魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダーディケイド 世界を繋ぐ旅人【第八章】

夕暮れの海鳴市を、チェイサーさんとマシンディケイダーが颯爽と駆け抜けていく。

 

かなりのスピードが出ている為、子供の身体である俺には強い負荷が掛かり続けるが、今はそんな事を言ってもいられない。

 

強く歯を食いしばりながら、走り続けると程なくしてチェイサーさんのスピードが緩まる。

 

それは目的地である公園に着いたという事を意味していた。

 

「行くぞ。純!」

 

「はい!」

 

逸早くマシンディケイダーを降りて公園の入り口に走り出した士さんの呼び掛けに応えながら、俺もチェイサーさんから降りて後ろにメカ犬を引き連れながら、士さん後に続いて公園を目指して走り出す。

 

『これは!?』

 

公園の入り口を潜って直ぐ、目の前に広がる光景にメカ犬が声を上げた。

 

周囲を見渡す限り、犇く様に異形の者達が公園内を闊歩している。

 

その多くはオーバー達が生成したホルダーモドキではあるが、それだけに留まらない。

 

ホルダーモドキの大群に混ざり、過去に俺達が倒した筈のホルダー達までが、当然の様に其処に存在していたのだ。

 

「何で倒した筈のホルダー達がこんなに……」

 

あまりにも予想外な事実を前にして、俺も心の中で浮かべた疑問を、思わず口走ってしまう。

 

「思ったよりも早かったな」

 

俺達が驚く中、ホルダーの大群の中から平坦な声が響く。

 

声が聞こえたと思った次の瞬間に、ホルダーの大群が中央から二つに割れて、見覚えのある藍色と灰色の二人の怪人、それに一人の男性が悠然と歩を進めて俺達に近付いて来る。

 

「やっぱりお前達の仕業だったんだな……オーバー!メルト!」

 

「今度は何をする気だ?鳴滝!」

 

俺と士さんは、予想していた通りの首謀者の登場に対して、奴等の名前を叫ぶと共に、怒声を浴びせるがそれで奴等の態度が変わるという事は何一つ無かった。

 

「どうやら私達のささやかな招待状は、無事に受け取って貰えた様だな?」

 

俺達とある程度の距離を取った時点で立ち止まると、この場を代表してなのか、メルトが俺と士さんを一瞥しながら口を開く。

 

恐らく招待状というのは、ボロボロな姿で光写真館に戻って来たユウスケさんの事を、言っているのだろう。

 

そのメルトの言い草に対して、怒りが沸々と湧き上がってくる。

 

『招待状だと?』

 

「そうだよ!これから凄いイベントを始めるから、楽しみにしていてよね!」

 

メルトの言い回しに対して、訝しげに声を漏らすメカ犬に、オーバーが楽しそうに答えた。

 

オーバーの発言に加え、この公園の様子からして、今から何が始まるのか大体の想像は出来るが、それよりもまず最初に俺達には確認するべき事がある。

 

「お前等が連れ去った二人は何処に居る?」

 

俺が質問しようとした内容を、逸早く士さんが口にする。

 

その口調は静かではあるが、同時に多量の怒気が含まれている事が窺えた。

 

「彼女達は無事さ」

 

士さんの言葉に対して、鳴滝はそう返事を返しながら、視線を今しがた自分達が歩いて来た公園の奥へと向ける。

 

その視線の先に意識を向けると、本来はこの公園に置いていなかったと思われる二つの白い十字架が、俺の視界の中へと飛び込む。

 

しかもその十字架には、アリサちゃんと夏海さんが貼り付けにされていたのである。

 

「なんて酷いことを!?」

 

その光景を前に、俺は再びオーバー達を睨み付けながら、怒りの咆哮を公園内に響かせる。

 

「別に彼女達を傷付けるつもりは無いよ。私の狙いは……ディケイド!貴様を倒す事なのだからな!!!」

 

「それなら回りくどい事をしてないで、正面から来い。何時でも相手をしてやる」

 

敵意を剥き出しにする鳴滝に対して、士さんは余裕とすら思える態度を取りながらディケイドライバーを自身の腹部に押し当て、俺に小さな声で囁いた。

 

「俺が奴等の注意を引く。その間に純は夏ミカン達を助けろ」

 

士さんの言葉に俺が頷きながら、何時でも走る事が出来る様に姿勢を整えると、士さんはライドブッカーから一枚のカードを取り出す。

 

その動作を合図に俺は、ホルダーの大群目掛けて走り出していた。

 

基本的に動作の鈍いホルダーモドキならば、変身していない状態の俺でも攻撃を避けるぐらいは可能である。

 

強いて問題を挙げるとすれば、ホルダーモドキ達に混じる過去に倒した筈のホルダー達だ。

 

だが不確定要素があるのは、既に覚悟の上。

 

俺は既に後ろでディケイドへと変身を終えて戦いを始めている士さんに、出来るだけ早く加勢する為にも、今出来る事を、全力で成し遂げなければならない。

 

ホルダー達の犇く中心へと入り込んだ俺に対して、当然ながらの洗礼とばかりに、一番近くに居たホルダーモドキが俺に襲い掛かる。

 

「こんなところで止まってられるか!」

 

俺は眼前で横薙ぎに振るわれるホルダーモドキの腕を転がりながら避けて、そのまま前進を続ける。

 

だがこの洗礼が一度限りで終わる筈が無い。

 

次々と敵の凶刃が俺の身体を引き裂こうと、繰り出される中。

 

俺はその攻撃をあらゆる手段で避け続けながら、止まる事無く二人が捕らわれている公園の奥を目指す。

 

時には避け切る事が出来ず、小さな傷を全身に刻みながら、俺はそれでも止まる事を止めない。

 

「純!?」

 

大分近くに来たおかげか、アリサちゃんが俺の存在に気付き、声を上げた。

 

「待っててねアリサちゃん。すぐに助けてあげるからさ」

 

俺は全身に走る痛みを顔に出さない様に勤めながら、アリサちゃんが出来るだけ安心出来る様に笑顔で呼び掛ける。

 

「そんな……なんで笑ってられるのよ。そんなに傷だらけなのに!?」

 

だけどその行為は逆効果となってしまったのか、アリサちゃんはその瞳に大粒の涙を浮かべながら叫んだ。

 

アリサちゃんに対して、俺はその問いに答えなければならない。

 

その答えがたとえ、アリサちゃんが望まないものだとしてもだ。

 

だが俺がアリサちゃんに再び声を掛けるよりも先に、俺の身体が軽く宙に浮き後方へと吹き飛ばされた。

 

「がっ!?」

 

何が起こったのか、良く理解しないままに、地面に背中から落ちて、苦痛と共に肺の中から空気が漏れる。

 

地面に打ち付けた背中から、全身に痺れる様な痛みが走るが、敵の真っ只中で大きな隙を見せれば、それはそのまま死に繋がると自分自身に言い聞かせ、地面を転がりながらも俺は地面を勢い良く両手で叩き付けて、飛び上がる様に立ち上がった。

 

立ち上がり際に、正面を見据えて俺は自分が何故こんな状況に陥ったのかを理解する。

 

俺の視界には、アリサちゃんと夏海さんのに続く道を遮る様に、過去に倒した筈のホルダー達が身構えていたのだ。

 

恐らく俺はあのホルダー達の内の一体に、なんらかの攻撃を受けた為だろう。

 

「どうだい!過去のデータを復元してメルトが作った再生ホルダーは。中々の出来だと思わない?」

 

正面のホルダー達を見据える俺に対して、横からオーバーの声が耳に届く。

 

その声によって納得は出来ないが、どういった経緯でこの場に倒した筈のホルダー達が居るのかは理解出来た。

 

先程の攻撃からも分かるが、あのホルダー達の速度は、本物と遜色無いと思われる。

 

少なくてもホルダーモドキとは比べ物にならない程に早い事だけは間違い無いだろう。

 

生身の状態の俺では、多分太刀打ちする事すら出来ない。

 

しかもそんな相手を、複数同時に相手しなければならないのだ。

 

「それでも俺は……」

 

出来ないと分かっていても、それでもどうにかしなければならない。

 

そう覚悟を決めて、再び駆け出そうと、俺が足を一歩前に踏み出したその時……

 

「無理をするのは止めたまえ」

 

後方から声がすると同時に、俺の横を掠めて、複数の弾丸が正面に陣取るホルダー達に命中して幾重もの小さな火花が連続で上がる。

 

俺は直ぐに後ろに振り向く。

 

其処には予想通りの人物が悠然と立っていた。

 

「海東さん!?」

 

俺はその人物の名前を驚愕と共に声にしていた。

 

正確に言えば俺の目の前に居るのは、海東さんが変身する、シアンと黒を基調とした仮面ライダーディエンドである。

 

先程俺の横を掠めて、ホルダー達にダメージを与えた弾丸もディエンドが今も右手に構えているディエンドライバーから放たれたもので、まず間違い無いだろう。

 

でも分からない事がある。

 

「何で海東さんが俺を助けてくれたんですか?」

 

俺は疑問をそのまま口にしていた。

 

これで会うのは三度目となる訳だが、その内の最初の二回は出会い頭に襲い掛かって来るというものだったのだ。

 

そんな相手がいきなり加勢してくれたとあれば、疑問に思うのも無理は無いだろう。

 

そんな俺の意思が伝わったのか、ディエンドは肩を竦める仕草と共に、ディエンドライバーのトリガーに指を這わせて、銃身を回転させた。

 

「別に君を助けに来た訳じゃないさ。ただ……」

 

ディエンドはそう言いながら視線を明後日の方へと向ける。

 

その視線の先に何かあるのかと思い、俺もその先へと視線を向けると……

 

「おお~!今日はクリスマスかそれとも正月か!?」

 

其処にはハイテンションで周囲のホルダー達を薙ぎ払うアクセスの姿。

 

「さっきから彼がしつこくてね。僕の兵隊さん達も倒しちゃったもんだから、退散する事にしたんだけど、野生の勘でもあるのか逃げ切れなくてここまで着いて来ちゃって……困ってるんだよ」

 

「……鳥羽さん」

 

心底ウンザリした態度を隠そうともせずに声を乗せるディエンドの説明を耳にしながら、俺は今も嬉々として戦い続けるアクセスに俺は感心半分、呆れ半分といった感情を込めた溜息を吐き出した。

 

「それでものは相談なんだけどね。君は彼の知り合い何だよね。君に協力する代わりに彼の事を説得してくれないかな?」

 

「……交渉って事ですか」

 

俺は少しだけ考えた後に、すぐ答えを出した。

 

それと同時に、もし出会ったら絶対に殴り飛ばそうと思っていた二人を許す事にする。

 

「俺の方からも、お願いします!この戦いが終わったら鳥羽さんは絶対に説得してみせますから!」

 

「交渉成立だね」

 

俺の返答に満足したのか、ディエンドはそう言うと、一枚のカードを取り出してディエンドライバーにセットして、銃口をホルダー達の居る方向に構えて引き金を引いた。

 

『カメンライド……G3-X!」

 

鳴り響く音声と同時に、銃口から放たれた光が、人型となって、青と銀を基調とした赤い複眼を持つ一人の戦士を生み出す。

 

仮面ライダーG3-X。

 

仮面ライダーアギトに出て来るライダーの一人で、警視庁で配属されているG3の強化版とも言えるライダーだ。

 

「僕が合図をしたら、後は何も気にせず走りたまえ」

 

「分かりました!」

 

俺の返答に頷きながら、ディエンドはディエンドライバーを構えて、それに続きG3-Xも手にしていたアタッシュケースに付いたボタンを押していく。

 

『解除シマス』

 

三つのボタンをG3-Xが押すと、そんな電子音声が流れて、アタッシュケースのパーツがG3-Xの手によって変形していく。

 

瞬く間にアタッシュケースは、その形を変えてガトリング式機銃となった。

 

この武器の正式な名称はGX-05 ケルベロス。

 

特殊徹甲弾を1秒間に30発発射し、G3用の武器とは段違いの高火力を誇る。

 

G3-Xが持つ数多くの武器の中でも、最強クラスの火力を有する武器だ。

 

「走りたまえ!」

 

その銃口を構えるのを見届けてからディエンドが叫び、二人の構えたライダーの銃撃が、正面に陣取っていたホルダー達を蹴散らして、一筋の道を作り出す。

 

俺はその一本の道を迷わずに駆け抜ける。

 

道を塞いでいたホルダーの殆どは、先程の攻撃によって吹き飛ばされてはいたものの、全てではない。

 

僅かに残っていたホルダーが俺の前に立ち塞がるが、それで止まる訳には行かない。

 

『行けマスター!』

 

それでも突進する俺の横からメカ犬が飛び出して、ホルダーの顔に張り付き、その視界を塞ぐ。

 

「うをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

俺はメカ犬に心の中で感謝しながら、気合を込めた叫びと共に、ホルダーの横を駆け抜けて遂にアリサちゃんと夏海さんが居る場所にまで辿り着く事に成功した。

 

「……約束通り、助けに来たよ」

 

息を整えてから、二人の拘束を解き俺は再び笑顔と共にアリサちゃんに言った。

 

「……馬鹿……本当に馬鹿なんだから……」

 

そんな俺に対して、アリサちゃんは堰を切った様に、瞳から次々と大粒の涙を零す。

 

俺はそんなアリサちゃんの頭に、優しく手を置いてアリサちゃんの流れるような金色の髪を優しくあやす様に撫でた。

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