魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

224 / 233
秋頃に投稿予定となりますシナリオ当選者は、帰灰燼さんに決定致しました。
そして、今回は惜しくも当選出来なかった皆様も、多くのシナリオを送っていただき、本当にありがとうございました。
何時になるかは、未定ですが、希望が多ければまた違ったイベント等を、考えて行くかも知れませんので、宜しくお願い致します。
それでは、今回も楽しんで頂けたら嬉しいです。


第50話 バトルセンス 【前編】

「たあっ!」

 

裂ぱくの掛け声と共に、俺の眼前へと振るわれる拳。

 

その拳の威力は、常人の放つそれとは、一線を画す威力が込められている事は明白だろう。

 

何故ならば、その拳を振るうのは、白い西洋の騎士の様な、白のボディーと緑の模様が特徴的なライダーである、アクセスの放った一撃だったからだ。

 

このまま当たれば、ただでは済まない……だけど、それも当たればという、もしもの話である。

 

「甘い!」

 

俺は一声放ち、軽く自身の手をアクセスの拳に這わせて、外側へと拳の軌道を逸らす。

 

アクセスの放った一撃は、ただその能力に頼った、真っ直ぐな一撃。

 

後先を考えていないその一撃は、良く言えば素直だと言えるが、それはとても御し易いのと同義である。

 

勿論、リーチの長さや、元の身体能力差もあるので、生身でこんな芸当が出来る筈も無く、俺もシードに変身した状態で相対しているが……鳥羽さんが変身したアクセスが繰り出す、神速とも言える拳の速度と比べると、かなり見劣りすると同時に、やはり威力でも劣っている様に思えてしまう。

 

「ほわっ!?」

 

案の定、アクセスは拳の軌道を逸らされて、バランスを崩す。

 

その瞬間を見逃す程に、俺は戦いに対して甘い意識を持つ気は無い。

 

「足元が留守になってるぞ!」

 

バランスを崩して、足下がもたついているアクセスに、一喝しながら、俺はしゃがみ込むと同時に、軽く足を引っ掛けてアクセスを地面に転がす。

 

「痛いですよ……純の旦那」

 

思い切り地面に倒れ込んだアクセスは、少ししてから身体に付いた土をはたき落としつつ、ベルトに嵌め込んだカードデッキを抜き取り、変身を解除した。

 

変身を解いたアクセスの変身者、ワイルド系なイケメン高校生であり、俺と同じく翠屋でアルバイトをしているヤス。

 

俺もヤスに続き、タッチノートをベルトから外して変身を解き、ベルトの状態に変形していたメカ犬も、元のメカニカル手乗り犬姿となって、俺の腹部から離れる。

 

『もう限界か? ヤス』

 

「いや、純の旦那や、鳥羽さんみたいに戦えたら、誰も苦労しませんからね……」

 

メカ犬の言葉に、ヤスが抗議するが、先程まで特訓を続けていたせいか、抗議する声にも元気が無い。

 

「確かに、ちょっと今日は飛ばし過ぎたしな。少し休憩するか」

 

そんな二人のやり取りを見て、俺は苦笑いを浮かべながら、ここで一旦休憩を挟もうと提案する。

 

俺達は今、メカ犬の動物仲間に紹介して教えてもらった、人気の無い森の中でも、比較的に開けた広場の様な場所。

 

どうして、俺達がこんな場所に居るのかと言うと、見て分かる通り、ヤスのアクセスとしての戦闘訓練の為だ。

 

鳥羽さんが、アクセスの変身ツールをヤスに渡し、俺に敵になるという発言を聞いてから、既に一週間が経過したが、あれから鳥羽さんを見たという知り合いは誰も居ないし、連絡も取れない。

 

「あれから一週間か……今頃、鳥羽さんは何処に居るんだろうな」

 

近くの座るのに適当な大きさの岩に腰掛けて、俺は目の前で大の字になって倒れ込むヤスを見つつ静かに呟く。

 

鳥羽さんの事も確かに気になるのだが、実は鳥羽さんの他にもう一人、時期を同じくして、行方の分からなくなった人物が居る。

 

ある意味、鳥羽さんがヤスにアクセスのベルトを渡した時点で、予想してはいたけれど……。

 

鳥羽さんとほぼ同時に、行方の分からなくなった人物とは、鳥羽さんにアクセスのベルトを託した人物である、森沢教授その人だ。

 

恵美さんを経由して、その事実を知った俺は、情報屋のジャックに二人の捜索を依頼してはいるのだが、見つかったという報告はまだ無い。

 

思えば、新しいタイプの暴走プログラムが、加山を通して海鳴市に流れ始めたのは、森沢教授が海鳴大学に赴任されたのとほぼ同時であり、その直後に鳥羽さんが海鳴市に来てアクセスとして戦い始めたのだ。

 

今から考えてみれば、これが全て偶然に重なった事だと言うには、都合が良過ぎる気もする。

 

更にミルファの来訪と、試練の光が其処に重なってきたというのも、情報が過多となって違和感を感じ辛くなってしまった要因の一つかも知れないが、もしかしたらその一件も含めて、全てが繋がっている、と考えてしまうのは、流石に邪推が過ぎるだろうか。

 

以前は、試練の光の力を封じる事が出来たのは、ミルファだけだったのだが、今は異世界で門番から受け取った石の効果で、俺だけでも、何とか対応出来るので、ミルファは海鳴市から離れて、今もあの遺跡を一人で独自に研究しているユーノの下へと向かっている。

 

何でも、遺跡に刻まれた文の一部の解読が完了したらしく、ミルファの力が必要らしいのだが、其処から何か新しい情報を得られれば、何かしらの進展があると、そう前向きに考えておきたいけれど……。

 

「……嫌な予感がするんだよな」

 

まるで示し合わせた様に、動き出した違う事件の進展。

 

ただの偶然だと言い切ってしまえば、そうかもしれないが、ここまで重なると、何かが裏でそうなる様に動いているのではないかと、勘ぐりたくなる。

 

俺は自分の、こんな不吉な予感は外れて欲しいと、切に願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての景色が、白く染まる。

 

其処は、雪原でもなければ、何かが生まれる前の何も無い、虚無の空間という訳でも無い。

 

ただ単純に、白く塗られた壁に囲まれた他には何も無い、殺風景な部屋の中。

 

成人の男性でも二十人は余裕で収容出来るであろう、ただ白いだけの部屋の中央で、一人の男が佇んでいた。

 

その男の腹部には、一本の無骨なベルトと、手に持ったのは、緑色をしたカードケース。

 

「お疲れ様。起動実験は、これで全て完了だよ。鳥羽君」

 

先程まで一人しか居なかった筈の部屋の中に響く、優しげな声色の男性の声。

 

「まあ、これも仕事だからな」

 

「それでも、感謝するのに、遠慮はいらないだろう?

 

労いの声になんでも無い様に答える男……鳥羽。

 

そして話し掛けてきた人物である、初老の男性であり、鳥羽の雇い主でもある森沢教授は、この殺風景な場所とは場違いに、和やかな会話を交わす。

 

「違いないな。それにしても、これが完成型のアクセスの力か」

 

「今まで使っていた、試作型はデータを取る目的も兼ねて、出力を抑えていたからね。このベルトは、鳥羽君の高い身体能力を活かす為に、かなり出力も上げてあるから、力も桁違いだと言えるだろう。その代わり、試作型とは違い、使用者には、素の状態でかなり高い身体能力を要求されるから、普通に使いこなせるのは、君くらいのものになってしまったがね……」

 

「俺には、小さく纏まった奴よりも、こういうジャジャ馬みたいな奴の方が、合ってるからな。別に構わないぜ」

 

「それを聞いて安心したよ。ところで、この一週間を掛けて、最終調整も済んで早々で悪いのだが、仕事を頼みたい」

 

「良いぜ。新しいベルトの肩慣らしもしたいと思ってたとこだ。大暴れ出来る仕事なら大歓迎だ」

 

鳥羽の答えに満足し、森沢教授は、首を一度だけ縦に動かした後、この殺風景な白い部屋の中に出入りする事が出来る、唯一

出入り口となっている扉に、視線を向ける。

 

「入って来たまえ」

 

森沢教授が一声その扉に向かって掛けると、その言葉を合図にして、ゆっくりと扉が開かれる。

 

「……なるほど」

 

扉を開けて、入って来た人物を見た鳥羽は、納得した様に呟く。

 

「これから鳥羽君には、彼の仕事を手伝ってもらいたい。必ずと保障は出来ないが、君を満足させてくれる機会は多いと思うよ」

 

「だろうな」

 

扉から入って来た、人物を見つつ、鳥羽は森沢教授の言葉に、返事をしながら、今まで共に多くの戦いを潜り抜けてきた一人の少年を思う。

 

もしも、自分がこの新しい仕事仲間と共に、彼の前に現れたら、どんな反応を見せるだろうかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何で鳥羽さんは、俺にこんなのを渡したんですかね?」

 

本日の特訓を終えた帰り道。

 

くたびれた表情をしながら隣を歩いていたヤスが、ふとそんな質問を俺にしながら、自分の持っている少し角が綻んでいる学生鞄に視線を向ける。

 

ヤスが視線を向けた先である、ヤスの学生鞄の中には、今まで鳥羽さんが普段から持ち歩いていたアタッシュケースの中身が入れられていた。

 

一応は成人であり、曲がりなりにも社会人である鳥羽さんが、アタッシュケースを持ち歩くのは、そんなに不自然に映る事は無いだろうが、学生服を着たヤスが常時そんな物を持ち歩いていたら、どうしても目立つ。

 

なので、学生服で持ち歩いていても不自然では無く、充分な収納スペースと、搬送能力を持った入れ物として、この鞄が選ばれた訳だが、どうやらヤスは、今もその事実に納得はしていない様だ。

 

「どうしたんだよヤス。そんな藪から棒に?」

 

「いえ、ここ一週間で、純の旦那に鍛えてもらっておいてなんですけど、俺じゃどう頑張っても、鳥羽さんみたいに戦うのは無理だなって、改めて思って……」

 

ヤスはそう言って、鞄を再度見ると、深い溜息を零す。

 

確かにヤスの戦闘センスは、贔屓目に見ても鳥羽さんと見比べれば、全てにおいて劣っている。

 

それは、厳しいかも知れないが、事実であり一朝一夕の特訓で覆せるレベルじゃない。

 

だけど俺は、鳥羽さんの選択が間違いだとも思えなかった。

 

鳥羽さんにどんな事情があり、アクセスである事を捨てて、俺にあんな言葉を残して消えたのかは知らないが、もしも鳥羽さんがアクセスの後任を誰かに任せたとして、直ぐに実戦でそれなりに戦える人材は、ヤスが一番適任だと言えるだろう。

 

単純にヤスよりも強い誰かを探すのに、苦労は無いだろうが、何も聞かずに承諾してくれるかと考えると、難しい。

 

その点で言えば、ヤスは鳥羽さんとは同門の道場の後輩であり、海鳴市のホルダー事情も理解している。

 

俺や長谷川さんとも面識があるから、連携も取り易いだろう。

 

だが一番の決定打は、ヤスが一度だけとは言え、アクセスに変身して、ホルダーを撃破しているという実戦経験の有無だ。

 

何度も模擬的に訓練をするよりも、一つの実戦を行う方が、遥かに色んなものを吸収する事が出来る。

 

それは、俺自身が体験してきた事だからこそ、大いに理解出来た。

 

もしも俺のお隣さんが高町家で無ければ、もしも、俺がメカ犬と出会わず仮面ライダーになる事が無ければ、元が凡人でしかない俺が、小学生の身で、大人すら倒せる様なスキルを身に着ける事は、永遠に出来なかったと自負している。

 

まあ、ヤスが強くなるには俺と同じ様に、命賭けでホルダーと戦い続けるのが一番の近道かも知れないが、流石にそこまで鬼になろうとは、俺も思っていない。

 

だからこそ、こうして空いた時間を作って、人目に触れない森の中等で、特訓を続けてきた訳だが、目に見えた効果が無いからか、ヤスは自信を失ってしまった様だ。

 

今までに自主練習は大量にやって来たし、古武術の基礎やボクシングの基礎を齧ったりと、多少の教えを受けた事はあるが、俺の戦い方は、そういった自分の見た物や触れた物を、ホルダーとの戦いの中で積み上げていった我流の戦い方で、他人に戦いの基礎的な事以上を教えるには向いていないと、自分でも思う。

 

ヤスも道場で、格闘技は学んでいるので、基本が出来て無いという訳でもないのだが、あくまでもスポーツ格闘技という範疇に留まるレベルで、文字通りに、相手を倒すという身体の動かし方とは、何処か異なる。

 

ルールの上では、狙われない場所が、比較的にそのまま無防備となってしまい、無意識にその場所の防御が薄くなったり、攻撃の範囲も、自分で狭めてしまっているという感じだ。

 

この一週間の特訓では、その箇所を意識させる為に、立ち回っていたのだけど、それがヤスの自信喪失に拍車を掛けたのかも知れない。

 

「なあ、ヤス。鳥羽さんとは確かに違うかも知れないけどさ……」

 

俺が言っても、慰めにしか聞こえないかも知れないが、何も言わないよりは、知っておいてもらいたいという意志で、ヤスに話し掛けようとしたその時。

 

『キンキュウケイホウキンキュウケイホウキンキュウ……』

 

タッチノートから、最悪のタイミングで呼び出しのコールが届いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タッチノートの反応があったのは、海鳴大学のキャンパス。

 

その渦中から逃げていく人の一人を捕まえて、事情を聞いてみると、どうやら学生の一人が、突如として怪物に変化して、暴れ始めたらしい。

 

その怪物が、ホルダーである事は、タッチノートの反応から間違い無いだろう。

 

不幸中の幸いにも、ホルダーは周りの人間は無視して、建物を壊し続けているらしく、軽傷を負った人は居るそうだが、無事に避難出来たそうだ。

 

俺とメカ犬とヤスが、現場に着いた時には、既に警察の人達が大学への入り口を封鎖していた。

 

「まだ長谷川さん達は来てないみたいだな」

 

『それなら、このまま突っ込むぞマスター!』

 

「えっ、ちょ、突っ込むって!?」

 

俺とメカ犬の会話に、ヤスが驚愕の声を上げるが、それに考慮している時間も惜しい。

 

「そういう訳で、行っちゃってください! チェイサーさん!」

 

『任せて~ん』

 

大学の前まで、俺達を運んでくれた、漆黒の新宿二丁目なイメージの強いバイクであるチェイサーさんが、快く俺の願いを聞き届けてくれ、更に加速していく。

 

今の俺達の現状を簡単に説明すると、ヤスが普通にチェイサーさんの座席に座り、俺がその前に座って、更に俺の頭にメカ犬がしがみついた状態で、爆走しているというのが現状だ。

 

明らかに、交通ルールを無視した二人乗り&一匹乗りな走り方ではあるけれど、この方法が一番早く、現場に着ける方法だったのだし、今は緊急事態なので、勘弁してもらいたい。

 

そして、こんなプチ曲芸な走行をしている俺達に向かって、出入り口を固めていた警察の人達が、止まりなさいと叫んでいるが、皆の姐さんと名高いチェイサーさんが、そんな訴えと、簡易的に設置されたバリケードで怯む訳も無く、更に速度を増していく。

 

『このまま飛び越えるわよ~』

 

チェイサーさんの声を合図に、車体の前輪が浮き、後部車輪を起点に飛び上がり、警察の人達はおろか、バリケードも軽々と飛び越えて、大学内へと見事に侵入を果たす。

 

きっと、チェイサーさんの張っている、認識阻害の運転手のビジョンが俺達に重なっていなければ、後で面倒な事になっていたのは、明白だろう。

 

流石に警察の人達も大学内に入った俺達を直ぐに追ってくる事は、自分達で仕掛けたであろうバリケードで無理の様なので、俺達は構う事無く、ホルダーの反応がする場所へと向かって、走り続ける。

 

既に、何かを壊す破壊音等も、耳に届いていた事もあり、差ほどの時間が掛かる事も無く、俺達はホルダーが居る、キャンパスの中央へと辿り着く事が出来た。

 

「あれが、反応にあったホルダーか!」

 

ここまで運んでくれたチェイサーさんから降りてから、俺は目の前で暴れ回り、ところ構わず眼につく建物等を破壊し続ける異形を見て、誰に言うでも無く、声に出していた。

 

丸みを帯びた、水色のボディーに、キノコの様な帽子を被った風にも見えるその姿は、何処か生物と言うよりは、かなり古い漫画に登場しそうなロボットを彷彿とさせる、不思議な姿をしている。

 

『このまま暴れさせておく訳にはいかん。急いで止めるぞマスター!』

 

「ああ、ヤスも行くぞ」

 

「は、はい!」

 

俺はメカ犬の声に頷きつつ、タッチノートを開き、ヤスも俺の呼び掛けに応えながら、鞄の中のベルトを引っ張りだす。

 

『バックルモード』

 

タッチノートを操作する事で、音声が響き、俺の頭の上に陣取っていたメカ犬が、一度飛び上がると、空中でベルトに変形して、俺の腹部へと巻き付く。

 

その間に、ヤスも自身の腹部にベルトを巻き、緑のカードケースを掲げた。

 

「「変身!」」

 

俺とヤスは、同時に叫び、タッチノートとカードケースを、其々のベルトの中央に装填する。

 

『アップロード』

 

『アクセスリンク』

 

身に着けた其々のベルトから、音声が鳴り、俺とヤスの身体は、光に包まれ戦士の姿へと変わっていく。

 

何時も通りであるメタルブラックのボディーのシードへと変身を果たした俺は、同じくアクセスに変身したヤスと共に、ホルダーに向かって駆け出した。

 

破壊活動を続けていたホルダーだったが、近付いて来る俺達に気付いた瞬間、脇目も振らずに俺達に向かって駆け出す。

 

そのまま俺とアクセスに対して、がむしゃらに攻撃を仕掛けてくるホルダー。

 

どうやら、既に最低限に会話が出来るだけの理性も失ってしまった様だ。

 

ならば、こっちも遠慮は無用である。

 

俺はホルダーの拳を避けつつ、カウンターに蹴りを叩き込む。

 

「なにっ!?」

 

だがその攻撃は、ホルダーには届かず、俺は驚愕の声を上げた。

 

俺の蹴りが、ホルダーに届くその直前、薄く透き通った青い壁が現れて、俺の攻撃を完全に遮断してしまったのである。

 

しかもその現象は、一度だけじゃない。

 

横からアクセスも、ホルダーに連続で拳を叩き付けているのだが、その攻撃も全て、俺の蹴りを受け止めたものと同じ、青い壁によって、無効化されてしまっている。

 

「がああああああああああ!」

 

理性の無い野獣の様な叫びを上げたホルダーが、両腕を突き出して、攻撃を放った直後の俺とアクセスを吹き飛ばす。

 

「がはっ!?」

 

「大丈夫かヤス!?」

 

素早く体勢を立て直した俺は、受け身に失敗して、地面に強かに背中を打ち付けたアクセスを助け起こしつつ、ホルダーの動向を探り続ける。

 

『どうやらあのホルダーは、物理攻撃を遮断出来る障壁を発生させる事が出来る様だな』

 

俺とアクセスが戦っている間に、冷静に分析を続けていたメカ犬が、先程の青い壁をホルダーの能力だと結論付ける。

 

「能力が分かったのは良いけど、そんな反則染みた能力を、どうすれば良いんだよ?」

 

『うむ。全てに置いて完璧な能力等、早々無い筈だ。あの障壁も360°全てに張れるとは限らない。まずは色々と試してみるのも手だろう』

 

「それなら、まずは手数で勝負してみるか」

 

俺はそう言いながらベルトの右側をスライドさせて、緑のボタンと黄色のボタンを連続で押していく。

 

『スピードフォルム』

 

『スピードロッド』

 

メタルブラックのボディーは、鳴り響く音声に合わせて、ライトグリーンへと染まり、大量に生成された光は、俺の右手に集まり、このフォルムの専用武器であるスピードロッドとなって、俺の手の中に納まる。

 

「行けるか? ヤス」

 

「……はい、何とか」

 

スピードロッドを構えつつ、アクセスに話し掛けると、まだダメージは残っている様だが、既にちゃんと構えを正し、意識をホルダーへと向けていたので、少しだけ安堵した。

 

「さっきのメカ犬の話た通り、あの障壁の穴を探るぞ。まずは威力より手数で撹乱して攻める!」

 

「やってみます!」

 

俺とアクセスは、互いに頷き、それを合図として、再びホルダーへと攻撃を仕掛けた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。