魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダークウガ 繋がる絆【第十一章】

『見えたぞマスター!』

 

メカ犬の声が俺の耳に届くと同時に、夜空を見上げると、まるでホラー映画に出てくる様なミイラ男にしか見えないホルダーが、背中からコウモリに似た翼を生やして、空を飛んでいた。

 

しかもそのホルダーが腕に抱えているのは、俺の良く知る女の子だったのである。

 

「はやてちゃん!?」

 

『どうやらマスターの選択は、残念だが正しかったようだな』

 

はやてちゃんが連れ去られようとしている事は、半ば予測をしていたのが、いざそれを目撃してしまうと、驚愕の声を出さずにはいられなかった。

 

メカ犬の言う通り、出来る事なら外れていて欲しかったというのが、俺の正直な本音である。

 

しかし、最悪な事態を想定したからこそ、今ここで俺達は、希望を掴むチャンスを手にしているとも言えるのは、皮肉以外の何者でもない。

 

「頼みます!チェイサーさん!」

 

『任せておいてマスター!』

 

俺はチェイサーさんと互いに合図を送りながら、ベルトからタッチノートを引き抜き、ボタンを押してから、すぐさまチェイサーさんの座席シートを足場に跳躍する。

 

『ホバーチェイサー』

 

その直後、音声が聞こえると同時に、チェイサーさんのボディーが、地を駆けるバイクモードから、大空を自在に飛ぶ事の出来る、ホバーモードへと変形を果たす。

 

空中へと跳躍した俺がタッチノートをベルトに差込み、再びチェイサーさんのシートに着地するのと時を同じくして、チェイサーさんは一気に上空へと舞い上がる。

 

『さあ、飛ばすわよん!』

 

「はい!」

 

チェイサーさんは俺の了解を得ると、更に加速してホルダーの飛んで行く方向へと爆進する。

 

俺達とホルダーの距離は、瞬く間に縮まっていく。

 

『はやて嬢をホルダーから、奪い返すぞ!』

 

『このまま突っ込むわよマスター!』

 

「え!?ちょっとま……」

 

ホルダーを背後に捉えると同時に、メカ犬が合図を送り、チェイサーさんがその言葉通りに、俺が止める暇も無く、凄まじい勢いで特攻を仕掛ける。

 

不意打ち気味に背中を強襲されたホルダーは、その手からはやてちゃんを取り零した。

 

「きゃああああああああああああああああああああああ落ちるうううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!?」

 

そのおかげで、ホルダーの呪縛から逃れる事が出来たはやてちゃんだったが、今度は重力の法則に縛られて、悲鳴を上げながら、地面に向かって落下していく。

 

「だからちょっと待てって言っただろおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

メカ犬とチェイサーさんによる、強行手段によってもたらされた結果に、不満をぶつけるのも惜しんで、俺は叫びながらチェイサーさんから飛び降りて、落下していくはやてちゃんを追いかける。

 

『マスター!このままでは、間に合わないかもしれないぞ!?』

 

「分かってるなら、最初からもう少し、ましな作戦を考えてくれよ……」

 

必死で追いかけるが、どんなに心の中で急ごうと念じても、実際に俺の落下スピードが速くなる訳ではない。

 

だが時間は待ってくれない上に、このままでは、メカ犬の言った通り、間に合わないという最悪な結果となってしまう。

 

ホルダーに特攻を仕掛けたチェイサーさんが、追い着いてくれれば話は早いのだが、地面に落下するまでにあまり余裕が無い以上は、過度な期待はするべきじゃない。

 

そして何よりも、今はこれ以上愚痴を言うより、はやてちゃんを救う手段を考えた方が建設的である。

 

「何か……何か方法は無いか!?」

 

『落下スピードを増す推進力があればあるいは……」

 

「推進力って……俺はチェイサーさんみたいにジェット噴射は……そうか!!!」

 

メカ犬との会話から、俺は一つの作戦を思いつく。

 

「メカ犬!サーチフォルムだ!」

 

『うむ?何故ここでサーチフォルムを?』

 

「説明してる暇は無いから、ぶっつけ本番で行くぞ!」

 

俺はメカ犬にサーチフォルムになる事を伝えると、返事を聞く時間も惜しんで、ベルトの右側をスライドさせて、青いボタンと黄色いボタンを順番に押していく。

 

『サーチフォルム』

 

『サーチバレット』

 

ベルトから流れる音声に呼応して、メタルブラックのボディーが、スカイブルーに染まり、右手にはサーチフォルムの専用銃、サーチバレットが生成される。

 

サーチフォルムは、俺の五感を最大限に高めるのが特徴なのだが、今はその能力よりも、右手に持ったサーチバレットに大きな意味があった。

 

『サーチフォルムになったのは良いが、ここから何をする気なのだマスター?』

 

「こうするんだよ!!!」

 

メカ犬の言葉に対して、俺は行動で指し示す。

 

タッチノートをベルトから引き抜き、そのタッチノートを、サーチバレットの溝部分へとスライドさせる。

 

『ロード』

 

音声が鳴り響く事を確認した俺は、タッチノートを再びベルトへと差し込む。

 

『アタックチャージ』

 

ベルトから発生した稲妻の様な光は、右腕のラインを伝いサーチバレットの銃口へと集約していく。

 

そして俺は光の集約したサーチバレットの銃口を、上空へと向ける。

 

『……そうか!マスターの考えはこれだったのか!』

 

俺の一連の行動を見て、これから何をしようとしているのか、メカ犬も察したらしい。

 

「こいつで決めるぜ」

 

サーチバレットの引き金を引くと銃口から、数珠繋ぎとなっている光弾が連続で射出される。

 

俺はその反動を大きく受けて、落下速度を急激に加速させていく。

 

ヒントになったのは、メカ犬の言った推進力という言葉だった。

 

俺はその言葉で、サーチバレットによる技の一つ、ガトリングブーストを推進力に利用する事を思いついたのである。

 

ガトリングブーストによって得たスピードは、一気にはやてちゃんとの距離をゼロにしてくれた。

 

「もう大丈夫だよ……」

 

ホルダーの手から離れた後の悲鳴以降、やけに大人しいと思ったら、はやてちゃんは途中で気絶していたらしい。

 

怖い思いをさせてしまったのは申し訳ないが、変にパニックを起こされるよりは安全だろう。

 

推進力に利用していたサーチバレットを投げ捨てて、はやてちゃんを抱きかかえた俺は、着地の衝撃に備える。

 

『気張れよマスター!!!』

 

「はやてちゃんは、絶対に守る!!!」

 

俺とメカ犬が言葉を交わしたその直後に、俺達は命懸けの空中遊泳を終えて、再び地面にその足を踏みしめた。

 

相当の負荷が、俺の全身を駆け抜けるが、変身している俺はその衝撃にも、何とか耐え切る。

 

着地した足元には、亀裂が走っており、これがもしも生身だったとしたら、まず命は無かった事だろう。

 

「……何とか間に合った」

 

無事に着地する事に成功した俺は、大きく深呼吸しながら、安堵の言葉を呟いた。

 

安全が確保出来た事を確認した俺は、街灯も無い暗闇に包まれた周囲を観察する。

 

そしてサーチフォルムで強化された俺の聴覚が、微かな水音を察知した。

 

その水音は、川を流れる水の音だったのである。

 

更に聴力と同様に強化されている感覚の一つで見渡せば、大きな川がすぐそばにある事が分かった。

 

どうやら俺達が現在居る場所は、近くの河川敷の様である。

 

この場所が河川敷である事を確認したのも束の間、先程の小さな水音とは違う、大きな水音が聞こえてきた。

 

それはチェイサーさんの特攻によって、飛行バランスを失ったホルダーが、川の中に落ちる音だったのだが、その音に気を取られた一瞬が、決定的な隙を作ってしまう事となってしまう。

 

『マスター!もう一つホルダー反応がすぐ近くにあるぞ!』

 

メカ犬の注意を促す声が、河川敷に響くと同時に、俺の背中に衝撃が走る。

 

「がはっ!?」

 

俺は気付いた時には、その衝撃で、吹き飛ばされてしまっていた。

 

辛うじてはやてちゃんだけは、怪我をさせない様に、庇いながら倒れる事は出来たが、俺の背中を襲った衝撃は、先程の着地以上の威力を誇っており、呼吸をする事すら苦しい。

 

『大丈夫かマスター!?』

 

「な、何とかな……」

 

心配するメカ犬の声に答えながら俺は、気絶したはやてちゃんを、静かに地面に寝かせた状態で立ち上がる。

 

「あれ?ちょっと用心し過ぎて威力が弱かったかな……やっぱり僕には、こういう地味なやり方は似合わないかもね?」

 

立ち上がった俺の目の前で悠然と佇む、俺の背中に衝撃を与えて吹き飛ばした張本人である奴が、相変わらずの軽い口調で言い放つ。

 

それは藍色の怪人、オーバーだった……

 

「……丁度あんた達に、聞きたい事があったんだ。どうして、はやてちゃんを狙うんだ!?」

 

俺は闇討ちを仕掛けてきたオーバーを見据えながら、ずっと疑問に思っていた質問を投げかける。

 

「別に君に言う義務は無いんだけどね。まあ……知らない仲じゃないし、ちょっとだけ教えてあげようかな」

 

『もったいぶってないで、早く答えてもらおうか!?』

 

相変わらずの軽い口調で、ふざけた言い回しをするオーバーに対して、メカ犬が怒気を強めた言葉で続きを催促する。

 

「気が短いなあ。まあ、別に良いんだけどね……彼女は僕達に必要な、選ばれた巫女なんだよ」

 

「選ばれた巫女?」

 

『一体どういう意味だ?』

 

オーバーの発言に俺とメカ犬は、ただただ疑問符を浮かべた。

 

「サービスはここまでだよ」

 

俺とメカ犬の反応を、楽しむかのように観察していたオーバーは、そう言うと同時に右手の親指と人差し指を弾いて、乾いた音を発生させる。

 

その直後、突如として川の中から、無数の帯状の何かが飛び出して、俺の四肢へと巻きつく。

 

「何だと!?」

 

オーバーに気を取られていた上で仕掛けられた不意打ちとは言え、サーチフォルムの反応速度を上回るその速度は、凄まじいものがある。

 

「この……」

 

俺はその帯状の物体を何とか引き剥がそうともがくが、いっこうとして、緩む気配すら見えない。

 

「凄いでしょ?そのホルダー。なんたって特別製だからね~」

 

完全に動きを封じられた俺に、オーバーが間延びした言い方で話しかけてくる。

 

そしてオーバーの言葉から察するに、この川から伸びている帯状の物体の正体は、ホルダーの様だ。

 

だが俺が気になるのは、それだけではない。

 

『……特別製だと?』

 

メカ犬も俺と同じ疑問を持ったのか、俺が聞こうとした質問を、オーバーに対して言い放つ。

 

「そのホルダーはね……特別な夢を糧にして生まれたんだよ」

 

「特別な夢?」

 

「それ以外は素体の人間すら使ってないのに、こんな上質のホルダーが出来るんだもん。凄いよね~」

 

『素体も無しに、これだけの力を持ったホルダーを生み出しただと……それは一体何者だ!?』

 

オーバーの言葉に、俺達に動揺が走る。

 

そんな状態の中でも、メカ犬は更なる質問を、オーバーに対して投げかけるのだが、オーバーは両肩をわざとらしく、一度だけ上下に揺らすと、笑いを含めながら言う。

 

「サービスはここまでって言ったでしょ?後は自分達で調べてみなよ」

 

オーバーは俺達にそう言い放つと、最後に君達に後があったらねと付け加えて、先程と同じ動作で、再び指から音を鳴らす。

 

それを合図にしたのだろうか。

 

四肢を束縛していたホルダーの帯が力を一気に増して、俺の身体を水中へと引きずり込もうとしてくる。

 

「うわ!?」

 

『マスター!?』

 

俺は何とかその力に抗おうと試みるが、帯の力は緩む事はおろか、更にその力を増していき、ついには力負けして、俺は川の中へと引きずり込まれてしまったのである。

 

「はやてちゃん…・・・」

 

水中へと沈む直前に、最後に俺が発しようとした言葉は、水泡の中へと溶けて消えた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホルダーによって、川の中へと引きずり込まれたシードを見送りながら、オーバーは未だ気絶して眠り続けているはやての元へと、ゆっくりと移動する。

 

「さてと、それじゃあ僕は、あのホルダーが時間稼ぎをしてる間に、お仕事をしましょうかね」

 

気絶したはやての前にまでやって来たオーバーは、そう言いながらはやてを抱きかかえた。

 

「それじゃあ参りましょうか。闇を復活させる為の巫女様?」

 

オーバーからその言葉送られた、はやてではあるが、意識が無い故に返事は無い。

 

そして返事が無いと分かっていながらもオーバーは、更に気絶しているはやてに話し掛ける。

 

「こんな小さな女の子に……あんな怪物を蘇らせる力があるなんて……分からないもんだよね」

 

オーバーは気絶しているはやてを観察しながら、感慨深く呟くと、この場を後にする為に、足に力を込めて、一気に跳躍した。

 

「これで巫女は確保出来たし……残るは【器】だけか……」

 

闇夜の中を飛びながらオーバーの放った言葉は、共に流れる風に乗って、静かに漆黒の闇へと消えていった。

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