RISKY×DICE〜転生した俺の念能力がリスキーダイス〜 作:スプライト1202
もし気づいた人がいたら……8話でフォロー入れるから、それまで許して(泣
――精孔を開かなければ、どこに”番いの破壊者(サンアンドムーン)”の刻印をされたかわからない。
死にもの狂いで修行をはじめた俺……だったが、最初にやったのは今まで暮らしていた小屋を出ることだった。
あそこじゃ、他人に触れず生活するのはムリだ。人が多すぎる。可能性は低いとわかっていても、ほかの人と身体が触れた瞬間に爆死……という恐怖がぬぐえなかった。
必然、ほかに場所はなく……俺はゴミ山で寝起きすることになった。しかし、ある意味では都合が良かった。なにせ移動時間がゼロなのだ。
俺はゴミ拾い以外の時間、そのほぼすべてを修行に充てた。睡眠時間さえほとんど削って修行に打ち込んだ。もはや狂気にも近い集中力だった。
死への恐怖が俺を突き動かしていた。
毎日毎日、俺は座禅を組み続けた。
すると、いつからか座禅に組んでいるうちに、本当に無心になれるようになっていった。
もしかするとそれは、何時間も座禅を組み続けたせいで意識があいまいになっていただけ、かもしれない。しかし俺は、それでも構わないと座禅を続けた。
毎日繰り返すうち、あいまいな状態へと至るまでにかかる時間は短くなっていった。そしていつしか、座禅を組むと、スイッチが切り替わるようにその状態へと至れるようになっていた。
……それは死にもの狂いの修行をはじめて、4ヶ月がすぎたころだったろうか。
最悪の環境で寝起きしているせいで体調が悪化し、熱を発するようになっていた俺の身体に変化が起きた。
腹の奥のほうで、なにか、病とは別種の熱がうねったのだ。
一瞬の錯覚かと思われた熱だったが……そこからの変化は顕著だった。
ゴミを集め終わるまでの時間が、急速に縮まりはじめたのだ。そのうち腹の奥から湧いた熱は、病の熱を身体から追い出すかのように全身へと広がるように。
それに呼応するように、身体は調子を取り戻し、たくましくなっていった。
そして――その日は唐突に訪れた。
朝、いつものように目を覚ますと身体をモヤのようなものが覆っていた。……いや、ちがう。それはもとからそこにあったものだ。
そう、俺は――。
――オーラが見えるようになっていたのだ!
「そうか、目の精孔が開いたんだ……!」
全身を覆うモヤ。それは紛れもなくオーラだった。
俺はオーラを視認していた。
「成し遂げた……俺、ついに成し遂げたんだ……!」
身体の奥から感情が噴き出す。背筋がゾクゾクと震えた。
「〜〜〜〜っ! ……よっしゃァあああああああああああああっ!」
よろこびのあまり、俺は住処を飛び出し、跳ねるようにゴミ山を駆けた。ゴミがいっとう高く積み上げられたところをわざわざ登り、そのてっぺんで吠えた。
ひとしきり吠えると、ようやく落ち着いた。
「……いかんいかん」
なんだアイツやべェ……みたいな視線を向けられながら、ゴミ山を降りる。と、すれ違った人を見て気づく。明らかに俺の発するオーラのほうが多いのだ。
「そうか……ムダじゃ、なかったんだ」
目の精孔が開いていなかったから、まだ見えていなかっただけで……努力はきちんと、積み重なっていた。すこしずつ、全身の精孔は開いていたんだ。
実際、いつしか俺は大人も顔負けの力自慢になっていた。身体はこれまで感じたことがないくらい軽かった。
……まァ、バテることも多かったが。
「って、こんなことしてる場合じゃねェ!?」
達成感が勝ちすぎて、うっかり本来の目的を忘れるところだった。
ゴミ山を漁り、目当てのものを探す。
「あったよ鏡が! さて、と。いったい身体のどこに”番いの破壊者(サンアンドムーン)”の刻印が……あれ?」
鏡(の破片)を覗き込んで首を傾げる。オーラが見えない。自分の両手を見下ろすも、やはり消えている。
「ノォオオオオオオオオ! なにやってんだ俺ェえええええええ!」
どうやらまだ安定していなかったらしく、目の精孔が閉じてしまったようだった。
「ううっ……次のときに備えて、住処に鏡置いとこ」
それからしばらく、オーラは見えたり見えなくなったりした。しかし、だんだんと見える時間は長くなっていき……。
俺は全身を調べ終えた。
「……あー、マジかぁ」
鏡を覗き込みながら唸る。
結論から言うと、やはり俺は刻印されていた。覚悟はしていたが、事実だとわかるとやっぱりクるものがあった。
「なんで俺がこんな目に。運が悪いにもほどがある……」
ただ、幸い……といっていいのかはわからないが、刻印されていたのは太陽(プラス)だけだった。ただ、その刻印にもすこし気になることがあった。
「よりによって額、か」
鏡に映る自分の顔。その額にくっきりと十字の刻印が浮かんでいるのだ。……そう、まるでクロロのように。
しかも、オーラが見えるようになってわかったが……こういう人物はほかにもいた。決して多くはないが。
これがなにを示しているかというと……。
「……全然わからん!」
情報が足りなさすぎる。俺は思考を放棄した。
ともかく、本来の目的は果たしたのだ。
「長かった……」
数えてみると、かれこれ半年が経過している。最初の3ヶ月も合わせると、9ヶ月かかった計算だ。
ズシが3ヶ月でやったことを、9ヶ月。早いのか遅いのかはわからない。けれど、悪環境で師匠もなしの状況だ……ここまでこられただけで上出来だと思った。
「これからどうするべきか」
どうしたいかといえば当然、この刻印を消したい。問題はそのためになにをすべきか、だ。
刻印を消す方法は2つある。長老に解除してもらうか、除念してもらうか。
前者はありえない。
刻印した張本人に『解除してくれ』なんて……殺してくれと言っているようなものだ。できることなら、長老にはもう一生会いたくない。
となると後者なのだが……そうなると、急がなければならない。
もし長老が死んでしまえば、刻印は死後の念となりかねない――念が強まって、除念は絶望的になりかねない。
なにせ死後もクロロの本に残るほどの強い念なのだ。そうなる可能性は高いだろう。
しかし、除念師はとても希少だ。
作中でも登場したのは、G.I.編で登場したアベンガネ、キメラ=アントであるヒナ(ボテ腹かわいい)、そしてハンター協会唯一の除念師(ゴンを除念できなかった人)の、合わせて3人だけ。
ヒナに至っては、生まれるのはまだ10年以上も先の話。
加えて言えば、死後の念を除去できるような除念師は世界で10人といない、と言われている。作中に登場した人数でいえば、驚きの0だ(ゴンを除霊したナニカは例外)。
となると……。
「――流星街を出る」
それしかない。ここにいる限り、除念師の情報は決して集まらない。
そのためにすべきことはひとつ。
「――資金集め、か」
結局、金かァ……。この地獄から抜け出すには、どうしたって金がいる。
気合を入れなおすのに要した時間は、10秒。
「よし……やるかァ!」
そうして俺の目標は次の段階へとシフトした。
そして俺は――。
――ゴミ山で瀕死の少女を拾ったのだった。
……え? なんで?
・考察
”人間の証明(オーダースタンプ)”は人間以外(の物)にも使えるのか?
答えはノー(クロロがウソ吐いてないかぎり)。クロロが能力を説明する際『対象者に』という言葉を使っている。
ただし、作中でクロロが述べているとおり、人間の形をしていれば人形でも問題ない(おそらく死体でも可能)。
逆にいうと、服越しでも能力は使用可能ということになる(ヒソカvs.クロロ戦で、クロロが審判の背中に刻印している)。
そのため、本作でもそういう解釈で進行します。つっても現状、主人公には知りようないですけど。
あと3話の誤字指摘くれた人、感謝。