魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~ 作:G-3X
世界には未だ解明されていない、未知の技術が幾つも存在している筈だ。
端的に言ってしまえば、俺の持っているタッチノートもその一つに入るだろう。
既に俺の周囲の現実だと受け止めている、メカ犬やホルダーもタッチノート同様、異世界に存在する技術の産物である。
しかし今この時、俺の目の前で起こっている現象は、それとは別の未知の技術が用いられた現象だった。
セットアップと叫んだ女の子が、俺やホルダー達の眼前で、光に包まれたのも一瞬の事。
次の瞬間に女の子の服装は、茶系のビジネススーツ風のものから、鮮やかな青色を基調としたチャイナドレスの様な服装へと変わり、その右腕には、先程のブレスレットと同色の青い玉が先端に埋め込まれた、全長一メートル程の金属製と思われる棒が握られている。
その姿はまるで……
「ま、魔法少女?」
俺は見たままの事実を、一人静かに口にした。
女の子の今の姿を一言で説明するならば、何処に出してもおかしく無い立派な魔法少女である。
「さあ!ここからは管理局最強ルーキーと名高いこの私!!ミルファリア・ロックランベルがお相手するわよ!!!!!」
恐らくその名前が、女の子の名前なのだろう。
自らをミルファリア・ロックランベルと高らかに名乗った女の子は、右手に持った魔法少女の武器と思われる長い杖?を振り回すと、最後に青い玉の付いた先端をホルダーに向けて女の子は呪文と思わしき叫び声を上げる。
「ロックシューター!」
女の子の叫びに呼応して、杖の先端が光ると、青い光が球状となってホルダーに命中するのだが……
「う、うそ!?」
『どうやらこちらの攻撃が、全く効いていない様じゃな……』
確かに女の子の放った青い光は、ホルダーに直撃したのだが、肝心のホルダーには一切効果が無かったらしく、ホルダーも命中した腹部の辺りをダルそうに指で掻いていた。
「何で効かないのよ!?」
女の子はホルダーの様子を見て再び驚愕の声を上げるが、俺としては君が何なんだと言いたい。
しかも先程の女の子の攻撃?がホルダーに対して何の効力も持たないという事が分かった今、現状は予想以上に悪い方向へと推移しているのではないだろうか……
俺の予想は残念な事に現実のものとなり、ホルダーが再び女の子に突進攻撃を仕掛ける。
『来るぞい!!!』
「え!?ち、ちょっと待って!?」
ホルダーが迫り来る事を、先程も聞こえた老人らしき声が女の子に伝えるが、ホルダーに自身の放った攻撃が効かなかった事が、思った以上に予想外だったのか動揺を隠せないでいた。
「間に合え!!!」
このままでは確実にホルダーの攻撃を女の子が喰らう事になると感じた俺は、急ぎタッチノートを取り出してボタンを押す。
『チェイサー』
タッチノートから音声が響くと同時に、遥か彼方から俺にとって聞き覚えのあるエンジン音が凄まじい勢いで接近して来る。
そして砂埃を巻き上げながら、やって来たエンジン音の正体は、女の子に突進を仕掛けようとするホルダーに横から強烈な体当たり喰らわせて吹き飛ばした。
『お待たせマスター』
そのエンジン音の正体であるチェイサーさんが、ホルダーを吹き飛ばした後に話し掛けてくる。
「ナイスタイミングですチェイサーさん!でも、今日は普段よりも呼んでから駆けつけて来るまでの時間が早かった様な気がしますけど、この近くに居たんですか?」
普段からも常軌を逸した登場スピードを誇るメカシリーズ&チェイサーさん達ではあるが、今日のチェイサーさんの到着スピードはそれを上回る程だ。
俺が疑問を口にするのも当然の流れである。
『それはワタシが説明しよう』
しかしその謎は、チェイサーさんの上から地面に飛び降りつつ語り出した存在……メカ犬によって、あっさりと紐解かれる事となった。
「何でメカ犬がここに!?」
『うむ。ジャックに話を聞きに行く最中に、公園からホルダー反応をキャッチしたのでな。チェイサーとは現場に来る最中に偶然会って一緒に来たのだ』
メカ犬の説明によると、どうやら今回はただ偶然が重なって俺が呼んだ時には、既に近くまで来ていた様である。
「な、何!?何がどうなってるの!?」
突然のチェイサーさんとメカ犬の登場に、魔法少女な女の子が慌てふためくが、今は事情を説明している暇も無さそうである。
確かにホルダーはチェイサーさんのバイクタックルによって吹き飛ばされたが、今も健在である事には変わり無いし周囲のホルダーモドキ達は俺達を取り囲んでおり、何時襲い掛かってきたとしてもおかしく無い。
『マスター。あの個性的な服装の女児は何なのだ?』
「俺も良く分からないんだけど……今はいつも通り戦うぞメカ犬!!!」
この場に似つかわしくない女の子の存在を、メカ犬も気にして質問してくるが、俺自身もこの女の子の存在がどういう存在なのか分からないので、その質問はスルーしつつ、取り敢えずタッチノートを開いてボタンを押す事で、強制的に普段の流れに展開を持っていく。
『バックルモード』
タッチノートから流れた音声が、響くと同時にメカ犬がベルトに変形して俺の腹部に自動的に巻きつく。
「変身」
俺は音声キーワードを口にしながら、タッチノートをベルトに差し込む。
『アップロード』
タッチノートを差し込んだ直後、俺の全身は眩い光に包み込まれ、その姿を一人の戦士へと変える。
「こ、今度は男の子の姿が!?この世界って技術水準が低い管理外世界じゃなかったの!?」
俺がシードに変身する姿を目の前にして、女の子が驚愕の声を上げるが、俺からすれば目の前で魔法少女の姿になったこの子も、充分に驚愕に値するのではないかと思うのだが、現状はその部分に突っ込みを入れるよりも先に、やらなければならない事がある。
「行くぞメカ犬!」
『うむ!』
メカ犬に宣言した俺は、一気に駆け出して正面のホルダーモドキに拳を繰り出す。
俺の先制攻撃を引き金に他のホルダーモドキ達も、ターゲットを俺に定めた様で次々と襲い掛かってくる。
『数が多いな……纏めて蹴散らすぞマスター!』
「OK!」
俺はメカ犬の指示に応えるべく、ベルトの右側をスライドさせて、緑と黄色のボタンを順番に押していく。
『スピードフォルム』
『スピードロッド』
ボタンを押したその直後、メタルブラックのボディーは鮮やかなライトグリーンへと変わり、俺の右手にはこのフォルムの専用武器である棒状の武器、スピードロッドが生成される。
「もしかしてあの男の子も、私と同じ魔導師なの!?」
『いや……あの少年からは、全く魔力を感じなかった。何か別の要因があるのかもしれん』
女の子と謎の老人の声が、何かを話しているのは分かったが、今はホルダー達と戦う事が先決だと意識を切り替えて、スピードロッドによる連撃をホルダーモドキ達に叩き込む。
そして俺の周囲をホルダーモドキが囲んだ瞬間を見計らい、俺はベルトからタッチノートを引き抜いて、スピードロッドの溝部分にスライドさせる。
『ロード』
音声が流れた事を確認して俺はすぐにタッチノートを再びベルトに差し込んだ。
『アタックチャージ』
ベルトから発生した激しい光が、右腕のラインを通過して、スピードロッドの先端へと集約される。
「こいつで決めるぜ」
俺は輝くスピードロッドを斜めに構えた後、自身の右足を軸に、回転運動を開始した。
「スピードロッド」
その回転により、スピードロッドから、幾重もの風の刃が発生していく。
「ウインドテイスティング」
発生した風の刃は俺を中心として波紋の様に広がり、周囲を囲んでいたホルダーモドキ達を飲み込み連鎖的な爆発を引き起こした。
『これでホルダーモドキは全て片付いたな』
「ああ。後はあのホルダーだけだ!」
周りに居たホルダーモドキ達を全て倒した事を告げるメカ犬に、俺は頷きながら先程の攻撃を免れたホルダーに目標を定める。
「はあああああ!!!」
スピードフォルムによる恩恵で得た素早さで、一気に距離を詰めた俺は、ホルダーにスピードロッドの連撃を浴びせかける。
「凄い……私の攻撃が全然効かなかった怪物と互角以上に戦ってる」
『怪物にしろ、あの少年にしても……こんな技術が第97管理外世界に存在しているという情報は無かった筈だが……』
謎の老人の声は、どうやら女の子の持っている棒状の武器から発せられているらしい。
女の子にとってあの謎の声は、俺にとってのメカ犬の様な存在だとでも言うのだろうか?
『余所見をするなマスター!』
戦いの最中に、少しだけ聞こえて来た女の子達の会話に耳を傾けていたら、メカ犬の注意を促す言葉が、俺の鼓膜を刺激した。
その声で我に返り、正面のホルダーに集中すると、反撃とばかりに拳を繰り出そうとしていたので、咄嗟にスピードロッドの先端をホルダーの拳に引っ掛けて、本来の軌道を逸らす事で攻撃を回避する。
「サンキュー。メカ犬!」
『気になるのは分かるが、詮索は後にした方が良いぞマスター』
俺の感謝の言葉に対して、メカ犬が呆れ交じりの返事を返す。
どうやら俺が何に気を取られていたのか、先刻承知の様だ。
「そうするよ」
そして俺が反省の言葉を述べながら、ホルダーに追撃を仕掛けようとしたその時である。
『うむ!?』
「な、何だよこれは!?」
その場で足を止めて、俺とメカ犬は驚愕の声を上げた。
突如として森の奥から、バレーボール程の謎の光が、襲来したかと思うとホルダーの周囲を旋回し始めたのである。
『あ、あれは間違いないぞ!!!』
「そんな!?どうしてこのタイミングであれが出てくるのよ!?」
その少し離れた位置では、女の子と謎の声が俺達とは違った意味で驚愕している様に見えた。
「もしかして、あの光が何なのか分かるのか?」
「君!!!何でも良いからあの光を怪物から今すぐ引き離して!!!そうしないと大変な事になるわ!!!」
俺の独り言とも言える呟きとは対照的に、女の子が叫び声を公園内に響かせる。
そして女の子が叫んだこの直後、俺が何かを実行に移す前にホルダーの周囲を旋回していた謎の光が、新たな動きを見せた。
何と謎の光は、吸い込まれる様にホルダーの身体に吸い込まれてしまったのだ。
その予想外の事象に驚く暇もなく、光を体内に吸収したホルダーの身体に、急激な変化が訪れる。
元からゴリラの様に逞しい肉体をしていたホルダーだったが、その大きさは更に一回り大きくなり、全身が鋼の鎧に包まれた。
『ホルダーの姿が変化した!?』
「……メカ犬。一体何が起こってるんだ!?」
『ワタシにも分からない。ただ……』
「ただ?」
『ただ……あの謎の光が原因で、暴走プログラムに大きな変化をもたらした事は間違いないだろう』
急激な変化を遂げたホルダーについて、メカ犬と議論したところ、やはり先程の光が関係しているらしい。
「探す手間が省けたな」
其処に聞き覚えのある声が、公園内で木霊した。
「この声は……」
『こんな状況で出て来るのは奴らしかいないだろう』
俺とメカ犬は、声のした方角に視線を向ける。
視線の先には予想通り、灰色と藍色の身体を持つ二体の怪人の姿があった。
「やっぱりお前達か!?オーバーにメルト!!!」
『探す手間が省けたと言っていたが、一体何を知っている!?』
オーバーとメルトに、俺とメカ犬が質問の嵐をぶつけるが、その質問をぶつけられた当人達は、何処吹く風と言わんばかりに余裕の態度を示している。
「あはは!!!会った早々に、元気が良いね!そんなに僕達に会いたかったの?」
そして俺達の質問に対して藍色の怪人の方、オーバーが笑いながら答えた。
「敵に情報をただで提供する義理は私達には無いが……まあ良い。知らない仲では無いからな。少しだけ教えてやろう」
続いてもう一人の灰色の怪人、メルトが尊大な態度で言葉を紡ぐ。
突如として現れた二人の怪人の言動に怒りを覚えるが、現状は少しでも多くの情報が必要である。
頼まなくても、向こうから情報を提供してくれると言うのであればこの際、多少の事にも目を瞑るべきだろう。
俺とメカ犬は新たな情報を取得する為、無言を貫きオーバーとメルトの話に耳を傾ける。
「それは異世界の産物さ」
「遠い過去の時代の……別の世界で生み出されながら、忘れ去られたテクノロジー……先程ホルダーに新たな進化を促した光……あの光こそが、私達の求める力の一旦だ」
初めはオーバーの呟きに始まり、続いてメルトが、何処か抽象的な言葉を並べ立てていく……
「異世界の産物に……ホルダーの進化……一体何を言っているんだ!?」
何処か肝心な部分は濁されたままに説明された話を聞き終えた俺は、敵である二人へ更なる質問をぶつける。
「悪いけどサービスはここまでだよ!あんまり喋り過ぎて計画を邪魔されても困っちゃうからね」
「……そういう事だ。真実に辿り着きたいならば、精々足掻いて見せる事だな。まあ、其処に居る異世界から来た少女に聞けば、多少の情報は得られるかも知れないがな」
だが敵である二人が親切に教えてくれる筈も無く、止める間も無く俺達の前からその姿を消してしまう。
しかし最後にメルトは、気になる言葉を残していった……
「……何よ……何なのよさっきから!!!」
俺がメルトの残した言葉に意識を向けていたその時、その言葉の中心となっていた女の子が、怒声を上げたかと思うと、ホルダー目掛けて駆け出したのである。
『落ち着くんじゃミルファ!お主の攻撃は、あの怪物に通用しなかったのじゃぞ!?闇雲に先走ってどうすると言うのじゃ!?』
「プリズムは黙ってて!これは私の初めて任務なのよ!だから絶対に私の手で解決してみせる!……そうしないと皆……私を認めてくれないから!!!」
杖から発せられる老人の音声が制止するのも聞かず、女の子はホルダーに対して、杖の先端に光の刃と思われる物質を形成して、一気に斬りかかる。
だがその刃は振り切られる事は無く、ホルダーの屈強な肉体に阻まれてしまう。
「嘘でしょ!?魔力刃を受け止めるなんて……」
『先程の攻撃もそうじゃが……この怪物に用いられている技術は、魔力に対して強い耐性を持っておるのかもしれん』
攻撃を受け止められたその場で、女の子と謎の声が何か討論を始めた様だが、傍から見ていてそんな場合では無い事は、誰の目からでも明らかである。
『マスター!!!』
「分かってる!!!」
俺はメカ犬が合図を送るよりも早く、全力で駆け出していた。
ホルダーが拳を振り上げ、その狂拳が女の子を捉えようとする。
「うをおおおおおおおおおお!!!!」
それを見た俺は、更に速度を上げるが、このままでは間に合わないと悟り、その手に持っていたスピードロッド、槍投げの要領で投擲した。
投擲されたスピードロッドは、一直線にホルダーへと飛んで行き、女の子に拳が当たる前に見事に命中した。
気を逸らす程度のダメージしか負わせる事は出来なかったが、女の子への攻撃が途中で中断されて、ホルダーの意識が俺に向いただけで充分である。
俺はそのままホルダーに肉薄すると同時に、ベルトの右側をスライドさせて赤いボタンを押す。
『パワーフォルム』
押した直後ライトグリーンのボディーは、燃える様なクリムゾンレッドへと染め上がる。
スピードフォルムの特徴である俊敏性を犠牲にする代わりに得る事が出来る、攻撃力を自身の拳に乗せて、俺はホルダーの顔面に強烈な打撃を叩き込んだ。
「な、何で……君は一体何なの?どうして君は、そんな当たり前に戦えるの?」
ホルダーが吹き飛んでから暫くして、女の子が呟く様に問い掛ける。
その女の子の質問は、場の流れから俺に向けられたものだとは思うが、女の子の表情からは、俺を通して違う誰かに問い掛けている様にも感じられた。
「……当たり前じゃないよ。俺だって戦うのは怖いんだ」
それでも……
「確かに怖いけど……俺は戦うよ。この世界には、守りたい大切な人達が居るから。それに俺は……」
女の子が俺を通して、何を見ようとしたのかは分からない。
だから俺は、正直に自分自身の戦う理由を告げる。
「仮面ライダーだからね!」
「……仮面……ライダー?」
俺の言葉を、女の子が反芻する。
『マスター!パワーフォルムの力だけでは、まだ攻撃力が不足している様だ!』
ベルトから聞こえるメカ犬の言葉を聞き、吹き飛んだホルダーを見る。
メカ犬の言う通り、ホルダーは大したダメージも負っていない様で、既に立ち上がっており、吹き飛ばした張本人である俺に対して、反撃の狼煙を上げようとしていた。
俺は其処で女の子との会話を一旦終わらせてから、足を一歩前に踏み出す。
「一気に勝負を仕掛けるぞ!」
『うむ!』
俺はメカ犬に合図を送りながら、ベルトからタッチノートを引き抜き操作を開始する。
『ガイア・コール』
タッチノートから音声が響くと、少しの間を置いて雑木林の中から、の恐竜的なシルエットが飛び出して俺達の足元へと降り立つ。
『お待たせですマスター!』
そのシルエットの正体、先程タッチノートで呼び出したメタルレッドのボディーを持つメカ竜が、俺に元気良く挨拶の言葉を言う。
「来てもらって早々だけど、力を貸してくれメカ竜!!!」
『了解です!!!』
俺はメカ竜に協力を要請しながら、更にタッチノートを操作して、メカ竜をアタッチメントモードに変形させ、全ての役目を果たしたタッチノートをベルトに差し込み、すぐさまベルトの左側をスライドさせて、アタッチメントパーツとなったメカ竜を接続する。
『パワー・ガイア』
音声が流れると同時に、俺の周囲にメタルレッドの装甲が展開されて、次々と俺の全身に装着されていく。
『来るぞマスター!』
「分かってるさ!」
俺がガイアモードに変わったとほぼ同時に、走り込んできたホルダーの拳が俺の目前へと迫っていた。
メカ犬の注意を促す声に答えながら、俺はホルダーの放った拳の間に、自身の腕を割り込ませる事で軌道をずらして、ホルダーの放った一撃を無効化する。
「これでも喰らえ!」
俺はその隙に乗じて、強烈な蹴りをホルダーの腹部に当てて、強制的に後ろへ下がらせる。
更にアタッチメントパーツのレバー下にあるボタンと、ベルトの右側をスライドさせた際に現れる黄色いボタンを同時に押し込む。
『パワーブレード』
『ガイアブレイガン』
生成された二本の剣を其々片手に握り込み、俺は剣による連撃をホルダーに叩き込んでいく。
先程からタフネスと思われていたホルダーにも、流石にこの攻撃は通用した様で、最後に加えたパワーブレードとガイアブレイガンの突きにより、火花を散らしながら後方へと吹き飛ぶ。
『決めるなら今ですよマスター!!!』
「ああ!悪夢はここで終わらせる」
メカ竜の言葉に答えながら、俺は一旦パワーブレードを地面に突き立て、ガイアブレイガンの形状を変形させた後、再びパワーブレードを地面から引き抜いて溝部分に、ガイアブレイガンを差し込む。
『ジョイントアップ・ガイアブレード』
ガイアブレイガンを差し込んだ事により、メタルレッドのパーツがパワーブレードに追加されて、ここにガイアモード中最強の威力を誇る剣が生成される。
『マックスチャージ』
続けざまにアタッチメントパーツのレバーを引くと、音声が流れると同時に、ベルトから激しい光が発生し、その光は右腕のラインを通り、ガイアブレードの刃へと集約されていく。
「こいつで決めるぜ」
俺はエネルギーが集約されたガイアブレードを構えながら、静かに腰を落とす。
再び立ち上がったホルダーが、またしても俺に攻撃を仕掛けようと接近して来るが俺は構う事無く、ただ純然たる力を込めて、ガイアブレードを全力で振り切る。
「ガイアブレイカー」
この一撃により、大きな衝撃のエネルギーが発生し、ホルダーはその濁流に飲み込まれると大きな爆発を引き起こした。
大きく息を吐き出してから爆発の地点を見ると、粉々に崩れていく暴走プログラム三十代半ば頃と思われるスーツ姿の男性が気絶していた。
恐らく気絶している男性が、ホルダーの素体となった人と見て間違い無いだろう。
其処まではホルダーと戦った後に良く見られる光景だったのだが、俺の目にはそれ以外の物も目に映っていた……
ホルダーの姿を急激に変化させた原因と思われる光が、先程と全く同じ状態で宙に浮いていたのである。
「これは一体……」
俺がその謎の光を見ながら、恐る恐る触れてみようとしたその時だ。
「それに触れちゃ駄目よ!!!」
女の子の静止の声が響いたかと思うと、既に女の子は俺と謎の光の間に割り込み、先程ホルダーに攻撃した時と同様に、謎の光に対してその手に持っていた杖の先に光る刃を生み出し、一刀の元に斬り伏せた。
斬り伏せられた光は、その形を保てなくなったのか、細かい粒子となり、無に帰ってしまった……
一体何が起こって居るのか、状況を理解出来ない俺は、この場でその理由の何割かは知っていると思われる女の子に話し掛けようと試みるが、それよりも先に謎の光が完全に消えるのを確認した女の子が俺の方向へと振り返る。
「……君。確か仮面ライダーって言ったよね?少しだけ話したい事があるんだ」
桜の花びらが舞う春風で、後ろ髪を靡かせながら発っせられた女の子の言葉に、俺は縦に首を動かして肯定の意思を示した。
俺はこの日、一つの事件を追っている最中に、不思議な女の子との出会いを果たした。
そしてこの出会いが、とある大きな事件の序章すぎなかったという事実に、時俺はまだ気付きもしていなかったのである。
ただ一つだけ言える事は、今日の海鳴は春の風と共に新たな始まりを運んできたという事だけだ……