魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーE2 ロストプロジェクト ~その名は壊す者~

穏やかな陽射しに見守られている様な感覚と、鋭い敵意を同時に感じるという不思議な感覚。

 

その奇妙な感覚を発する主こそが、長谷川さん達が探していた人物だった。

 

E2と良く似た姿ではあるが、メタルイエローのボディーのカラーリングのE2とは違い、メタリックなオレンジ色が鮮やかに映える。

 

俺はその姿を見た事があった。

 

恵美さんの姉である恵理さんが勤める海鳴ジャーナルが発刊している雑誌、月刊ウミナリの特集で載っていたE2のプロトタイプとも言える初期のESシステムを搭載した強化スーツ。

 

E1が俺達の前に、その姿を現したのである。

 

「……エド」

 

どう表現していいのか、複雑な心情を表した様な呟きを隣のE2が零す。

 

出来る事ならば俺は今ここで、全てを吐露してしまいたいという衝動に駆られるが、彼の決意を汲むのだと決めた俺は、その気持ちを心の奥底へと押しやり、E2へと一つの提案を投げ掛ける。

 

「長谷川さん。ホルダーは俺が引き受けます。ですから長谷川さんは……そっちの相手を頼めますか?」

 

「……板橋君。僕は、いや、僕達は最初からそのつもりで来たんだ。だから喜んで引き受けるよ」

 

俺の提案にE2は即答すると、E1に対して力強く一歩を踏み込む。

 

ダメージから復帰して立ち上がろうとするホルダーに警戒しながら、俺はE1とE2に背を向けながら誰に言うでもなく一言だけ呟く。

 

「……本当にこれで良かったんですか」

 

聞こえていたであろうメカ犬からですら、答えは返してくれなかった。

 

俺は意識を切り替えて、ホルダーへと集中する。

 

『気を抜くなよマスター!』

 

「分かってるさ! 一気に勝負を決める。こんな悪夢はここで終わらせるんだ!」

 

メカ犬の飛ばす激に頷きながら、俺は一度パワーフォルムからベーシックフォルムに戻り、ベルトからタッチノートを引き抜き、操作を開始する。

 

『コール・ガイア』

 

『コール・ダイバー』

 

『コール・ライガー』

 

『コール・フェザー』

 

タッチノートを操作し続ける事により、メカ竜、メカ海、メカ虎、メカ鳥をこの場へと呼び寄せる。

 

『マスターフォルム』

 

音声が響くと同時に、俺はタッチノートを再びベルトに差し込む。

 

すると両手両足にリング状の突起が生成される。

 

更に呼び寄せたメカーズ達が、アタッチメントパーツに良く似た腕輪の形状となって、メカ竜が右腕、メカ海が左腕、メカ虎が右足、メカ鳥が左足へと、それぞれ装着されていく。

 

全ての力を合わせる事で、大きな力を引き出すマスターフォルム。

 

マスターフォルムとなった俺は、決死の覚悟で攻撃してくるホルダーに対して、何か防御をする事なく、力任せの一撃でもう一度後方へとホルダーを吹き飛ばす。

 

俺は躊躇する事無く、一旦しゃがみ込み、左足のレバーを引く。

 

『フェザーチャージ』

 

音声が鳴り響き、光が俺の右足に集約されて、四体の分身体を生み出す。

 

その分身体は全てがフェザーモードとなったシードである。

 

更にここから、分身体は急激に数を増やして上空へと飛び上がった。

 

「こいつで決めるぜ」

 

俺は身構えて、一気に飛び上がる。

 

「マスターフェザースマッシュ」

 

先に飛び上がった分身体達が各々の必殺の一撃をホルダーにお見舞いして最後に本体である俺自身が必殺の一撃となるキックを叩き込む。

 

過剰とも言えるこの攻撃にホルダーが耐え切れる筈も無く、大きな爆発を引き起こす。

 

その後にはホルダーの素体となったであろう人物が、爆心地で意識を失っている姿が俺の視界に入る。

 

見た目は二十台のスーツ姿の男性。

 

きっと記憶は無くなってしまっているであろうから、どうしてこんな事をしたのかと聞いても、本人から答えが返ってくる事は無いだろう。

 

そんな事を考えながら、俺は今も続くもう一つの戦いの行く末を見届けるべく、視線を移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

E1とE2.

 

同じ天才から生まれた二人は、目指すべき場所は同じであった筈なのに、今は敵として向かい合っていた。

 

「またケイタは……いや、今度はエミと二人でワタシを止めに来たんですね」

 

「僕は……エドがどんな苦しみの中に居たのか、想像する事しか出来ない。きっと凄く辛かったんだと思う。だけど……それでも僕達はエドを止めるよ! エドが頼ろうとしているその力は、きっと新しい悲劇を生むって分かっているから」

 

「そうだね。多分ケイタの言ってる事は正しいよ。だけどそれだけでワタシは退く訳にはいかない」

 

二人の意見は平行線を辿る。

 

どちらにも信念があり、譲る事など出来ない。

 

言葉を交わす事は、互いの考えを知る為の一つの手段ではあるが、それだけでは解決する事の出来ない案件は多々としてある。

 

ならば別の手段を用いねばならないだろう。

 

どちらも折れる事をしないのであれば、強制的にでも相手の信念を折らなければ、先へと進む事は出来ない。

 

それを分かっているからこそ、これ以上の言葉を交わそうとは二人とも思わなかった。

 

最初に動いたのはE1だった。

 

常人では制御する事すら難しい、全身の人工筋肉が唸りを上げて、E1の拳がE2に向かって放たれる。

 

単純な肉弾戦では、E2の方が分が悪い。

 

だがそれも、E2の装着者である長谷川は嫌と言うほどに知っている。

 

そして何よりも、今は長谷川を勝利へと導いてくれる天才が付いているのだ。

 

【「真正面から相手にする事は無いわよ長谷川君。距離を取りながら、長谷川君の得意な距離で戦いなさい!」】

 

「はい!」

 

通信機から聞こえる恵美の指示を受け、E2は自ら真後ろへと飛び退き、ESM01による連続射撃で強固な弾幕を形成する。

 

しかしその戦法を取る事も、E1は充分に予想していた。

 

ここで距離を取られれば、完全に戦いの主導権を奪われてしまう。

 

だがそれは逆を言えば、自らの拳が届く接近戦に持ち込む事さえ出来れば、勝利が確定するという事なのだ。

 

ならば、E1がするべき行動は一つ。

 

最低限の被弾は覚悟の上、出来る限り身を屈めて着弾面積を可能な限り減らして、目の前の弾丸の嵐の中へと自らの身を曝け出す。

 

文字通り、自身の身を削り勝利への活路を見出そうとするE1。

 

だがE2もこのまま黙って、再び敗北する訳にはいかない。

 

「またワタシの勝ちの様ですね!」

 

「今度は負けない! 負ける訳にはいかないんだ!」

 

勝利を確信したE1に対して、E2が咆える。

 

次の瞬間、E2は予想外の行動に打って出た。

 

なんと自らの生命線でもあるESM01を自ら手放して、自由になった手を正面に掲げる。

 

その掌の中に吸い込まれる様に、繰り出されたE1の拳が届く。

 

更にE2はその力に逆らわず、自ら後ろへと飛びE1の攻撃を防ぎ切ると同時に、一定の距離を作り出し、若干ではあるが態勢を立て直すだけの時間を作り出す事に成功する。

 

この一撃を勝利を呼び込む為の布石として放った為に、E1は追撃を仕掛けるだけの余裕は無い。

 

「今ので決める筈だったのに、まさか武器を捨てるなんて考えもしませんでしたよ」

 

「片手間でエドの攻撃を避け切れるなんて思っていないからね」

 

「でも武器を捨ててしまったのは失敗でしたね。これでケイタは何の装備も無い。もう一度インファイトに持ち込めば、今度こそワタシの勝ちです!」

 

【「それはどうかしらね!」】

 

未だ自身の勝利を確信し続けるE1に対して、恵美の通信が声高々に響く。

 

恵美の声を合図に、E2はEブレス改め、腕のEブレイクを自らの胸元へと持ってくる。

 

【「さあ! 長谷川君! 今こそE2の新しい力を見せる時よ!!!」】

 

「はい!」

 

E2は恵美の言葉に応え、Eブレイクのスイッチを連続で押していく。

 

『ブレイクモード』

 

Eブレイクから機械音声が響くと同時に、すぐそばに止まっていたマシンドレッサーⅡに大きな変化が生じる。

 

以前のマシンドレッサーには無かった座席の後部に備え付けられたバックパックが開き、その形を変形させていく。

 

一言で表すのであれば、それは大き目のラジコンサイズまでに縮めた銀色の戦闘用の飛行機と言うのが正確だろうか。

 

空気抵抗を極限までに減らした事を証明する流麗なボディーと、更に幾重ものバーニアが青い炎を吹き上げて大空へと舞い上がる。

 

大空へと舞い上がった戦闘機は、E2へと向けて急降下していく。

 

だがそれで終わりではない。

 

E2の下へと降り立った戦闘機は幾つものパーツへと分離して、E2の全身へと装着されていった。

 

メタルイエローの上にシルバーパーツが重なり、背中と手足には戦闘機の際にもあった大型バーニアが隠し切れない存在感を周囲へと与える。

 

【「これこそが進化したE2! 今までのE2の常識を壊す存在……名付けて仮面ライダーE2B《イーツーブレイク》よ!!!」】

 

E2Bの初陣に、声高々に宣言する恵美。

 

「……E2B。新しいE2を完成させていたんだねエミ」

 

敵対している筈であるE1も、E2Bの誕生に、素直に賛美の言葉を送る。

 

それほどまでにE2Bは、大きな存在感を示していたのだ。

 

「……さあ、決着をつけようエド」

 

E2Bはこの戦いに終止符を打つべく、動き出す。

 

まずE2Bが力強く一歩を踏み出すと同時に、複数のバーニアが炎を吹き、それを推進力として距離を瞬時に詰めて拳をE1へと叩き込む。

 

今までのE2であれば、E1と接近戦で有利に立つ事など出来なかった。

 

その差は今、完全に埋まったのである。

 

【「まだまだこれからよ長谷川君!」】

 

E2Bは通信機から聞こえる恵美の声に頷きながら、再び腕のEブレイクに手を掛ける。

 

『ブレイク01』

 

再び機械音声が響くと同時に、E2Bの背中のパーツの一部が分離して、二対の大型ダガーとなって、片方ずつE2Bの手の中に納まる。

 

装備の一部であり必要に応じて武器にもなるのが、この二対のダガータイプの武器、ブレイク01。

 

そのブレイク01の持ち手には切り替え用のスイッチとトリガーが設けられている。

 

更にダガーの側部には小型のバーニアが設置されており、必要に応じて、斬撃の威力を高めたり、瞬発的な機動力を得る事にも用いられるのだ。

 

「はああああああああああああああああああああああ!!!」

 

バーニアの機動力の助けを借りて、E2BはE1への追撃となる一撃を繰り出す。

 

「こんなところでええええええええええええ!」

 

本来ならばこの追撃を避ける事が出来る相手など、殆どいないだろう。

 

だがE1は無理矢理に、自分の態勢を立て直し、ダガーの斬撃を手の甲で受け止めたのである。

 

しかしE2Bの攻撃はそれだけでは終わらない。

 

ブレイク01のスイッチを入れて、そのままモードを切り替える。

 

モードが切り替わると同時に、ダガー部分が横に倒れてサイドがスライドしてその隙間から銃口が露出した。

 

驚くE1に構う事無く、E2Bはトリガーを引く。

 

銃口から放たれる、無数の弾丸。

 

その威力は、先程までE2が使っていたメイン装備であるESM01を大きく上回る。

 

超至近距離で放たれる弾丸は、確実にE1の装甲を破壊していく。

 

「くう!?」

 

この攻撃には流石のE1も耐え切る事が出来ず、半壊したパーツを撒き散らしながら吹き飛んでいった。

 

【「次で決めるわよ長谷川君!」】

 

「はい! これで決めます!」

 

E2Bは戦いを終わらせる一撃を放つべく、三度に渡り腕のEブレイクのボタンを押す。

 

『ブレイクエンドチャージ』

 

Eブレイクから響く音声と共に、迸る黄色と銀色が織り交ぜられた光が、E2Bの両腕に発生してブレイク01の銃口へと集約される。

 

引き金が引かれると同時に、まるで巨大な光の大剣にも見える極大な光の粒子がE1を飲み込んだ。

 

光の粒子が晴れると同時に、仰向けに倒れるE1。

 

その姿を見て、戦いが終わったのだと実感するE2Bだったが、勝利への喜びという感情は、一切起こらなかった。

 

変わりにE2B……長谷川の心中には悲しみという名の感情が支配する。

 

長谷川が仮面の下で、一人静かに涙を流した事を知る者は誰も居ない。

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