魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~ 作:G-3X
『ボ、ボクの身体はどうなってしまったのでしょうか!?』
スティライザーのダイノガッツを浴びた事によって巨大化してしまったメカ竜が、俺に説明を求めてくるが寧ろ俺がどういった原理でそうなったのか教えて欲しい。
『取り敢えずメカ竜が大きくなったのは好都合だ。このままワタシ達も参戦するぞマスター』
俺がメカ竜になんて声を掛けるべきか迷っていると、メカ犬がこれからの行動指針を即決した。
『先輩!?巨大化したのが自分じゃないからって、そんな殺生な事を言わないでくださいよ!?』
確かに好都合だの一言で済ませるには、事態が物理的にも大き過ぎる問題だが、実際問題としてここで悠長にこれからについて話し合っている時間も今の俺達には惜しい。
『……こうなったら、もうやけくそで行きます!マスターやっちゃって下さい!!!』
少しの間だけ悩む素振りを見せたメカ竜だったが、目の前で戦っている皆の姿に決心を固めたのか、俺に戦う意思を示した。
「分かった!」
俺にどれだけの事が出来るか分からないが、デズモホルダーを倒したら、取り敢えずダイノガッツに詳しいアバレンジャーの皆にメカ竜の事を相談しようと心に決めながら、俺は半ば投げやり気味に咆哮するメカ竜に応えて爆竜化したメカ竜の操作を開始する。
他の爆竜に混じって戦いに参戦するが、個々の攻撃ではやはり決定力不足なのか、高いダメージを与える事が出来ない。
「皆!久々にあれをやりましょう!」
激戦の最中にアバレッドの叫びが俺達全員に伝わる。
アバレンジャーの言うあれとは、この場では一つだけだろう。
『それじゃあ、其処の新顔君も一緒に行ってみるプラ』
『え!?新顔ってもしかしてボクの事ですか!?』
翼を広げて空を旋回する爆竜のプテラの言葉に驚愕するメカ竜。
もしかしなくても新顔というのは、メカ竜の事で間違い無いだろうと俺は思う。
そうでなくても場の流れとして、ここで俺達があれに参加しない訳には行かない。
だからこそ俺は、アバレンジャーの皆さんと声を揃えて、高らかに叫ぶ。
「「「「「「爆竜超越合体!」」」」」」
俺達6人の声に合わせてまずはティラノ、トリケラ、プテラがアバレンオーに合体して、更にその背中にトップゲイラーが重なる。
そして最後に爆竜化したメカ竜が、各種パーツへと分離して、シードがガイアモードとなる時と同様に、アバレンオーの全身へ各パーツが装着されていく。
そして今ここに、誰も見たことの無い、大いなる巨人が誕生する。
「「「「「「完成!ガイアキラーアバレンオー!」」」」」」
俺とアバレンジャーはその巨人の名を高らかに叫んだ。
『もう何でも有りだな……』
静かに呟くメカ犬の声が聞えた様な気もするが、この場のノリとしてそれは言わぬが華というものだろう。
メカ犬の呟きに心の中で静かに突っ込みを入れながら、俺はアバレンジャーの皆と共に、新たな巨人となったガイアキラーアバレンオーでデズモホルダーへ再び攻撃を開始する。
デンライナーの援護を受けながら、アバレンオーの時と同じ武器である左腕に装備されたティラノドリルで果敢に攻撃を仕掛けていく。
デズモホルダーはその攻撃を避けて、その隙を突いて横から反撃を仕掛けようとしてくるが、その攻撃はデンライナーが俺達の間を駆け抜ける事でタイミングが若干だがずらされて、その間に俺達はデズモホルダーの攻撃を回避する事に成功した。
更にそこからステップで踏み込み、デズモホルダーの腹に、容赦無く右拳のトリケラパンチを叩き込んで、後ろへ後退させる。
それはこの巨大戦の中で、デズモホルダーが初めて見せた大きな隙でもあった。
この戦いに終止符を打つのならば、今がチャンスの筈だ。
「お前ら!デンライナーの上に乗れ!!!」
「良し!」
それに気付いたのは他の皆も同じだったのだろう。
デンライナーから聞えたモモさんの声に、アバレッドが応えてガイアキラーアバレンオーが、デンライナーの上にサーフボードの要領で飛び乗った。
そして俺達はデンライナーの加速を得ながら、ドリルを高速回転させて、この戦いを終わらせる最大級の一撃を放つ。
「「「「「「「「「「「「ヒーロー超越!ライナーライド!!ドリルスピン!!!」」」」」」」」」」」」
全員の叫びと共に、デンライナーの上から繰り出したガイアキラーアバレンオーの一撃が、デズモホルダーを貫き、大きな爆発を引き起こす。
「「「「「「ときめくぜ!」」」」」」
デズモホルダーの爆発に伴い、アバレキラーが動いた瞬間、俺と他のアバレンジャーも声を揃えてキザなポーズを決めながら、お決まりの台詞で最後を締め括る。
兎にも角にもこうして、俺達の大きな戦いは一つの終わりを告げた。
まず最初に結果だけは言っておこうと思う。
あの戦いが終わり、合体を解除した直後に、メカ竜は元のサイズへと戻ってしまった。
この場では一番ダイノガッツに詳しいであろう、竜人のアスカさんに尋ねてみた所、どうやら元々爆竜では無かった為に、スティライザーから受け取ったダイノガッツを戦いで使い果たしたので、元の姿に戻ってしまったらしい。
あのまま大きいままというのも、戦いにおいては便利かも知れないという考えが、一瞬だけ脳裏を過ぎるが、良かったと咽びながら、デンライナーでナオミさんに慰めてもらっている本人の事を思うと、流石に不謹慎だなと自重する。
まあ、メカ竜の事は予想よりも早く解決したので良かったが、まだ解決していない事が幾つかある。
「アリシアちゃん。メアの様子はどう?」
「純お兄ちゃん……」
俺の問い掛けに、アリシアちゃんが今にも泣きそうな顔で応える。
今俺達が居るのはデンライナーの食堂車両の中だ。
五人目のアバレンジャー、アバレキラーである仲代さんを復活させる為に、残っていた最後の力を使い果たしたメアは、デンライナーの中で介抱されていたのだが、アリシアちゃんの様子から見ても、どうやら回復の兆しすら見えないらしい。
それは俺の目から見ても明らかで、メアは今もデンライナーの座席に横になりながらも苦しみ続け、大量の砂を地面に落とし続けている。
「オーナー。何とかならないんですか?」
この様子を見て、良太郎君がオーナーに問い掛けるが、無情にもオーナーはただ首を横に振るだけだった。
「彼はただでさえ残り少なかった己の時間を自ら使ってしまいました。残念ですが今の私達に出来る事は、この場で可能な限り、彼の望みを聞いてあげる事……ぐらいのものでしょう」
オーナーの言葉に、俺達全員が肩を落とす中で、アリシアちゃんが徐々に輪郭を失いつつあるメアの手を握りながら話し掛ける。
「……メア。何か私にして欲しい事……ある……かな?」
今にも泣きそうになるのを堪えて、アリシアちゃんは必死に笑顔でメアに呼び掛ける。
誰に聞かなくても、この場でメアに助かって欲しいと願っているのはアリシアちゃんで他ならない。
だからこそアリシアちゃんは、今の自分に出来る事を精一杯に行おうとしている。
「僕が……望むのは……明日……です……僕の友達の……明日を……僕の……か、代わりに……守って欲しい」
息も絶え絶えになりながら、メアは自らの願いを伝えると共に、空いているもう片方の手で、優しくアリシアちゃんの手を撫でた。
最初から聞くまでも無かったのだ。
メアが望んでいた事は、最初から最後まで一つだけ……
友達を……アリシアちゃんを守りたいという想いだけだった。
だからこそ、このままでは遠くない未来にその存在が消滅してしまうアリシアちゃんの無事を望まずには居られなかったのだろう……今まさに消えようとしている自らの存在よりもずっと……
出来る事であれば、この場でメアの願いを叶えてやりたい。
だがその方法が分からない以上、俺に出来るのはメアの代わりにアリシアちゃんが消えなくて済む方法を探す事を伝える事しか無いだろう。
「その願いでしたら、この場で叶える方法が一つだけ有りますよ」
俺がその旨を伝えようとした刹那、オーナーが意外な言葉を口にする。
「この場で願いを叶えるって……そんな方法があるんですか!?」
驚くコハナさんに対して頷きながら、オーナーは何故か俺に視線を向けた。
「ですがその為には、純君の協力が必要となります」
そしてまたしても予想外な言葉を口にするオーナーに、俺は先程以上に驚愕する。
「……俺はどうすれば良いんですか?」
驚きながらも、何とか質問を返す事が出来た俺に、オーナーは食堂車両に居る全員を見渡してから、続きを話し始める。
「はい。この場で特別に純君にしてもらう事は無いのですが、ただ一つ……大きな責任を担う覚悟をして下さい」
「責任を担う覚悟?」
鸚鵡返しに繰り返した俺の言葉に、オーナーが頷く。
「この場でアリシアさんの明日を守る……それはこの先に待っている大きな運命を君も一緒に背負わなければならないという事です。まあ、私個人の意見を言わせていただくのであれば、別に無理強いはしません。選ぶのは純君自身の問題ですからね」
オーナーは其処で言葉を締め括り、全ての判断を俺に委ねる。
俺はどうするべきか、数瞬だけ考えたが、最初の時点で答えは既に出ていた。
それはオーナーの言葉を聞いても変わらない。
だからこそ俺は、その想いを皆の前で言葉にする。
「……俺は誰の為でもない。自分の意思でアリシアちゃんを守りたい!」
責任を担う覚悟?
そんなものは既に出来ている。
大切な友達を明日を守る為ならば、その友達を想う気持ちを救う為ならば、俺は自分に出来る全てを全力で行うだけだ。
俺の覚悟を聞き、オーナーは一瞬だけ微笑を浮かべる。
どうやら確証は持てないが俺はオーナーに試されていたのかも知れない。
「……分かりました。それでは純君。以前にお渡ししたカードは今でも持っていますか?」
「カード?それならここにありますけど……」
俺はオーナーに言われるままに、ズボンのポケットから一枚の白紙のカードを取り出す。
このカードは以前にオーナーからお礼として貰った物で、何時必要になるのか分からなかった為に、タッチノート同様、入浴時以外は何時も携帯している様にしていたのだが、まさか今そのカードに出番が来るとは思ってもいなかった。
「ではそのカードを、アリシアさんの頭上に掲げて下さい」
「は、はい」
俺はオーナーの指示に従い、皆の見守る中、カードをアリシアちゃんの頭上へ掲げる。
すると白い無地だった筈のカードに、アリシアちゃんの姿が描かれて行き、その下の部分には赤い文字で、ある時間軸が書き足されていく。
「この時間って!?」
俺はその時間を見て思わず声を上げた。
何故ならばその数字は、俺がデンライナーでこの世界に来る際に出発した年代と時間帯だったからだ。
どういう事かと、俺が視線をオーナーに向けると、質問をするよりも早く、オーナーが言葉を紡いでいく。
「君は別の世界で存在しながら、消える筈の特異点と繋がりを持ち、それが今回の一件でより強固なものへとなりました。それは消滅の運命にあった筈の特異点を、君自身の世界に固定する程に」
「それじゃあ俺が担う責任っていうのは……」
「本来暮らす筈の世界とは別の世界の人間が、君の世界に定住する事になるのですよ。大きな責任を担う事になるのは当然でしょう」
再びの俺の問いに対して、オーナーはシニカルな笑みを浮かべながら答えを返した。
俺はそのオーナーの反応に、苦笑いで対応する事しか出来なかったのだが……
「もしかして私……消えなくて良いの……ずっと純お兄ちゃんと一緒に……居ても良いの?」
途切れながらも紡がれたアリシアちゃんの言葉に、オーナーが頷くとそれを聞いていた皆が一斉に盛大な声を上げる。
オーナーはモモさん達イマジンに、言い方が遠回しだと小突かれまくり、アバレンジャーの皆と舞ちゃんが、一緒にアリシアちゃんに良かったねと賛辞を送り続けた。
「良かったね」
「はい!」
俺も良太郎君の言葉に笑顔で答える。
『だが……』
そんな場が一斉に華やぐ中で、呟いた程度の筈のメカ犬の声が、食堂車両全体へと響く。
メカ犬の声によって、再びこの場に静寂が訪れて、全員の視線は今も尚その存在が消えようとしているメアへと注がれる。
「良かった……ですね……アリシア」
力無い呟き程度の声だったが、そのメアの声は誰よりも優しかった。
「メア……私は……」
涙を流しながら名前を呼ぶアリシアちゃんの頭を撫でながら、メアは首を俺の方へと動かす。
「……純。まだ僕が言いたい事は……色々ありますが、一つだけ……君の口から……直接……聞きたい事があります」
メアが何を言いたいのか理解した俺は、頷きながら一つの誓いをこの場で立てる。
「ああ。守ってみせるさメア。お前の友達、アリシアちゃんの明日は……俺が絶対に守るから!」