シンデレラ百剣・斬 アイドルと巫剣   作:ダグライダー

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 おはようございます。
…………我ながら何だこのタイトル…?!
 そして、長い!思ったより長い!!
内容をどうしても1話に納めたく頑張った結果、いつもより長くなりました。
 他の話と比べても長いなぁ、でも削ったらあれだしなぁー。
 あ、後今回は中の人一切関係無いです。


フゴフゴ!あんパン!フゴ!フゴフゴ?あんパン?フゴフゴフゴ!フゴ?!あんパン!!ドーナツ!!! ??!

 豪雨と雷鳴が響く関東の空。

 夜…346プロ内、カフェテリア。

その中のめいじ館出張所、既に営業時間は終わり、店内は閑散としている。

 明かりを落とし、無人となった店内には時たま雷の光に照され片付けられた内装が覗く。

 そのゴロゴロと鳴り響く店内の奥には居住用の間取り、数人が常駐出来るよう幾つか部屋があり、何人かが暮らしている。

 「ぅう…雷なんて、聞いてないぞ……」

その言葉と共に怯えて現れたのは巫剣"雷切丸"。嘗ては雷を斬ったとされる伝説を持った巫剣である、しかし、それ以来その雷がトラウマになったと言う有り様である。

 「……くそぅ、こんな夜に限って小腹が空いてあたししか起きてないだと……早く用を済ませて部屋に戻ろう」

 恐いのか矢鱈と口早に呟き気を紛らせる雷切丸、店側にある冷蔵庫を覗く。

 「何か…軽めに食べられそうな物は……あんパンくらいか…」

 明日の仕込みを除けば、店員である自分が手を着けても良さそうな食材は、何故か隅の方にポツンとあるあんパンだけである事を確認し、何とも言えない残念感であんパンを手にする雷切丸。と同時に雷が瞬く。

 「ひゃぁ?!」

凛々しい見た目とは裏腹に可愛らしい声で目に涙を浮かべしゃがむ雷切丸。一瞬、彼女の後ろに長い黒髪の女の影が写った……。

 「……べた……の……あ…パ…

 

 

 

 

 

 

 ──同時刻──

 346プロ事務所内を巡回する警備員が丁度、キッチンスペースのあるフロアを通り掛かる。

 「…凄い雷だったなぁ、速いとこ巡回を終わらせよ」

 そんな事を呟いた時だった、近くからゴソゴソと物音がする。

 「!?…不審者か?……勘弁してくれ」

とても嫌そうな顔で音の発信源に近付く警備員、左手で扉をゆっくりと開き右手の懐中電灯で部屋を照らす、その時再び雷が瞬く。

 瞬間、写る黒く大きな影。

 「フ……ゴ、…ゴゴ…

 

 

 

 『ギャぁぁあ嗚呼!!で、出たぁぁぁあああ?!』

 

 その夜、めいじ館出張所と346プロ内に悲鳴が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「幽霊ですか?」

 「うん、そうなんだよしまむー」

翌朝、事務所に出社して早々にそんな話題で盛上る少女達、話を振ったのはプロダクション内でも屈指のコミュニケーション能力と交友関係を持つ少女本田未央。

 そして話題を振られた方は、長い髪の一部をサイドにアップしている平凡的な少女島村卯月。

 彼女達の他にも何人かが話題にしているようだ。

 「何でも、昨日の夜に出たらしいよ!」

 「うぅ、本当なら怖いです」

 「それ、何かの見間違いとかじゃないの?」

そこへ新たに加わる凛とした声。

 「凛ちゃん!」 「しぶりん!」

 「おはよう二人とも」

彼女の名は渋谷凛、卯月、未央とは同期であり三人でニュージェネレーションズと言うユニットを組んでもいる。

 「いやいや、わかんないよー?うちには霊感アイドルに巫女さんアイドル、果てはシスターによしのんまで居るからね!」

 「他にもユッコちゃんやこずえちゃん、茄子さんも居ますし、小梅ちゃんは何時も"あの子"とお話してるじゃないですか」

 「うん、まぁそれを言われちゃうと、否定しづらいけど……」

 割りと具体的な実例を出され言葉に詰まる凛。

 「ムム!ここかぁっ!!」

と、其所にバンッ!と勢い良く扉を開け現れるツインテール。

 「おわっ?!」 「ひゃっ?!」 「晶葉?!」

三者三様に驚くNG's、ツインテールの正体は同プロダクションアイドル"池袋晶葉"、自他共に認める天才である彼女、特に顕著なのはロボット発明だろう。何せウサミンロボの元となったウサチャンロボやひな祭りロボ、獅子舞ロボ、また、ロボ以外の物も作る所謂工学限定ドラ○もん だろうか。

 「どうしたんですか?晶葉ちゃん」

 「おお、卯月達か。いやなに、幽霊が出たと噂になっていると聞き、興味があってな!小梅の協力の元、泉にプログラムを組んでもらい作り上げたゴーストくん4号で幽霊を探していたのだ!」

 「へぇー意外、池袋博士は幽霊とか信じてないと思ったのに」

 「うん、確かに意外かも」

未央と凛が晶葉の行動力に驚く、これに対して晶葉は心外だなと愚痴る。

 「科学を探究せしめる者ならば、寧ろ幽霊の存在証明はどんとこいだ!無闇に否定する方がどうかしている」

 「な、なるほど?」

未央がナルホドワカラン的な顔で相槌を打つと其所へ新たな闖入者が現れた。

 「謎ある所私あり!名探偵安斎都がこの難事件解決致しましょう!!」

 「今度は都か」 「アンジー!」 「都ちゃん」

 「む、君も来たのか都」

彼女は自分でも名乗った通り自称名探偵の探偵アイドル、安斎都。

 正直、名探偵と言うより迷探偵な気がする娘だ。

 「実は、ここだけの話。幽霊が出たのは二ヶ所あるんです!」

 「そうなんですか!?」

 「ふへー、それは初耳だったなぁ~」

 「因みに何処なの?」

ニュージェネ三人娘の各々の反応に気を良くした都、その可愛らしい顔をドヤりながら高らかに宣言しようとする。

 「ズバリ!その場所とは事務所のキッチンスペース、そして!めい「めいじ館だろう?」ちょ?!晶葉さん!?」

 そして、晶葉に台詞を盗られられて目を丸くするのであった。

 「めいじ館?」 「それって確か…最近うちに出店して来た店だよね」 「あースイーツファイブが入り浸ってる店だね」

 スイーツファイブとは?……詳しくはアイドルマスターシンデレラガールズ劇場を参照しよう!

 「ンンッ!兎も角、昨夜キッチンスペースでは警備員の方が謎の影を、めいじ館に勤める店員の方が黒髪の女の影を見たとの事です」

 「「「へぇ~!」」」

気を取り直し、幽霊の目撃情報の出所を挙げる都。すると晶葉がニヤリと笑い提案する。

 「うむ、そこでだ!今夜我々で張り込みをしてみないか?」

 「おお!良いですね張り込み!探偵の嗜みですよ!!」

都が即座に食い付く。

 「それを言ったら刑事の方じゃ……」

 「しぶりん、言わぬが華だよ…」

 「あはは…、ってあれ?我々?もしかして私たちも数に入ってるんですか?!」

 「人海戦術に勝るもの無し!と言いますし、是非!」

卯月が気付いた瞬間、ズイッと身を乗り出し目を輝かせる。目がシイタケである。

 「これは……断れない空気だ…」

 全て察した凛が諦めた様に締めた。

 

 

 

 

 

 夜、プロダクション内にて──

 「ふふ、皆さん遅くまでありがとうございます。さぁ!今宵、幽霊の正体を暴きましょう!」

 「それは良いけど……何で居るの、2人とも?」

 都の高テンションを尻目に、凛が振り返るとそこには新たに2人のアイドルが…。

 「勿論、風紀を取り締まる為です!」

 輝く眼鏡(実は伊達)に短く二つに纏めたお下げ、そして腕の『超・風紀委員』の腕章、彼女の名は冴島清美。

 見た通りのアイドル風紀委員長である。

 「そうね、強いて言えば好奇心かしら?キッチンスペースの方は兎も角、例の喫茶店の幽霊には興味があるもの」

 もう一人は、此方も同じく眼鏡が光るクールな美少女、八神マキノ。

 バイオレットブラウンとでも言うのだろうか、薄く紫がかった美しい髪とタイトな服装が、見た目よりも年齢を上に思わせる。

 「人が多い事は良いことです!さぁ、晶葉さん達が来たら行きましょう!」

 「良いですか!?今回は飽くまで、事務所全体の風紀を守る為に皆さんの行為を許可したんです!本来ならば夜更かしなどもってのほかですよ!!」

 「まあまあきよみん、こうして一緒に居る時点で共犯なんだからさ」

 「うぐっ!むむむ…」

未央の言葉に図星を着かれ反論に窮する清美、実にパッションである。

 「ところで、マキノ、さっき会社の方の幽霊には興味無いって言ってたけど……」

 「ええ。だって正体はもう判っているもの」

 「「「えっ?!」」」

マキノのまさかの発言に、ニュージェネが声を挙げる

 「な、なんと…一体、何者だったのですか!?」

 「近いわ…」

 マキノの顔に勢い良く迫る都、マキノも流石に狼狽えた。

 「…簡単よ、キッチンスペースのあるフロアに出た幽霊、出現した場所を詳しく調べたら小麦粉が落ちてたわ。因みに冷蔵庫にはイースト発酵の生地がボウルに入れて保存されていたわ」

 「小麦粉……、それにイースト生地…」

 「それって…もしかして…」

 「まさか…みちぱん?!」

 「或いは法子さん!?」

 マキノの話から、四人が頭に思い浮かべたのは、小麦粉の申し子ユニットの2人。未央が叫んだみちぱんこと大原みちる。パン屋に生まれ、パンを食し、時に店に並んだパンすら口にするパンズモンスター。

 都が口にした法子さんこと椎名法子。ドーナツを愛し、ドーナツと語り合い、ドーナツに選ばれた乙女、ドーナツフェアリー。

 この2人まさにチームフラワー、小麦粉の同志である。

 「未央が正解ね。警備員の見た幽霊は事務所に居残っていたみちるの影が雷に照された結果、幽霊と見間違えたのね」

 「なぁ~んだ、みちぱんならしょうがないね」

 「みちるちゃんですもんね」

 「まぁ、みちるならそうかな」

ニュージェネが完全に納得する、恐るべし大原みちる。

 「いやぁ、すいませんアハハ!」

 「って!ご本人がいらっしゃるぅ?!」

八重歯を覗かせカラカラと笑うみちるに都が驚く。とそこに…

 「フハハハ!待たせたな諸君!…おや?何やら数が多いな?」

 白衣を纏い颯爽と翻し登場する池袋晶葉…と白坂小梅、道明寺歌鈴、依田芳乃、シスタークラリス一行。

 「ふわぁ…いっぱいいるね…♪」

小梅が興奮してそんな事を口にする。果たしてそれはどういう意味なのか……。

 「せ、せ精一杯、が、頑張りましゅ!……噛んじゃったぁ…」

 期待を裏切らない歌鈴である。

 「ほー、心配せずとも、悪き気配は今の所、感じませぬ故、大丈夫かとー」

 芳乃が彼女なりのフォローをする。何に対してかは聴いてはいけない。

 「私はエクソシストでは無いのですが…皆さんばかりでは心配でしたので、ご一緒させて頂きます」

 クラリスが唯一の成人として締める。

 

 

nowloading(かくかくしかじか) 

 

 

 「成る程、つまり事務所の幽霊の件は解決したのだな?では残りはめいじ館だな!」

 「はい!幽霊の正体を暴き、お縄に着かせましょう!」

 「それは警察の方のお仕事では?」

 「早苗さん連れてきた方が良かったんじゃ…」

 「無理ね、何人かで呑みに行ったそうだから」

等と賑やかに進む彼女達、因みに事前に警邏の人間やプロダクションのお偉いさんには話が通っている辺り、抜け目ない。

 「そう言えばさ、あきえもん。肝心のめいじ館にはどうやって入るの?あそこは閉店後は関係者しか入れないよね?」

 「うむ、それならば心配無用。既に手を回している」

 「ええ、昼頃に晶葉に頼まれて私が交渉しておいたわ」

 「さっすがマキノん!頼りになるぅ~」

 「うむ。そういう事だ、まさかそれでマキノが興味を抱き同行するとは思わなかったが」

 未央が素朴な疑問、めいじ館にどう侵入するかを晶葉に訊ねる、すると晶葉が自信たっぷりに答え、マキノが言葉を引き継ぐ。

 「つまり、其所に行けばもう入れるってこと?」

 「それだけじゃないわ、目撃者と協力者も一緒よ」

今度は凛がマキノに訊ねる、するとマキノはそれを予測していた様に答え、更に協力者が居る事を明かす。

 そのまま一行はカフェテリアに出る。するとめいじ館前に2つの影が見えてくる。

 「あ!誰か居ます!!」

卯月が始めにその存在に気付く。

 

 「お?来おったな!おーいこっちやで~!」

 片方の影から元気な声が聞こえる。

 「うむ。待たせたな」

 「今夜はよろしくお願いします」

 影の声に応える晶葉と都、他の面々にもその姿がハッキリと写る。

 「よろしゅうなねーちゃん達。うちは津田越前守助廣、気軽につーちゃんって呼んでや!」

 「わぁー!小さいのに偉いです。島村卯月です、よろしくお願いしますねつーちゃん」

 「よろしゅうな卯月のねーちゃん」

影──津田越前守助廣が名乗り、それに返す自己紹介の火蓋を卯月が切る。

 「こんな遅くまでゴメン、渋谷凛だよよろしくね、えっと……つー」

 「もっと気軽につーちゃんでええで?」

少し恥じらいつつも謝罪をし津田越前守に名乗る凛。

 「よろしく津田っち?違うな…つっちー…これだ!よろしくつっちー♪本田未央だよちゃんみおと呼んでも良いのだよ?」

 「おおう?!なんや新しい呼び方やな~、まぁアリやな!よろしゅうちゃんみおのねーちゃん」

 未央がさっそく独特の渾名を着ける。

 「白坂…小梅です…。よろしくね…つーちゃん…♪」

 「えらい白いなぁ、ちゃんとご飯食べてるん?よろしゅうな小梅のねーちゃん」

 次いで小梅が名乗り津田越前守は彼女のあまりの華奢な体つきに少し心配になる。

 「どど、道明寺歌鈴です!よろしゅきゅ!…また噛んだぁ…」

 「なんや獅子王のねーちゃんみたいやな、声は小豆のねーちゃんに似とるけど…よろしゅうな、巫女のねーちゃん!」

 歌鈴はやはり噛んだ。そして知人を思い出す津田越前守、そのまま彼女の格好で呼ぶ。

 「超!風紀委員!!冴島清美です!よろしくお願いします。でも貴女みたいな小さい子がこんな遅くまで起きてちゃいけませんよ!」

 「おおう…、圧があるねーちゃんやな、ご忠告ありがとーな、委員長のねーちゃん。今日は特別許してや」

 清美の宣言に少し引きながらも、素直に受け取る津田越前守。

 「ほー。依田の芳乃と申しますー。よろしくお願い致します」

 「マイペースなねーちゃんやなぁ~、物干し竿のねーちゃんと良い勝負とちゃうか?よろしゅう」

 芳乃を見てまたも知人を思い出す津田越前守。

 「クラリスと申します、シスターをしておりました。よろしくお願い致しますねつーちゃんさん」

 「よろしゅうなシスターのねーちゃん。つーちゃんでええで!」

 クラリスに対しても着ている服で呼ぶ津田越前守。

 「ふふふ、改めて、てぇぇぇぇんさいっ発明家!池袋晶葉だ!よろしくなつーちゃん!」

 「なんか…八宵のねーちゃんと同じ感じがするなー…よろしゅうな博士のねーちゃん」

 晶葉に知り合いの双子の問題児の方を重ねる津田越前守であった。

 「頭脳は大人、身体は美少女。その名は……名探偵安斎都、事件をズバリ解決致しましょう!」

 「濃い…濃いなぁ、よろしゅうな探偵のねーちゃん」

都のノリにやはり引き気味になった津田越前守、そして──

 「フゴ!フゴフゴフゴ、フゴ、フゴゴゴフゴ!」

 「ん?ゴメンなんて?」

 「フゴ?!フゴゴゴフゴゴゴ、フゴフゴ、フゴ」

 「……全然わからん」

 「御免なさい、彼女の名前は大原みちる、……見ての通り、パンが好きなの」

 「あ、うん。それは十分解ったで」

みちるの名乗り…名乗り?に当惑する津田越前守、彼女の視線にマキノが助け船を出す。

 「さて、交渉の時も会ったわね。八神マキノよ」

 「よ、よろしゅうなおか…ねーちゃん」

 マキノの名乗りにみちるのインパクトで呆けていたものの正気に戻り、一瞬、ソボロに似ている為、おかーちゃんと呼び掛け言い直す津田越前守であった。

 

気を取り直して──

 「それで…そこで不安そうにしている彼女が例の?」

 「せや、雷切丸のねーちゃん、みんなに自己紹介せな」

代表して問うマキノに津田が答え、女性の名を呼び皆の前に促す。

 「あ…ああ、雷切丸だ。この度は態々済まない」

 「よろしく、貴女が幽霊を目撃したという事で間違いないのね?」

 「ああ、暗かったし、雷の光で一瞬見えただけだが間違い無い」

 

「わぁ、格好いいですね凛ちゃん、未央ちゃん」

「ウチで言ったらクール属性かな」

「あいさんとか木場さん系ぽいよね」

「少し情けない感じもしますが……」

「……(あれ…?)」

「ふわぁ~カッコいい」

「フゴ~」

「第一発見者ですね!」

「よろしくお願い致します」

「なるほどなるほどー」

 マキノ達の後ろでアイドルが各々言っているがそれは兎も角、それはそれとして津田の先導で閉店後のめいじ館に入る面々、かなりの大所帯である。

 

 

 「思ったよりも広いですね」

 「ああ、流石助手が1フロア分のスペースを頼んだだけあるな」

 カフェテリアの他店舗、バルコニー展望スペースを除くほぼ全てめいじ館である。……広すぎである。建築法どうなってる。

 「これは……手分けした方が効率的ね」

 「それならチーム別けだが、どうする?」

 マキノの提案により別れて探す事になった面々、晶葉がどう別けるのかと問う。

 「やはり、地の利がある店員の2人は別々にすべきね。後はそれぞれに歌鈴とクラリスを別けて…残りはくじ引きかしら?」

 「了解です。しかしクジはどうしましょうか?」

 「それやったらここの割り箸でどや?」

別れた巫剣にそれぞれ歌鈴とクラリスを付けることとし、後のメンバーを籤で決める事になった所、都が籤に何を使うのかと呈し津田が割り箸を持ち出す。

 「良いんですか?お店の備品では?」

流石に清美が気が咎めるのか眉を潜め聞いてくる。

 「上の方に色塗って、逆さにして掴んだらええ。その後はうちらの方で個人的に使うさかい、平気や」

 「……それなら、一応大丈夫でしょうか?」

津田の返答に微妙に納得しかねるも、了承した清美、はてさて、そんな訳でチーム別けは如何になったのだろうか?

 

 

 

 

 めいじ館奥、西側に当たる場所にて──

 「幽霊さーん…成仏してくださぁ~い…」

 「巫女のねーちゃん大丈夫かいな」

 「多分大丈夫じゃないかな…歌鈴のこれは割と何時もの事だし」

 「常日頃、転ばぬように慎重に歩いていたりするからな。結局転ぶが」

 「それ大丈夫なん?」

津田を筆頭としたAチーム、歌鈴に加え凛、晶葉、小梅、未央、みちるである。

 「しまむー達は……まぁよしのん居るし、大丈夫だよね!?」

 未央が少々不安気に此処には居ない面子即ちもう一方のチームの事を思い、しかし芳乃の存在に杞憂かと安堵する。

 となれば必然的にBチームは雷切丸を筆頭としてクラリス、卯月、マキノ、芳乃、都、清美となる。

 「さて、果たして此方の幽霊の正体は何者なのかしらね…」

 マキノが目を細め暗闇の廊下を見据える。

 「はてー、やはり邪悪は感じないのでして」

 「この娘は何なんだ?」

 「芳乃さんは凄い人です…多分」

芳乃の様子に今一胡乱な雷切丸に、清美が自信無さ気に返す。彼女達はAチームとは逆、東側を調査している。

 「むむむむ、犯人の痕跡が見当たりませんね…」

 「幽霊でしたら痕跡は残らないのでは無いのでしょうか?」

 都の唸りにクラリスが冷静に返す。そうして暫く、A、B双方のチームがめいじ館内を周るも進展はなく、一度店舗スペースに再び集合する運びとなった。

 「お疲れ様、そちらはどうだったかしら?」

 「うむ…これといって無しだ」

マキノと晶葉が代表として話を詰めている、その間の残りのメンバー達は各々話し合っていたのだが都があることに気付く。

 「あれ?そう言えばみちるさんが見当たりませんが…」

 「えっ?嘘!だってみちぱんならさっきまで私らと一緒に……」

 未央がAチームの面々を見回すも、みちるの姿は無かった。

 「さ、探しましょう!」

卯月が慌てて言う、皆もそれに頷き、それぞれ探し始める。その後数分が経ち、再び集まる彼女達だが…。

 「あれ?卯月は……?」

凛の言葉に再び驚愕する面々、みちるに続き卯月まで姿を消した。

 「これは事件ですよ!」

 「小梅さん、何か感じられましたか?」

 「ううん、特に…おかしな感じは…しなかった…よ?」

都が興奮気味に叫び、クラリスは小梅に幽霊が居たかを問うたが、小梅の返答は芳しく無い。

 「って、かりりんは?!」

 「芳乃さんも居ません!」

そうこう話している内に、今度は未央と清美が歌鈴と芳乃の不在に気付く。

 「これは…不味いわね。皆、一塊に集まって!全員で行動するの」

 マキノが残った面々にそう指示を飛ばす。

 「あかん!えらいこっちゃでこれは…」

 「まさか幽霊の正体は禍憑なのか…」

津田と雷切丸が最悪の展開を想像してしまう。

 「二人とも何か心当たりがあるのか?」

晶葉がそんな様子の2人に問い掛ける。

 「あんな、もしかすると居なくなったねーちゃん達が危ないかもしれんねん」

 「そんな!?なんとかなら無いの?!!」

 「凛さん落ち着いて。皆さん、今度はなるべく離れず居なくなった人達を探しましょう」

 この場の唯一の大人としてクラリスが凛を嗜め提案する。

 

 

 そして捜索する事二時間……。

 「皆、無事か?」

 「残念ながら、新たに犠牲者が出たわ」

晶葉の安否確認にマキノが首を振る、見れば凛、未央、小梅、都が消えていた。

 「残ったのは我々だけか……」

 「しくじったわ、まさか事務所内でこんな事になるなんて…」

 「これはもう…私達の手に終えないのでは?」

 「ああ、主よ…どうか彼女達が無事であるように…」

残された晶葉、マキノ、清美、クラリスも空気が思い。

 「ねーちゃん達、ねーちゃん達はもう帰るんや、後はうちらで何とかする」

 「これは元を質せばあたしの不始末の様なものだ。責任は私にある」

 津田と雷切丸も悲壮感を露に覚悟を決める、その時!

 

 「ねぇ…

 

 「っ!?誰!!?」

何処から途もなく聴こえた声にマキノが反応し、周囲に緊張が走る。

 「くっ…現れたか禍憑!」

 「ねーちゃん達には指一本触れさせへんでぇ!」

刀を抜き構える雷切丸と津田越前守、途端、照明が落ちる。

 「きゃ!?」 「しまった明かりが」 「み、皆さんご無事ですか?!」 「動かないで!!」

 アイドル達が慌てふためく、そして次の瞬間に再び照明が元に戻るとそこには──

 

 「何をしてるの貴女達?」

 

全身黒付くめにワンポイントなのか赤く長いマフラーをした少女が立っていた。

 「あ…貴女は?」

マキノが恐る恐る訊ねる、すると津田が彼女を見て驚く。

 「あー!?あんぱんのねーちゃん!!」

 

 「「「「あんぱんのねーちゃん?」」」」

 

 「誰かと思えば小夜じゃないか!」

 

 津田の呼び名に首を揃って傾げる4人、そこに雷切丸が彼女の正体を叫ぶ。

 そう、突如現れた黒付くめの少女の名は小夜左文字。津田、雷切丸と同じ巫剣である。

 

 「何であんぱんのねーちゃんがここにおるん?」

 「心外、私は前から此処に住んでる」

 「なんだと!?(やて?!)」

津田の問いに対し小夜左文字はマフラーで隠した口元から答えを返す、そしてそれに驚く巫剣2人。

 「あの、お話が見えないのですけれど……お知り合いの方ですか?」

 そんな3人に対し4人の中でクラリスが年長者として訊ねる。

 「ああ…済まない。こいつはあたし達の仲間、小夜左文字と言う、少し変わっているが……害はない」

 やや間があったが雷切丸が小夜左文字を紹介する。

 「って、そんな場合ちゃうねん!大変なんやあんぱんのねーちゃん!!このねーちゃん達の連れのねーちゃん達が消えてもうたんや!!「それなら知ってる」へっ…?」

 「彼女達を処したのは私…」

 慌てて状況を説明しようとした津田に割って答える小夜左文字、その口からまさかの答えが飛び出た。

 「処した…って、まさか……」

そしてそれを聞いた清美が顔を青くする。が

 「あー…ちゃうねん。あんぱんのねーちゃんの処すは危ない意味とちゃうねん、ややこしいけども」

 「それならどういう意味かしら…?」

津田の煮え切らない説明にマキノが説明を求める。

 「大丈夫、寝てるだけ。…こっち」

と言って、小夜左文字が何処かへと向かう。マキノ達は顔を見合せ、慌てて後追う。辿り着いたのは小夜左文字の私室。すると小夜左文字がクローゼットの前に立ち、扉を開く。

 バタバタバタと音がした後、みちるを除く消えた筈のアイドル達が現れた。

 「はぁ…なんやあんぱんのねーちゃんの仕業やったんか…」

 「もしかすると、例の幽霊の正体は貴女かしら?」

津田が安心して溜め息を漏らす、それを見たマキノが小夜左文字に問うと彼女は僅かに首を縦に振る。

 「そう…昨日、雷切丸が私のあんパンを食べたのを見た……だから」

 「あたしのせいなのか!?」

 幽霊の正体見たり枯れ尾花、昨夜雷切丸の背後に現れた幽霊の正体はあんパンを食べられた事により小夜左文字の琴線に触れてしまった事が原因であったのだ。

 「そう、だから…雷切丸の名は復讐帳に書いてある」

 「あー…あの帳簿なぁ~、うちも偶々覗いてその上あんぱん食うてもうた時に書かれたわ…」

 染々と当時を思い出す津田越前守であった。

 「でも今回は見逃してあげる、新しいあんパンの魅力を教えてくれた同志に逢えたから」

 「同志?」 「誰や?」

 「まさか…」 「他に居ないでしょう」 「うむ」 「みちるさんですわね」

 小夜左文字の語る同志に心当たりの無い巫剣2人は首を傾げて、心当たりのあるアイドル達はまさかと部屋の奥を見る、すると其処には、相変わらずパソコンを頬張る大原みちるの姿があった。

 「フゴ~、フゴフゴ?フゴ!」

相変わらず、何を言っているか解らない言語であった。

 

 

 その後小夜左文字の手により拉致されたアイドル達も意識を取り戻し、事件の詳細を知ることになった。一部残念がっていた者もいたが…、兎も角、新たに親好を結んだアイドルと巫剣が此処に生まれたのである。

 

 

 


 

 登場人物紹介

 

 大原みちる

 キュート属性アイドル、別名フゴフゴさん(ライラさん命名)CV無し…彼女にも声を付けてあげて。

 作中でも言われた通りのパン好き、否、パンキチ。

兎に角、常にパンを何かしら食べてる、一応人語を喋るし解するのだが、基本は『フゴフゴ』である。

 交流のあるアイドルは作中で触れた椎名法子やイベントで絡んだ綾瀬穂乃香、キャシー・グラハム、公園仲間のライラさん等。

 因みにどれだけ食べても太らない体質である。ついでに好奇心でピニャこら太を口にしようとするくらいヤバイ。マジヤバイ

 

 

 小夜左文字

 巫剣、五徳は義、技属性闇、疾風タイプ。CV秦 佐和子

 見た目は何処にでも居そうな女子校生のような黒いセーラー服の少女。

 仇討ちの逸話の為、やたらと復讐に拘る。そういった復讐関連の色々がある為か性格は暗く、自身に都合が悪い相手には復讐と言う名の制裁を下す。己を甘やかす者には懐くといった具合である。好物はあんパンであるらしい。

 コミック天華百剣─戯─ではそのあんパン関連で津田越前守とコント染みたやり取りをこなす。

 

 

 友情出演

 島村卯月 渋谷凛 本田未央 池袋晶葉 安斎都

 

 クラリス 白坂小梅 八神マキノ 冴島清美 

 

 依田芳乃 道明寺歌鈴

 

 特別出演

 雷切丸

 

 

 




 はい、以上です。うん、なんかこうパンとあんパンが頭の中でゲシュタルト崩壊からのビッグバンでこんな内容になってしまった。しかもドナキチもとい法子なんて出番名前だけだし……。
 とは言え過去最高峰にアイドルを一杯出しましたね。まぁ、また大量に出す話とかあるかもしれませんが…。
 そしてつーちゃん二回目の登場でしたら!
ではまた次回!
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