魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダーディケイド 世界を繋ぐ旅人【最終章】

「あ、其処の醤油を取って貰って良いかな?」

 

「どうぞ」

 

言われて俺は、手元にに置いてある醤油の小瓶を受け渡す。

 

それは日本の家族の朝食風景では、別段珍しくも無いやり取りである。

 

ただ、少し違う点があるとすれば、先程の会話は家族と交わしたものではなく、昨日から我が家に泊まっている客人とのやり取りだったという事だろうか。

 

「それにしても、君のお母さんが作る朝食の味は絶品だね。まさにお宝だ!」

 

受け取った小瓶の中の醤油を少量だけ半熟の目玉焼きに零しつつ、舌鼓を打つ板橋家の客人である海東さん。

 

「まあ、お口に合ったみたいで嬉しいわ。おかわりはまだまだあるから、遠慮しないでね」

 

海東さんの賛辞に、母さんは、口元を手でそっと隠しながらも、嬉しそうに海東さんの空になった湯飲みにお茶を注ぎ足してあげたりしている。

 

どうやら料理を褒められたのが、余程嬉しかったのだろう。

 

一体全体、どういった経緯で俺と海東さんが朝食を共にしているのか、その話は昨日の戦いの後にまで遡る。

 

取り敢えず戦いに参加した俺も含めたメンバー全員は例に漏れず、全員が傷だらけだったので、早急に手当ての必要があるという事で、全員で病院へと向かった。

 

病院に向かう途中で海東さんは早々に目を覚ましたのだが、頭を強く打っていたらしい鳥羽さんは、直ぐに意識が戻りそうに無かったので、病院に預けたまま俺は士さん達と別れて帰路に着く事にした訳なのだが、ここで一つ大きな問題が浮上する事となる。

 

何と海東さんが三度目に渡り、俺にお宝を賭けて勝負を持ち掛けて来たのだ。

 

冗談めかして言ってきた言葉だったが、海東さんの目がその発言が本気だという事を物語っている。

 

これは勝負を避ける事は出来ないと、俺が考えていたそんな時に、何処からとも無く現れたのは……俺の母さんだった。

 

何の脈絡も無く現れた母さんは剣呑とした雰囲気を醸し出していた俺達の事を知ってか知らずか、普段と変わらぬマイペースさを発揮した……その結果がこれである。

 

まさか母さんが父さんが一週間の出張中で、食卓が寂しいから海東さんを食事に招くとは思わなかったし、海東さんもその誘いを受けるとは思っていなかった。

 

結局その後、海東さんは夕食に御呼ばれした上に一泊し、更にはこうして一緒に朝食を囲んでいるという事態になっているのだ。

 

「ご馳走様でした……さてと、それじゃあ僕はそろそろ行こうかな?」

 

ご飯のおかわりまでして、我が家の朝食を堪能した海東さんはそう言うと席を立つ。

 

「あら、もう少しゆっくりして行っても良いのに」

 

「いえ、僕にも予定があるんでこれで失礼します。どうもご馳走になりました。本当に美味しかったです」

 

「まあ、良いのよ。そんなにかしこまらなくても、また何時でも来てね」

 

軽く母さんと挨拶をして、そのままリビングを出て玄関先へと向かう海東さん。

 

俺も母さんの命を受けて、俺も見送りに玄関先に向かう。

 

「……あの、海東さん」

 

「ん、どうかしたのかい?見送りならここで十分だよ」

 

靴を履き玄関の扉を開けた海東さんに、俺は声を掛けていた。

 

「いえ、そういう訳じゃなくてですね」

 

「……ああ。もしかして君のお宝の事についてかな?」

 

意外にもあっさりと言った海東さんに対して、思わず俺は呆気に取られてしまった。

 

それというのも、あれだけの執着を見せて、実際に二度も俺に襲い掛かり、母さんが現れなければ三度目の戦いは避けられなかったであろう事は想像するに難しくないだけに、今の海東さんの反応に納得出来ないのも無理は無いだろう。

 

「勿論、僕はまだ君のお宝を諦めた訳じゃないさ。でも君の母親には一宿一飯の恩があるからね。その恩を返すまでは、もう暫くの間だけ君にお宝を預けて置くから大切にしておきたまえよ」

 

「あの、海東さんは知っているんですか?」

 

独自の持論を展開する海東さんに、俺は敢えて聞いてみた。

 

我ながら端的な聞き方だとは思ったが、この話の流れから海東さんが俺のした質問の意味を分からないとは思わない。

 

だが海東さんは……

 

「君のお宝の本当の価値は、君自身が気付かなくちゃならない事さ。頑張りたまえ」

 

そう言うと俺が呼び止める間も無く、行ってしまった。

 

……俺が海東さんの最後に残した言葉の意味を知るのは、もう少しだけ先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海東さんが家を出てから少しして、俺は待ち合わせをしていたアリサちゃんを連れて、光写真館に来ていた。

 

「もう、次の世界に行ってしまうんですね?」

 

「この世界で俺がするべき事も終わったみたいだしな。さっさと次の世界に行くさ」

 

俺と士さんの会話からも分かる通り、彼等は今日……また新たな世界へと旅立っていく。

 

俺とアリサちゃんはその見送りをする為に、馳せ参じたのである。

 

「もしも士さんが……」

 

「ん?」

 

「……いえ、何でもありません。それよりも怪我の方はもう大丈夫なんですか?」

 

途中まで言い掛けてから、俺は誤魔化す様に士さんに別の話題を振る。

 

本当は士さんが何者で、これから先の旅に何が待っているのかを教えたかった。

 

それで何かが変わるかも知れないと……

 

でも結局、俺は士さんにそれを伝えない事にした。

 

士さんはそれを知る為に、旅を続けている。

 

その答えを知るべき世界は、きっとここでは無い筈だ。

 

士さんの旅の答えは、士さん自身が見つけなくちゃならないのだと思う。

 

「士先生!」

 

俺と士さんが話していると、先程まで夏海さん達と別れを惜しんでいたアリサちゃんが話し掛けてきた。

 

「その先生って呼び方は止めろ。もう俺はお前の先生じゃないんだからな」

 

士さんの言う通り、この世界での役目を終えた士さんは、既に俺達の副担任という肩書きではなくなっていた。

 

だがアリサちゃんは、そんな士さんの言葉に対して首を横に振る。

 

「そんな事無いわ。やっぱり士先生は私にとって、大切な事に気付かせてくれた立派な先生よ!」

 

「そ、そうか……」

 

あまりにも真っ直ぐなアリサちゃんの物言いに照れたのか、視線を泳がせる士さん。

 

「へぇ、意外と士は教師に向いてるのかもな?」

 

「そうですね」

 

その態度を面白がってか、ユウスケさんと夏海さんが照れている士さんを横から小突き始め、士さんはそんな二人を迷惑そうに振り解く。

 

そんなやり取りを続けていると奥の部屋から、栄次郎さんがなんだか楽しそうだねと言いながら、こっちにやって来る。

 

その手には一枚の写真が握られていた。

 

「士君。写真の現像が出来たよ」

 

栄次郎さんはそう言うと、持っていた一枚の写真を士さんに手渡した。

 

どうやら栄次郎さんは、今まで奥の暗室で士さんの撮った写真の現像を行っていた様だ。

 

「お前達にやる」

 

写真を受け取った士さんは一瞥した後、栄次郎さんから受け取った写真を、そう言って俺とアリサちゃんに向けて突き出した。

 

俺はその写真を受け取り、アリサちゃんと共にどんな写真なのか確認する。

 

「……これって」

 

「そっか。あの時に撮った写真……」

 

俺はその写真を見て、思わず声を漏らし、アリサちゃんも同様に最初は驚きつつも何処か納得した様な声を上げた。

 

写真に写っている背景は酷いピンボケを起こしている上に、角度も切り絵を無理矢理に貼り付けた様な酷いもので、お世辞にもまともな写真だと呼ぶには程遠い出来だ。

 

でもそれは俺達に取って、最高の一枚と言うべき出来だったのである。

 

写真の中央に写る一人の少女の浮かべる笑顔は、春の日差しの様に暖かさを称えていた。

 

 

 

 

 

 

 

                                        完

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