魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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第40話 初めての合コン?【後編】

この場には多くの人が居るので、タッチノートでメカ犬と通信する事は出来なかったが、長谷川さん達の電話のやり取りを聞いていたおかげで、どうやらホルダーがこの近くの海岸付近に現れて、暴れ回っているらしい事が分かった。

 

勿論その電話を終えた後、鳥羽さんと長谷川さんは急いで翠屋を飛び出して行き、俺も適当な理由を付けて、二人の後を追おうとしたのだが……

 

「あの……急用が出来たんで放してもらっても良いですか」

 

「急用って、何処に行くのかな?」

 

席を立とうとする俺の服の裾を、椎名さんが掴んで俺は二人の後を追う事が出来ずにいた。

 

「その……買い物を頼まれていたのを思い出したんですよ」

 

「頼まれたお使いも大事かも知れないけど、今は駄目。今お外には怪物が居るかもしれないらしいから、板橋君はここに居なくちゃ」

 

「うぐ……」

 

適当な理由を言って、退散しようと試みたが、逆に正論で俺の意見は椎名さんによって、完全論破され俺は再び席に座る事を余儀なくされる。

 

この場で俺も行かなくてはならない理由を知っている、恵理さんとヤスに何とか助力を頼もうと視線で訴え掛けてはみるものの、二人共苦笑いを浮かべるばかりで、頼りになりそうに無い。

 

この場で女性を相手にヤスが上手く立ち回れるとは、最初から期待してはいなかったが、恵理さんまでもが同様の反応を示すというのは、正直に言って予想外だった。

 

もしかしたら、椎名さんは俺が思っている以上に厄介な相手なのかも知れない……

 

「椎名さんの言う通りよ。こんな非常時に買い物に行くよりも、君にもっと有意義な時間を提供してあげるから」

 

俺と椎名さんのやり取りを見ていた恵美さんはそう言うと、テーブルの中央にノートパソコン置き、自身の耳にイヤホン付きのヘッドマイクを装着して、この場に居る俺達に対して、ノートパソコンのディスプレイを見るように促す。

 

ディスプレイには、何かの動画が映っていた。

 

しかも良く見ると、その動画の風景には何処か見覚えのある様な気もする。

 

「これってもしかして、この店先の道路じゃないですか?」

 

「ええ、正解よ」

 

ヤスの言葉に対して、恵美さんは満足そうに頷く。

 

「でも何でこんな動画がここに映ってるのかしら?」

 

「この動画は長谷川君が乗ってる、マシンドレッサーに搭載したカメラからリアルタイムで送信されているのよ。E2にも同様のカメラを搭載してあるから、何処に居ても常に新しい情報が得られるの」

 

古川さんの質問に自信満々で答える恵美さん。

 

暫くはマシンドレッサーに設置されたカメラから見える、道路の映像が流れていたが、程無くして海岸が見えて来る。

 

海岸は俺の中の記憶とは違い、荒れ果てていた。

 

至る所にデコボコな穴が乱雑に開き、海岸の付近に設置された施設なども、ただの瓦礫と化していたのだ。

 

そしてカメラの方向が変わったその時、この光景を作り出したと思われる張本人が、カメラ越しに映る。

 

大きく尖った瞳が、あらゆる方向に動き、爬虫類特有の緑色のブツブツの表皮を持つ、人間大の異形の存在。

 

一言で表すのであれば、カメレオンに近いと言えるだろう。

 

他にそれらしき姿も見えないので、あのカメレオンに良く似た異形の怪物が、タッチノートに反応したホルダーと思って、まず間違いない筈だ。

 

既に鳥羽さんと長谷川さんは、其々に変身をしていたので、カメラにはホルダーに向かって走っていくアクセスとE2の背中が映り込む。

 

更にそこで、恵美さんがパソコンのキーボードを操作すると、新たに画面が一つ追加されて、今度はホルダーの姿がアップで映し出された。

 

恐らく今映っている映像は、E2に搭載されたカメラから映し出されているのだろう。

 

「良いわよ二人とも!」

 

マイク越しに、E2とアクセスに声援を送る恵美さん。

 

確かに戦いは終始、E2とアクセスが優位に進めている。

 

アクセスが前衛でホルダーと格闘戦を繰り広げ、E2がESM01の射撃でで支援するという、中々に息の合ったコンビネーションで、ホルダーを追い詰めていく。

 

二人の戦い振りを見て、これならば別に俺が無理に行かなくても今回は大丈夫かなという考えが脳裏を過ったその時だ。

 

「何ですって!?」

 

画面を見ていた恵美さんが、驚愕の声を上げた。

 

声にこそしなかったが、パソコンに映る映像を見て驚いたのは、俺を含むこの場に居る全員である。

 

それというのも、よろけたホルダーを攻撃しようと繰り出されたアクセスの拳が空振りに終わった為だ。

 

しかもその空振りした理由が、目の前でホルダーの姿が霧の様に消えてしまうという、常軌を逸した現象による為である。

 

断定は出来ないが恐らく姿を消す事が、あのホルダーの能力なのだろう。

 

アクセスとE2の身体から火花が上がり、見えない何かに攻撃されているという事が、映像からでも十分に理解出来る。

 

「姿を消すなんて、随分と厄介な相手ね……」

 

恵美さんは苦々しい表情を見せつつも、現状を打開するべき策を考えているのか、眉間に人差し指を当てる動作をした。

 

これは俺も参戦するべきかと思うのだが、相変わらず椎名さんが俺の腕を掴んで放そうとはしてくれない。

 

こうなったら怪しまれるのを覚悟で、無理矢理にでも振り解いて現場に向おうかと考え始めたその時。

 

「あれ?」

 

何気無くパソコンに映った映像を見ていた田中さんが、訝しげに首を捻る。

 

「何か変わったものでも映っていたんですか?」

 

田中さんの様子が、気になり俺が質問を投げ掛けると、田中さんが画面の一部に指を差す。

 

「いや、さっきこの画面の部分に何か変な違和感があった気がするんだけど、気のせいだったのかな……」

 

「ちょっと待ってて。今、録画映像の方も出して、その部分を拡大してみるから」

 

田中さんの指摘を受けて、恵美さんが素早くキーボードを叩いていくと、今からほんの少し前の映像が、田中さんが言っていた部分を拡大した状態で、新たな画面として映し出される。

 

映像は丁度、E2が攻撃を受けた場面を、マシンドレッサーのカメラから撮影されていたところで、足下には海水浴に来ていたお客さんが作ったと思われる、海水の溜まった小さい穴が開いていた。

 

更に恵美さんがキーボードを操作すると、その画像はスローモーションとなって再生されて、田中さんが感じたという違和感の正体が明らかになる。

 

「なるほど……そういう事だったわけね」

 

その映像を見て、悪戯を思い付いた子供の様な笑顔を見せると、恵美さんは早速、マイク越しに指示を飛ばす。

 

「二人とも!今から私の指示通りに動いて頂戴!今からホルダーの姿を炙りだすわよ!!!」

 

恵美さんの指示を受けて、E2とアクセスが動き出す。

 

まずはE2がマシンドレッサーまで戻り、ESM03を持ち出すと砂浜に向って射撃を撃ち続ける。

 

ガトリング銃であるESM03の射撃によって、砂浜全体に砂埃が舞い上がるが、それも作戦の内で、この射撃自体はホルダーに対しての攻撃という訳ではない。

 

更に此処で視界が砂埃で悪くなっているのだが、画面の隅でアクセスが海に向って右手をかざしている姿が見えた。

 

次の瞬間、大きな水の塊が、風船の様になって、上空に持ち上がり。底の部分から海水が雨の様に砂埃が舞う砂浜に降り注ぐ。

 

変化はすぐに起きた。

 

雨によって砂埃が沈静化すると同時に、先程まで姿が消えていた筈のホルダーの輪郭がはっきりと映像に映し出されたのである。

 

「どうやら上手くいったみたいね」

 

自身の作戦が成功した事に、恵美さんは安堵する。

 

田中さんの見つけた違和感の正体……それは消えた筈のホルダーの身体の一部が映し出された事だった。

 

実はあの映像で何も無い筈なのに、海水の溜まった小さな穴に何か石の様な物体が投げ込まれた様な波紋が広がるという場面が映し出されたのだが、その直後に水溜りの中からホルダーのものと思われる緑色の足が出て来たのだ。

 

その現象を見た恵美さんは一つの仮説を立てた。

 

あのホルダーの姿の能力は、身体が濡れてしまうと強制的に解除されてしまうのではないかと。

 

恵美さんの指示の下、E2がESM03で砂浜を撃ち爆煙を舞い上げ、視界を奪いその隙にアクセスが海の水を操り上空から雨の様に降らせた訳だが、その作戦は見事に成功した。

 

姿を晒したホルダーに対して、E2とアクセスが猛攻を仕掛ける。

 

二人は見事なコンビネーションで、確実にホルダーを追い詰めていく。

 

戦いを優勢に進めていく姿を見て、このままいけば、俺が行かなくても大丈夫だろうと思ったその矢先……

 

「良いわよ2人とも!このまま……えっ!?」

 

声援を送る恵美さんが唐突に、驚愕の声を上げる。

 

画面に映るのはE2とアクセスがホルダーと戦う姿……それに加えて光の球体が映り込む。

 

その光の球体は、自らの意思を持つかの様に、迷う事無くホルダーの体内へと吸い込まれていった。

 

間違い無く、あの光の球体は試練の光だ。

 

試練の光を吸収したホルダーの身体に、劇的な変化が訪れる。

 

ホルダーの全身は緑から、茶色い表皮に変色して頭部の形状も、カメレオンに近い造詣を残しながら、まるでドラゴンの様な鋭い牙が生え揃っていく。

 

手足にも鱗の様なプロテクターが生成されて、ホルダーは異様なプレッシャーを放つ存在へと昇華した。

 

当然の状況の変化に戸惑いながらも、攻撃を再開しようと動くE2とアクセス。

 

だが2人の攻撃が届くよりも早く、ホルダーは忽然とその姿を俺達の前から消してしまう。

 

見えない攻撃が、再度としてE2とアクセスに襲い掛かる。

 

ダメージを受けながらも、2人は恵美さんの作戦をもう一度実行に移すのだが……

 

「そんな!?」

 

恵美さんは再び、画面を前に驚愕する。

 

作戦は失敗したのだ。

 

試練の光の影響を受けたホルダーは、水に濡れてもその姿を現す事は無かったのである。

 

いや、もしかしたら効果自体はあるのだが、ホルダーが何らかの方法で自らが水に濡れるのを防いでいる可能性もゼロじゃないだろう。

 

だがそれを確認する術が無いのであれば、どちらでも変わりは無い。

 

一刻も早く加勢に向いたいという気持ちは山々なのだが、それにはまず俺の腕を放そうとしてくれない椎名さんを説得しなければならない。

 

だけど、どうやって?

 

下手な理由じゃ、まず納得しないだろうし……

 

何か策を練ろうと俺は頭を悩ませる。

 

しかし、俺は次の瞬間、ある人物の行動によって今まで必死に考えていた事が、無駄であったという事を思い知る結果となった。

 

「あの、ちょっとトイレに行ってきますね」

 

何気無くそう発言した田中さんの言葉に便乗し、俺はトイレの小窓から外に出る事に成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『遅いぞマスター!』

 

「悪かったよメカ犬。それよりホルダーは!?」

 

無事に翠屋を抜け出してチェイサーさんを呼んで、海岸に駆け付けると、メカ犬から当然のお叱りを受けた。

 

『ホルダーならば、この先の海岸でE2とアクセス両名と戦闘中だ。ワタシ達も急いで参戦するぞ!』

 

「分かった!」

 

俺はメカ犬に頷きつつ、手にしたタッチノートを開く。

 

『バックルモード』

 

タッチノートから音声が響き、メカ犬がベルトに変形して、自動的に俺の腹部へと巻きついた。

 

「変身」

 

俺は音声キーワードを紡ぎ、タッチノートをベルト中央の窪みへと差し込んだ。

 

『アップロード』

 

ベルトから響く音声と共に、俺の全身が光に包まれ一人の戦士へと変える。

 

メタルブラックのボディーが輝くシードへと変身を果たした俺は、戦いの場となっている海岸に向けて駆け出した。

 

『ところでマスター』

 

「何だよメカ犬」

 

『先程も来る最中にタッチノートを通して聞いたが、今回のホルダーは姿が見えないのだろう。何か対策は立てているのか?』

 

今から参戦するにしても、相手の姿は見えないのである。

 

メカ犬がその辺りを疑問に思うのも、当然の話だ。

 

「通用するかどうかは別として、一応の対策は考えてあるさ」

 

まだ実践した事は無いので、確証は無いが、もしかしたらという方法が一つだけ俺の脳裏には浮かんでいる。

 

その作戦を実行に移す為に、俺はベルトからタッチノートを引き抜き、操作を開始した。

 

『フェザー・コール』

 

メカ鳥を呼んだ俺は、メカ鳥がこの場に到着する前に全ての準備を終える為に、新たな行動に移る。

 

ベルトの右側をスライドさせて、俺は青いボタンと黄色のボタンを順番に押していった。

 

『サーチフォルム』

 

まずはメタルブラックのボディーが、音声と同時にスカイブルーへと染め上がる。

 

『サーチバレット』

 

続いて俺の右手に光が集まり、サーチフォルムの専用武器である銃。

 

サーチバレットが生成される。

 

『なるほど……そういう事か』

 

俺の一連の行動で、今から俺が何をしようとしているのか気付いたメカ犬が、納得の声を上げると翼を羽ばたかせる音が、サーチフォルムによって強化された聴力を持つ、俺の耳に届く。

 

『お待たせで『スタンディングモード』やっぱりでゴザルか!?』

 

メカ鳥の前口上は長いので、来た瞬間にタッチノートを操作してアタッチメントパーツへと変形させて、落ちて来たメカ鳥を掴み取ると、俺は生成したサーチバレットを一旦小脇に挟み、ベルトの左側をスライドさせて、アタッチメントパーツを差し込んだ。

 

『サーチ・フェザー』

 

差し込んだ瞬間に、周囲に展開されたメタルホワイトの装甲が、次々と俺の全身に装着されて、最後に二対の白い翼が俺の背中に装着された。

 

このフォルムとなった瞬間、今までに無い感覚が俺の中に去来する。

 

全ての五感に加えて、更に感覚を強化した今。

 

俺の脳内では制御し切れない、多くの情報が音や映像となって大きな圧力と負担を強いる。

 

だが今はこれで良い。

 

この状態の俺は、ペガサスフォームとなったクウガに一番近い状況とでも言えるだろう。

 

最大限に強化された全ての感覚が、何もせずとも無秩序に大量の情報を俺に送り付けてくる。

 

俺は背中の翼を広げて、上空へと舞い上がり、意識を集中させていく。

 

意識を集中させるのは、ただ一点のみ。

 

E2とアクセスが戦っている、姿の見えないホルダーだ。

 

確かにホルダーの姿は、全ての感覚を限界まで強化した今の俺にでさえ見る事は出来ない。

 

だが、ホルダーはその存在そのものを消したという訳ではないのだ。

 

実体が其処にある以上、動けば音がするし、周囲に物理的な影響を及ぼす。

 

その全てを解析出来たならば、例え直接ホルダーの姿が見えないとしても、居場所を割り出す事が出来る。

 

「そこか!」

 

研ぎ澄まされた意識が、幾多の情報をパズルのピースの様に嵌め込み、ホルダーの位置を示す。

 

「こんな悪夢はここで終わらせる!」

 

俺はこの戦いに終止符を打つ為に、アタッチメントパーツのレバー下のボタンを押す。

 

『マックスチャージ』

 

ベルトから伸びる銀のラインを伝い、稲妻の様に輝く光がサーチバレットの銃口へと集約されていく。

 

「こいつで決めるぜ」

 

俺は光り輝く銃口を、一点に向けて引き金を引く。

 

「ロックオンショット」

 

極限にまで集約された光の閃光が、撃ち出される。

 

そして光の閃光は、見えない何かを貫く。

 

貫いた瞬間に姿を現したのはホルダーだった。

 

貫かれた胸を押さえる仕草を見せるホルダーだったが、最後は膝を着き大きな爆発を引き起こす。

 

爆発の後には、気を失った海パン姿の青年が居た。

 

恐らくはこの青年が、ホルダーの素体となっていたのだろう。

 

「うっ!?」

 

『大丈夫かマスター!?』

 

それを確認した時点で、強烈な頭痛が襲い掛かってきた。

 

「……ああ、ちょっと慣れない感覚に疲れただけだ」

 

俺は心配するメカ犬に、そう言いながら少しホルダーが爆発した地点から離れた砂浜に着地して変身を解いた。

 

戦いが終わったという事への安心感も手伝ってか、慣れないサーチ・フェザーの感覚に、普段とは違う疲労感が一気に襲い掛かり、俺は服が汚れるのも構わずに、砂浜に座り込んだ。

 

それから暫くの間、休んでいるとホルダーの爆発した方角から、光る球体が飛来してきたのである。

 

間違い無くそれは試練の光だった。

 

恐らく先程の爆発したホルダーの体内にあった、試練の光と思って間違い無いだろう。

 

「もしかして……」

 

俺はまさかと思いながらも、ズボンのポケットから、若干白く濁った石を取り出して、試練の光の前に掲げた。

 

すると俺の予想した通り、試練の光は石の中に吸い込まれていき、石自体が眩い光を放つ。

 

そしてその光が収まると、先程よりも少しだけ白みが増した石が、俺の手の中にあった。

 

「……やっぱりか」

 

『一体その石は何なんだろうか?』

 

メカ犬の疑問に対して、俺は何も答える事は出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今、翠屋の店内で正座をしていた。

 

それを気の毒そうに見ている恵理さんとヤスの視線を感じるのだが、そう思うのならばこの状況から俺を助け出して欲しいと願わずには居られない。

 

例えそれが、無理な注文だと分かっていたとしてもだ。

 

「ちょっと聞いてるんですか板橋君!?まだ私のお話は終わってないですよ!」

 

俺が意識を違う方向に向けている事を、察知したのか椎名さんがおっとりした口調でいながらも、明らかに怒気を含んだ声色で、俺を呼ぶ。

 

何故俺が、こんな状況に陥っているのか。

 

端的に言えば、俺が翠屋から抜け出した事が露見した為である。

 

当然ながら俺は椎名さんの怒りを買い、こうして正座で反省会を執り行われている訳だ。

 

この場で事情を察している恵理さんとヤスだけが、そんな俺に対して同情の念を送っているという図式が成り立っているのだが、同情するならば、せめて多少のフォローを入れて欲しいと思うのは贅沢な話しだろうか。

 

恵理さんとヤスは当てにならないし、田中さんと古川さんも、俺と椎名さんのやり取りを気にしていたのは最初の数分だけで、その後は合コンの続きとばかりに、話に花を咲かせている。

 

恵美さんは長谷川さんが戻って来ると、事後処理をしなくちゃいけないからと言って、長谷川さんを連れて警察署に行ってしまった。

 

更には保奈美さんと、戻って来た鳥羽さんまでもが、そんな俺と椎名さんを見て仲が良さそうで何よりだとと言わんばかりの生暖かい視線を向けて来る。

 

誰でも良いから、この状況を何とかして下さいと、願いながら俺は更に一時間にも及ぶ椎名さんの説教に晒され続ける事となった。

 

出会ってから間もない俺を、本気で心配してくれているというのが分かるだけに、俺も椎名さんに対して強い態度に出る事は出来ず、こうして俺の初合コン?は、長時間に及ぶ足の痺れを伴いながら静かに盛り上がりを見せつつ終了の時を迎える運びとなったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーを亡き者にする為に、用意したホルダーだったが、結果は芳しいものとは言えないままに終わってしまった。

 

どうやら私は、相手の力量を見誤っていたのかも知れない。

 

いや、ただ焦っていただけなのだろう。

 

確かに残された時間は多いとは言えない上に、大きな問題を抱えているとなれば、慌ててしまうのも仕方ない無い。

 

だがそんな時にこそ、冷静に状況を見極めなければ、全てが本当に無駄に終わってしまうというものではないだろうか。

 

少なくても、今回はただ結果を焦り過ぎ、貴重な試練の光を無力化されてしまった。

 

本来であればもっと有効に活用して、新たな情報を収集する事も可能だった筈である。

 

冷静に考えれば、分かる事だったのだ。

 

確かに仮面ライダーは大きな障害となるが、私の目的は仮面ライダーを倒す事ではない。

 

手段と目的を取り違えてはならない……

 

それに気付けただけでも、今回の事には意味があると言える。

 

今はまだ大きく動く時ではない。

 

時が満ちる前に、全ての準備を整えなければ……

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