魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダークウガ 繋がる絆【第一章】

俺は驚きのあまり、口を馬鹿みたいに開けた状態で、体感時間では永遠にも等しい数秒間を過ごす事となった。

 

「やあ、純。待ってたよ」

 

「……」

 

「おいおい!返事くらい返してくれたって良いだろ?」

 

「……」

 

「もしかして、僕の声が聞こえて無いのかな?」

 

「……」

 

病院に通い始めてから、四日目のお見舞いで、俺は初めてアルビノの青年の声を聞く事が出来た。

 

しかしその日から、たったの二日で、日本語を話せなかった筈の人間が、ここまで流暢な日本語を操る事が可能になると、誰が予想出来ただろうか?

 

そうなのだ……

 

今現在進行形で、俺に対して流暢な日本語で、語り掛けてくるのは、何を隠そうアルビノの青年なのである。

 

俺は初めて青年が言葉を喋ったその日、その嬉しさのあまり、面会時間ギリギリまで、お見舞いにと買ってきた国語ドリルを使い、勉強会を行った。

 

簡単な言葉だが、挨拶をした青年を見て、日本語で会話が思ったよりも早く出来るかも知れないと思ったからだ。

 

その翌日も、俺は勉強会を兼ねてお見舞いに来たのだが、石田先生の話だと、面会時間が過ぎた後も、ずっと国語ドリルを使って一人で勉強を続けていたらしく、昼過ぎに漸く眠ったらしい。

 

結局俺のこの日持参した、家では使う機会が無く物置の置くで静かに眠っていた幼児用の、日本語を覚える為の単語カードを置いて帰る事にしたのである。

 

そしてその翌日、改めて病院にお見舞いに来てみると……

 

「お~い!」

 

やけに気さくに日本語で話し掛けてくる、アルビノ青年が目の前に居た訳だ。

 

「……あのさ」

 

いつもでも黙っている訳にも行かないと思い立った俺は、目の前で俺に呼びかけ続ける青年に声を掛けた。

 

「あ!やっぱり聞こえてたんだ」

 

俺が言葉を発した事で、朗らかに笑みを浮かべる青年は、まるで芸術的な絵画の様に見えたが、生憎と今は芸術鑑賞よりも先に、やらなければ行けない事がある。

 

「日本語が分かるなら、色々と聞きたいんだけど……」

 

「うん。良いよ」

 

俺の言葉に笑顔で頷いたという事は、覚えた単語をただ言っているだけではなく、青年は正しく日本語を理解した上で喋っているという事だ。

 

互いの意思の疎通が可能だという事を確認した俺は、青年に対して、最初の質問をぶつける。

 

「取り敢えず名前を教えてくれるかな?」

 

「名前……」

 

「うん。もう知ってると思うけど、俺は純、板橋純だよ。聞きたい事は沢山あるけど、まずは自己紹介からにしよう」

 

言葉が通じない今まではどうしようも無かったが、やっぱり呼び名が無いのは、何かとと不便だ。

 

会話が出来るのであれば、自己紹介をするという行為は、挨拶と並ぶ偉大なコミュニケーションの一つである。

 

「……ごめん」

 

「え?」

 

先程までの快活な喋りから、即答で名前を教えてくれると予想していたのだが、青年が俺に返した答えは、俯きながら零した謝罪の言葉だった。

 

「……覚えていないんだ。何もね……」

 

青年は顔を上げて、内側に悲しみを滲ませた様な笑顔を浮かべながら、言葉を紡ぐ。

 

その言葉が意味するものを、俺は知っている。

 

彼は俗に言う記憶喪失というものなのだろう。

 

もしかしたら嘘を言っているのかも知れないが、俺はその考えをすぐに捨てた。

 

少なくても俺には、青年の真っ直ぐに俺を見詰める真紅の瞳が、嘘を言っている様には、どうしても思えなかったからだ。

 

「……それじゃあさ、名前を一緒に考えよう」

 

俺は再び顔を俯かせた青年に声を掛けた。

 

「名前を?」

 

「うん。分からないなら、新しく名前をつければ良いんだよ。何だったら俺が考えたって構わないし」

 

記憶喪失の人に対して安易な発言をしない方が良いのだはと思えたが、俺はどうしてもこの白髪の青年を放っておく事が出来なかった。

 

それは最初に見付けた俺が勝手に感じている責任感なのかも知れないが、青年が浮かべた悲しそうな笑顔を見て、何かをしなければいけないという、衝動に駆られてたのである。

 

「新しく名前を?」

 

青年はその澄んだ眼差しで俺を見る。

 

俺を見る青年の表情には、その発想は無かったという言葉が、ありありと表情に浮かんでいた。

 

「そうだよ。何か好きな言葉とかあるなら、それを名前にしちゃえば良いんじゃないかな?」

 

このままこの話題を続けても大丈夫そうな雰囲気だったので、俺は更に話を先に進めて行く。

 

「好きな言葉……」

 

青年は俺が言った言葉を、何度も呟きながら考え始める。

 

そして考え始めてから、暫く時間が経った後、青年はおもむろにベットから腰を上げて、窓の方に歩き出すと、カーテンを開けて窓から見える外の景色に視線を向けた。

 

「何か見えたの?」

 

「……空」

 

外の景色を眺める青年に、俺が言葉を投げかけると、青年は窓の外の上に手をかざしながら呟いた。

 

「空って……もしかしてそれが、考えた名前?」

 

「うん。やっぱり変だったかな……」

 

俺の反応を窺いながら、青年は不安そうな声を零す。

 

「ううん。そんな事無い。俺は良い名前だと思うよ」

 

首を横に振りながら、俺は名前を支持する。

 

それに空という名前は、この捉え所の無い青年を表すのに、何処と無く似合ってると感じたのも、事実なのだ。

 

「……うん。僕の名前は、今日から空……僕は空だ」

 

俺の返答に、青年改め空は、笑顔で再び自身の名前を口にした。

 

「宜しく。空」

 

「宜しく」

夕方の病室で、俺達は笑いあいながら互いに声を掛ける。

 

窓から差し込む、青空の中に少しの赤みを含む夕暮れを背にして、俺は新しく出来た友達と挨拶を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「五代さん。今日も調べ物探しに行くんか?」

 

「うん。まあね」

 

玄関を出ようとしたところで、声を掛けられた五代は、振り向きながら答えた。

 

その声の主は一人の少女だ。

 

一見すると、小学生低学年の関西弁を喋る女の子だが、少女には一つ大きな特徴が存在していた。

 

「その探し物って何やの?何度聞いても教えてくれへんし!言ってくれれば私だって何か協力出来るかも知れないんよ?」

 

それは少女が、車椅子に座っているという事である。

 

しかし少女は、その事を今では特に気にしては居なかった。

 

物心ついた頃から、車椅子での生活を強いられてはいるおかげで、学校に自由に行けないのは、非常に残念に思っているが、少女には大切な友達が何人も居る。

 

少女は多くの優しい人々に支えられて、今を生きていると、その幼さで既に知っていた。

 

だから少女は日々を笑顔で過ごし、今もこの様に人と深く接しようとしている。

 

「ごめんね。はやてちゃん」

 

五代は苦笑しながら、謝りながら少女の名前を口にする。

 

「一週間前から【俺にも何なのか分からない】の一点張りやな、五代さんは……」

 

はやては五代が先の言葉を言う前に、自らこの一週間で良く聞く事になったフレーズを先に言いながら、呆れ交じりの溜息を吐いた。

 

「あははは……」

 

五代はもはや、はやてに対して、苦笑いを浮かべるしかない。

 

思い返してみれば、確かにはやての言う通りなのだから、反論のしようもないだろう。

 

「確かにそれが本当やったら、探しようもないんやろうけど、何か漠然と思うところとか無いん?」

 

このまま言い合いを続けていても、いつも通り平行線を辿るだけだと分かっているはやては、一つの妥協案を提示する。

 

「う~ん……俺も分かるならすぐにでも教えてあげたいんだけど、一週間前にも言った通り、俺自身が良く分かって無いんだよね……」

 

「それも毎日聞いてるんやけど……」

 

五代の返答に、はやては先程の呆れに加えて、少々の諦めをブレンドした溜息を盛大に吐き出した。

 

「兎に角行って来るよ!それじゃ!」

 

「あ!?ちょ、五代さん!?」

 

一瞬の隙を突いて、五代は足早に玄関から飛び出して行った。

 

「まだ話は終わってへんのに……」

 

五代が飛び出して行った玄関を恨めしげに見据えながら、はやては三度目の溜息を吐き出す。

 

「初めて会ってからもう一週間経つけど、ほんまに不思議な人やな。五代さんは……」

 

はやてはそう言いながら、一週間前の夜の事を思い出す。

 

五代との出会いは、はやてにとって、とても衝撃的なものだった。

 

その日、はやてはいつもの様に、就寝前にベットで、読書をしていたのだが、何の前触れも無く、突如として目の前が眩い光に包まれたのである。

 

突然の事態な上に光の眩しさもあり、はやては思わず目を閉じてしまった。

 

暫くそのままで固まっていると、数秒程で光は急速にその眩しさを失ったいったので、はやてが恐る恐る目を開けてみると、見知らぬ青年が目の前に佇んでいたのである。

 

この寝室には、本来ならば、はやてしか居ない筈だ。

 

それどころかこの家には、現在はやて以外は誰も居ない筈なのだが、現実として目の前には見知らぬ男性が存在していた。

 

それは、はやての理解出来る許容範囲を、軽く超えていたのである。

 

その結果としてはやては……その場で気を失ってしまったのだ。

 

これが五代とはやての、最初の出会いだった。

 

「結局あの後、五代さんが、気絶した私を介抱してくれたんやけどなあ……」

 

目を覚ました後、突然現れた男性、五代が自分に危害を加える様子が無い事を分かったはやては、色々と質問をしてみる事にした。

 

取り敢えず名前を聞いてみたら、一枚の名刺を渡された。

 

名刺には【2000の技を持つ男 五代雄介】と書かれており、本来は円滑に自身の紹介をする為に存在する筈のアイテムである名刺は、更にはやてを混乱させる結果となってしまったのである。

 

その後も様々な質問をした後に、最も気になる部分である、何故はやての家に五代が光と共に現れたのかを聞いてみると、何でも長崎の古代遺跡に居たらしいのだが、突如としてその遺跡の祭壇に彫られた古代文字に触れて光に包まれたと思ったら、気付いた時には、はやての寝室に居たというのだ。

 

信じ難い話ではあったが、はやての目の前に、五代が光と共に現れたのは確かであり、その話を信じでもしない限りは、他に説明のしようも無かった。

 

結果としてはやては、五代を信じる事にしたのである。

 

本当ならば納得は行かなくても、互いの状況を理解した事で、五代がはやての家を出て行けば、それで終わりだった筈なのだが、話はそう簡単に終わらなかった。

 

出て行く前に知り合いに連絡したいから、電話を貸してほしいと五代が言ってきたので、はやては快く電話を貸したのだ。

 

五代ありがとうと、感謝の言葉を述べてから、早速電話を掛けたのだが、一向に繋がらなかったのである。

 

その後も何箇所にも電話を掛けたが、それは殆どが現在使われていないというメッセージが流れるのみであり、唯一繋がったとのは喫茶ポレポレだったという喫茶店の番号だったそうなのだが、実際に電話に出た人物は、五代の知る人物とは、全く別人だったのだそうだ。

 

予定変更となり、今度は五代がはやてに様々な質問をする事となった。

 

そして全ての質問に答えた後、二人が行き着いた結論は、ここは五代の居る世界とは別の世界。

 

パラレルワールドなのではないかという事だった。

 

とても俄かには信じられない物語に出てくる様な設定に思えるが、今のところそれ以上に説得力のある答えを導き出す事は出来なかった。

 

まだ仮定ではあるが、一応の答えが出た後に、これからどうするつもりなのか、はやてが聞くと、五代は探し物があるからこの辺りを調べてみると言った。

 

何でも、遺跡で光に包まれた時に、一瞬だけ頭の中に、良く分からないイメージが浮かんだらしい。

 

ほんの一瞬の事だったので、それが何なのかは、五代自身にも良く分からなかったそうなのだが、五代はその何かが、この五代の世界には存在しない筈の街、海鳴市の何処かにあるのだと感じたのだそうだ。

 

行動指針があるのは良いのだが、その内容を聞く限り、その目的がいつ頃に、達成出来るのか、はっきり言って、想像すら出来ない。

 

だからはやては、一つの提案をしたのである。

 

【その何かが見つかるまで家に居ればええよ】

 

それは初対面の男性な上に、非科学的な現象と共に現れた五代に対して、あまりにも無防備な提案だった。

 

しかし事情を聞いたはやては、五代を放っては置けなかったのである。

 

訳も分からないままに、ただ一人、知り合いも居ない場所に来てしまった五代に、少しだけ以前のはやて自身が重なった様に思えてしまったのだ。

 

最初は五代も迷惑になると、その提案を断ったのだがその後、紆余曲折を経て、結果的に五代は一時的に八神宅の居候となったのである。

 

五代とはやては、この時にはまだ気付いてすらいなかった。

 

この出会いは偶然ではなく、必然という名の運命だったという事に……

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