魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダークウガ 繋がる絆【第二十三章】

「……余計な事をしてくれたじゃねえかよ。この糞ガキが……」

 

暴走状態から開放されて、一言目にハンターが口にした言葉がこれである。

 

確かに台詞だけを聞けば、皮肉にしか聞こえない言葉ではあったが、俺は不思議と嫌悪感を覚える事は無かった。

 

だからと言ってハンターが善人とは、決して胸を張って言える事ではないだろう。

 

彼はそれだけの事を、自分の意思で判断しながら、行動に移しているのだから。

 

だけど……

 

「本当に……余計な事でしたか?」

 

「……」

 

俺の返答に、ハンターは何も言葉を返さない。

 

だから俺は、感じた事をそのまま言葉にして、ハンターへと伝える。

 

「俺にはあの暴走する姿が、悲しんでる様に思えてならなかったんです……それに戦うしかないって言うのなら、お互いに納得の出来る決着をつけたいでしょ」

 

「……本当に気に食わない糞ガキだな。ガキの癖して、分かった様な口を叩きやがる。年上から諭されてんじゃねえかと思うぜ」

 

続けて言った俺の言葉に対して、ハンターは沈黙を破り、溜息を吐き出しながら再び皮肉を言った。

 

「そんな訳……無いでしょう?」

 

その言葉に俺は、苦笑いを浮かべながら返答する。

 

前世の記憶を引き継いで、今の俺がこの場に居るのは確かだが、それをハンターに説明したところで、信じないだろうし、積極的に話す必要性も無い。

 

今の俺は紛れも無く、この世界に生きる一人の小学生で、間違いないのだから……

 

「確かにそんな訳無いよな……テメエが変な糞ガキだって事に変わりは無いんだからな」

 

俺の返答に対して、納得したのか疑っているのかは、予測する事しか出来ないが、少なくてもこれ以上俺を詮索する事は止めた様だ。

 

そしてハンターは俺を眼前に捉えながら、一振りのナイフを生成して、逆手に握り込み、臨戦態勢を整えた。

 

「来いよ。テメエには、さっきの借りがあるからな。お望み通り戦ってやるぜ」

 

その行動が、敵である俺に対しての感謝の印なのだろう。

 

本当ならば戦わずに、話す事で分かり合いたいと今でも思うが、それは既に叶う事は無い。

 

相対しているからこそ分かる。ハンターからは今も戦う意思を強く感じられるのだ。

 

だから俺は、その想いに全力で答える為に、ハンターとの最後の戦いに挑む。

 

「そう言う訳だから、協力してくれてありがとうなメカ虎。後は俺が決着をつけるからさ」

 

俺は昨日に続き、ここまで協力してくれたメカ虎に、感謝の言葉を述べてから、アタッチメントパーツを引き抜き、パワーフォルムだった姿もベーシックフォルムへと変えた。

 

『頑張るじゃんマスター!』

 

『負けるんじゃないぞマスター!』

 

ベーシックフォルムにフォルムチェンジして、ハンターに戦う準備が整った事を告げようとしたその時、アタッチメントモードから通常の虎の形へと変形したメカ虎に続き、今もベルトの状態で俺の腹部に巻きついているメカ犬から、声援の声が送られる。

 

「ああ!」

 

俺はその声援に心から感謝の念を抱きつつ一声で返答してから、改めてハンターに勝負の準備が整った事を告げる。

 

「そういう訳で、こっちの準備はこれでOKですよ!」

 

「それで良いのか?さっきの姿の方が、テメエには有利なんじゃないのかよ?それともハンデのつもりとでも抜かす気か!?」

 

ハンターは俺のその行動を、舐めて掛かっていると考えたのか、傍から見ても分かる程に、苛立ちを正面からぶつけてきた。

 

確かに俺の行動はそう見える節があるかもしれないが、当然の事ながら俺はそんな考えは微塵もしていないと誓って宣言出来る。

 

俺はハンターの言葉に対して、首を数回左右に振りながら、心情を吐露していく。

 

「そんな事、俺は思っていませんよ。強いて言うなら、これはただのわがままですから」

 

「……わがまま?」

 

「あのまま戦ったとしてもフェアじゃないですしね。それにあの暴走状態でかなり体力も使い切ってるだろうし、体力の回復を待つとしても、そのベルト……このまま変身を解いたら、もう使えなくなるんじゃないですか?」

 

別に俺は、この戦いに手心を加えようとしている訳ではない。

 

ただ単に、俺は出来るだけ対等な勝負を、ハンターとしたかったのである。

 

それに俺は、急いで先に行った五代さんと空の後を追わなければいけないという事情がある。更に先程俺が指摘した通り、ハンターのベルト……暴走エネルギーの核となる部分だけを破壊した筈だったのだが、それでもベルトの一部を破壊した事に変わりは無かった。

 

今もハンターのベルトの左側には、亀裂が走っており、それは徐々に広がりを見せているのだ。最早いつその亀裂が一気に広がってベルト本体が破壊されてしまったとしても、おかしく無い状況なのである。

 

其々に事情があり、お互いに対等に戦おうするならば、その機会は今この時を持って他に無い。

 

そして俺は、傷付け合うだけの戦いを否定しながら、この勝負を対等な形で現実にしたいと望んでいた。

 

だからハンターにとっては侮辱とも言えるであろう条件下で戦うのは、この戦いを納得のいくものにしたいと愚考する俺のわがままなのだ。

 

「わがままね……そういう事にしておいてやるよ。さあ、話はここまでだ!構えな糞ガキ!!!」

 

俺はハンターの言葉に頷きながら、先程からハンターがしているのと同様に、戦う構えを取ると、その動作を戦いの合図にして、ハンターが此方に駆け込んで来る。

 

急激な加速から繰り出されたナイフの斬撃を、俺は紙一重で回避して、攻撃したハンターの腕が伸びきるのを持って、逆に懐に飛び込みながら、胸の辺りに拳を叩き込む。

 

「はああああ!!!」

 

裂ぱくの気合と共に、俺の放った拳の衝撃が、ハンターを後方へと吹き飛ばす。

 

「ぐっ!?」

 

だが吹き飛ばされたハンターは、倒れる事無く、上空で姿勢を整えて、自身の両足で着地すると、間髪居れずに再び特攻を仕掛けて来た。

 

その切り替えしは俺にとっても流石に予想外だった上に、ハンターはその特攻の際に初撃にナイフを投げつけて来たのである。

 

そのナイフが飛んで行く軌道上に居た俺は、当然の如くそのナイフを避けたが、それは俺を所定の位置へと誘導させる為の罠だったのだ。

 

俺の動きを予測していたのか、飛んで来るナイフを避けた直後の俺の視界には、拳を繰り出そうと構えるハンターの姿があった。

 

「さっきのお返しだ!!!」

 

そう言ってハンターの繰り出した拳を避ける暇は無く、俺はその拳から撃ち出される衝撃を頬に受けて、盛大に頭全体が揺さぶられる。

 

「ぐはっ!?」

 

俺は嗚咽を漏らしながらも、その場に踏ん張り、お返しとばかりに、すぐさま回し蹴りをハンターの頭部に喰らわせた。

 

其処からは、互いに超近接の格闘戦を繰り広げて行くが、今まで戦って来た経験の差を表す様に、やがて俺の攻撃ばかりが目立つ様になり、ハンターはほぼ防御を行うのみ、という状況が作り上げられていく。

 

このまま押し切ればいずれ勝負は決するだろう。

 

しかしハンターがこのまま終わるとは、当然考えられない。

 

何かしらの方法を、実行に移して来る事は確実だ。

 

そして俺の予想は、見事に的中する。

 

ハンターは幾度目かの防御の後に、俺の前蹴りを掌で受けたかと思うと、自ら足を浮かせる事によって、俺の放った蹴りを利用して、後ろに下がり距離を取ったのだ。

 

俺も敢えて追撃はせずに、バックステップで更に互いの距離をある程度遠ざけて、一定の距離を保つ。

 

「や、やるじゃねえかよ!糞ガキ……」

 

ハンターは体力の限界が近いのか、何度も荒い呼吸を繰り返しながら、俺に話し掛けてくる。

 

「そっちも強いですよ……でも俺は負ける訳にはいかないので、絶対に勝たせてもらいます!」

 

俺も多少乱れ始めた呼吸を整えながら、ハンターに対して、必ず勝つ事を宣言した。

 

ハンターが何を背負い、何の為に戦って居るのか、俺には知る術も無い。

 

だけど俺は、この戦いを通して、ハンターの事を知りたいと思った。

 

そしてこの戦いの先にも、俺の守りたい人達が居る。

 

だから俺は負ける訳にはいかない……それが仮面ライダーとして、そして板橋純としての戦う理由なのだから……

 

「……か、勝つのは俺に決まってるだろうが!」

 

俺の言った宣言を真っ向から否定するかの様に、叫びながらハンターが自身のベルトに手を翳すと、再びナイフが生成された上に、その刀身が黄色い輝きを放ち始める。

 

どうやらここで、一気に勝負に出ようとしている。という事なのだろう。

 

ハンターのベルトに視線を向ければ、ベルトの亀裂が更に大きくなっており、何時ベルトが粉々になったとしてもおかしく無い状況だった。

 

体力的な問題以外にも、時間的に、これ以上は戦えないと判断したからこその決断と言えるかも知れない。

 

俺はハンターの誘いに乗り、タッチノートをベルトから引き抜いて、全体図を表示させてから、右腕の部分をタッチして、再びベルトに差し込み、迎え撃つ為の準備を整える。

 

『ポイントチャージ』

 

ベルトから音声鳴り響くのと同時に、稲妻の様な光がベルトを通じて、右腕の銀のラインを通り、拳へと集約されていく。

 

「……俺の名前は沢渡雄太だ。糞ガキ!テメエの名前も教えろよ?」

 

お互いにこの戦いで、最後の一撃となるであろう攻撃の準備を整えて、間合いを探っていたその時、ハンターが仮面ライダーとしてではない自身の名前を口にした上で、俺にも名前を教えろと要求して来た。

 

「俺は純……俺の名前は板橋純だ!」

 

ハンターがどんな意図で、自身の名を名乗り、さらには俺にも名前を聞いて来たのか。その真意は分からないが、俺はハンター、沢渡雄太に対して、俺自身の名前を教える。

 

「そうか。純……良い名前だな。絶対に忘れねえぜ……その名前を!」

 

俺の名前を一度だけ呟いたハンターのその声は、何処か寂しそうでもあり、少しだけ嬉しそうにも聞こえた。

 

だがそれも一瞬の出来事であり、ハンターはその言葉を合図にすると、全速力で俺に向かって走り出す。

 

先程の言葉が、俺に何を求めて発せられたものだったのか、人の心を正確に読み取るなどという芸当の出来ない俺には、一生理解出来ない事かもしれないが、それでも俺には今ひとつだけ、彼に対して出来る事がある!

 

「仮面ライダーハンター……沢渡雄太の悪夢は、ここで終わらせる!」

 

先に走り出したハンターに遅れて、俺は成すべき事を果たす為に、光を集約させた右の拳を振り翳して走り出した。

 

「はああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

先に仕掛けて来たのは、ハンターの方だった。

 

黄色い光が刀身に集約したナイフを、真横から振り被る。

 

ハンターが眼前と迫った今、下手に避けようとしても、その攻撃を喰らう事は目に見えていた。

 

だから俺は、敢えてその懐へと、全力で飛び込む。

 

更に走る速度を増した俺は、ハンターのナイフが横薙ぎに振るわれるよりも先に、俺の一撃を当てる事の出来る射程距離内に、ハンターの姿を捉えた。

 

「こいつで決めるぜ」

 

俺は右拳を振り被り、この近距離では回避不可能な最大の一撃を、ハンターのベルトに叩き込む。

 

「ライダーパンチ」

 

光を纏った拳は、ハンターのベルトに直撃して、塵へと返す。

 

「……これで良かった……んだよな……大地……沙耶」

 

ベルトが破壊されていく中で、変身が解けていくハンターが言った言葉に、俺は……ハンター、沢渡雄太という一人の人間にも、守りたいと願う事が出来る、大切な存在が居たという事を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……準備は概ね整ったな」

 

「本当は儀式の為に後二日は様子を見てたかったんだけどね~まあ、何でも予定通りに動く事なんて無いし、仕方ないかもね」

 

「多少の不具合は仕方が無い……これも一つの実験に過ぎないのだからな。時が満ちなければ不完全な状態となる恐れはあるが、儀式は予定を早めて決行する」

 

海鳴市の今は使われていない筈の地下水道で、コンソールを操作していた灰色の怪人メルトが自身のすべき作業が、全て終わった事を口にすると、その背後に何時から居たのか、藍色の怪人オーバーが現状の不備を伝えた。

 

しかしオーバーのその言い回しを、予め読んでいたメルトは、全てを一蹴するかの様に、抑揚の無い声で今後のタイムスケジュールを早める事を公言する。

 

「……まあ、僕達にはまだ【巫女】っていう切り札があるし、何とかなるかな?」

 

メルトから予定を早めるという旨を聞いたオーバーは、その予定を口にしたメルトが、先ほどまで操作していたコンソールと繋がっている黒い卵型のカプセルの中を覗き込みながら呟く。

 

そのカプセルの中では、未だに意識を失っている一人の少女が、全身から淡い光を放っていた。

 

その光は空いわく、古代の巫女の持つ不思議な力の発露であり、そしてこの世界とは全く違う別の世界では……その力は魔力と呼ばれている。

 

【闇】の復活には、必要不可欠な力だった……

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