魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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第十六話 仮面ライダーVS仮面ライダー?【前編】

風が冷たくなってきた11月半ばの日中。

 

10人の女性に聞けば、三分の一程が格好良いと言うであろう、二十代前半の男性が海鳴公園のベンチで、項垂れていた。

 

「はあ……また不合格か」

 

重い溜息を吐きながら、男性は呟く。

 

男性の手には、一枚の書類があり、そこには一際大きな文字で、不合格と書かれていた。

 

彼の名前は成桐円射《なりきりえんじゃ》。

 

将来は役者になる事を夢見る若者であり、先週も新しいドラマのオーディションを受けたばかりの、現在フリーターである。

 

彼が手に持っている書類と、現状の彼を見ればそのオーディションの結果は明らかであろう。

 

このまま家に居ると、際限無く落ち込んでしまうだろうと考えて、外に出て来た訳だが、尚も気分は晴れずにいる。

 

いまだ落ち込みながら、何となく自身の視線をベンチ脇の、網目状のゴミ箱に向けると、その一番上に普段から愛読している雑誌が、乱雑に捨てられていた。

 

海鳴ジャーナルが毎月発刊している、月刊海鳴である。

 

そういえばまだ今月号は読んでいなかったと思い、彼は捨てられていた月刊海鳴を拾い上げて、ページを捲り

始めた。

 

一番に目に飛び込んできたのは、最近この海鳴市でも、有名になってきたメタルブラックのボディーを持つ、超人の姿である。

 

「仮面ライダーか……」

 

特集ページを流し読みしながら、彼は独り言を呟く。

 

「芸能人でも何でも無いのに、特集が組まれる位に有名になれるなら、俺もヒーローになってみたいぜ」

 

「ふ~ん。君ってヒーローになりたいんだ?」

 

「へ!?」

 

独り言で口にした筈の言葉に、返事が返ってきた事に驚いた、彼は思わず驚きの声を上げながら、その返事が聞こえた方向に振り向く。

 

そこに居たのは、藍色の怪人だった。

 

「良いよ。君のその願い、僕が叶えてあげる」

 

藍色の怪人は、軽い口調でそう口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……確かこの道の突き当たりを、右に曲がった先のマンションだったよな?」

 

俺はうろ覚えの道を思い出しながら、手書きの地図を片手に、歩みを続ける。

 

『しかし恵理殿の頼み事自体は良くある事だが、話す場所に自分の家を指定してくるとは、珍しい事だな』

 

「まあな」

 

背中に背負ったオレンジのショルダーバックから、頭だけを覗かせたメカ犬の問いに答えながら、俺は目的地である恵理さんの自宅を目指す。

 

話は前日の翠屋でバイトをしていた時間にまで遡るのだが、何時もの様に訪ねて来た恵理さんが、またしても俺達に頼み事をしてきたのである。

 

普段から何かと厄介な頼み事をしてくる恵理さんだが、今回はどうも様子が違っていた。

 

何時もなら翠屋で、直接用件を言うのだが、今回は休みの日に、家にまで訪ねて来て欲しいと言うのだ。

 

出来ればお断りしたいと思うのも、最早何時も通りの事なのだが、恵理さんの頼み事は放っておくのも危険な割合が、かなり高いので、俺は仕方なく承諾して、こうして休日に足を運んでいるという訳である。

 

その時に渡して貰った、地図を片手に俺とメカ犬は、絵里さんの住んでいるマンションを探す。

 

以前に一度だけ、今年の9月の頭に、訪ねたというか、来た事はあるのだが、その時は緊急事態だったので、どういう道筋だったのかは、全く覚えていない。

 

それでも何とか探そうと、地図に視線を集中させながら歩いていたその時、

 

「きゃ!?」

 

という声と共に、何か柔らかい物体にぶつかる感触が俺を襲った。

 

その衝撃によって、バランスを崩してしまい、倒れそうになるが、俺は何とか踏み止まる。

 

一体何があったのかと思い、急いで視線を前に向けると、そこに居たのは、尻餅をついているセーラー服を着た中学生程の美少女だった。

 

ちなみに後ろに束ねられた髪、所謂ポニーテールから覗くうなじは、男性の永遠のロマンだと前世の友人が、口がすっぱくなる程言っていた。

 

「痛いわね……何なのよ突然!?」

 

勝気な瞳に、痛みの為か、涙を溜めて、美少女が此方を睨みつける。

 

「ちょっとそこの子供!ちゃんと前を向いて歩きなさい!危ないじゃないのよ!!!」

 

自分がこうなった原因を、俺と断定したのだろう。

 

美少女は立ち上がって、埃を払いながら、注意をしてくる。

 

確かに俺の前方不注意というのもあるが、美少女の右手を見ると、俺と同じ様に、手書きの地図が描かれたメモ用紙を持っていた。

 

恐らくこの美少女も、俺と同じ事をしていたのだろう。

 

自分を棚に上げて相手を注意するというのは、如何なのだろうか?

 

「はあ、どうもすいませんでした。これからは気をつけます」

 

だがここはあえて謝る事で、俺はこの場を納める事に尽力する。

 

俺の勘が、この美少女に関われば、厄介事に巻き込まれるぞと、警報を鳴らすのだ。

 

ただでさえこれから、自ら厄介事に向かわなければならないというのに、これ以上は許容量オーバーである。

 

「分かれば良いのよ。それと君の罪滅ぼしに、私の手伝いをさせてあげるわ!」

 

だが俺の思惑は外れてしまい、美少女は俺様主義な自論の基に、俺を巻き込んできた。

 

この強引さは、どこぞの雑誌記者にそっくりである。

 

「いや、俺も今から用事があるんですけど……」

 

「何が用事よ!あんたみたいな子供の用事なんて、たかが知れてるでしょう!私の用事はね、結果次第で兆のお金が動くのよ!!!」

 

見た目だけで言えば、確かにこの美少女の言う通りではあるが、それを言ったらセーラー服の女子中学生が国家予算並みの金額を動かすとは、到底思えないと考えてしまうのは、俺だけなのだろうか?

 

「理解出来たかしら?出来たのならありがたく私の道案内を『キンキュウケイホウキンキュウケイホウキン……』何よこの音!?」

 

美少女中学生の言葉を遮るかの様に、俺のポケットに入っているタッチノートが、警報を響かせる。

 

『マスター!反応場所はすぐ近くだ!』

 

「え!今あんたの背中から、変な声が聞こえなかった!?」

 

メカ犬が知らせてくれるのだが、その声が目の前にいる、美少女中学生にも聞こえてしまった様で、驚愕の声を上げる。

 

「あ~えっと、俺急用が出来たんで、これで失礼します!!!」

 

言い訳するのも面倒なので、俺は全てを有耶無耶にする為に、早口でそう告げると、この場から走り始めた。

 

「あ!ちょっと!?」

 

俺はその声にすいませんと、叫び返しながら、路地を曲がり、誰も居ない所で、チェイサーさんを呼び出そうとしたのだが、

 

「待ちなさいよー!!!」

 

なんと、先程の美少女中学生が全速力で追いかけて来たのだ。

 

「げ!?」

 

『仕方ないマスター。そんなに距離も離れていないし、このまま走って現場に向かうぞ』

 

俺はチェイサーさんを呼ぶのを諦めて、再び走りだす。

 

「待ちなさいって言ってるでしょう!!!ちゃんとどういう事か、説明しなさい!!!」

 

何でそこまでしつこく追われねばならないのか、理解に苦しむが、説得している時間も無いので、俺は急いで逃走しながら、ホルダー反応を捉えた現場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現場に到着した俺は、そのホルダーの姿を見て、言葉を失ってしまった。

 

全体的にメタルブラックのボディー。

 

腹部に巻かれた銀色のベルトと、そこから四肢へと伸びる同色のライン。

 

顔には二つの赤い大きな複眼に、額にはV字の角飾り。

 

その姿は何処から如何見ても、俺とメカ犬が変身した姿である筈の、仮面ライダーシードそのものである。

 

「はあ……はあ……はあ、待ちなさいって言ってるでしょ……」

 

先に到着した俺に少し遅れて、ずっと俺を追いかけて来た、美少女中学生が息を切らしながら、隣までやって来る。

 

「ん、あんたってば何で呆けてるのよ?目の前に何かある訳……」

 

俺の様子を見て、疑問を抱いた美少女中学生が、前に視線を移すと、当然の事ながら、俺が見たものと同じ光景が目に映った。

 

だが次の瞬間のリアクションは、全く違うものだった。

 

「……見つけたわ!!!!!」

 

美少女中学生は、歓喜の声を上げた。

 

「最初はお姉ちゃんを頼ろうと思ってたけど、私って本当に運が良いわ!いえ!きっとこれは運命ね!神様が私の願いを叶えてくれたに違いないわ!!!!」

 

そう早口で捲くし立てると、美少女中学生は先程まで息切れしていた事等、無かったかの様に、勢い良く俺そっくりの仮面ライダーに駆け寄って行く。

 

『ん!マスター不味いぞ!?あれは確かに仮面ライダーの姿をしているが、反応はホルダーだ!!!」

 

「……何だって!?」

 

俺はメカ犬の言葉で、如何にか硬直していた身体を、再び動かす事に成功して、急いでタッチノートを取り出して、ボタンを押す。

 

『バックルモード』

 

ショルダーバックから飛び出て来たメカ犬は、そのままベルトに変形すると、俺の腹部に巻きつく。

 

「変身」

 

音声キーワードを入力した俺は、素早くタッチノートをバックルに差し込んだ。

 

『アップロード』

 

白銀の光が俺を包み込んで、その姿を一人の戦士に変える。

 

変身を無事に完了させた俺は、急いで俺と同じ姿をしているホルダーのもとに駆け出した。

 

だが俺はここでも驚愕する事になる。

 

先に駆け寄って行った美少女中学生が、仮面ライダーの姿をしたホルダーに、何やら話しかけていたのだ。

 

「ねえ!貴方が仮面ライダーなんでしょう?悪いんだけど少しだけ協力してくれないかしら。決して損はさせないわよ!報酬だって用意しちゃうんだから!!!」

 

早口でホルダーに捲くし立てる美少女中学生。

 

だが目の前の少女は、喋る事に夢中で気付いていない。

 

目の前でホルダーが、拳を握り締めながら、振り被っている事を。

 

「やばい!?」

 

俺は更に急いで、駆け抜けて、美少女中学生の頬に拳が直撃する直前に、その射程距離から、抱きかかえながら、離脱する事に成功する。

 

「え?え?え?仮面ライダーが二人?」

 

仮面ライダーの俺に、お姫様抱っこされた状態で、美少女中学生が、俺とホルダーを見て、頭上に疑問符を浮かべる。

 

「あれは偽者です。お嬢さんは下がっていてください」

 

俺は美少女中学生を地面に下ろしながら、そう告げると、ホルダーに向けて走り出す。

 

相手も既に走り出していた様で、互いの拳が届く距離に達すると、すぐさま戦闘が開始される。

 

「は!」

 

拳を突き出すが、ホルダーはそれを、紙一重で避けて、カウンターの蹴りを放つ。

 

俺はその出始めに腕を下から潜り込ませる事によって、軌道を逸らすと、バランスを崩した相手に拳を叩き込んで、後ろに下がらせる。

 

更に追撃を仕掛ける事によって、相手が態勢を整える事を許さない。

 

「うをおおおりゃあああ!」

 

最後に気合の入った叫びと共に、俺はホルダーに渾身の蹴りを浴びせて、吹き飛ばす。

 

偽者に負けてやる程、本物の敷居は低く無い。

 

そしてここで止めを刺そうと、タッチノートを引き抜こうとした、その時である。

 

『マスター!ホルダーの様子がおかしいぞ!?』

 

突如メカ犬が声を上げる。

 

「ん?」

 

メカ犬の声に反応して、視線をホルダーに向けると、一冊の雑誌を取り出して、その内の一ページを凝視し始めた。

 

その瞬間、ありえない現象が起こる。

 

先程までメタルブラックだった身体がクリムゾンレッドに変わり、その手には赤い刀身の剣が握られていたのだ。

 

「あれってまさか……」

 

『奴はフォルムチェンジまで出来るというのか!?』

 

俺とメカ犬は驚きを隠せない。

 

それはまさに、俺達の能力であるフォルムチェンジそのものだったのだから。

 

「でも変わったのは見た目だけって可能性もある訳だよな?」

 

『うむ』

 

俺はそれを確かめる為に、再び攻撃を仕掛ける。

 

様子見の為に繰り出した拳だが、ホルダーは避けもせずに、俺の一撃を受ける。

 

その瞬間俺は確信した。

 

何でも無かったかの様に、赤い刀身の剣を振り下ろすホルダーに対して、俺はバックステップで、如何にか難を逃れて、先程繰り出した拳を労わる様に擦る。

 

間違い無い。

 

あのホルダーの能力は、俺達のフォルムチェンジと同じ様に、その能力値を変化させている。

 

痛めた俺の拳が、その事実を物語っていた。

 

『来るぞマスター!』

 

メカ犬の言葉で、俺は再び身構えて、襲い掛かる剣の斬撃を回避する。

 

「どう?面白いホルダーでしょ」

 

必死に回避し続ける俺の耳に、何度か聞いた覚えのある声が響く。

 

この状況下で、あの軽い口調で話す奴を俺は一人しか知らない。

 

「オーバー!」

 

俺は避け続けながら、向けた視線の先に居た、藍色の怪人の名前を叫ぶ。

 

「まさか僕もこのホルダーが、こんな能力になるとは思ってもいなかったんだよね~」

 

何処までも軽い口調で、俺達の戦いを見ながら、喋るオーバー。

 

能力?

 

仮面ライダーの姿をしている事が、何か関係しているのか?

 

『マスター!ここは悔しいが、分が悪い。一旦引くぞ』

 

メカ犬が珍しい事に、撤退の指示を出す。

 

だが今の状況を考えれば、仕方ないかもしれない。

 

今は傍観しているだけだが、何時オーバーが、戦いに参戦してくるのか分からないし、後ろに居る美少女中学生も、何故か逃げずに俺達の戦いを観察し続けている。

 

正直言って、今誰かを守りながら、これ以上戦うのは、かなりの危険が伴う。

 

「分かった!」

 

俺はメカ犬の提案に賛成して、逃亡を図る事に決めた。

 

ホルダーの斬撃を避けて、後ろに下がった俺は、ベルトから、タッチノートを開き、ボタンを押す。

 

『チェイサー』

 

続いて俺は、ベルトの右側をスライドさせて、緑のボタンを押して、そのまま走り出す。

 

『スピードフォルム』

 

走りながらメタルブラックのボディーを、ライトグリーンに染め上げた俺は、更なる加速で、後ろに居た美少女中学生を片手で、脇に抱える。

 

「きゃ!?ちょっと何処触ってんのよ!?」

 

そんな声が聞こえるが、今は無視だ。

 

緊急事態なので、犬に噛まれたと思って、忘れてもらいたい。

 

『お待たせマスター』

 

そこにやって来る全身ブラックの乙女口調なオッサンボイスのライダーバイクなチェイサーさん。

 

あの暴走族の一件以来呼んでなかったので、今でもオレサマ口調だったらどうしようと思ったが、それは杞憂だったみたいだ。

 

「彼女をお願いしますチェイサーさん!」

 

俺はそう言いながら、チェイサーさんに美少女中学生を投げ放つ。

 

「ちょ!?ま、えええええ!?」

 

何やら叫んでいるが気にしない。

 

チェイサーさんに美少女中学生を投げ放った俺は、更にタッチノートのボタンを二回押す。

 

『リミットオフ』

 

『ホバーチェイサー』

 

音声が流れると同時に、全身黒かったチェイサーさんのボディーに赤いカラーリングと銀色のラインが追加される。

 

更に空を自由に飛べる、ホバーモードに変形したチェイサーさんは、俺が投げ放った美少女中学生を、その座席シートの部分に見事にキャッチした。

 

『ホルダーが来るぞマスター!』

 

「ああ!」

 

俺はメカ犬の声に頷きながら、スピードフォルムの身軽さを生かして、限界まで飛び上がる。

 

俺は飛び上がりながら、再びベルトの右側をスライドさせて、青いボタンと、黄色いボタンを連続で押していく。

 

『サーチフォルム』

 

『サーチバレット』

 

ライトグリーンのボディーは音声と共にスカイブルーへと変わり、俺の右手には、専用武器であるサーチバレットが握られる。

 

俺は左手に持ち続けていた、タッチノートをそのまま、サーチバレットの溝にスライドさせた。

 

『ロード』

 

そして音声を確認しながら、俺はタッチノートをバックルに差し込む。

 

『アタックチャージ』

 

ベルトから発生する光が、右腕のラインを通って、サーチバレットの銃身に集約される。

 

更に俺は回転運動を加えて、狙いをホルダーとオーバーが居る周辺に絞る。

 

「サーチバレット」

 

そして俺は引き金を引く。

 

「シューティングサークル」

 

サーチバレットの銃口から、数珠繋ぎに繋がれた光弾が、広範囲に撃ち出されて、まるで流星の様に降り注ぐ。

 

撃ち終えて、自然落下を開始した俺の真下に、美少女中学生を乗せたチェイサーさんが、やって来ており、俺はその上に、美少女中学生を踏まない様に、着地すると、シューティングサークルによって出来た、煙幕を目暗ましに、俺達は一旦この場から撤退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかしあのホルダーの能力って何なんだろうな?」

 

『……今の時点では、何も確証を得られんな』

 

俺とメカ犬は、住宅街を歩きながら、悩み続けていた。

 

何とかあの場を切り抜けた俺達は、一緒に乗せていた美少女中学生を、チェイサーさんに、安全な所で降ろす様に頼んで、一足先に降りて変身を解くと、ずっとこの話題を引き摺りながら、恵理さんの住んでいるマンションに向かっていた。

 

ホルダーが現れた今、後回しにしても良いかと思ったが、現時点では相手の攻略法も見えないし、俺達の事情を知っている恵理さんに相談すれば、何かしら攻略の糸口が掴めるかも知れないと思ったからである。

 

それにオーバーは分からないが、ホルダーは倒すまでいかなくても、多少のダメージを受けただろう。

 

暫くは大人しくしている筈だ。

 

出来ればその間に、何らかの打開策を見出したい。

 

「ん!ここみたいだな」

 

『うむ。その様だな』

 

考えながら移動していたら、何時の間にか着いていた様で、俺達は恵理さんの部屋に行く為に、マンションに足を踏み入れる。

 

「あ!あんたあの時の子供じゃない!?」

 

何故か恵理さんの部屋の前で、俺は予想外の再会を果たす事になった。

 

「もしかしてあんたってば、このマンションに住んでる訳?」

 

「いえ、そういう訳じゃないんですけど……」

 

俺と美少女中学生が、恵理さんの部屋のドアの前で、会話をしていると、急に扉が開かれた。

 

中から現れた人物は、勿論この部屋の住人であり、俺をこの場所に呼び出した張本人である。

 

「ちょっと人の家の前で何騒いで……あら、純君いらっしゃい。悪いわね、休日に呼び出しちゃって」

 

「本当ですよ……」

 

ドアを開けて現れた恵理さんは、俺と目が合うと、軽く挨拶をしてきた。

 

それに対して俺は、辟易しながら挨拶を返す。

 

「え!?あんたって……嘘……知り合いだったの?」

 

俺と恵理さんのやり取りを見ながら、特大の疑問符を浮かべる美少女中学生。

 

如何やらこの美少女中学生も、その話し振りからして、恵理さんの関係者らしい。

 

「ちょっと!ちゃんと説明してよね!お姉ちゃん!!!」

 

「『は?』」

 

美少女中学生の言葉を聞き、思わず俺とメカ犬の声が重なる。

 

「あははははは……ごめん、ごめん。取り敢えず自己紹介しましょっか。この男の子は純君。子供だけど、色々と凄いんだから」

 

何か滅茶苦茶な紹介だな俺って……

 

それに背中のショルダーバックから、小声でメカ犬が、ワタシの紹介は無いのかと呟いているのだが、今お前が出てくると、纏まる物も、粉砕されるから、暫く出て来ないでくれ。

 

「それでこっちが私の妹の……」

 

恵理さんがそこまで言うと、続きは自分で言うと言って、美少女中学生が言葉を遮る。

 

というか今、何気に凄いフレーズが聞こえた気がしたんだけど?

 

「私の名前は風間恵美《かざまえみ》。風間恵理の妹よ!」

 

如何やら俺の耳は聞き違いでは無かったらしい。

 

そう言われて見ればこの姉妹、性格も似ているな、と思わず苦笑いが出てしまったのも、致し方無い事だろう。

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