魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダー電王&仮面ライダーシード+爆竜戦隊アバレンジャー ~明日への誓い~【第十一章】

「それでこっちは解決したみたいだけど、あっちの方も早くどうにかしなくちゃいけないんじゃないかな?」

 

電王の肩が上下を繰り返し、ウラさんが俺達に台座の上の空間の裂け目をどうにかしなくてはならないと促す。

 

「確かにそうですね……」

 

俺もその意見には同意なのだが、こんな規格外の代物をどうすれば良いのかなんて、見当も付かない。

 

「メア。聞きたい事があるんだ」

 

アリシアちゃんとの和解を果たしたメアに、俺は話し掛ける。

 

取り敢えず今の現状において俺達に出来る事は、この裂け目を作った張本人に話を聞いて、打開策を考える他無いだろう。

 

「あの裂け目を作ったのが君なら、あれの消し方も分かるんじゃないかな?」

 

俺がメアに問い掛けようとした質問を電王が良太郎君の声で続ける。

 

「……元々この裂け目は僕の本来行使出来る能力を超えているからね。申し訳無いけど僕個人の力ではもうどうにも出来そうに無いんだ……」

 

『確かにあの裂け目からは尋常では無い力を感じる。メアの言う通り、作った張本人であるメア自身にも最早止める事は出来ないだろう』

 

メアの言葉をメカ犬が補足する。

 

だがそれはこの裂け目を止める術を、作った張本人であるメア自身にも不可能だという事実を確認出来ただけだった。

 

「……でも一つだけあの裂け目を止められるかも知れません。ですがその方法は……」

 

しかしメアは先程自身では止められないと言った直後に真逆の言葉を零す。

 

「何か方法があるなら教えてメア」

 

途中まで口にしてもなお言い淀むメアを、アリシアちゃんが促した。

 

恐らくその方法は、現実的なものではないか、大きなリスクを孕んでいるのだろう。

 

「俺からも頼む。もう時間が無いんだ。今はどんなに小さな事でも良いから情報が欲しい!」

 

それでも俺達は止まる訳には行かない。

 

電王とアバレマックスも、同じ意見だとばかりに俺の言葉に頷いた。

 

「……分かりました」

 

そんな俺達の様子を見て、再びメアが口を開く。

 

『それで、あの裂け目を閉じる方法とはどんなものなのだ?』

 

この場に居る全員が疑問に思っている質問をメカ犬がぶつける。

 

「はい……その方法そのものはあまり難しい事では無いんです。あの裂け目は僕の持っている能力に、銀杏電池から取り込んだエネルギーと、この塔から発生している力を連結して増大させた事で保っているんです」

 

「つまりどういう事だって言うんだよ!?」

 

メアの説明の途中で、電王からモモさんの声が発せられる。

 

どうやらメアの説明を面倒に感じて、早く方法を話せとお冠の様だ。

 

確かにモモさんでは無いが、どんな方法なのか早く知りたいのは俺も同じである。

 

「……つまりですね。あの裂け目は大きなエネルギーの連結によって形成されているのです。ですからその裂け目を壊すにはその連結部分に対して何らかの大きな衝撃を加えれば、その形状を維持出来ずに消滅するでしょう」

 

「要するにデカイのを一発叩き込めば良いって訳やな!」

 

「それってつまり、何時も通りの力技って事だよね?」

 

メアの説明を聞き終えて、電王の両肩が其々上下に動いて憑依しているキンさんとウラさんが感想を口にする。

 

キンさんの解釈は強引で、俺もウラさんと同様力押しな方法だとは思うが、言っている事は正しいと思う。

 

つまりはあの裂け目を形成しているエネルギーの供給をストップさせれば良いという事だ。

 

既にメアがあの裂け目の制御を手放していると本人が戦う前に言っていたので、恐らく現状の裂け目を形成しているエネルギー源はこの塔に違いない。

 

ならばこの塔から発生する力の源を壊せば、この裂け目も消える筈だ。

 

「それで僕達は何処を攻撃すれば良いの?」

 

続いて電王が胸部を弾ませるとリュウ君の声。

 

改めて見ると、イマジンの同時憑依は本当に大変そうだと実感出来る。

 

「ええ。この塔の力の発生源はこの部屋の天井に収められている宝玉です。その宝玉を壊せばこの塔は力を失うでしょう」

 

俺の良太郎君に対しての心配をよそに、メアはリュウ君の質問に対して上を指し示す。

 

「それじゃあ急がないと……」

 

『ちょっと待ってください!』

 

これからの行動指針が決定したと思ったその時である。

 

早速行動に移そうとした俺達に待ったの声を掛ける存在があった。

 

その声を発したのは他の誰でもない。

 

現在はアタッチメントパーツとして、俺のベルトの横に接続されているメカ竜だった。

 

「どうしたんだメカ竜?」

 

先導しようとした良太郎君の声を遮ったメカ竜の声には、かなりの覇気が篭っており俺は思わずその場で用件を聞く。

 

『先程のお話を聞いて、ボクが個人的にシュミレーションをしてみたんですが、その方法で止める事ははっきり言ってお勧め出来ません』

 

「……詳しく聞かせて欲しい」

 

メカ竜の荒げる口調と否定の言葉を聞き、俺達が驚く中、アバレマックスが一人冷静に続きを話す様に促す。

 

俺達もそれに習い、メカ竜の言葉に耳を傾ける。

 

『先程言った方法で宝玉を破壊する事自体は恐らく可能でしょう。マスターを含めたこの場に居る三人の攻撃で十分な威力が望めるでしょう……ですがその後が問題なんです』

 

「やはり……そういう事ですか」

 

メカ竜の言葉の意味をこの時点で理解したのか、メアが一人呟く。

 

『エネルギーの供給を受け付けられなくなった裂け目はその形状が維持出来ずに自我崩壊を起こすでしょう。ですがその際に今まで供給されたエネルギーまでも、制御出来なくなってしまうんです』

 

「そうすると何が起こるっていうんだ?」

 

『制御出来なくなったエネルギーが暴走して大きな爆発を引き起こします。少なくてもこの塔周辺の都市は火の海になるでしょう……』

 

俺達全員がメカ竜の言葉を聞き黙り込む。

 

デズモゾーリャの復活は何としてでも食い止めなければ行けないが、その結果として支払われる代償があまりにも大き過ぎた。

 

それならばデズモゾーリャを復活させた後に、全員で倒しに掛かった方がまだ被害が少なくなるのではないかという考えが脳裏を過ぎるが、その方法が決して良い手段だとは思えない。

 

この件にはオーバーとメルトも絡んでいるという時点で、何か別の企みがあるかも知れないのだ。

 

あまり考えたくは無いが、デズモゾーリャが復活した時点で俺達が抵抗する事すら困難になってしまうかも知れないという最悪の事態すら容易く想像出来てしまう。

 

そんな不確定な要素に頼る事になるのならば、やはり俺達の手で宝玉を破壊するべきだ。

 

問題はその際に引き起こされるであろう爆発だ……

 

その一点さえ解消出来れば、今すぐにでも実行出来るが、そんな方法を今すぐこの場で思いつけと言うのも無理な話である。

 

『この裂け目が本当にあの世と繋がっているのであれば、その爆発も全て向こう側に持って良ければ良いのだがな……』

 

悩む俺の耳に、メカ犬の皮肉めいた呟きが届く。

 

確かにそれならばこっちの被害は全く無くて済むが、そんな虫の良い話が……ん?

 

俺の頭の中でその瞬間、パズルのピースがはめ込まれる様な擬音が響き、ある一つの可能性に行き着いた。

 

俺は視線を上げて、この場に居るある人物へと向ける。

 

この世界を救ったスーパー戦隊の一つ、アバレンジャーの一人、アバレマックス……

 

彼が持つ能力の一つは確か……

 

「あの!」

 

俺は声を大にして皆に呼び掛ける。

 

「俺に一つ考えがあるんですが聞いてくれますか?」

 

出来るかどうかは分からない。

 

単なる思い付きではあったが、俺はこのまま何もしないよりはずっと良いと考えて、その方法を伝える事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳なんですが……どうでしょうか?」

 

全ての説明を終えた俺は、目線をアバレマックスへと向ける。

 

俺が考え付いた作戦が可能かどうかは、全てアバレマックスの能力に依存しているので、彼が出来ないと判断すればその時点でこの案は没となるだろう。

 

「……可能だ」

 

だがそんな俺の心配は杞憂だと言わんばかりに、アバレマックスが一言だけ返事を返す。

 

それはこの作戦が実行可能だという事を表していた。

 

「へっ!どうせ他に手が無いなら、俺はその方法で構わないぜ!」

 

電王もモモさんを筆頭に賛同してくれる。

 

「……アスカさん」

 

作戦を実行する前に、アバレマックスがダイノブレスを通して、アバレブラックへと呼び掛ける。

 

「話は分かりました。この場は私に任せて下さい!」

 

簡潔な説明で納得したアバレブラックは、そう豪語すると、一旦オーバーとメルトから距離を取り、それに呼応する様に、アバレブルーとアバレイエローの両名が雄叫びを上げながら、アバレモードとなって突っ込んでいく。

 

「うをおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

「たああああああああああああああああああ!!!」

 

獣の様な咆哮と怒涛の攻めでアバレブルーとアバレイエローが、オーバーとメルトを壁際へと追い込む中、その少し後方で、アバレブラックが専用のサーベルタイプの武器であるダイノスラスターの柄の部分のダイヤルを回して塔の床へと突き立てる。

 

「スプラッシュインフェルノ!」

 

アバレブラックが叫んだ瞬間、ここが塔の内部だというのにも関わらず大量の水が床の亀裂から湧き出て大きな津波となって、壁際に居たオーバー達へと降り注ぐ。

 

それを事前に知っていたのか、アバレブルーは飛び上がるアバレイエローの足に掴まり、津波に飲まれる事を回避した。

 

無残にも津波に飲み込まれたオーバーとメルトは、津波の衝撃で砕けた壁と共に塔の外へと吐き出されていく。

 

「それでは皆さん!後はお願い致します!!!」

 

流れる様な連携を見せた後、アバレブラックは先に外に流されたオーバーとメルトを追って行ったアバレブルーとアバレイエローに続き、俺達に声援を送ると、先程自身の技で開けた穴から外へと飛び出して行った。

 

「メア。アリシアちゃん達を頼むぞ」

 

俺は外へと飛び出していくアバレブラックを見送りながら、今度はメアへと言葉を投げ掛ける。

 

「……はい。二人は僕の命に賭けても、安全な場所まで避難させて見せます」

 

今は身体を動かす事すら厳しい筈なのにも関わらず、メアは力強く決意の言葉を口にする。

 

「頑張ってね……凌ちゃん」

 

心配そうに見上げる舞ちゃんの頭を、アバレマックスはその手で、優しく撫でてからメアへと引き渡す。

 

「……純お兄ちゃん」

 

「大丈夫。だからアリシアちゃんはメア達と安全な場所に避難してて」

 

俺はなるべくアリシアちゃんの心配を和らげようと、優しい口調で言った。

 

まだまだ解決しなくちゃいけない事があるけれど、今はこの瞬間に全力を出さなければいけない。

 

メアが二人を連れて塔から出て行くのを確認した後、この場に残った俺と電王、そしてアバレマックスが裂け目とその上に存在する宝玉に視線を向ける。

 

まず最初に行動を起こしたのはアバレマックスだった。

 

その手に持ったスティライザーを構えて集中し始めると、俺達の視界が歪み、この塔全域がこの世とは思えない空間へと引きずりこまれて行く。

 

これこそがアバレマックスが持つ、特殊能力マックスフィールドである。

 

この空間はアバレマックスのダイノガッツと、空気中のイオンが結び付き、アバレマックスの力を最大限に引き出す事が出来る、本来ならば強敵と戦う際に使用する技なのだが、今回はそれを別の用途で行う事にしたのである。

 

アバレンジャーの劇中でも見られた現象なのだが、この空間は俺達が先程まで居た空間とは全く別の次元に存在する。

 

つまり現在は俺達とこの塔だけが先程まで居た世界と完全に切り離された状態にある訳だ。

 

正直に言って、こんな事が出来るかどうかは一つの賭けだった。

 

何せ本編では敵とアバレマックス自身がこの空間に転移される事しか無かったので、この様な大きな建造物をマックスフィールドに引き込めるかどうかは本人に直接確かめるまで分からなかったのだから……

 

『マスター。もうあまり時間が無いぞ』

 

急かすメカ犬の言葉に頷きながら、俺は他の二人へと視線を向ける。

 

「……準備は出来ている」

 

「早く終わらせて皆の所へ戻ろう」

 

どうやら二人の準備は何時でも良い様だ。

 

……だから!

 

「こんな悪夢はここで終わらせる!!!」

 

俺は自身の決意を言葉にして、アタッチメントパーツのレバーを引く。

 

『マックスチャージ』

 

響く音声と共に、ベルトから発生した光が右腕のラインを伝い、ガイアロッドの両端へと集約される。

 

「こいつで決めるぜ」

 

「俺達の必殺技!」

 

駆け出す俺と同時に、電王も俺の横をデンガッシャーの刃先を輝かせながら並行して駆け抜けて、その少し後方からはアバレマックスがスティライザーを手にやはり俺達と同様に走る。

 

塔の最上階の中央に鎮座する台座を足場に俺達は飛び上がり裂け目を越えて更にその上に存在する宝玉へと必殺の一撃を叩き込む。

 

「「「トリプルマックスラッシュ!!!」」」

 

俺達三人の叫びと共に繰り出されたその一撃が宝玉を叩き壊した直後、その下に存在していた裂け目がその輪郭を失い、大きな爆発を引き起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……マスター!起きるんだマスター!!!』

 

朦朧とした意識の中、聞き慣れた声を耳に俺の意識がはっきりとする。

 

目を開ければ、目の前にはこれまた見慣れたフルメタルボディーの犬が一匹、俺の視界へと飛び込んで来た。

 

「……ああ。今起きる……」

 

俺はメカ犬にそう言うと、ゆっくりと身体を起こして辺りを見渡していく。

 

ここは恐らく塔が立っていた場所なのだろう。

 

都心の中だというのにも関わらず、不自然に広い空間が開き、その空間内には塔の残骸だと思われる破片が辺り一面に散らばっている。

 

『どうやらマスターの作戦は成功した様だな』

 

「……そうみたいだな」

 

俺は周囲を見渡しながら、メカ犬の言葉に返事を返す。

 

マックスフィールド内部で起きた爆発の衝撃は、上手く内部に押し込む事に成功したのだろう。

 

そうでなければ、この街の被害がこの程度で済む筈が無い。

 

まあ、その爆発の衝撃によって、強制的に変身は解かれてしまった上に、ここまでの連戦でかなり疲れてはいるが、デスモゾーリャの復活を阻止出来たのだから、十分な成果と言えるだろう。

 

「そう言えば良太郎君達は?」

 

周囲の状況を確認した後、俺は先程まで一緒にマックスフィールドに居た彼等の所在をメカ犬に聞いた。

 

だがメカ犬が俺の質問に答えるよりも早く、瓦礫の影から幾つもの人影が俺の視界へと飛び込んで来る。

 

「僕達なら大丈夫だよ」

 

最初に俺の言葉に返答を返したのは、凌駕さんに肩を貸して貰いながら、此方へと歩いて来る良太郎君だった。

 

その後ろからは、モモさん達四人のイマジン達も一緒に着いて来る姿が見える。

 

どうやら全員無事だった様で、俺の肩から力が抜けていく。

 

「純お兄ちゃあああああああん!!!」

 

良太郎君達が現れた方角の逆方向から、俺を呼ぶ声が聞えたので振り返ってみると、アリシアちゃんが手を振りながら走ってくる姿が見えた。

 

「おわっ!?」

 

そしてそのまま俺の胸へと飛び込んできたアリシアちゃんを支え切れず、俺はアリシアちゃんに押し倒される形で、再び地面に背中を付ける。

 

「本当に……本当に心配したんだからね……」

 

いきなり飛び込んできたアリシアちゃんに注意をしようと思ったが、涙ぐむアリシアちゃんを目の前に、俺は笑顔を向けながら、優しくアリシアちゃんの頭へと手を乗せて一言だけ口にする。

 

「心配させてごめん……それと、ただいま」

 

まだまだ全てが解決したわけでは無いけれど、今は少しだけアリシアちゃんを落ち着かせてあげる時間が欲しいと思うのは、俺の我侭だろうか?

 

「……なるほど。アリシアが少しの間しか一緒に居なかった筈の君を、ここまで信頼する理由が僕にも少しだけ分かった気がしますよ」

 

暫く泣いているアリシアちゃんを俺が宥めていると、舞ちゃんを連れて来たメアが俺に言葉を投げ掛けてきた。

 

「メア……お前はこれからどうするんだ?」

 

「そうですね。こんな事を仕出かしてしまった僕が許されるとは思えませんが、もしも許していただけるのであれば、もう一度残された時間でアリシアを助ける方法を考えたいと思います……勿論こんな方法では無く、誰もが笑顔になれる方法でという条件で」

 

メアの言葉には、何処か憑き物の落ちた様な、清々しさが感じられた。

 

果たしてどれだけの時間がメアとアリシアちゃんに残されているのかは分からない。

 

……でも俺はそれを全力で応援するし、出来る限りの協力を惜しまないつもりだ。

 

「世の中はそんな都合良く出来てなんか居ないよ?」

 

だがその次の瞬間、この暖かな空気を切り裂く残酷かつ無邪気な声が周囲に轟いた。

 

その直後三つの影が俺達の眼前へと吹き飛ばされて来る。

 

「三条さん!らんるさんにアスカさんも!?」

 

その三人はオーバーとメルトを追って塔の外へと出て行った凌駕さんを除く、アバレンジャーの三人だった。

 

凌駕さんは先程の吹き飛ばされてしまった衝撃によって変身の解けた三人の元へと駆け寄っていく。

 

俺も立ち上がり、アリシアちゃんを背中に庇う形で、辺りを警戒する。

 

すると三条さん達が吹き飛ばされて来た方向から、二つの異形の影を俺の視界が捉えた。

 

「オーバー!」

 

『やはりメルトも一緒か!』

 

俺とメカ犬が叫んだ通り、その異形の姿をした怪人達が、俺達の目の前に現れた。

 

「どうやらデズモゾーリャの復活は阻止されてしまった様だな……」

 

「全くもう……ライダーって言うのは、まあ今回は違うのも混ざってるけど僕達の邪魔をするのが本当に好きだよね?」

 

メルトは淡々と現状を理解して呟きつつ、オーバーは俺達に対して不当な言い掛かりをつけてくる。

 

まるで子供が悪戯を邪魔された時の様な言い草ではあるが、やっている事はそんな可愛いレベルでは無い。

 

その恐ろしい計画を知った以上は、止めようとするのが当然だろう。

 

「悪いけど俺は、これまでも……そしてこれから先も、何度だってお前達の邪魔をするぞ!」

 

今回に限った事ではなく、多くの人達が不幸になる様な事を企む度に、俺は何度だって戦う。

 

その決意を、俺はオーバー達に対してぶつけた。

 

「ふふ……何か勘違いしてるんじゃないかな?」

 

だが俺の決意の言葉を、オーバーが嘲笑う。

 

「お前達はこれでデズモゾーリャの復活を阻止出来たと考えている様だが、まだ何も終わってなどいない……」

 

俺がオーバーの言葉の真意を確かめようとするよりも早く、メルトが淡々と言い放ちながら、上空へと何かを放り投げた。

 

その物体は俺がもう何度も目にした事のある、小さな銀色の球形の物体である。

 

『あれは暴走プログラム!?』

 

俺の傍らに来ていたメカ犬がその球形の物体の名称を叫ぶ。

 

「これは!?」

 

逸早く新たな異変に気付き、誰よりも早く驚きの声を上げたのはメアだった。

 

その直後、空中に放り投げられた暴走プログラムの周囲の空間が歪み、俺達があれだけ苦労して閉じた筈の裂け目が不安定な形ではあるが再び目の前に現れたのだ。

 

そしてその裂け目からは、この世のものとは思えない程の、まるで地獄の底から響いて来る様な呻き声と共に、黒い霧状の何かが噴出して、その大量の黒い霧は暴走プログラムの中へと吸い込まれていく。

 

「……あれは……まさか!?」

 

裂け目から噴出する黒い霧を目の当りにして、特別な何かを感じたのか、倒れていたアスカさんが凌駕さんに支えられながらも立ち上がり、驚愕の声を上げる。

 

この場に居る俺達が困惑している間にも、暴走プログラムは裂け目から湧き出す黒い霧を吸い込み続け、やがて一つの形を作り上げていく。

 

そのシルエットは人間に酷似してはいるが、明らかに人ではない異形の姿だった。

 

全身が銀色の皮膜に覆われた強靭な肉体と、まるで悪鬼の様なその顔と、離れた位置からでも分かる程の禍々しい威圧感が、奴が危険な存在だという事を否応無しに教えてくれる。

 

「まさか……デズモゾーリャなのか!?」

 

突如として現れた異形を前に、凌駕さんが声を荒げるが、その言葉に対してメルトが静かに首を横に振った。

 

「間違ってはいないが正解でも無いな。これはあの裂け目の中からでも抑え切れずに此方の世界へと噴出したデズモゾーリャの思念を暴走プログラムが吸収した……デズモホルダーとでも言ったところか」

 

「……デズモゾーリャの思念から生まれたホルダーって事か……」

 

俺はメルトの解説に対して小さく呟きを零す。

 

恐らく本物のデズモゾーリャ程の強さは無いと思うが、それでも強敵な事には変わり無い。

 

こんな事を考えるべきでは無いが、今の疲弊しきっている俺達で倒す事が出来るのだろうか?

 

「まだまだオマケも付けてあげるよ!」

 

だが俺のそんな不安を無視するかの様に、オーバーが幾つもの藍色の球体を地面へと投げ放つ。

 

その球体はみるみるうちに異形の姿を形成して、大量のホルダーモドキが生まれる。

 

ただでさえ今の俺達であのデズモゾーリャとまともに戦えるのか分からないというのに、この物量差は勘弁してもらいたいところだが、奴等が俺達の言い分を聞いてくれる訳が無い。

 

何時奴等が襲って来てもおかしくないこの状況で、皆が身構える中……

 

「……僕に罪滅ぼしをさせてはいただけませんか?」

 

この臨戦態勢の最中、メアが静かに動いた。

 

それは俺達に対して問い掛けるというよりも、己の決意を示す様に……

 

そして現に、メアは俺達の答えも待たずに、ある人物の前へと歩み寄っていった。

 

その先に居たのは一人の少女、舞ちゃんである。

 

「確か舞と言ったお名前でしたね。こんな危険な事に巻き込んでしまった僕が本来言える事では無いですが、それを承知でお願いします。どうか僕に舞の力を貸してくれませんか?」

 

腰を落として、舞ちゃんと同じ目線に立ったメアが、優しげに話し掛ける。

 

「うん!良いよ!」

 

舞ちゃんの答えは、二つ返事でOKだった。

 

その笑顔からは一点の曇りも感じられない。

 

「……本当に宜しいのですか?僕がこう言うのもなんですが、僕は舞をこんな危険に巻き込んだ張本人なんですよ?」

 

あまりの即答振りに対して、逆にメアの方が狼狽した様子を見せて再度、舞ちゃんに質問を投げ掛ける。

 

「だってメア君はアリシアちゃんのお友達なんでしょ。だったら大丈夫だよ!」

 

その質問に対しても舞ちゃんは真っ直ぐな瞳で言い切ってみせる。

 

その迷いの無い態度と言葉からは、人が本来持つ本当の意味での強さというものを俺は感じた。

 

「……ありがとう」

 

メアはそれ以上何も質問をする事無く、一言だけ感謝の言葉を述べて、舞ちゃんの頭にそっと手を添える。

 

「先程力を貸して欲しいと言いましたが、舞は特に何もしなくて大丈夫です。ただ……心の中でイメージしてください」

 

「イメージ?」

 

「はい。心の中でこの状況ならきっと駆けつけてくれる。心強い仲間の存在を、もう僕自身には悔しいですが戦う力が残っていないから……だからこそ、塔の中で舞の記憶の中にあった【彼】の力を借りたいのです」

 

メアの言葉に、舞ちゃんは瞳を閉じて何かを思い浮かべる。

 

確証は無いが、その【彼】とはきっと……

 

メアが舞ちゃんの頭の上に手を添えてから、さして時間が掛かる事も無く、メアの身体全体が淡い光に包まれて、その光の粒子が、黒い霧の発生した裂け目の中へと吸い込まれていく。

 

「くっ!?」

 

その直後、メアは苦悶の声と共に、倒れてしまい地面には大量の砂が撒き散らされる。

 

「メア!?」

 

その様子を見ていたアリシアちゃんが、一目散にメアの傍へと駆け寄り、舞ちゃんと一緒に何度も呼び掛ける。

 

「……後は……頼みましたよ……」

 

アリシアちゃん達が呼び掛ける最中、メアが小さく呟いた言葉は、はっきりと俺の耳にも届いた。

 

「何をしようとしてるのか分からないけど、そろそろ良いよね?」

 

メアが何かをしている様子を興味深そうに観察していたオーバー達だったが、その対象が倒れた事で興味を失ったのか、オーバーからホルダーモドキ達へと号令が下る。

 

号令の下に、一斉に駆け出すホルダーモドキ達だったが、次の瞬間大きな動物と思われる鳴き声が周囲に木霊した。

 

恐らくはその声の主であろう巨大な何かが、俺達に襲いかかろうとしていたホルダーモドキ達を吹き飛ばして、白い翼を羽ばたかせながら、大空へと舞い上がる。

 

大空には神々しいまでの巨大な白い翼竜の姿があった。

 

そして俺とアバレンジャーはその巨大な翼竜……爆竜の名前を知っている。

 

「あれって、トップゲイラー!?」

 

逸早くその名を声にしたのはらんるさんだった。

 

「トップゲイラーがここに居るという事は……」

 

それに続き三条さんが何かに思案を巡らせていると、裂け目の中に吸い込まれていった光の粒子が再び裂け目の中から噴出して、俺達の背後に集まり、一人の人間の姿へとその形を変えていく。

 

やがて光が弾け、その中から白いコートを着た一人の青年が姿を現す。

 

「仲代先生!」

 

凌駕さんが本来ならば再び会う事は出来ない筈だった青年の名を呼ぶ。

 

それというのも、彼は既に亡くなっている筈の人物なのだから……

 

この青年の名は仲代壬琴《なかだいみこと》。

 

劇中では最終回を前にして、その命を失った五人目のアバレンジャーである。

 

生まれた時からデズモゾーリャの邪命因子をその身に宿し、登場の最初から終盤に掛けてまで、殆どを敵として戦ってきた間柄だったが、最後には自らと凌駕さん達のダイノガッツによって、邪命因子に打ち勝ち、共に戦う事を選んだのだ。

 

「よう、久し振りだな」

 

壬琴さんは、薄く微笑みを称えながら、何でもない様に片手を上げて挨拶を交わす。

 

「誰だ?あのすかした感じの野郎は!?」

 

明らかに性格的に相性が悪そうなモモさんが、一番近くに居たアスカさんに問い掛ける。

 

「私達の頼もしい味方です!」

 

モモさんの質問に、アスカさんは嬉しそうに答えた。

 

「折角蘇ったんだ。久々にときめくとするか」

 

目の前に広がるホルダーモドキ達を前に、壬琴さんは余裕の笑みと共に、俺達の横へと並び立つ。

 

その間にも、トップゲイラーの奇襲から逃れた後続のホルダーモドキ達が、再び俺達に猛威を振るおうとするが、またしてもその攻撃が届く事は無かった。

 

横から幾重もの白い鳥の羽が、まるで吹雪の様にホルダーモドキ達を飲み込んだのである。

 

「この羽ってまさか!?」

 

その羽を拾いながら呟いたウラさんと共に、俺達が羽の流れ込んで来た方角に視線を向けると、その先には見慣れた一体の白いイマジンの姿。

 

「ジークやないか!?」

 

「わーい!鳥さんだあああ!」

 

そのイマジン、ジークさんの登場にキンさんが驚きの声を上げ、リュウ君が歓喜する。

 

「何で手羽先がここに居るんだ?」

 

「それは私が連れてきたからよ」

 

モモさんの疑問に答えたのは、ジークさんの少し後ろからやって来た一人の少女だった。

 

「ハナさん!」

 

良太郎君がコハナさんとの再会を喜ぶ。

 

「私はあまりこういった場は好きでは無いのだが、姫の頼みとあらば馳せ参じぬ訳にはいかないからな。家臣一同私の深き慈愛の精神を存分に敬うが良い!」

 

コハナさんと共に、此方へとやって来たジークさんが何か言っているが、デンライナーの面々は既に慣れている為か、全員が無視してコハナさんの下へと集合する。

 

「多分必要になると思って、恐竜やを出た後に、オーナーにこれを借りてきたの。ジークは偶々デンライナーに乗ってたから連れてきただけよ」

 

そう言うとコハナさんは、モモさん達にあるものを一つずつ投げ渡していく。

 

投げ渡されたあるものとは、良太郎君が持っているものと同じライダーパスだった。

 

「マスター。まだ戦えるか?」

 

モモさん達全員にライダーパスが行き渡った頃、メカ犬が俺に問いかけて来る。

 

その答えは、もう既に決まっていた。

 

「当然!俺達も行くぜ!!!」

 

俺はメカ犬の問いに即答して、タッチノートを開きボタンを押し、ベルトとなったメカ犬を腹部に巻きつける。

 

こんな熱い展開で、疲れたからという言い訳を理由に一人退場する訳が無い。

 

「俺達が力を合わせれば、絶対に勝てる!皆さん!!行きましょう!!!」

 

「「「「「「「「「「「応!!!」」」」」」」」」」」

 

俺の掛け声に応えて皆が一斉に返事を返す。

 

「「「「「「「変身!」」」」」」」

 

俺と良太郎君、そしてイマジンの皆が、其々に力強い掛け声と共に、戦士の姿へと変わる。

次に凌駕さん達五人が片腕を前に突き出してから、一気に引き戻す。

 

「「「「「爆竜チェンジ!」」」」」

 

そして俺達に負けない程の力強い叫びと共に、ダイノブレスとダイノコマンダーにダイノマインダーのスイッチを同時に押して、この世界を守り抜いた戦士達へとその姿を変えていく。

 

まずは最初に変身を完了させたのは、アバレンジャーの面々だった。

 

彼らは俺の目の前で、スーパー戦隊ならではの、あの伝統的なお決まりを開始する。

 

「元気莫大!アバレッド!」

 

「本気爆発!アバレブルー」

 

「勇気で驀進!アバレイエロー!」

 

「無敵の竜人魂!アバレブラック!」

 

「ときめきの白眉!アバレキラー!」

 

五人のアバレンジャーが其々にポーズを決めながら、高らかに名乗りを上げていく。

 

「荒ぶるダイノガッツ!」

 

更にアバレッドが叫びながら、両腕を円を描く様に、胸のエンブレムへと持っていき、順番にポーズを変えていく。

 

「「「「「爆竜戦隊!」」」」」

 

そのポーズ全員が叫ぶと同時に、今度は全員が同じタイミングで腕と足の位置を変えて方向転換させながら再び叫ぶ。

 

「「「「「アバレンジャー!!!」」」」」

 

名乗りを終えたアバレンジャーに続き、今度は本来ならば揃って並び立つ事が無い筈の電王達が続け様に名乗りを上げていく。

 

「俺、参上!」

 

「僕に釣られてみる?」

 

「俺の強さは泣けるで!」

 

「倒すけど良いよね?答えは聞いてない!」

 

「光臨、満を持して!」

 

最早その姿を見なくても、誰が何を言っているのか分かり易過ぎると思うのは俺だけだろうか?

 

「皆、準備は良いかな?」

 

他のフォームの電王が名乗りを終えたのを見計らい、電仮面ソードにパスをセットしてライナーフォームとなった良太郎君が皆に呼び掛ける。

 

俺はその言葉に頷きながら、一歩前へと踏み出して、高らかに言い放つ!

 

「……今、スーパー戦隊と仮面ライダーの枠を超えて、新たな力を紡ぎだす!!!」

 

俺の言葉を合図にして今度は全員が同時に一つの言葉を叫ぶ。

 

「「「「「「「「「「「「我等!スーパーヒーロー!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」

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