピテルサンダー!!」

 魔力により生み出された雷球がハティーの足を止める。

 

「もう一回!」「ユピテルサンダー!!」

 これの繰り返しで行けるはず……だ。

 

 

 

「ユピテルサンダー!!」

 これで何度目だろうか……さすがにボスはタフだ。WIZ娘は額にうっすらと汗をにじませ、肩で息をしながら必死に魔法を使っている。

 マニビも入れてあるが、SPはきついのかもしれない。

 

「!」

 ハティーから魔力の固まりが飛んでくる。

 

「くっ!」

 全身を冷気が貫いていく……

 

「プリ男くん、大丈夫?(´・ω・`)」「ああ」

 何とか凍らなかったが……次来るとヤバイかも。

 

「ユピテルサンダー!!」

 ハティーの全身に電撃が走る……が、まだ足りない。

 

「次!」「ユピテルサンダー!!」

 周りを確認。シロクマはいない。マーリンは……無害だから放っておく。

 

「もう一回!」「ユピテルサンダー!!」

 JT連打以外に手がない、と言うのが辛いところだな。

 

「!」

 またハティーから魔力が飛んでくる。

 

 パキン!

 

 しまった!

 俺の体が足下から凍っていく。ヤバイ。ハティーがニヤリ、と笑ったように見えた。くそっ!

 

「プリ男くん!」

「俺にかまうな!」

「で、でも……」

 声が泣いている……だが、どうにもならない。

 

「あと少しだ!WIZ娘だけでも勝てる!」

「……!!」

 だめだ、氷に阻まれて、声が聞こえなくなった。

 凍り付く直前に見えたWIZ娘の顔、不安いっぱいで泣き出しそうだった……

 WIZ娘はまだ俺の氷像にしがみついている……もう、氷の向こう側だから屈折してしまって表情はよくわからないが……

 

 逃げるなら逃げろ……そう思ったとき、WIZ娘が顔を上げ、ハティーの方を向く。

 魔法を唱え、少しずつ、俺から離れていく……

 

 俺の意識もここで途切れた。

 

 

 

 ザッザッ……ズルズル……ザッザッ……ズルズル……ふぃーん……

 

 何の音だろう?

 

 とてとて……ズルズル……とてとて……ズルズル……

 

 何の音だろう?

 

 ゴン!ガン!ゴン!

 

「痛ぇ!」

「あ、気がついた(・∀・)」

 

 視界には青い空と……ヒマワリとWIZ娘。背中に感じる石畳の感触。

 

「ここは……アルデバラン?」

「うん、戻ってきたの」

 

 そうか、ルティエから俺を引っ張って……というか足を持って引きずってきて……

 

「って、階段の前で止まれ!」

「てへ☆」

 俺は『石で出来た』階段で頭を打ったわけだ。

 

 体を起こし、WIZ娘と向き合う。

「ハティーは?」

「ん……何とかやっつけた」

「そうか……」

 ごく自然に、手が伸び……雪で濡れたWIZ娘の頭をなでてやる。

「頑張ったな」

「プ、プリ男くん……恥ずかしいよぉ(*・∀・*)」

 そりゃそうか。

 

「……家に帰るか?」

「おつかいはいいの?」

「ああ」

 来週までに、と言われてるしな。

 

 ポタを出し、ふと気づく。

「なぁ、WIZ娘」

「ん?」

「氷、どうやって溶かしたんだ?」

「えっとね……」

 ……答えながらポタに乗るから、聞こえなかったじゃないか。まったく……

 

 まあいいか。スレの住人達の想像に任せることにしよう……誰のことかはわからないが。




解説
結婚式
ROの結婚式はどういうわけか国王が執り行う。ヒマなんだろうか。

ルティエ
アルデバランの北部にある……のだが、特別な方法でないと行けないというよくわからない所。常にクリスマスなふいんき(なぜか変換できない)の街がある。

ハティー
ルティエ平原に出るMVPボス。多分、作者が一番多く出会ったボス。モンスタースキル強化前は一次職のマジシャンでも勝てたらしい。足が遅いので凍結対策さえすれば比較的簡単に狩れる、らしいよ。
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