夜のプロンテラをWIZ娘が歩いていく。
こんな時間にどこへ行くのだろう?
露店……はもうこんな時間には出ていない。普通の店も然り。となると……?
何となく気になって、俺はこっそり後を付けることにした。
……ほら、行かないとスレの住人に殺されそうだし。
通りを小走りに抜けていくと、WIZ娘の姿が見えてきた。
相変わらずのヒマワリが平和そうに揺れている。
足取りも軽く、心なしか楽しそうにも見えるが、何があるんだろうか?
やがてプロンテラ東門が見えてきた。カプラさんに軽く挨拶をしてWIZ娘が外へ出ていく。カプラサービスは24時間営業か。ご苦労様。
プロンテラの東側へ出る。
そもそも人が少なく、駆け出しの冒険者も滅多に来ないちょっと静かな場所。
そして厄介なことに……WIZ娘を見失った。
地形が入り組んでいるので姿は見えない。
誰もいないから「どこへ行った?」と聞くことも出来ない。
WIZ娘がテレポートクリップでも使っていたら見つけるのはほぼ絶望的だ。
「クソッ」
軽く毒づく。仕方がない、探すか。
テレポで探索もいいが、WIZ娘の目の前に出てしまった場合気まずいから徒歩の方がいいだろう。
「速度増加!!」
浮揚感とともに自身の動きが軽くなる。探すぜ!
そこら中を探し回って、見あたらなかったらすぐ北へ移動すればいい。
その次は……東側。狸のいるところか……そんな感じで探せばいいだろう。
高速で駆け回りながらそんなことを考える。
しかし、こんなところに何の用だろうか……
可能性1:何かを開ける
箱やカード帖を開くときには町ではやらない、と言う主義の人がいるが、そう言うケースか?
俺は箱は売り払うタイプだからよくわからんが、WIZ娘は結構開けているみたいだし……
可能性2:ちょっとおためし
装備を買ったときにちょっと試したくなるのは人の性。頭装備なんかだとまずは誰もいないところで試着して……とか。
だが、WIZ娘がヒマワリ以外身につけるとは思えんが。
可能性3:誰かと会う
これはさらに分岐するか……
可能性3-1:誰かと会う パターン1
取引の相手、と言う可能性も無い訳じゃない。
ごくまれにだが、高額レアアイテムの取引は町では行わない、と言う話を聞いたことがある。
まぁ、俺自身がそうした高額な取引をしたことがないのでよくわからん。貧乏プリの悲しいところか。
WIZ娘はあれで無駄遣いをしていないのでそれなりに金は持っているみたいだから……
可能性3-2:誰かと会う パターン2
一番イヤな可能性だが……ごくごくプライベートな……大切な人……か?
しばらく駆け回っていると声が聞こえた。
「!」
あわてて立ち止まり、声のする方へ近づいていく。
「……ダメ……っちへ……ぅ!……」
茂みの向こう側から聞こえてくる。間違いない、WIZ娘の声だ。
一体誰とどんな会話を?
そう思っておそるおそるのぞき込むと……
「ああん、もう!集まってこないでってば!」
「危ないよ!ダメだったらあっちへ行ってよぉ……もぉ」
WIZ娘がポリンを追い払っていた……ポリンはそんなことお構いなしに適当にポヨンポヨン動くから思い通りに行かない。
何やってんだろう?(´・ω・`)?
やがて、ポリン達が去っていき、満足したのか「ふぅ……」と軽く息をつく。
「この辺として……と」小石を置く。
「で、この辺で……」少し離れて立つ。
「クァグマイヤ!!」
ゴボゴボ……という音を立てる泥で小石が見えなくなる。WIZ娘はその泥を真剣な目で見ている。
うーん、ますます意味不明だ。
やがて魔力が切れ、泥が消失する。
「……多分、行ける」
そうつぶやくと……
「クァグマイヤ!!」
もう一度泥を出し、すぐに次の魔法へ移る。
「ヘブンズドライブ!!」「ヘブンズドライブ!!」
少しの間をおいて作り出した大地の亀裂の後、泥は消失した。
「クァグマイヤ!!」さらに泥を出す。そして続く魔法は……
「ロードオブヴァーミリオン!!」夜空を貫いて雷鳴が落とされる。
「よし」
なぜかガッツポーズ。大魔法の練習なんだろうが……何だこれは……
WIZ娘はその後も30分ほどQM→大魔法を繰り返し、満足したのか帰っていった。
翌朝、WIZ娘はなにやら楽しそうに一人で出掛けていった。
何というか、とても気になるので後を追うことにする。
プロンテラを北へ進む……のだが、WIZ娘がテレポをするのであっさり見失う。
まあいい。行き先は予想がついた。赤芋だろう。
テレポなら俺の方が専門。さっさと移動することにする。
赤芋虫台地。まともな神経ではいられないと言う意見もチラホラ聞くやな地域だ。
もっとも、FWを使えるマジシャン達にとってはとても楽しい場所らしいが。
「さて、WIZ娘は先に着いたのか……?」
思わずつぶやいたそのとき
「プリ男くん(・∀・)?」
「ぬあっ」
( ゜ ゜) д
「どうしたの?」
「な、何でもない」
驚いた。心臓が口から飛び出すかと思った。
「誰かのお手伝い?」
「い、イヤ、そう言う訳じゃないよ。通りかかっただけ」
「ふーん」
「WIZ娘は?」
「ここでちょっとだけ狩りするの」
「へぇ、珍しいじゃん」
滅多にここに来ないのにな。
「今日はちょっと実験なの」
「へ?」
「昨日レベルがあがったから実験なの」
「実験?」
「うん」
わからん。
と思ったら、赤芋虫が1匹、こちらに向かってくるのが見えた。
「あ、離れてて」
「ああ」
俺は戦闘職じゃないし、赤芋虫程度ならWIZ娘でもちゃんと勝てる相手、下手に俺がいると邪魔をするだけ。
何をするつもりなのか見せてもらおうじゃないか。
「クァグマイヤ!!」魔力の泥で赤芋虫を包み込む。ふむ……ここからどうするんだ?
すると、いきなり周りに魔法円が現れる。
魔法に集中するWIZ娘。不定な笑み(`・∀・´)を浮かべるヒマワリ。
魔力の泥を赤芋虫がちょうど脱出する直前、魔法が完成する。
「ロードオブヴァーミリオン!!」
ズドドドドドドド……
地響きすらあげる雷鳴で赤芋虫が消し飛ぶ。
「やった」
ニ=―― ok← WIZ娘 ―=ニ
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i=)↓プリ男 / / | || \
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/ i \,ト、_'i' / | || | \
iヽノ-‐'\┤ | || ___ \
゙ー'_ ' i\ | || ./ /
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「プリ男くん、いきなり痛いよ(´・ω・`)」
「お前は、どうやったらそう言う狩り方を思いつくんだ?」
「いいじゃない、狩り方は人それぞれなんだし」
「そりゃそうだが」
帰り道。
「WIZ娘、お前、ああいう狩り方好きなのか?」
「うん、大魔法大好き(・∀・)」
「そっか」
普通の狩りってのは期待しちゃ行けないのかなぁ?
「今度はね、猫狩りに挑戦してみるんだ」
「猫!?」
「うん」
アイツ、めちゃくちゃ足が速いんだが、どうするんだ?
「どうやって?」
「それはね……」
くるっと振り向いていたずらっぽく笑って言う。
「秘密♪」