魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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ライダー戦記編 8

再びシードへと変身した俺は、同じくタトバコンボとなったオーズと共に、電王とアークが戦っている場所へと駆けつける。

 

「待ってたよ」

 

俺達にが来た事に気付いたらしく、ロッド状態のデンガッシャーでアークの拳の軌道を逸らしながら、電王が声を掛けて来た。

 

ウラさん特融の軽い感じの声ではあるが、その声にも何処か疲労感が漂う。

 

まあ、あんな大きな敵を相手にしながら、少数とは言えど、周囲の屑ヤミーまで相手にしていれば、疲れもするというものだ。

 

「加勢しますよ!」

 

「うん!」

 

俺の声にオーズも頷き、同時に飛び掛かる。

 

だが、アークの巨体によって、並みの攻撃は通らない。

 

戦略も何も、ただその巨体を思い切り動かされるだけで、俺達にとっては脅威となる。

 

「うわっ!?」

 

繰り出される剛腕によって、オーズが吹き飛ばされる。

 

「危ない!?」

 

続いて大きく足を踏み出したアークに踏み潰されそうになって、電王が必死に逃げ惑う。

 

「おうっ!?」

 

そして俺も、そのまま蹴り出された足が引き起こす突風によって、身体ごと流される。

 

「下手な攻撃じゃ、意味が無いかもね」

 

確かに、電王の言う通りだ。

 

「それなら、さっきのドラゴンと同じ戦法で行こうか」

 

「さっきの戦法……そうか。一人一人の攻撃が効かなくても、威力を一点に集中すればもしかしたら」

 

其処ですかさず一つの提案をしたオーズに、俺も一考するが、悪い考えでは無いかもしれない。

 

このままではいけないと、一度集合して作戦会議をするが、答えはすぐに出た様だ。

 

「それじゃあ、そういう事で!」

 

「作戦開始っ奴だね」

 

「二人共、行きますよ!」

 

電王が先陣を切り、オーズが続き、最後に俺が合図を送って、三人のライダーが各々の行動を開始する。

 

まずは電王がアークの注意を引き、その隙にオーズが背後から右足に抱き着く。

 

突然の衝撃に、アークは当然ながら振り払おうとするが、そんな事をさせる訳にはいかない。

 

「うをおおおおおおおおおおおおおおおううううう!」

 

俺は叫ぶと共に、オーズが掴む右足に向けて、強烈な蹴りを見舞う。

 

オーズを振り払おうとする力の方向に逆らわずに、蹴りを入れた事によって、大きくバランスを崩して、その巨体を地面に倒すアーク。

 

『今が最大のチャンスだ!』

 

メカ犬の声を合図に、俺達は一度、集まり、其々に準備を整える為に、行動を起こす。

 

俺はタッチノートを引き抜き、画面に全体図を表示させて、右足をタッチして再びベルトにタッチノートを差し込む。

 

電王もライダーパスを取り出して、ベルトの中央にセタッチさせ、オーズもオースキャナーでベルトの三枚のメダルをスキャンする。

 

『ポイントチャージ』

 

『フルチャージ』

 

『スキャニングチャージ』

 

三人のベルトから音声が流れて、必殺の一撃を放つ準備が整う。

 

「はっ!」

 

最初に動いたのは、電王だった。

 

ロッドモードのデンガッシャーは、アークに向かって投げ放たれて、六角形のエネルギー体となって、覆われる。

 

俺達はそれを合図にして、三人同時に飛び上がり、輝く足を三方向から一点に向けて突き出した。

 

「うをおおおおおおおおおおおお!」

 

「はあああああああああああああ!」

 

「せいやあああああああああああ!」

 

三人のライダーの叫びと共に、繰り出された必殺の蹴りが、アークを強襲する。

 

驚くのは、アークの耐久力。

 

三人同時の必殺技を同時に繰り出したにも関わらず、耐え切ろうとしている。

 

だが、このまま押し負ける訳にはいかない。

 

俺も、そして他の二人も、全力を注ぎ込み、勝利を掴む為に、更なる気合いを込める。

 

そして、然したる時間を置く事も無く、均衡は崩れていく。

 

アークの肉体に少しずつヒビが入り、俺達のキックが奥へと押し込まれていき、最後はアークの身体を粉々に砕く。

 

「やった!」

 

最初に勝利を確信して、歓喜の声を上げたのはオーズ。

 

でも前の世界での戦いも経験している俺達は、素直に喜ぶ事が出来ない。

 

もしも、アークの中に秘められたコアが、エターナルの時と同質だと言うのであれば……。

 

『……マスター』

 

その身体を粉々に砕け散らしたアークを観察していたところで、メカ犬が静かに俺を呼ぶ。

 

メカ犬の声と、目の前に広がる光景によって、俺は何が起こったのかを察する。

 

どうやら、事態は考えられる限り、最悪の方向へと推移している様だ。

 

砕けたアークの身体の中に、ヒビだらけの黒いコア。

 

そのヒビから黒い霧が大量に噴出して、ドラゴンを倒した際に大量に降り注いだセルメダル降り懸かると、セルメダルが反応して、次々と異形の怪人にその姿を変質させていく。

 

「前の時みたいになったね」

 

「ですね」

 

電王から聞こえる、良太郎君の声に、俺は返事をしながら、どうするべきか考える。

 

前の時と同じだと言うのであれば、既に別の世界に新たなコアが送り込まれてしまったという事だ。

 

ここで足止めを受けている場合では無い。

 

だけど、ここを放置するという訳にはいかないだろう。

 

「今度はヤミーか」

 

既にオーズは身構えている。

 

流石にこの数を相手に、一人だけを残していくのは忍びない。

 

時間を超えるには、電王の力が必要だ。

 

それならば、俺もここに残るべきか……。

 

俺がその考えを、良太郎君達に伝えようとした、その時である。

 

「待たせたな、火野」

 

大きな声が、中庭に響く。

 

声のした方向へと振り向くと、大きな鈍い銀色のタンクを担いだ、口髭を生やしたワイルド系な男性が居た。

 

「だ、伊達さん!?」

 

逸早くその男性に反応したのは、オーズだった。

 

「よう、久し振りだな。相変わらず厄介な事に首を突っ込んでるみたいじゃねぇかよ」

 

「伊達さんこそ、人の事を言えないと思いますけど」

 

お互いに軽口を叩く二人。

 

そんな会話をしている間に、俺達の近くまで来ていた伊達さんと呼ばれた男性は、使い終わって置いておいたバースドライバーを拾い上げて、腹部に巻き付けた。

 

バースドライバーを巻き付けた伊達さんは、一緒に近くに落ちていたセルメダルを一枚も拾って、不敵な笑みを浮かべる。

 

「何か、後藤ちゃんはすぐには来れないみたいだからさ。代わりに使わせてもらうぜ!」

 

伊達さんはそう言うと、持っていたメダルを指で弾く。

 

その一連の流れを見て、俺は確信する。

 

これは俺が会長さん達に聞いて、実行した変身までのプロセス。

 

いや、きっと俺がこの伊達さんのやり方を真似していたという方が、正しいのだろう。

 

「変身!」

 

そんな事を考えている間に、メダルをキャッチした伊達さんが言葉を紡ぎ、ベルトにメダルを入れて、取っ手を捻り、バースへの変身を遂げる。

 

俺が変身した時と違い、今度はちゃんと大人サイズのバースが、目の前にその雄姿を現した。

 

これはもう、確定事項だろう。

 

目の前で変身した伊達さんこそが、本来の仮面ライダーバースの資格者なのだと。

 

そして先程、伊達さんが言っていた後藤ちゃんと呼ばれる人物が、会長さんが言っていたもう一人のバースの変身資格者だと思われる。

 

でも、予想外な助っ人の登場のおかげで、この場を切り抜ける算段が立った。

 

「うん、そう言う事なら、後で僕が説明してあげるからさ。良太郎達は次の時間に飛ぶと良いよ」

 

そう言ったのは、電王から飛び出て来たウラさんだった。

 

ちょっと他のヤミーに混じってオーズ達から攻撃を受けそうな気もするけれど、口の上手いウラさんなら何とかなるだろう。

 

俺と良太郎君は、この場と後の説明をウラさんに任せる事にして、前の世界と同様に、次の戦場へと向けて、走り出した。

 

そう言えば、去り際に伊達さんバースがドリルアームを起動させる時に聞こえた音声を耳にして気付いたのだけど、バースドライバーから聞こえる音声が、チェイサーさんにソックリな気がしたのは、完全に余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここまでは予想通り、全てが上手くいっている……」

 

一見すると、人里からは遠く離れた森の奥深く、その中でも一際に大きな大樹に身を寄せながら、一人の男、ディアスは別の世界で繰り広げられている戦いを見通しながら、安堵していた。

 

「残る楔は、後二つだ。それさえ繋ぐ事が出来れば……破壊の時が訪れる」

 

静かに怒るディアスの心の中に、静かに暗い喜びの火が灯っていく。

 

「どんな凄いお宝かと思って来てみれば、僕が思っていたお宝とは違うみたいだね?」

 

「……誰だ?」

 

ディアス以外には、誰も居ない筈の森の中で、一人の青年の声が木霊する。

 

予想外の来客に、ディアスは先程までの暗い喜びを湛えていた笑みを消し去り、鋭い眼光で、声のした方向を睨む。

 

自身がその身を置く、大樹とは反対側に視線を向けると、ディアスの視界の中に、一人の青年の姿が入って来る。

 

年頃ならば二十台の前半と言ったところだろうか。

 

首に掛かる程の、少し男性にしては長めの黒い長髪に、若干ながらウェーブが掛かっている。

 

見る人によってその髪型は、彼の風の様に流れる、生き方そのものを現しているかの様に映る事だろう。

 

「僕が誰か何て事に、興味があるのかい?」

 

「……いや。もう間も無く、世界は終わるのだ。貴様の事など、知る必要は無いな」

 

ディアスからどれだけの殺気を向けられたとしても、青年は飄々とした態度を崩さない。

 

その態度に、毒気を抜かれたのか、ディアスは溜息を一つ吐き、青年の言葉に肯定の意思と取れる返事をした。

 

「流石は時を守る番人だね。器が広くて助かるよ」

 

「番人か、他人から聞くには久しい言葉だ」

 

ディアスと青年は、理解していた。

 

この会話は、ただの茶番でしかないと。

 

お互いに言葉を選び、相手の考えと目的を少しでも多く読み取ろうと、常に考えを頭の中に巡らせている。

 

だが、この茶番と言える会話は、長くは続かない。

 

ディアスと青年が居る大樹の周辺は、既に異形の怪物達によって包囲されていた。

 

先程の会話の中で、ディアスは青年に対して、何の偽りも無い一つの真実を口にしていた。

 

興味が無い。

 

そう。

 

ディアスは、突如として目の前に現れた青年に対して、何の興味も湧かなかったのだ。

 

青年が何を考えているのかは知らないが、そんな事はディアスにとって関係が無い。

 

「ここで世界よりも少しだけ早く、一人の人間が死という終わりを迎えるだけの事だ」

 

「……なるほどね。例え僕の求めるお宝では無いとしても、これは君にとっての最高のお宝という訳か」

 

冷たく突き付けられた、ディアスの言葉に、自らに迫る死の恐怖よりも、違う意図を感じ取った青年だったが、青年にも曲げられない信条がある。

 

ディアスの言葉を合図に、森の奥から姿を現す異形達に視線を配りながら、青年は、武骨な黒とシアン色を基調とした銃と、一人の戦士の姿が描かれたカードを取り出して、銃の中にカードを差し込んで、トリガーを指に這わせて銃身を回転させ、その銃口を上へと向けた。

 

「変身!」

 

引き金を引くと同時に、青年は叫ぶ。

 

『カメンライド……ディエンド』

 

鳴り響く音声と共に、青年の全身が、モザイクの様な光で包み込みまれ、放たれた複数の光弾が、プレート状になって、その頭部へと突き刺さっていき、モザイクが晴れると共に、ディアスや異形の怪物達の目の前に一人のシアン色の戦士が、その姿を現した。

 

青年の名は、海東《かいとう》 大樹《だいき》。

 

またの名を仮面ライダーディエンド。

 

全てのお宝を求めて、異なる世界を旅する一人のトレジャーハンターである。

 

「ふんっ!」

 

変身する為にも使われる銃、ディエンドライバーは、同時にディエンドの強力な武器でもある。

 

強敵の出現に、隙を見せた異形達に向けて、ディエンドは速攻を仕掛けるべく、ディエンドライバーの引き金を引き、射撃による攻撃を行いながら、ディアス目掛けて突貫していく。

 

しかし、ディアスの守りは、思ったよりも固く、ディエンドは思った様に近付く事が出来ない。

 

このままでは埒があかないと判断したのか、ディエンドはバックステップで一旦距離を開けて、変身に使った時とは別のカードを取り出して、ディエンドライバーの中へと装填する。

 

「頼むよ。僕の兵隊さん」

 

そう言って、正面に対して引き金を引くディエンド。

 

『カメンライド……ライオトルーパー』

 

ディエンドライバーから流れる音声と共に、銃口から放たれた光が、三人の戦士の姿となって、この世界に現れる。

 

仮面ライダーライオトルーパー。

 

スマートブレイン社によって、生み出されたライダーシステムの一つである。

 

ただし、他のシリーズの様な、単体で大きな力を発揮する様には出来ておらず、常にチームを組む事で、真価を発揮する、量産する事が前提とされたライダーだ。

 

ディアスを守る怪物達の露払いを、召喚したライオトルーパーの三人に任せて、ディエンドは再び、ディアスへと接近する。

 

「……いい加減に目障りだ」

 

興味は無いと言い放ったディアスではあったが、ディエンドの予想外の反撃に、怒りを覚える。

 

そんな事など、関係無いとばかりにディアスへと接近するディエンドではあったが、その快進撃は唐突に終わりを迎える事となった。

 

まるで夏の夜に近付いて来た羽虫を軽く払う様な、ディアスの無造作な動き。

 

ただそれだけの動きによって、人の力を大きく超えた能力を持つ筈のディエンドを吹き飛ばしてしまったのである。

 

「ぐわっ!?」

 

自分に何が起こったのか、理解出来ないままに吹き飛ばされたディエンドは、叩き付けられた地面から何とか立ち上がるが、確かなダメージを受けたという事を、すぐに理解した。

 

そして同時にディアスの危険性も、その身を持って理解する。

 

「……ほう? 意外と頑丈だな」

 

「まあね……」

 

「どうする。まだ抵抗するか?」

 

何とか気丈に振る舞おうとはするが、得体の知れないディアスの強さに、ディエンドの本能がこれ以上は戦うべきでは無いと、警告を鳴らす。

 

「いや、止めておくよ。取り敢えず必要な物は頂いた事だしね」

 

ディアスの提案に、首を横に振り、ディエンドは透き通った桜色のペンダントをディアスに見せつける。

 

「なっ!? それは!?」

 

意外な事に、慌てたのはディアスだ。

 

その後、すぐに自身の身に手を合わせて、何度も確認する素振りを見せるが、やがてその動作も止めて、ディエンドに対して、怒り形相を向ける。

 

確かにディアスに恐ろしい力の一端を感じたディエンドではあったが、彼もまた様々な世界を渡り歩き、お宝を手に入れて来たプロなのだ。

 

ディエンドは攻撃を受けながらも、目的であった物をディアスから奪い取っていたのである。

 

「貴様……それをすぐに返せ!」

 

「悪いけど、このお宝は渡せないよ。世界が無くなったりしたら、他のお宝も全部消えてしまうからね。それは非常に困るんだ」

 

先程までとは比べものにならない程の怒りを向けられながらも、ディエンドは、一枚のカードを取り出して、ディエンドライバーへと装填する。

 

「それじゃあ、僕はこれで帰らせてもらうよ」

 

そう言いながら、ディエンドは引き金を引いた。

 

『アタックライド……インビジブル』

 

再びディエンドライバーから、音声が響くと同時に、ディエンドの身体はまるで幻の様に跡形も無く、消えてしまった。

 

そしてこの深い森の中には、怒りに満ちた一人の男が残されたのである。

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