魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーE2ロストプロジェクト~友の消失~

住宅街の裏にひっそりと存在する空き地。俺の目の前でメカ犬がその空き地を縄張りとしている情報屋なチワワのジャックと情報交換を行っている。

 

傍から見れば、フルメタルな犬と愛らしいチワワがじゃれている様にも見えるが、その会話? 内容は至って真面目だという事を二匹の名誉を守る為に補足しておこうと思う。

 

話し合いは五分も掛からず、報酬のビーフジャーキーをジャックに渡し、俺はメカ犬に話し掛けた。

 

「何か分かったのか?」

 

生憎と俺には犬語は理解できないので、ジャックがキャンキャンと鳴き、メカ犬がうむと頷いている様にしか見えなかったので改めて会話内容を確認しなくてはならない。

 

メカ犬に自動翻訳してもらうという手もあるのだが、話が長くなるのであればそれも面倒というものだ。

 

『色々と分かったぞ』

 

そんな俺の心情を知ってか、メカ犬は先程までジャックと話していた内容を改めて俺に話し始めた。

 

どうやらジャックの情報によると、この一週間で被害者は14人にも昇るらしく、単純計算で一日に二人は被害に遭っているという計算になる。

 

基本的に犯行が行われるのは夜。

 

ただしその時刻に明確な規則性は存在せず、早い時間では夜の7時頃から遅い時間だと深夜の2時を回るらしい。

 

流石にこの情報だけでは、対策の立て様も無いが、幸いな事にジャックからの有益な情報はもう一つある。

 

それは被害者の全員が、被害を受ける少し前に、ある人物と接触していたという事だ。

 

短絡的その人物がホルダーだとは現時点では言えないが、その人物の動向を探れば何かしらのヒントを得る事が出来るかもしれない。

 

最悪でもその人物と接触した誰かが次の被害者となる可能性があるのならば、未然に防ぐという手段も可能となる筈だ。

 

「その人がホルダーかどうかはさて置き、全くの無関係とも思えないな」

 

『うむ。それを確認する為に、今回は先に偵察隊を送り込む予定だ』

 

「て、偵察隊?」

 

メカ犬の口から零れ出た予想外な言葉に対し、俺は思わず聞き返していた。

 

まるで当然の様にメカ犬はうむと頷いているが、当然ながら俺は今まで偵察隊が居るなんて話は聞いた事も無い。

 

「そんなもんを何時の間に作ったんだよ」

 

『実は結成したのはつい最近なのだ。一年にも及ぶ長く苦しい鍛錬を思い出すとワタシは今でも胸が熱くなる』

 

一年前というと、まだ俺がメカ犬と出会って間もない頃である。

 

以前から何処かへふらりと出掛ける事が、当初からあったがまさかそんな怪しい団体の立ち上げをプロデュースしているとは夢にも思わなかった。

 

「……なあメカ犬。とある事を聞くんだが、その偵察隊ってどんな奴らなんだ?」

 

『うむ。良くぞ聞いてくれた!』

 

俺のなけなしの勇気と気力を振り絞った質問に対して、メカ犬が待っていましたとばかりに答える。

 

いや、多分だがこうやって聞かれるのを待っていたんだろうなコイツは。

 

だって普段は滅多に動かないフルメタルな尻尾が、何でも斬れそうな必殺技を放つ寸前みたいなモーションで円を描く様に動き回っているんだもの。

 

メカ犬とは何だかんだで一年以上の付き合いになるが、ここまで尻尾が激しく自己主張をしているのを、俺は今まで見た事が無い。

 

『それでは早速マスターに紹介しよう。彼らがワタシが一年間の間に鍛え上げた精鋭達だ!』

 

「え!? まさかここに来てるのか!?」

 

メカ犬の号令と同時に空き地の土管の中から何者かの影が飛び出してきた。

 

どうやらメカ犬は予め、その偵察部隊とやらにも、空き地に来る様に指示していたらしい。

 

きっと最初からここで俺にお披露目する腹積もりだったのだろう。

 

そのサプライズ精神には微笑ましさすら感じるが、土管から出てきた影の正体が俺の視界に写り込んだその瞬間にそんな気持ちは瞬く間に飛散する。

 

「な……」

 

俺は影の正体を見ると同時に絶句した。

 

何故ならば……。

 

「な、何で……熊が居るんだよ……」

 

俺の目の前には体長2メートルに及ぶ巨体な熊が居たのである。

 

触るとゴワゴワとしていそうな全身を覆う茶黒い毛並みに、胸の下に浮かぶ三日月型の模様から、恐らく種類はツキノワグマと思われるが、俺もそんなに熊の生態に対して詳しい訳ではないので良く分からない。

 

多少なりとも知っている事と言えば、昔から言われている熊に遭遇したら死んだフリをするのが有効だというのは間違いであるというプチトリビア程度が関の山である。

 

『紹介しよう。彼が主に森や山等を担当する熊のプーヤンだ』

 

冷静に唐突に現れた熊を改め、プーヤンを淡々と紹介するメカ犬だが、今の俺には突っ込みを入れる余裕も無い。

 

唐突な驚きによって固まる俺に握手を求める様に、プーヤンが右手? を前に差し出すが傍から見れば凶暴な熊が子供に襲い掛かる瞬間という衝撃映像にしか見えないだろう。

 

「……ど、どうぞよ、よろしく……」

 

それでも俺はなけなしの気力を振り絞り、差し出されたプーヤンの右手?を掴み、友好のシェイクハンドを果たす。

 

未だに目の前に本物の熊が居るという衝撃には慣れないが、思いのほか肉球の感触は柔らかくプニッとしていて少しだけ心が和んだ。

 

『そして次に紹介するのが彼女だ!』

 

「まだ他にも居るのか……」

 

プーヤンというあまりにも衝撃的過ぎるインパクトに忘れかけていたが、メカ犬は忘れそうになっていたが、メカ犬は偵察隊と言っていたから複数の構成員から成り立っているのは当たり前の話である。

 

だが土管から出てきた影はプーヤンだけにしか見えなかったし、実際にも目の前に居るのはご近所の人達に見られれば即通報されなプーヤンのみ。

 

「紹介するって言っても、一体どこに居るんだよ?」

 

「ココイル! ココイル!」

 

「え?」

 

メカ犬が俺の疑問に答えるよりも早く、何者かの声が俺の頭上から聞こえると同時に、重い何かが俺の左肩に乗った。

 

「クラリスココイル!ヨロシク!ヨロシク!」

 

俺の左肩に乗ったのは黒い翼をバサバサと羽ばたかせながら良く喋る九官鳥だった。

 

まさかという気持ちを抱きながら、視線をメカ犬に向けるとメカ犬は誇らしげにうむと言って頷く。

 

『彼女が上空からの偵察を得意とする紅一点のクラリスだ。彼女は片言ながら言葉も喋れる人材だからマスターとも関わる機会が多いだろうから、宜しく頼むぞ』

 

「ヨロシク! ヨロシク! ヨロシク!」

 

「こ、こちらこそ……」

 

好意的に挨拶してくれるのと一応ながら意思の疎通が出来るのはありがたいのだが、挨拶する度に、クチバシで俺の頬を突くのは意外と痛いので止めてもらいたい。

 

『そして最後に紹介するのが彼だ!』

 

熊と握手されながら肩に乗った九官鳥に頬を執拗なまでに攻撃される俺に対して、またしてもメカ犬が不穏な言葉を口にするが、もう既出のメンバーの濃さに次はワニが出てきても俺はきっと驚かないだろうという良く言えば悟りの境地へと、またはもう驚く事に疲れたという正直な感想が入り混じった複雑な心境になっていた。

 

だがそんな俺を最後に紹介されたメンバーは、別の意味で驚かせてくれた。

 

「……チワワ?」

 

目の前に居たのは、一般家庭でも良く見かける血統書付の犬で有名なチワワである。

 

最初は見た目がそっくりなのでジャックかとも思ったのだが、ジャックはメカ犬のすぐ近くに居るし、更に観察して見れば、このチワワの大きさはジャックよりも一回り程は小さく、ジャックよりも更に小刻みに震えている。

 

「……それにしてもそっくりだな」

 

同じ犬種なのだから、似ているのは当然の事なのだが、こう眼つきや毛並みなんかもそっくりなので、ぱっと見ならば両者の違いは固体としての大きさ以外に見つけるのは難しいだろう。

 

『似ているのは当然だぞマスター。彼はジャックの息子なのだからな』

 

「……はい?」

 

またしてもメカ犬が当然の様に語りだした新事実に、俺は目を丸くした。

 

『彼の名前はジャッキー。地上を主にした偵察活動と非常時の緊急戦闘が彼の主な担当だ』

 

「チワワなのに強いのか……」

 

確かに名前だけを聞くならば、椅子とか梯子とか近くにある物を何でも武器にして無双出来そうなイメージがあるが……それを意識して名付けたという事は無いだろう。

 

流石にチワワとは言えど、初対面の相手に失礼な事は言いたくないが、もしも機会があるならば、友人にちょったポッチャリした頭の文字が熊の大好きな魚から始まる犬がいないか聞いてみたい。

 

そしてこれはジャッキーなりの挨拶なのだろう。

 

身動きの取れない俺の足下にやって来たジャッキーは前足で軽く俺の靴を踏んだ。

 

それだけならば和む動物の癒し映像なのだが、現状の俺にはそんな微笑ましい光景を和やかな気持ちで見る事は出来そうにない。

 

こうして空き地にはフルメタルな犬と、一匹のチワワに見守られながら、熊と握手しつつ頬を九官鳥に突かれ、足をミニチワワにふみふみされる少年という異様な光景が出来上がったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海鳴警察署には、ホルダー対策特務課で要とも言えるESシステムを効率的に運用する為に、他の警察署ではあり得ない様々な設備が設けられている。

 

恵美の為に設けられた仮の整備ラボもその一つであり、余程の大きな損傷でない限りは、ここでのメンテナンスだけでも十分に戦いに耐えられる。

 

だがこの場には今、主な利用者である恵美は居らず、照明も点けずに一人、エドワードがラボの中で自らの右手の中にある物体を苦味の走る表情で見詰めていた。

 

「電気も点けないでこんな所で何をしてるんですか?」

 

背後から急に声を掛けられて驚いたエドワードであったが、右手に持っていた物は見られない様に、冷静にズボンのポケットへとしまいながら後ろに振り向く。

 

エドワードに声を掛けてきたのは、同じホルダー特務課に所属する長谷川だった。

 

「ケイタこそどうしてこんな所に? エミならここには居ませんよ」

 

普段からこの場所を利用するのはほぼ恵美だけであり、エドワードも今日はここに恵美が来ない事を知っていたからこそ来たのである。

 

そんな中で、長谷川が来た理由を推測するならば、恵美に何か用事があり探しに来たのだろうとエドワードは考えた。

 

「いや、たいした理由は無いんですけど、この前換えたばかりのE2の通信機の調子が悪いみたいで、もう一度見てもらおうかと思っただけなんですよ」

 

「エミなら今は所長室に行ってると思うから、もう少し待ってれば時機に来るさ」

 

「なら一度、特務課に戻っていようかな」

 

「その方が良いとワタシも思いますよ」

 

長谷川はエドワードの同意もあってか、踵を返しラボをでようとするが、ふと思い留まる。

 

「……エド。この前、加山が言っていた望む物が手に入るって……」

 

この一週間の間、何度も聞こうとは思っても聞く事が出来なかった質問を長谷川は口にした。

 

それと言うのも、何処かエドワードから、普段とは違う雰囲気を感じ取ったからである。

 

ただの勘違いならばそれでも構わない。

 

しかし長谷川から見ても、今のエドワードからは、何処か危うい何かを感じるのだ。

 

だからこそ長谷川は、思い切ってこの一週間の間に聴くに聞けなかった質問をぶつけたのである。

 

「心配してくれてありがとうございます。でもワタシは大丈夫ですから」

 

しかし長谷川の心配を他所に、エドワード優しく微笑む。

 

「……なら、良いんですけど」

 

長谷川もそれ以上に踏み込む事はなく、今度こそラボを後にする。

 

その背中を笑顔で見送ったエドワードだったが、再び一人になった時、その笑顔に陰りが差す。

 

「……良かったよ。エイタが優しい人で……これならワタシが居なくてもエミはきっと大丈夫ですね」

 

誰に言うでもなく、あえて言うのであれば自身に言い聞かせる様に呟いたエドワードは長谷川が来た際に咄嗟に隠したある物を再びポケットから取り出す。

 

その物体は、この海鳴市を恐怖に陥れる緋色の球体だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この二人の会話があった翌日。

 

E1と共に、エドワードは消息不明となった。

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