ヒマワリWIZ娘のぼうけんにっき   作:151

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ご利用は計画的に

「グロリア!!」ズガガガガ……

「ヒール!!」

「カートレボリューション!!」ドガガガガ……

「くそ!多すぎる!」

「やべ!」

「ヒール!!」

「こっちへ!」

「おう」

 

 薄暗い中を必死に駆ける。敵の数が半端じゃないときには逃げることも大事だ……

 BS・アサ・プリという組み合わせは……ここではあまり見かけない。特に俺らのレベルでは……WIZなしという構成は考えづらい。

 

「はぁ、はぁ……何とか、まいたな」

「ふぅ……プリ男、大丈夫?」

 無言で首を振る。声を出すのも少しきつい。

 

「状況は……最悪ね」

 アサが何とか立ち上がり、周りを警戒しながら言う。

「口に出すと……よりいっそう落ち込むな(´・ω・`)」

 肩で息をしながらBS。

 

 視界の隅でゆらり、と影が動く。

「来た……」

 アサが構え、BSが立ち上がる。

 

「WIZ娘がいれば、もう少し楽なのに……」

「言うな!」

 アサがぼやき、BSがそれを遮る。

 

 そう、ここへ一緒に来たWIZ娘は……いないのだ。

 

 

「今日はさ、WIZ娘もいることだし、一緒にちょっときつめのところ行ってみない?」

 アサの提案に皆が乗った。

 

「きつめのところって、どこにするつもりだ?」

「城(`・ω・´)」

「城かぁ……プリ男、お前はどう思う?」

「いいんじゃないか?ちょっときついくらいの方が支援のしがいがある」

「WIZ娘は?」

「お城(・_・)?」

「ああ、最近敵が強くなったらしいから楽しいぞ」

「行く!(゜∀゜)」

 

 

 グラストヘイム古城城2階 通称城2……だが、城と言った場合、だいたい城2を指す。中身のない鎧と禿が闊歩し、時には深淵の騎士も現れる、上級ダンジョン。

 特に禿はWIZのQMなしで相手をするのは非常に面倒な相手。さらに最近は禿が誘拐までするという危険な場所だ。

 

 全員で一緒に中へ入り、警戒しつつ進む。少し行ったところで早速禿と鎧の集団が出迎えてくれたが、WIZ娘がかけたQMのおかげで楽々通過。

 そしてそのまま奥へ進んだときに……

 

 

「プリ男、横!」

「くっ……」

 あわててその場を離れる。入れ替わるようにアサが駆け、禿に斬りかかる。そうだ、今はいちいちさっきのことを思い出している余裕はない。

 

 アサが必死に斬りかかるも、まだ装備が完全でないクリアサでは禿を倒すのは至難の業。BSの方も、レイド3匹相手にかなり厳しい状況。

 俺は、全員の様子を見て、俺自身のSPを見ながら、ヒールをかけ続ける。今できる精一杯だ。

 

「クァグマイヤ!!」

 

 こちらの状況を見かねたのか、通りかかった別PTのWIZがQMをかけてくれた。

 

「ありがとう」

「お互い様だ」

「そっち、WIZは?」

「……」

「禿に誘拐された?」

「……まぁ、そんなところだ」

「がんばれよ」

 

「な、何とか倒せた……」

「さすがに今のはやばかった」

「プリ男は回復に専念を」

「了解」

「少し休んだら移動を……って、また来たか」

 休むヒマなしか。いったん引き返すという案も出たが、引き返すためのポタを出すのも難しい。どうしても俺が最後に残ることになるが、絶対にモンスターに囲まれる、間違いない。

 

 とにかく敵が出続けるのでほとんど休むヒマがないまま、少しずつ入り口へ移動を続ける。とにかく離脱だ。

 

 

 それというのも……WIZ娘が奥まで入ったところで間違えて蝶の羽を使っちまったからだ!

 

 

 少しずつ移動を続け、大広間の入り口が見えてきた。大広間を抜けるか、迂回していくか……どっちも似たようなものか……

どちらにするか決めあぐねているとき、俺の近くで「ひゅーん」という音が聞こえてきた。空間が曲がり、何かが出てくる前兆だ。

 蝿かテレポか、禿の誘拐か……まぁ、今はそれどころじゃない。

 

「グロリア!!」

「ヒール!!」

「ヒール!!」

 気力を振り絞り、全力で支援をかける。

 

「ヒール!!」

「ヒー……くっ」

 ダメだ、続かない……

 

「クァグマイヤ!!」

「続けてストームガスト!!」

「もう一回ストームガスト!!」

 この声は……

 

「戻ってきたよヽ(・∀・)ノ」

た、助かった……

        MMMM

    (○)Σ 遅い!そ

    ヽ|〃 Wヽ/WW     

   γ ⌒ ヽ ∧∧

   ! ィノノハ ).(Д゚# )   ゴスッ

   ルリq>д(⊂≡三 ミ ;; : .

    √ ヨE )''、 `、_

    ノヽ ノ |  | Y ./ 、

   ノ,  ノ |  | し'`J

  / L¬¬ヽ ↑アサ

「ごめんね(´・ω・`)」

「とにかく助かった」

「さっさと片づけるぞ」

 

「WIZ娘、ちょっといいか?」

「なになに~?(・∀・)」

 ようやく落ち着いたところでBSがWIZ娘を呼ぶ。

 

「蝶の羽、ここでは使わないだろうから、俺が預かっておくよ」

「あ、そうだね」

 BS、GJだ。

 

 WIZ娘がごそごそと蝶の羽を取り出す。

「えっと、5枚」

「おう、ちゃんとしまっておくぜ」

 とBSが受け取ったとき、

 

 ビ リ ッ

 

「え?」

 なにやら音がした。

 

 ひゅーんとWIZ娘の周りが光り……消えた。

 

 

「疲れたな」

「ああ」

 

 結局あの後、いったん戻って出直したのだが、妙に疲れた。

 いつもは楽しそうに狩るWIZ娘が、ちょっと口数が少なかったのはやはり反省していたからなのだろうか……?

 

「お疲れ~」

「乙~」

 精算を終え、解散。

 それぞれが部屋へ戻る中、WIZ娘がこちらへやってくる。

 

「プリ男くん……」

「ん?どうした?」

「あのね、言おうと思っていたことがあるの」

 WIZ娘がもじもじしながら言う。

 

「な、何?」

 心臓がバクバク言っている。

 

「あ、あのね……い、言いづらいんだけど」

「う、うん」

「そ、その……」

「う、うん」

「は、恥ずかしいな……」

「え、え?」

 WIZ娘の頬が赤く染まる。

 

「ゆ、勇気を出して言うね」

「う、うん」

「言わないと、プリ男くん、つらいと思うし」

「え、え?」

 えっと、な、何だろう?

 

「あ、あのね……」

 

 

「プリ男くん……ズボンのお尻のところ、破れてるよ」

「えええええ!」

 あわてて手で探る……げ。

 

「あ、ありがとう」

「うん……どういたしまして……」

 手で隠しながら部屋へ駆け戻る。いつから破けてたんだ?

 WIZ娘は大抵俺の後ろにいたから……ずっと……?俺、格好悪いな……

 

 ズボンは破れ方がひどいので捨てるしかなかった。WIZ娘にちゃんとお礼をしないと……いないな……またの機会にしよう。

 

 新しいズボンを出し、露店でも見てこようと財布を確認。ま、これだけあればいいか。

 ドアを開け、外に出ると、そこに一人の騎士が立っていた。

 

 短く整えられた髪に精悍な顔立ち。体を鍛えて来ていることは鎧の上からでもうかがえる。同性の俺から見ても、格好いい騎士だ。

 俺を見て、彼が口を開く。

 

「失礼、WIZ娘さんのいるギルドの方ですか?」

「はい……そうですが」

「よかった。WIZ娘さんは今どちらに?」

「さぁ……今はいないようですが」

「そうですか」

「えっと、何かご用で?俺でよければ伝言しておきますけど」

 騎士は少しも迷うことなく答えた。

 

「いえ、直接でなければ意味がありませんので」

「はぁ」

「いえ、決してあなたを信用していないとかそう言うわけではありません。とても大事な話なので、直接でないと……」

「そうですか」

「日を改めて、出直してきます」

「はぁ……そうだ、来たことだけでも伝えておきましょうか?」

「そうですね、お願いします」

 

 そう言うと、騎士は雑踏の中へ消えていった。

 名前をメモに控えながら、一つの疑問が頭をよぎる。

「WIZ娘に用?直接でないと困る?一体……」




解説
グラストヘイム古城2階
行き先相談で「城2」「城」で略されるほどPT狩りの定番。昔からきついダンジョンだが、今でもレベル90前後だと全滅しかねない場所。作者は90後半~100前半の8人構成で全滅したこともある。

レイド
略しまくっているが、レイドリックとレイドリックアーチャーの2種を指すことが多い。GHではあちこちで見かける定番モンスター。極端に強いわけではないが、数が多いので、なじみの多いモンスター。

禿
彷徨う者。見た目でこう呼ばれる。強さはともかく、時々インティミデイト、つまり攻撃相手と一緒にテレポートするスキルを使うので、戦闘中にいきなり前衛の騎士が消えたりする。

蝶の羽
略称は蝶。セーブポイントへ帰還するアイテム。なお、よく似た名前のアイテムとして「蛾の羽」がある。ただのアイテムなので間違えないように。

蠅の羽
略称は蠅。ランダムテレポートをするアイテム。
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