魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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第30話 すれちがう思いと重なる決意【前編】

「折角あの光を見つけたのに手放して良かったの?」

 

桜の舞い散る春の海鳴市。

 

誰もが新たな季節に、胸を高鳴らせる。

 

そんな季節ではあるが、どんな場合にでも例外は存在するものだ。

 

日中だというのに太陽の光すら届かない街の暗い……そんな場所で藍色の怪人オーバーが、隣に居る灰色の怪人メルトに対して疑問を口にした。

 

「……別に構わん。あれは所詮は本体から切り離された分身の様なものだ。本体を手に入れない限り、どれだけ分身体を得たところで意味は無い」

 

オーバーの質問に対して、メルトは平坦な抑揚の無い声で答える。

 

「ふ~ん……それなら良いけどさ。これからどうするの?結局は僕達もあれの本体を逃がしちゃったし、探すにしても何の手掛かりも無いよ」

 

「確かに現状私達に、あれの正確な位置を知る術は無いが焦る事は無い」

 

「随分と余裕があるみたいだけど、メルトには何か考えでもあるのかな?」

 

「……オーバー。あれの分身体がホルダーと融合した際に、仮面ライダーの近くに居た少女を覚えて居るか?」

 

尚も質問を重ねるオーバーにメルトは新たな質問を、逆に質問をしている側である筈のオーバーに対して投げ掛ける。

 

「……ああ。確かに何か、その場に合わないドレスみたいなのを着た女の子なら居たけど、今の話にその女の子が関係あるの?」

 

「あの少女もまた、私達と同じ様にこの世界とは別の世界から来た存在だ」

 

「……なるほど。そういう事か」

 

メルトの言葉に、オーバーは納得の声を上げた。

 

「メルトの言いたい事は分かったけど、そう上手く事が進むかな?あの女の子、確実に仮面ライダーと接触した筈だし……そう簡単にはいかないと思うよ」

 

「そんな事は分かっている」

 

「何か考えがあるって口振りだね?」

 

「……いずれ分かる日が来る。それよりもオーバー。お前にはやってもらいたい事がある」

 

続けて発したオーバーの質問に対して、何も問題は無いと言い切ったメルトは、その話はここまでとばかりに話題を変える。

 

「僕にやってもらいたい事?」

 

「この人物に直接会って、幾つかの暴走プログラムを渡せ」

 

オーバーの問い掛けに答える様に、メルトは一枚の写真をオーバーに手渡す。

 

「……別に良いけど、こんな奴にプログラムをあげちゃって良いの?」

 

「構わん。私達の計画を実行するには、現状では丁度良い駒になる筈だ」

 

「ふ~ん。それもその内分かるって言う訳だ……良いよ。そのお使いはちゃんとやっておく。どっちに転んでも面白くなりそうだしね」

 

受け取った写真を眺めながらメルトの頼みを承諾したオーバーは、ゆっくりとその場から立ち去って行く。

 

「……この計画が成就すれば、計画は次の段階に移る……そうすればあの方の夢はまた一歩現実に近くなる筈だ」

 

立ち去るオーバーの背中を見詰めながら、メルトは静かに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、あの光の正体は、ホルダーとは無関係だったって事かしら?」

 

翠屋のカウンター席の奥の方で、俺の簡潔に纏められた話を聞いた恵理さんが、俺に質問を投げ掛ける。

 

昨日の戦いから一日が経った夕刻。

 

俺はバイト中に再び現れた、今回の事件の情報提供者である恵理さんに、事の顛末を簡単に説明していた。

 

先程の質問も、俺が恵理さんに光の正体はホルダーとは違っていたと話した為である。

 

「さっきも言った通り、直接的には関係無いと思います。ただ……」

 

「ただ?」

 

途中で言葉を濁した俺を、恵理さんが先に進める様に促す。

 

「直接的に関係してはいなかったんですけど、オーバーとメルトがあの光を追っていた事は事実です。もしかしなくても、奴らはあの光を利用して何かをしようとしているのは間違い無い筈だと俺は思います」

 

恵理さんに促されながら、俺は自身の考えを述べる。

 

昨日の戦いでも、あの光がホルダーの体内に入った瞬間に、劇的な変化をもたらした。

 

更にメルトの言っていた事が真実ならば、俺が見た光は本体では無いらしい。

 

つまりここから遠くない何処かに、それ以上に強力な力を秘めた光の本体が存在しているという事なのだ。

 

「ところで純君。その時に公園に居たって言う女の子はもうすぐ来るのかしら?」

 

俺が謎の光について考え込んでいるところに、恵理さんが新たな質問を投げ掛ける。

 

昨日の戦いの場に居た女の子。

 

本人はミルファと呼べと言っていたので、取り敢えず俺はミルファさんと呼んでおく事にしよう。

 

ホルダーとの決着が着いた後、彼女は俺に話があると言って来た。

 

しかし昨日の戦いが終わった時点で、既に太陽は沈み月が顔を出す時間帯となってしまった事と、誰かが通報したのか、聞き慣れた警察のサイレン音が既に近くに迫っていた為に、話し合いは後日という事になった。

 

場所を移して話すという手段もあったが、俺もミルファさんも中身は兎も角として、確実に夜に出歩いていれば補導されるであろう外見である。

 

こんな時間では子供だけで何処かのお店に入る事もままならない上に、公園の付近もこれから警察の手によって調査が行われる事を考えると、長い時間を話すには向かないだろう。

 

なので俺はミルファさんに、翠屋の場所を教えて夕方頃に来るよう話して、その場は解散となったのである。

 

「はい。そろそろ来る頃だと思いますよ」

 

俺は恵理さんの質問に、翠屋の壁に立て掛けられた時計の針を見ながら答えた。

 

時刻は丁度、午後四時を過ぎたところである。

 

ミルファさんが約束通りに来るとすれば、既に何時来てもおかしくは無い時間帯だ。

 

「それじゃあ私は、このまま別の取材に言ってくるわね」

 

俺の答えを聞いた恵理さんはそう言うと、手荷物を纏めてからカウンター席から腰を上げる。

 

「あれ……恵理さんの事だから、このまま残って話に参加すると思ってたんですけど?」

 

恵理さんにしては予想外とも言える対応に、俺は素直な感想を述べた。

 

「あはは、純君の言う通り。そのミルファちゃんって女の子の話に興味があるのは確かだけど、話を聞くと何か事情が有りそうだし、場合によっては記事に出来無さそうだしね。それにその例の光の目撃証言……まだあれから一日しか経ってないのに、この海鳴市内の至る場所で確認されてるらしいのよ」

 

「それって!?」

 

俺は恵理さんの発言に対して、驚愕の声を上げる。

 

「だから私はそっちの件をもう少し詳しく調べてみるわね。だから純君も何か分かったら私に教えて」

 

そう言うと恵理さんは、お会計の料金となるコーヒー代を俺に渡すと足早に翠屋を後にした。

 

……それから数分後。

 

「いらっしゃいませ」

 

翠屋の扉が開かれるのと同時に、俺は店員としての挨拶をしてから、視線を来店したお客様に向ける。

 

「約束通り来てあげたわよ」

 

来店したお客様は、少し釣り目勝ちな、小学三年生程に見える見た目で、腰まで届きそうな髪を、後ろに纏めている、所謂ポニーテールにしていた女の子だった。

 

その姿は間違い無く、昨日の戦いの場に居た不思議な力を持った女の子……ミルファさんで間違い無い。

 

「それでは此方の席にお座りください」

 

俺はミルファさんを翠屋の一番奥の席に案内してから、調理場から顔を出した士郎さんに視線で合図を送る。

 

士郎さんには事前に今日の夕方頃、俺の知り合いが来ると話してあったのだ。

 

その際に知り合いと少し込み入った話をするから、話し合いの席と、俺がバイトから抜ける事も事前に了承済みである。

 

「確か君……あの変な機械仕掛けの犬にマスターって呼ばれてたけど、まさかこの喫茶店ってあんたの店なの?」

 

「まさか。俺は何処からどう見てもただの小学生だよ。ここは知り合いのお店だから、偶にお手伝いをしているだけさ」

 

ミルファさんの口振りからして、本気で言った訳では無いだろう。

 

それが分かっているからこそ、俺も軽く返答を返す。

 

軽い冗談を言い合いながら、互いに対面する形で席に着いた俺とミルファさんだったが、その表面上は和やかな態度とは裏腹に、俺はどう探りを入れるべきか思案する。

 

その考えはミルファさんも同じ様で、席に座った後も俺に対して明らかに不審を持った視線をぶつけ続けていたのだが、暫くするとミルファさんは、その吊り目がちな瞳を閉じて大きく息を吐き出した。

 

「……何時までもこうして詮索しあっていても、埒が明かないわ」

 

再びその瞳を開けたミルファさんは、まっすぐな眼で俺を見据えながら言い放った。

 

「単刀直入に聞くわ。君は何者なの?この世界の技術水準から見て、あんな事は普通の子供が出来る事じゃ無いわよね。それに君が戦ったあの怪物は何なの?」

 

「教えても構わないですけど……条件があります」

 

早口で質問を捲くし立てるミルファさんに、俺は静かに言葉を紡ぐ。

 

「条件?」

 

「今回の件に関しては、俺も正直に言って、分からない事だらけなんです。だから俺も出来るだけの情報が欲しい。まずはミルファさんが何者なのか。そして例の光について何を知っているのか……最低限でもこれだけは交換条件として提示させてもらいますよ」

 

ミルファさんに対して俺やホルダーの事を話すのは、既に変身する際の場面を目撃されているということもあり、話すこと自体はやぶさかでは無いのだが、そうしてしまうとミルファさんから必要な情報を聞く事が出来なくなる可能性も出て来る。

 

だからこそ俺はただで話すのでは無く、交換条件という手段を用いたのだ。

 

「……私から君に話す事は何も無いわ」

 

数瞬の間を置いてミルファさんから返ってきた答えは、俺の提示した交換条件には応じないという返答だった。

 

その答えは予想外……という程でもない。

 

そしてただ一つ先程のミルファさんの答えによって俺が気付いたのは、ミルファさんが今回の件に関して、個人で動いている可能性は低いという事だ。

 

現状ミルファさんにとって、完全とは言わずとも部外者である俺に話せない理由。

 

今も推測の域を出ないが、誰かから事前に口止めされていると考えるのが、最も納得出来る理由だと思われる。

 

そもそもそうでなければ、曲がりなりにも昨日の事で僅かばかりとは言え関わりを持ってしまった俺に、最低限の理由すら説明しようとしないのは変だ。

 

「話せない事情があるんですか?」

 

「さっきも言ったわよね?私から君に話す事は何も無いって……納得したなら早く君の知っている事を話しなさい」

 

もう一度俺は質問を投げ掛けてみるが、ミルファさんの答えは変わらない。

 

このままでは何時までも話は平行線を辿るばかりであると確信した俺は、溜息を一つ吐き出した後、話の切り口を変えてみる事にした。

 

「ミルファさん・・・・・・で良いですよね。答えたくないのであれば、答えなくても良いんでこれだけは聞いてください」

 

「……」

 

俺の言葉に対して、ミルファさんが無言で頷いたのを肯定の意味と受け取り、俺は話を続ける。

 

「昨日の怪物はホルダーと呼ばれているこの世界とは別の世界から来た技術を用いる事で、この世界の人間が変貌した存在です……」

 

その後も黙って此方を見続けるミルファさんに、俺はメカ犬と出会ってから今日までの話を、なるべく簡潔に説明した。

 

「……それじゃあ君は、今までそのホルダーと戦い続けて来た訳ね?」

 

俺の話最後まで聞いた後、今まで無言でいたミルファさんが口を開く。

 

「はい。さっきも話した通り、ホルダーは危険な存在です。そして今もそのホルダーを操っている上の存在の狙いが分からない以上、野放しには出来ません」

 

「言いたい事は分かったは……」

 

「それじゃあ!」

 

「……君の言い分は分かったけど、やっぱり話す事は出来ないわ。この件は誰の力も借りずに私が解決しなくちゃいけないの」

 

全ての話を聞き終えて尚、ミルファさんの意見は変わらず、強い意志を宿した視線を俺に向けながら言い放つ。

 

「……そうですか」

 

その強い意志を、これ以上話し合ったところで変える事は出来ないと悟り、諦めの言葉を口にする。

 

「話はこれで終わりね?」

 

俺の言葉を合図に、ミルファさんはそう言って席を立ち背を向けると、俺に一瞥もくれぬまま翠屋を後にした。

 

『これで良かったのかマスター?』

 

ミルファさんが店をでてからすぐに、話し合いをしていたテーブルの下から、メカ犬が這い出てきて、俺に質問を投げ掛ける。

 

「良いも何も・・・・・・本人があんなに頑なじゃ、ここでどれだけ時間を掛けて会話をしても事情を話してくないだろ」

 

『確かにそうだが……』

 

出来ればミルファさんが事情を話してくれれば一番良かったのだが、当の本人が話したくないと言っている以上、無理に聞き出すわけにもいかない。

 

少なくてもホルダーについては話しておいたので、昨日の様な無茶はしないだろうと思いたいが、どうもミルファさんは第一印象から直情的になり易そうな節が感じられるので心配はあるが……

 

「でもそれ以上に心配なのは、ミルファさんのあの言葉なんだよな」

 

俺は先程のミルファさんとの会話を思い出しながら呟く。

 

最後に言っていた【誰の力も借りずに】という言葉を言い放った時の表情。

 

俺には強い意志を宿した瞳のその裏に、何処か焦りの様なものが見えた様な気がしてならなかった。

 

「へえ~さっきのお姉さんのお名前……ミルファさんっていうんだ?」

 

深い思考の海に沈んでいた俺の背後から、突如としてメカ犬とは別の声が掛かる。

 

物凄く聞き覚えのある声から、誰なのかは明白であるが、確認の意味を込めて俺は振り返る事で、先程の声の主を確認する事にした。

 

その声の主は予想通り、赤ん坊の頃から慣れ親しんだお隣に住む幼馴染の女の子、なのはちゃんである。

 

見慣れた学校の制服を着たなのはちゃんなのだが……何故だろう?

 

笑顔を俺に向けているなのはちゃんから、俺に対して凄まじいまでの怒りの波動を感じる。

 

「ど、どうしてなのはちゃんがここに?」

 

俺は謎の怒りの波動を放ち続けるなのはちゃんに、どもりながらも問い掛ける。

 

それと言うのも、この翠屋自体がなのはちゃんの両親が経営しているお店なので、その娘であるなのはちゃんがお店に来たとしても何ら不思議は無いのだが、学校が終わった後に今日は確か習い事があると言って途中で別れたので、今も習い事の時間である筈の、なのはちゃんがこの場に居る事がとても不思議に思えたのだ。

 

「今日は先生が急用でお休みになったから来んだよ」

 

俺の問い掛けに、笑顔を貼り付けながら答えるなのはちゃんだが、その瞳は一切笑っていない。

 

「そ、そうなんだ」

 

「ところで純君……さっきの女の子、ミルファさんだったけ?アルバイトしてた筈の純君がどうして女の子とお席でお喋りなんてしてたのかな?」

 

寒気すら感じるプレッシャーを放ちながら、今度はなのはちゃんが俺に対して質問を投げ掛ける。

 

『頑張れマスター』

 

メカ犬からの謎の声援を受けながら、なのはちゃんが納得する答えを出すまでに、俺はそれから三十分程のの時間を費やす事となった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あれで良かったのかミルファ……ワシとしては、あの少年の話を聞く限り最低限此方の話をしても問題は無いと思うのじゃがの?』

 

空が夕焼けで赤く染まる頃。

 

公園のベンチに座る一人の少女ミルファから、その容姿とはそぐわない老人の声が聞こえて来る。

 

その声の発生源は当然ながら、ミルファの発した言葉ではなく、音源はミルファが身に付けている金色の腕輪から生じていた。

 

腕輪の中央に嵌め込まれた青い宝石が、薄っすらと光を放ちながら点滅する度に老人の声が、ミルファの耳に届く。

 

「何を言ってるのよプリズム。どんな特殊な事情があったとしても、あの男の子は一般人に変わり無いわ。無用な混乱を避ける為にも、管理外世界の一般人に私達の情報を話す訳にはいかないじゃない」

 

プリズムの問いにミルファは静かに返答を返す。

 

傍から見れば、ミルファ一人が二種類の声を使い分けながら話しているという、奇妙な光景に思えるが、既に夕暮れ時である今の時間帯に、公園を利用する人間は少なく、ミルファとプリズムの会話を聞き取れる距離には、ミルファ以外に誰も居ない。

 

『そうだとしてものう・・・・・・既に少年の前で一度は力を使ってしまった手前、今更な気がするのじゃがな?』

 

「う、うるさいわね!あの時は緊急事態だったし、小さい男の子だったから別に見られても後で誤魔化せると思ったのよ!!!」

 

『じゃがあの少年はミルファよりも年下の様じゃが、しっかりしていたと思うがのう?』

 

「そんなの関係無いでしょ!?」

 

プリズムの言葉に狼狽しながら、早口で答えたミルファは一拍の間を置いて小さな声で呟く。

 

「それに……この任務は私が一人で達成させなくちゃ意味が無いのよ。そうしなくちゃ誰も私を認めてはくれないから……」

 

『じゃからあの少年の力は借りないと?』

 

ミルファの呟いた言葉に対して、プリズムが再度として質問を投げ掛ける。

 

「ええ、それに私の任務はあの男の子が言っていたホルダーっていう怪物と戦う事じゃないわ。あれの本体を一刻も早く見つけて回収するのが最優先よ。だからプリズムも早くあれの本体の現在地を割り出しなさい」

 

その問いに頷く事で答えを返したミルファは、この話は其処までとばかりに、話題を本来自分達がこの地にやって来た理由にシフトさせてしまう。

 

『……ずっと探してはおるんじゃが、どうにもセンサーが上手く働かんのじゃよ』

 

プリズムはミルファの心情を悟ってなのか、会話の切り替えに応じて現状を簡潔に伝える。

 

「こっちに来てからそればっかリだけど、本当に故障したんじゃないでしょうね?」

 

『いや……故障では無いじゃろ。現に他の機能に支障は見られんからのう』

 

「プリズムの故障じゃないとしたら、外部からの要因でセンサーが使えなくなってるってこと?」

 

『その通りじゃ。何故かこの街全体から微弱な反応が常に感じられておる。これでは正確な位置が特定出来んぞい』

 

解析の結果を聞いたミルファは少しの間、眉間に人差し指を当てながら考えた後、何かを思い付いたか一つの提案を口にする。

 

「この街全体から微弱な反応を感じられるって言ってたけど、それって何処に居ても一定の力を感じるって事なの?」

 

『いや、確かに反応は街全体から感じられるが、反応にはムラがあるぞい』

 

「なら弱い反応は取り敢えず無視して、この近くで一番大きく反応している位置を特定して頂戴。本体なら一番強い反応を出してる可能性が高い筈だから、虱潰しに探していけば何時か見つかるかも知れないでしょ」

 

『了解じゃ!今すぐ解析してみるぞい』

 

ミルファの提案を快く聞き入れたプリズムは、早速とばかりに解析を開始する。

 

『解析完了じゃ!場所が特定出来たぞい』

 

暫くの時間を置いた後、夕焼けに染まる公園の中でプリズムの声が響き渡る。

 

「でかしたわプリズム!それで場所は何処なの!?」

 

『ふむ。ここから南西に3kmの地点。どうやら大きな建物の中から反応が出ているようじゃぞ』

 

「大きな建物ね……確か住宅街の近くだった筈だから、何かの施設かしら?」

 

『まずは行動あるのみじゃ。兎に角行って確かめるのが言いじゃろ』

 

「そうね、まずは反応のあった場所に行って、何か手掛かりが無いか探してみましょう!」

 

プリズムの言葉に頷きながらミルファは座っていたベンチから立ち上がり、一度大きく伸びをしてから行動を開始した。

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