RISKY×DICE〜転生した俺の念能力がリスキーダイス〜 作:スプライト1202
「HUNTER×HUNTERの考察語りてェなァ!」「リスキーダイス欲しいなァ!」
と思ったので二次創作書きました(?)
「はい、じゃあマーティー=ストゥーは1d20でダイスロールしてください」
「9以上出せばいいんだろ? はー、ヨユー。超ヨユーだわー」
「フラグが立ったので-1の補正で」
「ウッソだろ理不尽!」
俺はいつものように、自宅を訪れた友人たちとTRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)に興じていた。
「あ、HUNTER×HUNTERじゃん。これ全巻揃ってるの?」
「永遠に揃わないぞ」
「富樫仕事しろ」
「これが不朽の名作ってヤツかァ」
「そういうイミじゃねーから」
「そういやアタシ、キメラアント編までしか読んでねーや。借ーりよっと」
ワイワイガヤガヤ。ワイワイガヤガヤ……。
「うるへェえええええ! 静かにしろ、また隣から壁ドンされるだろうがァああ!」
「「「お前が一番うるせェ」」」
総ツッコミを受けながら、俺はダイスを振った。
まぁ、いつものやり取りだ。俺はこんなバカ騒ぎが永遠に続くのだと根拠もなく思っていた。
そして……終わりはいつだって突然やってくる。
――コロコロ。
『1d20→ファンブル』
――デデーン!
効果音が脳内再生される。いわゆる大失敗というヤツだ。
うげっ、最悪! そう叫ぼうとしたとき――ドクン、と心臓が不規則に跳ねた。
「……ぅ、ぐ!?」
俺はテーブルに突っ伏した。身体が動かない。苦しい。声が出ない。
なに、が……。
「見事なフラグ回収で草」
「これが爆死ってヤツかぁ」
「おーい、いつまで死んだフリしてんだよ。リスキーダイスを振ったわけでもなし」
友人たちの笑い声が木霊する中、俺の身体はゆっくりと傾いていき……落ちた。受け身も取れず、鈍い音を立てて身体が床を跳ねる。
友人たちがようやく異常に気づく。
「え?」
「おい、しっかりしろ!」
「……やばい、呼吸してない! 心音がおかしい!」
「救急車早く!」
「ウソだろ……起きろ! 起きろよ!」
意識が薄れていく中、最後に目にしたのはテーブルから転げ落ちた20面ダイスと、HUNTER×HUNTERのコミックスだった。
そして――。
* * *
「……え?」
気づくと俺はゴミ山に立っていた。
「おェええ!? ひっでェ臭い……どこだ、ここ?」
あたりを見渡せば、あるのはゴミ山とツギハギだらけの小屋ばかり。……正直、その小屋もゴミに見えた。
「というか……なんじゃこりゃあ!?」
痩せ細った小さな両手。視点も低い。
「……うぐっ!?」
不意に激しい頭痛に襲われる。
「そうだ……俺は」
頭の中を記憶が駆け抜ける。
そうだ……今の俺は5、6歳の男児だ。
最初の記憶は、まだ赤ん坊だった俺をゴミと共に捨てる母親の姿。
それ以降はずっとこのゴミ山暮らし。言葉よりもずっとはやく、ゴミの拾い方を覚えるような生活だった。
「……夢でも見てるのか?」
あたりをぐるりと見渡す。
このゴミ山を見て、俺は最初『スモーキーマウンテンのようだ』と思った。だが、ちがう。今世の記憶がそう言っている。
足元に、それを裏づけるものが落ちていた。
そのゴミ――新聞を拾いあげる。俺は書いてある文字が読めた。知っている文字だったのだ。
今世で学んだわけじゃない。元から知っていた。
新聞が風にあおられ、俺の手を離れる。
宙を舞うそれは、そのすべてがハンター文字で書かれていた。
「そうか、ここは……」
ここは『なにを捨てても許される街』――。
「――流星街だ」
HUNTER×HUNTERの世界に存在する架空の……いや、架空だったはずの街だった。
「は、はは……ありえねェ」
自然と身体が震えてくる。
「勘弁してくれェえええええええええ!」
「っ!?」
いきなり叫んだせいで近くのオッサンがビクッとなったが、そんなんはどうでもいい。だってH×Hの世界に来ちまったんだぞ? うれしい……以上に困る。つか、恐ェよ!
「H×Hの世界とか危険ばっかじゃねーか!」
あの世界はなにげにヤバい。
わけのわからない厄災や、初見殺しの念能力、殺人すら許されるプロハンターがいる世界だぞ? しかも、銃やナイフとはちがって、取り締まることもできない。
なにより……。
「もう、戻れねェのかなァ……」
まだアイツらに別れの言葉すら言ってない。
はァ……マジかー。H×Hの世界かー。そうかー。
ショックに打ちひしがれながら、俺は心の中でカウントする。
……10秒。
「うっし!」
パンっと頬を叩いて切り替える。
来ちまったもんはしょうがねェ。『進撃の巨人』の世界じゃなかっただけマシだと考えよう!
となれば、まずは状況確認だ。おっと、ちょうどいいところに。
「そこのオッサ……おにいさん! 今って何年何月だっけ!?」
「えっ。1984年の2月だけど……」
「ありがとう!」
「お、おう」
オッサンは関わりあいになりたくないと思ったのか、そそくさと俺から距離を開けてゴミ漁りを再開した。
「えーっと、今が1984年の2月だろ?」
自分の考えをまとめるべく、だれにも聞こえない程度の声量でぶつぶつとつぶやく。というか俺のクセだ。
本編開始は1999年だから、まだ時間はある。幸いにも、今日いきなり流星街をキメラ=アントが攻めてくる、なんてことはなさそうだ。
「となると、この時期になにが起こるか、だけど」
本編開始前に流星街で起きた重大なイベントとなると……旅団関係か?
「あれ? 幻影旅団ってもう結成してるのか?」
原作時点――1999年時点でのクロロが26歳だから、今は11歳か(これはヨークシンでネオンが占ったときに言ってたのをはっきりと覚えてるから、間違いない)。
「となると、クロロが旅団を結成したのが13歳だから……あと2年しかないのか!?」
いや、待て待て待て。と自分を制止する。
そもそもクロロが旅団を結成したのって本当に13歳だったか?
頭をひねるも……。
「あー、くそ! 思い出せねェ! 昔、あんなに読み込んだのに!」
その情報が原作知識なのか、ネット上のウワサだったのかも判然としない。このポンコツ脳みそめ……。ほかのイベントに関しても、なにかあったような気がするが思い出せないし……。
つまりは手掛かりなし。
「はァ。結局、今やれることをやるしかねェか」
今、やれること。それは、いつ巻き込まれるかもわからないトラブルに向けて、すこしでも生存率をあげることである。すなわち……。
――念の習得だ!
「ふひっ!」
おっと、思わず変な声が。
こんな状況でも、さすがに念能力の話となるとテンションがあがってしまう。だれだって一度は妄想したことがあるだろう? オリジナルの念能力を。
「だ……ダメだ。まだ早い……堪えるんだ……」
念の習得には段階がある。
まずは精孔(しょうこう)――オーラの出る体中の孔を開かなければならない。とくに目の精孔を開かなければ、オーラを見ることすらできない。
「……ん? あれ? なんかその前にやらなきゃいけないことがあった気が」
しかし、思い出せない。思い出せないということは……まァ、それほど重大なことでもないのだろう。
さて、肝心な精孔の開きかただが……2通りある。
ゆっくり開くか、ムリヤリ開くか。
「ま、1択なんだけどな」
ムリヤリ開くには、開いてくれる人が必要だ。が、俺にそんな師匠がいるはずもない。毎日座禅でも組んでゆっくり開いていくしか道はない。
「……っしゃ、やるぞォ! おォー!」
こうして俺はこの世界での――流星街での生活がスタートしたのだった。
* * *
――それから、3ヶ月後。
「なんっも起きねェえええええ!」
俺は完全に、念習得の壁にぶつかっていた。
・報告
次話以降、ここ(後書き)にH×Hの考察やら小噺やら雑談やらを掲載していきます。