魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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更新がかなり遅くなってしまい、申し訳ありません。

少し短めですが、今回も楽しんで頂けたら嬉しい限りです。

ではでは。


第50話 バトルセンス【後編】

スピードロッドを手に、俺はもう一度ホルダーへと攻撃を仕掛ける。

 

まずは、正面からロッドによる一撃。

 

しかしその攻撃は、例の青い衝撃によって、弾かれてしまう。

 

だが、それは想定の範囲内だ。

 

「正面が駄目ならこうだ!」

 

俺は弾かれた反動を利用して、そのまま身体を捻り、右側の側面から、スピードロッドによる薙ぎ払いへと攻撃を繋げる。

 

もしも、あの障壁が連続展開出来ないタイプであれば、この一撃は届くかも知れない。

 

でもそれは、甘い考えだったと、次の瞬間に思い知る事となった。

 

先程まで正面に張られていた障壁が、今度は右側に展開されて、またしても俺の攻撃は弾かれてしまったのである。

 

「このっ!」

 

相手の反応速度に驚いている暇は無い。

 

俺は更にその反動を利用して、今度は反対側に身体を捻り、すぐに左側へと、ロッドによる打撃を放つ。

 

三回目となる打撃だが、その攻撃すらも、ホルダーの張った障壁によって防がれる。

 

でも、ホルダーの注意を俺に引き付けるという意味では、充分に役割を果たす事に成功したと言えるだろう。

 

俺がホルダーに攻撃を仕掛けているその間、共に駆け出したアクセスは、既にホルダーの背後へと回り、拳を繰り出す体勢へと入っていた。

 

「同時に行くぞ!」

 

「はい!」

 

俺の合図に、アクセスがこ応え、正面かと背後からの同時攻撃がホルダーを襲う。

 

案の定、再び正面から放った、俺のロッドによる一撃は、側面から再び正面へと出現した障壁によって防がれてしまった。

 

だが、背後から放ったアクセスの一撃は、見事にホルダーの背中に命中して、前に仰け反り、差し出された形となったホルダーの頭頂部へと、蹴りを叩き込む。

 

すると、その一撃は、ある意味で正面からの一撃だったというのにも関わらず、障壁が展開される事は無く、ホルダーの頭部に当たり、吹き飛ばす事に成功した。

 

『……うむ。どうやら、あの障壁にも幾つか付け入る隙はある様だな』

 

ここまでの戦いを分析したメカ犬の声が、ベルトから聞こえて来る。

 

「あの、何で俺の攻撃は届いたんですか?」

 

メカ犬がそう言っている間に、横に並んだアクセスが、質問をぶつけてくる。

 

確かに、最初に俺とアクセスの攻撃を防いだ時は、同時攻撃だったにも関わらず、障壁を二面に展開していた。

 

しかし、今回は俺の攻撃を防ぐ為に、正面へと展開はしていたが、背後には展開せす、アクセスの攻撃を受けたのである。

 

どうして、二面以上に展開出来る筈なのに、そうしなかったのかと疑問に思うのは当然だろう。

 

単純に考えれば、背中に障壁が張れないだけという可能性もあるが、ホルダーはアクセスの攻撃だけで無く、最後に正面に居た俺からの攻撃も受けた。

 

ならば、あの障壁を展開するには、決まった法則性があると考えた方が無難だ。

 

メカ犬も、その法則性に気付いたからこその、先程の台詞なのだろう。

 

『おそらくだがあの障壁は、ホルダーが外部からの攻撃を認識する事で、初めて展開する事が出来るのだろう。だから先程のヤスが放った背後からの一撃には、障壁を張る事が出来ず、直後のマスターの攻撃を受けたのも、下を向いていた為に、同じ理由で障壁を張る事が出来なかったのだろうな』

 

アクセスは、メカ犬の説明を聴き、なるほどと手を叩く。

 

「あの障壁が厄介な事に変わりは無いけど、戦って勝てない相手じゃない。障害物で身を隠して遠距離攻撃するか、片方が注意を引き付けている間に、もう片方が強襲すれば何とかなる筈だ」

 

正面からただ拳を交えて戦うのは難しいが、搦め手で攻めればきっと何とかなるだろう。

 

だが問題は戦う場所が、キャンパスの為に身を隠すスペースは少なく、建物に関しても、俺達がここに辿り着くよりも前に、ホルダーが軒並み破壊してしまっているので、身を隠せるだけの障害物が大量にある場所まで誘導するのは、難しいと言える。

 

そうすると、残る戦法は、さっきの様子見の為に使った囮戦法だが、人間としての理性を失っているとはいえ、俺達の攻撃を意識して障壁を展開する事から、ただ我武者羅に戦っているだけとは思えない。

 

果たして、同じ戦法がどこまで通用するか……

 

「何かの障害物……そうか!」

 

俺がここからどう戦うべきか、模索していたその時、隣で同じ様に、何かを考えている仕草をしていたアクセスが、そう言い放ち、ベルトに差し込んだカードデッキから、一枚のカードを抜き出した。

 

「何をする気だ? ヤス」

 

「ちょっと、俺に考えがあるんで任せて貰えますか。純の旦那」

 

そう言うとアクセスは、カードをベルトの側部のスリッドへと通して、立ち上がろうとするホルダーへ向かって駆け出した。

 

『グランドリンク』

 

アクセスのベルトから響く、電子音声。

 

この音声を聞いて分かったのは、鳥羽さんがアクセスに変身した時も何度か使っていた、周りの地面を操作したり形状を変化させるカードだった筈である。

 

「このっ!」

 

ホルダーの前で拳を振り上げるアクセス。

 

その攻撃は、当然ながらホルダーも承知しており、正面には既に例の障壁が展開されている。

 

このまま、アクセスが拳をホルダーに向かって放てば、まず間違い無く、障壁によって拳は弾かれてしまい、ホルダーへと届く事は無いだろう。

 

しかし、現実にそうなる事は無かった。

 

いや正確に言うならば、アクセスは最初から拳をホルダーに向けて放った訳では無かったのである。

 

アクセスが狙ったのは、ホルダーのすぐ近くの地面。

 

障壁にアクセスの拳は触れる事無く、地面を叩きその地面が大きく隆起する、その隆起した地面は二メートル程にも達し、平均的な身長を誇る成人男性でも、余裕で全体が隠れてしまう程の大きさだ。

 

「まだまだ行くぜ!」

 

アクセスは、自らに気合を入れるためなのか、叫びながら次々と拳を地面に叩き込んで行き、地面を隆起させていく。

 

最初は何の意図があって、そんな事を繰り返しているのか、分からなかったが同じ事を繰り返すアクセスを見て、本当の狙いに気付いた。

 

『なるほど。ヤスはこれを狙っていたのだな』

 

メカ犬もこの一連の行動の意味に、気付いたらしい。

 

キャンパス周辺を、改めて見てみると、大きく隆起した地面によって、地形そのものが変わってしまっていた。

 

「これなら、俺達の居る場所も分かり難い筈だろ!」

 

アクセスはそう言いながら、新たにカードデッキから一枚のカードを抜き出して、ベルト横のスリッドに通す。

 

『ウインドリンク』

 

再び響く音声と同時に、アクセスの手の中に、風が集まり圧縮されて、球体を作り出す。

 

これも鳥羽さんが何度か使っていた、周囲の風を操る能力だった。

 

今のアクセスが行っているのは、その能力を応用した遠距離攻撃だった筈である。

 

「ここだ!」

 

アクセスは、隆起した地面の陰に隠れながら、ホルダーの背後に回り込み、隙を突いて、手の中に作り出した風を圧縮した球を撃ち出した。

 

ホルダーの死角から放たれた一撃は、ホルダーの背中に当たり、吹き飛ばされる。

 

「俺達も負けてられないな! 行くぞメカ犬」

 

『うむ!』

 

このままアクセスだけに任せておく訳にもいかない。

 

俺はスピードロッドを構え直して、戦いに参戦する。

 

アクセスが作った隆起を利用して、俺もホルダーへと接近していく。

 

だがあえて、俺は正面からホルダーと対峙する。

 

当然ながら、ホルダーは正面に障壁を張るが、それは承知の上だ。

 

「はっ!」

 

俺はホルダーの張った障壁を踏み台に飛び上がり、後ろの隆起した地面、いやこれはもう地面と言うよりも壁と表現した方が正しい気もする。

 

更にその壁を蹴り上げて、先程の開けた場所では出来なかった立体的な動きと、スピードフォルムの身軽さでホルダーを翻弄していく。

 

だが、俺にばかり気を配れば、当然ながらもう一人に対しての意識が薄くなるのが道理だ。

 

「このっ!」

 

ホルダーの意識が再びホルダーに向いていたその隙に、アクセスがどういう訳か、大きな鉄製のバケツを手に、近付いて来て、ホルダーの頭に勢い良く被せた。

 

「どこからバケツなんて持って来たんだよ。ヤス」

 

「地面を盛り上げてる途中で、落ちてるのを見つけたんです。それよりも、今ならあいつは何も見えないですから障壁も張れない筈ですよ!」

 

「ああ、こんな悪夢はここで終わらせる」

 

流石にバケツをホルダーの頭に被せるとは予想外の行動だったが、チャンスに違いは無い。

 

俺はバケツを被って、右往左往するホルダーに向かって駆け出し、無防備な腹に、スピードロッドの先端を押し当て、中央部分を脇に挟む様に持ち、ホルダーをそのまま、上空へと放り上げる。

 

「ヤス!」

 

俺が叫んだ、ホルダーが落下するであろう、予想地点では、アクセスがカードデッキから一枚のカードを抜き出して、ベルトのスリッドへとスライドさせていた。

 

『リンク・チャージ』

 

アクセスのベルトからは、音声が響き、右足に光が集約されていく。

 

「うをおおおおおりゃああああああ!」

 

光が集約するアクセスの右足が、落下してきたホルダーを、勢い良く蹴り上げ、大きな爆発を引き起こす。

 

爆発後には、若い男の人がアクセスの隣で倒れていた。

 

おそらく、ホルダーの素体となった人物であり、この海鳴大学の学生さんだろう。

 

「やったな。ヤス」

 

『うむ、中々に見事だったぞ』

 

戦いが終わった事を確認して、俺とメカ犬はアクセスに労いの言葉を贈る。

 

「はは……そんなこと無いですよ。凄く疲れましたけど」

 

俺達の労いに、アクセスは乾いた笑い声を上げる。

 

良く見れば、少し足元がふらついている事から、言葉の通り相当に疲れているのだろう。

 

以前に突発的に戦った時とは違い、自らの意思で初めて戦地に赴き戦ったのと、勝った事によって、それまで張り詰めていた緊張感が途切れてしまったというのもあるから、仕方の無いことかも知れない。

 

まあ、今は戦いの直後なのだから、勝利の余韻に浸るのも悪くは無いと思うが、そんな弛緩した空気はすぐに終わりを迎える事となった。

 

何処から聞こえて来るのか。

 

両手を何度も合わせる音、つまり何者かが拍手をする音が、俺達以外には、居ない筈のこの場所に響き渡った。

 

「ごくろうさん。思ったよりやるじゃねえか。見直したぜ、ヤス」

 

続いて聞こえて来た声は、この一週間の間に、何の音沙汰も無かったあの人の声に間違い無い。

 

「……鳥羽さん」

 

拍手の音がした方に振り向き、俺は先程の、声の主の名前を呟く。

 

確かに俺の視線の先には、鳥羽さんが居た。

 

でも、それだけじゃない。

 

鳥羽さんの他にも、俺の知る人物が、後二人も居たのである。

 

「久し振りだね。板橋君」

 

その内の一人。

 

鳥羽さんと同様に、一週間前から、行方が分からなくなっていた、森沢教授が普段と変わらない温和な笑顔で、俺に笑い掛ける。

 

まるで何時もと変わらない、日常の挨拶の様な流れで挨拶してきた訳だが、俺は今、シードに変身した状態であり、当然だが俺から森沢教授に正体をばらした覚えは皆無だ。

 

もしかしたら、鳥羽さんが話したのかも知れないが、それよりも高い可能性が1つだけある……。

 

「そう殺気を向けないで頂きたいですね。まあ、そのお気持ちはお察し致しますが」

 

俺が視線を向けた先に居る、三人目の人物の紫スーツを着た男が、睨み付ける俺の視線に気付き、笑顔を向けるが、その笑顔からは、友好的な感情どころか、空々しさしか感じ取る事は出来ない。

 

……そう、きっと森沢教授はこの男、加山から俺の情報を聞いたと考える方が妥当だろう。

 

鳥羽さんと森沢教授が、一緒に行動している可能性は最初から考えていたが、加山まで一緒に行動していたとは……予想出来なかった訳では無いけれど、それが現実のものとなって欲しくないと、心の中では願っていたのに、その光景は現実のものとなってしまった。

 

どうして、加山がというよりも、この三人が一緒に居るのを見た事で、今まで自分の中でバラバラだったパズルのピースが、嵌っていくかの様な感覚を感じる。

 

俺は気絶したホルダーの素体となった学生さんの傍で、粉々に砕けた、緋色の暴走プログラムに視線を向けてから、再び森沢教授に視線を向けた。

 

「……緋色の暴走プログラムを海鳴市にばら撒いたのは、森沢教授だったんですね?」

 

「君や恵美君には感謝している。おかげで貴重なデータが集まったよ」

 

俺の質問に、森沢教授は変わらぬ笑顔で答える。

 

森沢教授の答えは、俺の考えが正しいという事を意味していた。

 

どういった経緯があって、森沢教授がこんな事をしようと考えたかは流石に分からないが、緋色の暴走プログラムを作り出し、加山を闇の売人に仕立て上げ、次々と暴走プログラムを配り、この海鳴市を混乱に陥れた張本人。

 

その元凶が、森沢教授だという事は、まず間違い無いだろう。

 

今にして思えば、この海鳴大学と何かしら関係があった人達に、緋色の暴走プログラムを使ってホルダー化したケースは異常なまでに多かった。

 

きっとそれは、森沢教授が、加山を仲間に引き込むよりも前から、暗躍し続けていたからなのだろう。

 

「今日は純達に、良いものをみせてやろうと思ってな」

 

鳥羽さんはそう言いつつ、一本のベルトを自身の腹部に巻きつけ、緑のカードケースを掲げる。

 

ベルトとカードケースは、今もヤスが使っているアクセスと同等のもの。

 

それが意味する事はつまり……。

 

「変身!」

 

言葉を紡ぎ、鳥羽さんはベルトの中央に、カードケースを差し込む。

 

『アクセスリンク』

 

予想通りの音声がベルトから流れ、鳥羽さんは見慣れているアクセスと同じ戦士へと、その姿を変える。

 

殆どは従来のアクセスと変わらない、緑の複眼と模様と、白い西洋鎧の様なボディーなのだが、ベルトから四肢に掛けて、赤、青、黄色の細いラインが追加されていた。

 

「今の鳥羽君の変身したアクセスこそ、真のアクセス。これまでの試作型と同じと考えていると痛い目を見る事になるよ」

 

森沢教授が、鳥羽さんの変身したアクセスに、補足説明を付け足す。

 

その言葉を、全面的に信用するならば、今までの、つまりヤスが変身しているアクセスはプロトタイプの試作型であり、先程の鳥羽さんが変身したアクセスが正規版となるという事だ。

 

仮に呼称するならば、今までのアクセスがプロトアクセスと言った方が、分かり易いだろうか。

 

そんな事を考えている間に、鳥羽さんに続き、加山が緋色の暴走プログラムを使い、今までにも何度か戦った蝙蝠の特徴を持ったホルダーへとその姿を変えた。

 

『気を抜くなマスター!』

 

ベルトから響くメカ犬の声を合図に、アクセスとホルダーが、俺とプロトアクセスに向かって駆け出した。

 

加山が変化したホルダーは、迷わず俺の懐の中へと飛び込み、鳥羽さんが変身したアクセスは、もう一方、プロトアクセスへと攻撃を仕掛ける。

 

「まずは、試作型との性能差を実地で調べるというのが、クライアントの意思ですからね。君には少しの間、私と遊んでいただきますよ」

 

「くそっ!」

 

何とかプロトアクセスに加勢したいが、それをホルダーが許す事無く、攻めの一手で俺の行動を阻害する。

 

こうなってしまったら、正面から戦って、倒してしまった方が話は早いかも知れないが、そうすると手遅れになる可能性が高い。

 

ホルダーからの攻撃を捌きつつ、二人のアクセスの戦いを見ると、その実力差は圧倒的なもので、プロトアクセスは手も足も出ない状況に陥っていた。

 

「がはっ!?」

 

そしてこの状況を打開するに至るよりも先に、アクセスの戦いは終焉を迎えてしまう。

 

アクセスの放った強烈な蹴りに、抗う術も無く、吹き飛ばされたプロトアクセス。

 

その衝撃によって、腹部のベルトが外れてしまい、変身は強制的に解除されて、元のヤスの姿へと戻り、そのまま気を失ってしまったのか、立ち上がる気配を見せない。

 

「ヤス!」

 

俺の呼び掛けに対しても、何の反応も見せない事から、本当に意識が無いのか、それとも声を出す事すら出来ない程のダメージを負ってしまったか……どちらにしても、変身が強制的に解除されてしまう程の攻撃を受けてしまったヤスに、戦う力は残っていないだろう。

 

『マスター!』

 

「分かってる!」

 

ベルトから聞こえる、俺を呼ぶメカ犬が、何を言いたいのかは、俺にも分かる。

 

このまま無防備になっているヤスを、放置しておけないが、現状がそれを許してはくれない。

 

「板橋君!」

 

だがこの窮地に、俺を呼ぶ救いの声が空の上から響く。

 

「この声は!」

 

空を見上げれば、背中の巨大なバーニアを噴射させて、空から降りて来るE2Bの姿。

 

「ヤスだけじゃ、ちょっとばかし物足りなかったとこだしな、今度は刑事さんが相手してくれよ」

 

駆け付けてくれたE2Bに対して、アクセスは悠然と歩を進めて行く。

 

「一体どうなっているんだい!?」

 

襲い掛かって来るアクセスの攻撃を受けながら、E2Bが俺に事情を説明する様に求めて来るが、俺も悠長に説明している時間は無い。

 

ただ、それでも今のアクセスが敵に回ったというのは理解してくれたらしく、困惑しながらもE2Bはアクセスの攻撃に対して、柔軟に応戦してくれている。

 

このまま新たに参戦したE2Bも交えた、2対2の戦いになるだろうと思ったその時だ。

 

更なる予想外の乱入者達によって、終止符を打つ事となる。

 

「なっ!?」

 

「え?」

 

俺とE2Bは、思わず声を上げる。

 

其々に、俺の前には藍色の影と、E2Bの前には灰色の影が出現した為だ。

 

その二つの影の正体は、この海鳴市を脅かす怪人、オーバーとメルト。

 

何を思ったのか、オーバー達は、ホルダーとアクセスに対して、攻撃を仕掛けていく。

 

「ど、どうして?」

 

「別に、手を貸すつもりじゃないよ。仮面ライダー」

 

俺が思わず呟いた言葉に、オーバーがホルダーに剣を振るいながら、軽い調子で答える。

 

「私達にも事情があるのでな。敵であるお前よりも先に、裏切者の排除を優先しているだけにすぎん」

 

更にメルトが、アクセスに銃撃で弾幕を張りつつ、言葉を紡ぐ。

 

「どうも、邪魔が入ってしまったようですね。ここは一旦引きましょうか。鳥羽君、加山君」

 

オーバー達の予想外の参戦に、見切りをつけたのか、森沢教授の声に、ホルダーとアクセスが頷き、一飛びで、森沢教授の居た場所へと戻る。

 

「僕達が逃がす訳が無いでしょ!」

 

それを許す筈も無く、オーバーがすぐに後を追おうとするが、オーバーの剣が届くよりも先に、アクセスが、カードデッキから一枚のカードを抜き出して、ベルトの横部分のスリットにカードを通す。

 

『シャインリンク』

 

ベルトから響く、電子音声とほぼ同時に、眩い光が、周囲一帯を照らす。

 

当然ながら、直視出来るレベルの光量である筈も無く、俺を含めたこの場に居る全員が、その光によって視界から森沢教授達を見失い、気付いた時には、森沢教授達だけで無く、オーバーとメルトすら、忽然とこの場から姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご迷惑をお掛けして面目無いです。純の旦那」

 

「別に良いって、それよりも大丈夫なのか? 鳥羽さんにかなり派手に吹き飛ばされてたけど」

 

頭に包帯を巻いて痛々しい姿のヤスを前に、俺は本当に大丈夫なのかと、もう一度聞き返すが、ヤスは大した事は無いと笑って答える。

 

多少はやせ我慢している様だが、足元がふらついているという事も無いので、大事には至っていないのは確かなのだろう。

 

俺達が今居る場所は、海鳴病院の待合室。

 

あの戦いの後、長谷川さん達、警察に後の事を任せて、俺は戦いで気を失ったヤスを急いで病院へと運んだのである。

 

ヤスの怪我も、外傷は変身が解けた直後に額を少し切ったというもので、他には特に怪我らしいものは無いのだそうだ。

 

取り敢えずは、何事も無く一安心と言いたいところではあるが、素直に喜んではいられそうにない。

 

『どうも、ワタシ達の知らないところで、何か大きな動きがあるのは、間違い無い様だな』

 

先程まで、俺とヤスのやり取りを黙って見ていたメカ犬が、口を開く。

 

そう。

 

先程の戦いで、乱入してきたオーバーとメルトの言動。

 

あの口振りからすると、森沢教授は、オーバー達と協力関係にあった事が想像出来るが、何かしらの理由があり、協力関係を止め独自の計画を持って、動き始めたという事に他ならない。

 

完成型のアクセス。

 

緋色の暴走プログラム。

 

オーバー達に対しての離反。

 

森沢教授が何をしようとしているのか、判断するには情報が何もかも足らない。

 

「今の現状じゃ、判断材料が少な過ぎて、何とも言えないんだよな」

 

『うむ。既に通信でメカ竜達に頼み、潜伏先を調べさせている。それに後でジャックにも依頼はするつもりだが、簡単に尻尾をだすとは思えんな』

 

俺とメカ犬、は互いに考え込み、首を捻らせる。

 

「あの、ちょっと良いですか」

 

そんな俺とメカ犬の様子を見て、ヤスが声を掛けてきた。

 

「どうしたんだ?」

 

「実はその森沢教授なんですけど、この病院に通院していたらしいんです」

 

ヤスの意外な発言に俺とメカ犬が、思わず固まってしまったのは無理も無いだろう。

 

ただ思うのは、情報とは意外な場所にあるものだと言う事だ。

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