ヒマワリWIZ娘のぼうけんにっき   作:151

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お正月の過ごし方

「……」

「……」

 目の前にある物体をBSと二人で凝視してみる。

 

 ところどころに焼いた焦げ目の付いた白い物体。

 

「これが、おもち……」

「初めて見るな……」

 表面はカリカリして堅そうだが、表面の割れ目の中は柔らかそうだ。

 

「パンみたいなモンか?」

「んー、違うと思うが」

「まぁ、いい。食ってみるか」

「そのままで食えるモンなのか?」

「知らん」

 

 周りを見ると、湯気の立つ器に入った何かを食べている連中がいる。

 

「なぁ」

「ん?」

「それ、何?」

「これ?これはお雑煮って言うそうだ」

「おぞうに?」

 わからん。今までアマツにはあまり来たことがなかったからこういう物は全然わからん。

 

 

「あのおばちゃんが作ってくれるそうだ」

「へぇ」

「ただし、作ってくれるけど、材料はもってこいって」

「露店で買うんじゃ無くて、作ってみようか」

「そうだな」

「材料、何だって?」

 

 

 イズルード海底洞窟。最下層に神殿を構えるこの洞窟は初心者から上級者まで幅広く受け入れる場所だ。

 

「さて、魚の尻尾、最低でも二人分で10個だな」

「余った分は皆に配るか」

「ああ」

 

 第4層への長いトンネルを抜けるとそこは……

 

 

 

 閃光と爆音の轟く戦場だった。

 

 目の奥まで焼き付くかと言うほどの閃光と爆音が轟き、その中を動き回る何かと、身を焼かれながら追う何かの姿がうっすらと見える。

 やがて閃光が収まってきたそこにいたのは……

 

「あ、プリ男くんとBSくんだ(・∀・)」

「よ、WIZ娘。元気にやってるな」

「うん(´∀`)」

 

 WIZ娘によると、最近はここにも来るのだそうだ。

 

 曰く「FWで止まるから楽ちんだよ」

 

 曰く「JTで倒せるし」

 

 曰く「たくさん来たらLoV撃つの」

 

 盲点だった。ここにいるモンスターは皆雷撃を伴う風属性の魔法に弱く、歩みを止めるに最適なFWで防ぐことが出来るのだ。

 しかも、レアが出ればかなりの稼ぎ。WIZ娘が一攫千金を狙っているのかどうかしらんが、楽しいという基準はクリアしているのだろう。

 

「二人はどうしてここに?」

「ん、ああ実は……」

 BSが説明をする。

 

「おぞに?」

「んー、ろぞに、だっけ?」

「いまいち確証がないけどそんな名前だったか」

「おいしいのかな?」

「うまそうに食ってた」

「ふーん」

「で、材料に必要な魚の尻尾を取りに来たんだ」

「WIZ娘、持ってる?」

「持ってるよ」

 

 そう言って、マントの中をごそごそやってとりだした両手にはこぼれ落ちそうな数の尻尾。

 

「……いくつあるんだ?」

「30個くらい」

「少しもらっていいか?」

「いいよ(・∀・)」

 

 BSに両手いっぱいの尻尾を渡すと

「もっとたくさん狩ってくる~」

  駆けていった。

 

「まぁ、何だ」

「うん?」

「俺らも負けないように狩るか」

「だな」

 

 自分たちの分は自分たちで調達しないとな。

 

 

 

 ガツン!ガツン!ズシャアッ!

 

「ふ~」

 BSが額の汗をぬぐう。

 

「なかなかタフだよな」

「ああ」

 

 BSの腕力は決して弱いものではなく、むしろかなりの剛腕と言っていい。だが、ここのモンスターはその腕を持ってすら苦労するほどタフなのが特徴。無論、腕力に自信のない俺の出る幕はあまり無い。

 

「これで……7個か」

「ま、悪くないペースだな」

 30個の尻尾をもらったと言えど、このまま戻ったのではちょっとかっこ悪い。せめて10個は……と意地を見せようと意気込んだのだが、結構かかる。

 

「BSく~ん」

 見るとWIZ娘がとてとてっ とこちらへ駆けてくる。

 

「これ、持ってて」

「ん?重いのか?別に構わないが」

 

 どさっとBSに渡す諸々の収集品。なるほどこれは重そうだ。

 

「……尻尾15個追加?」

「うん」

「こんなに拾ったのか?」

「うん」

 

 BSがチラリとこちらを見る。目が訴えている……負けられない、と。

 

「あ、来た」

 見るとモンスターが数匹こちらへ向かってくる。WIZ娘の反対側からも来ている。戦闘開始だ。

 

「ファイヤーウォール!!」「ユピテルサンダー!!」「ユピテルサンダー!!」

「ファイヤーウォール!!」「ロードオブヴァーミリオン!!」

 

 終わったらしい。

 

「また狩ってくるね~(・∀・)ノシ」

 

 駆けていった。

 

「ちっくしょぉぉぉぉ!」

 BSの絶叫が洞窟内に響いた。

 

 

 

「これがおろに?」「いえ、お雑煮ですよ」「おぞうに?」「そう」「ふーん」

 

 その後、WIZ娘もどうだ?と誘い、アマツでお雑煮を作ってもらった。

 目の前に並ぶ湯気の立つ三つの椀。中にはおもちと野菜、肉が、透き通っているようで濁っているような汁の中に浮いている。

 

「食ってみるか」

 BSが手を付ける。

 

「いただきまーす(-人-)」

 WIZ娘も手を付ける。

 

 俺も箸というナイフ・フォークの代わりに使うそれを見よう見まねで使って中のおもちを口に運ぶ。

 

「んー、何て言うか」

「今まで食ったことのない味と食感だな」

「でもおいしいね」

「アマツじゃ、これが新しい年を迎えたときの食事だそうだ」

「ま、異文化交流って奴だな」

 

 3人で黙々とお雑煮を食べる。

 

「あ、そうだ」

「ん?」

 BSがふと思いついたように言う。

 

「ここにさ、神社って奴があるんだが」

「知ってる」

「後で行ってみようぜ」

「何で?」

「初詣って言うらしい」

「行こう(・∀・)」

「そうだな……行ってみよう」

 

 

 アマツ……奥の深い国だ。

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