今回のシンデレラ百剣はアイドルと巫剣の中の人同士が同じというネタではなく、中の人の別の出演作品のネタが含まれています。
仕事中、何故か頭に浮かんだのでまたも衝動的に書いてしまいました。
「~♪」
その日、北条加蓮はご機嫌であった。
学校も休日、仕事もオフ、そんな時にプロデューサーから誘われた。加蓮にとってプロデューサーは自分を憧れの世界に連れ出してくれた魔法使いで、面倒くさい性格の自分を見棄てずに今や売れっ子と言っても過言ではないアイドルにまで育て上げた恩人で何より好意を寄せている王子様なのだ!………プロデューサー爆発しろ!!
兎も角、加蓮はご機嫌であった。
何時より念入りにお洒落をして、途中ちょっとスキップまでするくらい上機嫌だった。
それこそ待ち合せが事務所であった事に気付かないくらいには───
「お待たせ!プロデューサー」
346プロダクション玄関前で待つ男を見付け満面の笑みで走り寄る加蓮、しかし最初は笑顔だった顔もプロデューサーに近付くにつれ真顔となっていく。
原因はプロデューサーの側にいる少女、距離感がとても近く親しげに話ているのだ。
容姿は銀髪に着物の様なしかし何処か洋服らしさもある変わった服装、正に絵に描いた美少女である。
加蓮の心中など知らず近付いた彼女に気付いたプロデューサーは笑顔で加蓮を迎える。
(ズルいなぁ…)
所謂惚れた弱みと言うヤツかその顔を見て一瞬、許してしまう自分に情けないと思いつつ、彼の隣に佇む美少女に目を向ける。
先程遠目から見ても判っていたがとても綺麗な銀髪によく見れば金色の瞳、スタイルももしかしたら自分より良いんじゃないかと思う程の美しさ、そして特徴的な服装……近付いて判ったのだが何と胸元を大胆に露出した服装だ。
(うわぁ美人、でもあの胸に描いてあるのって……)
加蓮が疑問を抱いたのは少女の露出した胸元にある漢数字の一を模したかのような刺青、そしてよくよく見れば肩に細長い筒状に伸びた麻袋を背負っているではないか。
「隊長さん、もしや彼女が隊長さんの言っていたヒトですか?」
少女が加蓮に視線を向ける、向けられた視線に思わず息を呑む加蓮。金色の瞳がまるで此方を吸い込まんばかりに見詰めてくるのだ、全てを見透かさんばかりの瞳につい加蓮は目を逸らしてしまう。
「あらら…嫌われてしまいましたかね?」
少女は少し残念そうに笑う。
「(隊長…?)ちょっとプロデューサー?その娘誰なの?」
内心、自分でも面倒くさい性格だなと思いながら拗ねたようにプロデューサーに詰め寄る加蓮。
結果聞き出せたのは少女の名は菊一文字則宗と言う名前であること、加蓮を呼び出したのは彼女に会わせたかったということ、本当は他にも会わせてみたい人物達がいたこと等々──
つまるところ彼女は勘違いしていたのだ、プロデューサーが自分をデートに誘ってくれたと…。
期待を裏切られ露骨に不機嫌になる加蓮、プロデューサー曰く仲良くなれる筈と思い菊一文字を連れて来たのだそうだ。
「はい、という訳でご紹介に与りました、僕は菊一文字則宗です」
加蓮に叱られるプロデューサーを横目にクスクスと笑っていた菊一文字は改めて加蓮に名乗る。
「ええっと…則宗さん?は良いの…その…プロデューサーに付き合わされて」
「出来れば菊一文字の方で呼んで下さい、或いは菊と呼んでくれても構いませんよ?」
人好きそうな笑みで加蓮に呼び方を伝える菊一文字、加蓮もその笑みを見て毒を抜かれたのか直ぐ様順応し怒りも収まる。
流石に立ち話も何だと言うプロデューサーに誘われ346プロに併設されたカフェで会話に華を咲かせる麗しき乙女2人。
「へぇー、じゃあプロデューサーの家の人なんだ~」
「ええ、隊長さ……若様は普段は真面目なんですが稀に気紛れな所がありますから」
「あー、分かる。私らも偶に振り回されるし……今日みたいに」
そう口にしてジロリと菊一文字の隣を見る加蓮。視線を向けられた当の本人は呑気にコーヒーを啜っている。
「でもまだ信じられないなぁ、菊ちゃんが人間じゃないって…こんな可愛いのに」
「あはは、有難う御座います。僕も加蓮さんの様な綺麗な方とお知り合いになれて光栄です」
互いに距離も縮まり仲良くなった2人にプロデューサーは頃合いと見て提案する。
「どうしたの?……視聴覚室に?見せたい物がある?」
「そうでした!僕も気になります。僕以外にも九戸来さんや膝丸さん、北谷菜切さん、日光助真さんに波泳ぎさん、ソボロさん、亀甲さん、富田江さんに虎御前の太刀さんにも声を掛けていた様ですし」
2人の疑問に見れば解ると言い、カフェを出て事務所に入って行くプロデューサー。
2人は頭に疑問符を浮かべながら着いていく。
やって来ました視聴覚室。
そういう訳で視聴覚室(と言う名の大規模なスクリーンシアター)に来た一行は加蓮と菊一文字を席に座らせ、プロデューサーは映写機に何らかのソフトをセットする。
暫くして始まったのは、女子高生が戦車に乗って競う競技で活躍する作品──
「これは…?」
「コレって前に奈緒が言ってたアニメ?でもなんで?私、前に奈緒に勧められて一緒に観たけど…」
そう加蓮は以前、同僚でユニットの仲間でもある神谷奈緒からテレビシリーズを見せられていたのだ。
それをプロデューサーも既に知っているので何故今更なのかを問う、するとプロデューサーはそれはテレビシリーズでコレは劇場版だと答える。何でも奈緒に言われテレビシリーズを見た加蓮、しかし劇場版の存在は知ってこそすれ観ていないとの事、であれば見せなければと思い立ち、ついでに他のアイドルも誘うつもりだったとか……都合がついたのが加蓮だけだった為、他のアイドルは断念したが巫剣は違う…が結局巫剣の方も都合がついたのが菊一文字だけであったのだという。
「成る程、それで…」
説明を聞き納得する菊一文字に対し加蓮はジト目でプロデューサーを見る。
「加蓮さん加蓮さん、この映画はどういった内容何ですか?」
「あ、ああ、うん、それはね───」
菊一文字に解説を求められ丁寧に説明する加蓮、作品の上映が終わる頃にはすっかり仲良くハマっていたのだった。
後日談
「結局、何で奈緒もプロデューサーも私に勧めたんだろ?」
「僕もよく分からないんですよね、他の誘われた巫剣の方達も心当たりが無いようで…」
「そうなんだ、うちの方も莉嘉ちゃんって娘とアーニャに有香って娘、智絵里ちゃん、みくちゃんに美穂、と楓さんって人も誘われててね」
「「何でだろう?(でしょう?)」」
因みにプロデューサーが2人に気に入ったキャラクターはいるかと訊ねた所
「うーん、奈緒にも聞かれたけど私的には主役の娘かなぁ、何か気になる」
「僕はあの眼鏡を掛けたついんてーる?のお嬢さんですかね」
との事であった。
登場人物紹介
北条加蓮
346プロクール属性のアイドル、所謂今時の女子高生。 CV渕上舞
アイドルになる前、出会った当初は入退院を繰り返す己に諦めを感じており、プロデューサー相手に投げ遣り気味な対応をしていた。現在は体調も快調しアイドル活動を楽しんでいる。時折、体調を崩すとプロデューサーやユニットメンバーが心配して過保護になるのは困りもの。交友のあるアイドルはクール属性ユニットメンバーの渋谷凛、神谷奈緒。ギャル仲間の城ケ崎美嘉、大槻唯、藤本里奈。クインテットユニットのメンバー佐久間まゆ、多田李衣菜、緒方智絵里、小日向美穂など。
菊一文字則宗
巫剣、五徳は礼、技属性光、標準タイプ。CV秋奈
その昔、新撰組に所属していた本人曰く食客の巫剣。
実力はかなり高く、強さも新撰組に居ただけあってかなりのもの、しかし短い間しか戦えず長時間の戦闘は体に負担が掛かり「壊れてしまう」らしい。(無論実際のゲームでは特に制限は無いのでご安心下さい)
親交のある巫剣は主に新撰組に縁のある長曾祢虎徹、大和守安定、鬼神丸国重、和泉守兼定、そしてコンビを組む加州清光である。
彼女の衣装の種類は誠の羽織を纏った[誠]菊一文字則宗、クリスマスサンタクロース衣装、そしてイラストレーター繋がりのコラボ衣装武装少女マキャヴェリズムの鬼瓦輪である。
新撰組使用はホーム画面のみならずアクションでも反映される。コラボ衣装のエピソードでは小竜景光ととある事を仕掛けてくる。
如何でしたか?もうお解りの方もいらっしゃるかと思いますが、そうです!ガルパンです!
西住殿と大野あやちゃんです。
いやはや、二話目でコレは変化球かなと思ったりしたのですが、元より衝動に従って書いているので止められなかったのです。
次はキャラのイメージ的な繋がりでも書いてみたいですね例えば清良さんと疱瘡正宗とか。
それではまた