魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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第38話 ラビリンスキーパー【前編】

気付けば見知らぬ土地に居た……

 

本来であればこの様な場所ではなく、かの者の下へと赴かなければならない筈だったのに……

 

しかし現実として起こった事象を覆す事は出来ない……

 

ならば今の……に出来る事は……この地にてただひたすらに……を待ち続けるのみ……

 

信じよう……

 

例え世界が違っていたとしても……が……の力を必要とする時が来た時に……巡り会える運命を……

 

今はただ……は深い眠りにつきながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見渡す限り一面、小さな粒子の砂が、太陽らしき星の光を受けてキラキラと光を放つ。

 

人はそれを砂漠と呼ぶ。

 

「暑い……」

 

俺はそんな太陽の激しく照りつける砂漠の中で、大量の汗を流しながら呟いた。

 

何故、一介の小学生である筈の俺がこんな砂漠に居るのか、誰もが疑問に思う事だろう。

 

実はこの現状に甘んじている俺ですら、良く分かっていないのだからそれは尚更だ。

 

ただ幾つか分かっている事もある。

 

まず一つ目として、ここは日本じゃない。

 

だからと言って外国でもないし、ぶっちゃけてしまえば地球ですらないと思われる。

 

だから俺達を照らす太陽の様なあの空に燦然と輝く星も本当に太陽と呼ぶべきなのか疑わしい。

 

そもそも話は、こんな状況に陥る数時間前に遡るのだが、珍しく休日にも関わらず翠屋でのアルバイトがお休みだった俺は、久々にのんびりと趣味のパズルに興じていた。

 

父さんは会社の知り合いと釣り。

 

母さんとアリシアちゃんは一緒にショッピングに出かけている。

 

なので今日は俺とメカ犬しか家にいないということもあり、優雅かつ静かな時間を過ごしていたのだが、それも長くは続かなかった。

 

来客を告げるチャイムの音が、板橋宅の静かな休日に終わりを告げる。

 

誰だろうと思いながら、玄関に行くと、其処には笑顔で佇むミルファの姿……

 

「……はあ」

 

俺はその時の事を思い出して、大きな溜息を吐き出しながら正面を見つめる。

 

辺り一帯が砂漠の中で、聳え立つ石で出来た巨大な建造物。

 

建物の表面は長い間、人の手入れがされていないためか、砂埃に塗れ所々小さな傷が目立つ。

 

『これが遺跡というものか。知識としては知っていたが実物を見るのは、ワタシも初めてだな』

 

憂鬱な気分の俺とは対照的に、メカ犬はその建造物、遺跡を興味深く眺めている。

 

「お前は気楽だな……こっちは暑くてどうにかなりそうだっていうのに」

 

『まあ、そう言うなマスター。このような歴史的に価値のある建造物を見る機会など中々無いのだぞ。ミルファ嬢達が来るまでゆっくりと見学しても良いだろう?』

 

突然訪ねて来たミルファによって、俺とメカ犬は小型の宇宙船の様な乗り物に乗せられて、気付いた時にはこの場所に連れて来られていた。

 

連れてきた張本人であるミルファだが、俺達以外にもここに連れて来なければいけない人がいるという事で、別行動を取っている。

 

その間、俺とメカ犬はここで御留守番という訳だ。

 

「それにしても遅いな。ただでさえ碌な説明も無しにこんな場所に連れてきたくせに……ん?」

 

こんな遺跡以外には、辺り一面に砂漠しかない不毛の大地で、来ない待ち人に対して俺が愚痴を零した直後、砂漠が延々と広がる台地の先から、一つの人影が俺の視界に映る。

 

『うむ。どうやら来たようだな』

 

メカ犬の発言通り、砂漠の向こう側からやって来た人影は、ミルファだった。

 

しかしここで一つの疑問が浮上する。

 

確かミルファは、人を連れてくると言っていた筈だ。

 

だが実際に俺達の前に姿を現したのは、ミルファだけで後ろから誰かがやってくるという様子も無い。

 

「ちょっと色々あって遅くなっちゃったわね」

 

俺とメカ犬の目の前までやって来たミルファは、悪びれた様子も見せずごめんねと笑顔で謝罪の言葉を口にする。

 

「それは良いんだけどさ。人を連れてくるって言ってなかったっけ?」

 

「あら?ちゃんと連れてきたわよ」

 

俺の指摘に対して、当然の様に答えるミルファだったが、やっぱりミルファ以外に誰かが居るようには思えない。

 

『マスター。ミルファ嬢の足下を見てみろ』

 

「足下?」

 

メカ犬の言葉に従い、俺はミルファの足下へと視線を向ける。

 

其処には小さな細長い全身が短めの毛に覆われた一匹の動物が居た。

 

「やあ、初めまして」

 

「……初めまして」

 

突然の挨拶に俺は戸惑いながらも答える。

 

初対面の相手に対して、無礼な態度だとは思うが、それも仕方ないだろう。

 

なにせその挨拶をしてきた相手が、俺の見る限りフェレット的な生き物だったのだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ……それじゃあ試練の光を発掘したのがスクライア一族だったって訳か」

 

「まあね。実際に発掘されたのは結構最近の話ではあるんだけど、それでも僕が生まれる前の話だから、資料でしか知らないけど、他のロストロギアとは大分と仕様が違っていたらしいから、今でも発掘に関わった人達から噂話は良く耳にするよ」

 

俺は一匹のフェレットチックな彼を肩に乗せながら、世間話に花を咲かせつつ歩を進めていく。

 

彼はフェレットチックな生き物ではなく、名前をユーノ・スクライアという。

 

遺跡の発掘を生業にするスクライア一族の出身で、ユーノの名字であるスクライアもその部族の名前が由来となっているそうだ。

 

しかしミルファが連れてくると言っていた人物が、この様なフェレットっぽい生態の人?だったとは夢にも思わなかった。

 

俺の想像でしかないが、スクライア一族の遺跡の発掘現場というのは、さながら小動物の触れ合い広場の様な光景となっているのではなかろうか。

 

そんな馬鹿な事を考えながら俺はユーノとの会話もそこそこに、周囲を見渡す。

 

薄暗い石造りの通路。

 

杖状となったプリズムの魔力光のおかげで、何とかそれを目視で確認することが出来るが、それすら無かったとしたら何も見えないことだろう。

 

ここは俺とメカ犬がずっと留守番していた遺跡の内部だ。

 

何を隠そう、この遺跡こそが試練の光が封印されていた場所らしい。

 

試練の光を発掘したスクライア一族の一人であるユーノが俺達と今こうして行動を共にしているのも、それに関係している。

 

ミルファが言うには試練の光に関する管理局が所持する以外の情報を持っていないか、スクライア一族の長に聞きにいったらしいのだが、結局新しい情報を得る事は出来なかったそうだ。

 

だが話はここで終わりでは無かった。

 

確かにスクライア一族に直接確認を取っても新たな情報を得る事は出来なかったが、一つのヒントを得る事は出来たらしい。

 

発掘に参加したメンバーが口を揃えて言っていたらしいのだが、試練の光が封じられていた一室の中で、気になる文面を発見したというのだ。

 

その文字は、今のミッドチルダでも使われていない古代文字でこんな内容だった。

 

【この聖なる地に眠る宝の真の力を求める者よ その資格在りし者は見定めし者を連れ この先に待つ 扉へと進め その者が 真に資格を持つ者であれば 扉の先に待つ 宝の番人より 力の一部を授かるであろう】

 

という文章が解読された結果、明らかになった事が、最近になって判明したらしい。

 

更にその古代文字の解読を成功させたのが、今俺の前に居るユーノだというのだから驚きである。

 

ユーノは俺と同じ歳なのだが、スクライア一族でも若くして天才と称されているそうで、今回俺達がこの遺跡にやって来たのも、古代文字を解読したユーノが一緒に居れば、何か新たな手掛かりが掴めるかもしれないからという打算だ。

 

当の本人であるユーノも、近い内に個人的にこの遺跡に再調査に訪れる計画を練っていたらしいので、丁度良いと快く今回の同行を承諾したのだと遺跡内部を進む道中に、本人が語っていた。

 

発掘された当初は仕掛けられた幾重もの罠が、遺跡内部の至る場所に設置されていたらしいが、その罠も調査されると共にその殆どが排除されてしまったので、俺達は何の障害に晒される事無く、試練の光が封じられていたという遺跡の最下層の大部屋へと到着した。

 

「ロストロギアが封印されていたにしては殺風景な場所ね」

 

大部屋を見た感想をミルファが、第一に呟く。

 

ミルファの言った通り、俺から見ても部屋の一番後ろに台座の様な段差が見えるだけで、他に何か目に付く物も見当たらない。

 

「随分前に一度調査された場所だからね。ロストロギアと、それに関連した物の殆どは運び出されているから仕方が無いよ」

 

ミルファの呟きに、俺の肩に乗ったユーノが苦笑いを浮かべつつ釈明する。

 

はっきり言ってフェレット的な愛くるしい小動物がそんな動作をしているのを見たら、これでもかという程に撫で回したくなるのは俺だけだろうか。

 

普通の小動物ならいざ知らず、ユーノがしっかりとした人格を持つ人?だという事は俺だって理解しているつもりだ。

 

だけどフェレットっぽい容姿でそんな事をされたら、どうにも愛でたくなるこの感情を分かってもらいたい。

 

きっと犬or猫を愛して止まないアリサちゃんやすずかちゃん辺りならば、この気持ちを即理解してくれる事だろう。

 

別に愛犬家や愛猫家でもないなのはちゃん達だって、普通にこんな可愛らしい小動物を目の前にすれば、撫でたいという衝動に抗えない筈だ。

 

意を決して、ユーノに撫でて良いか直接交渉してみようかと考えたその矢先。

 

『ユーノが言っていた古代文字とはこれの事ではないか?』

 

大部屋の奥の台座近くを探っていたメカ犬が声を上げて俺達を呼び寄せる。

 

「ちょっと見せてもらって良いですか!」

 

台座の近くまで急いで駆け寄るとユーノは俺の肩から飛び降りて、メカ犬の隣に小さな四本足で小走りして、台座の後ろの石版に書かれている古代文字と思わしき、文字を眺め始める。

 

「うん。確かにこの文章は僕が解読した古代文字で間違い無い」

 

「ならこの石版の近くに何か変わった部分が無いか探してみましょう」

 

ミルファの号令を合図に、俺達は石版の周辺を念入りに探索する。

 

だが暫く探してはみたものの、他に古代文字が見つかるということも無く、ただ時間だけが刻々と過ぎていく。

 

唯一この調べ尽くされた遺跡の殺風景な大部屋で、台座と石版以外に変わったものと言えば、石版の両脇に妙な紋章が描かれたマークくらいのものだが、これはどうみてもただの模様だろう。

 

ちなみにユーノの話では、この模様も一つの意味を持つ古代文字で、【鍵】という意味を持つらしい。

 

俺はその意味有り気な紋章そっと手をかざしてみるが、当然ながら何かが起こるという事も無かった。

 

「確かに石版以外の文字って言えばこれくらいのものだけど、流石に触っただけで何かが起こるなんて……え?」

 

俺が紋章に触れているのを見て、対称に位置する紋章にミルファが手をかざしたその時。

 

『何が起こっているのだ!?』

 

「これって……まさか!?」

 

突如として大部屋内部に轟く轟音と共に、俺とミルファが触れた紋章が激しい光を放つ。

 

その光景を前にして、目の前で目撃したメカ犬とユーノが驚愕の声を上げるが、紋章から放たれた光は益々その光を増していく。

 

更に石版を中心とした俺とミルファが触れている紋章の内側の壁が上にせり上がる。

 

その奥には、新たな石造りの通路が広がっていた。

 

「もしかして、これが石版に記されていた扉の意味?」

 

異変が治まった後、石版のあった壁の奥から現れた通路を前にユーノが呟く。 

 

「きっと古代文字に記されていたって扉っていうのはこれの事なんだろうな」

 

そして俺の予想ではあるが、ミルファがきっと文章に記された見定めし者なのだろう。

 

ミルファだけが持つ、試練の光を完全に封じる事が出来る魔力も、おそらくは見定めし者に属する血縁関係にあったからなんじゃないかと思う。

 

それならば、当時のスクライア一族がどれだけ調査しても、この通路が発見されなかった事に説明が付く。

 

海鳴市に散っている試練の光の分身が次々とホルダーに憑いて、何かを選定していることを考えて、この仕掛けも本来はその一環だと考えれば納得出来る。

 

「どうする?このまま先に進むか。それとも一旦戻ってスクライア一族の人達に発掘調査を頼むか……」

 

俺だけでは判断がつかないので、ここは試練の光を所有していた管理局の人間であるミルファと、その試練の光を発掘したスクライア一族であるユーノに意見を求める。

 

「私はどっちでも構わないけど、出来るなら早く有益な情報が欲しいって事には変わり無いかな。あんまり長い間はこっちに滞在する訳にも行かないし」

 

「僕は……このまま進んでみるべき……いえ、進まなければならないのだと思います」

 

ミルファの意見は大体予想済みの答えだったが、ユーノの出した結論は正直に言えば予想外に思えた。

 

遺跡の通路を世間話をしながら歩いた程度でしか、俺達は会話をしていないが、それでもユーノは慎重にことに当たる性分の様に思えた為だ。

 

『何故、ユーノはこのまま先に行くべきだと思う?』

 

メカ犬が当然の質問をユーノに投げ掛ける。

 

「うん。実は純達から試練の光の話を聞いてから、この遺跡を実際に見て感じていた事なんだけどね。多分この遺跡はまだ生きているんだと僕は思うんだ」

 

「遺跡が生きている?」

 

通常では使わないであろうユーノの言い回しに俺は首を傾げた。

 

「えっと、別にこの遺跡自体が生きてるって意味じゃないんだ。ただこの遺跡は他の既に本来の目的を失ってしまった多くの遺跡と違って、まだ作られた役割の為に正しい機能を稼動させているんじゃないかってこと」

 

つまりユーノの話を要約すると、この遺跡はまだ俺達が考えているような過去の遺産じゃなくて今でも現役だということで良いのだろうか。

 

「何が条件になったのかは分からないけど、純とミルファさんは、過去にこの遺跡で発掘調査をしたスクライア一族が出来なかった条件を満たす事が出来たんだと思う。絶対とは言えないけど、もしも今の条件を違えた行動を取った場合、二度とこの先に行く事が出来なくなる可能性は高いんじゃないかな」

 

確かにユーノが解読した古代文字の文章と試練の光の特性から考えて、常に何かを試されているというのは実感出来る。

 

この開かれた道がその意思だとするならば、ユーノが言った通り、今ここで進まなければその意思に拒絶されて、本当に二度とこの先へ進む事が出来なくなるかもしれない。

 

「……分かった。俺はユーノの意見を信じるよ」

 

メカ犬とミルファも俺の言葉に異論は無い様で、静かに頷いてくれた。

 

どんな罠が仕掛けられているか分からない遺跡の奥へと、俺達は最大限に用心しながら進んでいく。

 

だが意外なことに、その先に罠と言える様なものは何一つ無かった。

 

強いて気になる点を上げるのであれば二つ。

 

まず一つ目は、暫く通路を進んだ先にあった下へと続く長い階段だ。

 

他に先へと続く道が無い事から、これは罠で他に先へと進める隠し通路があるのではと、周囲を探索はしてみたのだが、結局隠し通路は見つからなかったので、俺達は危険を承知の上で、このまま階段を下る事にした。

 

幸いにこの階段は罠では無かったようなのだが、だからこそこの先に何が待ち受けているのか、想像する事も難しくなる。

 

そして二つ目なのだが、これは直接遺跡に関する事ではない。

 

階段を下っていく途中で、メカ犬が急に動きを止めたのである。

 

何事か聞いてみたのだが、どうにも要領を得ず、もしかしたら勘違いかもしれないと言ってこの話題はすぐに終わったのだが、俺はこのメカ犬の反応を、少なくても過去に一度は見ている様な気がする……だが、それがどんな時だったのか、すぐには思い出せない。

 

それが何時だったのかと、考えを巡らせている間に、遂に俺達は階段の終着地点へと到着した。

 

階段を下りた先には、大きな二枚扉が俺達を待ち構えており、その内側からは得体の知れない気配を感じる。

 

「この扉の先に何かが居るな……」

 

『うむ。マスターの考えている通りだとすれば厄介な相手で間違い無いだろう』

 

俺の意見にメカ犬も同意を示す。

 

おそらくこの扉の先に待ち受けている何者かが、古代文字に記されていた宝の番人で間違い無いだろう。

 

少なくても何世紀に渡って人が通った様子も無い場所に居るという時点で、まともな存在だとは思えないが……

 

「……開けるわよ?」

 

扉に手を掛けたミルファの合図に俺達は、息を揃えて頷く。

 

大きな扉のため、俺もミルファを手伝って思い切り押す。

 

ギギギと何かが軋む音を立てながら、気が遠くなる様な長い間、開閉される事が無かったであろう扉が動き出した。

 

扉の先にあったのは何処までも続く様に思える闇。

 

だけどそれも一瞬の事だった……

 

「良く来たな」

 

闇の中から低く透き通った声が聞こえたと思った次の瞬間。

 

一体どういう原理なのか、暗闇の両端からプリズムと似た魔力光の様な光の玉が次々と浮かび上がり、辺り一面を明るく照らす。

 

部屋の全貌が明らかになった時、驚愕したのはきっと俺だけでは無いだろう。

 

学校の体育館ほどはありそうな広い空間。

 

だがその中央の殆どには床がなく、何処までも続くのではと錯覚してしまいそうな奈落が続くばかりだ。

 

唯一の足場といえば、俺達が入ってきた扉の付近と、その先に点々と存在する柱の様に奈落の底から伸びた小さな足場のみ。

 

そして先程の声の主と思わしき何者かが、この空間の中央付近に位置する小さな足場に悠然と立ちながら、俺達に視線を注いでいた。

 

牛の頭部に人の胴と腕。

 

背中からは蝙蝠にも似た翼を生やし、足は猛禽類の鳥と思わしき鋭い爪。

 

その手には黒一色で塗り潰された槍が握られていた。

 

まるでファンタジーに出て来る合成獣の一種にも見える風貌である。

 

「……あんたが宝の番人なのか?」

 

「如何にも」

 

俺の質問に対して、以外のこの番人は素早い応答をした。

 

予想外ではあるけど、話が出来る相手ならば、余計な手間が省けるかもしれないと考えた俺は、続け様にこの異形の番人へ新たな質問を投げ掛けてみる事にした。

 

「俺達は別に力を求めている訳じゃなくて、誰かに悪用されない為に、この遺跡で封じられていた力をもう一度封印したいんだ。何か知っているんなら教えてくれないか?」

 

「貴殿に目的がある様に自分にも役目が存在する。貴殿の目的がどうであれ結果として力を手中とする事になるならば、自分に己の力を示してみせろ!」

 

番人は話は其処までとばかりに、黒い槍を構えて俺に戦えと迫る。

 

『どうやら話し合いだけでは駄目らしいな』

 

「力を示せって事は、あの番人と戦って勝てって意味で良いのか?」

 

メカ犬の言葉に耳を傾けつつ、今度は質問ではなく、確認という意味で俺は番人にもう一度話し掛ける。

 

「それで良い。幼き少年よ。貴殿にはこの試練に挑む資格がある。己の力、道具、知恵、全てを持って証明して見せよ!」

 

「……分かった。なら俺は全力で戦って、番人のあんたから情報を引き出して見せる」

 

俺は番人の言葉に頷きながら、タッチノートを取り出して開く。

 

一応は道具の使用を認めていたし、番人本人も武器を使っているのだ。

 

今更これを使ったとしても、ルール違反だと咎めはしないだろう。

 

『バックルモード』

 

音声が流れると同時に、隣に居たメカ犬がベルトに変形して俺の腹部に巻き付く。

 

「変身」

 

俺は力ある言葉と共に、タッチノートをベルト中央に位置するバックルの溝部分へと差し込んだ。

 

『アップロード』

 

俺の全身を眩い光が包み込み、一人の戦士へとその姿を変えていく。

 

「……純の姿が変わった?全然魔力を感じなかった筈なのに魔法を使ったの?」

 

俺の変身を目の前に、ユーノが考察するが、俺の変身はミッドチルダの魔法とは根本からして違う。

 

「あの姿はね……」

 

考察を続けるユーノにミルファが説明を始める。

 

メタルブラックのボディー。

 

腹部の銀のベルトを中心に四肢へと広がる同色のライン。

 

そして頭部の半分程を被う赤く大きな複眼と、額にVの字型の銀の髪飾りを持つこの戦士の姿を、知る人はこう呼ぶ。

 

「……今の純の姿は、仮面ライダーシード!」

 

それが今の俺の名前だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何やら騒がしい……

 

今までここに来てから……こんな事は一度として無かった筈なのに……

 

疼く……

 

近くに……が居ることを……

 

まさか……が居るのか……

 

ならば……行かねば……

 

……の力となる為に……

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