魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~ 作:G-3X
仮面ライダーディケイドの作品内に出て来る殆どのライダーは、過去の作品で登場したライダーであるが、主役であるディケイドと同様、例外として新しく登場したライダーも何人か存在している。
今、俺の目の前に居る、一人の仮面ライダーも、その例外に該当する一人だ。
仮面ライダーディエンド。
時にはディケイドの敵として、ある時は味方にもなるのは、ディエンドの変身者である海東さんが持つ、独特の信条の為だろう。
「俺のお宝……一体どういう意味ですか?」
突如として現れたディエンドの宣言に対して、心当たりの無い俺は、その疑問を素直にぶつけてみた。
ディケイドである士さんがここに居る時点で、遅かれ早かれ邂逅する事になるかもしれないとは、思っていたが、まさかこんな形で出会う事になるとは、思ってもみなかったというのが、俺の正直な感想だ。
だからこそ、俺はディエンドが言うお宝がどんなものなのかを知りたい。
「お宝を持ちながら、その本当の価値を知らないか……それなら尚の事、お宝は僕が頂くべきだね」
しかしディエンドは、僕の質問に答えを返す代わりに、その手に持った銃、ディエンドライバーの銃口を俺に向けた。
『危ない!』
メカ犬の警告とディエンドが引き金を引くのは、ほぼ同時だった。
ディエンドライバーから放たれる数発の弾丸。
その発射よりも、一瞬だけ早くメカ犬の声に反応した俺は、咄嗟にその場から転がり、その銃弾を回避する事に成功した。
だが危機は去った訳じゃない。
更なるディエンドの追撃が、俺を襲う。
立ち上がろうとした時には、既に目前までディエンドが接近しており、迷いの無いディエンドの蹴りが俺の顔面に狙いを定める。
「くっ!?」
立ち上がっていては回避は間に合わないと判断した俺は、逆に体制を崩して自ら倒れこむ事で、その一撃を回避して、右足を振り上げて、ディエンドの背中を狙う。
だがその一撃が当たるよりも早く、素早く反転したディエンドはディエンドライバーのグリップで、俺の蹴りを受け止めると同時に、自ら後ろに飛んで、完全に蹴りの威力を分散させた。
しかし、それでも俺が体勢を立て直すだけの時間を稼ぐ事は出来た。
「へぇ……君、中々やるじゃないか」
再び身構える俺に対して、ディエンドが余裕すら伺える態度を取りつつ、三枚のカードをこれみよがしに取り出して、ディエンドライバーの側部を展開して差し込んでいく。
「不味い!?」
ディエンドがこれから何をしようとしているのかを察した俺は、警戒するのも二の次に特攻を試みる。
俺の予想が正しいとすれば、今からディエンドがやろうとする事を黙って見ている訳には行かない。
しかし俺がディエンドの行動を阻害する暇も無く、ディエンドはディエンドライバーの引き金を引いてしまう。
『カメンライド……アギト!ギルス!G3!』
音声が流れると同時に、銃口から放たれた光が、三つの人型になり、俺の目の前に立ちはだかる。
一人は黄金色に輝く肉体と、同色の大きな角に、二つの赤く大きな複眼。
その一方で複眼だけは同じく赤いながらも、全身が緑色で生物的な造詣。
と思いきや、やはり頭部の複眼は赤いが、今度はメタリックシルバーとブルーを基調としたメカニックなボディーという三者三様の戦士達が並び立つ。
仮面ライダーアギト。
仮面ライダーギルス。
仮面ライダーG3。
特徴にかなりの差があるライダーだが、その全員が一つの作品の中で活躍したライダー達だ。
「君の持つお宝の価値。このライダー達に勝てる事が出来たなら、教えてあげても良いよ?」
ディエンドの提案を頭の片隅に置きながら、俺はこの状況をどうするべきか、必死に考える。
ディエンドライバーで召喚されたライダー達は、俺が知っているライダーとは違う。
当然説得が通じる相手ではないし、だがその能力は、本物と何の遜色も無い。
四対一という劣勢、先程の言葉の節からディエンドが手を出さないとしても、実質、三対一ではあるが、それでもこの状況を脱する為には、勝つ以外に道は無いだろう。
『来るぞマスター!』
メカ犬の声を聞き、俺の意識は目の前の危機に集中する。
まず最初に動いたのは、一番後方にいたG3だった。
右手に持っていたG3の専用武器としても代表的な銃、GM-01スコーピオンの銃口から俺に向けて何発もの弾丸が放たれる。
だがその銃撃は、俺に当てる事よりも、牽制の意味の割合が大きかった。
実際に放たれた弾丸は避ける事も無く、俺の脇を掠めて行く。
だがそれと同時に、アギトとギルスが俺に向かって駆け出していた。
近接の格闘戦で、この二人を相手取るのは流石に辛い。
「ならこっちも二人で!」
俺は素早くベルトの右側をスライドさせて、黄色いボタンを押した。
『ベーシックファントム』
音声が流れると同時に、ベルトから溢れ出た光が、シードの分身体を生成する。
俺はそのままアギトが繰り出した拳を受け止め、メカ犬がコントロールする分身体は俺に向かってくるギルスの攻撃を遮った。
「そっちは任せたぞメカ犬!」
『うむ!』
俺の声に短く応えたメカ犬は、ギルスの腕を内側から抱き込み、そのまま俺達から遠ざかる様に駆け出す。
これで取り敢えずは、アギトとG3と二人の戦いに集中出来る。
現在のアギトは、徒手格闘に長けたグランドフォームなだけあって、繰り出される攻撃の全てが強力だ。
更に時折、距離を取った際に、後方から放たれるG3の援護射撃も厄介である。
この連携を崩すには、メカ犬が操る分身体一体じゃ、圧倒的に足りない。
「それなら手数をもっと増やす!」
俺は再びベルトの右側をスライドさせて、今度は赤いボタンを押す。
『パワーフォルム』
ボタンを押した瞬間に、俺のボディーカラーが、メタルブラックからクリムゾンレッドへと染まり、身体の芯から力が沸き起こる。
俺はその力のままに防御を捨てて、アギトを殴り飛ばす。
それをフォローする様に、G3が俺に銃弾を浴びせ続けるが、俺はその攻撃を無視してベルトからタッチノートを引き抜き操作を始める。
『フェザー・コール』
タッチノートから音声がしてから、間を置くこと無く、上空の雲を突き抜けて、呼び出したメタルホワイトの翼をはためかせて、心強い味方が、救援に駆けつけてくれた。
『お待たせしたでゴザルよマスター!セッシャ、アレキサンドル・メタルブレイカー・J・バードイーグルデリシャスグレート・リーサルグラビティー・スタンドアローン・エンドオブブレードが来たからにはもう安心でゴザル!』
「行くぞメカ鳥!」
『だからセッシャの名は……』
俺はメカ鳥が何か喚いていると気付いてはいるが、特に聞く必要も無いと思ったので、タッチノートの操作を続けた。
『スタンディングモード』
アタッチメントパーツに変形したメカ鳥を掴んだ俺は、すぐにベルトの左腰をスライドさせて、手に持ったアタッチメントパーツを差し込んだ。
『パワー・フェザー』
差し込んだ瞬間に、周囲に展開されたメタルホワイトの装甲が、次々と俺の全身に装着されて、最後に二対の白い翼が俺の背中に装着された。
「まだまだ行くぞ!」
俺はフェザーモードになってからすぐに、アタッチメントのレバー下に存在するボタンを押した。
『フェザーファントム』
ボタンを押すと瞬時に、更なる分身体が三体生成される。
本来であれば、もっと多くの数を一度に生成する事も可能だ。
しかしフェザーファントムは、ベーシックファントムの様にメカ犬がコントロールするのとは違い、俺自身が操作する必要性がある。
この状態の時は、全ての感覚が強化されていると言っても、限度というものがある為、細かい操作をするならば、なるべくその人数は少ない方が良い。
俺は生成した分身体の二体をG3の迎撃に向かわせて、残る一体の分身体は、本体である俺と一緒にアギトへ強襲を仕掛ける。
振りかざすアギトの攻撃を、鋭敏に研ぎ澄まされた感覚を頼りに避けながら、俺と分身体は、着実にアギトにダメージを与えていく。
その一方で二体の分身体もG3を上手く相手取り、メカ犬の方も一人でギルスと善戦している様だ。
勝負の流れは確実に俺達に向いている。
ならば決着をつけるには今が最良と言えるだろう。
「メカ犬!」
俺は叫びながらアギトを分身体と共に、中庭の中央へと放り投げ、G3を相手にしていた二体の分身体も、アギトが投げ飛ばされた方向に、G3を蹴り飛ばした。
メカ犬も俺の意図を察してくれたのだろう。
ギルスを力任せに殴り飛ばして、三人のライダーが一箇所に固まった。
俺はその好機を生かす為に、背中の翼を広げて、分身体と共に大空へと飛び上がる。
更に俺は上空でベルトの右側をスライドさせて黄色いボタンを押した。
『パワーブレード』
ベルトから発生された光が赤い刀身の両刃剣を生み出す。
パワーブレードを手にした俺は、更にアタッチメントパーツのレバーを引く。
『マックスチャージ』
上空に次々と分身体が生成されて、本体である俺を含むパワーブレードの刀身にエネルギーが集約される。
「こいつで決めるぜ」
俺は数十体に及ぶ分身体と共に、パワーブレードを構えて、上空から特攻を仕掛ける。
「パワーレインスラッシュ」
上空から雨の様に降り注ぐ、パワーブレードの斬撃がアギト達、三人のライダーを光の粒子に返す。
技の発動が終了すると同時に、メカ犬がコントロールする分身体を含め、全ての分身体がその姿を消して、俺は上空からゆっくりと大地に着地した。
「ハハ。思った以上にやるみたいだね」
アギト達との戦いを見ていたディエンドが、俺に声を掛ける。
「約束通り、教えてくださいよ。海東さんが言う、俺が持つお宝って何なんですか?」
ディエンドの動きに細心の注意を払いながら、俺は改めて質問を投げ掛けた。
「そう言えばそんな約束もしていたね。それじゃあ……」
「騒がしいと思ったら、やっぱりお前か海東」
ディエンドの言葉を途中で遮ったのは、校庭のある方角からやってきたディケイドだった。
「やあ、奇遇だね士。そろそろナマコは食べられるようになったかい?」
「そんな事より今度は何が目的だ」
何度も作品内で繰り広げられて来た二人の掛け合いが、今この場で行われているのは、一人のライダーファンとして、とても嬉しいのだが、現時点で当事者である以上、素直に喜んでいる訳にもいかない。
更に遠くからサイレンの音が、どんどん近付いて来る。
恐らく今の現状から、警察のサイレンだろう。
多分学内の先生の誰かが、警察に通報したと思われる。
「……ふう。どうもここは一旦引いた方が良いみたいだね」
サイレンの音を聞いたディエンドは、そう言いながら一枚のカードをディエンドライバーに差し込んだ。
そうしている間にも後ろから近付いて来るサイレン音の主は、マシンドレッサーで此方へと来るE2だ。
一瞬でも視線をディエンドから外してしまったのは、不味かったのだろう。
『アタックライド……インビジブル!』
その音声を聞き、再びディエンドの居る場所に視線を向けるが、既にその姿は何処にも無かった。
ただ最後に、俺の耳元で囁く様に、ディエンドの小さな声が俺の鼓膜を振るわせる。
「約束通り、教えてあげるよ。君の持つお宝は大きな力を秘めている。その力の方向性を決めるのは持ち主次第だけどね」
その声を最後に、ディエンドの気配は完全に消えてしまった。
だがディエンドの残した言葉で、お宝が何を示すのか、大体の予測は出来た。
恐らくディエンドが狙っているお宝とは、多分ではあるが、俺が異世界で門番から託された謎の石の事だと思う。
門番も先程のディエンドと、似たような内容の話をしていた。
まあ、どう考えたとしても、俺は完全にディケイドが紡ぐストーリーに関わってしまった上に、今回に限っては重要なポジションに置かれたと思って間違いないだろう。
アリサちゃんの事も気掛かりではあるし、俺はこれからどうするべきなのか、今直ぐ全ての答えを出す事は出来そうに無かった。