魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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思ったよりも早めに書けたとの更新です。

今回は、あまりお話が進まないかもしれないですが、楽しんでいただけたら楽しいです。


ライダー戦記編23

「さてと……勢いで来てはみたものの、これからどうするかな」

 

『うむ、闇雲に探すとしても、ワタシとマスターだけで探索するには、この森は広過ぎる。何か対策を考えなくては、ディアスを見つける前に、世界が崩壊してしまうかも知れん』

 

俺とメカ犬は、ヘルヘイムの森と呼ばれる、深い森の中で途方に暮れていた。

 

皆の助けを借りて、何とかクラックを通り、ディアスが居るというヘルヘイムの森に辿り着いたまでは良かったのだが、この森は思った以上に広大で、試しにサーチフォルムで暫くは周囲を出来る範囲で探ってはみたものの、その範囲にはディアスの影すらも発見する事は出来なかったのである。

 

流石に連続での戦闘が続いて、体力を消耗した上に、他のフォルムと比べてもかなりの速度で神経を摩り減らすサーチフォルムでのこれ以上の探索は、危険だとメカ犬に注意されたので今は変身を解き、休めそうな岩場を見つけて、作戦会議をしていたという訳だ。

 

一心地してから、俺は改めてこの森を、注意深く観察してみる。

 

ぱっと見た印象は、人里から離れた森だという印象を持つ事が出来るのだが、更にその植物に注目すると、その多くが今まで見た事も無い様な植物で、まるで原始の時代にでもタイムスリップしてしまったのではないかと錯覚してしまいそうになってしまう。

 

いや、クラックが繋ぐ別世界の事等、俺には分からないのだから、本当にそうなのかも知れない。

 

ただ一つ気になるのは、至るところに、同じ種類の果実らしきものが実っているという事だ。

 

これだけ深い森の中ならば、食べられるかどうかは兎も角として、様々な種類の木の実等が実っていてもおかしくは無いと思うのだが、不思議な事に、どれだけ回りを見ても、やはり同じ果実しか無い。

 

それも奇妙な事だとは思うのだが、それ以上に異質だと感じるのは、ここまで森を探索した中で、生息している動物を、一切みていないという事だ。

 

まだ警戒心の強い小動物ならば、ただ単に俺達が直接見つけていないだけだとも考えられるのだが、流石に冬の様な寒い気候でも無いのに、小さな虫すらも見つけられないというのは、些か異常だと言えるだろう。

 

一つだけ例外を挙げるとするならば、先程まで戦っていた世界にクラックを通して出現していたインベスが稀に徘徊しているくらいだ。

 

もしかしたら、このヘルヘイムの森に生息する生物はインベスだけなのだろうか?

 

「せめて、チェイサーさんかメカ鳥が居れば、もう少し探索範囲も広げられるんだけどな」

 

『無いものねだりをしていても仕方が無いだろう』

 

「だけど、何の手掛かりも無しじゃ、どうしようもないぞ?」

 

『うむ……今のワタシ達が分かっている事は、ディアスがこの森の何処かに居るという事実だけか』

 

「他に何か手掛かりになりそうな物って言えばこれだけ……ん?」

 

俺はメカ犬と、何か手は無いかと話し合いながら、海東さんがディアスから奪い取ったお宝だというネックレスを取り出してみたのだが、其処である異変に気が付いた。

 

『そのネックレス、何だか淡い光を放っている様に見えるのだが』

 

「何でこんな事に……ああ、そうか!」

 

どうしてこんな状態になっているのか、俺は海東さんが説明していたこのネックレスの原材料となっていた鉱石の特性を思い出して、納得する。

 

想い石と呼ばれるこの鉱石は、空気中の微細な魔力を集めるというものだ。

 

思えば俺は、ずっと魔法使いであるウィザードと一緒に戦っていた。

 

当然ながら、このネックレスを、所持した状態のままであり、近くでウィザードは大量の魔法を使い続けたのである。

 

空気中の微細な魔力を吸収するこの鉱石の特性ではあるが、周囲に満ちている魔力の濃度が高ければ、それだけ吸収率も高くなるのではないかと、容易に想像出来た。

 

どうやら、戦いで気付かない内に、ネックレスに魔力が貯まりきっていたのだろう。

 

「確か、魔力の貯まった状態のこのネックレスを使えば、本来の持ち主の精神世界の中に行けるんだったよな」

 

『……そうか! このネックレスの元の所持者はディアス。ならば、そのネックレスを使って、ディアスの精神世界に行けば、何かヒントがあるかもしれないという事か』

 

「そう上手くいくとは思えないけど、ここで悩んでるだけっていうよりは良いのは確かだ」

 

俺はメカ犬に、ちょっと言って来ると伝えてから、ネックレスの中央の丸い石部分を握り、意識を集中させる。

 

最初の時とは違い、俺自身の意思で行った為だろうか。

 

意識が瞬時に飛ぶという事は無く、あの時に見た光景とは違う、別の場所が俺の目の前にぼんやりと映し出され、その光景が徐々に鮮明になっていく。

 

最初に見えたのは、黒いローブ目深に羽織った一人の男。

 

その男が佇むのは深い森。

 

この森はおそらく、ヘルヘイムの森だろう。

 

何故ならば、周りを見れば例の果実があるからだ。

 

だが、それよりも気になる点が一つ。

 

男の佇む先には、一本の大きな大樹。

 

手を伸ばす男の先には、大樹の枝に実る、黄金に輝く果実。

 

それが何なのかは、分からない。

 

でもそれが、常軌を逸した何かであるという事だけは理解できた。

 

だからこそ、俺は焦る。

 

あれは人が手にしてはいけない、そんな何かだ。

 

俺は意味が無いと知りつつも、ローブの姿の男が伸ばそうとする手を止めようとする。

 

だが俺の意識が、男を映し出していたのは、其処までだった。

 

唐突に俺の意識は、自分の身体へと戻される。

 

「あ……」

 

あまりにも唐突に変わった事で、一瞬だけ意識が追い着かなくなるが、無意識に出た呆けた自分の声を聞き、今がどういう状況で、何をするべきなのか、はっきりと理解した。

 

『どうしたのだ? マスター』

 

「……探そう」

 

『うむ?』

 

「急いで探すんだ! あの果実は人が手にして良いものじゃない!」

 

『落ち着けマスター! まずは一から説明してくれ。何を見たというのだ? 果実とはどういう意味だというのだ?』

 

メカ犬の声を聞き、俺は初めて自分が声を荒げていたという事実に気付く。

 

それから、俺は息を整えて、メカ犬に見たままを伝えた。

 

「……という事なんだ」

 

『うむ。その果実から、何か良からぬものを感じたという訳だな』

 

「ああ、でもこうして冷静になってから考えてみると、どうして俺はあそこまで危機感を持ったんだろう?」

 

『もしかしたら、他人の精神世界に行った事で、何らかの影響を受けたのかも知れないな。今は平気か? マスター』

 

「今は何とも無い。それよりも、これからどうするかだ」

 

『マスターが見たという大樹を探してみるか? マスターが言うには、その果実が実っていた大樹は、このヘルヘイムの森にあるというのだろう?』

 

どうやら、メカ犬には改めて言うまでもなく、俺の考えを分かっていた様で、俺がこれから言おうとしていた事を、全て先に言ってしまったので、無言で頷いておく。

 

あの大樹は、大きな木々が茂るこの森の中でも、抜きん出て大きな木だった。

 

何も分からないという状況に比べれば、僅かとはいえど、ヒントがあるだけまだマシだと言えるだろう。

 

『まずは、見晴らしの良い場所へと行ってみよう。其処から見える範囲で一番大きな木を目指すのが手っ取り早いな』

 

「そうだな。いざとなったら、サーチフォルムで、もう少し遠くまで探る事も出来るだろうし、まずはこの先にある丘に行ってみよう」

 

俺とメカ犬はこれから先の方針を纏め、重い腰を上げる。

 

その時だ。

 

この森の中には相応しく無い、衝撃音が響いた。

 

「な、何だ!?」

 

『この先から聞こえてきたぞ!』

 

「取り敢えず行ってみるか?」

 

『うむ、だがこの森では何が起こったとしても不思議じゃない。気を付けるんだぞマスター』

 

「分かってるさ!」

 

短く返答した俺は、メカ犬を連れて、先程の衝撃音が響いた場所を目指して走り出した。

 

衝撃音が響いた地点は、俺達が休んでいた場所から、そう離れていなかったらしく、走り始めてから数分程で辿り着く。

 

目の前に広がる光景を見て、俺は先程の衝撃音の正体を知る。

 

俺の目の前には、クラックの中から出て来て襲い掛かって来たものと似た、灰色の異形、インベスが数体と、それと戦う別の異形。

 

その異形にも見覚えがあった。

 

忘れる筈も無い。

 

その姿は、鎧武者の様な姿をした戦士。

 

少し前まで戦っていた、ディアスのコアが変化して生み出された存在である、ダーク鎧武。

 

だが、俺の知っているダーク鎧武とは、違う点もあった。

 

基本的なところで、違う部分は見受けられない。

 

しかし、そのカラーリングが、明らかに違う。

 

鎧の部分は、メタリックなオレンジといった感じであるし、その下のインナーに見えるボディーカラーも、濃いめのブルーと、ダーク鎧武と比べて、かなりカラフルだという印象を受ける。

 

明らかな違いがあるが、この森にダーク鎧武が居るのは確実だ。

 

だとすれば、何らかの理由でカラーリングが変わったという可能性もある。

 

どうしてインベスと戦っているのかは分からないが、それでもこのまま放っておく訳にはいかない。

 

先程の戦いでは、インベスもディアスの作り出した敵だと思っていたのだが、このヘルヘイムの森を探索している時にも、時折みかけた事から、ヘルヘイムの森で分布している野生動物という可能性もある。

 

もしもそうだとしたら、あの色違いの鎧武は、ディアスの命令で計画の邪魔になるかも知れないインベスを、排除しているのかも知れない。

 

明らかに凶暴で危険な生物に見えるインベスではあるが、こうして人間の居ない森の奥で暮らすインベスを無残に倒すというのは、どうなのだろうか。

 

自己防衛で戦っているというのならば納得もするが、もしもそうで無く、自らインベスへと襲い掛かっているのだとしたら、それは何か納得出来ない。

 

ただの偽善かも知れないが、それでも何か憤りを感じてしまうのだ。

 

『行くぞマスター!』

 

「ああ!」

 

俺はメカ犬の声に頷きつつ、タッチノートを操作する。

 

『バックルモード』

 

タッチノートを操作する事で、音声が流れ、俺の隣に居たメカ犬が、ベルトへと変形して、自動的に腹部へと巻きつく。

 

「変身」

 

音声キーワードを口にして、俺はベルト中央のバックルの窪みへと、タッチノートを差し込む。

 

『アップロード』

 

差し込んだ瞬間に、俺の全身が光に包まれて、その姿を一人の戦士へと変える。

 

メタルブラックのボディーと、ベルトから四肢に伸びる銀のラインと、額に光る同色のブイ字型の角飾りと、赤く大きな特徴的過ぎる複眼。

 

ベーシックフォルムのシードへと変身を果たした俺は、常人を超えた脚力によって、一飛びで戦場の中にその身を投じる。

 

既にインベスは、色違い鎧武の手によって、殆どが倒されていたが、残りのインベスの内の一体が、俺の存在に気付いて襲い掛かって来た。

 

やはり、このインベスという生物は、無条件で人間と友好的と言える存在では無いらしい。

 

でも、それならば、こっちとしても遠慮する事無く戦う事が出来る。

 

俺は襲い掛かってくるインベスに対して、ベルトの右側を素早くスライドさせ、赤いボタンと黄色いボタンを押していく。

 

『パワーフォルム』

 

ボタンを押した事で、メタルブラックのボディーは鮮やかなクリムゾンレッドへと染まる。

 

『パワーブレード』

 

続いてベルトから発生した多量の光が、俺の右腕へと集まり、赤い刀身の一振りの剣を生成した。

 

このパワーフォルムの専用武器である、パワーブレードを手にした俺は、力任せに迫り来るインベスを斬り捨てる。

 

突っ込んで来た勢いのまま、斬り捨てたインベスは、爆発四散した。

 

その頃と時を同じくして、色違いの鎧武も、残ったインベスを倒した直後であり、互いに戦う相手が居なくなったという事もあり、自然と視線が交差する。

 

俺は改めてパワーブレードを身構えた。

 

それを見た色違いの鎧武が、動きを見せようとした、その瞬間を合図にして、俺は地を蹴り先制攻撃を仕掛ける。

 

「……っ!」

 

何か色違いの鎧武に違和感を感じたが、もしかしたら、その行動もこちらの油断を誘う為の罠かもしれない。

 

現状では、メカーズのサポートも受けられないし、まだ肝心の本体であるディアスが健在なのだ。

 

だからこそ俺は一気に勝負を決める為に、剛剣を振るおうとしたのだが、次の瞬間に予想外の出来事が起こった。

 

「ちょ、ちょっと待った!?」

 

「へ?」

 

何と、色違いの鎧武が、言葉を発したのである。

 

俺は予想外な事態に、思わず声を上げてしまっていた。

 

「見た事が無いけど、あんたもアーマードライダーなんだろ!? 俺に戦う意思は無いんだって!」

 

予想外な出来事によって、俺が動けない内に、尚も色違いな鎧武は、更に話し続ける。

 

その中には、俺の良く分からない単語も、幾つか混じっていた。

 

『どうやら、ワタシ達の勘違いだったらしいな』

 

「……そうみたいだ」

 

俺はメカ犬の言葉に、溜息混じりに返事をしつつ、変身を解いた。

 

「……え?」

 

喋った鎧武に驚いた俺に続き、今度は鎧武の方が、変身を解いた俺を見て、素っ頓狂な声を上げたのだった。

 

どうやらこの色違いの鎧武は、ディアスの作り出したダーク鎧武の亜種では無く、本物だったようである。

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