魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~ 作:G-3X
それでは。
「……どうして五代さんが?」
俺は全身に走る痛みすらも忘れて、この場に居る筈の無い五代さんが、どうしてここに居るのかを訪ねていた。
「この人は、純の知り合いなのか?」
それは紘汰さんも同じだったらしく、俺と五代さんを交互に見ながら訪ねてくる。
取り敢えずその質問には頷いておくが、それよりも俺は、何故ここに五代さんが居るのかが気になって仕方が無い。
「純がピンチだって教えて貰ってさ。手伝いに来たんだよ。それより二人とも立てるか?」
五代さんは何でもない様に言うと、俺と紘汰さんの手を掴んで、地面から引っ張り上げてくれた。
でも、それよりも気になるのは、誰が五代さんに俺のピンチを伝えて、この何処とも知れない場所へと導いたのかという事だ。
「どうやら、君もライダーみたいだが、助っ人が一人増えただけで俺に勝てると、本気で思っているのかい?」
俺がもう一度、五代さんへ質問を投げ掛けるよりも先に、ディアスが俺達の間に会話を挟んでくる。
悔しいが、ディアスの言っている事は間違ってはいない。
確かに五代さんが助っ人に来てくれたのは、頼もしくあるのだが、それでもディアスと戦って勝てるとは思えなかった。
直接ディアスと戦って、その強さに触れたからこそ、ディアスの言葉がただの慢心ではないと理解出来る。
だけど五代さんは、ディアスのそんな言葉を聞いても、全く動揺せず、威風堂々と真剣な眼差しで、ディアスを見た。
「誰も、助けに来たのは俺一人だなんて言ってないだろう?」
五代さんがそう言った直後、俺達の後ろに、巨大な銀色のオーロラが出現する。
更にそのオーロラの向こう側から、次々と俺の知る人物が姿を現した。
「何とか間に合ったみたいだね」
最初にオーロラの中から出て来たのは、この戦いの間でも最も多くの戦場を共に戦ってきた、良太郎君だった。
その後ろには、其々の世界でコアの暴走を食い止めてくれていた、モモさんを始めとするイマジンの皆も一緒である。
「どうやら、俺の力が必要みたいだな?」
「僕達の、だろ? 翔太郎」
次にオーロラから現れた二人は、最初の戦いを共にし、この戦いを道標となってくれた、翔太郎さんとフィリップ君。
「まだ、諦めるには早いよ。手を伸ばせばきっと、届く筈だからさ!」
その後に続いて出て来たのは、成行きだったにも関わらず、この戦いに力を貸してくれた火野さん。
「ダチのピンチと聞いちゃ、黙ってらんねからな!」
火野さんの後ろから出て来た、弦太郎さんの言葉を、俺は素直に嬉しいと感じた。
「ここからが、本当のショータイムだ」
あまりにも絶望的な相手を前にして、絶望し掛けていたその心に、晴人さんの言葉が、希望をくれる。
「世界の破壊者の俺を差し置いて、世界を壊させる訳にはいかないからな」
そして最後にオーロラから出て来たのは士さんだったが、相変わらずの台詞であるが、それすらも、士さんらしいと思ってしまう。
「士さんが、五代さんを……皆をここに連れて来てくれたんですよね?」
「……まあな。結構苦労したぜ」
まあ、こんな離れ業な芸当が出来そうなのは、俺の知るところでは士さんくらいのものだろうと、今更ながらに思う。
「でもこれで全員じゃない」
しかし、ここで五代さんが予想外の台詞を口にする。
「え?」
俺がその言葉が、何を意味しているのか、理解する前に、最後に士さんが現れた後も、まだ消えずにいたオーロラから、七人の青年が姿を現したのだ。
「この人達は……」
オーロラの中から新たに姿を現した七人の青年とは、確かに初対面だ。
だけど俺は、きっとこの中の誰よりも、彼等を知っている。
前世の頃から、画面を通してその雄姿と、ヒーローとしての生き様を見続けてきたのだから。
「世界を壊させなたりなんかしない。皆の居場所は絶対に守ってみせる!」
最初に七人の中で、決意を口にしたの温和な雰囲気を纏った青年は津上 翔一《つがみ しょういち》さん。
「俺は守る為に戦う。それが俺のライダーとして戦う理由だからな」
次に真っ直ぐな目で言った、津上さんの隣に居た青年は、城戸 真司《きど しんじ》さん。
「世界に興味は無いが、それが誰かの夢を脅かすなら……俺が止めてやるさ」
そして一見すると、覇気の無い台詞を口にしてはいるが、その雰囲気から気迫を滲ませている、乾 巧《いぬい たくみ》さん。
「世界が崩壊する事が運命なら、俺はその運命と戦って勝つ!」
次は、対照的に熱い気持ちをそのまま言葉にしたのは、剣崎 一真《けんざき かずま》さん。
「他の奴等は鬼じゃないみたいだけど、やる事は変わらないらしいな」
二本の指を立てて、シュッとポーズを決めたのはヒビキさん。
「例え違う世界だとしても、全ては俺を中心に回っている」
天に向かって指を翳して、威風堂々と宣言したのは、天道 総司《てんどう そうじ》さん。
「全ての世界の人達の音楽を乱す事は、僕が絶対に許さない」
そして最後に、静かにではあるけれど、強い信念を持って言葉を紡いだのは、紅 渡《くれない わたる》さん。
この七人が一同に会するのを……いや、士さん達をも含め、平成を代表する全てのライダーの主人公達が揃った光景を、俺は見た事が無い。
だからこそ、俺は思う。
例え、今までにない強敵が相手だったとしても、この人達が一緒に戦ってくれるなら、負ける気はしない。
「紘汰さん。まだ戦えますか?」
「ああ、純の方はどうだ?」
「俺も行けますよ! 第一、こんな状況で一人だけ休んでちゃ、男じゃないでしょ!」
俺と紘汰さんは、笑顔でそう言ってから、お互いの拳を、軽く叩き合せた。
先程まで、立っているのもやっとだったのだけど、今は不思議な事に、体中から力が漲ってくる。
『行くぞマスター! ここからが本当の戦いだ!』
まだベルト状態のメカ犬の激昂に、俺は頷く。
「ああ! こんな悪夢はここで終わらせるんだ!」
「ここから先は、俺達……全てのライダーのステージだ!」
俺と紘汰さんは、思いのままに叫ぶ。
それを合図に、この場に居る全員が、戦う為、一人の戦士となる為の動作を開始した。
五代さんと津上さんの腹部には、ベルトが浮き出し構えを取る。
続いて、城戸さんが手に持ったカードデッキを突き出すと、腹部にベルトが出現した。
乾さんは、ベルトを巻いて、携帯電話型の変身ツール、ファイズフォンに、5・5・5と入力して、エンターボタンを押す。
更に剣崎さんもバックルの中央に、一枚のカードを差し込み、バックルはベルトとなって剣崎さんの腹部に巻きつく。
その中でも特殊なのは、ヒビキさんだ。
ヒビキさんは手に持った音叉を指に当て、透き通った音色を響かせ、自身の額へと近づける。
天道さんが、手を突き出すと、宙を舞いメタリックレッドなカブト虫、カブトゼクターがその手の中に納まった。
そして、良太郎君も自分の腹部にベルトを巻きつけ、赤いボタンを押して、ライダーパスをセタッチする。
続いてバサバサと羽を羽ばたかせて、紅さんの相棒である、コウモリ? な姿をした手乗りサイズのキバット三世さんが、紅さんの手の中に納まり、もう片方の手に噛みつかせると、腹部に大量の鎖が出現して、その鎖が更にベルトへと変化する。
その間に、士さんもディケイドライバーを腹部へと宛がい、ライドブッカーから抜き出した、一枚のカードを正面に掲げた。
続く翔太郎さんとフィリップ君も、腹部にベルトを巻きつけた状態で、ジョーカーとサイクロンのガイアメモリのボタンを押す。
更に火野さんも身に着けたベルトの三つの窪みへ、鷹、虎、飛蝗の赤、黄、緑色のコアメダルを装填していく。
弦太郎さんも、ベルトの四つのスイッチを手の甲で叩いていき、構えを取る。
その横では晴人さんが、腹部にベルトを出現させた状態で、指に嵌めた赤い宝石のギミックを指で弾く様に動かす。
紘汰さんも、再びオレンジのロックシードを手に持ち構えた。
最後に俺も手に持ったタッチノートを正面に翳す。
そしてこの場に居る全員が、一つの決意を胸に、戦う意思を示す為の言葉を紡ぎだす。
変身。
この場に居たほぼ全員の声が同時に重なり、全ての世界の存亡を賭けて戦う戦士へと、俺達はその姿を変える。
五代さんが変身したのは、古代の戦士、仮面ライダークウガ。
津上さんが変身するのは、人の無限に広がる可能性の形でもある、仮面ライダーアギト。
城戸さんが変身した姿は、ライダー同士の戦いの中に身を投じながら、その戦いを止める為に、戦い続ける戦士、仮面ライダー龍騎。
乾さんが変身するのは、元はオルフェノクの王を守護する為に作られたが、それと同時に王を殺せる力を持ち、人々の夢を守る為に戦った、仮面ライダーファイズ。
剣崎さんが変身したのは、不死の怪物アンデッドと戦い続けた、仮面ライダーブレイド。
ヒビキさんが変身するのは、厳しい修行に耐え抜き、手にした鬼の力、仮面ライダー響鬼。
天道さんがが変身したのは、選ばれた資格者だけが変身する事を許される、人々を脅かす宇宙からの侵略者と勇敢に戦った、仮面ライダーカブト。
良太郎君が変身するのは、モモさんを始めとした味方のイマジン達の力を借りて、時間の運行を守る為に戦い続けた、仮面ライダー電王。
紅さんが変身したのは、ファンガイアの王の鎧、だがファンガイアであると同時に人間でもあり、その狭間に揺れながら、皆の心の中にある音楽を守り続けた、仮面ライダーキバ。
士さんが変身するのは、全てを破壊し、全ての世界を繋ぎ、旅をし続ける通りすがりの仮面ライダー……仮面ライダーディケイド。
翔太郎さんとフィリップ君が変身したのは、風の街、風都を守り戦い続ける、二人で一人の仮面ライダー、仮面ライダーダブル。
火野さんが変身するのは、欲望の力の暴走で傷つく人々を守る為に戦う、仮面ライダーオーズ。
弦太郎さんが変身するのは、自分の信じた信念と、友達の為に学園の平和を守り続ける、仮面ライダーフォーゼ。
晴人さんが変身したのは、絶望を希望に変える指輪の魔法使い、仮面ライダーウィザード。
紘汰さんが変身するのは、ヘルヘイムの森でも共に戦ってくれたアーマードライダーの一人でもある、仮面ライダー鎧武。
……そして最後に俺、板橋 純がメカ犬と融合して変身するのが、仮面ライダーシード。
今ここに、俺と共にこの戦いを駆け抜け、そして歴戦を戦い抜いた仮面ライダー達が、一堂に会した。
「ハハハ! 数だけは揃ったみたいだな。だが、この方がゲームとしては面白い」
勢揃いした俺達ライダーを見ても、余裕を見せて笑い飛ばしたディアスは、両手を広げると次々と黒い球体を生み出していく。
あれは間違い無く、大きさこそ小さいが、今まで戦って来たコアで間違い無い。
しかもその数は、数え切れない程に大量に存在している。
そのコアの一つ一つが、光を放ち、歴代のライダーで登場した怪人へとその姿を変えていく。
だけど俺達は、戦うべき相手が急激に増えた今も、絶対に臆したりはしない。
「行くぞ皆!」
俺は叫ぶ。
それを決戦の合図として、ライダーも怪人達も、一斉に駆け出す。
こうして、俺は長い戦いの果てに、本当の最後の戦いへと挑む為に、皆の共に地を蹴った。