魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダークウガ 繋がる絆【第八章】

「何だって?」

 

夜の港で響き渡るハンターの盛大な笑い声の中で、メカ犬が俺に伝えた言葉を耳にして、思わず呟いてしまった。

 

『ワタシ達を誘き出すだけが目的ではなかったという事か……一体何を企んでいる!?』

 

メカ犬はハンターの笑い声を掻き消す程の、大きな怒声を上げる。

 

その声はハンターの耳にも届いたらしく、笑うことを止めたハンターは、首を軽く時計回りに一回してから、律儀にもメカ犬の怒声に対して返答してきた。

 

「さあな?俺はあんたを誘き出すのが役目なだけで、作戦の概容なんて知らなねえ。唯一俺が知ってるのはな……」

 

期待していた答えとは違う言葉がハンターから放たれるが、何処か含む言い方をした後に数秒の間を置いてから、もう一言だけ呟いた。

 

「【八神はやて】って女の子を連れ去れって事だけだぜ」

 

その言葉を聴いた瞬間に、俺は全身に稲妻を浴びた様な衝撃に襲われる。

 

『……はやて嬢が目的だと!?』

 

「……どうしてはやてちゃんの話が、こんなところで出てくるって言うんだよ!?」

 

メカ犬と俺は、その予想外の言葉に対して、動揺を隠す事が出来ない。

 

「だから……俺が知るかよ。俺はただ派手に戦いたい。それさえ出来れば、細かい事はどうだって良いんでな!」

 

衝撃的な言葉に対して、自然と呟く様に紡ぎだされた俺とメカ犬の質問に、面倒くさそうに答えたハンターは、再びホルダーモドキを引き連れて、俺に襲い掛かる。

 

「つまり俺達は……はやてちゃんを攫う為の時間稼ぎに、誘き出されたって事か!?」

 

逸早く襲い掛かってきたホルダーモドキを右拳で迎撃しながら、俺はメカ犬に先程のハンターの言葉から考えた予測を口にする。

 

『最終的に奴らが何をしようとしているのかは、現状の情報だけでは判断しかねるが、碌な事ではないだろう……』

 

「だったら俺達が、今するべき事は……」

 

『一刻も早く目の前の敵を倒して、はやて嬢の元へと向かう事が最善だ!』

 

「ああ!一気に勝負を仕掛けるぞメカ犬!」

 

『うむ!』

 

メカ犬も俺と同じ考えに行き着いたらしく、早くこの場を離れて、はやてちゃんの元へと向かう事を提案した。

 

しかし現在、この場に居るハンターとホルダーモドキ達を放って置く訳にも行かないのも、純然たる事実に相違無い。

 

だから俺は一秒でも早く決着を急ぐ為に、多少強引とも言える戦法へと切り替える事を決断した。

 

正面から迫りくるホルダーモドキに対して、俺は回し蹴りを放った直後にベルトの右側をスライドさせ、緑のボタンを押す。

 

『スピードフォルム』

 

そうする事により、変身した最初の状態であるメタルブラックのボディーが、ライトグリーンへと染まり、総合的なバランスを重視したベーシックフォルムから機動性を主体とするスピードフォルムへと、変貌を果たす。

 

「はっ!」

 

スピードフォルムへの変化を完了した俺は、逆手に持ったナイフを手に攻撃を仕掛けようとするハンターの肩を足場にして、掛け声と共に飛び上がり、港に数多く点在する大型コンテナの内の一つに飛び乗り、無事に着地した直後、すぐさまベルトからタッチノートを引き抜き開く事で、画面にある項目を呼び出す。

 

『マスター。まさか……あれをここで試すのか!?』

 

ここまでの一連の行動で、俺が今から何をしようとしているのか、勘付いたのだろう。

 

メカ犬が俺に、質問を投げかける。

 

「実戦で使うのはこれが初めてだけど、急ぐならこれが一番だろ!」

 

俺はメカ犬の質問に答えながら、タッチノートのディスプレイに表示された項目部分に指を押し当てた。

 

『コール・ライガー』

 

タッチノートから鳴り響く音声から、さして間を置く事も無く、闇を切り裂き機械仕掛けの緑の虎が、俺達の目の前にその姿を現す。

 

『お待たせじゃん!マスター!』

 

俺達の目の前に現れた緑の虎、メカ虎が右前足を上げながら、戦いの場にはあまり似つかわしくない、フランクな挨拶を交わしてくる。

 

「メカ虎……詳しい説明はしてる時間が無い!例のあれをやるぞ!」

 

『例のって……マスター本気じゃん!?』

 

俺の宣言にメカ虎が、先程のメカ犬と似たようなリアクションで俺に聞き返すが、その反応も無理は無いだろう。

 

何せ今から俺がやろうとしている事は、メカ虎が備えている能力の中でも、かなり特殊な分類に属する上に、制御がかなり難しい。

 

俺も何度か練習をしてはいるが、未だに完璧に使いこなせているとは言えないのが、正直な現状なのだ。

 

「確かに不確定要素は多いけど、今はこの手段に頼るしかないんだ!協力してくれよメカ虎!」

 

『……分かったじゃん!オレッチはマスターの心意気を信じるじゃん!』

 

「ありがとうメカ虎……行くぞ!!!」

 

『OKじゃん!!!』

 

今から俺が行おうとしている行動に最も必要となる、メカ虎の了承を得て、俺はタッチノートの操作を再開させる。

 

『スタンディングモード』

 

再びタッチノートから鳴り響く音声と同時に、メカ虎が変形を始めて、頭部がレバーとなっているアタッチメントパーツとなり、俺の手の内に納まった。

 

『ここまで来てワタシは野暮な事を言うつもりは無い……だから必ず成功させろマスター!!!』

 

「ああ!やってみせるさ!」

 

俺はメカ犬の激励に励まされながら、ベルトの左側をスライドさせて、アタッチメントパーツとなったメカ虎を差し込む。

 

『スピード・ライガー』

 

音声が鳴り響いたその瞬間に、ライトグリーンの追加パーツが、ベルトから発せられる光から生成されて、次々と俺の身体に装着されていく。

 

そして全てのパーツを装着した俺は、まるで自分自身の身体そのものが、羽毛となってしまったのではないかという、浮遊感に包まれる。

 

ライガーモードの特徴は、俊敏性の強化だ。

 

それはスピードフォルムの特性ろも相まって、全フォルム中でも随一の速さを誇る。

 

しかしこのスピード・ライガーの特性はそれだけに留まらない。

 

『ライガーファング』

 

俺は続けて、アタッチメントパーツのレバー下に設けられているボタンを押す事で音声が流れ、ベルトから発生した光が両手両足に絡まり、虎の顔を模した形のプロテクターになり、それぞれのプロテクターからは、鋭い三本の刃が伸び、専用武器であるライガーファングとなる。

 

『マスター。今のマスターがあれを完全に制御しきるのは、どんなに多く見積もっても10秒が限界じゃん。それ以上は多分マスターの身体が耐えられないから、絶対に10秒で決着を着けるじゃん!』

 

全ての準備を整えた俺に対してメカ虎が、最近は何度も練習時に聞いているアドバイスを送る。

 

「ああ……一秒でも早くはやてちゃんのところに行く為だ!絶対に成功させる!!!」

 

俺はメカ虎にと言うよりも、己を鼓舞する為に叫びながら、アタッチメントのレバーを下に動かす。

 

『マックスチャージ』

 

ベルトから流れる音声と同時に、発生した光が、俺の四肢へと集約されていく。

 

「こいつで決めるぜ」

 

光が四肢に集約した事を確認した俺は、コンテナの上から、下に居るハンターとホルダーモドキ達を見据えてから、一気に飛び降りた。

 

その速さはこの場に居る誰も、目で追う事すら不可能だ。

 

俺はただ一人、この場でたった10秒という名の、本来であれば短い筈の時間を、長い時間と錯覚してしまう程の超スピードで駆け抜ける。

 

スピード・ライガーの特性は完全にスピードへと特化しているが、それは本来他のフォルムで必殺技であるマックスチャージを発動させた際に、更なる飛躍を果たす。

 

技に使うエネルギーを更に身体能力の向上へと変換する事で、このフォルムは、通常では決して辿り着ける事の無い、スピードの高みへと至る事が出来るのだ。

 

この能力は、歴代の仮面ライダーの何人かが使っていた特徴と、酷似してはいるが、俺の場合はそんなに多様する事の出来る能力とは言えないのである。

 

第一に制御がかなり難しい。

 

この力を発動している間は、メカ犬とメカ虎が全力でサポートしてくれているのだが、それだけでは足りず、その足りない処理を、俺自身が上手く身体を動かす事で対応しなければならないので、精神的にかなりの負担が来る。

 

それと同時に、本当であれば技として放出する筈のエネルギーを、体内に蓄積した状態で戦う事となるので、精神以上に、肉体を酷使するのだ。

 

これらの要素を合わせた状態で、俺が完全に制御した状態で戦う事が出来るのが、先程メカ虎が俺に言った10秒という時間である。

 

メカ虎の言う通り、それ以上の使用は、今の俺には無理だという自覚はある……

 

……だからこそ、この10秒という時間で、この場に居る全員を倒さなければならない。

 

『9』

 

メカ虎が口にする残りのカウントを聞きながら、俺はライガーファングで、目の前のホルダーモドキを切り裂く。

 

二体、三体と切り裂き続ける内にも、残りのカウント数は、確実に減っていく。

 

『5』

 

残り時間の半分を切るところで辺りを見れば、まだハンターに加えて、数体のホルダーモドキが残っているが、俺はただひたすらに、目前の敵へと猛然と突っ込み、ライガーファングによる攻撃を仕掛ける。

 

『3』

 

俺はひたすらに攻撃を続ける。

 

『2』

 

軋みだす身体に鞭を打ちながら、怒涛に仕掛けた連続攻撃により、俺は全てのホルダーモドキを切り裂いた。

 

『1』

 

全てのホルダーモドキが、俺の攻撃によって爆散しようとしているその中で、残り一人となったハンターに向けて、俺はライガーファングを突き立てながら特攻する。

 

流石に他のホルダーモドキと違い、俺の動きに僅かながらの反応を示して、ハンターは二本のナイフを十字に構えて防御の姿勢を取るが、最早俺にもその防御を突き崩している時間的な余裕は残されていない。

 

だから俺は防御するハンターに対して、全速力のスピードを出して真っ向勝負を仕掛ける。

 

俺のライガーファングと、ハンターの銀のナイフが、爆発を始めたホルダーモドキ達の中で一際激しい火花を発生させるが、その勝負は一瞬で決まった。

 

限界を超えた俺のスピードで発生した力は、流石のハンターでも防ぎ切るには至らなかったのである。

 

ライガーファングの一撃により吹き飛ばされたハンターは、そのまま海へと落ちて豪快な水飛沫を上げた。

 

『0』

 

その直後にメカ虎のカウントが終わりを向かえて、周囲のホルダーモドキ達が盛大な爆発を引き起こして、俺の視界は爆煙一色に包まれてしまう。

 

「……ぎりぎり……間に合った……」

 

俺が爆煙の中で、上がった息を整えながら、今までの人生で最も長い、10秒振りの言葉を発したその時だ。

 

『ベーシック・ライガー』

 

フォルムチェンジを実行しようとしていないのに、ライトグリーンのボディーはメタルブラックへと強制的に変換された。

 

どうやら俺が先程呟いた言葉の通り、本当にぎりぎりだったらしい。

 

この話もメカ虎から聞いた話なのだが、このフォルムはその特性上、使用者の俺に大きな負担を強いるらしく、限界値を超えた時点で強制的に他のフォルムへと移行する様に設計されているのだ。

 

『マスター。残念だが一息つくのはもう少し後だ。ハンターと同質の二つの反応に新たな動きがあった』

 

戦いの後の余韻に浸る間も無く、ベルトからメカ犬の声が、俺に新たな情報を告げる。

 

「新たな動き?一体何があったんだ?」

 

『うむ。先程まで別の位置にあった二つの反応が、合流した様なのだ。もしかしたら其処で何かが起こっているのかもしれない……急いで現場に向かうぞマスター』

 

俺は二つ返事でメカ犬の提案に頷きたいところであったが、一つだけ懸念するところがあり、その申し出に待ったを掛けた。

 

「すぐに行きたいけど、海に落ちたハンターを放って置く訳にもいかないだろ?変身が解けて気絶してたとしたら、すぐにでも助けないと……」

 

恐らくは五代さんが、はやてちゃんの傍に居てくれるとは思うが、そうそう楽観視してもいられないので、一刻でも早くこの場を後にしたい気持ちはあるが、このまま溺れているかも知れない人間を見捨てるなんて、とんでも無い話だ。

 

『ならここはオレッチに任せるじゃん!マスターは急いで行くと良いじゃん!』

 

俺が海に向かって駆け出そうとしたその時、メカ虎が自分が代わりに行くと進言した。

 

「悪いなメカ虎……頼むぞ」

 

『大船に乗ったつもりで任せるじゃん!』

 

この場をメカ虎に任せる事にした俺は、アタッチメントパーツとなっていたメカ虎を元の状態に戻して、急いでチェイサーさんに跨り、夜の港を後にした。

 

したのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……くそっ!今度は……今度こそは……絶対にまけねえ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、俺はメカ虎の証言からハンターが今も尚、健在だという事を知った……

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