地に足つけた浮かれたヒーロー   作:マーカー

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ポケモンの冠の雪原を楽しみ過ぎました。
レジエレキの色厳選が思ったより早く終わったことでアドベンチャーの方に手を出し過ぎてしまった。
それはそれとしてレジエレキが可愛い。


第35話 元通りの日常

職場体験の期間を終えギャングオルカの事務所付近の駅から電車に乗り続け自宅の最寄り駅に降りた千土はふらふらとどこか浮遊感を覚えながらゆっくり歩く。

昨日のギャングオルカの戦闘訓練を受けた時からずっと思考が定まらず目の前の風景全てに現実感がなく、事務所を去る際に最後に忠告とギャングオルカから釘を刺された記憶をしっかりと脳裏に焼き付いているというのに何故か意識が湧かない。

 

そんな定まらない意識のまま1週間ぶりの自宅の前に辿り着くとそのインターホンを鳴らす。

数秒待たずしてドアの向こう側からバタバタと誰かが駆け寄る音が聞こえ、やがてガチャと開錠の音が鳴る。

 

「おっつー千土、大活躍したそうじゃん」

 

「何でお前いんの?」

 

開かれたドアから顔を見せたのはボーイッシュな格好の旧友の少女、含話であった。

留守を任せたのはもう一人の方の旧友だったはずだがと一瞬戸惑うもよくよく考えば他でもない自分が彼女にも念の為連絡しておいたのだったと思い出す。

そう思い返せば出迎えてくれた相手に今の言葉はまずかったかと察し目の前の少女の顔を見れば案の定若干顔を顰めていた。

 

「いや悪い、ちょっと驚いてな。狼次の奴は寝たのか?」

 

「四日目でね、まぁまだ大丈夫とか言ってたけどだいぶキツそうだったから半ば無理やり寝かしたよ」

 

「すまねぇな、助かるよ」

 

「っと千土も疲れてんでしょ、いつまでも突っ立ってないでさっさ入んなよ」

 

疲れは然程酷くはないが圧し掛かった一週間分の荷物は確かにいつまでも抱えていたくもないので促されるまま玄関を潜り荷物を手放すと一息つく。

腹の中に溜まったものが抜け落ちる感覚と共に然程でもないと思っていた疲れをやはり大きく実感する。

 

電車の移動だけでなく先日の戦闘訓練の疲労もまだ残る身体に気力を巡らせてリビングへと入る。

荷物の整理はあとにして今はとにかく寝転がりたいとドアを開けば3世代程前のTVゲームを並んでプレイしている2人の姿。──自身の姉の空と一度寝たことで個性が解けたのだろう、人狼の姿から人の姿へと変わった狼次の姿があった。

 

2人ともドアが開いたことでどちらも手にしたコントローラーはパッと放してこちらを振り返ると頬を緩めて口を開く。

 

「おかえり千土、どうだった?」

 

「ただいま、まぁ随分としごかれたよ。──狼次も悪かったな」

 

「気にしないで下さい、どうせ自分の家から千土先輩の家に引きこもり場所が変わっただけなんで」

 

むしろ久々に違う環境に来て良い気分転換になりましたなどと宣う引きこもりの後輩の物言いに若干呆れつつもその引きこもり前提で留守を頼んだ以上何とも言えずため息と共に頭を掻く。

──この後輩は本当に大丈夫なのだろうか? 

 

「──おや、千土……もう着いたのかい?」

 

不意に聞こえた声に驚きその方向に目を向ければ部屋の隅に置かれたソファの上で自身の親とも言える女性がブランケットにくるまれてだらけていた。

 

「いたのか心奈さん。またどっかで個性使ったな?」

 

「……あぁ、何でも昼ドラ的な状況の女性がいてね、見るに見かねてちょっとね」

 

「お疲れ様」

 

「──君程では無いがね」

 

身体のあちこちに巻かれた包帯も目を引くが何よりも現在日夜問わず話題に上がるヒーロー殺しの逮捕までの一部始終。その映像に交わる一人である千土をどこか困った様な目で心奈は見つめる。

 

「……まぁ色々あったんだろうね、千土。──少し話そう」

 

心奈の穏やかな声に促されるまま、千土は床に置かれたクッションに身体を預け、自身の義理の親と姉、旧友達とこの1週間の出来事を語り聞かすのだった。

 

呆れや笑い、称賛や説教。様々な相槌と共にその語りは長く続くのだった。

 

 

 

▼▼▼

 

 

翌日の朝、雄英高校の教室にてA組の生徒達は1週間振りの級友達との再会と各々の話で賑わっていた。

一週間振りに会うクラスメイトにお互い日常が帰ってきたことを実感させ、その居心地の良さが無意識に話を弾ませる。話題は勿論、互いの体験先での出来事だろう。

 

救助活動に貢献した者、武闘派のヒーローの下で心技共に鍛えられた者、髪を8:2に整えた者、皆各々体験前と比べて見違えるものを感じた。

 

「──つぅか爆豪は何でそんな事になってんだよ」

 

「うるせぇっ!! ぶっ殺すぞ」

 

髪を8:2に整えた者である爆豪が切島と瀬呂にからかい8:疑問2の割合で絡まれ怒声を上げる。

 

確か爆豪はベストジーニストの下へと体験希望したそうだがあの様子からして戦闘力以外の面を指導されたのだろうと何となく察する。

 

──しかし……何と言うか……

 

「似合わねぇ、爆豪に真面目系ヘアースタイルは全っ然似合わねぇ」

 

「うるせぇ固められて直らねぇんだよっ!」

 

「──いや、案外似合わねぇって訳でもないだろ?」

 

言い合いを続ける切島と爆豪に交わるとすっかり髪型のイメチェンをした爆豪を値踏みするかのように凝視しながら一周する。

 

「何じろじろ見てんだテメェ!?」

 

「何だかんだ元の顔が悪くないだけにこの髪型も似合ってるぜ? どうせ直らねぇならいっそ活かしちまおう。──とりあえずこれなら服装はかっちりした方が良いな、第一ボタン留めろ」

 

「は!?」

 

「いやでも何かインテリヤクザ感があるな……金髪のせいか? ……っつってもベストジーニストも金髪だし違うか……そうだ、八百万に眼鏡でも作って貰ってそのつり上がった目を隠して──」

 

「うぜぇ!」

 

謎のテンションでコーディネートしてくる千土に珍しく呆気にとられていた爆豪だったが冷静さを取り戻し激怒する。ついでにキレた勢いでその頭髪が普段の尖ったものに戻った。

 

「意外と地城君服装とかに拘るんだ……」

 

「……周りが全員無頓着だったからな」

 

勤務後は何もかもに面倒意識を持ち仕事着(ナース服)で外を歩く義母。

他人から自分を認識されたくないと着ぐるみで出歩く義姉。

男物の方が気が楽と言って男物ばかり着る旧友の少女。

そもそも服を買いに行く服すらない旧友の少年。

自分の周りにろくな奴がいねぇと思い返し途方に暮れる。

 

「あと俺も体験先で色々仕込まれたんだよ、他の事務所と関わる際に相手から最初に判断されるのは見た目であり中身が問われるのはその後から。他の事務所とより良い関係を構築するなら身嗜みは整えろと──」

 

「あの……地城さん、申し上げにくいのですがそれは経営科の内容では?」

 

「…………うん」

 

「お前もお前で何してたんだよ!?」

 

1週間開けたら経営学を叩き込まれて帰ってきたクラスメイトに切島は困惑する。

 

「いや、最初は普通にヒーロー活動させて貰ってたんだが……まぁ色々あってな」

 

"色々あって"その言葉に皆思い当たるものがありハッとなる。

 

「大変だったらしいな、動画で見たぜヒーロー殺し」

 

瀬呂の言葉に当事者である地城、緑谷、轟、そして飯田に注目が集まる。

心配したという声や怪我は大丈夫かという声に感謝しつつも不意に別の声が聞こえる。

 

「そういえばヒーロー殺しって例の敵連合に繋がってたとか」

 

「あぁ、それニュースで見た。USJの時に来なくて本当に良かったよ」

 

あの事件の後、気が付いた時には既にヒーロー殺しの話題はニュースや新聞、あらゆる情報メディアを占拠していた。

彼の情報はヒーロー、ヴィラン双方に大きく影響を与え、ヒーローにとって今もなお警戒を緩めさせないものとなっていた。

 

──その原因がクラスメイト達も見たという"動画"だ。

 

インターネット上に上げられたヒーロー殺しステインの捕縛までの一部始終。

満身創痍の身でなお脳無に捕らわれた緑谷を救いエンデヴァー達に一切退く姿勢を見せず己の執念に殉じるその姿が映されていた。

当然警察が何度も削除活動を続けているがその度に誰かが再投稿するいたちごっこ、動画に映るステインの姿はただのヴィランの動画としては在り得ない程に人に惹き込み過ぎたのだと否が応でも理解してしまう。

──さらにそれはヴィランやどこか心に影を持つ者だけでないのが問題なのだ。

 

「確かに怖いけどよ、なんつぅか"執念"……みたいなのかっこよくね?」

 

その証拠に自身のスマホが再生する動画を見ながら上鳴は無意識の内になのだろうがヒーロー殺しの、すなわちヴィランの姿に好印象を抱いたのだと口にする。

 

「駄目だよ上鳴君……」

 

「え? ……っそうか飯田!? 悪い」

 

しかし、上鳴に悪気がないということを理解していながらも静止をかけた緑谷に上鳴もまたその意味を理解しすぐに飯田へと謝罪する。

例えヒーロー殺しが周囲からどのような印象を抱かれていようが彼の被害者はそれこそ何人もいる、そしてそれは自身のクラスメイトの──飯田の兄も含まれているのだ。

それを思い出した上鳴は自身の無神経さを悔いるように頭を下げる。

 

──しかし飯田はそんな上鳴に首を横に振って口を開く。

 

「いや、いいんだ上鳴君。確かに奴には揺るぎない信念と執念があった。それを見てそう思う気持ちは理解できる。──それでも! 奴はその結果"粛清"という道を選んだ。俺は少なくともそれは絶対に間違いだと思っている! だから俺は俺のような人は出さない為にも改めてヒーローの道を歩む!!」

 

堂々と、そして生真面目な彼らしい毅然とした口調で宣言する飯田に皆息を飲む。

迷いも闇もないその姿に彼を心配していた者達は皆安堵しこれまでの話によるクラスの空気もようやく元の落ち着きを取り戻すのだった。

 

「……ところで少し気になったのだが──地城君、僕たちが病院にいた時そこまでの怪我をしていたのか? まさかヒーロー殺しとの戦いでの負傷が……」

 

「いやいやこれは別だ。お前が後ろめたく思うことなんてないって委員長」

 

腕や足、額とあちこちに包帯をやガーゼを巻いた地城の姿はクラスの皆気にはなっていたが大半の者は例のヒーロー殺しとの一戦で負ったのかと思っていた。

しかし明らかに病院で見た時より負傷が重くなっていると共に戦った緑谷や飯田、轟はそれに違和感を覚えていた。

 

「最終日の訓練で気合入れ過ぎてぶっ倒れるまで続けちまってさ、ギャングオルカにも滅茶苦茶怒られたわ」

 

しかし千土はそれを茶化すように笑い自身の身体中の包帯をあっちこっちに見せる。

見方によっては見ている側さえ痛々しく思える程の負傷の数であったがそんな風に感じさせない千土の振る舞いに皆職場体験に出てもこいつは変わらないなと思う。

しかし唯一千土の過去を彼自身から聞いた轟のみがその振る舞いに取り繕いを感じ静かに近づき耳打ちする。

 

「……気持ちは分かるがあんま無理はするなよ」

 

「はは、心配すんなって、ありがとな」

 

気遣いの言葉に笑みを浮かべ轟の肩を軽く叩きながら礼を言う。

その振る舞いはやはり普段通りの千土の姿であり、しかしそれが逆に違和感を覚え未だに少し疑う様な視線を向ける轟だったが教室のドアが音を奏で一週間振りである担任の相澤の姿を見た事で他の者達同様に自身の席へと戻るのだった。

 

 

 

皆それぞれ焼き付いた職場体験での記憶と共に新たな日常の始まりとでもいうべき最初ののHRが開始されるのだった。

 

 

 

▼▼▼

 

「ハイ、私が来た。ってな感じでやっておいて、久し振りだね少年少女! ヒーロー基礎学の時間だよ!」

 

「ヌルっときたなオールマイト」

 

「久々なのに普通だ……ネタが尽きたのか」

 

「尽きてないぞ、無尽蔵だぞ!?」

 

午後からのヒーロー基礎学の時間。

毎回ハイテンションで出てくるオールマイトが一週間振りの授業にも関わらず普通な登場をしたことでクラスから残酷な批評が上がってきて冷や汗を掻いている。

──アメリカンなノリも色々と大変なのだ。

 

場の空気に耐え切れなくなったのだろう、オールマイトは話題を変えようと目の前の会場へと視線を変え授業説明を始める。

 

「さあ! 今回は体験明け初日ということもあってちょっと遊びを含んだ訓練だ! ──そう救助訓練レースだ」

 

オールマイトの宣言を受けて会場『運動場γ』を見渡す。

配管や貯水タンク、クレーンやらが密集するさながら鉄の森とでもいうべき工業地帯。ここで4組に分かれて1組ずつ訓練を行うという。

この工業地帯のどこかでオールマイトが救難信号をだし、複雑に入り組んだ迷路のような細道の中を走り抜け誰が一番に駆け付けることができるのかが今回の主題である。

当然周囲への被害は最小限にという条件付きだが流石にそれは皆言われるまでもなく理解していた。

 

 

 

脳内で状況整理をしている間にグループ分けも完了し1組目である飯田、瀬呂、尾白、芦戸、そして緑谷を残し他の生徒達は中継モニターの置かれたゲート付近へと移動する。

さて、オールマイトの開始宣言待つ空き時間、1組目でもない以上手持ち無沙汰であり皆これから始まる救助訓練レースへの予想を始める。

 

「この手の速さ勝負なら飯田なんだろうけどまだ怪我完治してないんだろ?」

 

「平面でなく立体的な工業地帯だしな、こういう場なら瀬呂じゃね?」

 

他にも芦戸の運動神経に1票する者、尾白の総合力に期待する者、とりあえずデクは最下位という者皆それぞれの意見を出し合う。

意見のなかに私情や私怨が見え隠れしている気もするが口にはすまい。

 

「うーん強いて言うなら緑谷さんは不利でしょうか……よく考えてらっしゃる方とは思っていますが……」

 

「確かにぶっちゃけあいつの評価って定まんないよね……やってることは凄いけどその度に怪我してるし」

 

保須市で見せた緑谷の成長、それを知らない者達はそんな意見を口にする。

砂藤などはそんな緑谷の根性に期待の1票を入れるがどちらかといえばそれは大穴狙いといった意見だ。

しかし千土と轟はこの場で唯一今の緑谷の"機動力"を知っている。

 

「2人はどう思う?」

 

そしてクラスの皆もこれまでの付き合いでクラスの中でも優れた相手というのは理解しているが故に彼がどの様な予想をしているのかが気になった。

葉隠は配置に着いている1組目のメンバーを静かに眺めていた千土と轟へと明るい声で問う。

 

「そりゃ──瀬呂だろ、さすがに」

 

しかし千土はあっさりとそう結論を口にする。

個性の運用に関しては何気理屈っぽい千土らしくない順当な票先に皆「あれ?」といった表情を浮かべる。

 

「えぇ~、地城君ならもっと意外な答えくるかと思ったんだけど?」

 

「こんな純粋な速さの勝負に意外も何もあるかよ!? 周りぶっ壊して良いなら何か出たかも知れんがこれは無理!」

 

理不尽な葉隠の要求に手を振って反論する。

面白い答えなんて求められても困ると言って葉隠から逃れると轟からの視線が地城に向く。

 

「意外だな? 緑谷に票入れるかと思ったが……」

 

「保須市で見たアレなぁ……体育祭で使わなかった事からして完成度がどれぐらいか分からねぇんだよな──それにあいつの個性正確には知らないけどパワー系なのは確かだろ? ……無理だろ」

 

ステインとの攻防の最中に見た緑谷の機動力。

驚異的な速度のそれがどういう原理かは分からないが彼の圧倒的なパワーを利用していることは間違いない。

あれを十全に扱えるのならば確かに一択で票を入れたが生憎今回はあのような平面ではなく細道ばかりの工業地帯で足場は太さがバラバラな上頑丈そうにも見えない配管ばかり。

こんな状況で習得したばかりのパワー由来の跳躍力をコントロールし余計な破壊をせずに辿り着くなど出来るのか? 仮に自分が緑谷の立場なら「出来てたまるか!」と切れるだろうなと思う。

 

轟も大体同意見なのだろう、特に反論せずむしろ同意したかのように頷くとその視線を再びモニターへと戻す。

 

果たして結果はどうなるか、そう待たぬ内に開始の合図が切られた。

一斉に飛び出す参加者の中最初に飛び出したのはやはり瀬呂。テープを巧みに使いこなし素早く移動を続ける。

──だがその彼の頭上を飛び越える者が現れる。

 

「おおぉ緑谷っ!? なんだその動き!?」

 

工業地帯のパイプを跳ねるように飛び移り緑谷は宙を掛ける。

速度も飛距離の常人以上、その動きはどこか爆豪の動きと重なる。

不規則な大きさのパイプの足場にも関わらずその動きに乱れはなく千土は自身の目を疑う。

 

「おいおいマジかよあの野郎──あっ!?」

 

再び千土は目を疑う。

先程までの完璧な動きは何だったのか、関心している内に緑谷は足を滑らせて落下してしまった。

いや、そりゃそうなるだろうとは思ってたけど……

 

結果として緑谷は着地ミスにより一気に最下位へと転落し皆の予想通り1位の座は瀬呂に渡すことになった。

とはいえ今まで緑谷が見せていた反動による負傷は見受けられずその印象は大きく変わっただろう。

元々パワーはクラスの、いや並みのヒーローさえも凌ぐものでありそれに先程の機動力が完璧に備わったならば──緑谷の持つ可能性はより大きくなるだろう。

 

やがてオールマイトから各々の評価を貰った1組目と入れ替わるように次のグループの者達がスタートラインに並ぶ。

スタート地点に立った千土は自身と共に位置に着いたライバル達へ視線を向ける。

爆豪・青山・蛙吹・八百万の4人の姿をそれぞれ確認するとゆっくりと彼らから視線を外し目の前の工業地帯へと視線を向ける。

 

間近でみると改めてその密集具合に不用意に地面を動かすことの危険さを感じ実質個性が使えないなと結論付け、包帯塗れの両腕と両足を適当に動かす。

軽く力を入れる分にはこれといって支障はなく痛みも軽いもの、ならば──いや例えそうでなくとも結局自分がやれることは1つのみ。

 

(──全力を尽くす……それだけだ)

 

千土はそう心の内で自身に言い聞かせ、オールマイトの開始の宣言を待つのだった。

 

 

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