魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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第44話 新たなる力 【後編】

「おりゃああああ!」

 

理不尽な力で殴り掛かるホルダーの拳を何とか受け止めて、アクセスが膝蹴りを叩き込むが、少しも堪えた様子を見せない。

 

「はあ!」

 

其処へ後方からE2がESM01による射撃でホルダーの背中を狙うが、こちらもホルダーには全く持ってダメージを受けた様子は皆無だった。

 

続けてアクセスがホルダーとの近接戦を繰り広げるが、地力の差からアクセスはホルダーが放つ強拳によって吹き飛ばされてしまう。

 

それを見て、何とかアクセスのフォローに回ろうと、銃撃をしながら接近して、垂直蹴りをホルダーに食らわせるE2だったが、ホルダーによってその蹴り足を掴まれてしまい、そのまま投げ飛ばされる。

 

「大丈夫か刑事さん!?」

 

倒れこんだE2を、逸早く立ち上がったアクセスが助け起こす。

 

「……はい。僕は……何とか大丈夫ですが……」

 

E2はアクセスの手を借りて何とか立ち上がりながら、目の前の強敵へと視線を向ける。

 

二人のライダーは同じ事を考えていた。

 

目の前のホルダーは今まで戦ってきたどの敵よりも、段違いに強いと。

 

「強い奴と戦えるのは嬉しいが、流石にちっとキツイかな」

 

強い相手と戦う事に喜びすら感じる筈のアクセスですら、珍しく弱音を吐く。

 

それと言うのも、地力が違い過ぎて、此方がどれだけ攻撃しても効かない上に、向こうのからの一撃は、冗談ではない程に効くのだから、不満の一つも出るのは当然の事だと言えるだろう。

 

「……それでも、僕達が戦わなくちゃ!」

 

自らを鼓舞して、再びESM01をホルダーに向けるE2。

 

「刑事さん。もしかして板橋の事を気にしてるのか?」

 

何時に無く声を荒げるE2に、アクセスは素直に心に湧いた質問を投げ掛ける。

 

「気にしてないって言えば嘘になりますけど、僕は何処か納得もしてるんです」

 

「奇遇だな刑事さん。俺もシードの正体が板橋だってのには驚いたが、何となく同じ気持ちなんだよな」

 

E2の回答にアクセスは、この状況下において満足そうに笑い声を上げる。

 

「上手くは言えないんですけど、板橋君がシードさんだったって知ったら、不思議とやっぱりそうだったんだと思えてしまって……普通に考えたら、体型も変身前と後じゃ全然違うのに……おかしいですよね」

 

「そうでもないんじゃないか? 板橋だったらもう何でも有りって事で、細かく考えなくても良いと思うぜ俺は」

 

「ははは。確かに言われてみれば、板橋君なら何をやっていてもおかしく無いかも知れないですね」

 

「そうだろう! 案外、俺達が戦ってる間に、ベットからひょっこりと抜け出して、こっちに顔を出すかもな」

 

この場には居ない一人の少年を話題に、好き放題に言う二人ではあったが、其処には確かな絆があった。

 

一人の友人として短くない時間を過ごし、正体は知らずとも共に苦しい戦いを乗り越えてきた戦友。

 

その二人が同一人物であると理解したからこそ、二人は言葉だけでは言い表す事の出来ない、不思議な信頼感を彼に覚える。

 

「でも、怪我人をこんな場所に連れ出す訳には行きませんから!」

 

「さっさと俺達だけで片を着けようぜ!」

 

E2とアクセスは劣勢を吹き飛ばす勢いで、再びホルダーへと突貫する。

 

先陣を切り、アクセスが殴り掛かり、その横合いからE2が射撃で牽制するが、ホルダーは微動dにしない。

 

やがてESM01の残弾が尽き、後方からの支援が完全に途絶えるが、それでもアクセスはホルダーに打撃を浴びせ掛け続ける。

 

それを見たE2も役目を終えたESM01を自ら手放して、アクセスと共に肉弾戦を仕掛ける為に、駆け寄っていく。

 

二人のライダーは勇猛果敢に立ち向かうが、それでも相手に傷一つ付ける事は叶わない。

 

それどころか、ホルダーが戯れに軽く手足を動かして攻撃を仕掛ける度に、E2とアクセスの両名は深刻なダメージを負っていくのである。

 

「はあああああああああ!」

 

「うをおおおおおおおお!」

 

残り僅かな力を振り絞り、E2とアクセスは必殺とでも呼ぶべきに値する威力の拳を放つのだが、その二つの拳は無情にもホルダーの手でいとも容易く受け止められてしまう。

 

そしてホルダーは、無造作に掴んだ腕に力を込めて、E2とアクセスを投げ飛ばした。

 

「ぐわっ!?」

 

「うっ!?」

 

その衝撃によってE2の仮面は吹き飛び、装着者である長谷川の顔が露出する。

 

更にアクセスも許容範囲を大きく超えるダメージを受けた為に、変身が強制的に解除されて、本来の鳥羽の姿へと戻ってしまう。

 

「……大丈夫か……刑事さん?」

 

「鳥羽さんこそ……後は僕がなんとかしますから……早く逃げてください」

 

ボロボロになりながらも、長谷川と鳥羽の両名は立ち上がり、目の前のホルダーを見据える。

 

「馬鹿言うなよ刑事さん。やっと……面白くなってきたところじゃねえか?」

 

「本当に変わり者ですよ……貴方って人は」

 

「最高の褒め言葉だぜ」

 

もう戦える限界を超えている筈なのに、それでも二人は勝利を信じて立ち上がり、こんなにも絶望的な状況だというのにも関わらず、互いに笑顔を向ける。

 

「君達はどうして、そんなになってまで戦うの?」

 

その一連の状況を今まで静観していた藍色の怪人、オーバーが純粋な疑問として二人に問い掛けた。

 

「ふん。そんな分かり切った事を、今更聞くか?」

 

「僕達が戦う理由は……」

 

鳥羽と長谷川は、同時にオーバーの質問に迷い無く答える。

 

「俺が」

 

「僕が」

 

「「仮面ライダーだからだ!」」

 

きっとこの場に居ない少年も、同じ状況で同じ質問をされていたとしたら、二人と全く同一の答えを返していた事だろう。

 

長谷川と鳥羽は内心で、そんな事を考えていた。

 

威勢良く啖呵を切ったものの、状況が好転した訳ではない。

 

ホルダーは一歩ずつ二人に向けて歩を進める。

 

だが、ここで二人とホルダーの合間に、一台の黒いバイクが割り込んだ。

 

そしてそのバイクからは、一人の少年と銀色に輝くシルバーカラーの犬が舞い降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チェイサーさんに頼んで、現場に急いだ俺だったが、その壮絶な現状に俺は、思わず息を呑んだ。

 

E2の仮面は完全に壊れて、装着者である長谷川さんの顔は露出状態になっているし、鳥羽さんも既にボロボロな上に変身まで解けてしまっている。

 

二人がこんな状況になるなんて、余程の事だ。

 

だからこそ二人の状態はそれだけ、あの黒いホルダーの強さが桁違いなのだと、どんな言葉よりも雄弁に語っている。

 

「結局……来ちまったんだな」

 

「板橋君……」

 

俺を見て、鳥羽さんと長谷川さんが、呆れ交じりの溜息を吐く。

 

個人的な見解としては、仲間のピンチに颯爽と現れた感じに思えるのだけれど、それは俺の勘違いだったりするのだろうか?

 

だとしたら今の俺は、かなり恥ずかしい存在だぞ……。

 

別ベクトルで凄い不安に駆られるが、その後は二人共、優しく俺に微笑み掛けてくれたので、どうやらその考えは杞憂の様だ。

 

「長谷川さん。それに鳥羽さん。後は俺に任せてくれませんか?」

 

俺は二人がもう戦える状態ではないと判断して、この場を引き継ぐ事を宣言する。

 

「そんな水臭い事言うなよと言いたいところだがよ……」

 

「……残念ですけど、今の僕達じゃ一緒に戦うだけで足手纏いだって分かってます」

 

「二人がくれた時間のおかげで、俺は充分に休めましたから、今度は二人が休んでいてください」

 

二人と言葉を交わして。俺はメカ犬と共に振り返り、タッチノートを開く。

 

『勢いで来たは良いが、勝算はあるのかマスター?』

 

「さあな。正直に言ってこのままじゃ勝てる気なんてしないけど……それでも何とかなるんじゃないかな」

 

『何時に無くお気楽な回答だな』

 

「まあ、勝算は無いけど、一つだけ試してみたい事があるんだ」

 

『試してみたい事?』

 

俺はメカ犬に対して、そう言った後に笑って誤魔化した。

 

だって今から試したい事が、夢で見た事なんだと言っても、まだ寝ぼけているのかと突っ込まれそうだからだ。

 

俺はタッチノートに向けて、ポケットに入れていた白く輝く石を翳す。

 

するとこれまで多くの試練の光の分身を取り込んできた石は、タッチノートの中に一瞬で吸い込まれてしまう。

 

『マスター!?』

 

その光景を前に、メカ犬が驚愕の声を上げるが、正直に言って実行した俺自身もかなり驚いているのだ。

 

もしかしたらと思って、試しにやってみただけなのだから……。

 

気を取り直して、俺はタッチノートの操作を続ける。

 

『バックルモード』

 

音声がタッチノートから響き、隣に居たメカ犬がベルトに変形して俺の腹部へと巻きつく。

 

「変身」

 

そして俺は音声キーワードを入力し、タッチノートをベルトの中央へと差し込む。

 

『アップロード』

 

眩い光が俺の全身を包み込み、俺自身の姿を仮面ライダーシードへと変貌させる。

 

シードへの変身が完了した直後、間髪入れずに、ホルダーが襲い掛かってきた。

 

相変わらずの桁違いな威力を誇る拳を何とか受け流すが、それも最初の一撃を受け流すのがやっとで、二撃目の拳は両腕を交差させてガードするが、その拳の衝撃だけで俺は後方へと吹き飛ばされてしまう。

 

「やっぱりこのまま戦うのは無理か……」

 

俺は充分な距離をホルダーと取っている事を確認して、ベルトからタッチノートを引き抜いて開く。

 

あの石を吸収した事によって、タッチノートには新たな項目が追加された。

 

今こそその項目を使うべき時なのだ。

 

『コール・ガイア』

 

『コール・ダイバー』

 

『コール・ライガー』

 

『コール・フェザー』

 

タッチノートを操作し続ける事により、メカ竜、メカ海、メカ虎、メカ鳥をこの場へと呼び寄せる。

 

『呼ばれて参上です!』

 

『お待たせなんだわさ~』

 

『マスター。もう身体は大丈夫ジャン?』

 

『全員を招集とは何事でゴザルか!?』

 

少しの間を置いて、慌しい面々が到着するが、本番はここからだ。

 

「皆の力を貸してもらうぞ!」

 

俺はそう言ってから、タッチノートに新たに加わった項目を実行に移す。

 

『マスターフォルム』

 

音声が響くと同時に、俺はタッチノートを再びベルトに差し込む。

 

すると両手両足にリング状の突起が生成される。

 

更に呼び寄せたメカーズ達が、アタッチメントパーツに良く似た腕輪の形状となって、メカ竜が右腕、メカ海が左腕、メカ虎が右足、メカ鳥が左足へと、それぞれ装着されていく。

 

変化はまだ終わらない。

 

更に追加パーツとなる黄金色の鎧が俺の全身に装着されて、今までに無い程の大きな力が俺の中へと宿る。

 

『な、何なのだこの姿は!?』

 

この姿となった事に驚くメカ犬。

 

それもその筈だろう。

 

本来ならば、シードにこんなパワーアップシステムは存在しない。

 

この姿は、俺が試練の光に願った事によって生まれた、全く新しい力なのだから。

 

仮に今の状況を名付けるのであれば、仮面ライダーシードマスターフォルムとでも言うべきだろうか。

 

「こんな悪夢はここで終わらせる!」

 

俺は新たな力を得て、再びホルダーと対峙する。

 

先に仕掛けてきたのはホルダーだ。

 

繰り出される拳を俺は腕でガードする。

 

大幅に増幅された力によって、俺はガードした状態から逆にホルダーを吹き飛ばし、更に追撃を行う。

 

反撃として繰り出す拳と蹴りは、着実にホルダーへとダメージを与えていく。

 

「さあ、そろそろフィナーレだ!」

 

俺はホルダーを蹴り飛ばしてから、一旦距離を置き、右腕のメカ竜のレバー部分を引く。

 

『ガイアチャージ』

 

音声が鳴り響き、光が俺の右足に集約されて、四体の分身体を生み出す。

 

更にその分身体の姿は、それぞれがガイアモードとなった、ベーシック、スピード、サーチ、パワーフォルムであり、皆違った必殺技の構えを取っている。

 

「こいつで決めるぜ」

 

俺は大きく跳躍した瞬間に、分身体もそれぞれの特徴を使った必殺の一撃をホルダーに喰らわせていく。

 

そして俺は上空から、留めの一撃となるキックを、ホルダーに向ってお見舞いする。

 

「マスターガイアスマッシュ」

 

必殺の一撃は、見事にホルダーを捉えて、ホルダーは大きな爆発を引き起こす。

 

その爆発地には、意識を失った島川さんと完全に粉々となって飛散する暴走プログラム。

 

更に島川さんの身体の中から、飛び出した試練の光は、そのままタッチノートの中へと吸収された。

 

多分これは、あの石をタッチノートに吸収させた事が原因なのだろう。

 

周囲を見渡すと、少し前まで様子を静観していた筈のオーバーの姿も何処にも無い。

 

ここまで確認して、取り敢えず戦いが終わった事を実感した俺は、ベルトを外して変身を解く。

 

「……疲れた」

 

そして俺は一言だけ呟き、この場で意識を手放した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日後。

 

長谷川さんに、鳥羽さん、そして恵美さんに俺がシードだとばれてからというもの、色々と大変な日々を送っている。

 

一応は俺の正体を今のところは秘密にしてくれるという事になったのだが、それでも個人的にシードと関わりたい用事が後を絶たない様なのだ。

 

長谷川さんからは、戦いの連携の特訓をしようと頻繁に誘われるようになり、恵美さんからは何やら怪しい実験に付き合わされそうになる始末。

 

更に極め付けは、鳥羽さんが事ある毎に、ベルトを巻いて笑顔で戦いのお誘いをしてくるのである。

 

これでは身体が幾つあっても足りない。

 

そうは思うが、不思議と嫌な気分ではない。

 

今まであった壁が壊れて、更に本音で接する事が出来る様になったとでも言うのだろうか。

 

兎に角、気分は清々しいと胸を張って言える。

 

ただ幾つかの懸念はある……。

 

あの桁違いに強かったホルダーは、何を意味するのか。

 

これまで以上に厳しい戦いが待っているのは、間違い無いだろう。

 

だが、どんなに厳しい戦いが待っていたとしても、俺には心強い仲間達が居てくれる。

 

少し問題がある人達だと、内心で少し思ってもいるが……まあ、それは御愛嬌という奴だ。

 

『何を書いているのだマスター?』

 

「いや、ちょっと日記をな……」

 

後ろからメカ犬に話し掛けられて、俺はペンを置き答える。

 

『どんな内容を書いていたのだ?』

 

「別にたいした内容じゃないって」

 

俺はメカ犬に書いた内容を見られない様に、ノートを閉じて机の中へと早々に片付ける。

 

メカ犬の質問に、お茶を濁しながら俺はメカ犬を引き連れて部屋を出た。

 

今日の海鳴は裏で何かの陰謀が動いていると感じるが、それでも俺の過ごす日常は……とても平和だ。

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