魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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第32話 交わされる拳【後編】

海鳴市の街並みを一望出来る高さを誇るビルの屋上に一人の人影。

 

そしてその手にはビー玉程度の大きさと見た目の朱色の玉が三つ程握られていた。

 

ビルの屋上から街並みを見下ろしながら、その人物は躊躇う事無く三つの玉を屋上から下へと放り投げる。

 

多くの人が行き交うその場所に解き放たれた三つの玉は、其々に狙い澄ましたかの様に通行人の頭上へ落ちると、まるで吸い込まれる様にその人達の身体の中へと吸い込まれていく。

 

その直後、朱色の玉に不運にも見初められた三人は、まるで発作を起こした様に倒れこむと、その光景を見て心配する他の通行人達が近づいていくが、その人達の目の前で三人は人の姿を捨てて異形の姿……ホルダーへと変貌を遂げる。

 

突如として現れた三体のホルダーを眼にしてパニックを起こす市民達をビルの「上から見下ろしながら、その原因を作った人物は薄っすらと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『遅いぞマスター!』

 

「悪いなメカ犬!」

 

メカ犬に合流した俺は、遅れた事に対して謝罪の言葉を口にした。

 

翠屋にヤスの先輩だという鳥羽さんが来店してから暫くして、タッチノートからホルダー反応を知らせる警報が発せられた事により、俺はヤスとエミリーちゃんの協力の下、何とか無事に店内から抜け出して、メカ犬と合流を果たしたのである。

 

『それより今回は市街にホルダーが三体同時に出現したのだ。急ぐぞマスター!』

 

「ああ!」

 

俺はメカ犬の言葉に応じるとタッチノートを開き、ボタンを押した。

 

『バックルモード』

 

タッチノートから響く音声と共にメカ犬がベルトに変形して、俺の腹部へと巻きつく。

 

「変身」

 

音声キーワードを口にした俺はそのままタッチノートをベルト中央の窪みへと差し込む。

 

『アップロード』

 

ベルトにタッチノートを差し込んだ瞬間、俺の全身が光に包まれ一人の戦士へとその姿を変える。

 

最早おなじみとなっているメタルブラックのボディーを持つシードに変身を遂げた俺は、もう一度タッチノートを引き抜きボタンを押して、チェイサーさんを呼び出す。

 

そしてチェイサーさんに跨り、市街地に向かおうとしたその時、後ろから声が掛かる。

 

「ちょっと待ちなさいよ!!!」

 

俺がその声に反応して後ろを振り返ると、チャイナ服の様な衣装に身を包んだ少女がいた。

 

つい先日の自ら招いた発言によって、海鳴市全土に魔法少女として認定されつつあるミルファその人が俺達を呼び止めたのである。

 

「ミルファ!?」

 

「純が変身してるって事はホルダーが出たのね!?」

 

「ここにミルファが来たって事はもしかして……」

 

俺の考えを肯定するかの如くミルファが頷いて見せる。

 

「プリズムが試練の光の反応が大きくなっている場所を特定したの。ホルダーが出たって言うなら、またホルダーに憑く可能性が高い筈だから私も一緒に行くわ」

 

『それなら一緒に運んであげるから、マスターの後ろに乗りなさい』

 

ミルファの説明を聞いたチェイサーさんがそう言うと、返事も返さずミルファが俺の後ろに飛び乗った。

 

『それじゃあ行くわよ!!!』

 

俺の後ろにミルファが飛び乗ったのを確認すると、チェイサーさんはエンジンの爆音を響かせながら猛スピードで走り出す。

 

走り出してから程無くしてホルダー反応のあった市街地に辿り着くと、既に激しい戦闘か開始されていた。

 

先に到着していたのであろうE2が三体のホルダーを相手に距離を取りつつ専用武器のESM01で銃撃戦を展開している。

 

そしてE2の相手をしている三体のホルダーなのだが、其々に異なる姿をしていた。

 

順に説明するとすれば、空に緑を基調とした翼を羽ばたかせながら滑空するキジに良く似たホルダーと、E2の射撃によって接近を拒まれている白い毛に覆われた犬型のホルダー。

 

そして最後に犬型のホルダーと同じ様に接近出来ずに居るが、軽い身のこなしで銃弾の嵐を避け続ける猿を連想させる茶色く短い体毛を持つホルダー……ただの偶然なのだろうが、このラインナップは日本で有名過ぎる昔話を連想させるのは俺だけでは無い筈だ。

 

『……どうやらまだ試練の光が憑いたホルダーは居ない様じゃな……』

 

俺がそんなどうでも良い事に意識を回していると、ミルファの持っている杖からミルファのデバイスであるプリズムの声が聞こえる。

 

「厄介な事になる前に仕掛けた方が良さそうだな……ミルファ!」

 

「ええ。私はこの近くに反応元になった試練の光を探してみるから、ホルダーの方は任せるわよ!」

 

俺が言おうとした内容を汲み取ったミルファはそう告げて、チェイサーさんから飛び降りると、そのまま別の地点に捜索へ向かう。

 

『此方も行くぞマスター!』

 

ミルファを見送った直後に発したメカ犬の言葉に頷いた俺は、チェイサーさんに乗った状態でE2と戦っているホルダーの内の一体に突撃する。

 

「ぐぎゃ!?」

 

チェイサーさんのバイクタックルが、見事に不意を突く形で決まり、猿型のホルダーが断末魔の様な叫びを上げながら吹き飛ぶ。

 

「シードさん!」

 

俺がチェイサーさんから降りるとE2が残り二体のホルダーに威嚇射撃を行いながら、此方へと近づいてくる。

 

だが俺とE2が合流した直後、威嚇射撃を受けていた二体の内の片割れ、キジ型のホルダーが上空からバレーボール程の大きさを持つ炎の玉を口から発射してきたのだ。

 

その炎弾は当然の様に俺とE2に向かって降り注ぐ。

 

距離が離れていたという事が幸いして、何とか直撃を受けずに俺達はその攻撃を回避する事に成功するが、炎弾の着弾地点である焦げた地面を見て、背筋に寒気が走る。

 

「あのホルダー……あんな攻撃も出来るのか!?」

 

今までの戦いからも、飛行能力を持ったホルダーには遠距離攻撃を持った者が多かったが、今回もその類に漏れる事は無いらしい。

 

更に追い討ちを掛ける様に先程の空からの攻撃によって止まってしまったE2の威嚇射撃の隙を突き、他のホルダー二体が其々俺とE2に駆け込んでくる姿が視界に映った。

 

『来るぞマスター!』

 

メカ犬の言葉に返事を返す暇も今の俺には無い。

 

俊敏な動きで目前と迫った猿型のホルダーが繰り出す拳を、何とか受け止める。

 

その少し離れた位置ではE2が犬型のホルダーと一戦を交えていた。

 

「今度はこっちの番だ!」

 

隙を突いた強襲を何とか捌く事に成功した俺達が反撃を開始しようとしたその時、俺とE2に対して接近戦を挑んできた二体のホルダーが、急に後ろへと飛び退く。

 

『マスター上だ!!!』

 

突然の意外なホルダーの行動に驚く暇も無く、ベルトから聞こえるメカ犬の声に従い上空を見ると、キジ型のホルダーが先程と同じ攻撃を繰り出す光景が、俺の視界へと飛び込んで来る。

 

「ぐっ!?」

 

ホルダーが炎弾を放つとほぼ同時に俺とE2は回避行動に移るが、地面に着弾した爆風によって着地に失敗して、背中を強打してしまう。

 

「このホルダー達……連携して戦ってる?」

 

ホルダー達からは理性が残っているとは感じられなかったが、E2が言う通り異様なまでに連携がとれている。

 

「これは厄介だな……」

 

俺は誰に言う訳でも無く呟きE2と共に迫り来るホルダー達に身構えたその時、再び人を超えた速さで襲い掛かろうと迫っていたホルダー達の足が止まった。

 

その理由を俺は直ぐに理解する。

 

ホルダー達が足を止めた理由。

 

それは突如として彼らに向けられた鋭い針の先端の様に、研ぎ澄まされた殺気に当てられた為だ。

 

俺は足を止めたホルダー達から、この現象を引き起こした原因となる方向に向かって視線を移す。

 

其処に居たのは……見覚えのある人物だった。

 

「いや~何だか盛り上がってるみたいだな」

 

ほんの数刻前に翠屋で知り合った、ヤスの先輩……鳥羽さんがアタッシュケースを片手に、俺達を心底嬉しそうな笑顔を浮かべながら見つめていたのだ。

 

鳥羽さんはあまりにも場違いな台詞を口にすると、おもむろに手にしていたアタッシュケースを開けて、中から何かを取り出した。

 

それは黒地に緑色をあしらった金属製のベルトで、中央には横から何かを差し込める窪みが有り両脇には細いスリッドが設けられている

 

鳥羽さんがそのベルトを自身の腹部へ巻き付けた瞬間、俺の脳裏にまさかという思いが生まれた。

 

そんな俺の心情も知らず、鳥羽さんはベルトに続き、更にもう一つアタッシュケースの中から何かを取り出す。

 

取り出した物は、ベルトと同じ緑色をした長方形の物体で、俺が見る限りカードケースの様にも見える。

 

「行くぜ……変身!」

 

鳥羽さんは唖然とする俺達を他所に言葉を紡ぐと、取り出した緑のケースをベルト中央の窪みへと差し込んだ。

 

『アクセス・リンク』

 

すると機械的な音声がベルトから響き、鳥羽さんの身体の前方に、光が様々な数式が羅列された様な状態で浮かび上がる。

 

その光は、瞬時に人の形へと編みあがり、鳥羽さんの身体と重なり合う。

 

光と鳥羽さんが一つに重なったその時、俺達の目前に居たのは、今まで俺が見た事も無い一人の戦士の姿だった。

 

全体的に白を基調としたフォルムに、所々緑の装飾があしらわれたデザインで、一番近い表現をするのならば、歴史の教科書に載っている西洋鎧を洗練したとでも例えるべきだろうか。

 

そして何よりも俺が気になるのは、その頭部で大きな存在感を放つ、二つの大きな緑の複眼。

 

この姿と、先程の鳥羽さんが発した掛け声……これはまるで……

 

「あ、貴方は一体……」

 

想定外な突然の出来事に固まる俺達の中で、辛うじてE2が言葉を発した。

 

その言葉に対して、鳥羽さん?が嬉しそうな笑い声を上げる。

 

「ははは!良いねえ!その反応!」

 

暫くの間笑い続けた後、その笑いも一段落着いたのか、両手を広げながらオーバーなリアクションをした鳥羽さん?が宣言する。

 

「あんた等が、この街で噂の仮面ライダーって奴なんだろ?これを作った奴は、あんた等の戦闘データも基にしたらしいから、俺も同類かもな。だから……」

 

其処で少しだけ溜めを作り、再び力強く宣言する。

 

「俺は仮面ライダー!仮面ライダーアクセスだ!!!」

 

その宣言で俺の脳裏を過ぎった考えが現実のものだったという事を改めて実感した。

 

彼もまた俺やE2と同様に、仮面ライダーなのだという事を……

 

「さあ!楽しいショーの続きといこうぜ?」

 

自らの名乗りを終えたアクセスは、お喋りはここまでと言うかの様に、三体居るホルダーの内の一体に狙いを定めて駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[「……仮面ライダーアクセス。まさかリンクシステムが完成していたっていうの?」]

 

E2に搭載されたカメラを通して、一連の状況を見ていた恵美が通信機越しに呟いた。

 

「恵美さん?もしかしてあのアクセスって人に、心当たりがあるんですか?」

 

その呟きを聞いたE2が、恵美に対して質問を投げ掛ける。

 

[「……ええ。知ってるわ。あのシステムを作った人も……でもあれは……いいえ、考えるのは後よ。長谷川君!今は目の前の戦いに集中して!!!」]

 

しかし恵美はその質問に対して言葉を濁してしまう。

 

だがそれは答え辛いからというだけでは無く、恵美の宣言通り、犬型のホルダーがE2目掛けて向かって来たからである。

 

「……はい!」

 

E2は恵美の態度に疑問を覚えながらも、ホルダーの攻撃に対して身構える。

 

ホルダーを十分に引き付けてからESM01の引き金を引く事で、銃口から銀の光を纏った弾丸が撃ち出されて、ホルダーの胸部に命中して、その勢いを相殺すると、E2は距離を詰めてホルダーを蹴り飛ばす。

 

先程のアクセスの乱入によって、偶然ながらも三対三で戦う構図となり、ホルダー達の連携が崩れた為に、戦い易くなったのだ。

 

E2が戦いを有利に進める中で、もう一つの戦いが展開されていた。

 

先程自らを仮面ライダーと名乗り、戦いに参戦したアクセスが猿型のホルダーと格闘戦を繰り広げる。

 

ホルダーがその素早い動きで、連続攻撃を仕掛けていく一方で、アクセスはその攻撃を一切避ける事無く、己の腕だけで全ての攻撃を受け切ってしまう。

 

「はは!どうしたどうした!?そんな生温い攻撃じゃちっとも楽しめ無いぜ?」

 

余裕を見せながらホルダーが繰り出す攻撃を受け切ったアクセスは、ついには人知を超えた速度で繰り出される拳を直接手で掴み取ってしまう。

 

「今度はこっちの番だ。精々楽しませてくれよ?」

 

アクセスは掴んだホルダーの腕を掴みながら言い放つと、その腕を一旦放してからホルダーが体勢を整えるのを待ってから、地面を蹴って初めて自ら攻撃を仕掛ける。

 

その攻撃に対処するべく、身構えるホルダーだったが、アクセスの繰り出す拳速の速さがそれを上回り、痛烈な一撃がホルダーの顔面を捉えた。

 

アクセスの攻撃は寧ろ其処からが始まりであり、先程以上の速度を持った拳と蹴りが執拗にホルダーの全身へと降り注ぐ。

 

その連続攻撃によって半ば宙に浮いた状態を維持し続けるホルダーに対して、アクセスは一歩距離を置いてから、渾身の力を込めた右拳による突きで、ホルダーを吹き飛ばす。

 

「少し物足りないが……まあ、初陣はこんなもんかな?」

 

首を捻りながら不満げに呟いたアクセスは、自身のベルトに手を這わせると、先程変身する際に差し込んだ緑のケースの先端から、一枚のカードを抜き出した。

 

そのカードには、アクセスの足部分のイラストが描かれている。

 

「そんな訳で、そろそろ終わりにさせてもらうぜ!」

 

未だ先程の攻撃で、碌に身動きすら出来ないホルダーに対してアクセスは最後通告とも呼べる言葉を発して、抜き出したカードを、ベルトの右側のスリッドにカードをスライドさせた。

 

『リンクチャージ』

 

機械的な音声がアクセスのベルトから響き、スライドさせたカードが光へと四散して、緑色の光がアクセスの右足へと集約される。

 

「これでフィナーレだ!」

 

アクセスそう言い放つと、飛び上がり光が集約された右足を突き出す。

 

「ライダーキック!」

 

その言葉と同時に繰り出された必殺の一撃が、ホルダーを捉えて大きな爆発を引き起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メカ犬。あれってやっぱり……」

 

『うむ。あの一撃は確かに以前に恵美嬢に渡したワクチンデータのサンプルだが……しかし何故あの者が?』

 

アクセスが放った一撃によって、大きな爆発を引き起こしたホルダーがその素体となったであろう私服の青年と、壊れた暴走プログラムに分離した様子を見て呟いた俺に、メカ犬が予想通りの発言を口にする。

 

メカ犬の言い方で更なる確信を得たのだが、先程のアクセスが放った一撃は、以前に俺達が恵美さんに頼まれて譲渡した暴走プログラムを分離させるプログラムを含んだ一撃だった。

 

何故ヤスの先輩である鳥羽さんが、あの様な物を持っているのか謎のままだが、現状としてそれが事実なのだから、この現実を受け入れなければならない。

 

「あっちも気になるけど今は……」

 

『うむ!確かに今は……』

 

俺とメカ犬は、突如として現れたアクセスから視界を逸らして上空を見上げる。

 

「『今はあのホルダーを止める!』」

 

同時に放った言葉を開戦の合図とするかの様に、上空を飛ぶキジ型のホルダーが再び炎弾を生成して眼下に居る俺目掛けて撃ち出した。

 

『マスター!』

 

「ああ!相手が飛んでるなら、同じ土俵の上に引っ張り込む!」

 

俺は上空から降り注ぐホルダーの攻撃を回避しながら、メカ犬の声に答えてベルトからタッチノートを引き抜き、ボタンを押す。

 

『ダイバー・コール』

 

タッチノートから音声が響くと、少しの間を置いて空の彼方からメタルブルーのボディーを持った手乗りサイズなイルカが飛来する。

 

『マスター呼んだんだわさ~?』

 

相変わらず力の抜ける口調で喋るメカ海が、俺の手の上に着地した。

 

「あの空のホルダーを落としたいんだ!頼むよウミちゃん!」

 

『お任せなんだわさ~』

 

俺の頼みを緩い口調で快く承諾したメカ海を一旦手放して、俺は再びタッチノートを操作する。

 

『スタンディングモード』

 

空中でアタッチメントパーツへと変形したメカ海が再び俺の手へと納まった。

 

俺はタッチノートをベルトに差し込み直してから、ベルトの左側をスライドさせて変形したメカ海を差し込んだ。

 

『ベーシック・ダイバー』

 

俺の周囲に展開されたメタルブルーの分厚い追加装甲が、次々に装着されていく。

 

分厚い装甲を盾に、ホルダーの炎弾をその身に受けながら、重い身体を引き摺って俺はホルダーへと接近を試みる。

 

『落とすぞマスター!』

 

「分かった!」

 

メカ犬の言葉に頷きながら、俺はベルトの右側をスライドさせて、緑のボタンを押す。

 

『スピード・ダイバー』

 

メタルブラックのボディーが鮮やかなライトグリーンへと染め上がると同時に、先程以上の重量感がこの身を襲う。

 

この状態は陸上では重くて碌に身動き出来ないが、今はこの状態でのみ使える能力が、どうしても必要なのだ。

 

俺は重い腕を動かして、アタッチメントパーツ下に設けられたボタンを押す。

 

『スピードアンカー』

 

光の粒子が一つの形となり、俺の両腕の甲に先端がフックとなったチェーンが生成される。

 

俺は生成したスピードアンカーをその場で振り回して勢いを付けて、上空のホルダーに向けて投げつける。

 

ホルダーもそれをただ黙って見ている訳は無く、連続でスピードアンカーに炎弾をぶつけるが、スピードアンカーの勢いは止まらず、最後は見事その鎖でホルダーの身体に巻きつき、自由を奪い去った。

 

『今だわさ~』

 

気の抜けるメカ海の合図を受けて、俺は力一杯スピードアンカーを引っ張り、手の届かない上空からホルダーを地面に叩き落す事に成功する。

 

「サンキューウミちゃん!」

 

『いえいえ何だわさ~』

 

俺はメカ海に感謝の言葉を送りつつ、ベルトの左側に装着されていたアタッチメントパーツを取り除いて、通常のスピードフォルムになって、身動き出来ない程の重量感から開放されると同時に、今度は右側をスライドさせて黄色いボタンを押した。

 

『スピードロッド』

 

光が集まり生成されたスピードロッドを片手に、俺はホルダーが体勢を立て直す前に突撃して連続攻撃を仕掛ける。

 

飛び上がろうとするホルダーに対して、スピードロッドによる打撃がその行動を阻害して確実にダメージを与えていく。

 

『マスター!決めるなら今だ!』

 

「ああ!」

 

俺はメカ犬の声に応えてベルトからタッチノートを引き抜いて、スピードロッドへ溝部分にスライドさせる。

 

『ロード』

 

音声が流れた事を確認した俺は、再びタッチノートをベルトへと差し込む。

 

『アタックチャージ』

 

ベルトから発生した光が、ラインを通りスピードロッドの先端へと集約されていく。

 

「こいつで決めるぜ」

 

俺は先端に光を収束させたスピードロッドをホルダーに向けて突き出した。

 

「ダッシュ・エア・プッシュ」

 

高速で繰り出された光を纏ったスピードロッドの突きが、ホルダーに突き刺さり大きな爆発を引き起こした。

 

爆発跡地にはホルダーの素体となっていたであろう気絶したOL姿の女性の姿と、暴走プログラムの残骸が地面に転がっている。

 

俺がその様子を見て、決着がついた事を確信して一息吐くとほぼ同時に、後ろから拍手の音が聞こえてきた。

 

その音に反応して俺が後ろを振り向くと、少し前にホルダーとの戦いを終えていたアクセスが俺に対して拍手を送っていたのである。

 

「いや~お手並み拝見させてもらったぜ。流石は噂に聞く仮面ライダーさんだ!」

 

嬉しそうな笑い声を上げながら、アクセスが先程の戦いに対して賞賛の声を浴びせ掛けつつ近寄って来る。

 

その態度にどんな意図があるのかは分からないが、俺としても聞きたい事があった。

 

「貴方は……」

 

俺は其処まで言ったところで言葉を中断して、咄嗟の行動を試みる。

 

感じたのは、今日で三度目となる鋭いまでの殺気。

 

その殺気と共に繰り出されたアクセスの拳を、俺は偶然にも翠屋での出会い頭に放たれた一撃と同じ構図で受け流した。

 

「……へえ。俺の最初の一撃をアッサリと受け流したのは、今日で二人目だぜ?」

 

「何のつもりだ?」

 

嬉しそうに語り掛けるアクセスに対して、俺はその突き出された拳を受けた状態のまま質問を投げ掛ける。

 

「悪いけどさ。あんたと戦うのも俺の仕事な訳さ」

 

そう言いながら右足を軸にして反対側の足を横から鞭の様に捻らせて一撃を繰り出すアクセスに、俺は手にしていたスピードロッドを地面に突き刺して、蹴りの進行を阻害しその隙に後ろに飛び退いて距離を取った。

 

「仕事だと?」

 

「まあ、仕事を抜きにしても、こんな強い奴と戦えるなら俺は大歓迎だけどな!」

 

だがその距離も一瞬の間でしかなく、アクセスは再び俺との距離を詰める為に駆け出すが、再び俺達の拳が交わる前に、俺とアクセスを眩い光が包む。

 

光の先に居たのは、E2が相手をしていたこの場に居たホルダーの最後の一体。

 

そのホルダーの全身から放たれた光は試練の光だった……

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