魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダークウガ 繋がる絆【第十三章】

一人の少女を巡る激しい戦いから、半日程の時間が過ぎた頃。

 

夜の闇を静かに照らす月が沈み、全てを暖かく照らす太陽が空に輝いているというのに、その光が一筋すら届かない、海鳴市の地下に広がる今は使われていない旧時代の産物である、地下水道の開けた場所において、三人の若者と、藍色の怪人が対峙していた。

 

「……それじゃあ、あのホルダーは、オーバーさんが?」

 

「うん。君達の実力を疑ってる訳じゃないんだけど、保険を掛けておくのに越した事はないからね」

 

三人の若者の内の一人、この場では唯一、眼鏡をかけている青年、黒谷大地が藍色の怪人、オーバーに話しかけオーバーもまた、その話に耳を傾けて、時には質問に答えるといった対応をする。

 

「まあ、正直な話を言うと、私と大地だけじゃ、あの【八神はやて】って女の子を連れてくるのは無理だったと思うし、オーバーさんには感謝してるわ」

 

オーバーと大地の会話に割り込む様に、この場にいる三人の若者の中で、ただ一人の女性である、桐崎沙耶が右手の人差し指を、タクトを振るう指揮者の真似事をしながら、オーバーに感謝の言葉を述べた。

 

「はあ……結局は沙耶も大地も、途中で逃げ出したんだろ?情けねえ話だぜ」

 

新たに会話へと参加した沙耶に続き、頭髪を茶色に染めている、見るからに不良と分かる容姿をした青年、沢渡雄太が、大きな溜息を吐いた後に、辛辣な言葉を告げる。

 

「何よその言い方!」

 

「文句でもあるのかよ!?」

 

雄太の言葉に逸早く反応して、沙耶が元から吊り目気味であるその目を、怒りで更に吊り上らせる。

 

怒りを露にする沙耶に対して、雄太も反省するどころか、威嚇するかの様に睨み付けた。

 

「大体ね!雄太が言ってたたいして強くない白いライダーって何よ!?は赤かったし、青くなったり、紫になったりもするし、私の武器を砕いちゃう位、メチャクチャ強かったんだからね!!!」

 

「そんなの俺が知るか!?大体なあ……沙耶が舐めて掛かるから、そんな目に遭うんだっつうの!」

 

「あら?責任転嫁する気かしら?」

 

「責任転嫁してるのは、お前だろうが!」

 

「どう考えたって、私に嘘を教えた雄太の方が悪いのが原因で間違い無いでしょ!!!」

 

「俺は見たまんまを言っただけだろうが!其処まで面倒みきれるかよ!?」

 

「何よ偉そうにしてさ~雄太だって、【今度は俺が勝つ!】とか息巻いてたくせに、オーバーさんから、沢山ホルダーの援軍を借りて、集団で襲いかかったのに、返り討ちにされて、ボロボロにされて海に突き落とされたんでしょ?そっちの方がよっぽど情けないんじゃないのかな~?」

 

「……女だと思って、甘くしてたらつけあがりやがって……」

 

「あ~ら?何だか茶色い毛並みの負け犬が、キャンキャン吠えてるわ」

 

「沙耶……それ以上言ったら、テメエの口に大地の爆弾突っ込んで、一生その軽い口を塞いでやるからな!!!」

 

「私みたいな可憐な女の子に、何て破廉恥な事言ってるのよ!この不良!!!」

 

「五月蝿いんだっつんだよ!誰が可憐だ!?この馬鹿女があ!!!」

 

雄太と沙耶の罵倒は、何時までも終わる事無く、延々と続いていく。

 

「……もうその辺りにしておきなよ二人とも」

 

両名の言い争いに割って入ったのは、大地だった。

 

「でもよ大地。沙耶が……」

 

「そうよ大地。大体ね。雄太が……」

 

不毛とも言える罵倒合戦の間に、仲裁するべく声を発した大地に対して、当事者である雄太と沙耶が、其々に相手への不安を口にする。

 

「あっはははははは!君達は何時も楽しそうで良いね!僕も見てるだけで、何だか楽しくなっちゃうよ!」

 

三人の様子を見ていたオーバーが、腹を抱えながら、盛大に笑い声を上げる。

 

「……ほら。このままじゃオーバーさんの腹筋が、笑い過ぎで痙攣するよ?」

 

オーバーの笑い声をBGMにして大地がもう一度、仲裁の言葉を雄太と沙耶に送る。

 

大地の言葉と、オーバーの笑い声によって、すっかり毒気を抜かれてしまった二人は、無言で頷くと、そのまま罰の悪そうな顔をして、そっぽを向いてしまった。

 

「全く……この二人は……」

 

そうして取り敢えず言い争いを止めた二人を交互に見て、大地は中間管理職で悩む企業戦士の様な顔をしながら呟いた。

 

「はあ……笑った、笑った」

 

雄太と沙耶が言い争いを止めた事により、笑いの波が過ぎ去ったオーバーは、満足そうに胸を撫で下ろす。

 

「……それで話を戻すんですけど……」

 

オーバーの笑いが治まった事を確認した大地は、脱線した話題を元に戻す為に、再びオーバーに話し掛けた。

 

「うん?まだ何か聞きたい事があるのかな?」

 

「はい……」

 

問い掛けたオーバーに対して、大地は首を縦に振る。

 

「何かな?」

 

「あの……今回の僕達の任務だった、はやてという女の子の事何ですけど、【巫女】ってどういう意味なんですか?」

 

大地がオーバーにした質問に、多少の興味が湧いたのか、無言でそっぽを向き続けていた雄太と沙耶も、視線を大地とオーバーに向ける。

 

「……ああ。そう言えば君達には、連れて来て欲しいって事しか言ってなかったっけ」

 

思い出した様に、オーバーが言った。

 

「……はい。教えられないんでしたら、聞きませんけど、やっぱり気になるんで」

 

そんな様子を見せるオーバーに対して、大地は頷きながら自身の感じた疑問を素直に言った。

 

「う~ん……別にそんな大袈裟に隠す事じゃ無いんだけどね。いずれは分かる事だしさ」

 

「いずれは分かる?」

 

「あ!そうだ!」

 

大地の疑問にオーバーは相変わらずの軽い口調で、意味深な言い方をして大地の反応を楽しんだ後に、今思い出した様な言い方をして、両手を軽く叩いた。

 

「何ですか?」

 

「うんとね。今から僕が要求するものを連れて来てくれたら、【巫女】の事を説明してあげるよ。その方が説明し易いしね」

 

「……それは何ですか?」

 

「ふふ……それは【器】だよ」

 

大地達に教える交換条件として、新たな任務を伝えたオーバーの発したその言葉は、先程と変わらない軽い口調の筈なのに、何処か背筋を凍らす寒気を含んでいる感覚を、この場に居るオーバー以外の三人は覚えた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「純。昨日の約束通りに来てくれて、本当にありがとう」

 

空の病室に入ると同時に、病室のベットに腰掛けながら、空が俺に対して開口一番に感謝の言葉を口にした。

 

はやてちゃんがオーバーに連れ去られた、その翌日の昼過ぎ、俺は昨日の夕方に交わした空との約束を守り、海鳴病院を訪れていた。

 

「それで……俺達に話したい事って何かな?」

 

「まあ、長い話になると思うから、二人とも座ってよ」

 

俺と一緒に病室に入って来た、五代さんが発した、当然と言える質問に対して、空はやんわりとした口調で俺と五代さんに、この病室に常備されている来客用の椅子に座る事を進めて来る。

 

予め俺達が来る事を想定して、準備しておいたのだろう。

 

空と向かい合う形で置かれていた二つの椅子に、俺と五代さんは空が促されるままに腰を下ろした。

 

隣に座る五代さんを見ながら、俺は昨日の夜の事を思い出す。

 

昨日の夜、俺は変身を解除する瞬間を、五代さんに目撃された。

 

元々は昨日の時点で話すつもりでいたのだが、この様な形で俺が仮面ライダーである事を明かすとは、思っても居なかった……

 

その経緯や本質が異なっているとはいえ、同じ様にクウガへの変身能力を持つ五代さんがパニックを起こす事は無く、俺は自分が仮面ライダーだという事実も含めて、はやてちゃんの事も順を追って説明していった。

 

大体の説明を終えた俺に五代さんは、これ以上の話は今日までにして、明日になったら改めて話そうと言って話を其処で切り上げて解散となったのだが、その時俺の目には、何処か五代さんが苛立ちを我慢している様に見えた気がする。

 

ただの予測でしかないのだが、五代さんは怒っていたのだと思う。

 

はやてちゃんが連れ去られたという事実もそうだが、その怒りの矛先の何割かが、俺にも向けられていると感じたのだ。

 

今俺の目の前に居る五代さんが、俺が前世でテレビ越しに視ながら憧れていた、フィクションの五代雄介では無く、現実を生きている一人の人間だと分かっているのだが、その考え方が俺の良く知る五代雄介と同じだと仮定すれば、先程感じた俺に対しての怒りの理由も、少しだけ納得出来る。

 

人は誰もが生きる上で其々に大きな責任を持ち、時には命を賭さなければ行けなくなる瞬間が来るかもしれない……

 

それは大切で尊い事かも知れないけれど、その人が命を賭す事で、誰かが悲しむ事になる。

 

命を賭した本人から、笑顔が消えてしまう事だってあるかもしれない。

 

誰よりも皆の笑顔が好きな五代さんは、きっとそれを知っているから怒っているのではないだろうか。

 

きっと俺が戦う事で、俺の身近な人達は心配するだろう。

 

だからこそ俺は、余計な心配をさせない為に、一部の例外を別として、普段から接する身近な人の殆どに、自分が仮面ライダーとして、戦い続けている事実を隠して戦い続けている。

 

それがただの自己満足でしかない、偽善だと分かっていたとしてもだ。

 

そして何よりも俺はこの戦いで、いつか自分自身の笑顔を……その命を失うかもしれない。

 

恐らく五代さんはこれ以上、俺に仮面ライダーとして戦って欲しく無いのだろう。

 

ただの自惚れかも知れないが五代さんは、俺の笑顔も守りたいと思ってくれている……

 

昨日の様に、自分自身の身を削りながら、戦いを続けようとする俺に対して、苛立ちを覚えたのかもしれない。

 

俺が知っている五代雄介という人物は、誰よりも優しくて強い人だから……

 

だから俺は彼に示さなければならない。

 

己の覚悟と信念を……

 

そうしなければ、俺は五代さんと肩を並べて戦う事は出来ないだろう。

 

俺は其処まで考えた所で、五代さんから視線を外して、正面に居を向き、今の状況を作った張本人である空の、真紅の瞳を見詰める。

 

五代さんと話す事も俺にとって大切な事ではあるが、今はそれ以上に空の話を聞かなくてはならない。

 

昨日の夜に、五代さんと別れて俺が休んでいた間も、メカ犬達が調査を続けてくれているのだが、有益な情報は何も得られなかった。

 

唯一情報と言えるかも知れないのは、メカ虎が言っていた、港で発見出来なかった事から、ハンターが今も健在の可能性が高いという事だけである。

 

これも大切な情報には違いないのだが、今一番知りたい情報という訳では無い……

 

だから俺は、少しでも情報を得る為にここに来た。

 

新たな情報は得られなかったが、休んでいる間にも、昨日の戦いの中で何か、重要なヒントが出ていたのではないかと、考え続けていく内に、今回の様々な出来事が、一つの線で繋がって居るのではないかと思えて来たのである。

 

まずは今から一週間前に、大きなホルダー反応を察知して、俺達がやってきた廃ビルの中で倒れていた空。

 

更にはやてちゃんの話によると、それと時を同じくして、はやてちゃんの目の前に現れた五代さん。

 

その五代さんと空が触れた際に、五代さんの腹部で輝きを放った霊石アマダム。

 

その直後に、俺と五代さんに話があると言って来た空の言動と、五代さんの傍に居たはやてちゃんを【巫女】と称して連れ去ったオーバー。

 

ハンター達三人のライダーの経緯は別かもしれないが、ここまでの大まかな部分には、何かしらの関連があるのでは無いかという、奇妙な接点が多々として存在している。

 

これで疑うなという方が、無理な話だと言えるだろう。

 

だから俺は妙な小細工をせずに、空に対して素直な質問をぶつけてみる事にした。

 

「空……昨日の夜に、はやてちゃんが連れ去られたんだ。【巫女】って言葉に何か心当たりは無いか?」

 

空が話を始める前に、俺がこんな事を質問するとは思って居なかったのだろう。

 

俺の質問を聞いた空の表情が僅かながら、強張った様に見えた。

 

隣に座っていた五代さんも、昨日の河川敷で、俺が変身を解除した時の様な顔をしている。

 

「……どうも事態は、僕が思った以上に進行してるみたいだね」

 

空は俺の質問から数秒の間を置いた後、この場に流れる緊張感を解きほぐす様な、柔らかな口調で告げた。

 

「やっぱり……記憶が戻ったんだ?」

 

「うん。昨日の夕方に、アマダムが全てを思い出させてくれた」

 

続く俺の質問に、空は肯定の返事を返す。

 

「……アマダムを知ってるって事は、君はやっぱり……」

 

本来ならば、この世界には存在しない筈の言葉を耳にした五代さんの反応に、空はゆっくりとした動作で頷く。

 

「何か知ってるなら話して欲しいんだ空。今この海鳴市で、何が起きようとしているのかを」

 

「分かってるよ純。僕は元々その話をする為に、今日のこの場に二人を呼んだんだからね」

 

俺の出した申し出に笑顔で答えた空は、一度だけ深呼吸をした後に、俺と五代さんが話を聞く準備が出来ているのかを確認してから、先程からの朗らかな雰囲気を一転させて、軽い痺れを起こしていると身体が錯覚しそうな、真剣な雰囲気を、全身から滲ませつつ喋り始めた。

 

「僕はこの世界の住人じゃない」

 

始めにそう言った空は続けて右手を上げて、人差し指を五代さんへ、正確に言うのであれば五代さんの腹部に存在している筈のベルト、アークルへと向ける。

 

「僕は五代さんの持つ、霊石アマダムの埋め込まれたベルト。アークルの前の持ち主、先代の戦士クウガの息子なんだよ」

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