魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダークウガ 繋がる絆【第十四章】

今は使われていない、海鳴市の地下を迷路の様に延びる地下水道の奥で、その場には似合わない仰々しい機械の山が、幾つものケーブルに繋がれていた。

 

その一つには全長一メートルを超える、大きな黒い卵型のカプセルがあり、その中には一人の幼い少女が意識を失っているのか、あどけない寝顔を浮かべている。

 

その横には、同色のコンソールが設けられており、人間とは似て異なる異質な外見をした灰色の怪人が、コンソールのパネルを操作して、何かしらの作業を行っていた。

 

「もうすぐだ。この解析が終わり、例の器が私達の元に届けば、究極の闇がこの世界に復活する筈だ」

 

灰色の怪人、メルトは抑揚の無い声を発しながら、淡々と作業を続けて行く。

 

「そっちの調子はどうかなメルト?」

 

作業に集中するメルトの背後から、突如として声が掛かる。

 

その声はメルトの意思が希薄に思える淡々とした口調とは真逆で、感受性にとんだ軽い口調だ。

 

「……オーバーか。もうすぐ巫女の解析は終わる。後は器の準備だが……そっちは順調か?」

 

一旦作業を中断したメルトは、振り返りながら、先程声を掛けてきた声の持ち主である、メルトと同様に人外の異形の姿をした藍色の怪人、オーバーの質問に答えつつ、逆に質問をぶつけた。

 

「まあ、順調って言えば順調かな?あの三人も頑張ってくれてるし、前に使ってたサイファーと比べちゃうと、ちょっと実力不足だけど、並みのホルダーと比べたら十分使えるよ。見てて飽きないしね」

 

メルトの質問に対して、オーバーは思い出した様に笑いながら、メルトに話して聞かせる。

 

「お前の感想はどうでも良い……ところで例の物は、あの三人に持たせたか?」

 

溜息を吐きつつ、オーバーの返事を一蹴したメルトは、改めて違う質問をした。

 

「うん。メルトの言う通り、使い方を説明した後に渡してあげたけどさ。あんな便利な物を作ってあるなら、最初かケチケチしないで、出せば良いじゃないのさ」

 

「……あれはそんな便利な物ではない。精々使えても二回が限度というところだからな。使い捨ての駒とは言え、簡単に手放すには惜しい戦力だから、今まで使わずに来たというだけだ」

 

「ああ~メルトってばそんな事考えてたんだ。悪どいなあ~」

 

オーバーのふざけ半分な指摘に、メルトは作業の邪魔だと言うと、再びコンソールの操作を再開させた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「先代のクウガの息子!?」」

 

俺と五代さんは、空の予想外の発言に対して、同時に驚愕の声を上げた。

 

空の話が俺の想像を超えるという事は、最初から想定してはいたけれど、流石にこんな話だとは、予測出来なかった。

 

それは五代さんにも、言える事なのだろう。

 

先程から空と自身の腹部を、交互に何度も見ながら、何か感慨深く唸っている。

 

「そっか……君が、空があの人の息子さんなのか。桜子さんが知ったら驚くだろうな~」

 

驚いてから暫くすると、五代さんは自身の腹部のヘソ辺りに、軽く手を当てながら、この場には居ないクウガを良く知る人物の一人に思いを馳せた。

 

確かに五代さんの言う通り、劇中内で最もリントを理解しようとしていたのは、桜子さんである。

 

研究している文字を実際に使っていた人物に直接話を聞けると分かれば、驚くと同時に凄く喜ぶ事だろう。

 

ちなみに五代さんの言うあの人とは、劇中で何度もアマダムが見せた映像に出てきたり、遺跡からアークルを身に着けて、生きた状態で発見された先代のクウガ、空の父親の事で間違い無い筈だ。

 

「そろそろ、話を戻しても良いかな?」

 

俺と五代さんのリアクションが、大分落ち着いた頃に、空が再び話を再開させる為に話し掛けてきた。

 

何とか冷静さを取り戻した俺と五代さんは、空の問いに対して、頷く事で肯定の意思を示す。

 

「さっきも言ったとおり、僕は先代のクウガの息子……それが何を意味するか分かるかな?」

 

再び話を再開させた空は、俺達に謎掛けの様な言い方をして来た。

 

先代のクウガは、確かグロンギに対抗する為に、古代の種族リントが生み出した戦士という話だった訳だから、空も当然、古代のリントという事になる筈だ。

 

「空が先代のクウガの息子って事は、空自身も古代リント族って考え方で良いのかな?」

 

空の謎掛けに、五代さんが俺の考えていた事と、ほぼ同じ回答を口にする。

 

「……その答えは半分正解で、半分ハズレだね」

 

俺と五代さんが、共通して行き着いた答えだったが、それに対しての、空の返答は予想外のものだった。

 

「半分正解って……どういう事さ?」

 

別にクイズ番組をやっている訳ではないので、俺は今回の問題の出題者である空に、直接的に真相を問い質す。

 

「そのままの意味だよ。僕は五代さんが言った通り、リント族の戦士だった父親の息子で、リントの血が流れている……それと同時にグロンギ族だった母親の血もね」

 

空の更なる衝撃的な発言に、俺は息を呑んだ。

 

先程の五代さんの回答に対しての、半分正解というのは、何かの比喩では無く、そのままを意味していたのである。

 

「……母親が……グロンギ?」

 

空の言葉に戸惑いながらも、辛うじて五代さんが反応を返す。

 

「うん。僕は……リントである父親と、グロンギである母親の間に生まれた混ざり者なんだよ」

 

淀み無く頷いた空は、まるで世間話をするかの様な、柔らかな口調で、自身の出生を淡々と語りだす。

 

「クウガとして戦ってきた五代さんは、多分知っていると思うけど、本来リントには相手を倒す事を目的とした、殺人という概念が存在していなかったんだ」

 

空の言っている事には、俺も心当たりがある。

 

確かクウガの劇中でも、リントの文字を解読していた桜子さんが、リントは戦いを好むグロンギとは逆に、敵対意識を持つ相手を殺すという概念すら持たない平和的な種族で、クウガを表す戦士の文字も、リントの文字ではなく、グロンギの文字から生まれたのでは無いかと説明していた筈だ。

 

つまり空が口にした言葉が表す意味はもしかしたら……

 

「戦士クウガに変身する技術は、この世界の言葉で表すと、グロンギの神官と言えば良いのかな?それに近い役割を担っていた僕の母が、グロンギのベルトの情報をリントに渡して、共同で製作した産物なんだよ」

 

「……そうか。元々は同じ技術を使っていたから、クウガとダグバが等しいなんて記述が残ってたんだ」

 

空の話を聞きながら五代さんが、何度も頷きながら納得する。

 

「母はグロンギだったけれど、無益な戦いを嫌う誇り高い人だった。だからゲゲルと称して一方的な殺戮を続けるグロンギに対して、嫌気のさした母さんは、戦う力を持たないリントに、抗う為の力を貸したってって聞いてる……そうして完成した戦う為の力を扱う戦士に選ばれたのが、当時のクウガ。つまり僕の父で、やがて長く続いた戦いの中で、父と母は恋をして、僕が生まれる事になる」

 

淡々と空が自身とクウガの出生の話を語る中で、俺は幾つかの、拭い切れない疑問を覚えていく。

 

そして俺の頭の中に増え続けていく疑問の幾らかは、更に続く空の話の内容によって、紐解かれると同時に、新たな謎を誕生させる。

 

「殺人という概念を持たないリントは、クウガが倒した事で、力を失ったグロンギを、次々と聖地に封印していったんだ。そして戦いは究極の闇の闇を倒す事で、一度は長い戦いに終焉を迎えたんだけど、それは終わりじゃなくて、僕達家族を永遠に引き裂く事になる戦いへの始まりだったんだ」

 

空は其処まで話してから、一度だけ大きく深呼吸をして、改めて話を再開した。

 

「聖地の封印は完全じゃ無かったんだよ。数年の歳月の間に、封印されたグロンギ達の邪念が聖地を汚して、新たな怪物がこの世に誕生したんだ……それは実態を持たない闇そのものだったんだよ。闇は聖地に封印されていた究極の闇ダグバを復活させて、その身体を依り代にして世界に、絶望をばら撒いた……死闘の果てに、闇を討ち払い、再び究極の闇を封印する事には成功したんだけど、大きな問題が発生したんだ」

 

「……大きな問題?」

 

「それが空が今回の事と、関係してるって事?」

 

空の話に、五代さんが頭を捻らせながら呟き、俺は空に話の続きを促しつつ、疑問を投げ掛ける。

 

俺の投げ掛けた疑問は、どうやら当たっていたらしく、空は一度頷いてから、先程の話の続きを語りだす。

 

「聖地に施された封印は、当時のリントが持てる全ての技術を費やした、最高の物だったんだけど、完全にグロンギの力を押さえ込む事は出来なかったんだ。討ち消された闇は、また時間が経てば、封印されたグロンギの邪念で成長を果たす事になる。これじゃあ戦いは永遠に終わらない。其処でリントは悩んだ末に一つの解決策を実行する事を決定したんだよ」

 

「もしかして……」

 

五代さんは何かに気づいた様に、呟きながら空を見詰める。

 

俺も言葉にこそしなかったが、その解決策に対して、一つの可能性が脳裏を過ぎった。

 

「リントはグロンギの邪念の集合体とも言える、闇の器になる依り代を用意して、僕達が居た世界とは別次元の狭間に封印する事で、闇を永久的に封印する事を思いついたんだ。そして……その器に選ばれたのが僕だったんだよ。僕が選ばれた理由は、リントとグロンギ、両方の血を受け継いでいたから……純粋なグロンギじゃ、完全にその意識を闇に乗っ取られる。逆に純粋なリントだと、闇を拒絶してしまって、器になる事が出来ない。僕だけがグロンギの血で、闇を身体に受け居れると同時に、リントの血でその力を封じる事が出来たんだよ」

 

「……空が闇を封印する為の特別な存在だっていう事は分かったけど、それじゃあ何ではやてちゃんが狙われたんだ?」

 

「確かに……奴らの目的が、何なのか分からないけど、その話が今回の件に大きく関わっているとしたら、まず第一に狙われるのは、はやてちゃんじゃ無くて、空だと俺は思うけれど」

 

俺が投げ掛けた疑問の後に、五代さんが補足説明を加える。

 

先程の空の話を聞く限り、オーバー達の狙いは空の言う、闇の完全復活という可能性が最も高い。

 

だからこそ分からないのだ。

 

狙いが闇の復活と言うのであれば、其処に辿り着くまでのプロセスはこの際置いておくとして、封印に関わった空を狙うのが、妥当ではないのだろうか。

 

オーバーは、はやてちゃんを【巫女】と呼んでいたけれど、其処に空とは別に、何か重要な意味があるのかもしれない。

 

「はやてちゃんが狙われたのは、恐らく彼女が僕の母が持っていた力と、同質の力を秘めていたからかも知れない」

 

「……同質の力?」

 

「うん。僕の母は元々はグロンギの神官的な立場の人だった。それはリントやグロンギが持つ技術とは別に、不思議な力を扱う事が出来たからなんだよ」

 

その話を聞いてオウム返しに呟きながら、俺は去年の初夏に遭遇した出来事を思い出していた。

 

突如として、俺の目の前に現れて、はやてちゃんに近づくなと警告してきた、一匹の喋る猫……

 

空の言うはやてちゃんが持っているかもしれない不思議な力というのは、それと何か関係しているとでも言うのだろうか?

 

「その……はやてちゃんが持っているっているかも知れないっていう、空の母親が持っていた同質の力が、何か封印に関係しているって事?」

 

隣に座っていた五代さんが、考えを巡らす俺をよそに、空へ質問をした。

 

「僕の身体が半分はグロンギだと言っても、完全な器になるのには、到底無理があったんだ。其処で母さんの力を借りて、闇を僕の身体に定着させた。多分はやてちゃんを連れ去った奴らの目的は、その力を今度は反対に利用して、封印では無く、闇を完全復活させるつもりなんだと僕は考えてる……」

 

そんな事が本当に有り得るというのだろうか……

 

いや、今はそんな事実確認の問題では無い。

 

実際にはやてちゃんは、オーバーに連れ去られて居る上に、荒唐無稽な話ではあるが、俺は空が嘘を言っている様には到底思えなかった。

 

「更なる封印は内と外、二重に掛けられたんだ。僕が邪念の復活を依り代となって、空間の狭間でその力を押さえつけて、先代のクウガだった父が、聖地でグロンギそのものの封印を強固なものとして、母と他のリント達が、それを永久に封印する筈だったんだけど……今その封印は、意味を成さなくなってしまっている」

 

「じゃあ俺がこの世界に来て、はやてちゃんと出会ったのは、もしかして……」

 

「うん。五代さんのアマダムには、一種の安全装置が仕掛けられていたんだ。次元の狭間に封印されていた僕が、何らかの理由で、別の時空にやって来る可能性は否定出来ない。だから僕の中に居た闇を討ち事が出来るクウガを呼び出して、封印を完全に解き放つ可能性を持つかもしれない、母と同質の力を持った人を守れる近い場所に、飛ばされる様にしてあったんだよ」

 

五代さんの質問に答える空の話を聞き、俺は一つだけ何となくだが、引っかかる言い回しを見つけた。

 

「空……さっき僕の中に居たって言っていたけど、もしかして今は、その闇は空の中に居ないの?」

 

俺の投げ掛けた疑問に対して、空が口を開こうとしたその時である。

 

『マスター!!!ハンターと同じ三つの反応が、この場所に近づいて来るぞ!!!』

 

突如としてメカ犬が、病室に転がり込んで来ると同時に叫んだ。

 

その直後……大きな爆発音が、この病室内に木霊した。

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